JP2004197275A - 複合繊維および複合繊維構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高発色性の、セルロースエステルとポリエステルの複合繊維を得る。
【解決手段】少なくとも、芯鞘構造を有する繊維の芯部がセルロース脂肪酸エステルであり、鞘部がセルロースであるセルロースエステル系繊維と、表面に微細凹凸を有するポリエステル系繊維とを含むことを特徴とする複合繊維。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発色性と強力の改善された複合繊維および複合繊維構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来発色性に優れたセルロースエステル系の繊維としては、セルロースジアセテートやセルローストリアセテートなどのアセテート類が古くから工業化されており、高発色性で美麗な繊維としてその価値を認められている。セルロースジアセテートは、セルロース骨格を構成するグルコース環上にある3つの水酸基のうち、約2個がアセチル基に置換されたセルロースアセテートをいう。またセルローストリアセテートは、水酸基のほぼ全てがアセチル基に置換されたものをいい、ジアセテートよりは疎水性が高く、また、耐熱性が改善されているという特徴がある。
【0003】
しかしながら、これらのセルロースアセテート類は耐アルカリ性が低く、アルカリにより容易にエステルが加水分解してアセチル基が脱離、減量しやすいという特徴がある。アルカリ減量するにあたっては、トリアセテートでは、1%以下の低濃度の水酸化ナトリウムでケン化が進む。
【0004】
ジアセテートはさらに耐アルカリ性が低いため、弱アルカリの炭酸ソーダでも容易に減量してしまう。
【0005】
セルロースエステルは、本来分散染料可染性で高発色性を示すが、ケン化によりセルロース化が進んでしまうと、分散染料で染めた場合の鮮明性および染色堅牢度が著しく悪化し、素材としての光沢が失われる。
【0006】
したがって、アセテート類の精練には、通常アルカリを用いることは出来ない。
【0007】
さらに、アセテート類は強度がやや低く、通常それを補うためポリエステルと混繊されることが多い。
【0008】
しかし、ポリエステル繊維に対してその表層を加水分解してソフト化するために通常行われるアルカリ減量条件は、ジアセテートのみならずトリアセテートに対しても非常に強く影響を与えてしまう。
【0009】
少しでも混繊したポリエステル部分を減量加工しようとすると、アセテート類はほぼ中心までケン化してセルロース化してしまうため、本来有していた分散染料染色における高発色性は全く失われてしまうのである。
【0010】
そこで、レギュラーに比べて非常にアルカリ減量速度の速い共重合ポリエステルとアセテートの混繊により、弱いアルカリ処理を行い、ポリエステルのソフト化とアセテートの分散染料可染性の保持を両立しようという技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
しかしながら、この場合、アセテートの鮮明性はある程度保持できても、共重合ポリエステル自身は分散染料で鮮明性が得られない素材である。
【0012】
カチオン可染ポリエステルの場合は、カチオン染料の能力によって、分散染料染色されたポリエステルよりは鮮明な色が得られるが、逆に、アセテートは分散染料染色なので、2段染色する必要が生じ、生産性に問題がある。
【0013】
元々ポリエステル系繊維は、強度が高く安価であるが、大きな欠点として、屈折率が高く発色性、鮮明性にかけるため、従来、高発色化の検討が続けられてきた。
【0014】
例えば、ポリエステル繊維構造物に低屈折率樹脂膜を付与する方法があり、色の深みが改善される効果があるが、一方、摩擦に弱いなど耐久性に問題があり、樹脂による風合い変化も著しく、また、後加工工程によりコストアップも大きい(例えば、特許文献2参照)。
【0015】
あるいは、ポリエステル繊維に微粒子を練り込み、アルカリ減量により、ポリエステル繊維表面に、微粒子の存在に由来する減量速度差から生じる微細な凹凸を付与することで、深色化の効果が得られるという技術がある(例えば、特許文献3参照)。これは、通常行われる風合い出しのためのアルカリ減量により、同時に発色性向上効果を得ることが出来、樹脂加工のような堅仕上げにもならないため有効である。
【0016】
しかし、このような微粒子添加ポリエステルの減量による高発色化は、そのアルカリ減量条件がアセテートを発色性において致命的なレベルまでケン化してしまうため、アセテートと複合した場合は用いられていないのが現状であった。
【0017】
ところで、セルロースエステル類の中で、熱可塑性の高いセルロース系ポリマーとしては、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートなど、酢酸よりは長鎖の脂肪酸に由来するアシル基で一部を置換したセルロース誘導体が知られている。これらは従来はプラスチック成型品などで工業化されており、適切な可塑剤を添加することで、溶融紡糸繊維を得ることが可能である。
【0018】
本発明者らの検討によれば、これらのセルロースエステルは、その置換基の性質から、セルロースアセテートより耐アルカリ性が良好である。
【0019】
そこで本発明者らが鋭意検討した結果、このような耐アルカリ性の強いセルロースエステル繊維を、微粒子が添加されたポリエステル繊維と複合すれば、アルカリ処理した場合に、ポリエステルに表面凹凸が形成できるアルカリ減量条件において、セルロースエステルのケン化を内部まで進めず、表層のみのセルロース化で終えることが可能であることが判明した。したがって、その結果、セルロースエステルの分散染料可染性と鮮明性が保持され、かつポリエステルの表面凹凸による深色化と相まって、これまでにない鮮明性と強力および柔軟性を有する複合繊維構造物が得られることを見いだし、本発明に至ったものである。
【0020】
【特許文献1】
特開平10−72741号公報(1頁〜5頁)
【0021】
【特許文献2】
特開昭53−111192号公報(1頁〜7頁)
【0022】
【特許文献3】
特開昭54−120728号公報(1頁〜5頁)
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高発色性を有する複合繊維を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の複合繊維は、前記目的を解決するため、次の構成を有する。
【0025】
すなわち、少なくとも、芯鞘構造を有する繊維の芯部がセルロース脂肪酸エステルであり、鞘部がセルロースであるセルロースエステル系繊維と、表面に微細凹凸を有するポリエステル系繊維とを含む複合繊維または複合繊維構造物である。
【0026】
また、そのセルロースエステルが、脂肪酸基の少なくとも一部が炭素数3〜18のアシル基(炭素数にはカルボニル炭素も含む)であるセルロース脂肪酸エステルであることを特徴とする複合繊維および該複合繊維を用いた複合繊維構造物である。
【0027】
さらに、セルロースエステルの芯鞘構造において鞘部の厚みと芯部の半径の比率が、1:99から1:4の範囲内であることを特徴とする複合繊維および該複合繊維を用いた複合繊維構造物である。
【0028】
また、ポリエステル系繊維が、微粒子を含有することを特徴とする複合繊維および該複合繊維を用いた複合繊維構造物である。
【0029】
さらに、上記の複合繊維または繊維構造物は分散染料で染色されていることを特徴とするものである。
【0030】
さらに、上記の繊維構造物は、脂肪酸基の少なくとも一部が炭素数3〜18のアシル基(炭素数にはカルボニル炭素も含む)であるセルロース脂肪酸エステルと微粒子を含有するポリエステル系繊維とを含む複合繊維構造物をアルカリ減量することで得ることができる。
【0031】
この繊維構造物は分散染料で染色することを特徴とするものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0033】
本発明におけるセルロースエステルとしては、セルロースの水酸基の一部、または全てが脂肪酸のエステル結合で封鎖されているものが挙げられ、特にその脂肪酸基の少なくとも一部が、炭素数3〜18のアシル基(炭素数にはカルボニル炭素も含む)を含有するものであることが好ましい。したがって、一部、炭素数2のアセチル基があっても、その他に炭素数3以上のアシル基に置換されている部分があれば、これに含まれる。具体的には、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートオレエート、セルロースアセテートラウレートなどが例示でき、特にセルロースアセテートプロピオネートが、実用上可能な紡糸条件を採りやすく好ましいものである。
【0034】
またセルロースのグルコース環中の水酸基の数は3個であるため、その水酸基のエステルへの置換度の上限は3.0である。本発明においては、耐アルカリ性のために、このエステル置換度は1.5〜3.0が望ましい。さらに好ましくは2.0〜2.8が良い。
【0035】
このようなセルロース脂肪酸エステルは、セルロースアセテートに比べて熱流動性が高いため、プラスチック成型品などにも用いられているが、本発明においては、このようなセルロース脂肪酸エステルを繊維化したものを対象とする。
【0036】
繊維化の方法としては特に限定されるものではないが、現行のセルロースアセテートで採用されている乾式紡糸法やレーヨンなどの湿式紡糸法に比べ、本発明で対象となるセルロース脂肪酸エステルはその熱流動性を利用して、溶融紡糸法によって繊維化することが可能である。
【0037】
繊維には、溶融温度を下げ流動性を上げるために適切な可塑剤や、つや消し剤、難燃剤、着色顔料、抗菌剤など、種々の目的で無機微粒子や有機化合物が必要に応じて含有されていてもよい。
【0038】
また、繊維断面形状に関しても特に制限はなく、通常用いられる円形断面の他、多葉形、扁平形、W字形、S字形、C字形、鋳型形、中空形などの異形断面繊維を用いることも可能で、さらには、ナイロン、ポリエステルなど、その他のポリマーとの複合紡糸糸を用いることも出来る。
【0039】
また、セルロースエステル繊維と複合するポリエステルとしては、エチレンテレフタレートを主体たる繰り返し単位としたポリエステルが好ましく、80モル%以上がエチレンテレフタレートであることが、減量後のポリエステルの強度保持の点から特に好ましい。20モル%以下の範囲であれば、一般的に使用される共重合成分、例えばアジピン酸、イソフタール酸、5−ソジウムスルホイソフタール酸に代表されるジカルボン酸、あるいはポリエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどに代表されるグリコールを使用することは差し支えない。
【0040】
ポリエステルに配合する粒子は、特に限定されるものではなく、二酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、アルミナ、タルクなど、一般的に用いられているものでよいが、取り扱い性、コストの点から二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化ケイ素が好ましく用いられる。
【0041】
粒子のサイズについては、紡糸性と繊維表面凹凸の形成性が良好であれば、特に限定されないが、ポリマー中での平均分散粒子径が0.1〜1.0μmのものを用いることが望ましい。
【0042】
配合される粒子の量は、特に限定されないが、0.5〜10.0重量%が減量後の発色性向上効果と紡糸性の観点から好ましく用いられる。
【0043】
これらのセルロースエステル繊維と粒子含有ポリエステル繊維の複合手段は、混繊または合撚、カバリングして複合糸条を得ることでも良いし、また交織、交編して繊維構造物としても良い。
【0044】
また、これらの繊維の他に、用途に応じて、一部、ナイロンや粒子を含まないポリエステル、綿、アクリルなどの素材を任意に複合しても良い。
【0045】
本発明の繊維を得るためには、上記の複合繊維または複合繊維構造物をアルカリ減量する。
【0046】
その処理方法は、特に限定されないが、アルカリ化合物を含有する水溶液を用いるものである。
【0047】
アルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどアルカリ金属の弱酸塩等が挙げられ、単独、もしくは混合して用いても良い。特に、ポリエステル繊維の表面に発色性に有効な微細な凹凸を付与するためには、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物が望ましい。
【0048】
これらのアルカリ化合物水溶液の濃度は特に制約はないが、アルカリ化合物の強さ、処理温度に応じて変えればよい。特に好ましくは、強アルカリのアルカリ金属水酸化物であれば、1重量%以上10重量%以下の濃度で用いる。
【0049】
さらに好ましくは、2重量%以上5重量%以下であれば、処理時間が短く、かつアルカリの無駄も少ないため、望ましい。
【0050】
4級アンモニウム塩などのアルカリ減量促進剤を併用すると、加水分解を短時間で進めることができるので有効である。
【0051】
本発明のためのアルカリ処理は、通常染色加工に用いられているチーズ染色機、液流式染色機、ウインス、ジッカー、ビーム染色機の他、処理液をパッド付与した後に常圧スチーム、加圧スチーム、乾熱処理など、素材の形態や目的にあわせて用いればよい。
【0052】
減量率としては、ポリエステルとセルロースエステルの減量速度差と混率により異なるが、全体として3〜20重量%の範囲内の減量を行うことが望ましい。
【0053】
より望ましくは、5〜15重量%の範囲内であれば、ポリエステルの微細凹凸の形成と、セルロースエステルの分散染料染着性のバランスがよく、より好ましい。
【0054】
本発明では、複合繊維のうち、ポリエステルはアルカリ減量により表面に微細な凹凸が形成され、かつ、セルロースエステルは表層がケン化され、内部はセルロースエステルのままの芯鞘構造であることが重要である。
【0055】
これによって、ポリエステルは高発色性を有し、かつセルロースエステルは分散染料可染性でしかも鮮明な色調を有するために、複合繊維として、高発色でかつ強力に優れた素材が得られるのである。
【0056】
このポリエステル表面の微細な凹凸は、好ましくは20〜300ミリミクロンの凹凸が不規則に存在することが望ましい。
【0057】
また、セルロースエステルの芯鞘構造は、鞘の厚みと芯の半径の比率が、1:99〜1:4の範囲にあると、分散染料の染着を阻害せず、より高鮮明性が保持できるので好ましい。
【0058】
また、本発明の複合繊維は、高発色な染色物が、カチオン染料による2段染めなどを用いず、分散染料染色1段のみで得られるため、生産性が高くまた堅牢度も良好であるという特徴を有する。
【0059】
染色の工程は、特に限定されるものではなく、アルカリ減量の前でも後でも良いが、アルカリ減量の後であれば、染色物の色が変化することもなく、染料も有効利用できるので、より好ましい。
【0060】
【実施例】
以下、実施例によりさらに具体的に説明する。
【0061】
なお実施例中の評価方法は次のとおりに行った。
(1)重量減少率:未処理の乾燥布帛重量W0、処理後の乾燥布帛重量をW1としたとき、{(W0−W1)/W0}×100で表した。布帛の乾燥は、脱水後60℃の乾燥機で2時間乾燥させることとした。
(2)染色性評価:
試験布を下記条件で処理した。
【0062】
染色条件
FORON B RED E2BL200 1%owf
(クラリアントジャパン(株)製 分散染料)
pH 5
浴比1:70 120℃×60分
洗浄条件
グランアップUS−20 0.3g/l
(三洋化成工業(株)製 界面活性剤)
50℃×10分
染色された布を、多光源分光測色計CM3700d(ミノルタ(株)製)で測色し、鮮明性C*を求めた。
(3)鮮明性の官能評価
(2)の染色物について、5人の被験者により目視評価でその鮮明性を比較した。その結果を総合判断して次のように4段階で評価した。
【0063】
◎:鮮明性と均一性が非常によい。○:鮮明性が良い。△:鮮明性が劣る。×:鮮明性が悪い。
(4)芯鞘構造の厚み測定
アルカリ処理布帛の糸の断面を光学顕微鏡で撮影し観察した。断面繊維の鞘部の厚みと芯部の半径を測定し、その比率を求めた。
【0064】
実施例1、比較例1
セルロースアセテートプロピオネート(総エステル置換度2.5、平均重合度140)91重量%と可塑剤としてアジピン酸ジオクチル9重量%からなるポリマーを溶融紡糸して、100デシテックス36フィラメントの繊維を得た。
【0065】
また、ポリエステルのポリマー重合時に、エチレングリコールに粒子径20〜10ミリミクロンのシリカゾルを6重量%分散させて投入し、得たポリマーを紡糸、延伸して、84デシテックス36フィラメントの繊維を得た。これらの繊維を合撚数1200T/mで合撚加工し、得られた複合糸を用いて2/2ツイル織物を作成した。
【0066】
この複合織物を用いて以下のアルカリ処理を行ったものを実施例1、行わなかったものを比較例1とした。
【0067】
水酸化ナトリウム 3.0重量%
浴比1:50
95℃20分、浴中処理
減量率は7.1%であった。
【0068】
また、実施例1の布帛の糸を引き抜き、その断面を顕微鏡で撮影したところ、二重構造を有している繊維が多数見られた。これはセルロースエステルの表層のみがセルロース化していることが明らかであった。芯鞘の厚みを測定し計算したところ、鞘と芯の半径の比率は1:25であった。一方比較例1には芯鞘二重構造になった繊維は見られなかった。
【0069】
また、織物表面のSEM観察を行ったところ、実施例1は表面に微細な多数の凹凸を有する繊維が多数見られた。これは微粒子添加ポリエステルの減量された表面であることが明らかであった。一方比較例1は、凹凸を有する繊維は見られなかった。
【0070】
染色性を評価したところ、実施例1は非常に鮮明性が高く、一方比較例1は、鮮明性は実施例よりは低く、セルロースエステルに比べて鮮明性の低いポリエステル繊維のため、若干霜降り調の色調になっていた。
【0071】
比較例2、3
実施例1で用いたポリエステルを、シリカゾル無添加のポリマーに変更した以外は、全て実施例1と同様にして、セルロースエステルとポリエステルの複合織物を作成した(比較例2)。
【0072】
また、実施例1のセルロースアセテートプロピオネートからなる繊維に替わり、セルローストリアセテートを乾式紡糸して得られた繊維を用いた他は、全て実施例1と同様にして、セルロースエステルとポリエステルの複合織物を作成した(比較例3)。
【0073】
その後、実施例1と同様にしてアルカリ処理を行った。
【0074】
比較例2の減量率は7.0%、比較例3の減量率は44%であった。
【0075】
比較例2は、実施例1と異なり、表面に微細な多数の凹凸を有する繊維は見られなかった。
【0076】
また比較例3は、芯鞘二重構造になった繊維は見られず、かわりに非常に細った繊度の小さな繊維が多数存在した。これはトリアセテートが完全ケン化し、セルロース化したものである。
【0077】
さらに染色性を評価したところ、比較例2は、比較例1と同レベルの鮮明性であり、また、比較例3は、非常に濁った色に染色された。
【0078】
実施例2
実施例1同様作成した、セルロースアセテートプロピオネートと微粒子添加ポリエステルの複合織物を用いて、下記条件でアルカリ処理を行った。
【0079】
水酸化ナトリウム 3.0重量%
浴比1:50
98℃30分、浴中処理
減量率は12.3%であった。
【0080】
また、実施例2の布帛の糸を引き抜き、その断面を顕微鏡で撮影したところ、二重構造を有している繊維が多数見られた。これはセルロースエステルの表層のみがセルロース化していることが明らかであった。芯鞘の厚みの比率を計算したところ、1:15であった。
【0081】
また、織物表面のSEM観察を行ったところ、実施例2は表面に微細な多数の凹凸を有する繊維が実施例1より多数見られた。これは微粒子添加ポリエステルの減量された表面であることが明らかであった。
【0082】
染色性を評価したところ、実施例2は実施例1よりは劣るものの鮮明性が高く、比較例1より鮮明であった。
【0083】
実施例3
実施例1のセルロースアセテートプロピオネートに替わり、セルロースアセテートブチレート(総エステル置換度2.5、平均重合度140)を用いた他は、全て実施例1と同様にして、複合織物を作成し、同条件でアルカリ処理を行った。
【0084】
水酸化ナトリウム 3.0重量%
浴比1:50
95℃35分、浴中処理
減量率は8.1%であった。
【0085】
また、実施例3の布帛の糸を引き抜き、その断面を顕微鏡で撮影したところ、二重構造を有している繊維が多数見られた。これはセルロースエステルの表層のみがセルロース化していることが明らかであった。芯鞘の厚みの比率を計算したところ、1:40であった。一方比較例1には芯鞘二重構造になった繊維は見られなかった。
【0086】
また、織物表面のSEM観察を行ったところ、実施例3は表面に微細な多数の凹凸を有する繊維が多数見られた。これは微粒子添加ポリエステルの減量された表面であることが明らかであった。
【0087】
染色性を評価したところ、実施例3は実施例1よりさらに鮮明性が高かった。
【0088】
【表1】
Figure 2004197275
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、高発色性と強力を両立したポリエステルとセルロースエステルの複合繊維が得られることから、特に衣料分野や機能資材分野において有用性が明らかである。

Claims (8)

  1. 少なくとも、芯鞘構造を有する繊維の芯部がセルロース脂肪酸エステルであり、鞘部がセルロースであるセルロースエステル系繊維と、表面に微細凹凸を有するポリエステル系繊維とを含むことを特徴とする複合繊維。
  2. セルロースエステルが、脂肪酸基の少なくとも一部が炭素数3〜18のアシル基(炭素数にはカルボニル炭素も含む)であるセルロース脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1に記載の複合繊維。
  3. 鞘部の厚みと芯部の半径の比率が、1:99から1:4の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合繊維。
  4. ポリエステル系繊維が、微粒子を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の複合繊維。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の複合繊維を用いてなることを特徴とする複合繊維構造物。
  6. 分散染料で染色されてなることを特徴とする請求項5に記載の複合繊維構造物。
  7. 脂肪酸基の少なくとも一部が炭素数3〜18のアシル基(炭素数にはカルボニル炭素も含む)であるセルロース脂肪酸エステルと、微粒子を含有するポリエステル系繊維とを含む複合繊維構造物をアルカリ減量することを特徴とする複合繊維構造物の製造方法。
  8. 分散染料で染色することを特徴とする請求項7に記載の複合繊維構造物の製造方法。
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