JP2821104B2 - 階段ささら板の構造 - Google Patents

階段ささら板の構造

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JP2821104B2
JP2821104B2 JP8095298A JP9529896A JP2821104B2 JP 2821104 B2 JP2821104 B2 JP 2821104B2 JP 8095298 A JP8095298 A JP 8095298A JP 9529896 A JP9529896 A JP 9529896A JP 2821104 B2 JP2821104 B2 JP 2821104B2
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匡史 松本
洋一 横川
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ナショナル住宅産業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィンガージョイ
ントにより形成された複数本のジョイント木質材を接合
してなり階段ささら板として使用されるジョイント板状
体の強度を高めうる階段ささら板の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、図5に例示するように、断面矩形
の木質の棒状体a…を、その長手方向端縁に設けた複数
の切込みe…を互いに嵌着させるいわゆるフィンガージ
ョイントによって継ぐことにより長尺のジョイント木質
材bを形成し、かつ複数本、例えば6本のジョイント木
質材b…を、各側面を向かい合わせて互いに接合して形
成されたジョイント板状体cを、階段ささら板sとして
使用する場合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなジ
ョイント板状体cは、上層から最下層の前記ジョイント
木質材bに至るまでフィンガージョイント部が略連続し
て存在することがあるため、このフィンガージョイント
部が強度的な弱点部となり、階段ささら板sとしての曲
げ強度を低下させることがある。
【0004】本発明は、ジョイント板状体の下側面に、
長尺の補強材を取付けることを基本として、階段ささら
板の強度を効果的に高め、破損等の危険をなくして、信
頼性を向上しうる階段ささら板の構造の提供を目的とし
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明の階段ささら板の構造は、非長尺材を、その長
手方向端部に設けた複数の切込みを互いに嵌着させるフ
ィンガージョイントにより継ぎ長尺としたジョイント木
質材を形成し、かつ複数本のジョイント木質材を各側面
を向かい合わせて互いに接合しジョイント板状体を形成
するとともに、このジョイント板状体の下側面に、長尺
の補強材を取付けていることを特徴としている。
【0006】ここで「長尺としたジョイント木質材」の
「長尺」とは、通常の家屋で使用される階段ささら板の
長手方向の長さを有することであり、一般に1000mm
〜6000mm程度である。
【0007】又前記「非長尺材」とは、これらをその長
手方向に継ぐことにより前記ジョイント木質材を形成で
きる長さを有する棒状の木質材であり、例えば5本〜2
0本の非長尺材を用いてジョイント木質材を形成したと
きには、この非長尺材の長さは、50mm〜1200mm程
度となる。
【0008】さらに「長尺の補強材」とは、前記ジョイ
ント板状体の全長さに亘ってその下側面に取付けうる長
さを有する棒状の木質材、鉄板などの他にも、ジョイン
ト板状体の下側面両端縁部を若干(5mm〜30mm程度)
残して取付けられるものも含める。
【0009】なお前記補強材を、長手方向にジョイント
部を有することなく連続する一体な木質材から形成する
ことが、前記ジョイント板状体との接着性を高める点で
望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態の一例を
図面に基づき説明する。図1において本発明の階段ささ
ら板の構造は、ジョイント板状体2の下側面に、長尺の
補強材3を取付けることにより、階段ささら板Aを形成
している。
【0011】前記ジョイント板状体2は、複数本のジョ
イント木質材4…からなり、又このジョイント木質材4
は、複数の非長尺材5…からなる。
【0012】前記非長尺材5は、木目が長手方向に通る
ことにより外観を高めたラバーウッド、各種の木質の集
成材などからなる断面矩形の棒状体であって、その長手
方向端縁の木口には、複数の切込み6…が設けられる。
【0013】複数の前記非長尺材5…は、前記複数の切
込み6…を互いに嵌着しかつ酢酸ビニル樹脂系等の接着
材を用いて接着するフィンガージョイントにより継が
れ、断面矩形かつ長尺の前記ジョイント木質材4が形成
される。
【0014】又複数本、例えば5本の前記ジョイント木
質材4…は、各側面を向かい合わせてかつ水性ビニルウ
レタン樹脂系等の接着剤を用いて互いに接合され、これ
によって前記ジョイント板状体2を形成する。
【0015】なお前記ジョイント板状体2の各ジョイン
ト木質材4に形成されたフィンガージョイント部は、強
度確保の観点から、上下に連続しないようにすることが
望ましい。
【0016】前記補強材3は、ジョイント板状体2の下
側面に、その長手方向の全長さに亘って水性ビニルウレ
タン樹脂系、エポキシ樹脂系などの接着剤を用いて取付
けられるとともに、この補強材3として、長手方向にジ
ョイント部を有することなく連続する一体な例えばベニ
ザクラ等から形成される木質無垢材を使用している。
【0017】このようにジョイント板状体2の下側面
に、前記補強材3を取付けることにより、引張り応力が
発生しやすい最下層を補強材3により効果的に補強でき
る。
【0018】なお補強材3としては、鉄板等も採用しう
るとともに、ビス等の固着具を用いて補強材3を前記ジ
ョイント板状体2の下側面に取付けてもよい。
【0019】又前記階段ささら板Aには、踏板10とけ
込み板12との各端部が嵌着する溝部11…、13…が
凹設されるとともに、例えば図1に示すように、一方の
階段ささら板Aを壁体Wに埋設することも出来る。勿
論、1つの階段ささら板Aと壁体Wとの間に、直接踏板
10…、け込み板12…を架け渡してもよく、又壁体W
とは離間した2つの階段ささら板A、A間に、踏板10
…、け込み板12を架設してもよい。
【0020】
【実施例】厚さが24mm、高さが37.5mm、長さが2
97.6mmの10本のラバーウッドからなる非長尺材を
変成酢酸ビニル樹脂系接着剤によりフィンガージョイン
トして長さが2976mmの5本のジョイント木質材4…
を製造し、これらのジョイント木質材4…から水性ビニ
ルウレタン樹脂系接着剤を用いて厚さが24mm、高さが
187.5mm、長さが2976mmのジョイント板状体2
を製造するとともに、このジョイント板状体2の下側面
に、厚さが24mm、高さが37.5mm、長さが2976
mmのベニザクラを用いたジョイント部のない補強材3を
水性ビニルウレタン樹脂系接着剤を用いて取付け、図2
に示す形状の8個(実施例1〜8)の階段ささら板を試
作し、これらの試作品を図4に示すようにその両端部近
傍で支持して中央部上方から荷重を加え、破壊するまで
の荷重を測定した。テスト結果を表1に示す。
【0021】なお前記実施例1〜8のものには、踏板及
びけ込み板支持用の深さ12mmの溝部が設けられるとと
もに、下から2〜3層目の中央部Bには、フィンガージ
ョイント部が連続して形成されている。
【0022】又比較のため、前記補強材3に代えて同寸
法のジョイント木質材4Aを前記ジョイント板状体2の
下側面に取付けたもの(比較例1〜5)を図3に示す形
状で試作し、破壊荷重を測定した。テスト結果を表2に
示す。
【0023】なお比較例1〜5のものにも、踏板及びけ
込み板支持用の溝部が設けられるとともに、下から1〜
3層目の中央部Cには、フィンガージョイント部が連続
して形成されている。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】テストの結果、実施例1〜8のものは、比
較例1〜5と比べて、破壊荷重(曲げ強度)の最小値
が、540kgfから960kgfへと、大巾に増している
ことが確認出来た。
【0027】
【発明の効果】叙上の如く本発明の階段ささら板の構造
は、非長尺材をフィンガージョイントにより継ぎ長尺と
した複数本のジョイント木質材を、各側面を向かい合わ
せて接合しジョイント板状体を形成し、かつこのジョイ
ント板状体の下側面に、長尺の補強材を取付けているた
め、主に引張り応力が生じる最下層に補強材を設けるこ
ととなり、階段ささら板を効果的に補強でき、曲げ強度
を高めうる。
【0028】又請求項2の発明において、前記補強材
が、長手方向にジョイント部を有することなく連続する
一体な木質材からなるときには、前記ジョイント木質材
のフィンガージョイント部が最下層まで連続することが
なくなり、該補強材を用いるだけで強度を大巾に増しう
るとともに、木質の前記ジョイント板状体との接着性を
高め、耐久性をさらに向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図であ
る。
【図2】テストに用いられる階段ささら板の実施例を示
す側面図である。
【図3】テストに用いられる階段ささら板の比較例を示
す側面図である。
【図4】実施例のテスト方法を説明するための線図であ
る。
【図5】従来の技術を説明するための斜視図である。
【符号の説明】 2 ジョイント板状体 3 補強材 4 ジョイント木質材 5 非長尺材 6 切込み

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非長尺材を、その長手方向端部に設けた複
    数の切込みを互いに嵌着させるフィンガージョイントに
    より継ぎ長尺としたジョイント木質材を形成し、かつ複
    数本のジョイント木質材を各側面を向かい合わせて互い
    に接合しジョイント板状体を形成するとともに、このジ
    ョイント板状体の下側面に、長尺の補強材を取付けてな
    る階段ささら板の構造。
  2. 【請求項2】前記補強材は、長手方向にジョイント部を
    有することなく連続する一体な木質材からなることを特
    徴とする請求項1記載の階段ささら板の構造。
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