JP2871744B2 - ビスコースレーヨン繊維 - Google Patents

ビスコースレーヨン繊維

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JP2871744B2 JP24527689A JP24527689A JP2871744B2 JP 2871744 B2 JP2871744 B2 JP 2871744B2 JP 24527689 A JP24527689 A JP 24527689A JP 24527689 A JP24527689 A JP 24527689A JP 2871744 B2 JP2871744 B2 JP 2871744B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、艶及び風合の良好な、特異な表面構造を有
するビスコースレーヨン繊維に関する。
〔従来の技術〕
ビスコースレーヨン繊維は、特異な大きな凹凸を有す
る断面形状を有しているのが一般的であり、その表層部
は緻密な構造を有するスキン層で覆われている。この表
層付近の構造に起因していると言われるキラキラした光
沢を有していることが、ビスコースレーヨン繊維の特徴
である。この様な光沢はとりわけ衣料用には好みにより
喜ばれる用途もあるが、より落ちついた艶と風合を持つ
レーヨン繊維が望まれる分野も多く、したがって光沢を
改良する目的で、種々の方法が従来より多く提案されて
いる。特に天然繊維である綿糸、絹糸の艶、風合を目標
としてビスコースレーヨン繊維の技術改良が永く続けら
れている。
最も一般的に行われている方法は、二酸化チタン等の
微粒子を繊維に混合して光沢艶を抑える方法であり、現
在市販されている艶消糸の大部分はこの方法に依ったも
のである。
また、繊維中に独立気泡や空洞を有するいわゆる発泡
中空糸によって艶・風合の改良を行う提案も数多くなさ
れている(たとえば、特公昭41−12929号公報、特公昭4
6−7808号公報、特開昭54−156819号公報等)。
さらには、気泡を封入する技術の延長として特公昭52
−59721号公報で提案されている如く、独立気泡を多数
封入した扁平断面糸によって艶を改良しようという工夫
も見られる。
また、凝固液の流速を調整するビスコースレーヨン繊
維の製造法は従来より多数の提案がなされているが、そ
れらの主な目的は生産性を向上させる、すなわち高速紡
糸化を狙ったものが主流であった(例えば、特公昭45−
25335号公報、特公昭45−25336号公報、特開昭59−4741
6号、特開昭59−228013号公報、特開昭60−259612号公
報等)。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来のビスコースレーヨン繊維は、キラキラとした強
い光沢を有する独特の艶を有しており、絹や綿の様な落
ちついた艶を有しているとは言い難いものであった。
上述の第3物質を繊維中に混合した繊維は、艶の変化
と同様に白色度や風合が連動して変化してしまったり、
また不透明な白濁が生じたりして絹様、綿様の落ちつい
た艶とは言い難いものであった。
一方、発泡中空糸や独立気泡を多数封入した扁平断面
糸では、艶の改善は達せられているものの、この繊維は
当業者によって良く知られている如く単糸デニールの上
での制約があり、太デニール中心にならざるを得なかっ
たり、また糸長方向にむらがあったり、機械的物性の低
下が余儀なくされる等の問題の多い糸条であった。
本発明は、上記の問題点のない、絹様の艶、風合と機
械的特性を同時に満足したビスコースレーヨン繊維を提
供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的は、幅5〜100nm、長さ50〜1200nm、深さ
5〜100nmの微小な筋が、繊維表面の全周にわたって、
各1μm四方の中に少なくとも1ケ以上存在することを
特徴とするビスコースレーヨン繊維によって達成され
る。
本発明の繊維表面構造を特徴づける筋は、繊維表面の
レプリカを透過型電子顕微鏡(以下TEMと略称する)で
少なくとも5000〜50000倍にて写真撮影することや、同
時の倍率で繊維表面を観察できる走査型電子顕微鏡等に
より観察できるものである。
本発明にいう「微小な筋」は、後述の方法によって繊
維表面のレプリカをTEMにて撮影した写真において、凹
凸状の線またはその集団として観察されるものをいう。
具体的に本発明の「微小な筋」を図により説明する。第
1図は、一実施例により得られた本発明のビスコースレ
ーヨン繊維を後述の方法により該繊維表面のレプリカを
TEMにて撮影した写真の1例であり、第1図で観察され
るごとく、微小な筋が、繊維表面の全周にわたって存在
しており、その筋は単独にまたは集団を形成して、繊維
軸にそって平行に走ったり、斜めに走ったりして分布し
ている。また本発明の第1図に示す写真例のように、微
小な筋の集団が繊維軸方向を斜めに横切る波状列群を構
成してなる山型模様となって表面を覆っている。
このように、該微小な筋またはその集団が繊維表面に
存在することが本発明の繊維の特徴である。
本発明の効果を発現するためには、該筋が1μm四方
の中に1ヶ以上存在することで充分であり、好ましくは
1〜200である。該筋が1μm四方中に1ヶ未満でも分
布状態によっては効果が得られる場合もあるが、糸長方
向の斑や十分な落ちついた艶を得るためには好ましくな
い。
ここでいう1ヶ以上とは、後述の方法によって繊維表
面のレプリカをTEMにて撮影した第1図のごとき写真に
おいて、任意にとった1μm四方中に、1ヶ以上の「微
小な筋」および、または、その1部分が存在することを
言う。例えば、第1図では、上記の微小な筋またはその
1部分が多数存在している例である。
さらに、本発明において、微小な筋は、繊維全周にわ
たって存在することによって、目的とする効果が十分に
発現される。このことは円周方向に筋の有無が極端に偏
在しておれば、光沢や艶の斑となって表れる頻度が高く
なり、目的とする効果が得られ難くなることは、容易に
推察できよう。
これは、以上の繊維表面のレプリカのTEM写真を繊維
のいずれの方向から撮影したものについても、上記の筋
が存在していることにより確認できる。
本発明の構成要件をより明確にするために、本発明の
ビスコースレーヨン繊維の一例である第1図の写真の糸
の表面の筋をトレースして模式的な説明図とした第5図
によって本発明の筋を詳しく説明する。
本発明の構成要件である微小な筋(第5図4および
5)は、単独で存在している場合もあるが、その一部は
数個ないし数十個が集団6となって散在しており、それ
らの集団の配列している方向は必ずしも一定してはおら
ず、大半は繊維軸方向(第5図8)に対して斜めになっ
ている。そしてこの筋の配列方向を示す補助線7の形は
ジグザグ模様を呈しており、かつその模様はさざ波状あ
るいは杉の表皮状もしくは蛇のウロコ状などと表現でき
る如く紋様を形づくっている。以後本文ではこの模様を
波状列群と言うことにする。このように筋の配列方向が
繊維軸方向と実質的に異ることが本発明の効果を発揮す
る上で好ましい。
第5図より容易に判るように、本発明の微小な筋、そ
の集団、及び波状列はいずれも連続しておらず、断続し
て存在しており、かつ繊維の全表面にわたって分布して
いることが判る。この第5図において点線で囲んだ1μ
m四方を1で示している。この広さが1μm四方である
が、その広さを第1図に対応させてみると、その広さの
中に上記の微小な筋が多数存在しているのが見られる。
第1図における筋の数は実に約107個/mm2も存在して
いる。また、筋の集団の数も約106個/mm2のオーダーに
のぼっており、波状列の数もおびただしい数が分布して
いることが判る。
筋の大きさは、幅が実質上100nm以下、好ましくは5
〜100nm、長さが実質上1200nm以下、好ましくは50〜120
0nmある。本発明に言う実質上とは、すべてのものが例
外なく含まれることではなく、別の原因によって(例え
ばノイズのキズや原液中の未溶解異物等)発生した筋状
のものを除いたもののうち概ね8割程度の筋が示す値を
言う。
第1図の例では大略幅が20〜50nm、長さが100〜800nm
であり、筋が集団として存在するときは、集団を長円と
して近似すると長径が0.5〜2μm、短径が100〜500nm
である。
本発明の筋の大きさが概ね数百μmのオーダーのもの
を多数含むものであることは、可視光線の波長領域(40
0〜700nm)とほぼ同じ領域にあり、このことが、本発明
の繊維が、落ちついた艶を示すことと関連が深いとも推
察される。要するに、本発明の艶効果は可視光の反射や
吸収に関与する故、可視光の波長近辺でありさえすれ
ば、本発明の効果は得られると考えられる。又、過大に
すぎれば、従来の酸化チタン添加によるが如き、不透明
感につながると思われ、光学顕微鏡で明確に観察される
が如き大きさのものは好ましくないと考えられる。
本発明の筋の深さについても、本発明の効果を発揮す
る上では、実質上100nm以下、好ましくは5〜100nmであ
る。
本発明の繊維の一例について横断面のTEMによる11000
倍の写真を第3図に示した。また第6図に、第3図をト
レースした模式的な説明図を示しているが、図における
微小な筋の断面3の深さは、この写真により数十nm以下
であることが判る。また、スキン層2の厚さに比較して
極めて小さいものであり、スキン層の破壊や痕には到ら
ない程度の微小なものであることがわかる。しかしなが
ら、本発明の筋の深さがスキン層を貫通したり、貫通し
ないまでもスキン層に亀裂状の痕を与える程度の深さを
有するものは好ましくない。
これは、ビスコースレーヨン繊維の機械的物性の大部
分はスキン層が担っており、この部分の量が少ないかあ
るいは痕があるとその繊維の物性が低下し易いためであ
り、できるだけ厚い、均一なスキン層を有する断面構造
を有する繊維が好ましい。上述の観察の如く、第3図の
例では表層の微小な筋は、その深さが極めて小さく、十
分本発明の効果を発揮することが分かる。
本発明でいうビスコースレーヨン繊維とは、セルロー
スをザンテート誘導体として水酸化ナトリウム水溶液に
溶解して、いわゆるビスコース液とし、これを紡糸し、
凝固−再生して繊維化する再生セルロース繊維を指す。
しかし、本発明のビスコースレーヨン繊維はポリノジッ
ク繊維のような特殊ビスコースレーヨン繊維を含まな
い。このようにして得られた繊維がフィラメント、ステ
ープルのいずれであってもよい。
また、巨視的な断面の形状は、丸形断面、偏平断面、
表面に大きな凹凸を有する断面等任意に選択してもよ
い。さらに、二酸化チタン等の一般に常用される艶消し
剤等を含有したビスコースレーヨン繊維においても本発
明の効果は損なわれることはなく、断面の形状等と同様
に、用途に合わせて組合せて使われてよい。
繊維の重合度、配向度等は特に限定されるものではな
く、通常のビスコースレーヨン糸の一般的な平均重合度
(約300程度のものが多い)でよく、また高い重合度の
原料を用いることも何ら支障はない。また、配向度等の
繊維の全体の物性値についても特に限定されるものでは
なく、製造方法に合わせて選択されるとよい。
本発明のビスコースレーヨン繊維の製造方法の一例に
ついて以下に説明する。
本発明のビスコースレーヨン繊維の表面構造を持つビ
スコースレーヨン繊維は、例えば、ビスコースレーヨン
原液と凝固液を用いて、流下式流動浴紡糸法にて、ビス
コース原液を紡糸口金より吐出し、凝固液の流速の異な
る二つの凝固ゾーンに順次走行せしめて、次いで巻取る
ことにより得られる。
即ち、第7図において、11は紡糸ノズルであり、これ
より吐出されたビスコース流14は、第1ゾーン9を走行
した後、流管12よりなる第2ゾーン10に順次走行せしめ
た後、ガイド15を経て、ここで図示されていない巻取り
装置に導かれる。凝固液は、供給口13より第1ゾーンに
供給され、糸条と共に流管より排出されている。その
際、第1ゾーン9の距離を2〜15mmと極端に短く設定す
ることが必要で、また、第1ゾーンと第2ゾーンの凝固
液の平均流速が1:100以上1:2000以下の比となるように
設定することが必要である。更にこの第2ゾーンにおけ
る凝固液流速よりも100m/min以上糸条を速く引取ること
が必要であり、これによって本発明の繊維は、得られ
る。
第1ゾーンの距離が15mmを越えると紡孔から吐出され
たビスコース流が受ける液との流動抵抗が増大し、切断
につながり易くなり紡糸安定性が低下すると共に、繊維
表面の凝固皮膜が厚くなり、続く第2ゾーンでの表層の
引きちぎり効果を得るために凝固液の流動条件や装置の
設定が困難となる。
また、第1ゾーンと第2ゾーンの凝固液の平均流速比
を1:100未満に設定すると第1ゾーンでの表層凝固膜を
極めて薄くコントロールすることが要請されるので条件
の設定管理が困難となる。一方、1:2000を越える値に設
定すると第2ゾーンまたは第2ゾーンの出入口での凝固
液の流れ方を安定化させるための条件の設定管理が困難
となる。
さらに、糸条の引取り速度を第2ゾーンの凝固液の平
均流速よりも100m/min以上小さく設定することは条件の
設定管理上困難である。この好ましい範囲は120〜200m/
minであり、200m/min以上になると糸条の毛羽発生が大
きくなったり、糸切れ発生も大きくなる。これによって
第1ゾーンで極めて薄い凝固被膜を繊維表面に形成せし
めた後、第2ゾーンの急激な液速変化及び、第2ゾーン
から巻取り装置による引取り張力によって該凝固被膜を
部分的に引きちぎるとともに、その内層の未凝固原液が
凝固液に触れて凝固することにより本発明の構造が発生
すると推定している。ここで、第1ゾーンで形成される
べき凝固被膜は、おそらく数nmと推定しているが、動的
変化であるがゆえに、実測することが現在のところはで
きない。
かかる作用を連続的に安定して行わしめるためには、
第1ゾーンの平均流速を小さくし、(たとえば3m/min以
下)かつ、見掛けドラフト(巻取速度/原液吐出線速
度)を1未満にして紡糸することが好ましい。また第2
ゾーンの凝固液の平均流速を糸条引取り速度よりも約10
0m/min以上小さくなるように、設定することが好まし
い。かかる条件を適切に設定して紡糸することによっ
て、表層の凝固被膜が、延伸されかつ糸条直径の縮少を
おこしながら引きちぎられる状態を発生させており、糸
長方向に対して斜めに走る筋及び波状列群となると予想
されるが、用いられる原液や、第1ゾーンでの糸条の滞
留時間に応じて凝固条件を慎重に選定することが肝要で
あり、特に第2ゾーンに達する付近での糸条の凝固被膜
の厚みが過大とならぬように設定されるべきであり、具
体的には後述の実施例の条件が参考となる。
ビスコースの紡糸法については、上記以外の流下式流
動浴紡糸法あるいは静止浴多段凝固法等を紡糸原液や凝
固液の性質に合わせて、慎重に条件を設定して行えば、
適宜に選択されて用いてもよい。また、第2ゾーンと巻
取りの間にも、例えばスチーム他の可塑化延伸効果があ
ると思われるものを組合わせて用いることも可能であ
る。
なお、本発明の繊維の製造法、発現原理についてはす
べてが明らかにされた訳ではなく、以上以外の方法によ
っても提供できることが予想される。
本発明のビスコースレーヨン繊維を製造するための原
液(ビスコース)は通常のビスコースレーヨン繊維を製
造する公知の方法あるいは組成のものを用いることがで
きる。また二硫化炭素の反応量、凝固性能等の異なる原
液を用いても凝固液の組成や条件を慎重に調整すること
によって本発明のビスコースレーヨン繊維を得ることが
できる。
〔発明の作用〕
本発明の特徴とするところは、微細な筋が、特定の密
度で、しかも、繊維の全周にわたって存在することであ
り、それにより、従来のビスコースレーヨン繊維で問題
とされた過度の輝きのない、上品な艶が実現でき、且
つ、従来のビスコースレーヨンの機械的性能を損なうこ
とがない。しかも、予期せぬ効果として驚くべきこと
に、結節伸度保持率、ループ伸度保持率(それぞれ、結
節伸度/引張り伸度、ループ伸度/引張り伸度を表す)
が90%にも達するような曲げに対して従来糸に比べて強
靭な繊維が得られる。この微小な筋が果たしている機械
的物性への役割は完全に解されてはいないが、おそら
く、無数の筋もしくは、その集団が存在するために、応
力を分散する効果があり、平滑な表面を有する繊維から
推定される挙動とは少し異なっている。得られた繊維断
面の写真(第3図)から明瞭に見られるようにスキン層
の形成状態に痕がみられないことや、該繊維の強伸度が
通常用いられているビスコースレーヨン繊維に対して遜
色ないことから、ビスコースレーヨン繊維の強伸度は表
層の極く薄い部分はほとんど関与していないとも推定さ
れる。すなわち極めて小さい筋が存在することによっ
て、光の乱反射を起こし、光沢を柔らかくすることが達
成されるとともに、強伸度の低下をもきたさないという
作用効果を生み出している。
〔実施例〕
以下に本発明の一実施例を記載して、本発明をさらに
詳細に説明する。
実施例の説明に先立ち、本発明に記載された各物性の
測定方法について、以下に説明する。
(1)ビスコースレーヨン繊維表面のTEMによる観察法 繊維をポリメチルメタアクリレート(p−MMA)に、1
05℃、1時間、加圧してレプリカし、該フィルムをカー
ボン蒸着装置にてクロムでシャドーイングした後カーボ
ン蒸着し、次いでp−MMAをクロロホルムにより溶出除
去したサンプルを150メッシュのメッシュシートに取
り、それをTEMにより観察し、5000〜50000倍で写真撮影
をした。
(2)引張り強伸度 JIS−L−1013(1981年)に従って糸長25cm、引張り
速度20cm/分にて測定し、引張り強伸度として表示す
る。
(3)結節伸度保持率 糸長25cmの試料を中央で結び、引張り強伸度試験と同
様にして測定し、得られた結節伸度の引張伸度に対する
比を百分率にて表示したもの。
(4)ループ伸度保持率 糸長25cmの試料2本をループを作って引掛け、引張り
強伸度試験と同様にして測定し、得られたループ伸度の
引張り伸度に対する比を百分率にて表示したもの。
(5)艶、風合評価法 艶、風合の評価は織物を試作して行った。経糸には市
販のビスコースレーヨン繊維(50B/20)を用い、緯糸に
本発明の繊維を用い、経糸密度107本/inch、緯糸密度74
本/inchの平織物を試作し艶、風合の官能試験を行っ
た。すなわち艶、風合それぞれについて次に示すように
5段階の評価をそれぞれ10人で実施し、その平均値で評
価した。
点数 艶評価 風合評価 5 落ちついた艶 柔く良好な風合 4 やや落ちついた艶 やや、柔く良好な風合 3 普 通 普 通 2 ややイライラする艶 やや硬く、悪い風合 1 イライラする艶 硬く、悪い風合 実施例1 以下の実施例では、%(百分率)は、特に断らない限
り、重量%を表す。
通常のビスコース(セルロース8%、NaOH含有量6
%、全硫黄2.2%)を、硫酸11%、硫酸ナトリウム21
%、硫酸亜鉛1.2%を含む50℃の凝固液を用いて紡糸し
た。
紡糸装置は第7図にその模式図を示したようなものを
用いて、50μφの直径のオリスフィス33個を持ったノズ
ルを用い、第1ゾーン(第7図、9)の長さを7mm、凝
固液の平均流速を0.35m/min、第2ゾーン(第7図、1
0)として40mmの長さの流管を用い、管内平均流速を200
m/min、見掛けドラフト0.7となるように設定して、320m
/minの速度で糸条を引き出し、次いで1.15倍に緊張した
後、巻取った。
その後、常法に従い精練を行い、油剤を付与した後、
乾燥して、75デニールのビスコースレーヨン繊維を得
た。
該繊維の表面のレプリカのTEMにより撮影した写真を
第1図に示す。写真には明瞭に微小な筋が無数に観察さ
れ、その分布状態は各1μm四方に10個以上存在してお
り、おびただしい数のものである。
この繊維の筋の状態及び物性を測定し、その結果を第
1表に示す。又、艶及び風合いを評価した結果、本実施
例の繊維は、通常のビスコースレーヨン糸と比較して、
落ちついた艶と良好な風合いを持ったものであった。
なお、第3図に本実施例の繊維をアルカリ膨潤したも
のの断面のTEMにより撮影した写真を示した。また第6
図に第3図をトレースした模式的な説明図を示した。本
図より、スキン層が糸の全周にわたってほゞ均一に形成
されており、スキン層の損傷や欠損がないことや、表層
の微小な筋の断面3の深さが、スキン層の厚さに対して
極めて小さく、せいぜい数十nm以下であることが観察さ
れる。
参考例1 凝固液の温度を65℃とした他は実施例1と同
様にして得られたビスコースレーヨン繊維は、平滑であ
り、微小な筋は観察されなかった。
実施例2〜7 以下に記載の項目の外は実施例1と同様にしてビスコ
ースレーヨン繊維を得た。
実施例2…管内平均流速を160m/min、糸条の引き出し
速度を280m/min、凝固液温度を55℃とした。
実施例3…管内平均流速を190m/min、第1ゾーンの長
さを10mmとした。
実施例4…管内平均流速を170m/min、凝固液温度を48
℃とした。
実施例5…管内平均流速を170m/min、糸条の引き出し
速度を350m/min、凝固液の硫酸濃度を10%、凝固液温度
を48℃、第1ゾーンの長さを4mmとした。
実施例6…糸条の引き出し速度を43m/min、凝固液温
度を65℃、第1ゾーン長さを4mm、第2ゾーンの長さを5
0mmとした。
実施例7…二酸化チタンを0.1%含むビスコースを用
いた。
これらの繊維の筋、物性、艶、風合の評価結果は第1
表に示す。また、実施例6で得られた繊維の表面のレプ
リカのTEMにより撮影した写真を第4図に示す。
比較例1 ビスコースレーヨン繊維の製法として、従来より一般
的に用いられているセントル方式紡糸法により、製造さ
れた市販の旭化成工業(株)製ビスコースレーヨン糸
(ケーク75MB/33)を用いて実施例1と同様の方法で表
面のレプリカのTEMによる写真を撮影した。該糸の表面
は第2図に示した如く、表面は平滑であり、微小な筋は
観察されなかった。艶、風合、物性は第1表に示す。
比較例2 市販の二酸化チタン混入のビスコースレーヨン糸(75
SD/33)を用いて実施例1と同様の方法で表面のレプリ
カのTEMによる写真を撮影した。該表面は第2図と同様
であり、表面は平滑であり、微小な筋は観察されなかっ
た。艶、風合、物性は第1表に示すとおりであった。
比較例3 管内平均流速を300m/minとした外は実施例1と同様に
してビスコースレーヨン繊維を得た。この繊維の表面に
は微小な筋は観察されなかった。物性、艶、風合の評価
結果は第1表に示す。
比較例4 特開昭59−228013号公報の実施例に記載の方法(4実
施例、4比較例)によりビスコースレーヨン繊維を得
た。この繊維の表面はいずれも平滑であり、表面には本
発明の微小な筋は観察されなかった。この中で本発明に
最も近いと思われる実施例2の方法で得た繊維の物性、
艶、風合の評価結果は第1表に示す。
比較例5 特開昭59−47416号公報の実施例に記載の方法(4実
施例、4比較例)によりビスコースレーヨン繊維を得
た。この繊維の表面はいずれも平滑であり本発明の微小
な筋は観察されなかった。この中で本発明に最も近いと
思われる実施例2、テストNo.3の方法で得た繊維の物
性、艶、風合の評価結果は第1表に示す。
〔発明の効果〕 本発明の繊維によれば、従来のビスコースレーヨン繊
維と同様の機械物性のために、全く同様の条件で、編織
加工他の加工が可能であり、かつ従来のビスコースレー
ヨン繊維にはない上品な艶が実現された為、絹に似た外
観の衣料用素材や、各種の装飾用布帛に用いられて有用
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のビスコースレーヨン繊維の一例の形
状(表面上の形状)を示す顕微鏡写真(倍率24000倍)
であり、第2図は、従来のビスコースレーヨン繊維の形
状((表面上の形状)を示す顕微鏡写真(倍率24000
倍)であり、第3図は、本発明の繊維の形状(横断面上
の形状)を示す顕微鏡写真(倍率11000倍)であり、第
4図は本発明のビスコースレーヨン繊維の他の一例の形
状を示す第1図同様の顕微鏡写真であり、第5図は、本
発明の繊維表面に微小な筋が分布している状態を模式的
に示す説明図であり、第6図は、第3図をトレースした
模式的な説明図であり、第7図は、本発明の繊維を得る
ための紡糸装置の一例を示す説明図である。 1……1μm四方角、2……スキン層、 3……微小な筋の断面、4,5……微小な筋、 6……微小な筋の集団、 7……筋の配列方向を示す補助線、 8……繊維軸方向を示す直線、 9……第1ゾーン、10……第2ゾーン、 11……紡糸ノズル、12……流管、 13……凝固液供給口、14……ビスコース流、 15……ガイド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 2/06 - 2/20 D01D 5/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】幅5〜100nm、長さ50〜1200nm、深さ5〜1
    00nmの微小な筋が、繊維表面の全周にわたって、各1μ
    m四方の中に少なくとも1ケ以上存在することを特徴と
    するビスコースレーヨン繊維。
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