JP2820269B2 - ビスコースレーヨン繊維 - Google Patents

ビスコースレーヨン繊維

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JP2820269B2 JP11216589A JP11216589A JP2820269B2 JP 2820269 B2 JP2820269 B2 JP 2820269B2 JP 11216589 A JP11216589 A JP 11216589A JP 11216589 A JP11216589 A JP 11216589A JP 2820269 B2 JP2820269 B2 JP 2820269B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、斑及び欠点の少い、製品の品位の良好な、
特異な断面形態を有するビスコレーヨン繊維に関する。
〔従来の技術〕
ビスコースレーヨン繊維は、特異な凹凸を有する断面
形状を有しているのが一般的であり、その表層部は緻密
な構造を有するスキン層で覆われている。この断面形状
は菊花状あるいは干し柿状と称されるような形態をして
おり、各単糸間あるいは糸長方向にその断面形状は厳密
には一定していないが実質的には同一の形状をしている
ものが市販されている。かかる断面形状の変異、変動は
糸条の物性や製品(織物、編物等)の光沢や染色加工後
の品位に変化を与えることが多いために、均一化させる
ための工夫が、糸条の製造階段及び後加工工程で種々行
われており、その改善方法も多数提案されている。特に
ビスコースレーヨンにおいては、その製造方法は湿式紡
糸である上に、化学反応を伴った凝固が行われるため、
製造管理が難しく、工程の連続化等により、糸長方向の
斑を少くする工夫が主流となっている。
断面の形状を変えて光沢や風合を変えようとする試み
は古くから多数行われており、いわゆる異型断面糸と称
される糸条はおよそ考えられる形状のものは試みられ、
その一部は実際市販はされている。ビスコースレーヨン
繊維においても、菊花状の丸断面糸が通常であるのに対
し、扁平断面、Y型断面等の形状の糸条も古くから生産
されている。
また、異る形態の断面形状を有する単糸を同一ヤーン
中に混在させた糸条(たとえば、特開昭62−15321号公
報等)も提案されおり、さらに、他素材との組合せを原
糸製造段階で実施して同情のヤーンを製造して風合・品
位の変化をさせることも一般的に行われている。(例え
ば特開昭63−12728号公報等) 一方、合成繊維を中心として、天然繊維の持つ独得の
風合、光沢、色調を得る目的で、混繊、シックアンドシ
ン、異型断面混合糸、異種ポリマーの混合紡糸等、数多
くの提案がなされ、天然繊維(例えば木綿、ウール等)
の断面の不均一性を求める工夫がなされているが、いず
れもその断面は一定の規則性を有していたりあるいは、
繊度が同時に変動する等、天然繊維の持つイレギュラー
性あるいはその風合、光沢等とはほど遠いものであっ
た。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来のビスコースレーヨン繊維はその構成する各単糸
の断面形状は実質的に糸長方向に同一のものであり、そ
の同一性を確保するために製造工程後加工工程で種々の
改良・工夫が行われているが均一性を目指すがゆえに、
逆に断面形状の変動が発生すると、製品の斑・欠点とし
て顕在化とし易いという問題があった。断面形状の変動
が製品の光沢染め斑に与える影響が顕著であるため、製
造工程、品質管理上も多大の留意を要する問題があっ
た。
本発明は上記の思想とは逆の思想で、製品の斑の発生
のし難いビスコースレーヨン繊維を提供し、かつ製造工
程管理上の問題も軽減させることを目的とする。
さらには、天然繊維の持つその断面形状のイレギュラ
ー性に帰因すると言われている独特の風合、光沢を持ち
ながら、かつそのイレギュラー性による斑の発生を減少
させるという一見矛盾した課題をビスコースレーヨン繊
維において達成することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的は、複数の単糸からなる糸条であって、糸
条を構成する各単糸はスキン・コア構造を有しており、
各単糸は実質的に同一の面積を有しており、各単糸の断
面形状はそれぞれ独立して且つ糸長方向に不規則に変異
しており、その変異の度合いが糸条の任意の100mm間隔
の2点において断面形状が変異した単糸の割合がその糸
条を構成する単糸数の30%以上であることを特徴とする
ビスコースレーヨン繊維により達成される。
本発明のビスコースレーヨン繊維は、通常その断面の
最大長/最小長比が1〜5のものを言い、単糸デニール
は1.5〜30のものを言うが格別限定されるものではな
い。これらの繊維は、織物、編物等に多く使用されてお
り、その製品の構造上、糸長方向の斑、特に断面形状の
変動はその製品品位上の問題からきらわれてきた。その
解決手段として、糸条の糸長方向の均一性を上げる努力
が鋭意続けられている。
本発明の思想は、ビスコースレーヨン繊維を用いた製
品(例えば織物、編物等)で断面の異常な部位が存在す
るときに発生する欠点や斑を防ぐことを目的として、糸
条に要請される要件を詳しく研究した結果、従来より普
通に行われている糸条の断面形状の糸長方向の均一性を
上げる方向でなく、全く逆のアプローチ、つまり糸長方
向に独立に不規則に変異をさせた単糸をつくり、それら
単糸を複数本合わせることにより、実用上の欠点、斑の
発現を防止できることを見出した。
つまり、本発明の繊維は単糸1本1本について厳密に
観察すればその断面形状は糸長方向にバラバラであり、
当業者の従来の常識からみれば、異常糸である。しか
し、かかる単糸がその変異が独立して起っているため、
その複数本が集合したヤーン、およびそれらのヤーンが
さらに集合もしくは並べられた織物、編物等の製品には
それらのミクロな形状の相違点は肉眼で判別されること
はなく、巨視的には極めて均一なものが得られる。
本発明の繊維を特徴づける断面の形状は、繊維の横断
面を顕微鏡で約300倍以上に拡大して写真撮影すること
によって容易に観察できるものである。
本発明に言う「スキン・コア構造」は、繊維横断面あ
るいは縦断面(もしくはそのレプリカ)を透過型電子顕
微鏡で約1000倍以上にて写真撮影することや、より簡易
的には、染料の選択によってスキン層部分のみを染める
ことによって、光学顕微鏡でその横断面を写真撮影する
ことで容易に観察できる。
本発明に言う「実質的に同一」とは学問的に言われる
同一ではなく、実用上の問題とならない程度の変動の幅
内で同一という意味であり、本発明では同一単糸の100m
m間隔の任意の2点の断面においてその断面積の相違量
が概ね10%以下のものをいう。
断面積の相違量は通常の生産で管理されているものに
ついても数%の変動がある。これは製造上の管理あるい
は設備・機器の精度に依るものもあり、全く同一にする
ことは困難である。しかし、10%を超える変動を有する
糸条は一般的に光沢や染色後の斑を発生させるために通
常用途にはもはや使用に耐えないものとされてきた。
本発明に言う「断面形状の変異」とは、後述する方法
において測定した3種類の断面形状を特徴づける指標
(指標A,B,C)のいずれか1つもしくはそれ以上が異な
るものを言う。上記「異る」とは、指標A,Bについては1
0%以上、Cについては1以上差のある場合を言う。
本発明の繊維からなる糸条は、その構成する各単糸が
糸長方向に、その断面形状が変異しており、かつ各単糸
は独立した変異をするために、ヤーンの各位置の断面は
単糸毎に異ったものが混在している。短い距離の間でそ
の断面形状が変更しているため、いずれのヤーン位置に
おいても、さまざまな形状の単糸が自ずと混在とするこ
とになり、全単糸が同一の形状に揃う確立率は極めて小
さく、仮にある地点で全単糸の形状が揃ったとしても、
位置が少しずれた地点では、さらに形状が変異するた
め、長い距離にいたって同一断面形状が継続するという
ことが起りにくい。このことによって、特に同一ヤーン
が連続して並べられた構造の平織物や編物に用いられた
場合には、断面の変動による光沢・染色斑等が判別し難
いものとなる。
上述のような各単糸が実質的に不規則に変異した断面
形状を有することは、本発明の糸条の一部の断面形状を
拡大したものをトレースして示す第1図及び第3図に明
瞭に示されている。同図に示されるように、本発明のビ
スコースレーヨン繊維は、1本の単糸がその糸長方向に
無作意に断面形状が変異し、かつ各単糸が独立にその断
面形状が変異する。その結果、任意の地点で観察した複
数本から成るヤーンの断面には、さまざまな形をした断
面形状の単糸が混在する。
本発明の繊維は、その構成する各単糸を任意の100mm
間隔で採った2個の断面の形状が実質的に同一か否かを
判定し、その形状が異る度合が30本発明の効果をより発
揮するためには、上記度合が高ければ一層良いことは自
ずと理解されよう。また、構成する単糸数が増加すれば
一層良好になることも自然に理解されよう。さらに、本
発明では100mm間隔の2点を評価単位としているが、こ
の評価の単位を小さくすればさらに厳密な評価ができる
が、本発明者らは多数の断面の評価及び製品への影響を
研究した結果、100mm間隔の評価で充分なことを見出し
たが、この間隔を変更することは差つかえない。
本発明の繊維はその構成する各単糸が糸長方向に独立
で不規則に変異していることから、当然の結果として任
意の位置で採取したヤーンの各単糸の形状はその断面形
状が一定しておらず、一見バラバラな断面形状をした単
糸の集合体として観察される。この複数本の中に同一形
状の断面をした単糸が複数本あるいは極めてまれには全
部存在している場合もあるが、そのことが本発明を何ら
制限するものではない。
本発明は単糸の断面形状の異る度合が30%以上であれ
ばその効果は充分に発揮されるが、好ましくは、50%以
上であることがよい。それは、製造工程の揺らぎ、機器
精度のバラツキ等の変動要因に対する糸条・製品の変動
を吸収する幅が拡がることからより容易な生産・管理が
可能となるからである。
断面形状を特徴づける指標について以下に説明する。
本発明の繊維の断面形状はさまざまな形状をとるために
その形状の特定化、定義が難しく、単一指標で特定する
ことが困難なことから、以下に述べる3つの指標と、そ
れらの変化の度合を用いていて判定する。
指標A……丸さの度合を表す尺度としての次の数式で
表した L:単糸断面の同上の任意の2点間の最大長さ S:断面の面積 指標B……凹凸の度合を表す尺度として次の数式で表
した M:断面の周長 S:断面の面積 指標C……凹凸の度合を表す尺度として、断面の形状
を第4図に例示してあるように形状を直線で代表して示
した場合の構成する直線11の本数で表したもの 上記の指標AおよびBにおけるS(断面積)、L(最
大長さ)、M(周長)等は、断面の拡大写真を画像処理
技術を応用して画面に点の集合として移し、各点を座標
に変換して、データを処理することで容易に定量化し測
定できる。かかる処理技術は既に、例えば細川粉体工学
研究所発行技術雑誌「粉砕」No.33.pp9〜16(1989)等
で報告されるごとく近年急速に進歩し、一般に用いられ
ている。
1本の単糸の任意の地点Pnで測定したAの値をA(P
n)、Pnから100mm離れた地点Pn′で測定したAの値をA
(Pn′)とし、その比の百分率、すなわち の値を計算し、これを指標Aの変化率とする。この値が
90以下もしくは110以上の場合は変化したと判定する。9
0を超え、110未満の値の場合は変化していないと判定す
る。
同様に指標Bについても上記と同一の基準で判定す
る。
次に指標Cについても同様に観察し、その構成直線の
数の差の絶対値が1以上異なっている場合に変化したと
判定し、同じ数であった場合は変化していないと判定す
る。
次に、3つの指標(A,B,C)がいずれも変化していな
いと判定したものを断面形状が変異していないと判定
し、それ以外のものを断面形状が変異したと判定する。
この操作を複数の単糸について測定し、その結果測定
点数に対して、断面形状が変異したと判定された点数の
比率を求め、その百分率の値で、断面形状の変異の度合
を評価する。
上記の指標A,Bについては、製造上の機器の精度、工
程管理条件の変動等によっても変化するが、工業上数パ
ーセントの変動は発生することもある。また実際にこの
指標値単独では官能的に明らかに形状が異っているもの
も同じ値になる場合が幾何学的にあり得るため、変異の
度合を過小に評価する場合もありうる。また本発明で定
義した断面形状の変異の評価と官能評価による変異の評
価は80%以上の率で良く一致するものであった。
本発明の繊維は、特別な異種ポリマーを用いず、本質
的に従来のビスコースレーヨン繊維とその組成が変らな
いものが得られるため、後加工工程において特別の処理
や留意を新たに必要とすることがなく、さらに従来のビ
スコースレーヨン繊維の優れた特性である吸温性、発色
性を初めとする諸特性が何ら損われることがない。
本発明において、糸条を構成する各単糸がスキンコア
構造を有していることは、本発明の繊維が従来のビスコ
ースレーヨン繊維と同等の機械物性を示すことに関し
て、大きな影響を与えているものと考えられる。スキン
−コア構造の不均一化やスキン層の部分的に欠損した繊
維をつくることによってもその2層間の収縮のし方が異
るためにその断面形状をいびつにすることも可能ではあ
るが、かかる繊維は機械物性の低下を余儀なくされ、も
はや通常の用途分野の使用には耐え得ぬものしか得られ
ない。
本発明でいうビスコースレーヨン繊維とは、セルロー
スをザンテート誘導体として水酸化ナトリウム水溶液に
溶解して、いわゆるビスコース液とし、これを紡糸し、
凝固−再生して繊維化する再生セルロース繊維を指し、
得られた繊維はフィラメント、ステーブルのいずれであ
ってもよい。
また、二酸化チタンや顔料等の一般に常用される艶消
し剤や着色剤等を含有したビスコースレーヨン繊維にお
いても本発明の効果は損なわれることはなく、用途に合
せて組合せて使われてよい。
繊維の重合度、配向度等は特に限定されるものではな
く、通常のビスコースレーヨン糸の一般的な平均重合度
(約300程度のものが多い)でもよく、また配向度等の
繊維の全体の物性値についても特に限定されるものでな
く、製造方法に合せて選択されるとよい。
次に本発明のビスコースレーヨン繊維の製造方法の1
例について説明する。
本発明の断面形状の変化するビスコースレーヨン繊維
は、例えば2種類の再生−凝固性能が異るビスコースを
用いて紡糸することにより得られる。この場合は本発明
者らは本発明の原理を次のように推測している。つま
り、単糸の断面において、一部に収縮力もしくは脱水率
等がその他の部分に比較して異る部分が偏心して存在す
ると、断面の形状は変異する。かかる部分が複数個存在
すれば、その断面形状はさらに複雑なものとなり、単糸
毎に独立した変異を行せることが可能となる。
上記の性質の異る部分の大きさを不均一化して分散さ
せることで糸長方向に不規則な断面の変異が発生する。
さらにビスコースレーヨンの製造方法に特徴的なスキン
−コア2層構造を発現させる紡糸条件を選択して紡糸す
ることによって、先に述べたように、スキン層(表層部
分)とコア層(内層部分)の収縮の挙動の違いが加わ
り、この両方を併せ持った製造方法を選択することで一
層複雑な断面形状の変異が起る。このようにして製造さ
れたものは、もはやその断面の形状は、規則性や作意性
は見出し得ない程ランダムに変異する、と考えている。
かかる作用をさせると考えられるビスコース液の条件
は種々あり、例えばセルロース濃度、熟成度(凝固性
能)、粘度、性質を変化させるための添加剤例えば凝固
能力を上るための塩類や、再生を遅延させるためのアミ
ン類等を慎重に選定することによっても得られる。ま
た、性質の異る原液の分散の度合が与える影響も大き
く、分散が極端に悪い場合には糸切れ等により製造上の
困難性が増し、逆に分散が良過ぎると均一性が増加し、
本発明の目的が得られなくなってしまうこともある。こ
の分散の程度については用いる原液の性質、凝固液の条
件に合せて、慎重に選定することが肝要である。分散の
手段としては通常のミキサー、スタティックミキサー、
整流網等を適宜に組合せて各製造条件に合わせ選択され
てよい。分散の度合の確認には、顔料等を混合したビス
コースを一方の原液に用いて試験的に紡糸して得られた
糸条の断面を観察すれば容易に点検することができる。
ビスコースの紡糸方法は紡糸原液や凝固液の性質に合
せて慎重に条件を設定することが肝要である。なお、后
処理方法(精錬、乾燥等)は適宜に選択されてもよい。
紡糸される原液中の異種原液の混合の度合は、10〜50
%のものが好ましく、10%未満では製造上、厳しい条件
管理が要求されるようになり、好ましくない。また片方
の異種原液は単糸の20%以上を占めるように分散して配
置されていると好適である。しかし、ある任意の断面の
中で必ず検出される必要性はなく、確立的に30%程度以
上分布しておれば充分であり、本発明の繊維は得られ
る。
なお、本発明の繊維の製造法、発現原理については、
すべてが明らかにされた訳ではなく、上記以外の方法に
よっても提供できることが予想される。
〔発明の作用〕
本発明の繊維は、その構成する単糸1本が糸長方向
に、その断面が変異しており、かつ各単糸は独立した変
異をするために、ヤーンの各位置の断面は単糸毎に異っ
たものが混在しており、短い距離の間でその断面形状が
変異しているため、いずれのヤーンの位置においても、
さまざまな形状の単糸が混在することになり、全単糸が
同一の形状に揃う確率は極めて小さく、仮にある地点で
全単糸の形状が揃ったとしても、位置が少しずれた地点
では、さらに形状が変異するため、長い距離にわたって
同一断面形状が継続するということが起りにくい。この
ことによって、特に同一ヤーンが連続して並べられた構
造の織物や編物に用いられた場合には、断面の変動によ
る光沢・染色斑等が判別し難いものとなる。
〔実施例〕
以下に本発明の一実施例を記載して、本発明をさらに
詳細に説明する。しかしながら、以下の実施例は本発明
の理解を容易にするためにに記載するものであって、本
発明を制限するものではない。
実施例の説明に先立ち、本発明に記載された各物性の
測定方法について以下に説明する。
(1)引張り強伸度 JIS−L−1013(1981年)に従って糸長25cm、引っ張
り速度20cm/分にて測定し引張り強伸度として表示す
る。
(2)斑の評価法 斑の評価は織物を試作して行った。経糸には市販のビ
スコースレーヨン繊維(50D/20)を用い、緯糸に本発明
の繊維を用い、経糸密度160本/鯨inch、緯糸密度110本
/鯨inchの平織物を試作し斑の官能試験を行った。すな
わち次に示すように5段階の評価をそれぞれ10人で実施
し、その平均値で評価した。
点数 斑評価 5 全くみられない。極めて良好 4 かすかに見える程度だが問題は全くない。
3 普通、実用上は問題ない 2 ややはっきり見える、場所用途によっては問題 1 明瞭にみえる。使用に耐えない (3)斑の評価法 斑の評価を他の断面形態を有する単糸を混入させて綛
状として行った。本発明の繊維に第5図に示した、異型
ノズルを用いて常法により製造された糸長方向に断面形
状に変異が実質上ない単糸を約1割の数混入し(本発明
の繊維の単糸33本に対して4本の割合)、70回/mの加撚
を行ったものを綛上となし斑の発生程度を斑の評価法
(1)と同様の評価基準で評価した。
実施例1 実施例1に用いるビスコース液として通常に用いられ
るビスコースの製造法により次のように2種類の原液を
用意した。
第1の原液は、セルロース濃度8.5重量%、苛性ソー
ダ濃度6.0重量%、γ価40、粘度50秒、第2の原液はセ
ルロース濃度8.0重量%、苛性ソーダ濃度7.2重量%、炭
酸ソーダ1.8重量%、γ価40、粘度60秒のものを製作し
た。次いで第1の原液と第2の原液を7対3の比率で撹
拌機を用いて混合し、第2の原液を第1の原液に分散さ
せた。分散の度合が平均直径として概そ20μm、最大の
ものが60μm以下になる程度に調整して混合分散させ
た。次いでこの混合分散された原液を金−白金合金製の
0.07mmφの孔が33個穿孔されているノズルを用いて凝固
液中に押出した。紡糸装置は第6図にその模式図を示し
たようなものを用いて第1番目に接触する凝固液7はH2
SO4120g/、Na2SO4260g/、ZnSO415g/、60℃のもの
を用い、次いで第2番目の凝固浴8へ導いた。第2凝固
液としてH2SO4150g/ 50℃のものを用いて120m/minの
速度で紡糸した。
その後常法に従い精練を行い油剤を付与した後乾燥し
て75デニールのビスコースレーヨン繊維を得た。
得られた繊維の断面を顕微鏡で拡大して写真撮影した
ものをトレースした図を第1図に示す。またこの繊維を
構成している単糸(第1図の1および2)を糸長方向に
100mm間隔で同様に観察した結果を第3図に示す。各単
糸は糸長方向に、それぞれ独立してその断面形状が変異
していることが明瞭に判る。
この繊維を構成する単糸の任意の点を、先に詳述した
断面形状を判定する指標A,B,Cについてそれぞれ10点を
測定した結果を第1表に示す。その結果、本実施例の繊
維の断面形状が変異した比率は90%であった。
この繊維の物性を測定し、その結果を第2表に示す。
また、斑を評価した結果を第2表に示す。本実施例の繊
維は通常のビスコースレーヨン繊維と比較して、斑の見
え難いものであった。
比較例1 ビスコースレーヨン繊維の製法として従来より一般的
に用いられているセントル方式紡糸法により製造された
市販の旭化成工業(株)製ビスコースレーヨン糸(75MB
/33)を用いて実施例1と同様の方法で断面形状の変異
の度合を観察した。この糸の断面は第1図の3に示した
如く、その形状の変化はないものであった。物性、斑の
評価は第2表に示す。
実施例2〜5 以下に記載の項目の外は実施例1同様にしてビスコー
スレーヨン繊維を製造した。
実施例2…2つの原液の混合比率を5:5の割合にし
た。
実施例3…第2番目の凝固液の組成をH2SO4100g/に
した。
実施例4…Na2CO3の混合比率を2.5%とし、第1番目
の凝固液の温度を50℃とした。
実施例5…原液の分散の度合を、平均直径10μm、最
大のものが40μm程度となるように分散混合した。
これらの断面の変異の度合を観察した結果および、物
性・斑の評価をした結果を第2表に示す。なお、断面の
変異の度合、物性・斑の評価の方法は実施例1と同様の
方法で行った。
この結果から、断面の変異の度合が30%を超えるもの
は、斑を見え難くする効果が一層大きいことが判る。
〔発明の効果〕 本発明の繊維によれば、従来のビスコースレーヨン繊
維と同様の機械物性のために、全く同様の条件、織編加
工他の加工が可能であり、かつ従来のビスコースレーヨ
ン繊維製造工程での断面形状均一化管理が大巾に容易と
なり有用である。
また部分的な断面形状の変異が見立たなくなり実用上
の品位はかえって向上し、従来の均一な繊維によるもの
と同様かそれ以上の品位を与えて有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のビスコースレーヨン繊維の断面の形状
を拡大してトレースした図、第2図は従来のビスコース
レーヨン繊維の断面の形状を拡大してトレースした図、
第3図は単糸の糸長方向の変異を示す図、第4図は断面
の変異を判定する指標Cの構成本数を例示した図、第5
図は異型ノズルを用いて常用の製法で得られた単糸の1
断面を拡大してトレースした図、第6図は本発明の製造
のために供した装置の模式図である。 1,2,3,4……単糸、 5……原液−送液パイプ、6……ノズル、 7,8……凝固液槽、9……糸条、 10……巻取機、 11……繊維の断面形状を代表して示すための直線。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の単糸からなる糸条であって、糸条を
    構成する各単糸はスキン・コア構造を有しており、各単
    糸は実質的に同一の面積を有しており、各単糸の断面形
    状はそれぞれ独立して且つ糸長方向に不規則に変異して
    おり、その変異の度合いが糸条の任意の100mm間隔の2
    点において断面形状が変異した単糸の割合がその糸条を
    構成する単糸数の30%以上であることを特徴とするビス
    コースレーヨン繊維。
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