JP2836211B2 - 樹脂モールド高周波コイルの製造方法 - Google Patents

樹脂モールド高周波コイルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、チップタイプモールドコイルと通称される
樹脂モールド高周波コイルを製造するにあたって用いら
れる、コイルに樹脂を被覆するための成形型、及び、そ
れを用いて樹脂モールド高周波コイルを製造する方法に
関する。
〔従来の技術〕
従来、コイルに樹脂を被覆してボビン付コイルなる樹
脂モールド高周波コイルを製造するにあたっては、製造
されるべきコイルの必要箇所を収容する彫り溝が設けら
れるとともにボビン部分を形成するための空間が設けら
れたキャビティを有する上型及び下型からなる成形型を
用意し、この成形型のキャビティ内に溶融樹脂を注入し
てコイルの巻線部分を被覆するとともにボビン部分を形
成するようにされている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上述の製造方法においては、使用され
る成形型が複雑で高価なものとなる欠点があるととも
に、製造された樹脂モールド高周波コイルを基板等に取
り付ける際の便宜は全く考慮されていない。
そこで、樹脂モールド高周波コイルを第4図及び第5
図に示される如くにして製造する方法が本願の出願人に
より考えられている。すなわち、まず、第4図に示され
る如くの、巻線部51とその一端面部(下端面部)から側
方に突出する巻始部52および垂直方向に突出する巻終部
53からなる素材コイル50を作成する。この場合、巻始部
52,巻終部53はそれぞれ端子部となるため、予め、はん
だメッキが施されている。そして、この素材コイル50を
第5図に示される如くの成形型40に収容する。この成形
型40は、堀り型タイプで型割り可能な構造を有し、素材
コイル50の巻線部51を収容するキャビティ41が設けら
れ、そのキャビティ41内に素材コイル50が収納された状
態(第5図)では、巻始部52及び巻終部53がキャビティ
41から外部に突出するようにされる。
そして、キャビティ41内に素材コイル50の巻線部51を
収容した状態でそこに溶融樹脂を注入充填し、巻線部51
を樹脂で被覆してそれを固化した後、かかる樹脂で被覆
された素材コイル50を成形型40から取り出して、巻終部
53を約90゜折り曲げて巻始部52と同様に巻線部51の一端
面部から側方に突出するようにし、その後、樹脂モール
ド高周波コイルを基板等に取り付ける際の便宜を図るべ
く、巻始部52,巻終部53を加圧してその外周面の一部
(取付面=下面)が平坦面となるように成形する。
このように、巻始部52,巻終部53の外周面の一部が平
坦面とされることにより、それを基板等に取り付ける
際、その平坦面が基板等に接触するように配置すれば、
樹脂モールド高周波コイルの安定性が増すとともに、配
線等との接触面積が増大するという利点が得られる。
ところが、かかる製造方法では、樹脂被覆成形後、得
られた樹脂モールド高周波コイルを成形型から取り出し
て巻終部53を折り曲げ、しかる後、巻始部52,巻終部53
を加圧して平坦面を成形するようにされているので、工
数が増大して製造コストの高騰が避けられないという問
題がある。
かかる点に鑑み本発明は、簡単な構造を有するととも
に、コイルの巻始部及び巻終部に平坦面を容易に作成す
ることができる、コイルに樹脂を被覆するための成形
型、及び、それを用いて簡易に樹脂モールド高周波コイ
ルを製造することができる方法を提供することを目的と
する。
〔課題を解決するための手段〕
上述の目的を達成すべく本発明は、巻線部とその一端
面部から側方に突出する巻始部及び巻終部からなる素材
コイルの上記巻線部分を収容するキャビティと、このキ
ャビティの側方に突出するように設けられ、上記巻始部
及び巻終部がそれぞれ納置される彫り溝とを備え、上記
彫り溝の深さが上記巻始部及び巻終部の外径より若干短
くされている成形型に上記巻線部分を上記成形型のキャ
ビティに収容するとともに、上記巻始部及び巻終部をそ
れぞれ上記成形型に設けられた彫り溝に納置し、この状
態で上記キャビティ内に溶融樹脂を注入して上記巻線部
分を被覆することを特徴とする樹脂モールド高周波コイ
ルの製造方法を提供することを目的とする。
〔作 用〕
上述の如くの構成を有する本発明に係る成形型が用い
られて樹脂モールド高周波コイルが製造される場合に
は、成形型に彫り溝が形成され、その彫り溝の深さが素
材コイルの巻始部及び巻終部の外径より若干短くされて
いるので、キャビティ内への溶融樹脂の注入充填時に、
素材コイルの巻始部,巻終部を上方から加圧するだけで
その外周面の一部を簡単に平坦面に成形することが可能
となる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を添付図面を参照しつつ説明す
る。
本発明に係る樹脂モールド高周波コイルの製造方法の
一実施例においては、まず、第1図に示される如くの、
巻線部11とその一端面部(下端面部)から側方に突出す
る巻始部12及び巻終部13からなる素材コイル10を作成す
る。この場合、巻始部12,巻終部13はそれぞれ端子部と
なるため、予め、はんだメッキが施されている。そし
て、この素材コイル10を第2図に示される如くの成形型
20に収容する。この成形型20は、堀り型タイプで型割り
可能な構造を有し、素材コイル10の巻線部11を収容す
る、その深さが素材コイル10の高さより深い、直方体状
もしくは円柱状のキャビティ21が設けられるとともに、
このキャビティ11の上部の側方に、巻始部12及び巻終部
13がそれぞれ納置されるU字状断面形状を有した彫り溝
22,23が上記キャビティ21に連なって突出するように設
けられている。
かかる彫り溝22,23の深さは、第3図に示される如く
に、素材コイル10の巻始部12及び巻終部13の外径よりα
だけ短くされている。従って、キャビティ21内にコイル
10の巻線部11が収容された状態(第2図)では、巻始部
12及び巻終部13の外周面の一部(下面側)が彫り溝22,2
3から外部に突出するようにされる。
そして、キャビティ21内に素材コイル10の巻線部を収
容した状態でそこに溶融樹脂を注入するとともに、かか
る注入充填時に彫り溝22,23に納置された巻始部12及び
巻終部13を上方から上型等で加圧してその外周面の一部
(取付面=下面)を平坦面に成形する。
その後、樹脂が固化した後成形型20を開いて、巻線部
11が樹脂で被覆されてボビンが形成された樹脂モールド
高周波コイルを成形型20から取り出す。
このように、本実施例では、堀り型タイプの成形型20
に彫り溝22,23を設けるという簡単な構成をもって、溶
融樹脂の充填時に巻始部12,巻終部13の外周面の一部を
平坦面とすることができるので、工数の減少を計ること
ができる。
そして、得られた樹脂モールド高周波コイルを基板等
に取り付ける際には、その平坦面が基板等に接触するよ
うに配置すれば、樹脂モールド高周波コイルの安定性が
増すとともに、配線等との接触面積が増大するという利
点が得られる。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかな如く、本発明に係る成形型が
用いられて樹脂モールド高周波コイルが製造される場合
には、成形型に彫り溝が形成され、その彫り溝の深さが
素材コイルの巻始部及び巻終部の外径より若干短くされ
ているので、溶融樹脂の充填成形時に、素材コイルの巻
始部,巻終部を上方から加圧するだけでその外周面の一
部を簡単に平坦面に成形することが可能となる。そのた
め、掘り型タイプ等の簡単な構造を有する成形型を用い
るだけで、コイルの巻始部及び巻終部に平坦面を容易に
作成することができ、工数の増大を招来することなく、
また、製造コストの上昇を招くことなく樹脂モールド高
周波コイルを簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図は本発明に係るコイルに樹脂を被覆する
ための成形型及びそれを用いた樹脂モールド高周波コイ
ルの製造方法の説明に供される図、第4図及び第5図は
従来考えられている樹脂モールド高周波コイルの製造方
法の説明に供される図である。 10……素材コイル、11……巻線部、 12……巻始部、13……巻終部、 20……成形型、21……キャビティ、 22,23……彫り溝。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】巻線部とその一端面部から側方に突出する
    巻始部及び巻終部からなる素材コイルの上記巻線部分を
    収容するキャビティと、このキャビティの側方に突出す
    るように設けられ、上記巻始部及び巻終部がそれぞれ納
    置される彫り溝とを備え、上記彫り溝の深さが上記巻始
    部及び巻終部の外径より若干短くされている成形型に上
    記巻線部分を上記成形型のキャビティに収容するととも
    に、上記巻始部及び巻終部をそれぞれ上記成形型に設け
    られた彫り溝に納置し、この状態で上記キャビティ内に
    溶融樹脂を充填して上記巻線部分を被覆することを特徴
    とする樹脂モールド高周波コイルの製造方法。
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