JP5177039B2 - 高伸度セルロース繊維およびその製造方法 - Google Patents
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80℃の温度で8時間乾燥したセルロースエステル0.9gを秤量し、これにアセトン35mlとジメチルスルホキシド15mlを加え溶解した後、さらにアセトン50mlを加えた。これに、撹拌しながら0.5N−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2時間ケン化処理した。次にこれに熱水50mlを加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として0.5N−硫酸で滴定した。別に上記の試料と同じ方法で、空試験を行った。滴定が終了した溶液の上澄み液を100倍に希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、有機酸の組成を測定した。測定結果とイオンクロマトグラフによる酸組成分析結果から、下記式によりセルロース脂肪酸混合エステルの平均置換度(DS)を計算した。
・TA=(B−A)×F/(1000×W)
・DSace=(162.14×TA)/[{1−(Mwace−(16.00+1.01))×TA}+{1−(Mwacy−(16.00+1.01))×TA}×(Acy/Ace)]
・ DSacy=DSace×(Acy/Ace)
・ DS=DSace+DSacy
上記式中、
TA:全有機酸量(ml)
A:試料滴定量(ml)
B:空試験滴定量(ml)
F:硫酸の力価
W:試料重量(g)
DSace:アセチル基の平均置換度
DSacy:アセチル基以外のアシル基の平均置換度
Mwace:酢酸の分子量
Mwacy:酢酸以外の有機酸の分子量
Acy/Ace:酢酸(Ace)と他の有機酸(Acy)とのモル比
162.14:セルロースの繰り返し単位の分子量
16.00:酸素の原子量
1.01:水素の原子量。
温度20℃、相対湿度65%の環境下において、島津製作所製オートグラフAG−50NISMS形を用いて、試料長20cm、引張速度20cm/minの条件で引張試験を行って、強度[cN/dtex]、伸度[%]、初期引張抵抗度[cN/dtex]を求めた。
東洋精機(株)社製のラビングテスターで糸が切れる回数を測定し耐摩耗性を評価した。測定条件は100ストローク回/分、ストローク長50mm、綾角60度にて、測定加重を0.2cN/dtexとして実施した。5回試験を実施し、その平均値が500回以上であるものを◎、300回以上500回未満であるものを○、100回以上300回未満であるものを△、100回未満のものを×とし、◎、○および△を合格と判定した。
測定する繊維をアセトン中に漬浸し、24時間常温で攪拌した。繊維の形態および重量が変化しないものを○、形態あるいは重量の変化がやや見られるものを△、溶解してしまうものを×とし、○および△を合格と判定した。
測定する試料のトータル繊度が100dtex未満の場合には複数本を合糸することによって、トータル繊度が100〜200dtexの範囲に入るように調整し、20Gの筒編み機を用いて筒編みを作成した。得られた筒編みを98℃×20分の熱水処理を行った後、風乾し、官能評価によってソフト性を評価した。ブランクとして48dtex−36fのセルロース繊維(比較例1で作成したもの)を用意し、この繊維で作成した筒編みと比べて著しくソフトなものを◎、明確にソフトなものを○、ややソフトなものを△、ソフト性が劣るかブランクと違いが分からないものを×とし、◎、○および△を合格とした。
測定する試料のトータル繊度が100dtex未満の場合には複数本を合糸することによって、トータル繊度が100〜200dtexの範囲に入るように調整し、20Gの筒編み機を用いて筒編みを作成した。得られた筒編みを98℃×20分の熱水処理を行った後、風乾した。得られた筒編みの上に260℃に設定したアイロンを重ね、1分間放置した。その後筒編みの表面状態を観察し、溶融やテカリが生じていないものを○、溶融は認められないが、ややテカリが認められるものを△、熱溶融が生じて繊維が変形してしまったものを×とした。
繊維をエポキシ樹脂中に包埋したブロックを作成し、このブロックをミクロトームを用いて繊維軸方向に垂直となるよう薄切片とした。得られた薄切片をスライドガラスおよびカバーガラスに挟み、光学顕微鏡を用いて200倍にて観察、顕微鏡写真を撮影し、得られた写真を用いて繊維全体の面積、および芯部の面積を算出した。なお、鞘部の面積は繊維全体の面積から芯部の面積を減じた値となる。
セルロース(コットンリンター)100重量部に、酢酸240重量部とプロピオン酸67重量部を加え、50℃の温度条件で30分間混合した。得られた混合物を室温(20℃)まで冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸172重量部と無水プロピオン酸168重量部をエステル化剤として、硫酸4重量部をエステル化触媒として加えて、150分間撹拌を行い、エステル化反応を行った。エステル化反応において、40℃の温度を超えるときは、水浴で冷却した。反応後、反応停止剤として酢酸100重量部と水33重量部の混合溶液を20分間かけて添加して、過剰の無水物を加水分解した。その後、酢酸333重量部と水100重量部を加えて、80℃の温度で1時間加熱撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム6重量部を含む水溶液を加えて、析出したセルロースアセテートプロピオネートを濾別し、続いて水で洗浄した後、60℃の温度で4時間乾燥した。得られたセルロースアセテートプロピオネート(CAP)のアセチル基およびプロピオニル基の平均置換度は、各々1.9と0.7であり、重量平均分子量は17.2万であった。
セルロースエステル(A)として合成例1で得られたセルロースアセテートプロピオネート(CAP1)を76重量%、セルロースエステル(B)としてセルロースジアセテート(ダイセル化学工業(株)L−40)を4重量%、可塑剤としてポリエチレングリコール(三洋化成(株)PEG600)を19.9重量%、酸化防止剤としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを0.1重量%用意し、これらを二軸エクストルーダーを用いて均一に混練した。CAP1に対するセルロースジアセテートの重量比は吐出したストランドは水冷した後、ペレタイザーにて5mm長程度のペレット状にした。
合成例1で得られたCAP1を78重量%とし、セルロースジアセテートを2重量%とする他は、実施例1と同様にしてペレットを製造し、Y字型断面孔を36ホール有する口金を用いることと、吐出量を30g/minとする他は実施例2と同様にして紡糸速度2000m/minにて溶融紡糸を行い、150dtex−36fのマルチフィラメントを得た。
実施例1で溶融紡糸して得た100dtex−36fの繊維を、アルカリ浴を用いた加水分解の条件を炭酸ナトリウムを6重量%含有する水溶液(6%ows)とし、98℃×60分に変更する以外は、実施例1と同様に処理をおこなった。処理後の繊維は芯鞘構造となっており、完全にセルロース化された80重量%の鞘成分と20重量%のセルロースアセテートブチレートとセルロースジアセテートのポリマーアロイ成分からなる芯部からなるものであった。
セルロースエステル(A)としてイーストマンケミカル社製セルロースアセテートプロピオネート(CAP482−20、置換度2.5(アセチル基平均置換度0.1、プロピオニル基平均置換度2.4)、重量平均分子量18.5万)を73重量%とし、セルロースエステル(B)として合成例1で得られたCAP1を7重量%とする以外は、実施例1と同様にして溶融紡糸を行い、100dtex−36fのマルチフィラメントを得た。
セルロースエステル(A)としてイーストマンケミカル社製セルロースアセテートブチレート(CAB381−20(アセチル基平均置換度1.0、ブチリル基平均置換度1.7)を用い、表1に記載の配合量とする以外は実施例1と同様にして溶融紡糸を行い、110dtex−36fのマルチフィラメントを得た。
組成物にセルロースエステル(B)を添加せず、セルロースエステル(A)のみとしたこと以外は実施例1と同様に、実施例1と同じCAP82重量%、PEG17.9重量%、酸化防止剤0.1重量%からなる組成物を用いて、溶融紡糸を行い、100T−36fのマルチフィラメントを得た。
組成物の配合を表2記載の通りとし、吐出量を5g/分に、紡糸速度を500m/分に変更する以外は実施例1と同様にして繊維を得た。
Claims (3)
- グルコース単位あたり3個の水酸基を有するセルロースを主体としてなる繊維であって、伸度が30〜60%、初期引張抵抗度が15〜40cN/dtex、20℃×65%RHにおける吸湿率が8〜15%であることを特徴とする高伸度セルロース繊維。
- 炭素数が3以上のアシル基を少なくとも一部に有するセルロースエステル(A)と、前記セルロースエステル(A)とは組成が異なるセルロースエステル(B)を少なくとも含んでなる組成物を溶融紡糸により繊維化し、得られた繊維をアルカリ化合物を含有する水溶液を用いて加水分解処理することを特徴とする請求項1記載の高伸度セルロース繊維の製造方法。
- 炭素数が3以上のアシル基を少なくとも一部に有するセルロースエステル(A)がセルロースアセテートプロピオネートあるいはセルロースアセテートブチレートであることを特徴とする請求項2に記載の高伸度セルロース繊維の製造方法。
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