JP2572846Y2 - 階段用踏板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、木質の階段用踏板の
構成に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、安価な木質階段用踏板として、基
材にＬＶＬやＬＶＢ、あるいは積層合板を用い、表面に
天然木化粧単板や塩化ビニール樹脂シート等で表面化粧
を施したものがあった。

【０００３】

【考案が解決すべき課題】しかしながら、上記構成の踏
板基材は、ＬＶＬやＬＶＢ、積層合板である為、長期間
使用していると反りが発生してくる問題があった。ま
た、近年、南洋材の伐採制限から、ＬＶＬやＬＶＢ、さ
らには合板を製造することが困難になってきた為、廃材
を利用したパーティクルボードの利用が望まれている。

【０００４】ところが、踏板基材にパーティクルボード
を使用すると、パーティクルボードは小さなチップから
なる密度の高い表裏層、大きなチップからなる粗い芯層
の３層から構成されている為、踏板段鼻の角を安全性、
あるいはデザイン性を付与する為に曲面状に切削形成す
ると、小さなチップからなる密度の高い表裏層は厚さが
薄い為、すぐに大きなチップからなる粗い芯層が曲面部
に露出し、その表面に化粧シートを貼着しても化粧面は
滑らかな曲面とはならずチップに沿った凹凸ができてし
まい、見苦しくなる問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案は、上記課題を
解決するために成されたもので、パーティクルボードの
表裏面に繊維板が貼着された基材の一側表裏角部が曲面
状に形成されており、基材の表面長手方向所定位置に溝
状凹部が形成され、基材の表面から裏面にかけて化粧シ
ートが一体に貼着された階段用踏板により解決したもの
である。

【０００６】

【作用】この考案において、基材としてパーティクルボ
ードの表裏面に繊維板を貼着して用いるのは、板材とし
ての品質が均一で供給に心配のない材料を用いるととも
に、資材コストを低減させる為であり、パーティクルボ
ードの表裏面に繊維板を積層するのは、基材としての強
度を保持させるとともに、段鼻となる端部を曲面に切削
加工した場合に、パーティクルボードの荒いチップによ
る凹凸が化粧面に大きく影響を与えないようにする為で
ある。

【０００７】以下、この考案を実施例に基づいて説明す
る。

【０００８】

【実施例】図１は階段用踏板の斜視図、図２はその断面
図である。１は化粧シート、２は繊維板、３は（パーテ
ィクルボードの）表層、４は（パーティクルボードの）
芯層、５はパーティクルボード、６は繊維板２とパーテ
ィクルボード５から構成された基材、７は溝状凹部、８
は曲面部、９は階段用踏板である。

【０００９】この考案の階段用踏板９に用いる基材６
は、パーティクルボード５の両面に繊維板２を積層した
ものが用いられる。繊維板２は表面材として用いられ
る。繊維板２はハードボード、ＭＤＦ、インシュレーシ
ョンボードがあるが、本願考案では曲げ強度、表面硬度
の問題からインシュレーションボードは好ましくない。
厚さとしては、パーティクルボード５は２５〜４０ｍ
ｍ、繊維板２は３〜５ｍｍ程度の範囲でよい。実施例で
は、パーティクルボード５は３０ｍｍ、繊維板２は５ｍ
ｍの厚さのものを用い、パーティクルボード５の表裏面
にＭＤＦ２を常用の接着剤を介して積層接着した。

【００１０】つぎに、基材６は階段用踏板９の段鼻部と
なる長手方向の一側端部に安全性、あるいはデザイン性
を向上させる為に曲面状に切削形成される。実施例で
は、繊維板２とパーティクルボード５の表層３を半径
５．０ｍｍ程度の曲面に切削してマイルドな曲面部８を
形成した。

【００１１】つぎに、基材６は階段用踏板９の段鼻付近
の長手方向に沿った踏面に、滑り止め、あるいはデザイ
ン性を向上させる為に溝状凹部７が切削形成される。な
お、階段用踏板９は施工すると両端部がささら桁に埋没
する為、凹部７は長手方向全てに渡って形成するとささ
ら桁との接合部に隙間が生じるので、ささら桁に埋没す
る部分を除いて切削形成することが望ましい。実施例で
は、段鼻部から４０ｍｍの位置に、深さ５ｍｍ、両端か
ら５０ｍｍを残して溝状凹部７を切削形成した。

【００１２】つぎに、基材６の表面から裏面にかけて化
粧シート１が一体的に貼着される。化粧シート１として
は、継ぎ目なく一体に貼着する為に、幅広長尺の塩化ビ
ニール樹脂シートが好ましいが、特に限定することはな
く可撓性を有するシート状物であれば何らかまわない。
実施例では、表面に木目模様とそれに対応する凹凸が形
成されている厚さ０．５ｍｍの塩化ビニール樹脂シート
１を常用の接着剤を介してラッピングマシンを用いて基
材６の表面から一側面および裏面の一部にかけて一体に
貼着した。

【００１３】

【考案の効果】この考案によれば、パーティクルボード
の表裏面に繊維板を貼着している為、踏板の端部を大き
く曲面状に切削加工し、その上面に化粧シートを貼着し
てもパーティクルボードの粗いチップによる凹凸が曲面
部に露出せず、踏板として美しい化粧面を得ることがで
きる。

【００１４】さらに、最近、南洋材伐採制限に伴い将来
が危うい合板やＬＶＬ、ＬＶＢを用いることなく、合板
等の単板積層材と同等の表面加工性と曲げ強度を付与す
ることができ、かつ、パーティクルボードは廃材を利用
したリサイクル材として注目を浴びている現在、製造コ
ストが安価なエコロジー階段用踏板として有用であると
ともに、地球的規模の省資源化に貢献できる効果があ
る。

【００１５】

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の階段用踏板の斜視図。

【図２】実施例の階段用踏板の断面図。

【符号の説明】

１ 化粧シート ２ 繊維板 ３ 表層 ４ 芯層 ５ パーティクルボード ６ 基材 ７ 溝状凹部 ８ 曲面部 ９ 階段用踏板

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パーティクルボード（５）の表裏面に繊
   維板（２）が貼着された基材（６）の一側表裏角部が曲
   面状に形成されており、基材（６）の表面長手方向所定
   位置に溝状凹部（７）が形成され、基材（６）の表面か
   ら裏面にかけて化粧シート（１）が一体に貼着されたこ
   とを特徴とする階段用踏板。