JP4103621B2 - セルロース系繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽量で特有の風合い、光沢を有するセルロース系繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、天然繊維の中でも、カシミアやビキューナなどの高級獣毛繊維や、シーアイランドコットンのような高級綿素材は、ソフトな感触、極めて上品なヌメリ感と落ち着いた光沢、軽量性が愛され、非常に評価の高い繊維である。
【0003】
しかし、近年は、環境変化や動物保護などの問題により、その希少性は益々増大し、高額であるため、一般に品質の高いものを手に入れることのできる消費者は限られている。
【0004】
一方、安価で丈夫な化学繊維は、広く消費者に浸透しているが、その風合いについては昔から数々の改良技術が積み重ねられてきたにも関わらず、いまだに高級天然繊維に対抗できるような素材は得られていないのが実状である。
【0005】
たとえば、ポリエステルで古くから行われている減量加工は、ポリエステル繊維の粗硬感を、繊維表面をアルカリで溶解除去することにより改善する技術である。しかしながら、ポリエステルは本来吸湿性がなく肌あたりが悪いことが欠点で、吸湿性を付与する技術も各種検討されているがいまだに大きな成果は得られていない。
【0006】
化学繊維に簡易にヌメリ感を付与する方法としては、繊維にシリコーン系の薬剤を付与するという技術がある(例えば、特許文献1参照)。この加工によって、油脂性のヌメリ感を化学繊維に付与することが可能であるが、このヌメリ感は、カシミアなどとはやはり比べるべくもなく、ただちに繊維に高級感を与えられるものではない。本発明者らの検討によれば、やはり、高級天然繊維のヌメリ感とは単純な油脂感だけではなく、吸湿性を有するしっとりした風合いが特徴であるといえる。
【0007】
吸湿性の優れた化学繊維としては、第一にレーヨンが挙げられる。確かにその吸湿性によって、レーヨンは肌触りが良く、また、繊維の中ではかなり高比重の素材であるために、落ち感が良くドレープ性に優れている。
【0008】
ビスコースレーヨンは通常、その紡糸方法に由来して、繊維側面に深いスジの入った異形断面をしていることから、皮膚への接触面積が小さく、それゆえ、ヌメリ感というよりはさらっとしたドライな感触で、かつ表面の光の乱反射により華やかな光沢を有している特徴がある。
【0009】
このようなレーヨンに、従来にない光沢を付与するために、あえてその側面のスジ状の凹凸を少なくなるように紡糸口金を工夫した技術がある(特許文献2 参照)。
【0010】
また、銅アンモニアレーヨンやポリノジックレーヨンは、その製法の特徴として、繊維断面形状が丸に近く、ビスコースレーヨンに比べると、ややヌメリ感があり、落ち着いた光沢を有しているという特徴がある。
【0011】
しかしながら、これらのレーヨンは元来比重が高いことで、先に挙げた高級天然繊維のような軽量感にはほど遠く、ふんわりしたソフト感に欠けるという欠点が残る。
【0012】
また、セルロースに酢酸基を導入したセルロースアセテートでは、レーヨン同様にスジの入った異形断面になるため、やはりさらっとしたドライ感を有している。これについても、アセテートの断面形状を丸断面に近く略C状にするという技術があり、スジ状の凹凸が少なくなるためウエット感に富んだしっとりとした風合いが得られるというものである(特許文献3参照)。
【0013】
しかしながら、表面凹凸からなる感触は変化しても、繊維の持つ吸湿性は、ポリエステルよりは高いものの、セルローストリアセテートが3.5%、ジアセテートが6.5%と、皮膚に触れたとき明らかなしっとり感が得られるほどではない。
【0014】
このようなアセテートに、従来にない吸湿性を付与するために、エステルをアルカリ加水分解つまりケン化してセルロースに戻す技術がある。これで得られるセルロース繊維は、非常に吸湿性が高くレーヨン並の水分率を有しているものの、形状的にはやはり元のアセテートがそのまま収縮した状態で断面の異形性が高いためか、柔らかみはあってもドライな感触で、ヌメリ感は得ることができないのが実状であった。
【0015】
一方、本発明者らは、熱可塑性の高いセルロース系ポリマーとして、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートなど、酢酸よりは長鎖の脂肪酸に由来するアシル基で一部を置換したセルロース誘導体の検討を行っている。これらは従来はプラスチック成型品などで工業利用されているが、適切な可塑剤を添加することで、溶融紡糸繊維を得ることが可能である。
【0016】
そこで本発明者らが鋭意検討した結果、溶融紡糸により得られるような丸断面のセルロースエステル繊維をアルカリケン化して得られる、丸断面で内部に多数の空泡を有し吸湿性の高いセルロース繊維が、驚くべきことに高級天然繊維に匹敵するヌメリ感の風合いを有することを見いだし、本発明に至ったものである。
【0017】
【特許文献1】
特開昭55−122022号公報(1頁〜6頁)
【0018】
【特許文献2】
特開平8−134714号公報(1頁〜3頁)
【0019】
【特許文献3】
特開平11−222714号公報(1頁〜3頁)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、軽量で特有の高級天然繊維に匹敵するヌメリ感と光沢を有するセルロース系繊維およびその製造方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明のセルロース繊維は、前記目的を達成するため、次の構成を有する。
【0022】
すなわち、脂肪酸基の少なくとも一部が炭素数3のプロピオニル基であるセルロース脂肪酸エステル繊維をアルカリケン化することによって得られる、繊維断面に、直径が0.05μm以上0.4μm以下の空泡を1μmあたり平均15個以上40個未満有し、断面の異形度が1.3以下で凹部を有さない丸断面形状であり、20℃65%RHにおける水分率が10%以上であることを特徴とするセルロース系繊維である。
【0023】
その繊維の直径は5μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0024】
また、空泡は繊維中心部まで分散していることが好ましい。
【0025】
そしてこのセルロース系繊維は、繊維断面の異形度が、1.3以下で凹部を有さない丸断面形状であり脂肪酸基の少なくとも一部が炭素数3のプロピオニル基(炭素数にはカルボニル炭素も含む)であるセルロース脂肪酸エステル系繊維をアルカリケン化することにより製造することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0027】
本発明におけるセルロース系繊維は、繊維断面を観察したとき、直径が0.05μm以上0.4μm以下の小さな空泡が存在することを特徴とする。0.05μm未満の小さいものや0.4μmより大きいものがあってもかまわないが、個数にして70%以上の空泡がこの範囲内にあることが望ましく、さらに繊維の直径に対し1/3以下の大きさであることが望ましい。空泡の直径がこの範囲であれば、潰れにくいため、ヌメリ感が保持されやすい。この空泡とは、繊維長さ方向に長く引き延ばされたような柱状でも、球体に近い泡状でも良い。
【0028】
この空泡の分布密度は、繊維断面の1μmあたり、直径が0.05μm以上0.4μm以下の空泡が平均15個以上40個未満存在することを特徴とする。空泡の存在分布密度にムラがあって、部分的に空泡が少なく15個より少ない部分があったり、40個を越えて存在する部分があってもよいが、全体としてこの範囲にあれば、軽量で、かつ繊維の変形や空泡組織の破壊がおきにくいため良好である。
【0029】
さらに詳しくは、直径が0.1μm以上0.3μm以下の空泡が存在することが好ましく、1μm2あたり平均20個以上40個未満存在することが好ましい。
【0030】
またこの空泡は、繊維の外辺部から繊維中心部まで全体に存在していることがより好ましい。
【0031】
このことにより、本発明のセルロース繊維は従来のレーヨン系繊維に比べ軽量感を得ることができるものである。
【0032】
また、本発明のセルロース系繊維の断面形状は、異形度が1.3以下で凹部を有さない丸断面形状、つまり著しい凹凸がないことが重要である。
【0033】
本発明において異形度とは、以下の方法で算出された値をいう。繊維を安全剃刀などを使用して切断し、得られた横断面形状を、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡で撮影して、その内接円直径T1と外接円直径T2を測定し、T2/T1により、繊維の異形度を算出する。異形度が1.3より大きく、かつ凹部が存在すると、その繊維に触ったときの皮膚への接触面積が小さくなるため、繊維はさらりとしたドライ感を生じやすく、1.3以下であれば、ヌメリ感を得ることができる。さらに好ましくは1.2以下であれば、よりリッチなヌメリ感が得られる。
【0034】
そして、本発明のセルロース系繊維は、20℃65%RHにおける水分率が10%以上であることが肝要である。水分率が10%以上であることで、皮膚に触れたときのしっとり感との相乗効果により、皮膚に快い感触を与える高級天然繊維調のヌメリ感を得ることができるのである。また、水分率は20%を越えると軽量性が損なわれるため、好ましくは10%以上20%以下が適切である。
【0035】
また、本発明の繊維の直径は、5μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0036】
5μm以上であれば、繊維構造物として十分なふくらみ感が得られ、また30μm以下であれば、繊維が柔軟でしなやかな感触が得られやすい。
【0037】
このようなセルロース系繊維は、繊維断面の異形度が1.3以下で凹部を有さない丸断面形状であって、脂肪酸基の少なくとも一部が炭素数3のプロピオニル基(炭素数にはカルボニル炭素も含む)であるセルロース脂肪酸エステル系繊維をアルカリケン化することで得ることができる。
【0038】
本発明でいうセルロース脂肪酸エステルとしては、セルロースの水酸基の一部、または全てが脂肪酸のエステル結合で封鎖されているものが挙げられ、特にその脂肪酸基の少なくとも一部が、炭素数3のプロピオニル基(炭素数にはカルボニル炭素も含む)を含有するものであることが好ましい。したがって、一部、炭素数2のアセチル基があっても、その他に炭素数3のプロピオニル基に置換されている部分があれば、これに含まれる。具体的には、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートオレエート、セルロースアセテートラウレートなどが例示でき、特にセルロースアセテートプロピオネートが、実用上可能な紡糸条件を採りやすく好ましいものである。
【0039】
また、セルロースのグルコース環中の水酸基の数は3個であるため、その水酸基のエステルへの置換度の上限は3.0である。本発明においては、耐アルカリ性のために、このエステル置換度は1.5〜3.0が望ましい。さらに好ましくは2.0〜2.8が良い。
【0040】
このようなセルロース脂肪酸エステルは、セルロースアセテートに比べて熱流動性が高いため、プラスチック成型品などにも用いられているが、本発明においては、このようなセルロース脂肪酸エステルを繊維化したものを対象とする。
【0041】
繊維化の方法としては特に限定されるものではないが、現行のセルロースアセテートで採用されている乾式紡糸法やレーヨンなどの湿式紡糸法に比べ、本発明で対象となるセルロース脂肪酸エステルはその熱流動性を利用して、溶融紡糸法によって繊維化することが可能である。
【0042】
繊維には、溶融温度を下げ流動性を上げるために適切な可塑剤や、つや消し剤、難燃剤、着色顔料、抗菌剤など、種々の目的で無機微粒子や有機化合物が必要に応じて含有されていてもよい。
【0043】
本発明の繊維を得るためには、上記のセルロース脂肪酸エステルをアルカリ減量する。
【0044】
その処理方法は、特に限定されないが、アルカリ化合物を含有する水溶液を用いるものである。
【0045】
アルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどアルカリ金属の弱酸塩等が挙げられ、単独、もしくは混合して用いても良い。特に、ポリエステル繊維の表面に発色性に有効な微細な凹凸を付与するためには、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物が望ましい。
【0046】
これらのアルカリ化合物水溶液の濃度は特に制約はないが、アルカリ化合物の強さ、処理温度に応じて変えればよい。特に好ましくは、強アルカリのアルカリ金属水酸化物であれば、0.5重量%以上10重量%以下の濃度で用いる。さらに好ましくは、1重量%以上4重量%以下であれば、処理時間が短く、かつアルカリの無駄も少ないため、望ましい。
【0047】
4級アンモニウム塩などのアルカリ減量促進剤を併用すると、加水分解を短時間で進めることができ、セルロースの劣化が小さくなるので有効である。
【0048】
本発明において4級アンモニウム塩とは、窒素原子に結合したアルキル基やアルケニル基、アリル基などによる有機性のため、疎水性の高いポリマーに対し親和性を有し、アルカリ加水分解を迅速に行うための促進剤の働きをするカチオン性化合物を指す。
【0049】
たとえば、オクチルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジブチルアリルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルシクロヘキシルアンモニウムブロマイド、ラウリルフェニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ステアリルエチルジハイドロオキシエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウリルトリハイドロオキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。
【0050】
四級アンモニウム塩のアルカリ水溶液中の含有量は、水溶液に対して少なくとも0.05重量%以上であれば、促進剤の効果が十分に得られ、また、3.0重量%以下であれば、処理コストの上昇が抑えられ、現実的な処方となる。より好ましくは、0.1重量%〜1.0重量%添加すると良い。
【0051】
本発明のためのアルカリ処理は、通常染色加工に用いられているチーズ染色機、液流式染色機、ウインス、ジッカー、ビーム染色機の他、処理液をパッド付与した後に常圧スチーム、加圧スチーム、乾熱処理など、素材の形態や目的にあわせて用いればよい。
【0052】
【実施例】
以下、実施例によりさらに具体的に説明する。
【0053】
なお実施例中の評価方法は次のとおりに行った。
(1)繊維断面の空泡観察
繊維をエポキシ樹脂にて包埋固定後、クライオミクロトームにより超薄切片を作成する、これを透過型電子顕微鏡で観察し、繊維断面内でランダムに5カ所について、1μm2あたりの繊維内部に存在する0.05μm以上0.4μm以下の空泡の存在密度(個数)の平均値を求めた。
(2)繊維断面の直径および異形度
繊維を安全剃刀を使用して切断し、得られた横断面形状を、走査型電子顕微鏡で撮影して、その内接円直径T1と外接円直径T2を測定し、T2/T1により、繊維の異形度を算出した。また、外接円と内接円の平均直径を繊維の直径とした。
(3)繊維の水分率の測定
繊維を80℃の乾燥機に1時間放置し、秤量した後、20℃65%RHの恒温恒湿槽に24時間放置して、繊維重量に対する重量増加分を測定した。乾燥後の繊維重量に対する増加率を求め、N数を5として試料5個の平均を繊維の水分率とした。
【0054】
繊維の感触の官能評価
(4)5人の被験者により繊維構造物を手で触り、その感触をヌメリ感、しっとり感、軽量感の各項目と、高級天然素材調の感触を想定した総合評価を次のように4段階で評価し、その平均を求めた。
【0055】
◎:4、非常に優れている。
【0056】
○:3、優れている。
【0057】
△:2、やや悪い。
【0058】
×:1、悪い。
【0059】
実施例1、比較例1
セルロースアセテートプロピオネート(総エステル置換度2.5、アセチル置換度0.1、プロピオニル置換度2.4、平均重合度140)91重量%と可塑剤としてアジピン酸ジオクチル9重量%からなるポリマーを丸孔で溶融紡糸して、100デシテックス36フィラメントの繊維を得た。
この繊維を用いて2/2ツイル織物を作成した。
【0060】
この織物を用いて以下のアルカリ処理を行ったものを実施例1、行わなかったものを比較例1とした。
【0061】
水酸化ナトリウム 1.5重量%
トリメチルベンジルアンモニウムクロライド 0.2重量%
浴比1:50
70℃50分、浴中処理
減量率は51.3%であった。
【0062】
実施例1の布帛の糸を引き抜き、その断面をTEMで撮影したところ、内部には中心部まで多数の空泡が観察された。断面はほぼ真円であった。
【0063】
また、水分率を測定したところ、11.5%であった。この織物を手で触れるとしっとりした感触で、しかも独特のヌメリ感があり、軽く、非常に良好な風合いの織物であった。結果を表1に示す。
【0064】
また、比較例1の織物も同様にして調べたが、内部には空泡がなく、水分率は1.5%であった。手で触った感触は、ヌメリ感はあるがしっとり感がなく、非常に合繊ライクであった。結果を表1に示す。
【0065】
比較例2、3
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.9、平均重合度270)を乾式紡糸して得られる100デシテックス36フィラメントの繊維を用いて、実施例1同様、2/2ツイル織物を作成した。
【0066】
この織物を用いて以下のアルカリ処理を行ったものを比較例2、行わなかったものを比較例3とした。
【0067】
水酸化ナトリウム 1.2重量%
浴比1:50
95℃60分、浴中処理
減量率は43.3%であった。
【0068】
比較例2の布帛の糸を引き抜き、その断面をTEMで撮影したところ、内部には空泡が観察された。断面は乾式紡糸特有の異形度の高い多葉形状であった。
【0069】
また、水分率を測定したところ、11.0%であった。この織物を手で触れるとしっとりはしているが、ヌメリ感はなく、どちらかというとドライな風合いの織物であった。結果を表1に示す。
【0070】
また、比較例3の織物も同様にして調べたが、内部には空泡がなく、水分率は3.5%であった。手で触った感触は、ヌメリ感は少なく、しっとり感にも欠け、ドライな感触であった。結果を表1に示す。
【0071】
比較例4,5
湿式紡糸により得られる銅アンモニアレーヨン100デシテックス36フィラメントの繊維を用いて、実施例1と同様、2/2ツイル織物を作成し比較例4とした。
【0072】
また、ビスコースレーヨン100デシテックス36フィラメントの繊維を用いて同じく織物を作成し、比較例5とした。
【0073】
比較例4、5の水分率は、いずれも11.0%でしっとりしているが、比較例5はヌメリ感がなく、また、どちらも美しいドレープ性は有するものの、持ち重りのする織物で、軽量感はなかった。結果を表1に示す。
【0074】
実施例
実施例1で用いたのと同じセルロースアセテートプロピオネートポリマーを用いて、6葉の星形口金により溶融紡糸した。それにより得られた繊維は、六角形型に近い異形断面で、異形度は、1.2という形状であった。
【0075】
これらの繊維を実施例1と同様にして2/2ツイル織物にし、さらに、アルカリ処理を行ったものを実施例2とした。減量率は50.7%であった。
【0076】
実施例2の布帛の糸を引き抜き、その断面をTEMで撮影したところ、内部には空泡が観察され、断面はアルカリ処理前に比べ収縮しているが、異形度はほぼ変わらず1.2であった。水分率は11.2%であった。
【0077】
実施例2については、実施例1に比べると若干少ないもののヌメリ感があり、獣毛調の素晴らしい感触が得られていた。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
Figure 0004103621
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、軽量で特有の高級天然繊維に匹敵するヌメリ感と光沢を有するセルロース系繊維とすることができ、特に衣料分野において有用性が明らかである。

Claims (1)

  1. 脂肪酸基の少なくとも一部が炭素数3のプロピオニル基であるセルロース脂肪酸エステル繊維をアルカリケン化することによって得られる、繊維断面に、直径が0.05μm以上0.4μm以下の空泡を1μmあたり平均15個以上40個未満有し、断面の異形度が1.3以下で凹部を有さない丸断面形状であり、20℃65%RHにおける水分率が10%以上であることを特徴とするセルロース系繊維。
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