JPH05209359A - 布帛の製造方法 - Google Patents
布帛の製造方法Info
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- JPH05209359A JPH05209359A JP4040308A JP4030892A JPH05209359A JP H05209359 A JPH05209359 A JP H05209359A JP 4040308 A JP4040308 A JP 4040308A JP 4030892 A JP4030892 A JP 4030892A JP H05209359 A JPH05209359 A JP H05209359A
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- fabric
- acetate copolymer
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- ethylene
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 透明感があり且つ洗濯耐久性に優れた凹凸柄
を有する布帛の製造方法を提供する。 【構成】 エチレン含有量35〜70モル%でケン化度95%
以上のエチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物を準備す
る。このエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を使用
して、常法の溶融紡糸法で繊維を得る。又は、エチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物と他の重合体とを複合し
て、複合溶融紡糸によって複合繊維を得る。なお、この
複合繊維の場合、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
物が繊維表面を形成するようにする。その後、この繊維
を使用して織物,編物,不織布等の生地を得る。そし
て、この生地に、精練,アセタール化等の仕上,染色等
の熱水を使用する後加工を施す前に、20〜200℃の乾熱
を与えてエンボス加工を施す。このようにして、所望の
凹凸柄を持つ布帛が得られる。
を有する布帛の製造方法を提供する。 【構成】 エチレン含有量35〜70モル%でケン化度95%
以上のエチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物を準備す
る。このエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を使用
して、常法の溶融紡糸法で繊維を得る。又は、エチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物と他の重合体とを複合し
て、複合溶融紡糸によって複合繊維を得る。なお、この
複合繊維の場合、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
物が繊維表面を形成するようにする。その後、この繊維
を使用して織物,編物,不織布等の生地を得る。そし
て、この生地に、精練,アセタール化等の仕上,染色等
の熱水を使用する後加工を施す前に、20〜200℃の乾熱
を与えてエンボス加工を施す。このようにして、所望の
凹凸柄を持つ布帛が得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明感があり且つ洗濯
耐久性に優れた凹凸柄を有する布帛の製造方法に関する
ものである。
耐久性に優れた凹凸柄を有する布帛の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
で構成された繊維は、親水性や制電性等に優れており、
且つ木綿や麻のような天然繊維に似た風合を有すること
から、最近、衣料用布帛の素材として見直されて来てい
る。そして、この素材を使用して得られた布帛に、外観
変化を与えるため、エンボス加工を施して、凹凸柄を付
与することも行なわれている。
で構成された繊維は、親水性や制電性等に優れており、
且つ木綿や麻のような天然繊維に似た風合を有すること
から、最近、衣料用布帛の素材として見直されて来てい
る。そして、この素材を使用して得られた布帛に、外観
変化を与えるため、エンボス加工を施して、凹凸柄を付
与することも行なわれている。
【0003】しかし、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケ
ン化物で構成された繊維を素材とする布帛に、エンボス
加工を施しても、耐久性のある凹凸柄を付与することは
できなかった。この理由は、アセタール化加工等の仕上
或いは精練,染色等の後加工によって、エチレン−酢酸
ビニル共重合体ケン化物が架橋した後にエンボス加工を
施しているため、繊維に対する賦型が不十分となってい
るからである。
ン化物で構成された繊維を素材とする布帛に、エンボス
加工を施しても、耐久性のある凹凸柄を付与することは
できなかった。この理由は、アセタール化加工等の仕上
或いは精練,染色等の後加工によって、エチレン−酢酸
ビニル共重合体ケン化物が架橋した後にエンボス加工を
施しているため、繊維に対する賦型が不十分となってい
るからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者等
は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物で構成され
た繊維に対する賦型性が良好なときに、エンボス加工を
施し、耐久性のある凹凸柄を付与しようとした。しかる
に、予期しないことに、賦型性が良好なときにエンボス
加工を施すと、凹凸柄の凸部が非常に透明感に優れたも
のとなることが判明した。更に、予期しないことに、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物で構成された繊維
を使用して布帛を得た場合に、しばしば発生していたア
タリやテカリが少なくなることも判明したのである。本
発明は、このような予期しえない知見等に基づいてなさ
れたものである。
は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物で構成され
た繊維に対する賦型性が良好なときに、エンボス加工を
施し、耐久性のある凹凸柄を付与しようとした。しかる
に、予期しないことに、賦型性が良好なときにエンボス
加工を施すと、凹凸柄の凸部が非常に透明感に優れたも
のとなることが判明した。更に、予期しないことに、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物で構成された繊維
を使用して布帛を得た場合に、しばしば発生していたア
タリやテカリが少なくなることも判明したのである。本
発明は、このような予期しえない知見等に基づいてなさ
れたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、エチレ
ン含有量35〜70モル%でケン化度95%以上のエチレンー
酢酸ビニル共重合体ケン化物が、表面に露出している繊
維を含有する生地に、精練,仕上,染色等の熱水を使用
する後加工を施して布帛を製造する方法において、前記
後加工前に前記生地に20〜200℃の乾熱を与えてエンボ
ス加工を施すことを特徴とする布帛の製造方法に関する
ものである。
ン含有量35〜70モル%でケン化度95%以上のエチレンー
酢酸ビニル共重合体ケン化物が、表面に露出している繊
維を含有する生地に、精練,仕上,染色等の熱水を使用
する後加工を施して布帛を製造する方法において、前記
後加工前に前記生地に20〜200℃の乾熱を与えてエンボ
ス加工を施すことを特徴とする布帛の製造方法に関する
ものである。
【0006】本発明においては、ある特定のエチレンー
酢酸ビニル共重合体ケン化物を準備する。このエチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物のエチレン含有量は35〜
70モル%である。ここで、エチレン含有量は、NMR法
(重水素置換・DMSO溶液)によって測定したもので
ある。エチレン含有量が、35モル%未満になると、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の溶融粘度が上昇
し、溶融紡糸しにくくなって、繊維形成性が低下するの
で、好ましくない。逆に、エチレン含有量が70モル%を
超えると、酢酸ビニルのケン化物、即ちビニルアルコー
ルの量が相対的に少なくなって、水酸基の量が少なくな
り、得られる繊維の親水性が低下し、吸水性或いは染色
性が低下するので、好ましくない。また、このエチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物のケン化度は、95%以上
である。ここで、ケン化度も、NMR法(重水素置換・
DMSO溶液)によって測定したものである。ケン化度
が95%未満になると、エチレン−酢酸ビニル共重合体が
熱分解しやすくなり、溶融紡糸しにくくなって、繊維形
成性が低下するので、好ましくない。以上の如き、本発
明で使用するエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の
一般的物性値は、融点が150℃以上、210℃におけるメル
トインデックスは2〜30の範囲である。ここで、融点
は、DSC法(N2雰囲気下、昇温速度10℃/分)で測
定したものである。また、メルトインデックスは、ASTM
-D-1238-65T(荷重2160g、190℃)に準じて測定したも
のである。
酢酸ビニル共重合体ケン化物を準備する。このエチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物のエチレン含有量は35〜
70モル%である。ここで、エチレン含有量は、NMR法
(重水素置換・DMSO溶液)によって測定したもので
ある。エチレン含有量が、35モル%未満になると、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の溶融粘度が上昇
し、溶融紡糸しにくくなって、繊維形成性が低下するの
で、好ましくない。逆に、エチレン含有量が70モル%を
超えると、酢酸ビニルのケン化物、即ちビニルアルコー
ルの量が相対的に少なくなって、水酸基の量が少なくな
り、得られる繊維の親水性が低下し、吸水性或いは染色
性が低下するので、好ましくない。また、このエチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物のケン化度は、95%以上
である。ここで、ケン化度も、NMR法(重水素置換・
DMSO溶液)によって測定したものである。ケン化度
が95%未満になると、エチレン−酢酸ビニル共重合体が
熱分解しやすくなり、溶融紡糸しにくくなって、繊維形
成性が低下するので、好ましくない。以上の如き、本発
明で使用するエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の
一般的物性値は、融点が150℃以上、210℃におけるメル
トインデックスは2〜30の範囲である。ここで、融点
は、DSC法(N2雰囲気下、昇温速度10℃/分)で測
定したものである。また、メルトインデックスは、ASTM
-D-1238-65T(荷重2160g、190℃)に準じて測定したも
のである。
【0007】以上のようなエチレン−酢酸ビニル共重合
体ケン化物を使用し、溶融紡糸法によって繊維を得る。
例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物単独
で、溶融紡糸を行ない、繊維を得る。また、エチレン−
酢酸ビニル共重合体ケン化物と、ポリエチレンテレフタ
レートやポリアミド等とを併用して、複合溶融紡糸を行
なって、複合型の繊維を得てもよい。後者の場合、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が、複合型繊維の表
面に露出するようにする必要がある。従って、並列複合
型にしたり、或いはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン
化物が鞘成分となるようにして芯鞘型にする。エチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物を、繊維表面に露出させ
るのは、エンボス加工による賦型を良好に行なうためで
ある。
体ケン化物を使用し、溶融紡糸法によって繊維を得る。
例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物単独
で、溶融紡糸を行ない、繊維を得る。また、エチレン−
酢酸ビニル共重合体ケン化物と、ポリエチレンテレフタ
レートやポリアミド等とを併用して、複合溶融紡糸を行
なって、複合型の繊維を得てもよい。後者の場合、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が、複合型繊維の表
面に露出するようにする必要がある。従って、並列複合
型にしたり、或いはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン
化物が鞘成分となるようにして芯鞘型にする。エチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物を、繊維表面に露出させ
るのは、エンボス加工による賦型を良好に行なうためで
ある。
【0008】このようにして得られた、エチレン−酢酸
ビニル共重合体ケン化物で構成された繊維を使用して、
織物,編物又は不織布等の生地を得る。生地を得る際に
おいては、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物で構
成された繊維のみを用いてもよいし、他の繊維を併用し
てもよい。他の繊維としては、アセタール化加工時にお
いて変質しないように、耐酸性のあるポリエチレンテレ
フタレート等を併用するのが、好ましい。また、他の繊
維を併用する場合には、全体の50重量%程度以下にする
のが、好ましい。他の繊維が50重量%を超えて併用され
ると、エンボス加工による賦型が十分でなくなる傾向が
生じる。
ビニル共重合体ケン化物で構成された繊維を使用して、
織物,編物又は不織布等の生地を得る。生地を得る際に
おいては、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物で構
成された繊維のみを用いてもよいし、他の繊維を併用し
てもよい。他の繊維としては、アセタール化加工時にお
いて変質しないように、耐酸性のあるポリエチレンテレ
フタレート等を併用するのが、好ましい。また、他の繊
維を併用する場合には、全体の50重量%程度以下にする
のが、好ましい。他の繊維が50重量%を超えて併用され
ると、エンボス加工による賦型が十分でなくなる傾向が
生じる。
【0009】以上のようにして得られた生地に、エンボ
ス加工を施す。このエンボス加工は、20〜200℃の乾熱
を与えて行なう。エンボス加工は、凹凸ロールと平滑ロ
ール、又は一対の凹凸ロールで形成されたロール間に生
地を導入することによって行なう。凹凸ロールの凸部
は、ロール表面に散点状に配置されていてもよいし、格
子状に配置されていてもよく、更に、その他の状態で配
置されていてもよい。凸部の頂面の面積は小さいほど好
ましく、またロールの全域に亙って均一に且つ高密度で
配置されているのが好ましい。また、凹凸ロールは一般
的に金属製のものが用いられ、平滑ロールは一般的にコ
ットン製やゴム製の軟質ロールが用いられる。そして、
少なくとも一つの凹凸ロールを加熱して、生地に20〜20
0℃の乾熱が与えられるようにする。20℃未満の乾熱下
で生地にエンボス加工を施すと、生地に対する賦型が十
分に行なえないので、好ましくない。逆に、200℃を超
える乾熱下で生地にエンボス加工を施すと、生地中のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が熱劣化を起こす
恐れがあるので、好ましくない。特に、本発明において
は、100〜200℃の乾熱を与えて、エンボス加工を行なう
のが好ましく、最も好ましくは、140〜160℃の乾熱を与
えて数秒及至数十秒間の条件でエンボス加工を行なうの
がよい。100℃以上の乾熱を施すと、繊維が熱セットさ
れ、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の結晶構造
が緻密化され、耐熱性が向上するからである。この耐熱
性の向上によって、後加工である精練,仕上,染色等に
よって高温下に晒されても、得られる布帛の風合が剛直
になるのを防止しうるのである。なお、エンボス加工に
おける温度,圧力,時間等の条件、又は生地の凹凸ロー
ルへの導入張力や含有水分率等は、予備試験を行なっ
て、所望の賦型が得られるように適宜決定すればよい。
ス加工を施す。このエンボス加工は、20〜200℃の乾熱
を与えて行なう。エンボス加工は、凹凸ロールと平滑ロ
ール、又は一対の凹凸ロールで形成されたロール間に生
地を導入することによって行なう。凹凸ロールの凸部
は、ロール表面に散点状に配置されていてもよいし、格
子状に配置されていてもよく、更に、その他の状態で配
置されていてもよい。凸部の頂面の面積は小さいほど好
ましく、またロールの全域に亙って均一に且つ高密度で
配置されているのが好ましい。また、凹凸ロールは一般
的に金属製のものが用いられ、平滑ロールは一般的にコ
ットン製やゴム製の軟質ロールが用いられる。そして、
少なくとも一つの凹凸ロールを加熱して、生地に20〜20
0℃の乾熱が与えられるようにする。20℃未満の乾熱下
で生地にエンボス加工を施すと、生地に対する賦型が十
分に行なえないので、好ましくない。逆に、200℃を超
える乾熱下で生地にエンボス加工を施すと、生地中のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が熱劣化を起こす
恐れがあるので、好ましくない。特に、本発明において
は、100〜200℃の乾熱を与えて、エンボス加工を行なう
のが好ましく、最も好ましくは、140〜160℃の乾熱を与
えて数秒及至数十秒間の条件でエンボス加工を行なうの
がよい。100℃以上の乾熱を施すと、繊維が熱セットさ
れ、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の結晶構造
が緻密化され、耐熱性が向上するからである。この耐熱
性の向上によって、後加工である精練,仕上,染色等に
よって高温下に晒されても、得られる布帛の風合が剛直
になるのを防止しうるのである。なお、エンボス加工に
おける温度,圧力,時間等の条件、又は生地の凹凸ロー
ルへの導入張力や含有水分率等は、予備試験を行なっ
て、所望の賦型が得られるように適宜決定すればよい。
【0010】本発明において重要なことは、エンボス加
工が、精練,仕上,染色等の熱水を使用する後加工前に
施されることである。エンボス加工が、アセタール化加
工等の仕上加工や精練若しくは染色の後に施されると、
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の架橋が進行し
ており、繊維の変形量が少なく、十分な賦型を施せない
ので、好ましくない。また、精練や染色の後にエンボス
加工が施されると、精練や染色時に生地に発生するアタ
リやテカリを防止しにくくなるため、好ましくない。エ
ンボス加工を施さないで精練や染色を行なうと、生地に
アタリやテカリが発生する理由は、精練装置や染色装置
の中で生地が強く屈曲されたり、或いは装置壁面に強圧
されたりすることがあり、これによって生地中の繊維束
に乱れが生じるためであると考えられる。これに対し、
エンボス加工を施した後に精練や染色を行なうと、賦型
された箇所において、繊維が密着して存在しており、繊
維束中や繊維束間の空隙が少なくなって、繊維束に乱れ
が生じにくいためであると考えられる。
工が、精練,仕上,染色等の熱水を使用する後加工前に
施されることである。エンボス加工が、アセタール化加
工等の仕上加工や精練若しくは染色の後に施されると、
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の架橋が進行し
ており、繊維の変形量が少なく、十分な賦型を施せない
ので、好ましくない。また、精練や染色の後にエンボス
加工が施されると、精練や染色時に生地に発生するアタ
リやテカリを防止しにくくなるため、好ましくない。エ
ンボス加工を施さないで精練や染色を行なうと、生地に
アタリやテカリが発生する理由は、精練装置や染色装置
の中で生地が強く屈曲されたり、或いは装置壁面に強圧
されたりすることがあり、これによって生地中の繊維束
に乱れが生じるためであると考えられる。これに対し、
エンボス加工を施した後に精練や染色を行なうと、賦型
された箇所において、繊維が密着して存在しており、繊
維束中や繊維束間の空隙が少なくなって、繊維束に乱れ
が生じにくいためであると考えられる。
【0011】エンボス加工を行なった後、精練,アセタ
ール化等の仕上,染色等の従来公知の後加工を行なう。
この後加工は、任意の順序で行なうことができる。例え
ば、染色時に精練を同時に行なうのであれば、改めて精
練を行なう必要はない。また、精練,アセタール化等の
仕上,染色等の後加工を終えた後に、エンボス加工を追
加して施してもよい。但し、このエンボス加工によって
賦型される凹凸柄は、耐久性に乏しいものである。な
お、エンボス加工前に又はエンボス加工後に、熱セット
を行なってもよい。特に、エンボス加工の際に、100℃
の乾熱を生地に与えていない場合には、熱セットを行な
って、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の耐熱性
を向上させておくことが好ましい。以上のようにして、
本発明に係る布帛を製造することができるのである。
ール化等の仕上,染色等の従来公知の後加工を行なう。
この後加工は、任意の順序で行なうことができる。例え
ば、染色時に精練を同時に行なうのであれば、改めて精
練を行なう必要はない。また、精練,アセタール化等の
仕上,染色等の後加工を終えた後に、エンボス加工を追
加して施してもよい。但し、このエンボス加工によって
賦型される凹凸柄は、耐久性に乏しいものである。な
お、エンボス加工前に又はエンボス加工後に、熱セット
を行なってもよい。特に、エンボス加工の際に、100℃
の乾熱を生地に与えていない場合には、熱セットを行な
って、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の耐熱性
を向上させておくことが好ましい。以上のようにして、
本発明に係る布帛を製造することができるのである。
【0012】
実施例 エチレン含有量44モル%でケン化度97%のエチレン−酢
酸ビニル共重合体ケン化物を鞘成分に用い、ポリエチレ
ンテレフタレートを芯成分に用いて、常法に従って複合
溶融紡糸した。この際、紡糸温度は、鞘成分であるエチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を200℃とし、芯成
分であるポリエチレンテレフタレートを275℃に設定し
た。複合溶融紡糸後、横方向からの吹付風で冷却しつ
つ、2000m/分の紡糸速度となるように引き取って、こ
の芯鞘型複合フィラメントを一旦巻き取った。その後、
別工程で延伸倍率が3.04倍となるように延伸し、芯鞘型
複合フィラメントよりなる100デニール/48フィラメン
トのマルチフィラメント糸条を得た。なお、この芯鞘型
複合フィラメントにおける芯成分と鞘成分の重量比は4.
5:5.5であった。
酸ビニル共重合体ケン化物を鞘成分に用い、ポリエチレ
ンテレフタレートを芯成分に用いて、常法に従って複合
溶融紡糸した。この際、紡糸温度は、鞘成分であるエチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を200℃とし、芯成
分であるポリエチレンテレフタレートを275℃に設定し
た。複合溶融紡糸後、横方向からの吹付風で冷却しつ
つ、2000m/分の紡糸速度となるように引き取って、こ
の芯鞘型複合フィラメントを一旦巻き取った。その後、
別工程で延伸倍率が3.04倍となるように延伸し、芯鞘型
複合フィラメントよりなる100デニール/48フィラメン
トのマルチフィラメント糸条を得た。なお、この芯鞘型
複合フィラメントにおける芯成分と鞘成分の重量比は4.
5:5.5であった。
【0013】このマルチフィラメント糸条を用いて、経
糸密度83本/吋,緯糸密度71本/吋の平織物生地を製織
した。この生地を、硬質の凹凸ロールとコットン製の平
滑ロールとの間に導入してエンボス加工を行なった。エ
ンボス加工の条件は、凹凸ロールの表面温度が150℃で
あり、生地の導入速度が10m/分であり、圧力は180kg
/cm2であった。また、凹凸ロールの凸部の形状は、細
い線状の格子柄を使用した。このエンボス加工によっ
て、生地に格子柄が賦型されると共に、マルチフィラメ
ント糸条が熱セットされた。
糸密度83本/吋,緯糸密度71本/吋の平織物生地を製織
した。この生地を、硬質の凹凸ロールとコットン製の平
滑ロールとの間に導入してエンボス加工を行なった。エ
ンボス加工の条件は、凹凸ロールの表面温度が150℃で
あり、生地の導入速度が10m/分であり、圧力は180kg
/cm2であった。また、凹凸ロールの凸部の形状は、細
い線状の格子柄を使用した。このエンボス加工によっ
て、生地に格子柄が賦型されると共に、マルチフィラメ
ント糸条が熱セットされた。
【0014】この賦型された生地を、苛性ソーダ2g/
lとノニオン系界面活性剤1g/lとを含有する溶液中
で、実質的に張力を掛けずに、浴温度80℃及び浸漬時間
20分間の条件で精練処理を行なった。この精練処理を終
えた生地は、やや硬目ではあるが、格子部分は透明感を
有し、格子柄の目立つものであった。その後、グルタル
アルデヒド(50%水溶液)10g/lと硫酸(98%)20g
/lとを含有する溶液中で、大きな張力を掛けずに、浴
温度90℃及び浸漬時間120分間の条件でアセタール化処
理を行なった。引き続いて、過酸化水素水(35%)5cc
/lを含有する溶液中で、温度80℃及び浸漬時間30分間
の条件で、アセタール化処理後の未反応グルタルアルデ
ヒドを酸化処理し、生地の変色を防止した。その後、脱
水して、更にネットドライヤー乾燥機で温度105℃及び
時間2分間の条件で乾燥を行なった。更にその後、分散
染料を含有する溶液中で、浴温度115℃及び浸漬時間30
分間の条件で染色を行ない、生地を青色に染色した。染
色後、一浴還元剤3g/lを含有する溶液中で、浴温度8
0℃及び時間20分間の条件で還元洗浄を行ない、続いて
生地を乾燥した。乾燥後、ピンテンターを使用して、温
度150℃及び時間30秒間の条件で仕上セットを行なっ
た。
lとノニオン系界面活性剤1g/lとを含有する溶液中
で、実質的に張力を掛けずに、浴温度80℃及び浸漬時間
20分間の条件で精練処理を行なった。この精練処理を終
えた生地は、やや硬目ではあるが、格子部分は透明感を
有し、格子柄の目立つものであった。その後、グルタル
アルデヒド(50%水溶液)10g/lと硫酸(98%)20g
/lとを含有する溶液中で、大きな張力を掛けずに、浴
温度90℃及び浸漬時間120分間の条件でアセタール化処
理を行なった。引き続いて、過酸化水素水(35%)5cc
/lを含有する溶液中で、温度80℃及び浸漬時間30分間
の条件で、アセタール化処理後の未反応グルタルアルデ
ヒドを酸化処理し、生地の変色を防止した。その後、脱
水して、更にネットドライヤー乾燥機で温度105℃及び
時間2分間の条件で乾燥を行なった。更にその後、分散
染料を含有する溶液中で、浴温度115℃及び浸漬時間30
分間の条件で染色を行ない、生地を青色に染色した。染
色後、一浴還元剤3g/lを含有する溶液中で、浴温度8
0℃及び時間20分間の条件で還元洗浄を行ない、続いて
生地を乾燥した。乾燥後、ピンテンターを使用して、温
度150℃及び時間30秒間の条件で仕上セットを行なっ
た。
【0015】このようにして得られた織物は、経糸密度
が96本/吋であり、緯糸密度が89本/吋であった。そし
て、この織物は、その格子部分の透明感が更に増して、
鮮明な格子柄を持つ高品位なものであった。また、この
織物には、アタリやテカリ等の欠点も目立たず、ドライ
感及び腰を有する風合に優れたものであった。更に、織
物の格子柄は、洗濯してもそのままの状態を維持し、洗
濯耐久性に優れたものであった。
が96本/吋であり、緯糸密度が89本/吋であった。そし
て、この織物は、その格子部分の透明感が更に増して、
鮮明な格子柄を持つ高品位なものであった。また、この
織物には、アタリやテカリ等の欠点も目立たず、ドライ
感及び腰を有する風合に優れたものであった。更に、織
物の格子柄は、洗濯してもそのままの状態を維持し、洗
濯耐久性に優れたものであった。
【0016】比較例1 エンボス加工を省略した以外は、実施例と同様にして織
物を得た。この織物は、格子柄を持たないものであり、
実施例に係る織物に比較して、品位の劣るものであっ
た。また、部分的にアタリやテカリが見られた。更に、
風合も、実施例に係る織物に比較して、硬いものであっ
た。
物を得た。この織物は、格子柄を持たないものであり、
実施例に係る織物に比較して、品位の劣るものであっ
た。また、部分的にアタリやテカリが見られた。更に、
風合も、実施例に係る織物に比較して、硬いものであっ
た。
【0017】比較例2 エンボス加工に代えて高温乾熱セットを行なう以外は、
実施例と同様にして織物を得た。なお、この高温乾熱セ
ットは、温度150℃及び時間1分間の条件で行なった。こ
の織物には、アタリやテカリが目立ち、表面品位の劣る
ものであった。
実施例と同様にして織物を得た。なお、この高温乾熱セ
ットは、温度150℃及び時間1分間の条件で行なった。こ
の織物には、アタリやテカリが目立ち、表面品位の劣る
ものであった。
【0018】比較例3 染色後に実施例で採用したエンボス加工を行なう以外
は、比較例2と同様にして織物を得た。得られた織物に
は格子柄が付与されていたが、格子部分に透明感のない
ものであった。更に、この織物に洗濯を繰り返すと、格
子柄は簡単に消失するものであり、洗濯耐久性に劣るも
のであった。
は、比較例2と同様にして織物を得た。得られた織物に
は格子柄が付与されていたが、格子部分に透明感のない
ものであった。更に、この織物に洗濯を繰り返すと、格
子柄は簡単に消失するものであり、洗濯耐久性に劣るも
のであった。
【0019】
【作用及び発明の効果】以上説明したように、本発明に
係る布帛の製造方法は、エチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物が表面に露出している繊維を含有する生地を使
用して、精練,仕上,染色等の熱水を使用する後加工を
施す前に、一定の条件でエンボス加工を施し、布帛に凹
凸柄を付与するものである。即ち、本発明は、エチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物が、アセタール化処理等
の仕上加工等において熱水に晒される前に、それを押圧
して布帛に凹凸柄を付与するものである。従って、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が未だ十分に架橋し
ていない間に、押圧するので、良好に賦型される。そし
て、賦型された後、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン
化物の架橋を進行させるので、この凹凸柄は耐久性に富
み、洗濯等を行なっても、容易に消失しないという効果
を奏する。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
物が未だ十分に架橋していない間に押圧するので、押圧
部には透明感が発現する。従って、外観変化に富み、意
匠的にも趣向を凝らした布帛が得られるという効果を奏
する。
係る布帛の製造方法は、エチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物が表面に露出している繊維を含有する生地を使
用して、精練,仕上,染色等の熱水を使用する後加工を
施す前に、一定の条件でエンボス加工を施し、布帛に凹
凸柄を付与するものである。即ち、本発明は、エチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物が、アセタール化処理等
の仕上加工等において熱水に晒される前に、それを押圧
して布帛に凹凸柄を付与するものである。従って、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が未だ十分に架橋し
ていない間に、押圧するので、良好に賦型される。そし
て、賦型された後、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン
化物の架橋を進行させるので、この凹凸柄は耐久性に富
み、洗濯等を行なっても、容易に消失しないという効果
を奏する。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
物が未だ十分に架橋していない間に押圧するので、押圧
部には透明感が発現する。従って、外観変化に富み、意
匠的にも趣向を凝らした布帛が得られるという効果を奏
する。
【0020】更に、本発明においては、エチレン−酢酸
ビニル共重合体ケン化物よりなる繊維を含有する布帛が
押圧されると、繊維相互間が密着し、繊維間の間隙を少
なくなる。そして、この繊維間間隙の減少によって、精
練,仕上,染色等の後加工時における各装置中での、生
地の屈曲或いは生地の装置面への強圧に伴って生じる繊
維束の乱れを防止できる。従って、繊維束の乱れによっ
て生じると考えられる布帛のアタリやテカリを防止で
き、外観の優れた布帛が得られるという効果を奏する。
ビニル共重合体ケン化物よりなる繊維を含有する布帛が
押圧されると、繊維相互間が密着し、繊維間の間隙を少
なくなる。そして、この繊維間間隙の減少によって、精
練,仕上,染色等の後加工時における各装置中での、生
地の屈曲或いは生地の装置面への強圧に伴って生じる繊
維束の乱れを防止できる。従って、繊維束の乱れによっ
て生じると考えられる布帛のアタリやテカリを防止で
き、外観の優れた布帛が得られるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 隅田 睦夫 京都府宇治市宇治小桜23ユニチカ株式会社 中央研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】 エチレン含有量35〜70モル%でケン化度
95%以上のエチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物が、
表面に露出している繊維を含有する生地に、精練,仕
上,染色等の熱水を使用する後加工を施して布帛を製造
する方法において、前記後加工前に前記生地に20〜200
℃の乾熱を与えてエンボス加工を施すことを特徴とする
布帛の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4040308A JPH05209359A (ja) | 1992-01-29 | 1992-01-29 | 布帛の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4040308A JPH05209359A (ja) | 1992-01-29 | 1992-01-29 | 布帛の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05209359A true JPH05209359A (ja) | 1993-08-20 |
Family
ID=12576992
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4040308A Pending JPH05209359A (ja) | 1992-01-29 | 1992-01-29 | 布帛の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05209359A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015224403A (ja) * | 2014-05-28 | 2015-12-14 | 住江織物株式会社 | 繊維布帛 |
-
1992
- 1992-01-29 JP JP4040308A patent/JPH05209359A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015224403A (ja) * | 2014-05-28 | 2015-12-14 | 住江織物株式会社 | 繊維布帛 |
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