JP2824589B2 - ベンゾトリアゾール誘導体の製造方法 - Google Patents

ベンゾトリアゾール誘導体の製造方法

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JP2824589B2
JP2824589B2 JP1253715A JP25371589A JP2824589B2 JP 2824589 B2 JP2824589 B2 JP 2824589B2 JP 1253715 A JP1253715 A JP 1253715A JP 25371589 A JP25371589 A JP 25371589A JP 2824589 B2 JP2824589 B2 JP 2824589B2
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D249/00Heterocyclic compounds containing five-membered rings having three nitrogen atoms as the only ring hetero atoms
    • C07D249/16Heterocyclic compounds containing five-membered rings having three nitrogen atoms as the only ring hetero atoms condensed with carbocyclic rings or ring systems
    • C07D249/18Benzotriazoles
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は対応するo−ニトロフェニルアゾヒドロキシ
フェニル化合物の、白金水素添加触媒の存在下における
接触的水素添加によるハロゲン含有2−(2−ヒドロキ
シフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの製造法に関す
るものである。
(従来の技術) 2−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリア
ゾールは、文献上価値ある紫外線吸収剤として知られて
いる。それらは非常に多くの基質の光安定剤として、例
えば熱可塑性樹脂や塗料材料(例えば仕上げ塗料)を安
定化するために、そしてまた各種の記録材料、例えば写
真感光層や印画紙、また印刷インクや印刷用紙及び織物
類において広く実用化されている。
(発明が解決しようとする課題) これらの化合物の重要性に沿って、それらを製造する
ために、既に非常に多数の方法が提案されている。これ
ら方法の大部分は上記のo−ニトロフェニルアゾ化合物
から出発し、各種の還元方法に従った還元的環化反応を
利用している。これらの還元法の一つが、多くの刊行物
中に上記ベンゾトリアゾールのために記述されている接
触的水素添加である。しかし、もしハロゲン含有o−ニ
トロフェニルアゾ化合物を水素添加すると、ハロゲンの
脱離による問題を生ずる。これを克服するためには、あ
る種の水素添加触媒だけが使用可能であるか、または付
加的手段をとらなければならなかった。
米国特許第3,978,074号には上記の型の水素添加法が
記載されてあり、それはアルカリ性の、そして好ましく
は水性媒体中で行なわれ、そして水素添加触媒は通常の
稀金属触媒及び他の金属触媒である。特に、もし金属、
例えば白金(Pt)を触媒として使用すると、ハロゲン含
有出発物質の脱ハロゲンの起ることが指摘され、その救
済策として、脱ハロゲンを避けるために硫化物触媒(例
えばPtS,NiS及び同類のもの)の使用が示唆されてい
る。
英国特許公開第1,494,825号公報及び第1,494,824号公
報によれば、水素添加は同様にアルカリ性の純粋に水性
の媒体中(英国特許公開第1,494,825号)または水性/
有機溶媒中(英国特許公開第1,494,824号公報)で行な
われている。使用された水素添加触媒は稀金属である
が、塩素含有ニトロアゾ化合物の場合は、パラジウム
(Pd)を触媒として使用できない。塩素含有ベンゾトリ
アゾールの製造のためには、上記2件の英国特許のそれ
ぞれでルテニウム(Rh)、特に炭素上5%のRhが触媒と
して用いられており、そのことからPdばかりでなくPtも
ハロゲン含有製品の製造には不適当であると見倣された
ことが結論される。
英国特許公開第1,494,823号公報に記載された水素添
加法は塩基としての有機アミンと通常の稀金属触媒を用
いて、有機溶媒中で行なわれ、そして塩素置換体の場合
には、Pdは触媒としては排除されている。塩素置換出発
物質の場合にはここで再び、炭素上5%のRhが用いられ
ている(第3頁、左欄、第2節:実施例7及び8参
照)。
米国特許第4,219,480号は水素添加触媒としてのニッ
ケル触媒の使用を教えている。実施例8もまた非常な高
収率でないとはいえ、塩素含有ベンゾトリアゾールの製
造を実証している。
特開昭52−113,973号公報には特に、接触的水素添加
による塩素置換2−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−
ベンゾトリアゾールの製造が開示されている。使用され
た触媒は、就中、また炭素上5%の白金である。しか
し、NaOHのような通常の塩基と有機アミン(例えばトリ
エチルアミン)を用いると、収率が比較的低い(実施例
6及び7参照)ことが見出された。NaBH4のような普通
ではない塩基または所謂“超塩基”例えば、1,5−ジア
ゾビシクロ〔5,4,0〕−ウンデセ−5−エンを用いると
きのみに、やや高い収率となる。同じ方法が塩素置換体
でないベンゾトリアゾールのために特開昭52−113,974
号公報に記載されている。
(課題を解決するための手段) 驚くべきことに本発明者等は、水素添加触媒として白
金を用いても、塩基として単純なアミンを用いても、脱
ハロゲン化を起すことなく、ハロゲン化(特に塩素化)
2−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾ
ールが高収率で得られることを見出した。このことは0.
1ないし3重量%の量の白金を含有する担体上の白金触
媒を用いることによって可能となる。
次式I: 〔式中、Xはハロゲン原子を表わし、R1は水素原子、炭
素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数5もしく
は6のシクロアルキル基、フェニル基またはフェニル−
炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、そしてR2
は炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数5も
しくは6のシクロアルキル基、フエニル基、フエニル−
炭素原子数1ないし4のアルキル基または次式:−CnH
2n−COOR3(式中、nは0ないし4を表わし、そしてR3
は水素原子または炭素原子数1ないし12のアルキル基を
表わす。)で表わされる基を表わす。〕で表わされる2
−(2−ヒドロキシフエニル)−2H−ベンゾトリアゾー
ルを次式II: で表わされるアゾ化合物の、白金水素添加触媒と有機ア
ミンの存在下における接触的水素添加により製造するた
めの本発明方法において、使用される水素添加触媒は担
体上0.1ないし3重量%の白金が担持されたものであ
る。
式Iにおいてハロゲン原子は塩素原子、臭素原子また
は弗素原子を表わし、特に塩素原子を表わす。フエニル
−炭素原子数1ないし4のアルキル基(R1,R2)は特に
ベンジル基、フエニルエチル基、α−メチルベンジル基
及びα,α−ジメチルベンジル基、好ましくはベンジル
基を表わす。R3は好ましくは水素原子または炭素原子数
1ないし4のアルキル基、特に水素原子またはメチル基
を表わす。低級アルキルエステル、特にメチルエステル
からは、その後のケン化によって、R3が水素原子を表わ
す化合物を製造することができ、或いは、エステル交換
によって他のアルキル基R3を有する化合物を製造するこ
とができる。式IIで表わされる出発化合物は、例えば始
めに引用した印刷刊行物または欧州特許第57,160号から
公知であり、或いはそれらを上記文中に示された方法に
より、例えば次式: で表わされるo−ニトロアニリンをジアゾ化し、生成し
たジアゾニウム塩を次式: で表わされるフエノールとカツプリングすることにより
製造することができる。
Xが塩素原子を表わす式Iの化合物、例えば式中、R1
が水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基または
フエニル−炭素原子数1ないし3のアルキル基を表わ
し、そしてR2が炭素原子数1ないし12のアルキル基、フ
エニル−炭素原子数1ないし3のアルキル基または次
式:−C2H4COOR3(式中、R3は水素原子または炭素原子
数1ないし12のアルキル基、特に水素原子または炭素原
子数1ないし4のアルキル基を表わす)で表わされる基
を表わす化合物が製造されることが好ましい。
式Iで表わされ、式中、R1が水素原子または炭素原子
数1ないし8のアルキル基を表わし、そしてR2が炭素原
子数1ないし8のアルキル基を表わす化合物の製造は実
用上特に重要である。
本発明にとり、白金触媒が0.1ないし3重量%の担持
量の白金を含有していることが必須である。0.2ないし
2.5重量%、特に0.3ないし2重量%、例えば0.5ないし
1.5重量%、そして好ましくは0.8ないし1.2重量%の白
金の存在する触媒を使用すると有利である。
使用される担体は水素添加触媒の技術分野において慣
用のもの、例えば炭素(例えば活性炭、木炭、泥炭)、
珪藻土、アルミナ、硫酸バリウム及び同類のものでよ
い。好ましい担体は炭素である。それ故に、本発明によ
る好ましい触媒は上記の項で示した量及び好ましい量の
白金を含有するPt/C触媒である。
触媒の使用量は、原料に用いたo−ニトロアゾ化合物
に対して0.1ないし6%、特に0.5ないし4%、例えば1.
0ないし3.0%であることが有利である。この方法は回分
式に(不連続に)実施されるので、勿論、触媒を過に
よって適切に回収することができる。
使用される有機アミンは脂肪族アミン、環式脂肪族ア
ミンまたは芳香族アミンでよい。これらの例は下記の通
りである。
1).モノ−、ジ−またはトリ−炭素原子数1ないし12
のアルキルアミン、特に炭素原子数1ないし6のアルキ
ルアミン及び好ましくは炭素原子数1ないし4のアルキ
ルアミン(各アルキル鎖は指定数の炭素を含有すること
ができ、そして個々のアルキル鎖は同一または異なるも
のである。)、例えばメチルアミン、エチルアミン、n
−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルア
ミン、i−ブチルアミン、t−ブチルアミン、アミルア
ミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルア
ミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ
−i−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン及び
ジ−n−ブチルアミン。
2).モノ−またはポリ−アルキレンポリアミン。これ
らのものの例は式:H2N−CnH2n(NH−CmH2m−NH2
表わされる化合物で、式中、pは0ないし4の数を表わ
し、そしてn及びmは相互に独立して1ないし6の数を
表わし、そしてp>1の場合、指数mは同一の数または
異なる数を表わす。アルキレン鎖は未分岐の基が好まし
い。ポリアルキレンポリアミン(p≠0)の場合、n+
mの総和は好ましくは2ないし20、特に4ないし18、例
えば4ないし12である。特に好ましくは、n及びmは相
互に独立して2ないし4の数を表わす。指数pは好まし
くはO(アルキレンジアミン)または1ないし3の数、
特に1または2(ポリアルキレンポリアミン)を表わ
す。次に示すものはモノアルキレンポリアミン(アルキ
レンジアミン)及びポリアルキレンポリアミンの分類に
属するものの例である: エチレンジアミン、n−プロピレンジアミン、n−ブ
チレンジアミン、n−ペンチレンジアミン、n−ヘキシ
レンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテ
トラミン、ジ−n−またはi−プロピレントリアミン、
トリ−n−またはi−プロピレンテトラミン、ジ−n−
ブチレントリアミン及びトリ−n−ブチレンテトラミ
ン。
3).モノ−、ジ−及びトリ−炭素原子数1ないし4の
アルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−n−
プロパノールアミン、ジ−n−プロパノールアミン及び
トリ−n−プロパノールアミン。
4).5ないし7個の炭素原子を有する環状アミン、例え
ばシクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン
及びシクロペンチルアミン。
5)。芳香族炭素環状アミン、特にフエニルアミン、ジ
フエニルアミン、炭素原子数1ないし4のアルキルフエ
ニルアミン及びフエニル−炭素原子数1ないし3のアル
キルアミン、例えばアニリン、o−、m−及びp−トル
イジン、o−、m−及びp−フエニレンジアミン、ベン
ジルアミン、ジフエニルアミン並びにN−炭素原子数1
ないし4のアルキルアニリン及びN,N−ジメチルアニリ
ンのようなN,N−ジ(炭素原子数1ないし4のアルキ
ル)アニリン。
6).芳香族または脂肪族の複素環状アミン、特に5員
環または特に6員環を有するもの、例えばピリジン、ピ
ペリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジン及びモル
ホリン。
もし複素環式アミンを用いるときは、単環式のものが
好ましい。
好ましいアミンは上記の群、1),2),3)及び4)、
特に1),2)及び3)そして格別に1)及び2)からの
ものである。モノ−、ジ−またはトリ−(炭素原子数1
ないし6のアルキル、特に炭素原子数1ないし4のアル
キル)アミンまたはシクロヘキシルアミン、特にメチル
アミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロ
ピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、t
−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジメチルアミ
ン、ジエチルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n
−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブ
チルアミン、トリメチルアミンまたはトリエチルアミン
は本発明方法で用いるのに、特に好ましく、式H2N−(C
H2n′−NH−(CH2m′−〔NH−(CH2p′
NH2で表わされ、n′,m′及びp′が相互に独立して2
ないし4を表わし、そしてq′が0または1を表わす炭
素原子数2ないし6のアルキレンジアミンまたはポリア
ルキレンポリアミン、特にエチレンジアミン、n−プロ
ピレンジアミン、n−ブチレンジアミン、n−ペンチレ
ンジアミン、n−ヘキシレンジアミン、ジエチレントリ
アミン、トリエチレンテトラミン、ジ−n−プロピレン
トリアミン、トリ−n−プロピレンテトラミン、ジ−n
−ブチレントリアミン及びトリ−n−ブチレンテトラミ
ン、さらに格別にジエチレントリアミン、トリエチレン
テトラミン、ジ−n−プロピレントリアミン、トリ−n
−プロピレンテトラミン、エチレンジアミン及びn−プ
ロピレンジアミンも同様である。
塩基として、モノ−(炭素原子数1ないし4のアルキ
ル)アミン、例えばi−ブチルアミン、n−ブチルアミ
ン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、エチル
アミン及びメチルアミン、特に上記の最初の二種のアル
キルアミン及びジエチルアミン、並びに炭素原子数2な
いし6のアルキレンジアミンまたはポリアルキレンポリ
アミン、例えばエチレンジアミン、n−プロピレンジア
ミン、n−ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン及
びトリエチレンテトラミンが特に有利であることが判っ
た。
アミンはまた、反応媒体として、そして唯一の溶媒と
しての、(特にモノ−、ジ−またはトリ−炭素原子数1
ないし6のアルキルアミンが用いられるときに、)機能
を果たすことができる。この場合、これ以外には反応物
や反応生成物のための溶媒を必要としない。
しかし、反応媒体中に少くとももう一種の溶媒が存在
すると有利である。これは水または有機溶媒でよい。も
し、式Iで表わされ、式中、R2が−CnH2n−COOR3を表わ
し、そしてR3が水素原子を表わす化合物を製造するなら
ば、上記の付加溶媒は水であることが好ましく、すべて
のそれ以外の場合には有機溶媒であることが好ましい。
後者の場合、水と容易に混和できる溶媒(極性溶媒)で
あるか、または水と混和できないか、或は、殆んど混和
できない溶媒(非極性溶媒)である。有機溶媒がアミン
の他に使用される場合、前者は水と混和できないか、も
しくはほとんど混和できない、または後者と水にすぐに
混和する溶媒との組合せである溶媒が好ましい。
水と混和できないか、または殆んど混和できない溶液
の(非極性溶媒)の例は炭化水素、例えて言えば脂肪族
炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタンおよび石油エーテ
ル);脂環式炭化水素(例えばシクロヘキサン及びメチ
ルシクロヘキサン)並びに芳香族炭化水素(例えばベン
ゼン、トルエン、キシレン)そしてまたハロゲン化炭化
水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリ
クロロベンゼン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、
トリクロロエタン及び同類のものである。
容易に水と混和できる溶媒(極性溶媒)の例はエーテ
ル、エステル、ケトン、アミド(例えばジエチルエーテ
ル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、1,
2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、アセト
ン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロ
ピルケトン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド及び
同類のもの)、トリアルキルホスフエート(例えばトリ
エチルホスフエート)そして特にアルコール、なかでも
1ないし6個、そして特に1ないし4個の炭素原子を有
する低級脂肪族アルコールで、それは例えば1価ないし
3価、特に1価または2価そして好ましくは1価のもの
である。このようなアルコールの例はメタノール、エタ
ノール、n−プロパノール、イソプロパノール、第二−
ブタノール、n−ブタノール、アミルアルコール、ヘキ
サノール、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、2−メトキシエタノールである。
本発明方法において用いられる溶媒は特に好ましくは
芳香族炭化水素、特にベンゼン、トルエンまたはキシレ
ンまたは上記溶媒と低級脂肪族アルコール、特にn−ブ
タノールまたはi−またはn−プロパノールそして特に
メタノールまたはエタノールとの混合物である。
アミンにつけ加えて用いられる溶媒として水を使用す
る場合には、単独で使用できるか、或は水と混和し得
る、及び/または水と混和し得ない有機溶媒と組合せて
使用できる。このような有機溶媒の例と、優先度は上記
に示してある。式Iで表わされ、式中、R2がCnH2n−COO
R3を表わし、そしてR3が水素原子を表わす化合物の製造
のために特に好ましい溶媒系は水とモノ−またはジ−炭
素原子数1ないし4のアルキルアミンとの組合せ、特に
水とジエチルアミンとの、好ましくは約1:1の比率にお
ける組合せである。
もし、有機アミンが溶媒としての機能を果さなくて
も、反応混合物中に、出発物質のo−ニトロアゾベンゾ
ール1モル当り少くとも0.1モル、できれば少くとも0.5
モル、そして好ましくは少なくとも0.9ないしおよそ8
モルの量のアミンが存在すると有利である。もしそのア
ミンが部分的にか、または唯一の溶媒として完全に、溶
媒の機能を果たすのであれば、少くとも反応成分及び生
成物を溶解し、分散するのに必要なだけの量のものが使
用される。
本発明方法は不連続式(回分式)に、あるいはまた連
続式に実施することができる。連続法のためには、固定
床触媒、例えば高圧固定床水素添加装置、が特に適して
いる。この場合、反応混合物が連続的に取り出され、そ
して新しいニトロアゾ化合物とアミンの混合物、適当な
らさらに溶媒を加えた混合物が供給される。
連続法が可能で、高い転化率と短時間反応につなが
る、本発明方法の中の特に有利な変法においては、最初
に溶媒の一部と混合した触媒をオートクレーブに導入
し、オートクレーブを水素で加圧し、そして残部の溶媒
に溶解または分散した式IIで表わされる適当な化合物
を、例えば計量ポンプによって供給する。そこで反応溶
液を連続的に取り出すことができ、通常の方法で最終製
品を分離することができる。一方、不連続法において
は、触媒もまた分離することができ液を適当に再生す
ることができる。
水素添加は0ないし120℃、例えば15ないし150℃、特
に20ないし80℃の温度で実施すると有利である。25ない
し50℃、特に30ないし45℃の反応温度が特に有利であ
る。
水素添加中の水素圧は1ないし100bar、例えば1ない
し50bar、特に5ないし30bar、そして好ましくは10ない
し20barの範囲にとることができる。施用水素圧は主と
して、利用できる水素添加装置によってきまる。高圧装
置では100ないし200barの圧力も可能となる。この程度
の圧力は、特に連続法においては普通である。
水素添加時間は広い範囲で変更可能であり、使用触
媒、水素圧、反応温度及び使用装置の如何による。例え
ば30秒から5時間迄、特に10分ないし3時間、例えば10
分ないし2時間の範囲であり得る。例えば連続法におい
ては、実用上、1ないし60分特に1ないし30分の滞留時
間を期待することができる。
最終製品は、当該技術に通じている人々に知られた慣
用手段により反応媒体から分離される。それは使用溶媒
の性質によって変更される。適切な方法には反応混合物
からの沈澱と該沈澱物の別が含まれ、必要ならば特定
の最終製品が殆んど溶けない溶媒を加えることにより、
あらかじめ反応混合物を濃縮しておく。
仕上げ工程や、如何なる精製工程も実施例から読みと
ることができる。
既に始めに述べたように、本発明により製造すること
のできる2−(2−ヒドロキシフエニル)−2H−ベンゾ
トリアゾールは価値ある紫外線吸収剤であり、実用上、
例えば冒頭に列挙したような多数の適用物のための光安
定剤として使用することができる。上記ベンゾトリアゾ
ールについて可能な詳細な用途は米国特許第3,055,896
号、第3,004,896号、第3,072,585号、第3,074,910号、
第3,189,615号及び第3,230,194号に記載されてある。
本発明方法はベンゾトリアゾール誘導体の製造のため
に、工業的に特に有利で経済的な路を開くものである。
(実施例、発明の効果) 次に、実施例により、本発明方法を更に詳細に説明す
る。実施例、その他の記述、及び特許請求において他に
特記することがなければ、部は重量部、パーセント値は
重量パーセントを表わす。
実施例1: 5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3−第
三−ブチル−5−メチルフエニル)−2H−ベンゾトリア
ゾール 2−ニトロ−5−クロロ−2′−ヒドロキシ−3′−
第三ブチル−5′−メチルアゾベンゼン(純度86%)60
g、キシレン40g、n−ブチルアミン60g及び活性炭に1
%の白金が担持された触媒1gをアルゴン下、室温の300m
l水素添加反応器中に仕込む。次にアルゴンを水素に置
換する。10bar迄水素を注入した後、激しく撹拌しなが
ら35ないし37℃で水素添加を行なう。放出熱を冷却除去
する。アゾベンゼン出発物質に対して2モル当量の水素
添加後に水素吸収が止むことによって水素添加反応の終
点を容易に認めることができる。全水素添加時間は約1.
5時間である。
反応内容物を70ないし80℃に加熱した後、過によっ
て触媒を分離する。n−ブチルアミンとキシレンの一部
を蒸溜によって液から除去する。次に得たるキシレン
溶液にメタノール150gを加えると、所望の製品が沈澱す
る。懸濁液を0℃に冷却した後、結晶(標記化合物)を
別、乾燥する。収量43.3gは理論量の91%に相当す
る。融点:138−140℃ 実施例2: 実施例1におけるn−ブチルアミン60g、キシレン40g
の代りにn−ブチルアミン100gを用いるという相違を除
いては実施例1を繰返す。水素添加速度または収量には
何の影響も認められない。キシレンをトルエンまたはベ
ンゼンに替えても逆効果がない。
実施例3: 水素添加圧力を10barから20bar水素に増加する相違を
除いては実施例1及び2を繰返す。水素添加時間が約1.
5時間から約1時間に短縮される。仕上げは同様で、事
実上、同じ収量が得られる。
実施例4: 5−クロロ−2−(ヒドロキシ−3,5−ジ−
第三ブチルフエニル)−2H−ベンズトリアゾール 2−ニトロ−5−クロロ−2′−ヒドロキシ−3′−
第三ブチル−5′−メチルアゾベンゼンの代りに当量の
2−ニトロ−5−クロロ−2′−ヒドロキシ−3′,5′
−ジ−第三ブチルアゾベンゼン(純度91%)を用いると
いう相違を除いては実施例1及び2を繰返す。標記の製
品が収量46.1g(理論量の92%)で分離される:融点154
−157℃ 実施例5: n−ブチルアミンを当量のジエチルアミンに替えると
いう相違を除いては、実施例1の変法の実施例4を繰返
すと、実施例4の化合物を同様の収率で得る。
実施例6: 水素添加温度を35ないし37℃から60℃に上げるという
相違を除いては、実施例1による変法の実施例4を繰返
す。その結果、水素添加時間が約1.5時間から約0.5時間
に短縮される。43.6g(理論量の87%)の収量の製品が
分離される。
実施例7: 活性炭上1%の白金の代りに、活性炭上0.5%の白金
を含有する同一量の触媒を使用するという相違を除い
て、実施例1による変法の実施例4を繰返す。そして製
品を理論量の93%の収率で得る。
実施例8: 活性炭上1%の白金の代りに、活性炭上2%の白金を
含有する同一量の触媒を使用するという相違を除いて実
施例1による変法の実施例4を繰返す。そして製品を理
論量の86%の収率で得る。
実施例9: n−ブチルアミン200g及び活性炭上1%の白金を含有
する触媒5.5gをアルゴン下、室温の2水素添加反応器
に導入する。反応器を密閉し、アルゴンを水素で置換す
る。10bar迄水素を注入した後、激しく撹拌しながら触
媒をn−ブチルアミン中に分散せしめる。同時に、2−
ニトロ−5−クロロ−2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ
−第三ブチルアゾベンゼン(純度91%)300gを外部容器
中、室温でキシレン300g中に分散させる。この分散液
を、自働計量装置を用い、水素圧に抗して水素添加反応
器中に、1時間以上かけて、ポンプ圧入する。かくして
20ないし40℃で、アゾ化合物の対応ベンゾトリアゾール
への水素添加が起る。
計量添加の終了後、反応内容物を70ないし80℃に加熱
し、そして過によって触媒を分離する。さらに実施例
1に倣い、原料の量に応じて増量した溶媒によって仕上
げの操作を行なう。これにより融点154−157℃の5−ク
ロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三ブチルフ
ェニル)−2H−ベンゾトリアゾール228g(理論量の91
%)を得る。
20ないし40℃から50℃への水素温度の上昇、または10
barから20barへの水素添加圧力の増加、または1時間か
ら5分間(2時間)へのアゾ化合物の計量添加時間の短
縮(延長)は製品の収量に有意の効果を示さない。事実
上、収量は同じである。
実施例10: 5−クロロ−2−〔2−ヒドロキシ−3−
第三ブチル−5−(2−メトキシカルボニルエチル)−
フエニル〕−2H−ベンゾトリアゾール 2−ニトロ−5−クロロ−2′−ヒドロキシ−3′−
第三ブチル−5′−カルボキシエチルアゾベンゼン(純
度88%)93g、水108g、エチルアミン108g及び活性炭上
に白金1%を含む触媒1.9gを1の水素添加反応器に、
アルゴン下、室温で導入する。
次にアルゴンを水素で置換する。10bar迄水素を注入
した後、激しく撹拌しつゝ、40℃で水素添加を実施す
る。全水素添加時間は約1時間である。水素吸収の停止
によって水素添加反応の終点がわかる。
反応内容物を60℃に加熱した後、触媒を過分離す
る。蒸溜によってジエチルアミンと一部の水を液から
除去する。次にキシレン500gを加え、そして約15gの83
%硫酸によって酸性化することにより、ベンゾトリアゾ
ールカルボン酸を有機相に移す。水性の下層部分を分離
した後、キシレン相を蒸溜濃縮し、そしてメタノール28
0と濃硫酸10gを添加することにより、ベンゾトリアゾー
ルカルボン酸を約70℃でエステル化する:そこで標記化
合物の製品が沈澱する。結晶を分離乾燥する。(収量7
1.2g、理論量の91%)。融点:125−128℃。
水素添加により形成された5−クロロ−2−〔2−ヒ
ドロキシ−5−第三ブチル−5−(2−カルボキシエチ
ル)フエニル〕−2H−ベンゾトリアゾールは所望の場
合、例えば水素添加終了後に反応混合物を酸性化し、そ
して沈澱物を別することにより、反応混合物から単離
されてもよい。
実施例11: 5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−
ジ−第三ブチルフエニル)−2H−ベンゾトリアゾール 実施例1による変法の実施例4を繰返す。しかし、n
−ブチルアミン60g及びキシレン40gを代りに、ジエチレ
ントリアミン40gとキシレン60gの混合物を使用する。全
体の水素添加時間は2時間である。
触媒を別した後、反応溶液は、黒色でアミンに富む
下層と製品を含む上部のキシレン層の二層に分れる。ア
ミンに富む下層部分は、改善された仕上げ操作とジエチ
レントリアミンの再生のためには分離するのが有利であ
るが、或は溶液系の中に残しておくこともできる。
ジエチレントリアミンは、反応溶液に水20gを加え、
その後約80ないし90℃で生ずる水性の下部アミン相の相
分離によって、反応溶液から事実上定量的に除去するこ
とができる。
実施例1による通常の仕上げ操作の後、標記化合物が
95%の収率で分離される。
水素添加圧力を10barから50barに上げても水素添加時
間の短縮以外には何の効果も示さない。事実上、同じ収
量となる。
ジエチレントリアミン40gの代りに当量のエチレンジ
アミンまたはトリエチレントリアミンを用いても水素添
加の工程の上にも、または製品の収量についても、有意
の効果を示さない。
実施例12: n−ブチルアミン60g、キシレン40gの代りにモノエタ
ノールアミン40gとキシレン60g、またはシクロヘキシル
アミン40gとキシレン60gのいずれかを用いるという相違
を除いては、実施例1による変法の実施例4を繰返す
と、実施例4の製品化合物を、実施例4よりもやや低い
収率で得る。
実施例13: 実施例1による変法の実施例4を繰返し、
キシレン40gの代りにキシレン30gとメタノール10gの混
合物を使用する。実施例4の製品化合物を87%の収率で
得る。
実施例14: n−ブチルアミン60g、キシレン40gの代り
にジエチレンジアミン40gとキシレン60gの混合物を用い
るという相違を除いては実施例1を繰返す。実施例1で
示したように、反応内容物を仕上げした後、キシレン/
メタノールから反応生成物を結晶析出させる。実施例1
の製品化合物を92%の収率で得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−113973(JP,A) 特開 昭51−139678(JP,A) 西独国公開2455155(DE,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 249/20 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式II: 〔式中、Xはハロゲン原子を表わし、R1は水素原子、炭
    素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数5もしく
    は6のシクロアルキル基、フェニル基またはフェニル−
    炭素原子数1ないし4のアルキル基を表わし、そしてR2
    は炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数5も
    しくは6のシクロアルキル基、フェニル基、フェニル−
    炭素原子数1ないし4のアルキル基または次式:−CnH
    2n−COOR3(式中、nは0ないし4を表わし、そしてR3
    は水素原子または炭素原子数1ないし12のアルキル基を
    表わす。)で表わされる基を表わす。〕で表わされるア
    ゾ化合物を、担体上に0.1ないし3%の白金を含有する
    水素添加触媒と有機アミン存在下に接触水素添加するこ
    とを特徴とする次式I: (式中、X,R1及びR2は式IIで定義したのと同じ意味を表
    わす。)で表わされる2−(2−ヒドロキシフェニル)
    −2H−ベンゾトリアゾールの製造方法。
  2. 【請求項2】上記式中、Xが塩素原子を表わす請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】上記式中、R1が水素原子、炭素原子数1な
    いし12のアルキル基またはフェニル−炭素原子数1ない
    し3のアルキル基を表わし、そしてR2が炭素原子数1な
    いし12のアルキル基、フェニル−炭素原子数1ないし3
    のアルキル基または次式:−C2H4COOR3(式中、R3が水
    素原子または炭素原子数1ないし12のアルキル基、特に
    水素原子または炭素原子数1ないし4のアルキル基を表
    わす)で表わされる基を表わす請求項1または2のいず
    れかに記載の方法。
  4. 【請求項4】上記式中、R1が水素原子または炭素原子数
    1ないし8のアルキル基を表わし、そしてR2が炭素原子
    数1ないし8のアルキル基を表わす請求項3記載の方
    法。
  5. 【請求項5】触媒として、炭素上に0.3ないし2%白金
    が担持された触媒を使用する請求項1ないし4のいずれ
    かに記載の方法。
  6. 【請求項6】触媒として、炭素上に0.5ないし1.5%白金
    が担持された触媒を使用する請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】使用される有機アミンがモノ−、ジ−また
    はトリ−炭素原子数1ないし6のアルキルアミン、シク
    ロヘキシルアミンまたは炭素原子数2ないし6のアルキ
    レンジアミンまたは次式:H2N−(CH2n′−NH−(C
    H2m′−〔NH−(CH2p′−NH2(式中、n′,
    m′及びp′が相互に独立して2ないし4を表わし、そ
    してqが0または1を表わす。)で表わされるポリアル
    キレンポリアミンである請求項1ないし6のいずれかに
    記載の方法。
  8. 【請求項8】アミンがメチルアミン、エチルアミン、n
    −プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルア
    ミン、i−ブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘ
    キシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−
    n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n
    −ブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミ
    ン、エチレンジアミン、n−プロピレンジアミン、n−
    ブチレンジアミン、n−ペンチレンジアミン、n−ヘキ
    シレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレン
    テトラミン、ジ−n−プロピレントリアミン、トリ−n
    −プロピレンテトラミン、ジ−n−ブチレントリアミン
    またはトリ−n−ブチレンテトラミンである請求項7記
    載の方法。
  9. 【請求項9】アミンがジエチルアミン、i−ブチルアミ
    ン、n−ブチルアミン、エチレンジアミン、n−プロピ
    レンジアミン、ジエチレントリアミンまたはトリエチレ
    ンテトラミンである請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】有機アミンが唯一の溶媒としての機能を
    果たす請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
  11. 【請求項11】水と混和しないかまたは殆んど混和しな
    い有機溶媒が、附加的に反応混合物に加えられる請求項
    1ないし9のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】有機溶媒が炭化水素、特に芳香族炭化水
    素である請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】有機溶媒がベンゼン、トルエンまたはキ
    シレンである請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】上記式中、R2が−CnH2n−COOR3を表わ
    し、そしてR3が水素原子を表わす場合に、溶媒として水
    が附加的に加えられる請求項1ないし9のいずれかに記
    載の方法。
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