JP4103564B2 - 耐熱性の改善されたセルロース脂肪酸エステル系繊維およびその製造方法 - Google Patents

耐熱性の改善されたセルロース脂肪酸エステル系繊維およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性の改善されたセルロース脂肪酸エステル系繊維およびそれからなる繊維構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来セルロースエステル系の繊維としては、セルロースジアセテートやセルローストリアセテートなどのアセテート類が古くから工業化されており、高発色性で美麗な繊維としてその価値を認められている。セルロースジアセテートは、セルロース骨格を構成するグルコース環上にある3つの水酸基のうち、約2個がアセチル基に置換されたセルロースアセテートをいう。またセルローストリアセテートは、水酸基のほぼ全てがアセチル基に置換されたものをいい、ジアセテートよりは疎水性が高く、また、耐熱性が改善されているという特徴がある。
【0003】
しかしながら、これらのセルロースアセテート類は熱可塑性が小さく、溶融温度と分解温度が近いことから溶融紡糸が出来ず、有害な有機溶剤を用いる乾式紡糸法によってのみ製造されるものであり、生産性が低い上に、環境に対して悪影響の要因が大きい素材であった。
【0004】
一方、熱可塑性の高いセルロース系ポリマーとしては、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートなど、酢酸よりは長鎖の脂肪酸に由来するアシル基で一部を置換したセルロース誘導体が知られている。これらは従来はプラスチック成型品などで工業化されており、適切な可塑剤を添加することで、溶融紡糸繊維を得ることが可能である。
【0005】
しかしながら、発明者らの検討によれば、これらの炭素数3以上のアシル基で置換されたセルロース脂肪酸エステルからなる繊維は、布帛の熱セットを行おうとすると、かなり低い温度でなければ溶融してしまい、溶けないまでも熱で硬化しやすいという問題があることがわかった。
【0006】
従来のセルロースエステル繊維であるジアセテートは、耐熱性の点ではその他の繊維素材よりは弱く、光沢等を失わないためにはある程度低い温度での処理が必要であるが、溶融温度は250度とかなり高く、高次加工工程やアイロンで溶融や硬化を容易に起こすことはない。トリアセテートは溶融温度が300度でさらに耐熱性があるため、比較的高温による熱セットも容易である。これに対して、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートなど、熱可塑性が高く熱溶融温度が低いポリマーからなる繊維は、熱処理による熱可塑化で皺のばしや形態固定を行おうとしても、繊維同志の接点が融着する事により、繊維構造物としての柔軟性を失い、硬化しやすいのである。
【0007】
ところで、これらのセルロースエステルについては、アルカリ加水分解により、アシル基を脱離するとセルロース化出来ることが知られている。これによって、レーヨン調のセルロース繊維を得ることが可能である。
【0008】
セルロースアセテート系繊維のセルロース化については、完全なセルロース化の他に、制電性やウエット感風合いを目的として、表層がセルロース化され芯部がセルローストリアセテートからなる繊維を、芯鞘紡糸繊維のケン化により得るという技術がある(特許文献1参照)。また、セルロースジアセテート繊維織物を精練と同時に1〜8重量%減量することで表層ケン化し、強度や風合いを向上させるという技術がある(特許文献2参照)。
【0009】
しかし、これらの技術は、セルローストリアセテート繊維やセルロースジアセテート繊維に対し、セルロースの吸湿性や強度を付与することを目的に表層ケン化するものであり、これらの繊維に比べて極めて溶融温度の低いポリマーであるセルロース脂肪酸エステル繊維に対して、これらが熱により互いに微細に融着し硬化しやすいことは、なんら示唆されていない。
【0010】
また一方、疎水性の高いセルロース脂肪酸エステルは、例えばセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートなどが、従来プラスチック成型品などで工業化されているが、ケン化は、主に表面の親水化や機能性加工を目的として、ごく表層部のみをセルロース化する検討がなされてきた。(特許文献3)
しかし、これら樹脂成型品は、熱変形を嫌うため、そもそも成型後に高温で処理することは少なく、また、樹脂成型品は概ね、繊維のように極めて細くて表面積の大きい形態ではないため、接点での微小な熱溶融接着が問題となることは少ない。
【0011】
したがって、特に熱に対して溶融性が強いセルロース脂肪酸エステル系の繊維に対して、熱融着による硬化を阻害するというアプローチはなされていないのが現状であった。
【0012】
しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、セルロース脂肪酸エステルの表層がセルロース化されていると、本来耐熱性の劣る繊維でありながら、繊維同志の融着が防止されることから、後加工工程での熱セットや、縫製工程や家庭でのアイロンが容易になり、取り扱い性が大幅に改善されること見いだし、本発明に至ったものである。
【0013】
【特許文献1】
特開平9−143819号公報(1頁〜3頁)
【0014】
【特許文献2】
特開昭57−21569号公報(1頁〜2頁)
【0015】
【特許文献3】
特開平1−268729号公報(1頁〜5頁)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱処理によって繊維が融着硬化することのない熱可塑性セルロース脂肪酸エステル繊維を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のセルロース脂肪酸エステル系繊維は、前記目的を解決するため、次の構成を有する。
【0018】
すなわち、芯部が脂肪酸基の少なくとも一部が炭素数3のアシル基(炭素数にはカルボニル炭素も含む)であるセルロース脂肪酸エステルであり、鞘部がセルロースであることを特徴とするセルロース脂肪酸エステル系繊維である。
【0019】
さらに詳しくは、鞘部のセルロース層の厚みが0.2μm以上1.5μm以下であることを特徴とするセルロース脂肪酸エステル系繊維である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】
本発明におけるセルロース脂肪酸エステルとは、セルロースの水酸基の一部、または全てが脂肪酸のエステル結合で封鎖されているものをいい、特にその脂肪酸基の少なくとも一部が、炭素数3のアシル基(炭素数にはカルボニル炭素も含む)を含有するものをいう。したがって、一部、炭素数2のアセチル基があっても、その他に炭素数3以上のアシル基に置換されている部分があれば、これに含まれる。具体的には、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネートなどが例示出来、特にセルロースアセテートプロピオネートが、実用上可能な紡糸条件を採りやすく好ましいものである。
【0024】
またセルロースのグルコース環中の水酸基の数は3個であるため、その水酸基のエステルへの置換度の上限は3.0である。本発明においては、このエステル置換度は1.5〜3.0が望ましい。さらに好ましくは2.0〜2.8が良い。
【0025】
このようなセルロース脂肪酸エステルは、セルロースアセテートに比べて熱流動性が高いため、プラスチック成型品などにも用いられているが、本発明においては、このようなセルロース脂肪酸エステルを繊維化したものを対象とする。
【0026】
繊維化の方法としては特に限定されるものではないが、現行のセルロースアセテートで採用されている乾式紡糸法やレーヨンなどの湿式紡糸法に比べ、本発明で対象となるセルロース脂肪酸エステルはその熱流動性を利用して、溶融紡糸法によって繊維化することが可能である。
【0027】
繊維には、溶融温度を下げ流動性を上げるために適切な可塑剤や、つや消し剤、難燃剤、着色顔料、抗菌剤など、種々の目的で無機微粒子や有機化合物が必要に応じて含有されていてもよい。可塑剤が添加された繊維は、さらに熱融着性が強くなるため、そのままでは繊維構造物の熱硬化が起きやすく、本発明を適用することでその硬化を防止する効果がより著しい。
【0028】
また、繊維断面形状に関しても特に制限はなく、通常用いられる円形断面の他、多葉形、扁平形、W字形、S字形、C字形、鋳型形、中空形などの異形断面繊維を用いることも可能で、さらには、ナイロン、ポリエステルなど、その他のポリマーとの複合紡糸により得られた複合繊維を用いることも出来る。
【0029】
このセルロース脂肪酸エステル繊維の表層をアルカリケン化することで、本発明の、芯部がセルロース脂肪酸エステル、鞘部がセルロースという状態のセルロース脂肪酸エステル系繊維が得られる。
【0030】
アルカリケン化は繊維状態のまま行うことも出来るが、織物、編物、不織布などに布帛化してから処理してもよい。また、ポリエステル、ナイロン、その他の素材と混紡、混繊、混織したものを用いることも可能である。
【0031】
本発明のセルロース脂肪酸エステル系繊維は、耐熱性が改善されていることから、140℃、1kg/cm2、10秒の加圧熱処理を行った時の繊維構造物についてJIS L1096のカンチレバー法により測定した剛軟度をamm、加圧熱処理を行わない場合の剛軟度をbmmとしたとき、剛軟度の比a/bが1.3以下となる特徴がある。さらに詳しくは、剛軟度比a/bは1.1以下であれば、加熱処理により硬さが変わらない効果が一層明らかである。
【0032】
本発明において剛軟度の測定法は、以下のとおりである。
【0033】
測定したい繊維構造物から2×約15cmの試験片をたてよこ5枚ずつ用意する。一端が45度の斜面をもったカンチレバー型試験器を用いて、試験片の一端の短辺を試験器の斜面側スケールの基線に正確に合わせる。試験片を斜面の方向に滑らせて、試験片の一端が斜面と接したときの他端の位置をスケールで正確に読みとる。この滑らせた長さを剛軟度(mm)とし、たて、よこ方向それぞれについて表裏各5枚測定し、その平均値を剛軟度として表すものである。
【0034】
本発明のごとく表層にセルロース層がない場合、本発明で用いる融着性の高いセルロース脂肪酸エステルは熱プレスにより繊維同志が接着することで剛軟度が大きくなり、熱プレスしない場合の剛軟度に対する剛軟度比a/bは大きくなるのである。
【0035】
本発明における芯鞘構造は、セルロース層の厚みが特に0.2μm以上あれば、熱融着を阻害する効果が一層得られ、1.5μm以下であれば、表層がセルロース化しても染着性に影響を与えないため、染色された場合に鮮明な色を得ることが出来る。
【0036】
さらに好ましくは、0.5μm以上1.2μm以下であれば、鞘構造を持たないセルロース脂肪酸エステル繊維と比べても同じように鮮明で、染色の再現性が高く、望ましい。
【0037】
通常セルロース層を得るためのケン化処理条件としては、重量減少率が3%以上あれば、本発明の効果が十分得られ、また12%以下であれば、染着性に与える影響は小さい。さらに、5%以上10%以下であれば、本発明の効果が大きく、かつ色相も鮮明でより好ましい。
【0038】
セルロース脂肪酸エステル系繊維のケン化処理方法は、特に限定されないが、アルカリ化合物を含有する水溶液を用いるものである。
【0039】
アルカリ化合物とは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどアルカリ金属の弱酸塩等が挙げられ、単独、もしくは混合して用いても良い。
【0040】
これらのアルカリ化合物水溶液の濃度は特に制約はないが、アルカリ化合物の強さ、処理温度に応じて変えればよい。特に好ましくは、強アルカリのアルカリ金属水酸化物であれば、0.5重量%以上10重量%以下の濃度で用いる。
【0041】
さらに好ましくは、1.0重量%以上5重量%以下であれば、処理時間が短く、かつアルカリの無駄も少ないため、望ましい。
【0042】
4級アンモニウム塩などのアルカリ減量促進剤を併用すると、加水分解を短時間で進めることが出来るので有効である。
【0043】
本発明のためのアルカリ処理は、通常染色加工に用いられているチーズ染色機、液流式染色機、ウインス、ジッカー、ビーム染色機の他、処理液をパッド付与した後に常圧スチーム、加圧スチーム、乾熱処理など、素材の形態や目的にあわせて用いればよい。
【0044】
またさらに、本発明におけるセルロース脂肪酸エステル繊維は、元来疎水性が非常に高いため、染色や薬液付与などの水系処理を行う場合も、従来のセルロースエステル系繊維であるジアセテート、トリアセテートに比較して非常に濡れにくく、処理むらが生じやすいが、本発明のように表層がセルロース化されていれば濡れ性も大幅に改善出来るため、高次加工の作業性や処理の均一性が向上出来るという特徴も有する。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により更に詳細に説明する。
【0046】
なお実施例中の評価方法は次のとおりに行った。
(1)重量減少率:未処理の乾燥布帛重量W0、処理後の乾燥布帛重量をW1としたとき、(W0−W1)/W0×100で表した。布帛の乾燥は、脱水後60℃の乾燥機で2時間乾燥させることとした。
(2)家庭用アイロンによる熱処理試料の調製:試験布帛に家庭用アイロン(東芝(株)製スチームアイロンTA−727S)を、温度設定を低(2)(表面温度150〜160℃)にして10秒間押し当てた。
(3)熱プレスマシンによる熱処理試料の調製:試験布帛を熱プレスマシン((株)羽島製ハリロントランスファーHT−130SG)を用いて140℃、1kg/cm2で10秒間熱プレスした。
(4)オーブンによる熱処理試料の調製:試験布帛を恒温乾燥機(三洋電機(株)製 MOV−112F)140℃に1分間入れた。
(5)官能試験による硬さ評価:10人の被験者が、織物の硬さを3段階で評価した。( ○柔らかい △やや硬い ×非常に硬い)
(6)剛軟度及び剛軟度比:
a.測定したい織物から2cm×15cmの試験片をたてよこ5枚ずつ用意した。
【0047】
b.一端が45度の斜面をもったカンチレバー型試験器を用いて、試験片の一端の短辺を試験器の斜面側スケールの基線に正確に合わせた。
【0048】
c.試験片を斜面の方向に滑らせて、試験片の一端が斜面と接したときの他端の位置をスケールで正確に読みとった。
【0049】
d.この滑らせた長さを剛軟度(mm)とし、たて、よこ方向それぞれについて表裏各5枚測定し、その平均値を剛軟度として表した。
【0050】
e.また、熱プレスによる加熱処理を行った試料の剛軟度をamm、加圧熱処理を行わない試料の剛軟度をbmmとしたとき、剛軟度比としてa/bを求めた。
(7)染色性評価:
試験布を下記条件で処理した。
【0051】
染色条件
FORON B RED E2BL200 1%owf
(クラリアントジャパン(株)製 分散染料)
pH 5
浴比1:70 80℃×60分
洗浄条件
グランアップUS−20 0.3g/l
(三洋化成工業(株)製 界面活性剤)
50℃×10分
染色された布を、多光源分光測色計CM3700d(ミノルタ(株)製)で測色し、鮮明性C*を求めた。
(8)セルロース層の厚み測定:アルカリ処理布帛の糸の断面を光学顕微鏡で撮影し観察した。
【0052】
実施例1、比較例1
セルロースアセテートプロピオネート(総エステル置換度2.5、平均重合度140)91重量%と可塑剤としてアジピン酸ジオクチル9重量%からなるポリマーを溶融紡糸して得た、150デシテックス36フィラメントの繊維(乾燥強度湿潤強度共に0.8cN/dtex)からなる2−2ツイル織物を用いて、以下のアルカリケン化処理を行った。
【0053】
水酸化ナトリウム 3.0重量%
浴比1:50
95℃20分、浴中処理
処理後の布帛は、十分水洗の後、酢酸1g/l、60℃で中和洗浄を行い、乾燥した。減量率は7.2%であった。得られた布帛を実施例1とし、また、アルカリ処理を行わない布帛を比較例1とした。
【0054】
実施例1のアイロン後の布帛は、ややフラットになったが、柔らかいままであったのに対し、比較例1はアイロンによって明らかに風合いが硬くなった。
【0055】
これらの布帛の熱プレス前後による剛軟度を測定したところ、実施例1は、熱プレス前が28mm、熱プレス後が29mmでその剛軟度比は1.04であるのに対し、比較例1は熱プレス前が29mm、熱プレス後は46mmでその剛軟度比は、1.59であった。
【0056】
また、実施例1の布帛の糸を引き抜き、その断面を光学顕微鏡で撮影したところ、断面は二重構造を有しており、表層のみがセルロース化していることが明らかであった。鞘層の厚みを計測したところ、約0.8μmであった。
【0057】
なお、染色性を評価したところ、 実施例1はセルロース化していない比較例1とほぼ同等に鮮明に染色されていた。
【0058】
実施例2、3,4および比較例2
セルロースアセテートプロピオネート(総エステル置換度2.5、平均重合度140)91重量%と可塑剤としてアジピン酸ジオクチル9重量%からなるポリマーを溶融紡糸して得た、84デシテックス36フィラメントの繊維(乾燥強度湿潤強度共に0.8cN/dtex)からなる平織物を用いて、以下のアルカリケン化処理を行った。
【0059】
水酸化ナトリウム 3.0重量%
浴比1:50
95℃浴中処理
アルカリ処理を2分行ったものを実施例2、10分行ったものを実施例3,80分行ったものを実施例4とする。処理後の布帛は、十分水洗の後、酢酸1g/l、60℃で中和洗浄を行い、乾燥した。
【0060】
減量率はそれぞれ、1.5%、4.9%、23.0%であった。
【0061】
また、アルカリ減量を行っていない布帛を比較例2とした。
【0062】
これらの布帛を、熱プレス処理およびオーブン熱処理した。
【0063】
アルカリ減量を行った実施例2、3,4は、熱プレス後も柔軟性があったが、実施例2は実施例3に比べ多少硬くなっていた。比較例2は熱プレスにより、フィルムのように半透明に融着し、ぱりぱりの状態であった。また、オーブン処理しても実施例3,4はあまり変化がなかったが、実施例2は若干硬い風合いとなり、比較例2は非常にごわついていた。
【0064】
実施例1同様、光学顕微鏡により鞘層の厚みを計測したところ、実施例2は0.1μm、実施例3は0.4μm、実施例4は2.9μmであった。
【0065】
また、比較例1と実施例1,比較例2と実施例2,3,4について、染色性を評価した。
【0066】
なお、実施例2、3,4は比較例2と同等に良好に分散染料により染色されていた。特に実施例2,3は比較例2と同様に鮮明な色調であった。
【0067】
【表1】
Figure 0004103564
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、炭素数3のアシル基(カルボニル炭素も含む)を有するセルロース脂肪酸エステル繊維の耐熱性を向上させることにより、高次加工や家庭アイロンでの熱硬化を防止出来ることから、特に衣料分野や機能資材分野において有用性が明らかである。

Claims (2)

  1. 芯部が脂肪酸基の少なくとも一部が炭素数3のアシル基(炭素数にはカルボニル炭素も含む)であるセルロース脂肪酸エステルであり、鞘部がセルロースであることを特徴とするセルロース脂肪酸エステル系繊維。
  2. 鞘部のセルロース層の厚みが0.2μm以上1.5μm以下であることを特徴とする請求項1記載のセルロース脂肪酸エステル系繊維。
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