JP2811839B2 - 歯科用チタンまたはその合金用硬化性接着剤組成物 - Google Patents

歯科用チタンまたはその合金用硬化性接着剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は歯科用チタンまたはその合金用の硬化性接着
剤組成物に関する。
〔従来の技術〕
昨今新しい歯科用金属材料として、チタンおよびその
合金が軽量性、耐久性、生体適合性等の特徴により次第
に使用分野を広げつつある。その大きな分野として(部
分)義歯床、インプラント等が挙げられるが、これらの
用途において、チタンまたはその合金と、プラスチック
または他の金属材料との接着が必要な場合が多い。しか
し現在これらの用途に好適な接着剤は無い。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、チタンまたはその合金に対する高い
接着力を有し、チタンまたはその合金同士、あるいはチ
タンまたはその合金と、プラスチックまたはその他の金
属材料との接着性に優れ、歯科用接着剤として好適に利
用できる硬化性接着剤組成物を提供することである。
さらに上記のようなチタンまたはその合金に対する高
い接着力を有し、かつ初期接着性、接着耐久性、耐水性
等のバランスに優れ、歯科用接着剤として好適に利用で
きる硬化性接着剤組成物を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、従来より歯科用接着剤として高い接着
性および耐久性を有し、広く利用されているトリアルキ
ルボロンまたはその部分酸化物を重合開始剤とした接着
剤に、チタン合金に対する高い親和性を有するチタネー
ト系カップリング剤等を組合せた組成物が、チタンまた
はその合金に対する高い接着性を有していることを見い
だして、本発明に到った。
すなわち本発明は、次の硬化性接着剤組成物である。
(1)チタネート系カップリング剤(A)、ラジカル重
合性単量体(B)、およびトリアルキルボロンまたはそ
の部分酸化物(C)を含み、ラジカル重合性単量体
(B)100重量部に対し、チタネート系カップリング剤
(A)が0.1〜100重量部、トリアルキルボロンまたはそ
の部分酸化物(C)が1〜100重量部配合されているこ
とを特徴とする歯科用チタンまたはその合金用硬化性接
着剤組成物。
(2)チタネート系カップリング剤(A)、ラジカル重
合性単量体(B)、トリアルキルボロンまたはその部分
酸化物(C)、および酸性基または酸無水物基を含有す
る重合性単量体(D)を含み、ラジカル重合性単量体
(B)100重量部に対し、チタネート系カップリング剤
(A)が0.1〜100重量部、トリアルキルボロンまたはそ
の部分酸化物(C)が1〜100重量部、酸性基または酸
無水物を含有する重合性単量体(D)が50重量部以下配
合されていることを特徴とする歯科用チタンまたはその
合金用硬化性接着剤組成物。
本発明の硬化性接着剤組成物は、チタンに対する高い
親和性を有するチタネート系カップリング剤(A)、ラ
ジカル重合性単量体(B)および常温で高い重合活性を
有するトリアルキルボロンまたはその部分酸化物(C)
を特定の割合で含むため、あるいはこれらの3成分に加
えて一般の金属に対して優れた接着性を有する酸性基ま
たは酸無水物基を含有する重合性単量体(D)を特定の
配合割合で含有しているため、チタンまたはその合金に
対して優れた接着性および接着耐久性を示す。
本発明で使用されるチタネート系カップリング剤
(A)としては、具体的にはイソプロピルトリイソステ
アロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチル
パイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ
(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テト
ラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネー
ト、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチ
ル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビ
ス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテー
トチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェー
ト)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイ
ルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロ
イルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスル
ホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジア
クリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホス
フェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニ
ルチタネートおよびテトライソプロピルビス(ジオクチ
ルホスファイト)チタネートなどをあげることができ
る。
このようなチタネート系カップリング剤(A)は、単
独で使用することもできるし、組合せて使用することも
できる。このようなチタネート系カップリング剤(A)
の内でも、とくにイソプロピルジメタクリルイソステア
ロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジア
クリルチタネート、またはイソプロピルトリ(ジオクチ
ルホスフェート)チタネートを使用することが好まし
い。
本発明で使用されるラジカル重合性単量体(B)とし
ては、単官能性単量体(B1)および/または多官能性単
量体(B2)を使用することができる。
単官能性単量体(B1)としては、具体的には単官能性
(メタ)アクリロイル化合物を使用することが好まし
い。
このような単官能性単量体(B1)としては、例えばメ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ドデジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
ベンジル(メタ)アクリレート、およびイソボルニル
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭化水
素エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
および2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等
の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;
エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリ
レート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メ
タ)アクリレート、エチレングリコールモノドデシルエ
ーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレン
グリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、
およびポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メ
タ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールモ
ノエーテル(メタ)アクリレート;トリフルオロエチル
(メタ)アクリレート、およびパーフルオロオクチル
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のフルオ
ロアルキルエステル;γ−(メタ)アクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロ
ピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン等の(メタ)ア
クリロキシアルキル基を有するシラン化合物;テトラヒ
ドロフルフリル(メタ)アクリレートなどをあげること
ができる。
また、多官能性単量体(B2)としては、例えばエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、およ
びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等
のアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート;ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート等の(ポリ)オキシアル
カンポリオールポリ(メタ)アクリレートなどをあげる
ことができる。
さらに、多官能性単量体(B2)としては、上記以外に
も、例えば以下に示す式〔I〕で表わされるエポキシ
(メタ)アクリレート (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは0ま
たは正の整数を示し、R1は−(CH2−,−(CH2
−, を示す。); 次式〔II〕で表わされる脂環族または芳香族系のジ
(メタ)アクリレート (式中、Rは水素またはメチル基を示し、R2 を示す。); 次式〔III〕で表わされる脂環族系ジ(メタ)アクリ
レート (式中、Rは水素またはメチル基を示し、R3 を示す。) 等の化合物をあげることができる。
さらに、多官能性単量体(B2)としては、分子中に少
なくとも1つのウレタン結合を有する多官能(メタ)ア
クリレート、例えばジイソシアネート化合物1モルと2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含
有(メタ)アクリレート2モルとの付加物なども例示す
ることができる。この場合に使用されるジイソシアネー
ト化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族ジイソシア
ネートのいずれでも用いることができる。従ってジイソ
シアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイ
ソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−また
は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルジメチルメタン−p,p−ジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、およびナフタレンジイソシ
アネート等をあげることができる。
従って、前記分子中に少なくとも1つのウレタン結合
を有する多官能(メタ)アクリレートとして、具体的に
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。) 等をあげることができる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、前記例示した
もの以外に、さらに次式〔IV〕で表わされる化合物をあ
げることができる。
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、R4は少な
くとも1つの芳香環を有し、かつ分子内に酸素原子また
は硫黄原子を有していてもよい2価の芳香族残基を示
し、nおよびmはそれぞれ正の整数を示す。) 式〔IV〕で表わされる多官能(メタ)アクリレートの
具体例としては、例えば (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、m+n=
2〜20である。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、m+n=
2〜20である。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、m+n=
2〜20である。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、m+n=
2〜20である。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、m+n=
2〜20である。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、m+n=
2〜20である。) 等をあげることができる。
以上に例示した中では、単官能性単量体(B1)として
は、特にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデジ
ル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリ
レート等の(メタ)アクリル酸の炭化水素エステルが好
ましく用いられる。
また、多官能性単量体(B2)としてはアルカンポリオ
ールのポリ(メタ)アクリレート、(ポリ)オキシアル
カンポリオールのポリ(メタ)アクリレート、エポキシ
(メタ)アクリレート、分子内に少なくとも1つのウレ
タン結合を有する脂肪族または脂環族(メタ)アクリレ
ート、および芳香環を有する(ポリ)オキシアルカンポ
リオールのポリ(メタ)アクリレートが好ましく、特に
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペン
チルグリコール(メタ)アクリレート、トリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、m+n=
2〜20である。)、 (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、m+n=
2〜20である。) 等が好ましい。
これらのラジカル重合性単量体(B)は単独で、また
は2種以上の混合物として用いることができる。
本発明で使用されるトリアルキルボロンまたはその部
分酸化物(C)としては、例えばトリエチルボロン、ト
リ−n−プロピルボロン、トリイソプロピルボロン、ト
リ−n−ブチルボロン、トリイソブチルボロン、トリ−
n−アミルボロン、トリイソアミルボロン、トリ−s−
アミルボロン、およびこれらの部分酸化物などをあげる
ことができる。
これらの中では、トリ−n−ブチルボロンまたはその
部分酸化物が好ましい。
本発明で使用される酸性基または酸無水物基を含有す
る重合性単量体(D)としては、分子内に少なくとも1
つの(メタ)アクリロキシ基を有する芳香族ポリカルボ
ン酸またはその酸無水物(D1);分子内に少なくとも1
つの(メタ)アクリロキシ基を有するリン酸またはスル
ホン酸の部分エステル(例えば、リン酸のモノエステ
ル、ジエステルまたはその混合物、スルホン酸のモノエ
ステル等)(D2)等をあげることができる。
分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基を
有する芳香族ポリカルボン酸またはその酸無水物(D1)
としては、例えば2つ以上のヒドロキシル基を有するア
ルカンポリオール(このポリオールは、ヒドロキシル基
以外に酸素原子を含有していてもよい)のヒドロキシル
基のうちの少なくとも1つのヒドロキシル基が(メタ)
アクリル酸とともにエステル結合を形成しており、かつ
少なくとも1つのヒドロキシル基が3つ以上のカルボキ
シル基を有する芳香族ポリカルボン酸の1つのカルボキ
シル基とエステル結合を形成している構造を有する(メ
タ)アクリロキシ基含有芳香族ポリカルボン酸またはそ
の酸無水物などをあげることができる。
上記3つ以上のカルボキシル基を有する芳香族ポリカ
ルボン酸の中では、さらに3つ以上のカルボキシル基の
うちで少なくとも2つのカルボキシル基が芳香環上に隣
接する炭素原子に結合した芳香族ポリカルボン酸である
ことが好ましい。このような芳香族ポリカルボン酸の具
体例としては、例えばヘミメリト酸、トリメリト酸、プ
レニト酸、メロファン酸、ピロメリト酸等をあげること
ができる。
分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基を
有する芳香族ポリカルボン酸またはその酸無水物(D1)
の具体的なものとしては、例えば4−(メタ)アクリロ
キシメトキシカルボニルフタル酸またはその無水物;4−
(メタ)アクリロキシエトキシカルボニルフタル酸また
はその無水物;4−(メタ)アクリロキシブトキシカルボ
ニルフタル酸またはその無水物; (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは6〜
12の整数を示す。); (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは2〜
50の整数を示す。); (式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは1〜
50の整数を示す);4−(2−ヒドロキシカルボニル)フ
タル酸またはその酸無水物;2,3−ビス(3,4−ジカルボ
キシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート
またはその酸無水物;2−(3,4−ジカルボキシベンゾイ
ルオキシ)−1,3−ジメタクリロキシプロパンまたはそ
の無水物等をあげることができる。
また、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロキ
シ基を有するリン酸またはスルホン酸の部分エステル
(D2)の具体的なものとしては、例えば2−(メタ)ア
クリロキシエチルフェニルアシドホスフェート;ビス
〔2−(メタ)アクリロキシエチル〕アシドホスフェー
ト;ビス〔3−(メタ)アクリロキシプロピル〕アシド
ホスフェート;2−(メタ)アクリロキシエチルフェニル
ホスフェート; (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。); (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。); (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。);tert
−ブチルアクリルアミドスルホン酸; (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。); (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。) 等をあげることができる。
酸性基または酸無水物基を含有する重合性単量体
(D)の中では、分子内に少なくとも1つの(メタ)ア
クリロキシ基を含有する芳香族ポリカルボン酸またはそ
の酸無水物(D1)が好ましく用いられる。
酸性基または酸無水物基を含有する重合性単量体
(D)は単独で、または2種以上の混合物として用いる
ことができる。
本発明の組成物には、以上に説明した成分に加えて、
必要に応じてその他の成分、例えば他の重合性単量体、
有機溶剤、粉末状無機充填剤、有機重合体、重合抑制剤
等の適宜量を含有させることができる。
上記他の重合性単量体としては、例えば塩化ビニル、
臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエ
ーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエー
テル等のビニルエーテル類;スチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、スチ
ルベン等のアルケニルベンゼン類などをあげることがで
きる。
有機溶剤としては、例えばエタノール、アセトン、酢
酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、N,
N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジ
メチルスルホキシド等をあげることができる。
粉末状無機充填剤としては、例えばカオリン、タル
ク、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、シリカ・アルミ
ナ、リン酸カルシウム、ガラス粉末、石英粉末等をあげ
ることができる。
有機重合体としては、例えばワックス;エチレン・酢
酸ビニル共重合体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の単独
重合体およびこれらの共重合体などをあげることができ
る。
本発明の硬化性接着剤組成物は、 (1)チタネート系カップリング剤(A)、ラジカル重
合性単量体(B)、およびトリアルキルボロンまたはそ
の部分酸化物(C)、または (2)チタネート系カップリング剤(A)、ラジカル重
合性単量体(B)、トリアルキルボロンまたはその部分
酸化物(C)、および酸性基または酸無水物基を含有す
る重合性単量体(D)からなり、 さらに上記(1)または(2)の組成物は必要に応じ
て前記その他の添加物を含有していてもよい。
前記(A)、(B)、(C)および(D)の各成分の
配合量は、その用途に応じて広範囲に変化させることが
できる。
本発明の硬化性接着剤組成物において、チタネート系
カップリング剤(A)はラジカル重合性単量体(B)10
0重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは1
〜20重量部の範囲の割合で配合する。
トリアルキルボロンまたはその部分酸化物(C)は、
ラジカル重合性単量体(B)100重量部に対して、通常
1〜100重量部、好ましくは10〜50重量部の範囲の割合
で配合する。
上記のような量で(A)ないし(C)の成分を配合す
ることにより、本発明のチタンまたはその合金に対する
接着性に優れた硬化性接着剤組成物を得ることができ
る。そして、このような硬化性接着剤組成物にさらに
(D)成分を配合することにより、チタンまたはその合
金に対する接着性に優れ、さらに初期接着性、接着耐久
性、耐水性等のバランスに優れた硬化性接着剤組成物を
得ることができる。
この場合に、酸性基または酸無水物基を含有する重合
性単量体(D)は、ラジカル重合性単量体(B)100重
量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは0.1〜20
重量部の範囲の割合で配合する。
本発明の硬化性接着剤組成物は、(A)ないし(C)
成分および必要により他の成分を混合することにより、
または(A)ないし(D)成分および必要により他の成
分を混合することにより得られる。従って本発明の硬化
性接着剤組成物を使用する際には、各成分を混合したも
のを接着面に塗布して接着する。また別の接着方法とし
ては、チタネート系カップリング剤(A)を適当な溶
媒、例えばメチルメタクリレートなど、に溶解した液体
を接着面に塗布し、接着面にチタネート系カップリング
剤(A)の塗布を形成させた後、その塗膜上にチタネー
ト系カップリング剤(A)を除いた各成分の混合物を塗
布して接着することもできる。
トリアルキルボロンまたはその部分酸化物(C)は、
前記(A)および(B)成分等の単量体と混合すると、
通常数秒から数十分の間に重合活性を失うか、または重
合を開始させるので、トリアルキルボロンまたはその部
分酸化物(C)は、通常前記(A)および(B)成分、
さらに(D)成分等の成分とは別に保存し、使用直前に
混合するのが好ましい。
このような本発明の硬化性接着剤組成物は、歯科用チ
タンまたはその合金用接着剤として利用でき、通常使用
されている歯科用の接着剤組成物などと同様にして使用
することができる。
〔発明の効果〕 本発明によれば、前記(A)ないし(C)成分を特定
の割合で含有するようにしたので、チタンまたはその合
金に対する高い接着力を有し、チタンまたはその合金同
士、あるいはチタンまたはその合金と、プラスチックま
たは他の金属材料との接着性に優れ、歯科用接着剤とし
て好適に利用できる硬化性接着剤組成物が得られる。
また前記(A)ないし(C)成分にさらに(D)成分
を特定の割合で含有するようにしたので、上記のような
チタンまたはその合金に対する高い接着性を有し、かつ
初期接着性、接着耐久性、耐水性等のバランスに優れ、
歯科用接着剤として好適に利用できる硬化性接着剤組成
物が得られる。
〔実施例〕
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明は
これら実施例により何ら限定されるものではない。な
お、各例中において略号はそれぞれ下記を意味する。
MMA:メチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、特
級) PDMST:イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタ
ネート(味の素(株)製、プレンアクトKR−7、商標) NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート(新中村
化学工業(株)製、NKエステルNPG、商標) (根上工業(株)製、アートレジンSH−500S、商標) PMMA:ポリメチルメタクリレート(サンメディカル
(株)製、スーパーボンドオペークアイボリー粉末) (サンメディカル(株)製) TBB−O:トリ−n−ブチルボロンの部分酸化物(サンメ
ディカル(株)製、スパーボンドキャタリスト、商標) 実施例1 直径10mm、厚さ3mmの純チタン円盤および直径6mm、厚
さ3mmの純チタン円盤のそれぞれの表面をサンドブラス
ト処理し、MMA 98重量部およびPDMST 2重量部の混合物
Iを両円盤の表面に塗布した。
混合物Iが乾燥した後、MMA 100重量部、TBB−O40重
量部およびPMMA 60重量部の混合物IIを前記混合物Iの
両塗膜上に塗布し、両表面を接着した。
次に4℃の冷水と60℃の温水に交互に1分間づつ漬け
るとヒートサイクルを所定回数繰り返した後、万能試験
機(島津製作所( 株)製、オートグラフDCS−500)を
用いてクロスヘッドスピード0.5mm/minで純チタン同士
の剪断接着力を測定した。結果を表1に示す。
実施例2 直径10mm、厚さ3mmの純チタン円盤および直径6mm、厚
さ3mmの純チタン円盤のそれぞれの表面をサンドブラス
ト処理し、MMA 98重量部およびPDMST 2重量部の混合物
Iを両円盤の表面に塗布した。
混合物Iが乾燥した後、MMA 95重量部、4−META5重
量部、TBB−O 40重量部およびPMMA 60重量部の混合物II
を前記混合物Iの両塗膜上に塗布し、両表面を接着し
た。
次に実施例1と同様にして剪断接着力を測定した。結
果を表1に示す。
実施例3 直径10mm、厚さ3mmの純チタン円盤および直径6mm、厚
さ3mmの純チタン円盤のそれぞれの表面をサンドブラス
ト処理し、MMA 98重量部およびPDMST 2重量部の混合物
Iを両円盤の表面に塗布した。
混合物Iが乾燥した後、MMA 75重量部、NGP 20重量
部、4−META 5重量部、TBB−O 40重量部およびPMMA 60
重量部の混合物IIを前記混合物Iの両塗膜上に塗布し、
両表面を接着した。
次に実施例1と同様にして剪断接着力を測定した。結
果を表1に示す。
実施例4 直径10mm、厚さ3mmの純チタン円盤および直径6mm、厚
さ3mmの純チタン円盤のそれぞれの表面をサンドブラス
ト処理し、MMA 98重量部およびPDMST 2重量部の混合物
Iを両円盤の表面に塗布した。
混合物Iが乾燥した後、MMA 65重量部、UDMA30重量
部、4−META 5重量部、TBB−O 40重量部およびPMMA 60
重量部の混合物IIを前記混合物Iの両塗膜上に塗布し、
両表面を接着した。
次に実施例1と同様にして剪断接着力を測定した。結
果を表1に示す。
比較例1 直径10mm、厚さ3mmの純チタン円盤および直径6mm、厚
さ3mmの純チタン円盤のそれぞれの表面をサンドブラス
ト処理した。
次にMMA 95重量部、TBB−O 40重量部およびPMMA60重
量部の混合物をサンドブラスト処理したそれぞれの表面
に塗布した後、接着した。
次に実施例1と同様にして剪断接着力を測定した。結
果を表1に示す。
比較例2 直径10mm、厚さ3mmの純チタン円盤および直径6mm、厚
さ3mmの純チタン円盤のそれぞれの表面をサンドブラス
ト処理した。
次にMMA 75重量部、NPG 20重量部、TBB−O 40重量部
およびPMMA 60重量部の混合物をサンドブラスト処理し
たそれぞれの表面に塗布した後、接着した。
次に実施例1と同様にして剪断接着力を測定した。結
果を表1に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 成道 山口県玖珂郡和木町和木6丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−96180(JP,A) 特開 昭62−286467(JP,A) 特開 平3−109307(JP,A) 特開 昭55−137178(JP,A) 特開 昭63−162710(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09J 4/00,4/02,4/06 A61K 6/083,6/00 A61C 13/23

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタネート系カップリング剤(A)、ラジ
    カル重合性単量体(B)、およびトリアルキルボロンま
    たはその部分酸化物(C)を含み、ラジカル重合性単量
    体(B)100重量部に対し、チタネート系カップリング
    剤(A)が0.1〜100重量部、トリアルキルボロンまたは
    その部分酸化物(C)が1〜100重量部配合されている
    ことを特徴とする歯科用チタンまたはその合金用硬化性
    接着剤組成物。
  2. 【請求項2】チタネート系カップリング剤(A)、ラジ
    カル重合性単量体(B)、トリアルキルボロンまたはそ
    の部分酸化物(C)、および酸性基または酸無水物基を
    含有する重合性単量体(D)を含み、ラジカル重合性単
    量体(B)100重量部に対し、チタネート系カップリン
    グ剤(A)が0.1〜100重量部、トリアルキルボロンまた
    はその部分酸化物(C)が1〜100重量部、酸性基また
    は酸無水物を含有する重合性単量体(D)が50重量部以
    下配合されていることを特徴とする歯科用チタンまたは
    その合金用硬化性接着剤組成物。
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