JP2845936B2 - ボールノッチ装置 - Google Patents

ボールノッチ装置

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ボールノッチ装置殊に自動車変速機のギヤ
シフトシャフト用のボールノッチ装置であって、係止球
が、ブッシュ内に案内されている圧縮ばねの作用でギヤ
シフトシャフトに当接しており、かつ係止球がギヤシフ
トシャフトの平行溝内で案内されていて1つの溝から別
の溝へ溝間の中間部を転動して係止されるようになって
おり、この場合係止球が係止球を支承する半球形の半割
シェル内の小さい支承球上に支承されており、かつ圧縮
ばねが半割シェルに作用しており、該半割シェルの直径
が外縁部が拡大しており、これにより、小さい支承球の
自由な運動を許容する拡張部が形成されており、かつ半
割シェルがその中心部に、小さな支承球の自由な運動を
許容する凹部を有しており、かつまた半割シェルが案内
部上に支承されており、この案内部が圧縮ばねのための
ばね受け及びガイドを有していてブッシュ内に転動体を
介して軸方向で移動可能にガイドされている形式のもの
に関する。
本発明はこのような形式のボールノッチ装置から出発
する。半割シェルの直径が外縁部で拡大しており、これ
により、小さい支承球の自由な運動を許容する拡張部が
形成されることはドイツ連邦共和国特許第3639120号明
細書に基づき公知である。また、半割シェルがその中心
部に、小さな支承球の自由な運動を許容する凹部を有し
ていることも上記明細書に基づき公知である。これらの
拡張部および凹部によって、係止球が回動し小さな支承
球が半割シェルの内面で転動したときに小さな支承球が
せき止められて締め付けられることがなくなる。
本発明の課題は上記の形式のボールノッチ装置を簡単
にコスト的に有利に製作することができるようにすると
共に、その機能を改善することにある。
この課題は本発明によれば、半割シェル及び案内部が
薄板から深絞り加工された部品として製作されていて、
互いに不動に結合されていることによって、解決されて
いる。
両部分、即ち半割シェル並びに案内部は、その開いた
側に最大横断面を有する部分であるから、本発明はこれ
らの両部分はそれぞれ薄板から深絞り加工によって製作
することができるという認識から出発している。これら
の部分は従来の内実の素材から旋削されており、従って
高い製作費を必要とし、またこの場合製作技術上大きな
製作誤差が生じることを甘受しなければならなかった。
これに対して深絞り加工した部品の製作誤差は著しく小
さく、従って両深絞り加工部品はそのまま転動体乃至小
支承球の転動軌道として役立ち、転動体との組合わせ、
従ってまた転がり軸受機構の構成に特に適するものであ
る。
本発明の別の一構成によれば、はじめに述べた形式の
ボールノッチ装置において、案内部がその円筒壁に少な
くとも1つの軸平行なスリットを有していて、案内部周
囲の転動体をブッシュの内側にばね弾性的に遊びなく押
圧している。
案内部のこのようなばね弾性的な構成は、一方では、
製作が簡単であり、また他方では、このようにすること
によって、転動体を案内部の外面とブッシュの内面との
間の転動軌道上に遊びなく支承することができる。これ
により案内部に対する案内機能を、ひいてはまたボール
ノッチ装置全体の機能を申し分なく改善することができ
る。一般に転がり軸受では、個々の構成部分を組合わせ
かつ転動体が所定の形式で転動することができるように
するためには、極めて僅かなものであれ、ある程度の遊
びが必要である。このような不可欠な遊びは製作技術上
ある程度の誤差を伴い、従って例えばこれらの誤差が不
都合に重なり合った場合には上記の遊びは比較的大きく
なり、このことは、特にはじめに述べた形式のボールノ
ッチ装置では、たんに望ましくないというだけでなく、
著しい欠点となる。それというのはこれにより騒音が発
生しまた早期摩耗を生じる結果となるからである。転動
体の転動軌道を有する少なくとも一方の部分が、転動体
を他方の部分の反対側の転動軌道にばね弾性的に押圧す
るように構成されている場合には、製作にさいして僅か
な製作公差を維持する必要がなくなるばかりでなく、遊
びのない案内機能がえられ、騒音及び早期摩耗を発生を
排除することができる。
深絞り加工された両部分、即ち半割シェル及び案内部
は、溶接によって互いに不動に結合することができる。
この場合、半割シェルと案内部との点溶接の圧力点によ
って中心半球面を、小さな支承球の自由な運動を許容す
るために、球ベット中の凹部として、つまり半割シェル
の本来の球面よりもさらに深く凹状に切り欠かれた部分
として生ぜしめることができる。この目的で案内部をカ
ップ状に構成し、案内部の底部を内側へ湾曲させ、半割
シェルに面接触するようにするのが有利である。
本発明の別の一構成によれば、半割シェルと案内部は
リベット又はねじにより互いに不動に結合されている。
またこの場合半割シェル内にあるリベットヘッド又はね
じヘッドを球ベット内の中心半球面として構成すること
も可能である。
両部分、即ち半割シェル及び案内部は深絞り加工部分
としてそれぞれ一作業工程で製作することができる。こ
れにより、旋盤で製作されていたほぼ同じ形状の従来の
部品に対して製作コストを著しく節減することができ
る。
さらにまた、使用材料の著しい節減がえられる。それ
というのは深絞り加工には材料無駄がなく、また疵によ
る廃棄品も生じないからである。またこれらの両部分は
それぞれ個別的に、しかし有利には互いに結合した状態
で、申し分なく焼入れすることができる。それというの
はこれらの両部分の材料厚さはそれぞれ極めて一様均一
であり、高い焼入れ品質をうることができるからであ
る。特別の表面処理、特に、転動体用の転動軌道として
役立つ面の表面処理は、深絞り加工部品の場合、旋削部
分の場合と異なり、不要である。それというのは、非切
削加工のプレス成形部品は生地のままの滑らかな表面を
有するからである。
案内部内に配置されてい圧縮ばねが特に良好に案内さ
れることが望ましい場合には、案内部の底部の内側に、
圧縮ばね用ガイドとして突出した成形部を構成すること
ができる。この目的で特別に案内部底部の内側に圧縮ば
ねガイドとして円筒部を配置することができる。底部内
側に配置されるこの円筒部は半割シェルと案内部とを不
動に結合するリベット又はねじのヘッドであることがで
きる。またカップ状案内部の壁に、案内部底部から僅か
に離して、圧縮ばね用の対応するばね受けとしての曲込
部を形成することができる。このような上に述べた簡単
な手段により、圧縮ばねの保持、支承及び案内が著しく
改善される。
係止球が半割シェル内の球ベット上に確実に保持され
て案内されるようにするために、本発明の有利な一構成
によれば、球ヘッドの上側閉鎖部がばねリングとしての
保持リングによって形成されており、該ばねリングが半
割シェルの上縁の直ぐ下にある内側溝内に、係止球の中
心点より上側で、かつ球ベットの一番上側の球から離し
て、はめこまれている。該ばねリングの内径は係止球の
最大直径よりも小さい。本発明の一構成によれば、半割
シェルの上縁部に係止球用の保持リングが内側へ向いた
縁鍔出部によって保持されている。本発明の一構成によ
れば、焼入れ不能の軟質の材料から成る保持リングの内
径は、係止球の半割シェル内へのはめこみをスナップ嵌
合式に行うことができるようにするために、係止球の外
径よりもたんに僅かな程度だけ小さくされている。しか
しまた、係止球外径と少なくとも等しい内径を有する保
持リングを使用することも可能であって、この場合該保
持リングは少なくとも3つの内側へ突出した突起を有し
ていて、その端面が係止球の直径よりも小さい直径の仮
想円円周上に位置するようにすることができる。
本発明のさらに別の構成によれば、保持リングが係止
球の直径に等しい内径を有する円錐状リングとして構成
されていて、係止球のはめこみ後に保持リング内径を減
少させながら平らな形に押圧されている。保持リングが
焼入れ可能な材料から成っている場合、該保持リングは
少なくとも2つの、互いに向かい合った、係止球用のス
ナップ嵌合兼保持突起を有していることができる。この
場合、半割シェル、保持リング及び案内部を一緒に、要
するに互いに組立てた後に一緒に焼入れするのが有利で
ある。半割シェルの上縁部の保持リングによれば、半割
シェルからの球ベットの小球の脱落を防止することがで
きるだけでなく、さらに、球ベットの一番上側の縁から
幾分離して保持リングを配置することにより、この部位
に、係止球の運動のさいに、即ち球ベット上での係止球
の転動及びこれによる球ベッドの流動運動のさいに、球
ベットを構成する小球が逃げることのできる十分なスペ
ースが形成される。これにより、球ベットの小球のせき
止めが効果的に避けられ、また球ベット上での係止球の
たんに局部的な接触面での転動も避けられる。さらに上
に述べた保持リングの種々異なる構成によれば、係止球
が半割シェル内で確実に案内され、抜け落ちが防止さ
れ、また組立、即ち半割シェル内への係止球のはめこみ
も著しく簡単に容易に行うことができる。
案内部が軸平行のスリットを有するボールノッチ装置
は、案内部が深絞り加工された部分から成り、かつ例え
ば互いに向かい合った位置に2つの軸平行なスリットを
有するようにすると、製作が極めて簡単になる。案内部
はこの場合ほぼ帯状の薄板素材から深絞り加工すること
ができ、この場合帯状薄板素材の所謂「折り上げ(Auff
alten)」により、案内部の円筒体部を成形すると共に
両方のスリットを形成することができる。同様の形式で
ほぼ十字形の薄板素材から深絞り加工して案内部を成形
すると共に4つの軸平行なスリットを形成することも可
能である。
案内部に軸平行なスリットを形成する主たる理由は、
このように構成することによって、案内部がばね弾性的
に構成され、これにより転動体を遊びなくブッシュの内
側に配置することができ、またスリット間に転動体の転
動軌道を形成することができるからである。このような
スリットを有する構成の場合、転動軌道を円筒面として
形成するのではなく、平らな面又は内側へ湾曲した面と
して構成するのが有利である。トラフ状に内側へ湾曲し
た転動軌道は転動体に対する特に優れた案内機能を有す
る。この場合には例えば転動体の案内に特別のケージを
使用することを省略することができる。案内部上の転動
体の転動軌道を平らに形成した場合には、ブッシュの内
壁にも案内部の転動軌道と向かい合う対応する平らな転
動軌道を設けることができ、この場合ブッシュの内側に
横断面は正方形又は六角形であることができる。この構
成では球の代りにころを転動体として用いることができ
る。またこの場合転動体用の特別の案内ケージの配置は
必ずしも必要ではない。
さらに本発明の一構成によれば、案内部の筒状部の自
由縁部に半径方向で外側へ向いた屈曲部を設け、該屈曲
部が転動体の転動軌道を制限している。半径方向で外側
へ向いたこのような屈曲部の配置は、薄板から深絞り加
工されている案内部の場合、極めて簡単に可能であり、
本体部分と一緒に1回の作業工程で製作することがで
き、この場合にも切削による材料無駄は生じない。
次に図示の実施例につき本発明を説明する。
第1図に示されているように、ボールノッチ装置は薄
板から深絞り加工により製作された半割シェルから成
り、この半割シェル内には小さい支承球3より成る支承
ベット2が構成されている。この支承ヘッド2内には係
止球4が支承されており、この係止球4は半割シェル1
の上縁部にある内側溝5内にはめこまれたばねリング6
によって保持されている。このばねリング6は、内側溝
5内にはめこまれた状態では、大きな係止球4の直径よ
りも小さい内径を有している。
球シェル1は有利には点溶接によりその中心で案内部
7に不動に結合されている。案内部7は円筒形の側壁8
及び、図面下側へ湾曲した底部9を有するカップ状に構
成されており、上記の湾曲した底部9の形状は半割シェ
ル1の湾曲した底部の形状に適合しており、従ってこれ
らの両部分(1,7)は上下に大きな面で接し合い、ここ
に良好な支持部及び結合部が形成されている。カップ状
の案内部7はその底部9のすぐ上に曲込部10を有してお
り、これは挿入されている圧縮ばね11のためのスペーサ
として役立つ。
このボールノッチ装置はブッシュ12内に挿入されてお
り、このブッシュ12の内側は円筒形である。ブッシュ12
はその一方の端部に内側に突出した鍔13を有し、この鍔
13には、半割シェル1の縁部又はこれにはめ込まれてい
るばねリング6が、圧縮ばね11のばね力で内側から当接
している。
カップ状の案内部11内へ挿入されている圧縮ばね11の
反対側の端部はばねディスク14の形の底部に支持されて
おり、該ばねディスク14はブッシュ12の、鍔13側とは反
対側の端部にある溝15内へはめこまれている。案内部7
とブッシュ12の内周面との間には転動体16がケージ17内
に案内されており、従って案内部7、ひいてはまた半割
シェル1は圧縮ばね11の押圧力に抗して容易にブッシュ
12内へ運動可能に押込むことができる。極めて強い力が
横方向から係止球4に作用した場合にも、案内部7とブ
ッシュ12との間に転動体16が配置されていることに基づ
き、半割シェル1及び案内部7がブッシュ12内で傾斜し
てロックしたり、また係止球4の運動及び保持が困難と
なるようなことはない。
半割シェルの中心部には公知の形式で本来の球面より
もさらに深く凹状に切り欠かれた中心半球面18つまり凹
部が形成されている。また半割シェル1の上縁部には小
さい支承球のないスペース19が設けられており、このス
ペース19は、やはり公知の形式で半割シェル1の直径が
外縁部で拡大することにより形成された拡張部を有して
いる。中心半球面18、及び、小さい支承球のない、拡張
部を有する上側のスペース19の存在により、支承ベット
2の小さい支承球3はあらゆる方向に自由に運動し流れ
ることができ、その結果係止球4は如何なる場合にも常
に回動することができ、支承ヘッド2中のいずれかの個
所で、転がり摩擦の代りに滑り摩擦が発生することはな
い。
第1図及び第2図の実施例に示されているように、係
止球4を半割シェル1内に保持しかつ支承ベット2の
「流れ出し」を防止しているばねリング6の内径は係止
球4の最大直径よりも小さい。このばねリング6のはめ
込みは、はめこみのためのスペースが大きくないためあ
まり簡単ではない。従って本発明によれば第3図及び第
4図に示すさらに別の手段で提案されている。第3図に
よれば、ばねリング6が幾分円錐状に構成されており、
従ってこのばねリング6はその中心に向って外側へ上昇
している。係止球4の最大直径rRKは破線で示されてお
り、ばねリング6の下側のエッジにおける最小内径は、
第3図のようにはめこまれた状態では、係止球4の最大
直径よりも大きくなっている。係止球4は、まず半割シ
ェル1に小さい支承球3を配置し、次いでばねリング6
を内溝5内へはめこんだ後に、はめこむことができる。
係止球4をはめこんだ後にばねリング6は第4図に示す
ように変形により平らな位置状態に押し曲げることがで
き、従ってこの後はばねリングの内径は係止球4の最大
直径よりも小さくなり、これにより支承ベット2内にお
ける係止球4の保持が保証される。このためには、ばね
リング6が変形可能であり、かつ第4図に示すような平
らな位置へ押し曲げられた後に、その形状及び位置をそ
のまま保持するものでなければならない。このためには
ばねリング6は薄くかつ(又は)必要十分な塑性変形性
を有する材料からつくられている。
第1図及び第2図のばねリング6の実施例では、ばね
リングを次のように構成することも可能である。即ちは
めこまれた状態においてばねリングの内径は成程係止球
の直径よりも小さいが、しかし係止球を丁度スナップ嵌
合できる程度に極く僅かしか小さくない。この場合さら
に、ばねリング6の内側の縁面が幾分テーパを有し、こ
の縁面の下側のエッジが上側のエッジよりも、上記のテ
ーパ分だけ僅かに小さい内径を有するようにすると有利
である。案内部7にも半割シェル1にも転動体用の転動
軌道が形成されており、それも案内部7には転動体16の
転動軌道が、また半割シェル1には小さい支承球3の転
動軌道が形成されており、これらの部分は成形後、即ち
深絞り成形後に焼入れが必要である。この焼入れは、両
部分が例えば点溶接によって互いに結合された後に、実
施することができる。これにより製作工程の経済性の改
善がえられる。特に、ばねリングが第3図及び第4図に
ついて述べたように構成されている場合には、ばねリン
グ6をはめ込んだ状態で一緒に焼入れするのが有利であ
る。
半割シェル1の内側縁部の内側溝5内にばねリング6
をはめ込む代りに、本発明によれば、半割シェル1の上
縁部を以下のように構成することも可能である。即ち、
この上縁部に内側に向って突出部を配置し、この突出部
がばねリング6を保持するようにするのである。この突
出部は、係止球4のスナップ嵌合によるはめ込みを許容
しかつこの係止球4をはめ込み後に確実に保持するよう
に構成することができる。同様にまた本発明によれば、
ブッシュ12にある鍔13の代りに、半割シェル1をはめ込
んだ後にブッシュ12に内側へ向いた突出部を配置するこ
とも可能である。
半割シェル1と案内部7との結合は、既に述べたよう
に、点溶接によって行われている。この場合溶接と同時
に、半割シェル1の本来の球面よりもさらに深く凹状に
切り欠かれた、凹部として形成された中心半球面18を点
溶接電極によって生ぜしめる若しくは凹状に形成するこ
とも可能である。別の一実施例によれば、半割シェルと
案内部とは中心に配置されたリベット20によって互いに
不動に結合されている。この結合形式においても、リベ
ット20を打ち込むさいに同時に中心半球面18を半割シェ
ルに成形することができる。さらに別の実施例によれ
ば、半割シェルと案内部とねじ21によって互いに結合さ
れており、この場合第4図に示されている実施例ではね
じ21のヘッドが半割シェル側から挿入され、該ねじ21の
軸部が半割シェル及び案内部の中心を貫通し、案内部の
底部9の下側に当て付けられているナット若しくは対応
片22内へねじはめられている。対応片22は、部分的に案
内部の底部の内側に向いた湾曲部に沿って延びておりか
つこの対応片の外周に、少なくとも底部に向けられてい
る部分に、圧縮ばね11のためのスペースが形成されてい
る。これにより圧縮ばね11の最後の巻条の範囲に対する
案内又は付加的な保持が可能である。既に述べたところ
から判るように、案内部と半割シェルとの結合はさらに
別の形式で行うことも可能であり、例えば中心のリベッ
トの軸部を案内部7側からその底部9及び半割シェル1
の孔を通して挿入して半割シェル側へ突出させ、次いで
半割シェルの上側においてすえこみ変形によりリベット
ヘッドを形成することも可能である。
案内部7をブッシュ12の内部に支承している転動体16
は、個々の球又は球列が互いに相対的に移動することを
防止するケージ17内で案内されている。この構成は極め
て重要である。それというのはこのような構成がない
と、斜め側方からの強い力が係止球4に負荷された場合
に案内部7の傾斜によるセルフロッキングが生じること
があり、これにより案内部のある外周範囲では、ブッシ
ュ内における案内部の支承に必要な遊びに基づいて、転
動体16が保持されなくなり、保持されている若しくは固
く締込まれている隣接の転動体に対して重力の方向で移
動することになるからである。圧縮ばね11の作用下での
次の軸方向運動のさい、要するに係止球4の押込み又は
押し出しのさいに、これらの移動した転動体16は係止球
4の運動を妨げる。
いくつかの対になっている誤差が重なり合うことに基
づいて、殊に専ら負の最大公差が互いに重なり合ったと
きに、又はその他の不都合な諸条件下においては、ケー
ジ全体が転動体16と一緒に案内部7及びブッシュ12に対
して自由に移動するような場合も生じる。これにより案
内部7、ひいてはまた係止球4の運動に対する著しい障
害、少なくともケージの移動に続く案内部及び係止球の
運動に対する著しい障害が生じる。その結果ギヤシフト
過程の著しいロッキング又は側方の次の溝に対する係止
球の不正確な係止を生じる。上に述べたような不具合を
生じないようにするため本発明の極めて有利な別の構成
によれば、案内部7がばね弾性的に構成されている。こ
の目的で案内部には単数又は複数の平行なスリット23が
配置されており、かつ案内部はその外径が転動体16間の
最大内径よりも大であるように、構成されている。スリ
ットの配置により案内部はブッシュ内へはめこまれた後
にばね弾性的に拡開して転動体16に当て付けられ、これ
らの転動体を摩擦接続的に保持する。この場合、案内部
の外側に形成されている転動軌道を転動体との間並びに
ブッシュの内側に形成されている案内軌道と転動体との
間には、もはや遊びは存在しない。転動体は案内部とブ
ッシュとの間である程度締付けられている。このような
条件下においては、個別の球又は球列が隣接の球に対し
て相対移動することはもはや不可能である。ブッシュ内
における案内部のこのような特別の支承形式では転動体
ケージを省略することができる。
第6図に示す本発明の特に有利な実施例によれば、案
内部は次のように構成されている。即ち転動体16用の転
動軌道が、スリット23間の内側へ湾曲した壁部分24とし
て構成されている。これらの壁部分24は外側に向ってば
ね弾性を有し、従って転動体16に密に当接し、その結果
転動体16は、常時摩擦接続的に案内され、これにより軸
方向で移動を防止されるばかりでなく、転動体用の転動
軌道を有する壁部分24の内側へ湾曲した構成により、案
内部7の回転もまた効果的に防止されている。このよう
な構成の断面図は第8図に示されている。
第7図に示すさらに別の実施例によれば、案内部7は
例えば断面が正方形に構成されており、従ってその壁ひ
いてはまたその転動体転動軌道は平らである。この場合
にも、個々の壁部分25の間にスリット23が配置されてい
ることにより、壁部分はばね弾性的に、従ってまた摩擦
接続的に転動体に当て付けられている。この実施例にお
いては転動体はころ又はニードル26として構成されてい
る。この場合ブッシュ12内には対応する平らな転動体転
動軌道が形成されており、案内部7の壁部分25と向かい
合っている(第9図)。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示すもので、第1図は組立てら
れたボールノッチ装置の部分的な側面図と縦断面図、第
2図はボールノッチ装置の内側部分の部分的な側面図と
縦断面図、第3図はボールノッチ装置の内側部分の上側
区分の部分的な縦断面図、第4図は第3図と同様の部分
的な縦断面図、第5図は案内部の一実施例の斜視図、第
6図は案内部の別の一実施例の斜視図、第7図は案内部
のさらに別の一実施例の斜視図、第8図は転動体の支承
を示すための案内部とブッシュの横断面図、第9図は別
の一実施例の案内部とブッシュの横断面図である。 1……半割シェル、2……支承ベット、3……支承球、
4……係止球、5……内側溝、6……ばねリング、7…
…案内部、8……壁部、9……底部、10……曲込部、11
……圧縮ばね、12……ブッシュ、13……鍔、14……ばね
ディスク、15……溝、16……転動体、17……ケージ、18
……中心半球面、19……スペース、20……リベット、21
……ねじ、22……対応片、23……スリット、24……壁部
分、25……壁部分、26……ニードル

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ボールノッチ装置、殊に自動車変速機のギ
    ヤシフトシャフト用のボールノッチ装置であって、係止
    球がブッシュ内に案内されている圧縮ばねの作用でギヤ
    シフトシャフトに当接しており、かつギヤシフトシャフ
    トに当接している上記係止球が平行な溝内に案内されて
    いて、1つの溝から他の溝へ、溝間中間部を転動して係
    止せしめられるようになっており、この場合係止球が該
    係止球を支承する半球形の半割シェル内において小さい
    支承球上に支承されており、かつ圧縮ばねが半割シェル
    に作用しており、該半割シェルの直径が外縁部で拡大し
    ており、これにより、小さい支承球の自由な運動を許容
    する拡張部が形成されており、かつ半割シェルがその中
    心部に、小さい支承球の自由な運動を許容する凹部を有
    しており、かつ半割シェルが案内部上に支持されてお
    り、該案内部自体が圧縮ばねのためのばね受け及びガイ
    ドを有しており、かつ上記案内部がブッシュ内に転動体
    を介して軸方向で移動可能にガイドされている形式のも
    のにおいて、半割シェル(1)及び案内部(7)が薄板
    から深絞り加工された部品として製作されていて互いに
    不動に結合されていることを特徴とする、ボールノッチ
    装置。
  2. 【請求項2】半割シェル(1)及び案内部(7)が溶接
    によって互いに不動に結合されていることを特徴とす
    る、請求項1記載のボールノッチ装置。
  3. 【請求項3】半割シェル(1)と案内部(7)とを結合
    する点溶接押圧点により中心半球面(18)が、半割シェ
    ル(1)中の凹部として成形されていることを特徴とす
    る、請求項2記載のボールノッチ装置。
  4. 【請求項4】半割シェル(1)及び案内部(7)がリベ
    ット(20)又はねじ(21)により互いに不動に結合され
    ていることを特徴とする、請求項1記載のボールノッチ
    装置。
  5. 【請求項5】リベットのヘッド又はねじのヘッドが半割
    シェル内に位置し球ベット中の中心半球面(18)として
    構成されていることを特徴とする、請求項4記載のボー
    ルノッチ装置。
  6. 【請求項6】案内部(7)がカップ状に構成されてお
    り、この場合カップ状案内部(7)の底部(9)が半割
    シェル(1)に面接触して内側へ湾曲していることを特
    徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のボ
    ールノッチ装置。
  7. 【請求項7】案内部(7)の底部(9)がその内側に、
    圧縮ばね(11)のガイドとしての突出成形部を有してい
    ることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1
    項記載のボールノッチ装置。
  8. 【請求項8】案内部(7)の底部(9)の内側に圧縮ば
    ね(11)のためのガイドとして円筒部(22)が配置され
    ていることを特徴とする、請求項7記載のボールノッチ
    装置。
  9. 【請求項9】底部(9)の内側に当て付けられた円筒部
    (22)がリベット(20)間合はねじ(21)のヘッドであ
    って、上記リベット又はねじが半割シェル(1)と案内
    部(7)との不動の結合部をなしていることを特徴とす
    る、請求項8記載のボールノッチ装置。
  10. 【請求項10】カップ状案内部(7)の底部(9)から
    僅かな距離をおいて上記案内部(7)の壁に圧縮ばね
    (11)のための対応ばね受けとして曲込部(10)が形成
    されていることを特徴とする、請求項1から9までのい
    ずれか1項記載のボールノッチ装置。
  11. 【請求項11】球ベット(2)の上側の閉鎖部がばねリ
    ング(6)としての保持リングによって構成されてお
    り、該ばねリング(6)が半割シェル(1)の縁部の直
    ぐ下にある内側溝(5)内に、それも係止球(4)の中
    心点からそれた外側に、かつ球ベットの一番上の支承球
    (3)から離して、はめこまれており、上記ばねリング
    の内径が係止球(4)の最大直径よりも小であることを
    特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の
    ボールノッチ装置。
  12. 【請求項12】半割シェル(1)の上縁部にある、内側
    に向いた鍔出部により、係止球(4)のための保持リン
    グ(6)が半割シェル(1)に保持されていることを特
    徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のボ
    ールノッチ装置。
  13. 【請求項13】焼入れ不能の軟質の材料から成る保持リ
    ング(6)の内径が、係止球のスナップ嵌合によるはめ
    こみを可能とするために、係止球(4)の外径よりもた
    んに僅かな程度だけ小さくされていることを特徴とす
    る、請求項1から12までのいずれか1項記載のボールノ
    ッチ装置。
  14. 【請求項14】保持リング(6)が円錐状に構成されて
    おり、該保持リングの内径が係止球(4)の外径に等し
    くされており、かつ係止球(4)のはめ込み後に上記保
    持リングがその内径を減少させながら平らな形に押圧さ
    れていることを特徴とする、請求項13記載のボールノッ
    チ装置。
  15. 【請求項15】係止球の外径に少なくとも等しい内径を
    有する保持リングが、少なくとも2つの、内側に向いた
    突起を有しており、該突起の端面が、半割シェル内への
    係止球のスナップ嵌合及び保持を可能とするために、係
    止球外径よりも小さい直径の仮想円円周上に位置してい
    ることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1
    項記載のボールノッチ装置。
  16. 【請求項16】焼入れ可能な材料から成る保持リング
    (6)が互いに向かい合って位置する少なくとも2つ
    の、係止球(4)のためのスナップ嵌合兼保持用突起を
    備えていることを特徴とする、請求項1から15までのい
    ずれか1項記載のボールノッチ装置。
  17. 【請求項17】半割シェル(1)、保持リング(6)及
    び案内部(7)が焼入れ可能な材料から成っていること
    を特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載
    のボールノッチ装置。
  18. 【請求項18】案内部(7)がその円筒壁に少なくとも
    1つの軸平行のスリット(23)を有しており、かつ上記
    案内部(7)がばね弾性的に拡張されて、案内部周囲の
    転動体(16)をブッシュ(12)の内側にばね弾性的に遊
    びなく押圧していることを特徴とする、請求項1から17
    までのいずれか1項記載のボールノッチ装置。
  19. 【請求項19】案内部(7)が、軸平行のスリット(2
    3)によって互いに離されかつ内側に向って湾曲した、
    少なくとも3つの、転動体転動軌道を形成する壁部分
    (24)を有しており、該壁部分が周囲の転動体(16)を
    ブッシュ(12)の内側にばね弾性的に遊びなく押圧して
    いることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか
    1項記載のボールノッチ装置。
  20. 【請求項20】案内部(7)が多角形横断面を有してお
    り、かつ軸平行なスリットによって互いに離された少な
    くとも3つの壁部分を有しており、該壁部分が平らな転
    動体転動軌道(25)として形成されていると共に、転動
    体を、対応する平らな転動体転動軌道が形成されている
    ブッシュの内側にばね弾性的に遊びなく押圧しているこ
    とを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記
    載のボールノッチ装置。
  21. 【請求項21】案内部(7)がその筒状部の自由縁部に
    半径方向外側に向いた屈曲部を有していて、該屈曲部が
    転動体の転動軌道を制限していることを特徴とする、請
    求項1から20までのいずれか1項記載のボールノッチ装
    置。
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