JP2827830B2 - 構造物の耐震構造 - Google Patents

構造物の耐震構造

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泰嗣 黒川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】軟弱地盤上に構造物を構築する場
合、構造物が、地震力によって転倒しようとする浮上り
変形に対する耐震構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、軟弱地盤に建設する構造物で
は、剛な基礎を構築して、その上に構造物を建設し、相
応の耐震構造を設けたが、構造物が転倒しようとする浮
上り変形に対して適切な手段がなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来は
軟弱な地盤に構造物を建設する場合は、大掛かりな剛な
基礎を構築して、その上に構造物を建設し、相応の耐震
構造を設けなければならなかった。
【0004】また既存の構造物、例えば重要文化財、記
念建築物等には従来の方法では解決できなかった。
【0005】本発明はこうした課題を解決するように工
夫されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】構造物の直下の基礎の周
辺に剛な周辺基礎構造を設け、前記構造物の基礎および
剛な周辺基礎構造の下部の地盤を高圧注入法で地盤改良
し、前記剛な周辺基礎構造を改良した地盤にアンカーで
固定し、前記構造物の剛な周辺基礎構造と構造物の間を
上下の変形を抑制するダンパで接合し、地震時の構造物
の浮き上がり変形を防止し、前記構造物の頂部に振動制
御装置を設置するか、または前記構造物のブレース材と
梁、柱間の接合部に振動制御装置を設置して、広帯域の
振動を制御してなることを特徴とする構造物の耐震構造
を要旨とする。
【0007】先ず構築しようとする構造物の直下の基礎
地盤周辺、剛な周辺基礎構造を設け
【0008】構造物の基礎及び剛な周辺基礎構造の下部
を、高圧注入法等によって地盤改良し、構造物の剛な周
辺基礎構造を改良した地盤にアンカーで固定する。
【0009】構造物と剛な周辺基礎構造を、上下方向の
変形を抑制する各種ダンパで接合し、構造物の上方向の
変形を抑制する。
【0010】更に構造物の頂部に動吸振器、アクティブ
動吸振器またはアクティブ振動制御装置を設置した構造
とする。また前記構造物の構造のブレース材の梁、柱と
の接合部間にダンパ又はアクティブ振動制御装置、例え
ば可変減衰装置とか可変剛性装置を取着した構造であ
る。
【0011】
【作用】剛な周辺基礎構造部のダンパによる振動低減の
原理は次の通りである。
【0012】構造物の頂部が水平変形δH を受けた場
合、構造物の基礎の一端は、片面が地盤から浮き上がろ
うとする。
【0013】この時構造物はδH /Hの変形角を生ず
る。ここにHは構造物の高さを表す。従って構造物の基
礎の浮上り変形はδF =(δH /H)×(L/2)だけ
生じる。ここにLは構造物の浮上り変形方向の幅を表
す。この様子を図2、図3に示す。ダンパは変形差を生
ずる部分に設置することにより、減衰力を発揮すること
が出来るので、構造物の周辺に上下変形を拘束する剛な
周辺基礎構造を設け、構造物と該剛な周辺基礎構造の間
ダンパを設置してδF の変形がダンパに強制的に作用
して耐震の目的を達成するものである。
【0014】また、構造物の頂部に振動制御装置を設置
し、さらに構造物のブレース材と梁、柱間の接合部に設
置した振動制御装置は、広帯域の振動を制御するのに有
効である。
【0015】
【実施例】図1に本発明の実施例を示す。構造物1の基
礎2の周辺に、剛な周辺基礎構造3を設ける。
【0016】また構造物の基礎2及び剛な周辺基礎構造
3の下部の地盤を、高圧注入法等で地盤改良し、改良地
盤4とする。
【0017】また構造物1の基礎2の地盤が軟弱な場合
には、構造物1の基礎2も高圧注入法等で地盤改良する
こともある。
【0018】先の剛な周辺基礎構造3を、この改良地盤
4に地盤アンカー5で固定し、剛な周辺基礎構造3が上
方への浮き上がろうとする変形を拘束する。
【0019】そして構造物1と剛な周辺基礎構造3の
上下方向の変形を抑制する振動制御装置即ち各種ダン
パ8で接合する。
【0020】こうすることによって、地盤が軟弱で構造
物1が転倒しようとする浮き上がり変形に対して、振動
減衰を発揮させる。
【0021】このような構成で、大地震に対しての一定
の振動低減を図った上、構造物の頂部等に付加重錘式振
動制御装置、例えば動吸振器、アクティブ動吸振器又は
アクティブ・マス・ドライバー6等を設置してより大き
な振動減衰を図る。又構造物のブレース材の梁、柱との
接合部間にパッシブ、アクティブ各種の振動制御装置7
を設置することにより周辺基礎構造3に配設したダンパ
8と組合わさって、有効に振動低減を図ることが出来
る。
【0022】
【発明の効果】この耐震構造は、特に既設の構造物で耐
震安全性が充分でない場合に有効である。また構造物の
頂部に振動制御装置を設けることにより、中地震から大
地震まで効果的に振動減衰が図られる。すなわち比較的
コストの安い弾性ダンパ、オイルダンパ等で、大地震時
の一定の応答低減を図った上に、コストは比較的高いが
応答低減効果の大きいアクティブ振動制御装置の設置を
併用することにより、アクティブ振動制御装置の振動低
減範囲の上限を低く押さえることが出来、剛な周辺基礎
構造部のダンパによる効果と組み合わせて、小・中地震
から大地震まで、又暴風による振動も含めて、大きな振
動低減効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構造を示す図である。
【図2】構造物が転倒しようとする浮上り変形の原理を
示す図である。
【図3】構造物が転倒しようとする浮上り変形を示す図
である。
【符号の説明】
1・・・構造物、2・・・構造物の基礎、3・・・剛な
周辺基礎構造、4・・・改良地盤、5・・・地盤アンカ
ー、6・・・振動制御装置(動吸振器、アクティブ動吸
振器またはアクティブ・マス・ドライバー)、7・・・
振動制御装置(ダンパまたはアクティブ振動制御装
置)、8・・・ダンパ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒川 泰嗣 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (72)発明者 栗野 治彦 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−132216(JP,A) 特開 平3−81476(JP,A) 特開 平2−30806(JP,A) 特開 昭63−19378(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 27/34 E04H 9/02 311 E04H 9/02 331 E04H 9/02 341

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の直下の基礎の周辺に剛な周辺基
    礎構造を設け、前記構造物の基礎および剛な周辺基礎構
    造の下部の地盤を高圧注入法で地盤改良し、前記剛な周
    辺基礎構造を改良した地盤にアンカーで固定し、前記構
    造物の剛な周辺基礎構造と構造物の間を上下の変形を抑
    制するダンパで接合し、地震時の構造物の浮き上がり変
    形を防止し、前記構造物の頂部に振動制御装置を設置す
    るか、または前記構造物のブレース材と梁、柱間の接合
    部に振動制御装置を設置して、広帯域の振動を制御して
    なることを特徴とする構造物の耐震構造。
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