JP2832807B2 - 新規微生物及び該微生物を用いた2,6− ナフタレンジカルボン酸の製造方法 - Google Patents

新規微生物及び該微生物を用いた2,6− ナフタレンジカルボン酸の製造方法

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JP2832807B2 JP10918595A JP10918595A JP2832807B2 JP 2832807 B2 JP2832807 B2 JP 2832807B2 JP 10918595 A JP10918595 A JP 10918595A JP 10918595 A JP10918595 A JP 10918595A JP 2832807 B2 JP2832807 B2 JP 2832807B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規微生物、及び該微
生物の菌体、休止菌体又は酵素を利用して2,6−ジメ
チルナフタレンから2,6−ナフタレンジカルボン酸を
製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2,6−ナフタレンジカルボン酸化合物
は高機能性樹脂原料、液晶原料、農薬原料として有用な
化合物であり、特に高機能性樹脂であるポリエチレンナ
フタレート(PEN)樹脂の原料として大量生産化が望
まれている。
【0003】2,6−ナフタレンジカルボン酸化合物
は、現在、種々の化学合成法により製造されているが、
これらはいずれも異性体の副生を生じること、高温高圧
反応であるため、官能基の転移が起こり易いこと等の理
由により、高い純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸
を生産することは困難な状況にある。更に、化学合成法
は高温高圧反応であることから、大量のエネルギーを消
費するという問題も包含している。
【0004】これらの問題を解決する方法として、微生
物の酸化機能を用いた酸化反応法の研究が行われてい
る。この微生物を触媒とする酸化反応法は、常温常圧で
反応が進行するうえ、官能基転移が起こらず、さらに異
性体が副生されないというすぐれた特徴を有している。
【0005】そして、これら微生物による2,6−ナフ
タレンジカルボン酸の製造方法としては、2,6−ジメ
チルナフタレンを単一炭素源として生育できるシュード
モナス エスピー(Pseudomonas sp. )D−186株を
用いた、2,6−ジメチルナフタレンを唯一炭素源とし
て固体状で供給した発酵法による製造方法(特開平3−
80091号公報)が提案されている。また、2,6−
ジメチルナフタレンを生育基質として利用できない新規
放線菌H−503(FERM P−11753)を他の
生育基質で培養し、2,6−ジメチルナフタレンを共酸
化して、2,6−ナフタレンジカルボン酸を生産する共
酸化反応法による製造方法(特開平5−15365号公
報)も提案されている。
【0006】しかしながら、これら従来の製造方法で
は、原料である2,6−ジメチルナフタレンを水溶性培
養液に固体状で供給する固−液反応系のため、原料供給
量が制限され、したがって連続的原料供給、供給制御が
困難であり、効率的な連続生産の面において満足し得る
ものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、このよ
うな従来の技術レベルに鑑み、2,6−ジメチルナフタ
レンが溶解した有機溶媒に、微生物を接触させることに
より酸化反応を行なうことができれば、原料供給の制御
が容易になり、連続的な2,6−ナフタレンジカルボン
酸の生産方法の開発が行われるものとの観点にたち、有
機溶媒存在下で安定した酸化反応を行なう能力を持つ微
生物を単離し、これを利用することを、本発明の目的と
してはじめて設定した。
【0008】そこで、本発明者らは、2,6−ジメチル
ナフタレンの両メチル基の酸化能を有し、有機溶媒に耐
性で有機溶媒を資化せず、基質を含有した有機溶媒と培
地からなる二相系において生育、反応可能である微生物
を見出し、この微生物により有機溶媒に溶解した2,6
−ジメチルナフタレンもしくは2,6−ジメチルナフタ
レンを含有する石油留分を培地に供給し、接触、反応さ
せる二相系反応(液−液反応)による製造方法を提供す
ることとした。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく、有機溶媒に耐性で、かつ有機溶媒存在下
で2,6−ジメチルナフタレンから2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を産生する微生物のスクリーニングを行な
い、この微生物により有機溶媒に溶解した2,6−ジメ
チルナフタレンもしくは2,6−ジメチルナフタレンを
含有する石油留分を培地に供給し、接触、反応させる二
相系反応(液−液反応)による製造法を確立すべく鋭意
研究を重ねた結果、目的とする微生物を新たにスクリー
ニングするのに成功し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち本発明は、有機溶媒に耐性かつ有機溶
媒存在下で2,6−ジメチルナフタレンから2,6−ナ
フタレンジカルボン酸を産生する微生物、またはこれら
休止菌体を、2,6−ジメチルナフタレンを溶解した有
機溶媒、もしくは2,6−ジメチルナフタレンを含有し
ている石油留分と培地からなる二相系反応(液−液反
応)にて、接触、反応させ、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸を生産することを特徴とする2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を製造方法を提供するものである。
【0011】本発明に係る新規微生物は、有機溶媒に耐
性を持ち、2,6−ジメチルナフタレンを唯一の炭素源
とする2,6−ジメチルナフタレンが溶解した有機溶媒
と培地からなる二相系培養液中で良好に生育し、かつ
2,6−ナフタレンジカルボン酸を生産するものであっ
て、石油汚染土壌中から新たに単離したものである。
【0012】(1)微生物のスクリーニング 2,6−ジメチルナフタレンを溶解した有機溶媒、例え
ばデカリンと炭素源を含まないK培地とを等量試験管に
分注し二相系培養液とする。これを滅菌後、採取した土
壌を加え振とう培養を行なう。
【0013】この二相系培養液の水層部を、上記と同様
に調製した二相系培養液に加え、振とう培養を行なう。
培養後の培養液を希釈後、これを無機塩からなる寒天培
地に塗布し、有機溶媒に溶解した2,6−ジメチルナフ
タレンを噴霧供給後、培養する。
【0014】クリアゾーンを形成し出現したコロニーを
拾い、上記二相系培養液にて培養を行ない2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を生産する菌体を選択する。この様
に、2,6−ジメチルナフタレンを溶解した有機溶媒
を、炭素源を含まない培地と混合し培養することによ
り、有機溶媒に耐性を有し有機溶媒を資化せず、かつ有
機溶媒に溶解している2,6−ジメチルナフタレンを基
質として利用し得る菌株を単離することができる。
【0015】上記スクリーニングに用いられる炭素源を
含まない培地としては、K培地等の一般的な培地成分を
使用することができる。即ち、無機塩としては、カリウ
ム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガ
ン、鉄、コバルト、銅等の各塩類を使用することができ
る。また、窒素源としては塩化アンモニウム、燐酸アン
モニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸
アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿
素等の無機窒素化合物や酵母エキス、ペプトン等の有機
窒素源を使用することができる。
【0016】また、2,6−ジメチルナフタレンを溶解
する有機溶媒は、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素
類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類及びそれ
らの誘導体の内1種もしくは2種以上の混合物を使用す
ることができる。
【0017】2,6−ジメチルナフタレンを溶解した有
機溶媒の培地への混合比は任意に設定可能であるが、効
率的な生産もしくは変換をさせる上で60%以下とする
ことが好ましい。更に培養条件は培地pHが約3.0〜
9.0、好ましくは5.0〜7.0、培養温度は約20
〜40℃、好ましくは25〜35℃で、好気的条件で行
なうことが望ましい。
【0018】以下に一例として、スクリーニングによっ
て得られた本発明菌の菌学的性質を示す。
【0019】(2)本発明微生物の菌学的性質 (a)形態 (1)細胞の形態と大きさ :桿菌 肉汁寒天培地生育菌(0.7〜0.8)×(1.4〜2.1)ミクロ
ン 肉汁液体培地生育菌(0.7〜1.0)×(1.9〜3.4)ミクロ
ン (2)運動性の有無と鞭毛の着性状態:なし (3)細胞の多形性及び胞子の有無 :共に無し (4)グラム染色性 :陰性 (5)抗酸性 :認められない。
【0020】(b)各種培地における生育状況 (1)肉汁寒天平板培養:生育良好。コロニー周辺部に
放射状のしわを形成し、周縁は波状。特徴的集落色素、
拡散性色素の産生は認められない。 (2)肉汁寒天斜面培養:生育良好。コロニー周辺部に
放射状のしわを形成し、周縁は波状。特徴的集落色素、
拡散性色素の産生は認められない。 (3)肉汁液体培養 :培地全体の生育及び薄い表面
被膜の形成が認められる。 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養:培地の上部に生育が認め
られるが、液化は認められない。 (5)リトマス・ミルク:アルカリの生成を認める。凝
固は認められない。
【0021】 (c)生理学的性質(1) (1)硝酸塩の還元 :陽性 (2)脱窒反応 :陰性 (3)MRテスト :陰性 (4)VPテスト :陰性 (5)インドールの生成 :陰性 (6)硫化水素の生成 TSI寒天 :陽性 酢酸鉛寒天 :陽性 (7)デンプンの加水分解 :陰性 (8)クエン酸の利用 Koser培地 :陽性 Christensen培地 :陽性 (9)無機窒素源の利用 硝酸塩 :陽性 アンモニウム塩 :陽性 (10)色素の生成 :陰性 (11)ウレアーゼ :陰性 (12)オキシダーゼ :陽性 (13)カタラーゼ :陽性 (14)生育の範囲 pH :5.5〜9.0(6.0〜8.0)で生育良好 温度 :5〜35℃(30℃で良好) (15)酸素に対する態度 :好気的 (16)OFテスト :酸化的 (17)酸及びガスの生成 糖質 酸の生成 ガスの生成 L−アラビノース − − D−キシロース − − D−グルコース − − D−マンノース − − D−フラクトース − − D−ガラクトース − − マルトース − − シュークロース − − ラクトース − − トレハロース − − D−ソルビトール − − D−マンニトール − − イノシトール − − グリセリン − − デンプン − − (18)アルギニンヒドロラーゼ :陰性 (19)尿素分解 :陰性 (20)エスクリン分解 :陰性 (21)ゼラチン液化 :陰性 (22)β−ガラクトシダーゼ :陰性 (23)生育炭素源の利用 グルコース − L−アラビノース − D−マンノース − D−マンニトール + N−アセチル−Dグルコサミン − マルトース − グルコン酸カリウム + n−カプリン酸 − アジピン酸 − dl−リンゴ酸塩 + クエン酸ナトリウム − フラクトース − 酢酸フェニル −
【0022】(d)生理学的性質(2) (24)キノン種 :Q−8 (25)GC含量(%) :61
【0023】以上の性質から、本菌株は、非発酵性グラ
ム陰性桿菌であると判断し、バージェーズ マニュアル
オブ デターミナテイブ バクテリオロジー(Berge
y's Manual of Determinative Bacteriology)第8版に
基づき検索を行なったところ、本菌株に類似した属とし
てコマモナス(Comamonas)属とアルカリゲネス(Alcal
igenes)属が見出された。さらに、本菌株と類似菌のタ
イプカルチャーとのDNA−DNA−ハイブリダイゼー
ションによる相同性を比較したところ、これらの類似菌
とは異なっており、またD−マンニトール及びグルコン
酸カリウムの分解性の点でも特徴的であり、これらの点
から総合的に判断した結果、本菌株を従来既知の属に属
せしめるのは困難であって、新しい属に属せしめるのが
妥当と判定し、本菌を新規に属するS1−22−18株
と命名し、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託
(FERM P−14792)した。
【0024】DNA−DNA−ハイブリダイゼーション
による相同性の比較結果を下記表1に示し、形態を図1
に示した。
【0025】
【表1】
【0026】本発明による2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸の製造方法としては、本菌を用いて、2,6−ジメ
チルナフタレンを2,6−ナフタレンジカルボン酸に変
換する方法、及び、2,6−ナフタレンジカルボン酸を
直接培養生産せしめる方法のいずれもが使用可能であ
る。
【0027】その具体的態様としては、次の方法が例示
される。 (a)該微生物を予め培養した増殖菌体を、菌体懸濁液
とし、これを2,6−ジメチルナフタレンが溶解した有
機溶媒と接触させて反応させる二相系休止菌体反応。 (b)該微生物を培地と2,6−ジメチルナフタレンを
溶解した有機溶媒とを重層して、培養生産させる二相系
増殖培養反応方法。
【0028】2,6−ジメチルナフタレンを溶解し供給
する有機溶媒としては、培地と二相を形成し得る有機溶
媒、例えば、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、シク
ロオクタン、ノナン、デカン、テトラリン、デカリン、
ヘキシルエーテル等を使用することもできる。上記二相
系反応方法においては、これらの有機溶媒の内、1種も
しくは2種以上を任意に混合して使用することができ
る。
【0029】更に、本発明に係る微生物は、2,6−ジ
メチルナフタレンを含有している石油留分、例えば、石
油接触分解油で2,6−ジメチルナフタレンを多く含む
LCO(ライトサイクルオイル)留分を直接、基質含有
有機溶媒として使用することができるという新規にして
卓越した性質を有するので、変換基質としての2,6−
ジメチルナフタレンを濃縮、分離することや、改めて有
機溶媒に溶解する必要もなくなり、従来利用されていな
かった資源の有効利用ができる。これにより製造工程を
簡素化することができ、効率的かつ経済的生産に寄与す
ること大となる。又、変換後2,6−ナフタレンジカル
ボン酸を含む水層とLCO留分とを常法にて分離すれ
ば、このLCO留分は再び石油製品製造への材源として
利用が図れる。すなわち、本発明に係る製造方法は、工
業的な方法としてきわめて卓越したものであって、新規
微生物を分離するのに成功したことにより、本新規製造
方法がはじめて可能になったのである。
【0030】本発明においては、本菌を培養して得た菌
体が使用できることはもちろんのこと、その休止菌体の
ほか、その処理物も使用することができる。処理物とし
ては、菌体を含有する培養物、休止菌体含有物、菌体破
砕物、これらの濃縮物、ペースト化物、乾燥物、希釈物
等が包含される。また、菌体由来の酵素としては、菌体
から分離、精製した酵素はもとより、酵素含有物も使用
することができる。酵素含有物としては、菌体、休止菌
体、上記した該処理物、培養液等、酵素を含有する物が
すべて包含される。
【0031】上記反応(a)の、増殖菌体に2,6−ジ
メチルナフタレンが溶解した有機溶媒を接触させて反応
させる二相系休止菌体反応方法では、まず炭素源として
糖質、例えば、グルコース、シュークロース、糖蜜等
を、炭化水素としては、例えばヘキサデカン等及びその
他コハク酸等で菌体増殖作用の高いものを用い、窒素源
では例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、燐酸アン
モニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、尿素
等を用い、無機塩類としては燐酸カリウム、燐酸ナトリ
ウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸第一鉄、
塩化第二鉄、塩化カルシウム、塩化マンガン等を、さら
には必要に応じてビタミン類、酵母エキス、ペプトン、
トリプトン等の成長促進物質を添加した培地に該微生物
を植菌し、好気的条件で培養を行ない増殖菌体を得る。
ここで得られた菌体培養物を燐酸緩衝液等で洗浄、懸濁
させて菌体懸濁液とし、これを2,6−ジメチルナフタ
レンが溶解もしくは含有する有機溶媒と接触させて二相
系反応を行なう。
【0032】反応は、pH3.0〜9.0、20〜40
℃の範囲で、1〜5日間好気的に行なう。尚、2,6−
ナフタレンジカルボン酸の生産に伴って低下するpH
は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム溶液、ア
ンモニア水を滴下することにより調整維持し、2,6−
ナフタレンジカルボン酸の生産能力を維持、向上させる
ことができる。また、反応により電子供与体が減少する
時は、メタノール、エタノール、NAD、酢酸、蟻酸等
を適宜供給することが望ましい。
【0033】基質となる2,6−ジメチルナフタレンの
供給量は、溶媒に用いる有機溶媒の溶解度に応じて添加
することが可能であり、さらに基質を含んだ有機溶媒量
を変化させることにより、反応系での基質濃度を自在に
制御することができる。この有機溶媒系での反応は、従
来の基質を固体状で供給した反応方法に比べ、2,6−
ナフタレンジカルボン酸の生産性をより一層高めること
ができる。
【0034】上記反応により生成した2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸は、反応液水層部をろ過、遠心分離によ
って固液分離し、得られた水溶液を塩酸、硫酸等の酸溶
液で酸性化した後、結晶を濾過して分離、回収すること
ができる。
【0035】次に、反応方法(b)に記した二相系増殖
培養反応方法は、上記(a)の反応方法での菌体増殖時
に、2,6−ジメチルナフタレンを溶解した有機溶媒を
重層し、好気的に培養して2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸を生産する方法であり、反応はpH3〜9、20〜
40℃の範囲で通常1〜14日間好気的に行なう。本発
明では増殖培養だけでも2,6−ナフタレンジカルボン
酸を良好に生産することができ、(a)と同様の方法で
分離、回収することができる。
【0036】このようにして、きわめて効率的に2,6
−ナフタレンジカルボン酸及び/又はその塩を工業生産
することができる。本発明において、該塩とは、アルカ
リ金属(例えばナトリウム、カリウム等)塩、アルカリ
土金属(例えばマグネシウム、カルシウム等)塩、これ
らの水酸化物、炭酸塩のほか、アミン塩等の有機塩類等
各種塩類を広く包含するものである。
【0037】本発明は、有機溶媒に耐性を持ち、有機溶
媒の存在下で2,6−ジメチルナフタレンの両メチル基
を酸化することができる微生物であり、しかも従来には
例のない、石油接触分解油中に含有する2,6−ジメチ
ルナフタレンを、石油接触分解油の存在下において2,
6−ナフタレンジカルボン酸に変換できるというすぐれ
た特徴を有する。
【0038】したがって、本発明の微生物により、2,
6−ジメチルナフタレンを溶解した有機溶媒、並びに
2,6−ジメチルナフタレンを含有する石油接触分解油
等の石油留分を、基質含有有機溶媒として用いることが
可能となり、二相系反応法の下でより効率的に2,6−
ナフタレンジカルボン酸あるいはその塩を生産すること
ができる。
【0039】
【実施例】以下に実施例を示し本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
【実施例1】 有機溶媒耐性2,6−ナフタレンジカルボン酸生産菌の
分離 下記表2に示す組成からなるK液体培地5mlに、2,
6−ジメチルナフタレンを1%(w/v)溶解したデカ
リンを重層し二相系培養液を作製した。二相系培養液は
pH7.0に調整後、121℃で15分間滅菌して使用
した。
【0041】
【表2】
【0042】秋田県申川地方で採取した石油汚染土壌
(約0.5g)を上記培養液に加え、30℃で7日間振
とう培養を行なった(集積培養I)。次に、集積培養I
の水層部から1ml採取し、新たな上記二相系培養液を
加え、30℃で3日間、集積培養Iと同様の培養条件で
培養した(集積培養II)。
【0043】更に、集積培養IIの水層部1mlを採取し
てこれより種々希釈液を作成し、その内の100μl
を、培地1リットル当たり15gの寒天を加えて調製し
た寒天培地に塗布し、唯一炭素源としてジエチルエーテ
ルに溶解した2,6−ジメチルナフタレンを噴霧供給し
て、30℃で5日間培養した。クリアゾーンを形成し出
現したコロニーを、K液体培地5mlに2,6−ジメチ
ルナフタレンを1%(w/v)溶解したデカリンを重層
してなる二相系培養液に植菌し、30℃で7日間振とう
培養を行なった。
【0044】この二相系培養液の水層部を常法に従いH
PLCにより分析し2,6−ナフタレンジカルボン酸量
を定量した。これにより有機溶媒を資化しない2,6−
ジメチルナフタレンから2,6−ナフタレンジカルボン
酸を生産する菌体を選択し、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸の生産量の高い菌株として、S1−22−18株
(FERM P−14792)を取得した。
【0045】
【実施例2】 二相系における増殖培養生産試験 内径21mmの試験管に、K液体培地5mlと2,6−
ジメチルナフタレンを1%(w/v)溶解したデカリン
5mlとを入れ、二相系培養液を調製し、この培養液に
S1−22−18株を1白金耳植菌し、30℃で7日
間、250rpmで振とう培養を行なった。培養後この
二相系培養液の水層部を常法に従い2,6−ナフタレン
ジカルボン酸をHPLCにて分析、定量したところ、下
記表3に示すとおり32mg/lの2,6−ナフタレン
ジカルボン酸が生産された。
【0046】
【表3】
【0047】
【比較例1】 固−液系における増殖培養生産試験 二相系反応方法と生産性の比較をするため従来の固−液
系反応における生産試験を行なった。
【0048】2,6−ジメチルナフタレンを有機溶媒に
溶解せず、K液体培地5mlに固体状で50mg添加し
た固−液系培養液に、S1−22−18株を1白金耳植
菌し、実施例2と同様の条件で振とう培養した。培養
後、実施例2と同様に分析、定量を行なったところ、表
3に示すとおり生産量は4.5mg/lであった。
【0049】
【実施例3】 休止菌体を用いた二相系反応試験 内径21mmの試験管に、下記表4に示すKM液体培地
10mlを入れ121℃で15分間蒸気殺菌した後、S
1−22−18株を植菌し、30℃で2日間振とう培養
により増殖を行なった。この増殖菌体を集菌して0.1
M燐酸緩衝液(pH7.4)で二回洗浄し、同緩衝液3
mlに再懸濁を行なった。この懸濁液と下記表5に示す
各有機溶媒に2,6−ジメチルナフタレンを1%(w/
v)溶解させたもの5mlとを内径21mmの試験管に
入れ、30℃で3日間、250rpmで振とう培養を行
なった。培養液の水層部をHPLCにより分析し2,6
−ナフタレンジカルボン酸量を定量した。用いた有機溶
媒ごとの2,6−ナフタレンジカルボン酸生産量を下記
表5に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【比較例2】 休止菌体を用いた固−液系反応試験 実施例3の二相系休止菌体反応と比較するため、有機溶
媒を使用せず2,6−ジメチルナフタレンを固体状で5
0mg添加し、実施例3と同様の手順で休止菌体反応を
試験した。結果を表5に示す。
【0053】
【実施例4】 休止菌体による石油接触分解油を用いた二相系生産試験 実施例3と同様の方法で、増殖菌体による菌懸濁液を作
製した。この懸濁液5mlと石油接触分解油(LCO)
5mlとを内径21mmの試験管に入れ、30℃で3日
間、250rpmで振とう培養を行なった。培養液の水
層部をHPLCにより分析し2,6−ナフタレンジカル
ボン酸量を定量した。5.6mg/lの2,6−ナフタ
レンジカルボン酸が生産された。
【0054】試験に用いた石油接触分解油(LCO)
は、沸点範囲が160〜340℃であり、2,6−ジメ
チルナフタレンを1.5%(w/v)含有している。
【0055】これら実施例の結果から、本発明の微生物
によれば二相系反応方法において、良好な2,6−ナフ
タレンジカルボン酸の生産もしくは変換ができ、しかも
従来、発酵生産において未利用であった石油接触分解油
等の石油留分を直接、基質含有有機溶媒として用い変換
できることが明らかとなった。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、有機溶媒に耐性を示
し、かつ2,6−ジメチルナフタレンの両メチル基末端
酸化能を有する、2,6−ジメチルナフタレンを含む有
機溶媒と培地からなる二相系において、生育もしくは反
応可能である生成菌、もしくはその休止菌体、又はその
処理物もしくは菌体由来の酵素を用い、2,6−ジメチ
ルナフタレンから2,6−ナフタレンジカルボン酸を効
率良く生産することができる。
【0057】また更に、本発明菌は従来未知の新菌であ
り、しかも、本発明菌によれば上記した効果のほかに、
石油接触分解油等の石油留分を、基質として、そしてま
た有機溶媒として同時に利用することができるので、工
業的な面で特にすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明菌の形態を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (72)発明者 酒井 豊 神奈川県横浜市青葉区藤が丘2−36−66 グリーンヒル藤が丘CII−114 (72)発明者 上村 直久 埼玉県川口市並木1−13−32 エバーグ リーン川口609号 (72)発明者 飛田 雅文 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町2021−1 ホーユウパレス戸塚711 (72)発明者 小林 俊仁 神奈川県川崎市高津区末長628 アヴニ ール溝の口310 審査官 加藤 浩 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 1/20 C12P 7/44

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の菌学的性質を有し、2,6−ナフ
    タレンジカルボン酸生成菌であるS1−22−18株。 (a)形態 (1)細胞の形態と大きさ :桿菌 肉汁寒天培地生育菌(0.7〜0.8)×(1.4〜
    2.1)ミクロン 肉汁液体培地生育菌(0.7〜1.0)×(1.9〜
    3.4)ミクロン (2)運動性の有無と鞭毛の着性状態:なし (3)細胞の多形性及び胞子の有無 :共に無し (4)グラム染色性 :陰性 (5)抗酸性 :認められない。 (b)各種培地における生育状況 (1)肉汁寒天平板培養:生育良好。コロニー周辺部に
    放射状のしわを形成し、周縁は波状。特徴的集落色素、
    拡散性色素の産生は認められない。 (2)肉汁寒天斜面培養:生育良好。コロニー周辺部に
    放射状のしわを形成し、周縁は波状。特徴的集落色素、
    拡散性色素の産生は認められない。 (3)肉汁液体培養 :培地全体の生育及び薄い表面
    被膜の形成が認められる。 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養:培地の上部に生育が認め
    られるが、液化は認められない。 (5)リトマス・ミルク:アルカリの生成を認める。凝
    固は認められない。 (c)生理学的性質(1) (1)硝酸塩の還元 :陽性 (2)脱窒反応 :陰性 (3)MRテスト :陰性 (4)VPテスト :陰性 (5)インドールの生成 :陰性 (6)硫化水素の生成 TSI寒天 :陽性 酢酸鉛寒天 :陽性 (7)デンプンの加水分解 :陰性 (8)クエン酸の利用 Koser培地 :陽性 Christensen培地 :陽性 (9)無機窒素源の利用 硝酸塩 :陽性 アンモニウム塩 :陽性 (10)色素の生成 :陰性 (11)ウレアーゼ :陰性 (12)オキシダーゼ :陽性 (13)カタラーゼ :陽性 (14)生育の範囲 pH :5.5〜9.0(6.0〜8.0) で生育良好 温度 :5〜35℃(30℃で良好) (15)酸素に対する態度 :好気的 (16)OFテスト :酸化的 (17)酸及びガスの生成 糖質 酸の生成 ガスの生成 L−アラビノース − − D−キシロース − − D−グルコース − − D−マンノース − − D−フラクトース − − D−ガラクトース − − マルトース − − シュークロース − − ラクトース − − トレハロース − − D−ソルビトール − − D−マンニトール − − イノシトール − − グリセリン − − デンプン − − (18)アルギニンヒドロラーゼ :陰性 (19)尿素分解 :陰性 (20)エスクリン分解 :陰性 (21)ゼラチン液化 :陰性 (22)β−ガラクトシダーゼ :陰性 (23)生育炭素源の利用 グルコース − L−アラビノース − D−マンノース − D−マンニトール + N−アセチル−Dグルコサミン − マルトース − グルコン酸カリウム + n−カブリン酸 − アジピン酸 − dl−リンゴ酸塩 + クエン酸ナトリウム − フラクトース − 酢酸フェニル − (d)生理学的性質(2) (24)キノン種 :Q−8 (25)GC含量(%) :61
  2. 【請求項2】 請求項1に示す菌学的性質を有するS1
    −22−18株を用いて2,6−ナフタレンジカルボン
    酸を生成又は変換取得することを特徴とする2,6−ナ
    フタレンジカルボン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に示す菌学的性質を有するS1
    −22−18株を、2,6−ジメチルナフタレンを溶解
    した有機溶媒と培地からなる二相系において培養し、
    2,6−ナフタレンジカルボン酸を生成させることを特
    徴とする2,6−ナフタレンジカルボン酸あるいはその
    塩の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に示す菌学的性質を有するS1
    −22−18株を、2,6−ジメチルナフタレンを含む
    か、もしくは含まない培地で培養し、集菌後その菌体も
    しくは休止菌体、又はその処理物もしくは菌体由来の酵
    素を用いて、2,6−ジメチルナフタレンを含む有機溶
    媒と培地からなる二相系において反応させて、2,6−
    ナフタレンジカルボン酸を生成させるか、もしくは2,
    6−ジメチルナフタレンを2,6−ナフタレンジカルボ
    ン酸に変換させることを特徴とする2,6−ナフタレン
    ジカルボン酸あるいはその塩の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に示す菌学的性質を有するS1
    −22−18株を、2,6−ジメチルナフタレンを含む
    か、もしくは含まない培地で培養し、集菌後その菌体も
    しくは休止菌体、又はその処理物もしくは菌体由来の酵
    素を用いて、2,6−ジメチルナフタレンを含有する石
    油留分と培地からなる二相系において反応させて、2,
    6−ナフタレンジカルボン酸を生成させるか、もしくは
    2,6−ジメチルナフタレンを2,6−ナフタレンジカ
    ルボン酸に変換させることを特徴とする2,6−ナフタ
    レンジカルボン酸あるいはその塩の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の石油留分が石油接触分解
    油であることを特徴とする2,6−ナフタレンジカルボ
    ン酸あるいはその塩の製造方法。
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