JP5130859B2 - パイル布帛 - Google Patents

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Description

本発明は、立毛構造を有するパイル布帛に関する。より詳しくは、セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートを主たる構成成分とする繊維によりパイルが構成されてなることにより、光沢感に富むきわめて柔軟なパイル布帛に関する。
ベルベットやベロアなど立毛を有するパイル布帛は、優れた発色性および風合いを活かした高級衣料分野や、構造起因の遮光性を活かしたカーテンなどのインテリア用途に従来より広く用いられている。最近では、液晶材料の表面処理に用いられるラビングクロスなどとしての活用も行われてきている。
パイル布帛はグラント部とよばれる地組織部分とパイル部分とから構成されてなるが、地組織はパイル部分によって通常隠蔽されているので、布帛の外観あるいは触感を決定するのはパイル部分の構成であり、パイル糸に何を用いるかが非常に重要である。
パイル糸としてポリエステル繊維を用いたパイル布帛は多くの検討がされてきている。例えば、一定の肉厚を有する合成繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維)を用いることでプリント特性を向上させたパイル布帛が提案されている(特許文献1)。ポリエチレンテレフタレート繊維などの合成繊維をパイル糸として用いた布帛は、ポリエチレンテレフタレート繊維の剛性が非常に高いため、柔軟な風合いが得られない問題があった。また、光沢についてもポリマーの屈折率が高いため、色染めされたパイル織物においては表面反射による白ボケが生じる問題があった。
パイル糸を構成する繊維としてアセテート繊維を用いるものに関しては、たとえばランダムな特殊毛羽模様を施した織編物が提案されている(特許文献2)。アセテート繊維はポリエステル繊維に比べてポリマーの屈折率が低いため良好な発色性を示すが、なお繊維の剛性が高いためにきわめて柔軟なパイル布帛を得るには至っていなかった。
また、アセテート繊維を用いたパイル織物に関しては、液晶材料製造用のラビングクロスとしての活用が行われている(特許文献3参照)。ここではラビング性能を向上させるために多くの凸部を有すること、樹脂加工の必要が無いためラビング傷の恐れが少ないことなどの理由でアセテート繊維がパイル部を構成する繊維として用いられている。そのため、繊維の表面における光の反射はマイルドなものとなり、強い光沢を示さないものであった。また、繊維の剛性が強いため、柔軟な風合いを示すものでもなかった。
特開平9−31797号公報 特開平8−269866号公報 特開2004−332136号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、きわめて光沢感と柔軟性に優れた従来得られなかった衣料用パイル布帛を提供することにある。
本発明の課題は、セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートを主たる構成成分とする初期引張弾性率が20〜40cN/dtexである繊維(A)を、パイル部を構成する主たる繊維として用いてなる衣料用パイル布帛によって解決が可能である。
その際、セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートを主たる構成成分とする繊維(A)が、その繊維の横断面形状において凸部を2〜4個有するものであることは光沢の優れた布帛を得るために好適に採用できる。
また、セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートを主たる構成成分とする繊維(A)が、中空部を有する中空繊維であることについても変化に富んだ光沢感や布帛の軽量化を達成するために好適に採用できる。
また、セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートを主たる構成成分とする繊維(A)が、単糸繊度0.7〜2.2dtexであることは、風合いの優れた布帛を得るために好適に採用できる。
本発明によれば、きわめて光沢感と柔軟性に優れた衣料用パイル布帛を得ることができるので、風合いと発色性の双方が要求される高級衣料用布帛用途などに好適に用いることができる。
本発明の衣料用パイル布帛は、セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートを主たる構成成分とする初期引張弾性率が20〜40cN/dtexである繊維(A)を、パイル部を構成する主たる繊維として用いてなるものである。
この繊維(A)の初期引張弾性率については、値が小さいほどパイル部がやわらかい構造となるため好ましい。そのため、初期引張弾性率は40cN/dtex以下とする必要があり、35cN/dtex以下であることが好ましい。逆に初期引張弾性率は20cN/dtex以上であることが、立毛部の耐へたり性を良好とするために好ましい。
繊維(A)を構成する主たる構成成分として用いうるセルロースアセテートプロピオネートとは、セルロースの水酸基の少なくとも一部がアセチル基およびプロピオニル基によって置換されたポリマーをいう。同様にセルロースアセテートブチレートとは、セルロースの水酸基の少なくとも一部がアセチル基およびブチリル基によって置換されたものをいう。繊維を構成するポリマーの主成分がセルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートである場合、繊維の初期引張弾性率はポリエステルやアクリルなどの合成繊維はもちろん、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、キュプラアンモニウムレーヨンなどのほかのセルロース系繊維と比べても十分に低い値となり、布帛のパイル部はきわめて柔軟な風合いのものとなる。また、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートは、そのポリマー屈折率が低いために、発色性にも優れた布帛が得られる。
セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートのアセチル基およびアシル基(プロピオニル基またはブチリル基)の平均置換度は、下記式を満たすことが好ましい。なお平均置換度とはセルロースのグルコース単位あたりに存在する3つの水酸基のうちアシル基が化学的に結合した数を指す。
2.0≦(アセチル基の平均置換度+アシル基の平均置換度)≦3.0
1.5≦(アセチル基の平均置換度)≦2.5
0.5≦(アシル基の平均置換度)≦1.5
上記式を満たすセルロースアセテートプロピオネートを主たる構成成分とする繊維、あるいはセルロースアセテートブチレートを主たる構成成分とする繊維を用いてなる布帛は、十分に高い熱軟化温度を備えており、また適度な吸湿性、良好な寸法安定性を有するものとなるため好ましい。
本発明の繊維(A)は、その物性を損なわない範囲内において、可塑剤、酸化防止剤、艶消剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、着色防止剤、着色顔料、染料、制電剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤等として、無機微粒子や有機化合物を必要に応じて含有することができる。
可塑剤を含有する場合には、セルロースアセテートプロピオネートあるいはセルロースアセテートブチレートとの相溶性が良好である観点から、多価アルコール系化合物が好ましい。具体的にはポリアルキレングリコール、グリセリン系化合物、カプロラクトン系化合物などであり、なかでもポリアルキレングリコールが好ましい。ポリアルキレングリコールの具体的な例としては、重量平均分子量が200〜4000であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどが挙げられるがこれらに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
酸化防止剤を含有する場合には、セルロースアセテートプロピオネートあるいはセルロースアセテートブチレートの加熱時の色調悪化を防ぐ観点から、リン系酸化防止剤であるフォスファイト系化合物であることが好ましい。
本発明における繊維(A)の引張強度は0.8cN/dtex以上であることが好ましい。引張強度が0.8cN/dtex以上であれば、パイル部の耐久性が良好であり最終製品の強力が不足することがないため好ましい。良好な引張強度特性の観点から、引張強度は高ければ高いほど実用範囲が広がるため好ましいが、現状では2.0cN/dtex程度が上限である。引張強度は0.9cN/dtex以上であることがより好ましく、1.0cN/dtex以上であることがさらに好ましい。
本発明における繊維(A)の単糸繊度は4.4dtex以下であることが好ましい。パイル部を柔軟な風合いとするためには、この単糸繊度が十分に細いことが重要であり、2.2dtex以下であることがより好ましく、1.1dtex以下とすることもできる。逆にパイル糸の倒れを防ぐ観点からは単糸繊度が0.7dtex以上であることが好ましい。
本発明において、パイル布帛の光沢をより明確にする目的で、繊維(A)はその繊維の横断面形状において凸部を2〜4個有するものであることができる。凸部が2である形状の例としては図1に示す扁平糸があげられる。凸部が3である形状の例としては図2に示す三葉断面糸、図3に示すT字型断面糸などがあげられる。凸部が4である形状の例としては、図4に示す十字断面糸、図5に示す四角断面糸などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、パイル布帛の軽量化を達成するため、あるいはより深みのある光沢を実現するために、繊維(A)は中空部を有する中空繊維であることができる。中空繊維である場合、繊維の中空率は10〜50%であることが好ましい。中空率が10%以上であれば軽量性などの中空をもうけたことによる効果が明確に発現する。中空率は高いほど軽量性の点からは好ましいが、中空率が50%を越える場合、布帛の継続使用においてパイル部を構成する繊維のフィブリル化などによる品位低下が懸念される。なお、本発明でいう中空率とは、中空糸の繊維軸に対して垂直方向の断面(横断面)を撮影し、断面の全面積(Sa)と中空部の面積(Sb)を測定し、下記式を用いて算出した値をいう。ただし、Sbは、複数の中空部を有する場合には、それぞれの中空部の面積の総和を意味する。
中空率(%)=(Sb/Sa)×100
本発明のパイル布帛は、繊維(A)がパイルを構成する主たる繊維であることが必要であるが、地組織であるグランド部については特に限定無く用いることができ、例えばポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、綿紡績糸、ビスコースレーヨン、キュプラアンモニウムレーヨンなどであることができる。
パイルの長さについては、特に限定は無いがパイル長が0.5mm以上であれば繊維(A)の柔軟性が明確に観察されるため好ましい。一般のベルベット組織に用いる場合には5mm程度のパイル長で十分であるが特に限定は無い。
パイル形状については、タオル地や絨毯地のように最終製品の段階までパイル形状を維持したものであってもよいし、パイルが切断されてカットパイルとなったものであってもよい。カットパイル形状の織物としては経糸をカットしたベルベット組織であってもよいし、緯糸をカットした別珍組織であってもよい。パイルはさらに伏毛加工を施されてなるものであってもよい。すなわち、マングルなどのローラーによって圧搾処理を受けることにより、繊維(A)と織物平面のなす角度が45度以下となることを特徴とする衣料用パイル布帛であることができる。
本発明の衣料用パイル布帛は、パイルを構成する主たる繊維(A)の特性によってきわめて光沢感と柔軟性に優れた衣料用パイル布帛を得ることができるので、風合いと発色性の双方が要求される高級衣料用布帛用途などに好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めたものである。
A.セルロース脂肪酸混合エステルの平均置換度
セルロースにアセチル基およびアシル基が結合したセルロース脂肪酸混合エステルの平均置換度の算出方法については下記の通りである。
80℃で8時間乾燥したセルロース脂肪酸混合エステル0.9gを秤量し、アセトン35mlとジメチルスルホキシド15mlを加え溶解した後、さらにアセトン50mlを加えた。撹拌しながら0.5N−水酸化ナトリウム水溶液30mlを加え、2時間ケン化した。熱水50mlを加え、フラスコ側面を洗浄した後、フェノールフタレインを指示薬として0.5N−硫酸で滴定した。別に試料と同じ方法で空試験を行った。滴定が終了した溶液の上澄み液を100倍に希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、有機酸の組成を測定した。測定結果とイオンクロマトグラフによる酸組成分析結果から、下記式により置換度を計算した。
TA=(B−A)×F/(1000×W)
DSace=(162.14×TA)/[{1−(Mwace−(16.00+1.01))×TA}+{1−(Mwacy−(16.00+1.01))×TA}×(Acy/Ace)]
DSacy=DSace×(Acy/Ace)
TA:全有機酸量(ml)
A:試料滴定量(ml)
B:空試験滴定量(ml)
F:硫酸の力価
W:試料重量(g)
DSace:アセチル基の平均置換度
DSacy:アシル基の平均置換度
Mwace:酢酸の分子量
Mwacy:他の有機酸の分子量
Acy/Ace:酢酸(Ace)と他の有機酸(Acy)とのモル比
162.14:セルロースの繰り返し単位の分子量
16.00:酸素の原子量
1.01:水素の原子量。
B.強度および初期引張弾性率
温度20℃、湿度65%の環境下において、島津製作所製オートグラフAG−50NISMS形を用い、引張速度20cm/minの条件で引張試験を行って、JIS−L−1013に準じて強度および初期引張弾性率を算出した。
C.中空率
中空糸の繊維軸に対して垂直方向の断面(横断面)について、走査型電子顕微鏡による電子顕微鏡写真の撮影を行い、得られた電子顕微鏡写真における繊維断面の中空部をも含む全面積Saと中空部のみの面積Sbを測定し、下式を用いて算出した。ただしSbは、中空糸が複数の中空部を有する場合には、それぞれの中空部の面積の総和となる。
なお中空率は異なるフィラメント10本についてそれぞれ算出し、その平均値とした。
中空率(%)=(Sb/Sa)×100
D.風合い
パイル織物の表面パイル糸触感について、風合いの官能評価を行った。柔軟で風合いにきわめて優れている場合に◎、良好な場合に○、劣っている場合には×とした。劣っている場合の判断基準は、標準的なポリエステル繊維パイル布帛と同等あるいはそれに及ばない場合とした。
E.光沢感
パイル織物の表面パイル外観について、光沢感の官能評価を行った。明瞭な強い光沢で光沢感がきわめて優れている場合に◎、良好な場合に○、劣っている場合に×とした。劣っている場合の判断基準は、標準的なポリエステル繊維パイル布帛と同等あるいはそれに及ばない場合とした。
F.彩度
染色後のパイル織物を試料として、ミノルタ社製分光測色計CM−3700d型を用いてD65光源、視野角度10°、光学条件SCEにてCを測定し、得られた値を彩度とした。
合成例1
セルロース(コットンリンター)100重量部に、酢酸240重量部とプロピオン酸67重量部を加え、50℃で30分間混合した。混合物を室温まで冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸172重量部と無水プロピオン酸168重量部をエステル化剤として、硫酸4重量部をエステル化触媒として加えて、150分間撹拌を行い、エステル化反応を行った。エステル化反応において、40℃を越える時は、水浴で冷却した。反応後、反応停止剤として酢酸100重量部と水33重量部の混合溶液を20分間かけて添加して、過剰の無水物を加水分解した。その後、酢酸333重量部と水100重量部を加えて、80℃で1時間加熱撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム6重量部を含む水溶液を加えて、析出したセルロースアセテートプロピオネートを濾別し、続いて水で洗浄した後、60℃で4時間乾燥した。得られたセルロースアセテートプロピオネートのアセチル基およびプロピオニル基の平均置換度は各々1.9、0.7であり、重量平均分子量(Mw)は17.8万であった。
実施例1、2
合成例1で製造したセルロースアセテートプロピオネート80重量%と平均分子量600のポリエチレングリコール(PEG600)19.9重量%およびリン系酸化防止剤としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.1重量%を二軸エクストルーダーを用いて240℃で混練し、5mm程度にカッティングしてペレットを得た。
このペレットを80℃、8時間の真空乾燥を行い、メルター温度260℃にて溶融させ、紡糸温度260℃とした溶融紡糸パックへ導入して、吐出量15.0g/分の条件で、スリット幅0.15mm、スリット長0.9mmの三葉断面口金を72ホール有する口金より紡出した。紡出糸は25℃の冷却風によって冷却した後、油剤を付与して収束し、1500m/分で回転する第1ゴデットローラー、第2ゴデットローラーを経由して、ワインダーにより巻き取った。得られた繊維は100dtex−72filであった。得られた繊維を繊維(A)とし、パイル糸として織物に供するため整経を行った。
常圧可染性ポリエステル(東レ(株)製ポリロフト84T−36−S412)を400T/mで撚糸した糸を準備し、パイル織物の地組織の経糸および緯糸に用いた。すなわち、繊維(A)とは別に地組織の経糸用として整経を行い、繊維(A)の経糸とともに織機へ供給した。製織においては、織物厚さを実施例1では3mm、実施例2では6mmとして二重織とし、この織物の中間をカッターで切断することによりカットパイル織物を得た。得られた織物は80℃×20分の熱水処理により精練し、ポリエチレングリコールを全量溶出させた後、100℃×60分、染料濃度4%owf(使用染料Sumikaron Orange SR)の条件で染色加工を行った。繊維(A)の単糸繊度は1.1dtex、強度は1.8cN/dtexであった。
得られたパイル織物は、実施例1、実施例2ともに、繊維(A)の初期引張弾性率が十分に低いため風合いが非常に優れていた。また、繊維(A)が三葉断面であることから、光沢感が非常に優れていた。染色後の彩度は実施例1で40、実施例2で45であり、鮮明な発色性を有するものであった。
実施例3、4
用いる口金を直径0.23mmの丸孔を36ホール有するものとする他は実施例1と同様にして100dtex−36filの原糸(A)を製造し、実施例3ではカットパイル長が1.5mmとなるように、実施例4ではカットパイル長が2.5mmとなるようにパイル織物を製織後、染色加工を行った。繊維(A)の単糸繊度は2.2dtex、強度は1.5cN/dtexであった。
繊維(A)の初期引張弾性率は35cN/dtexとやや高い値であったため、風合いは実施例1と比較するとやや劣るものであったが、良好であり合格レベルであった。光沢については断面形状が丸断面であったため、実施例1と比較してやや劣るものであったが、良好であり合格レベルであった。
Figure 0005130859
比較例1
合成例1で得たセルロースアセテートプロピオネート75wt%と可塑剤グリセリンジアセトモノオレート25wt%を実施例1と同様に混練して組成物ペレットを得た。実施例3と同様にして溶融紡糸を行い、100dtex−36filの原糸(A)を製造し、パイル織物を製織後、染色加工を行った。繊維(A)の単糸繊度は2.8dtex、強度は0.6cN/dtexであった。
可塑剤のグリセリンジアセトモノオレートは精練工程で溶出しないため、繊維の初期引張弾性率は13cN/dtexと非常に低い値であった。パイル糸はコシがなく織物風合いはドライ感が失われており劣ったレベルであった。
比較例2、3
比較例2ではパイル糸として市販のセルローストリアセテート(84T−20f)を用いる他は、比較例3ではパイル糸として市販のポリエチレンテレフタレート(84T−36f)を用いる他は、実施例1と同様にしてパイル織物を作成した。比較例2では繊維の単糸繊度が4.2dtex、強度は0.9cN/dtexであった。比較例3では繊維の単糸繊度が2.2dtex、強度は4.0cN/dtexであった。
比較例2では染色温度を120℃とする他は、比較例3では染色温度を130℃とする他は実施例1と同様にパイル織物の染色加工を行った。
比較例2ではパイルを構成するセルローストリアセテート繊維の初期引張弾性率が48cN/dtexと高い値であったので、風合いは従来パイル織物同様レベルのものであった。光沢感についてはブロードな光沢であり、明瞭な光沢感は認められなかった。
比較例3ではパイルを構成するポリエチレンテレフタレート繊維の初期引張弾性率が95cN/dtexと非常に高い値であったので、風合いは従来パイル織物同様レベルのものであった。光沢についてはほとんど感じられなかった。
Figure 0005130859
実施例5、6
イーストマンケミカル社製セルロースアセテートブチレート(CAB381−20)88重量%と平均分子量600のポリエチレングリコール(PEG600)12重量%を二軸エクストルーダーを用いて210℃で混練し、5mm程度にカッティングしてセルロースエステル組成物ペレットを得た。
このペレットを80℃、8時間の真空乾燥を行い、メルター温度245℃にて溶融させ、紡糸温度245℃とした溶融紡糸パックへ導入して、吐出量10.0g/分の条件で、直径0.23mmの丸孔口金より紡出した。25℃の冷却風によって冷却し、油剤を付与して収束させた後、紡糸速度1250m/分で巻き取りを行った。得られた繊維(80dtex−24fil)を繊維(A)とし、パイル糸として織物に供するため整経を行った。繊維(A)の単糸繊度は2.9dtex、強度は1.0cN/dtexであった。
その後、、カットパイル長が5mmとなるようにパイル織物を作成し、実施例1と同様にして染色加工を行った。実施例6では、さらに回転ローラーを用いてパイル織物の伏せ毛加工を行った。織物とパイルのなす角度は20〜40度であり、平均値は35度であった。
繊維(A)の初期引張弾性率は21cN/dtexと非常に低い値であり、実施例5、実施例6ともに風合いはきわめて良好であった。光沢感については実施例5では実施例1と比較するとやや劣るものの、良好であった。実施例6では伏せ毛の効果により光沢感が強調され極めて良好であった。
実施例7、8
実施例7においては用いる口金をスリット間ピッチ0.10mm、スリット幅0.07mmの4枚あわせ中空断面用口金とする他は、実施例8においては長経1.2mm、短経0.2mmの楕円孔を96ホール有する口金とする他は実施例1と同様にして繊維(A)を製造し、カットパイル長が1.8mmとなるようにパイル織物を製織後、染色加工を行った。実施例7では繊維(A)の中空率は35%であり、単糸繊度は1.1dtex、強度は1.3cN/dtexであった。実施例8では繊維(A)の単糸繊度は0.8dtex、強度は1.5cN/dtexであった。
実施例7では繊維(A)の初期引張弾性率は29cN/dtex、実施例8では繊維(A)の初期引張弾性率が32cN/dtexと十分に低い値であったため、風合いは柔軟なものであった。また、実施例7の中空繊維を用いたパイル織物、実施例8の扁平繊維を用いたパイル織物のいずれも明確な優れた光沢を示すものであった。染色後の彩度もそれぞれ40、45と良好であった。また、実施例7では中空糸を用いた効果によって布帛の軽量化が達成されていた。
Figure 0005130859
凸部を2個有する繊維断面の一例である。 凸部を3個有する繊維断面の一例である。 凸部を3個有する繊維断面の一例である。 凸部を4個有する繊維断面の一例である。 凸部を4個有する繊維断面の一例である。 凸部を4個有し、中空を有する繊維断面の一例である。

Claims (4)

  1. セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートを主たる構成成分とする初期引張弾性率が20〜40cN/dtexである繊維(A)を、パイル部を構成する主たる繊維として用いてなる衣料用パイル布帛。
  2. セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートを主たる構成成分とする繊維(A)が、その繊維の横断面形状において凸部を2〜4個有するものであることを特徴とする請求項1に記載の衣料用パイル布帛。
  3. セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートを主たる構成成分とする繊維(A)が、中空部を有する中空繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の衣料用パイル布帛。
  4. セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートを主たる構成成分とする繊維(A)が、単糸繊度0.7〜2.2dtexであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の衣料用パイル布帛。
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