JP2815726B2 - 油圧式動力伝達継手 - Google Patents

油圧式動力伝達継手

Info

Publication number
JP2815726B2
JP2815726B2 JP17500291A JP17500291A JP2815726B2 JP 2815726 B2 JP2815726 B2 JP 2815726B2 JP 17500291 A JP17500291 A JP 17500291A JP 17500291 A JP17500291 A JP 17500291A JP 2815726 B2 JP2815726 B2 JP 2815726B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cam
magnetic body
spool
movable magnetic
plunger
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP17500291A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0526261A (ja
Inventor
寿 泉
雅弘 高田
Original Assignee
株式会社フジユニバンス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社フジユニバンス filed Critical 株式会社フジユニバンス
Priority to JP17500291A priority Critical patent/JP2815726B2/ja
Publication of JPH0526261A publication Critical patent/JPH0526261A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2815726B2 publication Critical patent/JP2815726B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部に設けられている
オリフィスの径を変えることで、2つの動力回転軸の回
転速度差に対するトルク伝達特性を自在にチューニング
することができる油圧式動力伝達継手に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、このような油圧式動力伝達継手と
しては、例えば、特願平1−154228号(特開平3
−56720号)に開示されたのものがある。この油圧
式動力伝達継手は、相対回転可能な第1の回転部材と第
2の回転部材間の回転速度差により駆動される油圧ポン
プと、その油圧ポンプの吐出路に外部からの制御信号に
応じた流動抵抗を発生する流動抵抗制御手段を備え、外
部からの制御信号により第1,第2の回転部材間の伝達
トルクを制御するものであり、更に、第1又は第2の回
転部材の中心部に、これらの軸方向に作用する電磁式ア
クチュエータを設けて、この電磁式アクチュエータによ
って上記流動抵抗制御手段を直接作動させることで、第
1,第2の回転部材間のトルク伝達特性をチューニング
する構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の油圧式動力伝達継手にあっては、上記電磁式
アクチュエータが第1,第2の回転部材の軸中心に連設
して構成されているので軸方向に長く大きな構造とな
り、例えば四輪駆動車用トランスファの出力軸端側に取
り付けるような場合に、車両への取付けが困難となった
り、取付けのための大きなスペースを確保しなければな
らないという装着性に問題があった。
【0004】又、電磁式アクチュエータに設けられた可
動磁性体を駆動するためのソレノイドコイルを2個必要
としており、装置が大型化する問題もあった。本発明は
このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、上
記電磁式アクチュエータ及び流動抵抗制御手段の構造を
改善することにより、上記のような問題のないより小型
の油圧式動力伝達継手を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明は、相対回転可能な入出力軸間に設けら
れ、前記両軸の差動回転によって駆動される油圧ポンプ
と、該油圧ポンプの出口部に設けられた吐出油の流動抵
抗を制御する制御弁と、外部からの信号によって、該制
御弁を作動させるアクチュエータとを備え、前記両軸の
回転速度差および外部からの制御信号に応じたトルク伝
達する油圧式動力伝達継手において、外部の部材に固定
され、ソレノイドコイルと該コイルを取り巻いて継手と
非接触状態に保持される磁気枠と、前記コイルへの通電
によって磁気力を発生する可動磁性体と、該磁性体の両
側に所定の間隔の隙間を開け、且つ向かい合う側の磁極
が同極となるように設けられる2個の永久磁石と、該永
久磁石に前記可動磁性体を保持するバネ部材と、前記
ソレノイドコイルと前記可動磁性体との間に非磁性体の
継手ハウジングを備え、前記ソレノイドコイルへ通電し
ない、直流電流を通電する、その逆の極性の直流電流を
通電することによって、前記可動磁性体を3位置に変位
させるアクチュエータを構成するとともに、該アクチュ
エータと、前記可動磁性体の3位置に応じて開口面積が
3種類に変化し、且つ圧油からの油圧反力を受けないス
プール弁とを前記入出力軸に平行に設けたものである。
【0006】
【作用】このような構成を有する本発明の油圧式動力伝
達継手によれば、油圧ポンプの出口部に設けられた吐出
油の流動抵抗を制御するための流動抵抗制御手段及び電
磁式アクチュエータを、入出力駆動軸に対して平行な位
置に設けたので、軸方向の長さを短縮できる。又、一対
の永久磁石とソレノイドで電磁式アクチュエータを構成
し、このソレノイドへの通電電流の極性を変えたり通電
を停止することによって、ロック、フリー及びトルク伝
達特性を設定することができる構成としたので、極めて
簡素で小型の流動抵抗制御手段及び電磁式アクチュエー
タを構成することができる。
【0007】更に、この油圧式動力伝達継手を外部から
直接に接触して制御する必要がなく、非接触で動力伝達
特性を制御することができることから、耐久性、信頼性
を向上することができる。又、上記ソレノイドへの通電
電流を制御するための制御手段を簡素な電気回路等で容
易に実現することができるので、この油圧式動力伝達継
手を制御するための所謂コントローラを小型且つ簡単化
することができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明による油圧式動力伝達継手の一
実施例を図面と共に説明する。図1〜図9は第1の実施
例を示すものであり、まず、図1の断面図に基づいて第
1の実施例の全体構造を説明すると、図1において、2
はカムであり、右端の内側端面に2つ以上の山を有する
カム面4を形成している。カム面4には例えば4つのカ
ム山とカム谷が交互に形成される。カム2はボルト6に
よって出力軸8に連結され、出力軸8と一体で回転す
る。又、カム2はカムハウジング10に溶接により固定
され、カムハウジング10はカム2と一体で回転する。
尚、カムハウジング10は非磁性体で形成されている。
【0009】12はロータであり、カムハウジング10
内に回転自在に収納されている。ロータ12は入力軸1
4に結合されると共に、入力軸14と一体に回転する。
ロータ12には、軸方向に複数個のプランジャ室16が
形成される。プランジャ室16の数は、カム2のカム面
4に設けられたカム山の数を4個とすると、例えば7個
のプランジャ室16が等間隔に形成される。プランジャ
ー室16の各々には、プランジャ18がリターンスプリ
ング20を介して摺動自在に収納されている。また、プ
ランジャー室16の底部には吸入吐出孔22が形成され
ている。
【0010】24はロータリバルブであり、中心部に入
力軸14が固定しない状態で嵌通しカムハウジング10
内に回転自在に収納されている。又、図2に示すよう
に、ロータリバルブ24のロータ12側の面には、4個
の吸入ポート26と吐出ポート28が1個ずつ交互に形
成されている。又、吸入ポート26の夫々には外周から
吸入路30が形成されている。又、図1に示すように、
一か所の吐出ポート28には、後述するスプール40に
よって流路が開閉される吐出路32が形成されている。
【0011】更に、ロータリバルブ24の裏面には、図
3に示す様に、表面の4ケ所の吐出ポート28の夫々を
連通する連通溝34が4ケ所に分けて形成されている。
尚、図2に付記したαは、吸入ポート26の開弁角を示
し、βは吐出ポート28の開弁角を示す。即ち、ロータ
12に設けられている吸入吐出孔22は、夫々の吸入ポ
ート26と吐出ポート28との間に対向して位置してい
る。
【0012】そして、吸入ポート26と吐出ポート28
による吸入工程と吐出工程は、カム2の山数をNcとす
ると、吸入工程及び吐出工程の回転角εが、
【0013】
【数1】
【0014】に設定される。又、吸入ポート26の開弁
角αと、吐出ポート28の開弁角βは、
【0015】
【数2】
【0016】
【数3】
【0017】に設定される。ここで、シール余裕をωと
すると、図2に示すように、吸入吐出孔22と吐出工程
の吸入工程の境界線上に仮想的に位置させた場合のポー
ト両端との間隔として与えられる。更に図1とともに説
明すると、ロータリバルブ24に形成された吐出路32
の一端には、流動抵抗を発生するためのオリフィス36
と、液圧を排出するための開放用ポート38が形成さ
れ、スプール40の移動位置を変化することによって、
吐出路32とオリフィス36のみが連通状態、吐出路3
2と開放用ポート38のみが連通状態、吐出路32とオ
リフィス36及び開放用ポート38の間が閉鎖状態とな
る、三種類の切替制御を行なうことができる。尚、この
実施例では、これらのオリフィス36と開放用ポート3
8及びスプール40を駆動する駆動機構は、一ケ所の吐
出路32に対して設けられている。
【0018】更に、ロータ12とロータリバルブ24の
相対的位置関係を図4と共に述べる。図4は図1のI−
I断面を示したものであり、図4の仮想線J−Jの上側
部分がロータリバルブ24の断面、下側部分がロータ1
2の断面を示す。図4において、ロータリバルブ24は
表面のカム山に相対する円周上の位置の4ケ所に、交互
に吸入ポート26と吐出ポート28を形成している。4
つの吸入ポート26は吸入路30を介して外周のカムハ
ウジング10の内側(低圧部)に開口している。4つの
吐出ポート28は裏面の連通溝34により相互に連通し
ている。吐出ポート28の両端にはヒゲ状の切込み42
が形成されている。
【0019】これらの切込み42は次の理由で設けられ
ている。即ち、吸入ポート26と吐出ポート28の間隔
は、この間にロータ12の吸入吐出孔22がある場合で
も、吸入ポート26と吐出ポート28が短絡状態となら
ないために、所定の長さの間隔を開けてシール的な余裕
を持たせている。このためロータ12が回転して吸入吐
出孔22が吸入ポート26と吐出ポート28の間に位置
した場合、まだ吐出工程中にあるプランジャ18により
プランジャ室16の油は押し出されようとするが、出口
のない閉じ込み状態となり、プランジャ室16内の油圧
が上昇して異常トルクを発生するという逆の作用を招く
ことになる。そこで切込み42を設けることで、吐出ポ
ート28と吸入ポート26との間の僅かなリークを許容
し、完全な閉じ込み状態になることを防止して異常トル
クの発生を緩和することとしている。
【0020】ここでロータリバルブ24は、吐出工程に
あるプランジャ室18の液圧作用面積の合計Spに対
し、バルブ表面の吐出ポート28の合計面積Sv1に吐
出ポート28の周囲のシールランドの合計面積Ss1の
半分を加えた値が小さくなるように吐出ポート28を形
成している。またロータリバルブ24は、吐出工程にあ
るプランジャ室18の液圧作用面積の合計Spに対し、
バルブ裏面の連通溝34の合計面積Sv2に連通溝34
の周囲のシールランドの合計面積Ss2の半分を加えた
値が小さくなるように連通溝34を形成している。
【0021】このような吐出ポート28及び連通溝34
の形成によりロータリバルブ24からの油漏れを最小限
に押えることができる。更に図4に示すように、ロータ
リバルブ24はカムハウジング10の内周4ケ所に形成
した切欠44の各々に係合する位置決め用の突起46を
有する。カムハウジング10の切欠44とロータリバル
ブ24の突起46は、入力軸14と出力軸8との間に相
対回転が生じた時に回転方向の如何に関わらず吸入吐出
孔22と吸入ポート26及び吐出ポート28との間の開
閉タイミングと位相関係を決定する位置決め機構を構成
している。
【0022】切欠44に対し突起46が回転できる角度
θ、即ちロータリバルブ24の回転可能角度θは、カム
山の数をNcとすると、
【0023】
【数4】
【0024】に設定されている。更に、ロータ12とロ
ータリバルブ24の機能を図5と共に説明する。尚、図
5はカム2、ロータ12及びロータリバルブ24を直接
上に展開して示した断面図である。又、スプール40の
移動によって、吐出路32とオリフィス36が連通状態
にあり、開放用ポート38が閉鎖されている場合である
とする。そして便宜上、スプール40を省略して、オリ
フィス36のみを示している。
【0025】図5において、プランジャ18が吸入工程
にある場合は、ロータリバルブ24の吸入ポート26と
プランジャ室16の吸入吐出孔22が通じる位置関係と
なり、吸入路30からロータ12の吸入吐出孔22を通
じてプランジャ室16にオイルを吸入することができ
る。また、プランジャ18が吐出工程にある場合は、吸
入工程と逆の関係となり、ロータ12に形成したプラン
ジャ室16の吸入吐出孔22は、ロータリバルブ24の
吐出ポート28を介して裏面の連通溝34に通じる。
【0026】このようなプランジャ18の吸入工程と吐
出工程は7つのプランジャ18につき図5のように交互
に生じ、吐出側と吸入側はロータリバルブ24のオリフ
ィス36を介して連通しているため、オリフィス36の
流動抵抗に応じた圧力を吐出側に発生し、カム2とロー
タ12間でのトルク伝達が行われる。再び第1図を参照
するに、50はカムハウジング10と一体で回転するス
ラストブロックであり、ベアリング52を介して入力軸
14を支持している。スラストブロック50とロータリ
バルブ24の連通溝34に密着した蓋部材48との間に
はニードルベアリング54が介装されている。ここでニ
ードルベアリング54側のフリクショントルクは、ロー
タ12とロータリバルブ24の間のフリクショントルク
より小さくなるように設定されている。
【0027】したがって、入力軸14と出力軸8の相対
回転の方向が変わると、ロータリバルブ24はロータ1
2とともにつれ回りする。その結果、図4に示すよう
に、カムハウジング10の切欠44の右端に当っている
ロータリバルブ24の位置決め用の突起46が、カムハ
ウジング10の切欠44の左端に当たるまで回転した
後、カムハウジング10と一体で回転する。これによ
り、相対回転が正転時または逆転時でも、常に所定のタ
イミングで吸入吐出孔22をロータリバルブ24によっ
て開閉することができる。
【0028】更に図1において、ロータリバルブ24と
スラストブロック50の間に形成された空隙内に、環状
の可動磁性体56が収納され、可動磁性体56はロータ
リバルブ24側からバネ力を付与するスプリング58
と、スラストブロック50側からバネ力を付与するスプ
リング60によって位置決めされている。尚、スプリン
グ60は、ニードルベアリング62と蓋部材64を介し
てスラストブロック50に連接しているので、可動磁性
体56はロータリバルブ24と一体につれ回りする。
【0029】66,68は永久磁石であり、いずれの永
久磁石66,68も可動磁性体56に対向する側端が同
一の磁極(例えば、N極)となる様に可動磁性体56の
両側に所定の間隔の隙間をもって、設けられている。7
0はカムハウジング10の周側に、非磁性体(図示せ
ず)を介して惓装されたソレノイドコイルであり、ソレ
ノイドコイル70の更に外側に磁気枠72を設け、ソレ
ノイドコイル70に通電する電流によって発生する磁気
力と永久磁石66,68の作用によって、可動磁性体5
6を図1の左側あるいは右側へ駆動するソレノイドによ
る駆動機構を構成している。尚、図1はソレノイドコイ
ル70に電流を供給しないで、スプリング58,60の
バネ力によって可動磁性体56がつり合った中立位置に
静止している状態を示す。
【0030】そして、吐出ポート28側の一ケ所に設け
られているスプール40の後端が可動磁性体56に連結
し、可動磁性体56によって進退移動する。74はアキ
ュムレータピストンであり、カムハウジング10内で軸
方向に摺動自在に設けられている。アキュムレータピス
トン74の外側にはリテーナ76の端部がカムハウジン
グ10の外周溝78に対するカシメで固着される。リテ
ーナ76とアキュムレータピストン74との間には、複
数のリターンスプリング80が介装されている。リテー
ナ76には複数のカシメ穴82が形成され、内側にリタ
ーンスプリング80の一端をカシメ固定している。従っ
てアキュムレータピストン74側でリターンスプリング
80を支える必要のない構造となっている。ここで、ア
キュムレータピストン74を複数のリターンスプリング
80で押圧し、リターンスプリング80を保持するリテ
ーナ76の端部をカムハウジング10の環状溝78にカ
シメ固定したため、ワッシャ、スナップリングが不要と
なり、部品点数を減少することができ、その分継手の長
さを短くすることができる また、リターンスプリング
80を複数本設けたため、アキュムレータピストン74
に均等に荷重が加わるようになり、アキュムレータピス
トン74を薄くしても傾かない。
【0031】またアキュムレータピストン74の外径部
にはOリング84が設けられ、内径部は入力軸14上に
まで延在され、入力軸14との間にオイルシール86を
設けている。このようにアキュムレータピストン74の
内径部を入力軸14上まで延在してオイルシール86を
設けたため、アキュムレータピストン74のピストン面
積を拡大して規定容量を短いストロークで得ることがで
き、軸方向に短くできる。
【0032】カム2のカム面4の谷底部には注油孔88
が開口し、継手内部の低圧室側に連通している。注油孔
88に続いてはテーパねじ孔90が形成され、テーパね
じ穴90にはテーパプラグ92がねじ込まれている。テ
ーパプラグ92をねじ込んだテーパねじ穴90は2ケ所
に形成され、従って、カム面4の2ケ所の谷底部に注油
孔88が開口している。
【0033】注油時には、注油孔88の一方から油を注
入し、他方から排出してエア抜きを行い、注油後は、テ
ーパねじ穴90にテーパプラグ92をネジ込むことで密
閉する。次にかかる構成の実施例の動作を図6〜図8と
共に説明する。尚、図6〜図8は、スプール40の位置
と吐出路32、オリフィス36及び開放用ポート38の
相対関係を示す。
【0034】まず、ソレノイドコイル70に電流を供給
しない(図6)と、スプール40がスプリング58,6
0のバネ力でつり合った中立位置に停止し、吐出路32
とオリフィス36が連通状態となり、開放用ポート38
は閉鎖状態となる。この状態において、カム2とロータ
12との間に回転速度差が生じないときは、プランジャ
18はストロークせず、入力軸14と出力軸8間でのト
ルク伝達を生じない。この時、プランジャ18はリター
ンスプリング20によりカム面4に押し付けられてい
る。
【0035】次に、カム2とロータ12との間に回転差
が生じると、吐出工程にある1つのプランジャ18に注
目した場合、プランジャ18はカム2のカム面4により
軸方向(左方向)に押し込まれる。この時、プランジャ
室16の吸入吐出孔22はロータリバルブ24の吐出ポ
ート28と通じているため、プランジャ18はプランジ
ャー室16のオイルを吸入吐出孔22からロータリバル
ブ24の吐出ポート28に押し出す。
【0036】吐出ポート28に押し出されたオイルは、
裏面の連通溝34、吐出路32、オリフィス36を通っ
て吸入ポート26に供給される。この時、オリフィス3
6の流動抵抗により連通溝34、吐出ポート28および
プランジャ室16の油圧が上昇し、プランジャ18に反
力が発生する。このプランジャ18の反力に逆ってカム
2を回転させることによりトルクが発生し、カム2とロ
ータ12との間でトルクが伝達される。尚、吐出ポート
28は連通溝34で連通されているため、吐出工程にあ
るすべてのプランジャ室16の油圧は等しくなる。
【0037】更に、カム2が回転すると吸入工程とな
り、プランジャ18がカム面4の谷底部に向ってリター
ンスプリング20により押し戻される。吸入工程ではプ
ランジャ室16の吸入吐出孔22は吸入ポート26と連
通するため、吸入路30のオイルは、吸入ポート26、
吸入吐出孔22を介してプランジャ室16に吸入され、
プランジャ18はカム2のカム面4に沿って戻る。
【0038】カム2とロータ12の相対回転に伴う複数
のプランジャ18のストロークの様子は、直線的に展開
した図5に示すようになり、吐出工程にあるプランジャ
室16からのオイルは矢印に示すように吐出ポート2
8、連通溝34、吐出路32を通ってオリフィス36に
供給される。この様な、回転速度差に対するトルク伝達
の特性は図9の曲線Aの様になり、回転速度差が増加す
るにつれて伝達トルクが増加する。更に、オリフィス3
6の径を変えることで流動抵抗を調節することによって
も特性が変わる。即ち、オリフィス36の径を小さくす
ることにより流動抵抗を上げると、回転速度差の変化に
対する伝達トルクの傾きΔT/ΔSが大きくなって、特
性が急峻となり、逆に、オリフィスの径を大きくするこ
とにより流動抵抗を小さくすると、回転速度差の変化に
対する伝達トルクの傾きΔT/ΔSは小さくなる。
【0039】このように、ソレノイドに電流を加えず、
スプールを中立位置に静止させることで、通常の動力伝
達特性を得ることができる。次に、図7に示す様に、ソ
レノイドコイル70に所定の極性で直流電流を供給する
ことにより、磁気枠72及び可動磁性体56内に矢印の
方向の磁界を発生させ、そのときの磁気力によって、可
動磁性体56を永久磁石68側へ吸着させると、スプー
ル40も同方向へ移動することにより吐出路32と開放
用ポート38が連通する。
【0040】この状態で、入力軸14と出力軸8の間に
回転速度差が発生して、カム2によるプランジャ18の
ストロークがあっても、吐出ポート28の液圧は開放用
ポート38を介して低圧側へ放出されるので、液圧が上
昇せず、トルク伝達が行なわれない。したがって図9の
特性Cの様になり、いわゆるフリー状態となる。次に、
図8に示す様に、ソレノイドコイル70に図7の場合と
は逆極性の直流電流を供給すると、逆方の磁界が発生し
て、可動磁性体56が永久磁石66側に吸着する。この
結果、スプール40も同方向へ移動し、オリフィス36
及び開放用ポート38の両方とも閉鎖状態となる。
【0041】この様な状態で、入力軸14と出力軸8の
間に回転速度差が発生すると、カム2のカム面4に応じ
てプランジャ18がストロークして、吐出ポート28の
液圧が上昇しても、その液圧は逃げる場所がないので、
急上昇し、入力軸14と出力軸8は一体に回転させられ
るいわゆるロック状態となる。即ち、図9の特性Bに示
す様に,ほとんどのトルクが伝達されることとなる。
【0042】この様にこの実施例によれば、外部からの
非接触の制御により、可動磁性体に固定したスプールを
移動させ、この移動位置によって、オリフィス40の流
動抵抗で設定される動力伝達特性と、いわゆるロック状
態及びフリー状態の三種類の機能を得ることができる。
又、これらの機能を得るためのスプール40の駆動機構
を、入力軸14に対して周方向外側に平行に設けたの
で、軸方向の長さを短くすることができ、四輪駆動車用
トランスファの出力軸端側などのスペースに制限がある
場合でも、省スペース化を実現できる。
【0043】次に、第2の実施例を図10〜図13に基
づいて説明する。まず、図10に基づいてこの実施例の
油圧式動力伝達継手の全体構造を説明する。尚、同図に
おいて、図1と同一又は相当する部分を同一符号で示
す。即ち、右端の内側端面に4つのカム山とカム谷が交
互に形成されたカム2が出力軸(図示せず)に一体に連
結し、更に溶接によって非磁性体で形成されたカムハウ
ジング10に固着して一体に回転する。ロータ12がカ
ムハウジング10内に回転自在に収納され、プランジャ
室16内にリターンスプリング20を介してプランジャ
18が摺動自在に収納され、プランジャ18の端部がカ
ム面4に摺接している。ロータリバルブ24はカムハウ
ジング10内に回転自在に収納され、ロータ12とロー
タリバルブ24の当接面側は、図2〜図4に示したのと
同様の構造となっている。スラストブロック50はカム
ハウジング10に収納固定され、ベアリング52を介し
て入力軸14に対して回転自在に支持されている。そし
て、アキュムレータピストン74がリターンスプリング
80によってスラストブロック50側に弾性付勢されて
いる。
【0044】更に、第1の実施例との構造上の相違点を
述べると、スラストブロック50に連設されたニードル
ベアリング62と蓋部材64を介して第2のスラストブ
ロック88が設けられ、第2のスラストブロック93と
可動磁性体56の間にスプリング60が介在し、更に、
可動磁性体56とロータリバルブ24の間にスプリング
58が介在することで、可動磁性体56の中立位置を設
定している。第2のスラストブロック93とロータリバ
ルブ24の可動磁性体56側の各端部には、永久磁石6
6,68が固着され、これらの永久磁石66,68に対
向するようにカムハウジング10の内側端部に磁性体か
らなる磁気リング66a,68aが固定されている。但
し、互いに向かい合う側の端部が同一の極性(例えば、
N極)となるように、永久磁石66,68が設けられて
いる。磁気リング66a,68aに対応するカムハウジ
ング10の外側には、非磁性部材(図示せず)を介して
ソレノイドコイル70及び磁気枠72で構成される電磁
ソレノイドが設けられている。
【0045】可動磁性体56には、ロータリバルブ24
内に挿入しているスプール40が一体に連結し、スプー
ル40の進退移動によって液路の開閉動作を行う弁機構
がロータリバルブ24内に構成されている。即ち、この
弁機構は図11に示す構造となっており、ロータリバル
ブ24に軸方向に沿って形成された弁室94内に可動磁
性体56と連結するスプール40が進入し、リターンス
プリング95によってスプール40を可動磁性体56側
へ弾性付勢している。更に、弁室94には、吸入ポート
26につながる所定の径から成るオリフィス96と開放
用ポート97が形成されると共に、連通溝34につなが
る吐出路98が形成され、図11に示すように、可動磁
性体56及びスプール40が中立位置に静止する場合に
はオリフィス96と吐出路98が連通し、図12に示す
ように、可動磁性体56及びスプール40が図12の右
端位置に移動して静止する場合には、オリフィス96、
開放用ポート97及び吐出路98が連通し、図13に示
すように、可動磁性体56及びスプール40が図13の
左端位置に移動して静止する場合には、吐出路98を閉
鎖する構造となっている。そして、スプール40の3つ
の位置決めをソレノイド70に供給する直流電流の極性
切換えと、電流供給の停止によって制御するようになっ
ている。尚、この実施例では、スプール40を有する弁
機構が一か所だけに設けられている。
【0046】次に、第2の実施例の動作を説明する。ま
ず、ソレノイドコイル70に電流を供給しないと、可動
磁性体56はスプリング58,60及びリターンスプリ
ング95のバネ力が釣り合った位置に静止して、ロータ
リバルブ24内のスプール40が図11に示す中立位置
に静止し、オリフィス96と吐出路98が連通する。
【0047】この状態で、カム2とロータ12との間に
回転速度差が生じないときには、プランジャ18はスト
ロークせず、入力軸14とカム2間でのトルク伝達を生
じない。又、この時、プランジャ18はリターンスプリ
ング20によりカム面4に押しつけられている。次に、
カム2とロータ12との間に回転差が生じると、吐出工
程にある1つのプランジャ18に注目した場合、プラン
ジャ18はカム2のカム面4により軸方向(左方向)に
押し込まれる。
【0048】この時、プランジャ室16の吸入吐出孔2
2はロータリバルブ24の吐出ポート28と通じている
ため、プランジャ18はプランジャー室16のオイルを
吸入吐出孔22からロータリバルブ24の吐出ポート2
8に押し出す。吐出ポート28に押し出されたオイル
は、裏面の連通溝34、吐出路98、オリフィス96を
通って吸入ポート26に供給される。この時、オリフィ
ス96の流動抵抗により連通溝34、吐出ポート28お
よびプランジャ室16の油圧が上昇し、プランジャ18
に反力が発生する。このプランジャ18の反力に逆って
カム2を回転させることによりトルクが発生し、カム2
とロータ12との間でトルクが伝達される。尚、各吐出
ポート28は連通溝34で連通されているため、吐出工
程にあるすべてのプランジャ室16の油圧は等しくな
る。
【0049】更に、カム2が回転すると吸入工程とな
り、プランジャ18がカム面4の谷底部に向ってリター
ンスプリング20により押し戻される。吸入工程ではプ
ランジャ室16の吸入吐出孔22は吸入ポート26と連
通するため、吸入路30のオイルは、吸入ポート26、
吸入吐出孔22を介してプランジャ室16に吸入され、
プランジャ18はカム2のカム面4に沿って戻る。
【0050】カム2とロータ12の相対回転に伴う複数
のプランジャ18のストロークの様子は、直線的に展開
した図5に示したようになり、吐出工程にあるプランジ
ャ室16からのオイルは矢印に示すように吐出ポート2
8、連通溝34、吐出路98を通ってオリフィス96に
供給される。そして、この様な回転速度差に対するトル
ク伝達特性は、図9の特性Aと同様となる。
【0051】次に、図12に示すように、ソレノイドコ
イル70に所定の極性の直流電流を供給すると、磁気枠
72及び可動磁性体56内に所定方向の磁界が発生し、
この時の磁気力によって可動磁性体56が永久磁石66
側へ吸着する。これにより、スプール40も同方向へ移
動して静止し、吐出路98とオリフィス96及び開放用
ポート97が連通する。そして、入力軸14とカム2の
間に回転速度差が発生して、カム2によるプランジャ1
8のストロークがあっても、吐出ポート28の液圧が開
放用ポート97を介して放出されるので液圧が上昇せ
ず、トルク伝達が行われない。したがって、図9の特性
Cと同様になり、所謂フリー状態を設定することができ
る。
【0052】次に、図13に示すように、ソレノイドコ
イル70に上記フリー状態の場合とは逆極性の直流電流
を供給すると、可動磁性体56は逆方向の磁気力によっ
て永久磁石68側へ吸着され、同時にスプール40も同
方向へ移動する。この結果、吐出路98はスプール40
によって閉鎖される。この状態で、入力軸14とカム2
の間に回転速度差を生じる状況が発生し、カム2のカム
面4に応じてプランジャ18がストロークして吐出ポー
ト28の液圧が上昇しても逃げる場所がないので急上昇
し、入力軸14とカム2が一体に回転する所謂ロック状
態となる。即ち、図9の特性Bに示すように、殆どのト
ルクが伝達されることとなる。
【0053】このように、第2の実施例によれば、スプ
ール40と可動磁性体56が夫々別個の部材で構成さ
れ、リターンスプリング95のバネ力によってスプール
40と可動磁性体56が外れないように構成しているの
で、これらの部材を別個に加工・製造することができ、
又、部品の交換等も容易となる。次に、第3の実施例を
図14ないし図17と共に説明する。
【0054】まず、図14に基づいてこの実施例の油圧
式動力伝達継手の全体構造を説明する。この実施例は、
アキュムレータとソレノイド機構を油圧ポンプ機構の両
側に分割して配置すると共に、2個のスプールから成る
弁機構によって動力伝達特性を制御するようになってい
る。尚、図14において、図1と同一又は相当する部分
を同一符号で示す。
【0055】即ち、入力軸14に対して相対回転するカ
ムハウジング10の右側に形成されたピストン室内に、
アキュムレータピストン74が軸方向に摺動自在に設け
られている。アキュムレータピストン74の右外側には
リテーナ76がカムハウジング10の内側端部に固定さ
れ、リテーナ76とアキュムレータピストン74との間
に複数のリターンスプリング80が介装されている。
又、アキュムレータピストン74と入力軸14の間にオ
イルシール86が設けられ、アキュムレータピストン7
4とカムハウジング10のピストン室内との摺動面にO
リング84が設けられている。
【0056】カム2がカムハウジング10を境にしてア
キュムレータピストン74の反対側(左側)に設けら
れ、カム2のカム面4に複数のプランジャ18が摺接
し、プランジャ18は、リターンスプリング20を介し
てロータ12のプランジャ室16内に摺動自在に収納さ
れている。更に、ロータ12の隣にロータリバルブ10
0が連設され、ベアリング102を介して入力軸14に
支持されている。そして、図14のI−I線断面の構造
は図4と等しくなっており、ロータ12とロータリバル
ブ100の相互に対向する側面の構造は、図2〜図4と
等しい構造となっている。
【0057】但し、ロータリバルブ100は、図15に
拡大して示すように、第1のスプール104を有する弁
機構と第2のスプール106を有する弁機構との2個の
弁機構が構成されている。即ち、第1のスプール104
と第2のスプール106を夫々軸方向へ摺動自在に挿入
するスプール孔108,110が貫通して形成され、ス
プール104,106が後述する可動磁性体130によ
って軸方向へ進退移動するようになっている。更に、ス
プール孔108,110の略中央位置に相互を連通する
高圧室112が形成されている。又、第1のスプール1
04を有する弁機構側には連通溝34と連通する貫通孔
114が形成され、第2のスプール106を有する弁機
構側には高圧室112から離れた位置でスプール孔11
0と連通溝34との間に流動抵抗を発生するためのオリ
フィス116が形成されている。
【0058】尚、第1のスプール104と第2のスプー
ル106の形状は異なっており、図15に示すように、
夫々所定の中立位置に居る場合には、高圧室112を第
1のスプール104の隙間を介して貫通孔114と連通
溝34に連通させ、一方、第2のスプール106によっ
て高圧室112とオリフィス116間を閉鎖する。又、
図16に示すように、第1のスプール104と第2のス
プール106が図の左側に移動する場合には、高圧室1
12を第1のスプール104によって閉鎖し、一方、第
2のスプール106によって高圧室112をオリフィス
116を介して連通溝34に連通させる又、図17に示
すように、第1のスプール104と第2のスプール10
6が図の右側に移動する場合には、第1のスプール10
4と第2のスプール106によって高圧室112と連通
溝34を閉鎖する。
【0059】このように、スプール104,106の位
置を変更することによって、三種類の液圧制御を行うこ
とができる構成となっている。再び図14において、1
18は非磁性体で形成されたカバーであり、一端がカム
ハウジング10に固定されて一体に回転する。このカバ
ー118内には、ロータリバルブ100に形成されたス
プール孔108,110と同軸位置に形成された支持孔
120,122を有するスラストブロック124が設け
られ、夫々の支持孔120,122に第1のスプール1
04と第2のスプール106の一端を挿入することで支
持している。又、スラストブロック124には、図15
に示す第1のスプール104の移動状態で、高圧室11
2と貫通孔114を連通させるための連通室126が形
成されている。
【0060】128はカバー118の内側に固定された
第2のスラストブロック、130はカバー118とスラ
ストブロック124の間に設けられた可動磁性体であ
る。そして、スラストブロック124と可動磁性体13
0の間に介在する複数のスプリング132と、第2のス
ラストブロック128と可動磁性体130の間に介在す
る複数のスプリング134のバネ力によって可動磁性体
130が所定の中立位置に保持されるようになってい
る。
【0061】又、可動磁性体130の一端には第1のス
プール104と第2のスプール106の夫々の一端が連
結し、可動磁性体130の移動に連れて第1のスプール
104と第2のスプール106も同方向へ移動する。
又、スラストブロック124と第2のスラストブロック
128の互いに対向する端面に、永久磁石66,68が
同一磁極で向かい合うように設けられ、永久磁石66,
68及び可動磁性体130に対応するケース118の外
側に、ソレノイドコイル70と磁性体の磁気枠72が設
けられている。
【0062】次に、かかる構成から成る第3の実施例の
動作を説明する。まず、図15に示すように、ソレノイ
ドコイル70に電流を供給しない場合には、スプリング
132,134によるバネ力によって可動磁性体130
が所定の中立位置に静止し、同じく第1のスプール10
4及び第2のスプール106が同図に示す中立位置で静
止する。この結果、高圧室112を第1のスプール10
4の隙間を介して貫通孔114と連通溝34に連通さ
せ、一方、第2のスプール106によって高圧室112
とオリフィス116間を閉鎖する。このような状態で入
力軸14とカムハウジング10に回転速度差が発生する
と、高圧室112の液圧は連通溝34を介して低圧側へ
放出されるので液圧が上昇せず、入力軸14とカムハウ
ジング10の間でトルク伝達が行われない。即ち、図9
の特性Cと同様の所謂フリー状態となる。
【0063】次に、図16に示すように、ソレノイドコ
イル70に所定の極性の直流電流を供給した場合には、
磁気枠72と可動磁性体130間に該電流極性に対応す
る所定方向の磁界が発生し、それに伴って発生する磁気
力によって可動磁性体130が永久磁石68側へ吸着さ
れ、同時に第1,第2のスプール104,106が図示
するように、左側へ移動する。この結果、高圧室112
を第1のスプール104によって閉鎖し、一方、第2の
スプール106によって高圧室112をオリフィス11
6を介して連通溝34に連通させる。この状態で入力軸
14とカムハウジング10に回転速度差が発生すると、
高圧室112の液圧はオリフィス116による流動抵抗
で上昇し、該流動抵抗に応じたトルク伝達が入力軸14
とカムハウジング10間で行われる。即ち、図9の特性
Aで示すようなトルク伝達特性が得られる。
【0064】次に、図17に示すように、ソレノイドコ
イル70に図16の場合とは逆の極性の直流電流を供給
した場合には、磁気枠72と可動磁性体130間に逆の
電流極性に対応する逆方向の磁界が発生し、それに伴っ
て発生する磁気力によって可動磁性体130が永久磁石
66側へ吸着され、同時に第1,第2のスプール10
4,106が、図示するように、右側へ移動する。この
結果、第1のスプール104と第2のスプール106に
よって高圧室112と連通溝34間が閉鎖する。そし
て、この状態で、入力軸14とカムハウジング10に回
転速度差が発生する状況となると、カム2のカム面4に
応じてプランジャ18がストロークして高圧室112の
液圧が上昇しても逃げる場所がないので急上昇し、入力
軸14とカムハウジング10が一体に回転する所謂ロッ
ク状態となる。即ち、図9の特性Bに示すように、殆ど
のトルクが伝達されることとなる。
【0065】このように、この第3の実施例によれば、
可動磁性体130と電磁ソレノイドをカムハウジング1
0の外側に設けたので、カムハウジング10を非磁性体
あるいは磁性体のいずれで形成することもできる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、油
圧ポンプの出口部に設けられた吐出油の流動抵抗を制御
するための流動抵抗制御手段及び電磁式アクチュエータ
を、入出力駆動軸に対して平行な位置に設けたので、軸
方向の長さを短縮できる。又、一対の永久磁石とソレノ
イドで電磁式アクチュエータを構成し、このソレノイド
への通電電流の極性を変えたり通電を停止することによ
ってロック、フリー及びトルク伝達特性を設定すること
ができる構成としたので、極めて簡素で小型の流動抵抗
制御手段及び電磁式アクチュエータを構成することがで
きる。
【0067】更に、この油圧式動力伝達継手を外部から
直接に接触して制御する必要がなく、非接触で動力伝達
特性を制御することができることから、耐久性、信頼性
を向上することができる。又、上記ソレノイドへの通電
電流を制御するための制御手段を簡素な電気回路等で容
易に実現することができるので、この油圧式動力伝達継
手を制御するための所謂コントローラを小型且つ簡単化
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の全体構造を示す断面図で
ある。
【図2】ロータリバルブの表面側の構造を示す平面図で
ある。
【図3】ロータリバルブの裏面側の構造を示す背面図で
ある。
【図4】図1のI−I線に沿って示す断面図である。
【図5】図1のカムとロータの相対回転によるプランジ
ャの動きを直線上に展開して示した説明図である。
【図6】第1実施例の動力伝達時の動作を説明するため
の部分断面図である。
【図7】第1実施例のフリー状態の動作を説明するため
の部分断面図である。
【図8】第1実施例のロック状態の動作を説明するため
の部分断面図である。
【図9】第1実施例の動力伝達特性を示す特性図であ
る。
【図10】本発明の第2実施例の全体構造を示す断面図
である。
【図11】第2実施例の動力伝達時の動作を説明するた
めの部分断面図である。
【図12】第2実施例のフリー状態の動作を説明するた
めの部分断面図である。
【図13】第2実施例のロック状態の動作を説明するた
めの部分断面図である。
【図14】本発明の第3実施例の全体構造を示す断面図
である。
【図15】第3実施例のフリー状態の動作を説明するた
めの部分断面図である。
【図16】第3実施例の動力伝達時の動作を説明するた
めの部分断面図である。
【図17】第3実施例のロック状態の動作を説明するた
めの部分断面図である。
【符号の説明】
2;カム 4;カム面 6;ボルト 8;出力軸 10;カムハウジング 12;ロータ 14;入力軸 16;プランジャ室 18;プランジャ 20;リターンスプリング 22;吸入吐出孔 24;ロータリバルブ 26;吸入ポート 28;吐出ポート 30;吸入路 32;吐出路 34;連通溝 36;オリフィス 38;開放用ポート 40;スプール 42;切込み 44;切欠 46;突起 48;蓋部材 50;スラストブロック 52;ベアリング 54;ニードルベアリング 56;可動磁性体 58,60;スプリング 62;ニードルベアリング 64;蓋部材 66,68;永久磁石 66a,68a;磁気リング 70;ソレノイドコイル 72;磁気枠 74;アキュムレータピストン 76;リテーナ 78;外周溝 80;リターンスプリング 82;カシメ穴 84;Oリング 86;オイルシール 88;注油孔 90;テーパねじ孔 92;テーパプラグ 93;第2のスラストブロック 94;弁室 95;リターンスプリング 96;オリフィス 97;開放用ポート 98;吐出路 100;ロータリバルブ 102;ベアリング 104;第1のスプール 106;第2のスプール 108;スプール孔 110;スプール孔 112;高圧室 114;貫通孔 116;オリフィス 118;カバー 120;支持孔 122;支持孔 124;スラストブロック 126;連通室 128;第2のスラストブロック 130;可動磁性体 132,134;スプリング

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相対回転可能な入出力軸間に設けられ、前
    記両軸の差動回転によって駆動される油圧ポンプと、 該油圧ポンプの出口部に設けられた吐出油の流動抵抗を
    制御する制御弁と、 外部からの信号によって、該制御弁を作動させるアクチ
    ュエータとを備え、 前記両軸の回転速度差および外部からの制御信号に応じ
    たトルク伝達する油圧式動力伝達継手において、 外部の部材に固定され、ソレノイドコイルと該コイルを
    取り巻いて継手と非接触状態に保持される磁気枠と、 前記コイルへの通電によって磁気力を発生する可動磁性
    体と、 該磁性体の両側に所定の間隔の隙間を開け、且つ向かい
    合う側の磁極が同極となるように設けられる2個の永久
    磁石と、 該永久磁石に前記可動磁性体を保持するバネ部材と、 前記ソレノイドコイルと前記可動磁性体との間に非磁性
    体の継手ハウジングを備え、 前記ソレノイドコイルへ通電しない、直流電流を通電す
    る、その逆の極性の直流電流を通電することによって、
    前記可動磁性体を3位置に変位させるアクチュエータを
    構成するとともに、該アクチュエータと、 前記可動磁性体の3位置に応じて開口面積が3種類に変
    化し、且つ圧油からの油圧反力を受けないスプール弁
    を前記入出力軸に平行に設けたことを特徴とする油圧式
    動力伝達継手。
JP17500291A 1991-07-16 1991-07-16 油圧式動力伝達継手 Expired - Fee Related JP2815726B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17500291A JP2815726B2 (ja) 1991-07-16 1991-07-16 油圧式動力伝達継手

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17500291A JP2815726B2 (ja) 1991-07-16 1991-07-16 油圧式動力伝達継手

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0526261A JPH0526261A (ja) 1993-02-02
JP2815726B2 true JP2815726B2 (ja) 1998-10-27

Family

ID=15988503

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17500291A Expired - Fee Related JP2815726B2 (ja) 1991-07-16 1991-07-16 油圧式動力伝達継手

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2815726B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995016112A1 (fr) * 1993-12-10 1995-06-15 Mitsubishi Jidosha Kogyo Kabushiki Kaisha Dispositif de commande d'admission d'un moteur multi-cylindre a combustion interne

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0526261A (ja) 1993-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20020079487A (ko) 유체 마찰식 클러치
JP2815726B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP3215404B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2815736B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2815733B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2815737B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP3207903B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP3209571B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2815734B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2815741B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JPH05321950A (ja) 油圧式動力伝達継手
JP3108194B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2744160B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JPH06241246A (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2989433B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2815743B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP3246758B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP3241821B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2004092795A (ja) 電磁弁
JPH05306723A (ja) 油圧式動力伝達継手
JPH06173975A (ja) 油圧式動力伝達継手
JPH06185543A (ja) 油圧式動力伝達継手
JPH05187459A (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2815742B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2583773Y2 (ja) 流体継手

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees