JP2838184B2 - 印刷機におけるインキ温度制御装置および方法 - Google Patents

印刷機におけるインキ温度制御装置および方法

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JP2838184B2
JP2838184B2 JP6034238A JP3423894A JP2838184B2 JP 2838184 B2 JP2838184 B2 JP 2838184B2 JP 6034238 A JP6034238 A JP 6034238A JP 3423894 A JP3423894 A JP 3423894A JP 2838184 B2 JP2838184 B2 JP 2838184B2
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41FPRINTING MACHINES OR PRESSES
    • B41F31/00Inking arrangements or devices
    • B41F31/002Heating or cooling of ink or ink rollers

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  • Inking, Control Or Cleaning Of Printing Machines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は印刷機におけるインキ温
度制御装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に平版印刷機では、インキと湿し水
とがローラを介して平版面に供給される。印刷版は回転
する版胴に被着される。印刷版には親油性領域と親水性
領域とが設けられる。親油性領域は、紙その他の印刷媒
体に印刷すべき所望の画像に応じて形成される。親油性
領域には油性インキが付着する。印刷版に設けられる親
水性領域は水性の湿し水が付着し、インキと反発しあう
ので、非印刷領域となる。
【0003】印刷品位を良好なものとするためには、印
刷版における湿し水とインキの供給量を適正バランスに
保持する必要がある。湿し水の供給量が過剰であると、
湿し水の一部が親油性領域すなわち印刷領域に侵入して
付着し、印刷領域がぼけて見える。反対に湿し水の供給
量が過小であると、非印刷領域にまでインキが付着して
しまう。
【0004】インキ装置の一種としていわゆる乾式平版
印刷が提案されている。乾式法による場合、湿し水は用
いられず、特殊なインキが版胴上の印刷版に供給され
る。印刷版の非印刷領域にはシリコンゴム製のフィルム
が被着され、通常の印刷条件においてはインキの付着を
許容しない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】印刷版の非印刷領域に
インキを付着させないためには、インキ温度を所定温度
範囲に維持する必要がある。たとえば、ある種のインキ
は、華氏80度(約26.7℃)プラスマイナス数度の
温度範囲内に維持されなければならない。インキが所定
温度範囲から外れると、その粘性が変化し、印刷版への
付着が困難となる。
【0006】印刷機はきわめて広範な範囲の温度条件に
遭遇する。たとえば、夜間ずっと休止していて冷えてし
まっている印刷機を朝始動するときには、通常の場合、
乾式印刷に適正なインキ温度範囲を下回っている。印刷
機を始動して運転を継続していると、ローラ間の摩擦や
電気駆動モータによる発熱が生じ、乾式印刷に適正な温
度範囲を上回る温度にまでインキが加熱される。インキ
温度が適正温度範囲を超えるものとなったときにも、印
刷品位は著しく低下する。
【0007】以上のように印刷機においてインキ温度を
適正温度範囲に維持することはきわめて重要であるが、
従来技術においては、この温度制御を厳密に行うことが
できず、印刷品位を常に良好に保持することが困難であ
った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術にお
ける上記問題点に鑑み、印刷機において版胴上の印刷版
に供給されるインキ温度を常に適正温度範囲に維持する
ことを目的とする。
【0009】本発明によるインキ温度制御装置は、内部
に循環路を有するインキローラと、インキローラ内部の
循環路と接続される循環手段と、冷却/加熱手段とを有
してなる。冷却/加熱手段は、コンプレッサと、コンプ
レッサからの冷媒流体を冷却する冷却手段と、循環手段
の一部と共用されて冷媒流体と循環液との間で熱交換を
行う熱交換手段と、コンプレッサからの冷媒流体を冷却
手段を経由することなく直接熱交換手段に供給するため
の第1のバイパス手段と、第1のバイパス手段に冷媒流
体を流すことを許容し且つ遮断するために第1のバイパ
ス手段に設けられる第1のバイパスバルブとを有してな
る。
【0010】一つの好適な態様によれば、第1のバイパ
ス手段と並列に、コンプレッサからの冷媒流体を冷却手
段を経由することなく直接熱交換手段に供給するための
第2のバイパス手段が設けられ、第2のバイパス手段に
は、第2のバイパス手段に冷媒流体を流すことを許容し
且つ遮断するための第2のバイパスバルブと、第2のバ
イパスバルブが開状態であるときに第2のバイパス手段
を流れる冷媒流体量を制限する制限手段とが設けられ
る。
【0011】他の好適な態様によれば、循環手段に、熱
交換手段からの出口に近接して循環液温度センサが設け
られる。
【0012】更に他の好適な態様によれば、インキロー
ラ上のインキ温度を測定するためのインキ温度センサが
設けられ、インキ温度センサによる測定結果に基づいて
循環手段を流れる循環液をインキローラ内部の循環路に
循環させることを許容し且つ遮断するための調整バルブ
が設けられる。
【0013】本発明によるインキ温度制御方法は、印刷
機におけるインキローラに第1の流体を循環させると共
に第1の流体を熱交換手段に循環させ、熱交換手段に第
2の流体を循環させると共に第2の流体をコンプレッサ
および冷却手段に循環させ、第2の流体の少なくとも一
部を冷却手段をバイパスさせてコンプレッサから直接前
記熱交換手段に供給することを特徴とする。
【0014】好ましくは、熱交換手段からインキローラ
に循環する第1の流体の温度に基づいて、冷却手段をバ
イパスする第2の流体の流量が制御される。
【0015】
【作用】インキローラ(25)上のインキ温度がインキ
温度センサ(31)によって測定され、所定温度範囲を
外れていることが知られたとき、調整バルブ(29)が
開かれて、循環路(27)を流れる循環液ないし水がイ
ンキローラの内部循環路を循環してインキローラ上のイ
ンキを加熱または冷却する。循環路を流れる循環液の温
度は、熱交換器ないし蒸発器(69)からの出口におい
て循環液温度センサ(93)により計測され、冷媒との
熱交換によって所定温度範囲に調整される。冷媒流体は
コンプレッサ(63)から冷却手段ないしエキスパンシ
ョンバルブ(67)に流れて冷却された後、熱交換器に
供給される。また、コンプレッサからの冷媒流体は、冷
却手段をバイパスして、それぞれバイパスバルブ(8
7)、(89)を有するバイパス手段(71)、(7
2)を経て直接熱交換器に供給することができる。冷却
手段を経て供給される低温の冷媒流体とバイパス手段を
経て直接供給される高温の冷媒流体とが熱交換器内で混
合され、所定温度の冷媒流体として、循環液との間の熱
交換が行われ、循環液を所定温度に調整する。
【0016】
【実施例】図1にはオフセット印刷機11が概略的に示
されている。このオフセット印刷機は複数のタワー13
を有し、各タワーで1色を印刷することにより多色印刷
を行うことができるように構成されている。各タワー1
3は、版胴15、ゴム胴17および圧胴19を有してい
る。各版胴15の外周面には印刷版21が配置されてい
る。インキはインキ付けローラ23により印刷版21の
表面に供給される。好ましい実施例において、オフセッ
ト印刷機11は乾式平版印刷を行うタイプのものとさ
れ、この場合には湿し水を印刷機に供給する必要がな
い。
【0017】更に、インキ付けローラ23に回転接触す
るようにインキ移しローラ25が設けられる。印刷版2
1と回転接触するインキ付けローラ23をより多数設け
ることができ、この場合には更に1または2以上のイン
キ移しローラ25が必要とされる。公知のように、イン
キ装置は、更に、インキを溜めておくインキ壷、インキ
壷からインキ移しローラにインキを供給するインキ出し
ローラ等の部材(いずれも図示せず)を有して構成され
る。
【0018】これら各種のローラおよび胴はいずれも、
側枠や側壁(いずれも図示せず)を介して印刷機に回転
可能に設置されている。側枠は印刷機の基部26に組み
つけられる。これらローラおよび胴を回転させるために
モータやギヤ装置(いずれも図示せず)が設けられる。
【0019】印刷版21におけるインキ領域すなわち印
刷領域にはインキ付けローラ23からのインキが付着さ
れ、非インキ領域すなわち非印刷領域はインキ付着を拒
絶する。ローラおよび胴が回転すると、インキ画像が印
刷版21からゴム胴17の表面に転写され、更に、ゴム
胴17と圧胴19との間に形成されるニップ幅部分(図
示せず)を通過する印刷紙26の紙面上に転写される。
【0020】本発明のインキ温度制御装置は、前述のイ
ンキ移しローラ25、循環路27、循環路に設けられる
調整バルブ29、インキ温度センサ31および冷却/加
熱器33を有してなる。循環路27は、たとえば水のよ
うな流体をインキ移しローラ25内および冷却/加熱器
33における熱交換器内に循環させる。冷却/加熱器3
3は、循環液の温度制御をなすための熱源(加熱用)ま
たはヒートシンク(冷却用)を備えている。センサ31
によりインキ移しローラ25上のインキ温度が測定さ
れ、該温度が所定温度範囲を下回りあるいは上回ったと
きには、センサに接続される制御装置(図示せず)が働
いて調整バルブ29を開き、インキ移しローラ25に液
体を循環させる。かくして循環液によりインキが所定温
度範囲に維持される。
【0021】印刷機11上のすべてのタワー13に対し
て単一の冷却/加熱器33が用いられる。各インキ移し
ローラ25およびタワー13に対する個別的な温度制御
は、各循環路27内に設けられる調整バルブ29の開度
を個別的に調整して各インキ移しローラ25に循環する
液体量を調整することによって達成される。
【0022】次にインキ移しローラ25の構成について
図3を参照しながら説明する。各タワー13上に配置さ
れるインキ移しローラ25はすべて実質的に同一の構成
を有している。各インキ移しローラ25は、内部空間3
7を有する円筒状シェル35を主体として構成される。
シェル35の外側にはインキ受容面38が備えられる。
このインキ受容面38は、金属製のシェル35にナイロ
ンコーティングを被覆形成することによって設けること
ができる。あるいは、銅製のシェルの外側面を研磨して
インキ受容面38としてもよい。インキは銅の研磨表面
に直接付着する。シェルの内部空間37は、インキ移し
ローラ25の両端に設けられる閉止部材39、39によ
って気密状態に閉塞される。閉止部材39、39の間に
はシャフト41が延長しており、このシャフトは印刷機
の側枠間に支持されている。側枠はインキ移しローラ2
5を支持し、印刷機に対して相対的に回転することを許
容する。
【0023】インキ移しローラ25の一端には回転ユニ
オン43が連結される。ユニオン43には流入管45と
流出管47とが連結される。ユニオン43自体は従来公
知で市販されているタイプのものであり、インキ移しロ
ーラ25の回転を許容しつつ、流入管45および流出管
47を静止状態に維持する。インキ移しローラ25の内
部には2つの流路が設けられる。一方の流路すなわち流
入路49は流入管45と連通し、長手軸に沿ってチュー
ブ51内を延長している。チューブ51の端部には穴5
3が形成され、チューブ51内を流れる循環液を該穴か
ら排出して内部空間37に導出するようになっている。
かくして内部空間37内に充填される循環液とシェル3
5の外側面38に付着するインキとの間で熱交換が行わ
れる。インキ移しローラ25内に設けられる他方の流路
すなわち流出路55は流入路49の回りをリング状に取
り囲むように形成されており、内部空間37内でインキ
との間の熱交換を終えた循環液は、この流出路55を経
て流出管47に排出される。流入路49と流出路55と
は薄壁チューブ57で隔てられている。
【0024】上記した流入路49、内部空間37および
流出路55とにより、循環液をインキ移しローラ25内
に流入し更に該ローラから流出させるためのインキ移し
ローラ25内の循環路が形成されている。
【0025】図1に湿すように、循環路27は冷却/加
熱器33から各インキ移しローラ25に至る管路を有す
る。すなわち、インキ移しローラ25への流入管45は
冷却/加熱器33からの流出管59に接続され、該ロー
ラからの流出管47は冷却/加熱器33への流入管61
に接続されている。これらインキ移しローラ25側の流
入管45および流出管47、およびインキ移しローラ2
5内の循環路が、主幹路59および61から各タワーな
いしインキ移しローラに向けて個別的に分かれる分岐路
を構成している。
【0026】調整バルブ29は各インキ移しローラ25
における分岐路ごとに1つ設けられている。図1に示す
実施例では流出管47に調整バルブ29を設けいるが、
流入管45に調整バルブ29を設けることもできる。各
センサ31はワイヤ60を介して制御装置62に電気的
に結線され、更に制御装置は調整バルブ29に結線され
ている。好適な実施例において、各センサ31はインキ
移しローラ25の外周面の近くに設置される赤外線セン
サであり、該ローラ上のインキ温度を高精度に測定する
ことができる。流体が内部循環するインキ移しローラ2
5の各々について、インキ温度を測定するためのセンサ
31が設けられる。調整バルブ29は制御装置62によ
って作動され、バルブ29を開閉制御する。各制御装置
62には2つの温度値が設定される。たとえば華氏78
〜82度(約25.6〜27.8℃)の温度領域を1つ
の制御装置62にプログラム入力しておく。センサ31
がこの温度領域よりも低いあるいは高い温度を測定した
とき、制御装置62からの指令で調整バルブ29が開
き、関連するインキ移しローラ25内に液体を循環させ
ることにより、該ローラ外周面上に付着するインキとの
熱交換を介して該インキを加熱または冷却する。加熱ま
たは冷却後、センサ31により測定される温度が上記プ
ログラム入力された温度領域内に止まるようになったと
き、制御装置62は調整バルブ29を閉じるように制御
する。これらセンサ31、バルブ29および制御装置6
2はいずれも従来公知であって市販されているものであ
る。
【0027】冷却/加熱器33は個々のインキ移しロー
ラ25内を循環する液体を加熱しあるいは冷却するもの
であるが、以下、図2を参照しながらこの冷却/加熱器
33について説明する。冷却/加熱器33は、コンプレ
ッサ63、コンデンサ65、冷却手段ないしエキスパン
ションバルブ67および蒸発器ないし熱交換器69を有
して構成されている。これら構成要素のすべては従来公
知であって市販されているものである。更に、冷却/加
熱器33は1または複数のバイパス管71、72を有す
る。冷却/加熱器33には、フレオン(商標名)等のフ
ルオロカーボン(過フッ化炭化水素)系の冷媒が用いら
れる。
【0028】冷媒は循環路を次のように流れる。コンプ
レッサ63を出た液体はコンプレッサ65内を流れた後
にタンク73に入り、次いでサイトグラス75、フィル
タ/ドライヤ77、エキスパンションバルブ67、蒸発
器69およびレギュレータ79を順次通って、コンプレ
ッサ63に戻る。エキスパンションバルブ67はサーモ
スタットで自動温度調整されるタイプのものであり、蒸
発器69の出口に配置される過熱センサ81を有してい
る。過熱センサ81は、蒸発器69から流出する冷媒の
過熱度を計測し、該過熱度に基づいて冷媒の流量を制御
するように働く。過熱センサ81は、蒸発器69から流
出する冷媒がすべて気体であって液体を含まないもので
あることを確認することにより、蒸発器69の作動効率
を高める。過熱センサ81によって蒸発器69の出口に
おける冷媒温度が低すぎることが知られた場合、エキス
パンションバルブ67が閉じられて、冷媒の流量を低減
しあるいはゼロにする。
【0029】循環路における過熱センサ81とレギュレ
ータ79の間には圧力スイッチ83が設けられる。ま
た、循環路におけるレギュレータ79の下流側であって
コンプレッサ63への還流口よりも上流側にはアキュム
レータ85が設けられる。
【0030】バイパス管71、72は、コンデンサ65
からエキスパンションバルブ67に至る冷媒循環路の部
分に迂回路を与えている。すなわち、高温の冷媒流体
は、コンデンサ65で凝縮されることも、エキスパンシ
ョンバルブ67で膨張されることもなく、したがって冷
却されることなく、コンプレッサ63からバイパス管7
1、72を経て直接蒸発器69に入り込む。一方のバイ
パス管71は電気的に作動するバルブ87を有し、該バ
イパス管内の冷媒流体の流量を制御している。バルブ8
7が開いているときには、コンプレッサ63を出る冷媒
流体の全量がエキスパンションバルブ67をバイパスし
て蒸発器69に直接流入する。他方のバイパス管72は
電気的に作動するバルブ89と制限バルブ91とを有す
る。制限バルブ91は、制限された一定量の冷媒流体を
エキスパンションバルブ67をバイパスして通過させる
ように働く。好ましい実施例においては、制限バルブ9
1は流量調整可能なニードルバルブである。一般にニー
ドルバルブの調整は、工場において、あるいは本発明の
温度制御装置を印刷機に組み込むときのいずれかに1回
行えば足りる。
【0031】蒸発器69は水ジャケットを有するタイプ
のものである。循環路27およびインキ移しローラ25
内を循環する液体が冷媒と共に蒸発器69内を流れ、こ
れらの間で熱交換が行われる。好適な実施例において
は、循環液は精製され濾過された水である。
【0032】蒸発器69を出た水は熱電対センサ93を
通過し、更に第1のストップバルブ95、いずれか1つ
の調整バルブ29、関連するインキ移しローラ25およ
び第2のストップバルブ97を順次通過し、アキュムレ
ータ99を経て、ポンプ101により蒸発器69に還流
される。圧力解放バルブ103が蒸発器と並列に、且
つ、調整バルブ29とインキ移しローラ25とから構成
される各分岐路と並列に設けられる。ポンプ101は循
環路内に水を循環させる。循環路27内には一方通行の
チェックバルブ97を介して補水することができる。
【0033】蒸発器69から出る循環液の水温を測定す
る熱電対センサ93は、電気ワイヤ92およびコントロ
ーラ94、94aを介して、バイパスバルブ87、89
の両方に接続されている。バルブ87、89に直列接続
されるコントローラ94、94aには、各々所定の温度
値が入力設定されている。蒸発器69の出口における水
温が上記設定温度値に達していることがセンサ93によ
る温度測定によって知られたとき、コントローラ94、
94aが働いて各バルブ87、89を作動させる。セン
サ93、コントローラ94、94a、およびバルブ8
7、89はいずれも従来公知で一般に市販されているも
のである。
【0034】冷媒流体の循環路および水の循環路27に
おいて循環が適切になされていることを監視するため
に、図2に示されるようにこれら循環路の各所に圧力計
107を設置することができる。
【0035】本発明の温度制御装置の作用について以下
に説明する。朝、印刷機11および本発明の温度制御装
置のスイッチをオンにする。これによりポンプ101が
始動し、水が循環路27を循環し始める。コンプレッサ
63も始動する。ポンプ101およびコンプレッサ63
は連続的に作動する。コンプレッサ63は冷媒を圧縮し
始める。バイパスバルブ87、89は当初は閉じてお
り、したがって冷媒は、コンデンサ65、エキスパンシ
ョンバルブ67および蒸発器69を順次通って循環す
る。
【0036】印刷機の各ローラや胴が回転を始める運転
初期において、一般にインキは所望温度よりも低温であ
る。したがって温度制御装置によってインキを加熱する
必要がある。蒸発器69からの出口においてセンサ93
によって測定される循環液の水温が、制御装置87、8
9における設定温度下限値を下回っているとき、これら
制御装置からの指令によってバイパスバルブ87、89
が開かれる。これにより、高温の流体がコンプレッサ6
3からコンデンサ65およびエキスパンションバルブ6
7を経由することなく、バイパス管71、72に流れ
る。これらバイパスバルブ87、89が開いていると
き、コンプレッサ63からの流体のほとんど全量がエキ
スパンションバルブ67を通らずに直接蒸発器69に入
り込むので、循環路27を流れる循環液の水温を迅速に
加熱することができる。すなわち高温の流体が蒸発器6
9に入り、そこで熱交換が行われることにより循環液を
加熱する。
【0037】センサ31および制御装置62の作動によ
って調整バルブ29が開かれ、蒸発器69における熱交
換によって温水とされた循環液が循環路27からインキ
移しローラ25に至る分岐路に入り込んで該ローラを循
環するため、当初は所望温度に満たない低温のインキを
付着していた個々のインキ移しローラ25も徐々に加温
されてゆく。インキ移しローラ25上のインキが所望温
度範囲内にまで加温されたことがセンサ31によって知
られると、制御装置62からの指令によって調整バルブ
29が閉じられ、インキ移しローラ25内の循環が遮断
される。これによりインキの過熱が防止される。本発明
によれば、以上に述べたようなインキ温度制御が各イン
キ移しローラ25ないし各タワー13ごとに個別的に独
立して行われる。このことは、多色印刷に用いられる各
色のインキの所望温度範囲が必ずしも同一でないことを
考慮すると、きわめて有用な制御手法であることが理解
される。
【0038】以上のようにして温度制御装置を数分間作
動させると、すべてのタワー13におけるインキが所望
温度範囲内となり、印刷を開始することが可能となる。
版胴15上の印刷版21には適正温度を有するインキが
付着される。循環水量が過小であるためにあるインキ移
しローラ25上のインキ温度が低すぎることがセンサ3
1による測定で知られたとき、制御装置62は調整バル
ブ29を開いて該ローラを循環する水量を増大させる。
このようにして、調整バルブ29は、インキ温度が所望
温度範囲から外れあるいは再び所望温度範囲内のものと
なるたびに、自動的に開閉制御されてインキ移しローラ
25を循環する水量を調整し、インキ温度を常に適正に
維持する。
【0039】印刷機11の運転が長時間継続されるとイ
ンキ移しローラ25上に熱が生ずるため、蒸発器69か
ら出る循環液の水温が第1の設定温度値にまで上昇す
る。これがセンサ93によって感知された場合、コント
ローラ94は主バイパス管71上のバルブ87を閉じ
る。この結果、コンプレッサ63から出る冷媒流体のう
ちの若干量は依然として副バイパス管72を流れるが、
残りの多くの冷媒流体はコンデンサ65およびエキスパ
ンションバルブ67に流れ始める。エキスパンションバ
ルブ67をバイパスする冷媒流体量は制限バルブ91に
よって制御される。このようにして、コンデンサ65お
よびエキスパンションバルブ67を流れて冷却される低
温の冷媒と、これらをバイパスすることにより高温に維
持される冷媒流体とが蒸発器69内で混合され、蒸発器
69に所望温度が得られる。
【0040】蒸発器69から出る循環液の水温が上昇し
続けて第2の設定温度値に到達したとき、コントローラ
94aは副バイパス管72上のバルブ89をも閉じる。
したがってコンプレッサ63から出る冷媒流体の全量が
コンデンサ65およびエキスパンションバルブ67を経
由することとなり、冷却効果を最大限に発揮することが
できる。冷媒による冷却の結果水温が第2の設定温度値
を下回るようになると、バルブ89が自動的に開いて、
若干量の高温の冷媒流体が副バイパス管72を経由して
蒸発器69に流れ込む。印刷機11の運転が何日間も続
けられると印刷機は過熱し、より多くの冷却を必要と
し、加熱はほとんど不要となる。一般に数時間の運転に
よって印刷機には冷却のみが必要となる。
【0041】上記本発明による温度制御装置の実施例
は、温度制御された水を循環させてインキ移しローラ上
のインキ温度を制御するものとして示されているが、他
のタイプのインキローラに循環させてもよい。一般に、
版胴に最も近く配置されているローラに循環させること
が、より良い印刷環境を与える上で好適である。
【0042】タワーに2つのインキ移しローラが設置さ
れる場合、単一のセンサ31を用いて、これを下流側の
インキ移しローラに対して設けることが好適である。各
タワーには調整バルブ29が設けられる。
【0043】以上の記述および添付図面における図示は
本発明を例示的に開示するものであり、本発明がこれら
に限定されるものと解釈してはならない。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、印刷機における印刷版
上のインキ温度が自動的に最適温度範囲に維持されるの
で、常に良好な印刷条件の下で印刷機を運転することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例による温度制御装置を
組み込んだオフセット多色印刷機の構成を概略的に示す
図である。
【図2】図1の温度制御装置における冷却/加熱器に関
連する構成を示す図である。
【図3】図1の温度制御装置におけるインキ移しローラ
に関連する構成を示す図である。
【符号の説明】
25 インキ移しローラ(インキローラ) 27 循環路(循環手段) 29 調整バルブ 31 インキ温度センサ 33 冷却/加熱器 63 コンプレッサ 67 エキスパンションバルブ(冷却手段) 69 蒸発器(熱交換手段) 71 主バイパス管(第1のバイパス手段) 72 副バイパス管(第2のバイパス手段) 87 (第1の)バイパスバルブ 89 (第2の)バイパスバルブ 91 制限バルブ(制限手段) 93 循環液温度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−101938(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41F 31/02 B41F 31/26

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に循環路を有するインキローラ
    (25)と、前記インキローラ内部の循環路と接続され
    る循環手段(27)と、冷却/加熱手段(33)とを有
    してなり、前記冷却/加熱手段が、コンプレッサ(6
    3)と、前記コンプレッサからの冷媒流体を冷却する冷
    却手段(67)と、前記循環手段の一部と共用されて冷
    媒流体と循環液との間で熱交換を行う熱交換手段(6
    9)と、前記コンプレッサからの冷媒流体を前記冷却手
    段を経由することなく直接前記熱交換手段に供給するた
    めの第1のバイパス手段(71)と、前記第1のバイパ
    ス手段に冷媒流体を流すことを許容し且つ遮断するため
    に前記第1のバイパス手段に設けられる第1のバイパス
    バルブ(87)とを有してなることを特徴とする、印刷
    機におけるインキ温度制御装置。
  2. 【請求項2】 前記第1のバイパス手段と並列に、前
    記コンプレッサからの冷媒流体を前記冷却手段を経由す
    ることなく直接前記熱交換手段に供給するための第2の
    バイパス手段(72)が設けられ、前記第2のバイパス
    手段には、前記第2のバイパス手段に冷媒流体を流すこ
    とを許容し且つ遮断するための第2のバイパスバルブ
    (89)と、前記第2のバイパスバルブが開状態である
    ときに前記第2のバイパス手段を流れる冷媒流体量を制
    限する制限手段(91)とが設けられることを特徴とす
    る、請求項1の印刷機におけるインキ温度制御装置。
  3. 【請求項3】 前記循環手段に、前記熱交換手段から
    の出口に近接して循環液温度センサ(93)が設けられ
    ることを特徴とする、請求項1の印刷機におけるインキ
    温度制御装置。
  4. 【請求項4】 前記インキローラ上のインキ温度を測
    定するためのインキ温度センサ(31)が設けられ、前
    記インキ温度センサによる測定結果に基づいて前記循環
    手段を流れる循環液を前記インキローラ内部の循環路に
    循環させることを許容し且つ遮断するための調整バルブ
    が設けられることを特徴とする、請求項1の印刷機にお
    けるインキ温度制御装置。
  5. 【請求項5】 a)印刷機におけるインキローラに第
    1の流体を循環させると共に前記第1の流体を熱交換手
    段に循環させ、b)前記熱交換手段に第2の流体を循環
    させると共に前記第2の流体をコンプレッサおよび冷却
    手段に循環させ、c)前記第2の流体の少なくとも一部
    を前記冷却手段をバイパスさせて、前記コンプレッサか
    ら直接前記熱交換手段に供給する、ことを特徴とする印
    刷機におけるインキ温度制御方法。
  6. 【請求項6】 前記熱交換手段から前記インキローラ
    に循環する前記第1の流体の温度に基づいて、前記冷却
    手段をバイパスする前記第2の流体の流量を制御するこ
    とを特徴とする、請求項5の印刷機におけるインキ温度
    制御方法。
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