JP2832807B2 - 新規微生物及び該微生物を用いた2,6− ナフタレンジカルボン酸の製造方法 - Google Patents
新規微生物及び該微生物を用いた2,6− ナフタレンジカルボン酸の製造方法Info
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Description
生物の菌体、休止菌体又は酵素を利用して2,6−ジメ
チルナフタレンから2,6−ナフタレンジカルボン酸を
製造する方法に関するものである。
は高機能性樹脂原料、液晶原料、農薬原料として有用な
化合物であり、特に高機能性樹脂であるポリエチレンナ
フタレート(PEN)樹脂の原料として大量生産化が望
まれている。
は、現在、種々の化学合成法により製造されているが、
これらはいずれも異性体の副生を生じること、高温高圧
反応であるため、官能基の転移が起こり易いこと等の理
由により、高い純度の2,6−ナフタレンジカルボン酸
を生産することは困難な状況にある。更に、化学合成法
は高温高圧反応であることから、大量のエネルギーを消
費するという問題も包含している。
物の酸化機能を用いた酸化反応法の研究が行われてい
る。この微生物を触媒とする酸化反応法は、常温常圧で
反応が進行するうえ、官能基転移が起こらず、さらに異
性体が副生されないというすぐれた特徴を有している。
タレンジカルボン酸の製造方法としては、2,6−ジメ
チルナフタレンを単一炭素源として生育できるシュード
モナス エスピー(Pseudomonas sp. )D−186株を
用いた、2,6−ジメチルナフタレンを唯一炭素源とし
て固体状で供給した発酵法による製造方法(特開平3−
80091号公報)が提案されている。また、2,6−
ジメチルナフタレンを生育基質として利用できない新規
放線菌H−503(FERM P−11753)を他の
生育基質で培養し、2,6−ジメチルナフタレンを共酸
化して、2,6−ナフタレンジカルボン酸を生産する共
酸化反応法による製造方法(特開平5−15365号公
報)も提案されている。
は、原料である2,6−ジメチルナフタレンを水溶性培
養液に固体状で供給する固−液反応系のため、原料供給
量が制限され、したがって連続的原料供給、供給制御が
困難であり、効率的な連続生産の面において満足し得る
ものではなかった。
うな従来の技術レベルに鑑み、2,6−ジメチルナフタ
レンが溶解した有機溶媒に、微生物を接触させることに
より酸化反応を行なうことができれば、原料供給の制御
が容易になり、連続的な2,6−ナフタレンジカルボン
酸の生産方法の開発が行われるものとの観点にたち、有
機溶媒存在下で安定した酸化反応を行なう能力を持つ微
生物を単離し、これを利用することを、本発明の目的と
してはじめて設定した。
ナフタレンの両メチル基の酸化能を有し、有機溶媒に耐
性で有機溶媒を資化せず、基質を含有した有機溶媒と培
地からなる二相系において生育、反応可能である微生物
を見出し、この微生物により有機溶媒に溶解した2,6
−ジメチルナフタレンもしくは2,6−ジメチルナフタ
レンを含有する石油留分を培地に供給し、接触、反応さ
せる二相系反応(液−液反応)による製造方法を提供す
ることとした。
を解決すべく、有機溶媒に耐性で、かつ有機溶媒存在下
で2,6−ジメチルナフタレンから2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を産生する微生物のスクリーニングを行な
い、この微生物により有機溶媒に溶解した2,6−ジメ
チルナフタレンもしくは2,6−ジメチルナフタレンを
含有する石油留分を培地に供給し、接触、反応させる二
相系反応(液−液反応)による製造法を確立すべく鋭意
研究を重ねた結果、目的とする微生物を新たにスクリー
ニングするのに成功し、本発明を完成するに至った。
媒存在下で2,6−ジメチルナフタレンから2,6−ナ
フタレンジカルボン酸を産生する微生物、またはこれら
休止菌体を、2,6−ジメチルナフタレンを溶解した有
機溶媒、もしくは2,6−ジメチルナフタレンを含有し
ている石油留分と培地からなる二相系反応(液−液反
応)にて、接触、反応させ、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸を生産することを特徴とする2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を製造方法を提供するものである。
性を持ち、2,6−ジメチルナフタレンを唯一の炭素源
とする2,6−ジメチルナフタレンが溶解した有機溶媒
と培地からなる二相系培養液中で良好に生育し、かつ
2,6−ナフタレンジカルボン酸を生産するものであっ
て、石油汚染土壌中から新たに単離したものである。
ばデカリンと炭素源を含まないK培地とを等量試験管に
分注し二相系培養液とする。これを滅菌後、採取した土
壌を加え振とう培養を行なう。
に調製した二相系培養液に加え、振とう培養を行なう。
培養後の培養液を希釈後、これを無機塩からなる寒天培
地に塗布し、有機溶媒に溶解した2,6−ジメチルナフ
タレンを噴霧供給後、培養する。
拾い、上記二相系培養液にて培養を行ない2,6−ナフ
タレンジカルボン酸を生産する菌体を選択する。この様
に、2,6−ジメチルナフタレンを溶解した有機溶媒
を、炭素源を含まない培地と混合し培養することによ
り、有機溶媒に耐性を有し有機溶媒を資化せず、かつ有
機溶媒に溶解している2,6−ジメチルナフタレンを基
質として利用し得る菌株を単離することができる。
含まない培地としては、K培地等の一般的な培地成分を
使用することができる。即ち、無機塩としては、カリウ
ム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガ
ン、鉄、コバルト、銅等の各塩類を使用することができ
る。また、窒素源としては塩化アンモニウム、燐酸アン
モニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸
アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿
素等の無機窒素化合物や酵母エキス、ペプトン等の有機
窒素源を使用することができる。
する有機溶媒は、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素
類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類及びそれ
らの誘導体の内1種もしくは2種以上の混合物を使用す
ることができる。
機溶媒の培地への混合比は任意に設定可能であるが、効
率的な生産もしくは変換をさせる上で60%以下とする
ことが好ましい。更に培養条件は培地pHが約3.0〜
9.0、好ましくは5.0〜7.0、培養温度は約20
〜40℃、好ましくは25〜35℃で、好気的条件で行
なうことが望ましい。
て得られた本発明菌の菌学的性質を示す。
ン 肉汁液体培地生育菌(0.7〜1.0)×(1.9〜3.4)ミクロ
ン (2)運動性の有無と鞭毛の着性状態:なし (3)細胞の多形性及び胞子の有無 :共に無し (4)グラム染色性 :陰性 (5)抗酸性 :認められない。
放射状のしわを形成し、周縁は波状。特徴的集落色素、
拡散性色素の産生は認められない。 (2)肉汁寒天斜面培養:生育良好。コロニー周辺部に
放射状のしわを形成し、周縁は波状。特徴的集落色素、
拡散性色素の産生は認められない。 (3)肉汁液体培養 :培地全体の生育及び薄い表面
被膜の形成が認められる。 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養:培地の上部に生育が認め
られるが、液化は認められない。 (5)リトマス・ミルク:アルカリの生成を認める。凝
固は認められない。
ム陰性桿菌であると判断し、バージェーズ マニュアル
オブ デターミナテイブ バクテリオロジー(Berge
y's Manual of Determinative Bacteriology)第8版に
基づき検索を行なったところ、本菌株に類似した属とし
てコマモナス(Comamonas)属とアルカリゲネス(Alcal
igenes)属が見出された。さらに、本菌株と類似菌のタ
イプカルチャーとのDNA−DNA−ハイブリダイゼー
ションによる相同性を比較したところ、これらの類似菌
とは異なっており、またD−マンニトール及びグルコン
酸カリウムの分解性の点でも特徴的であり、これらの点
から総合的に判断した結果、本菌株を従来既知の属に属
せしめるのは困難であって、新しい属に属せしめるのが
妥当と判定し、本菌を新規に属するS1−22−18株
と命名し、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託
(FERM P−14792)した。
による相同性の比較結果を下記表1に示し、形態を図1
に示した。
ン酸の製造方法としては、本菌を用いて、2,6−ジメ
チルナフタレンを2,6−ナフタレンジカルボン酸に変
換する方法、及び、2,6−ナフタレンジカルボン酸を
直接培養生産せしめる方法のいずれもが使用可能であ
る。
される。 (a)該微生物を予め培養した増殖菌体を、菌体懸濁液
とし、これを2,6−ジメチルナフタレンが溶解した有
機溶媒と接触させて反応させる二相系休止菌体反応。 (b)該微生物を培地と2,6−ジメチルナフタレンを
溶解した有機溶媒とを重層して、培養生産させる二相系
増殖培養反応方法。
する有機溶媒としては、培地と二相を形成し得る有機溶
媒、例えば、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、シク
ロオクタン、ノナン、デカン、テトラリン、デカリン、
ヘキシルエーテル等を使用することもできる。上記二相
系反応方法においては、これらの有機溶媒の内、1種も
しくは2種以上を任意に混合して使用することができ
る。
メチルナフタレンを含有している石油留分、例えば、石
油接触分解油で2,6−ジメチルナフタレンを多く含む
LCO(ライトサイクルオイル)留分を直接、基質含有
有機溶媒として使用することができるという新規にして
卓越した性質を有するので、変換基質としての2,6−
ジメチルナフタレンを濃縮、分離することや、改めて有
機溶媒に溶解する必要もなくなり、従来利用されていな
かった資源の有効利用ができる。これにより製造工程を
簡素化することができ、効率的かつ経済的生産に寄与す
ること大となる。又、変換後2,6−ナフタレンジカル
ボン酸を含む水層とLCO留分とを常法にて分離すれ
ば、このLCO留分は再び石油製品製造への材源として
利用が図れる。すなわち、本発明に係る製造方法は、工
業的な方法としてきわめて卓越したものであって、新規
微生物を分離するのに成功したことにより、本新規製造
方法がはじめて可能になったのである。
体が使用できることはもちろんのこと、その休止菌体の
ほか、その処理物も使用することができる。処理物とし
ては、菌体を含有する培養物、休止菌体含有物、菌体破
砕物、これらの濃縮物、ペースト化物、乾燥物、希釈物
等が包含される。また、菌体由来の酵素としては、菌体
から分離、精製した酵素はもとより、酵素含有物も使用
することができる。酵素含有物としては、菌体、休止菌
体、上記した該処理物、培養液等、酵素を含有する物が
すべて包含される。
メチルナフタレンが溶解した有機溶媒を接触させて反応
させる二相系休止菌体反応方法では、まず炭素源として
糖質、例えば、グルコース、シュークロース、糖蜜等
を、炭化水素としては、例えばヘキサデカン等及びその
他コハク酸等で菌体増殖作用の高いものを用い、窒素源
では例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、燐酸アン
モニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、尿素
等を用い、無機塩類としては燐酸カリウム、燐酸ナトリ
ウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸第一鉄、
塩化第二鉄、塩化カルシウム、塩化マンガン等を、さら
には必要に応じてビタミン類、酵母エキス、ペプトン、
トリプトン等の成長促進物質を添加した培地に該微生物
を植菌し、好気的条件で培養を行ない増殖菌体を得る。
ここで得られた菌体培養物を燐酸緩衝液等で洗浄、懸濁
させて菌体懸濁液とし、これを2,6−ジメチルナフタ
レンが溶解もしくは含有する有機溶媒と接触させて二相
系反応を行なう。
℃の範囲で、1〜5日間好気的に行なう。尚、2,6−
ナフタレンジカルボン酸の生産に伴って低下するpH
は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム溶液、ア
ンモニア水を滴下することにより調整維持し、2,6−
ナフタレンジカルボン酸の生産能力を維持、向上させる
ことができる。また、反応により電子供与体が減少する
時は、メタノール、エタノール、NAD、酢酸、蟻酸等
を適宜供給することが望ましい。
供給量は、溶媒に用いる有機溶媒の溶解度に応じて添加
することが可能であり、さらに基質を含んだ有機溶媒量
を変化させることにより、反応系での基質濃度を自在に
制御することができる。この有機溶媒系での反応は、従
来の基質を固体状で供給した反応方法に比べ、2,6−
ナフタレンジカルボン酸の生産性をより一層高めること
ができる。
ンジカルボン酸は、反応液水層部をろ過、遠心分離によ
って固液分離し、得られた水溶液を塩酸、硫酸等の酸溶
液で酸性化した後、結晶を濾過して分離、回収すること
ができる。
培養反応方法は、上記(a)の反応方法での菌体増殖時
に、2,6−ジメチルナフタレンを溶解した有機溶媒を
重層し、好気的に培養して2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸を生産する方法であり、反応はpH3〜9、20〜
40℃の範囲で通常1〜14日間好気的に行なう。本発
明では増殖培養だけでも2,6−ナフタレンジカルボン
酸を良好に生産することができ、(a)と同様の方法で
分離、回収することができる。
−ナフタレンジカルボン酸及び/又はその塩を工業生産
することができる。本発明において、該塩とは、アルカ
リ金属(例えばナトリウム、カリウム等)塩、アルカリ
土金属(例えばマグネシウム、カルシウム等)塩、これ
らの水酸化物、炭酸塩のほか、アミン塩等の有機塩類等
各種塩類を広く包含するものである。
媒の存在下で2,6−ジメチルナフタレンの両メチル基
を酸化することができる微生物であり、しかも従来には
例のない、石油接触分解油中に含有する2,6−ジメチ
ルナフタレンを、石油接触分解油の存在下において2,
6−ナフタレンジカルボン酸に変換できるというすぐれ
た特徴を有する。
6−ジメチルナフタレンを溶解した有機溶媒、並びに
2,6−ジメチルナフタレンを含有する石油接触分解油
等の石油留分を、基質含有有機溶媒として用いることが
可能となり、二相系反応法の下でより効率的に2,6−
ナフタレンジカルボン酸あるいはその塩を生産すること
ができる。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
分離 下記表2に示す組成からなるK液体培地5mlに、2,
6−ジメチルナフタレンを1%(w/v)溶解したデカ
リンを重層し二相系培養液を作製した。二相系培養液は
pH7.0に調整後、121℃で15分間滅菌して使用
した。
(約0.5g)を上記培養液に加え、30℃で7日間振
とう培養を行なった(集積培養I)。次に、集積培養I
の水層部から1ml採取し、新たな上記二相系培養液を
加え、30℃で3日間、集積培養Iと同様の培養条件で
培養した(集積培養II)。
てこれより種々希釈液を作成し、その内の100μl
を、培地1リットル当たり15gの寒天を加えて調製し
た寒天培地に塗布し、唯一炭素源としてジエチルエーテ
ルに溶解した2,6−ジメチルナフタレンを噴霧供給し
て、30℃で5日間培養した。クリアゾーンを形成し出
現したコロニーを、K液体培地5mlに2,6−ジメチ
ルナフタレンを1%(w/v)溶解したデカリンを重層
してなる二相系培養液に植菌し、30℃で7日間振とう
培養を行なった。
PLCにより分析し2,6−ナフタレンジカルボン酸量
を定量した。これにより有機溶媒を資化しない2,6−
ジメチルナフタレンから2,6−ナフタレンジカルボン
酸を生産する菌体を選択し、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸の生産量の高い菌株として、S1−22−18株
(FERM P−14792)を取得した。
ジメチルナフタレンを1%(w/v)溶解したデカリン
5mlとを入れ、二相系培養液を調製し、この培養液に
S1−22−18株を1白金耳植菌し、30℃で7日
間、250rpmで振とう培養を行なった。培養後この
二相系培養液の水層部を常法に従い2,6−ナフタレン
ジカルボン酸をHPLCにて分析、定量したところ、下
記表3に示すとおり32mg/lの2,6−ナフタレン
ジカルボン酸が生産された。
系反応における生産試験を行なった。
溶解せず、K液体培地5mlに固体状で50mg添加し
た固−液系培養液に、S1−22−18株を1白金耳植
菌し、実施例2と同様の条件で振とう培養した。培養
後、実施例2と同様に分析、定量を行なったところ、表
3に示すとおり生産量は4.5mg/lであった。
10mlを入れ121℃で15分間蒸気殺菌した後、S
1−22−18株を植菌し、30℃で2日間振とう培養
により増殖を行なった。この増殖菌体を集菌して0.1
M燐酸緩衝液(pH7.4)で二回洗浄し、同緩衝液3
mlに再懸濁を行なった。この懸濁液と下記表5に示す
各有機溶媒に2,6−ジメチルナフタレンを1%(w/
v)溶解させたもの5mlとを内径21mmの試験管に
入れ、30℃で3日間、250rpmで振とう培養を行
なった。培養液の水層部をHPLCにより分析し2,6
−ナフタレンジカルボン酸量を定量した。用いた有機溶
媒ごとの2,6−ナフタレンジカルボン酸生産量を下記
表5に示す。
媒を使用せず2,6−ジメチルナフタレンを固体状で5
0mg添加し、実施例3と同様の手順で休止菌体反応を
試験した。結果を表5に示す。
製した。この懸濁液5mlと石油接触分解油(LCO)
5mlとを内径21mmの試験管に入れ、30℃で3日
間、250rpmで振とう培養を行なった。培養液の水
層部をHPLCにより分析し2,6−ナフタレンジカル
ボン酸量を定量した。5.6mg/lの2,6−ナフタ
レンジカルボン酸が生産された。
は、沸点範囲が160〜340℃であり、2,6−ジメ
チルナフタレンを1.5%(w/v)含有している。
によれば二相系反応方法において、良好な2,6−ナフ
タレンジカルボン酸の生産もしくは変換ができ、しかも
従来、発酵生産において未利用であった石油接触分解油
等の石油留分を直接、基質含有有機溶媒として用い変換
できることが明らかとなった。
し、かつ2,6−ジメチルナフタレンの両メチル基末端
酸化能を有する、2,6−ジメチルナフタレンを含む有
機溶媒と培地からなる二相系において、生育もしくは反
応可能である生成菌、もしくはその休止菌体、又はその
処理物もしくは菌体由来の酵素を用い、2,6−ジメチ
ルナフタレンから2,6−ナフタレンジカルボン酸を効
率良く生産することができる。
り、しかも、本発明菌によれば上記した効果のほかに、
石油接触分解油等の石油留分を、基質として、そしてま
た有機溶媒として同時に利用することができるので、工
業的な面で特にすぐれている。
Claims (6)
- 【請求項1】 下記の菌学的性質を有し、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸生成菌であるS1−22−18株。 (a)形態 (1)細胞の形態と大きさ :桿菌 肉汁寒天培地生育菌(0.7〜0.8)×(1.4〜
2.1)ミクロン 肉汁液体培地生育菌(0.7〜1.0)×(1.9〜
3.4)ミクロン (2)運動性の有無と鞭毛の着性状態:なし (3)細胞の多形性及び胞子の有無 :共に無し (4)グラム染色性 :陰性 (5)抗酸性 :認められない。 (b)各種培地における生育状況 (1)肉汁寒天平板培養:生育良好。コロニー周辺部に
放射状のしわを形成し、周縁は波状。特徴的集落色素、
拡散性色素の産生は認められない。 (2)肉汁寒天斜面培養:生育良好。コロニー周辺部に
放射状のしわを形成し、周縁は波状。特徴的集落色素、
拡散性色素の産生は認められない。 (3)肉汁液体培養 :培地全体の生育及び薄い表面
被膜の形成が認められる。 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養:培地の上部に生育が認め
られるが、液化は認められない。 (5)リトマス・ミルク:アルカリの生成を認める。凝
固は認められない。 (c)生理学的性質(1) (1)硝酸塩の還元 :陽性 (2)脱窒反応 :陰性 (3)MRテスト :陰性 (4)VPテスト :陰性 (5)インドールの生成 :陰性 (6)硫化水素の生成 TSI寒天 :陽性 酢酸鉛寒天 :陽性 (7)デンプンの加水分解 :陰性 (8)クエン酸の利用 Koser培地 :陽性 Christensen培地 :陽性 (9)無機窒素源の利用 硝酸塩 :陽性 アンモニウム塩 :陽性 (10)色素の生成 :陰性 (11)ウレアーゼ :陰性 (12)オキシダーゼ :陽性 (13)カタラーゼ :陽性 (14)生育の範囲 pH :5.5〜9.0(6.0〜8.0) で生育良好 温度 :5〜35℃(30℃で良好) (15)酸素に対する態度 :好気的 (16)OFテスト :酸化的 (17)酸及びガスの生成 糖質 酸の生成 ガスの生成 L−アラビノース − − D−キシロース − − D−グルコース − − D−マンノース − − D−フラクトース − − D−ガラクトース − − マルトース − − シュークロース − − ラクトース − − トレハロース − − D−ソルビトール − − D−マンニトール − − イノシトール − − グリセリン − − デンプン − − (18)アルギニンヒドロラーゼ :陰性 (19)尿素分解 :陰性 (20)エスクリン分解 :陰性 (21)ゼラチン液化 :陰性 (22)β−ガラクトシダーゼ :陰性 (23)生育炭素源の利用 グルコース − L−アラビノース − D−マンノース − D−マンニトール + N−アセチル−Dグルコサミン − マルトース − グルコン酸カリウム + n−カブリン酸 − アジピン酸 − dl−リンゴ酸塩 + クエン酸ナトリウム − フラクトース − 酢酸フェニル − (d)生理学的性質(2) (24)キノン種 :Q−8 (25)GC含量(%) :61 - 【請求項2】 請求項1に示す菌学的性質を有するS1
−22−18株を用いて2,6−ナフタレンジカルボン
酸を生成又は変換取得することを特徴とする2,6−ナ
フタレンジカルボン酸の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1に示す菌学的性質を有するS1
−22−18株を、2,6−ジメチルナフタレンを溶解
した有機溶媒と培地からなる二相系において培養し、
2,6−ナフタレンジカルボン酸を生成させることを特
徴とする2,6−ナフタレンジカルボン酸あるいはその
塩の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1に示す菌学的性質を有するS1
−22−18株を、2,6−ジメチルナフタレンを含む
か、もしくは含まない培地で培養し、集菌後その菌体も
しくは休止菌体、又はその処理物もしくは菌体由来の酵
素を用いて、2,6−ジメチルナフタレンを含む有機溶
媒と培地からなる二相系において反応させて、2,6−
ナフタレンジカルボン酸を生成させるか、もしくは2,
6−ジメチルナフタレンを2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸に変換させることを特徴とする2,6−ナフタレン
ジカルボン酸あるいはその塩の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1に示す菌学的性質を有するS1
−22−18株を、2,6−ジメチルナフタレンを含む
か、もしくは含まない培地で培養し、集菌後その菌体も
しくは休止菌体、又はその処理物もしくは菌体由来の酵
素を用いて、2,6−ジメチルナフタレンを含有する石
油留分と培地からなる二相系において反応させて、2,
6−ナフタレンジカルボン酸を生成させるか、もしくは
2,6−ジメチルナフタレンを2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸に変換させることを特徴とする2,6−ナフタ
レンジカルボン酸あるいはその塩の製造方法。 - 【請求項6】 請求項5記載の石油留分が石油接触分解
油であることを特徴とする2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸あるいはその塩の製造方法。
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JP10918595A JP2832807B2 (ja) | 1995-04-11 | 1995-04-11 | 新規微生物及び該微生物を用いた2,6− ナフタレンジカルボン酸の製造方法 |
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JP10918595A JP2832807B2 (ja) | 1995-04-11 | 1995-04-11 | 新規微生物及び該微生物を用いた2,6− ナフタレンジカルボン酸の製造方法 |
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JP (1) | JP2832807B2 (ja) |
-
1995
- 1995-04-11 JP JP10918595A patent/JP2832807B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH08280380A (ja) | 1996-10-29 |
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