JP2000248201A - 金属・セラミックス兼用プライマー組成物 - Google Patents

金属・セラミックス兼用プライマー組成物

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JP2000248201A
JP2000248201A JP11055317A JP5531799A JP2000248201A JP 2000248201 A JP2000248201 A JP 2000248201A JP 11055317 A JP11055317 A JP 11055317A JP 5531799 A JP5531799 A JP 5531799A JP 2000248201 A JP2000248201 A JP 2000248201A
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JP
Japan
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group
polymerizable
primer composition
polymerizable compound
dental
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Mikio Kimura
幹雄 木村
Masayuki Aizawa
將之 相澤
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 卑金属合金、貴金属合金、及びセラミックス
のいずれに対しても充分な接着性を発現させるプライマ
ーを提供する。 【解決手段】 6−メタクリロイルオキシヘキシル 2
−チオウラシル−5−カルボキシレート等の分子内に少
なくとも1つのラジカル重合性基と硫黄原子とを有する
重合性化合物、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリ
メトキシシラン等のカップリング剤、11−メタクリロ
イルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸等の酸性
基含有重合性化合物、及びメチルメタクリレート等の揮
発性有機溶媒を含有してなることを特徴とする金属・セ
ラミックス兼用プライマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、卑金属合金、貴金
属合金、及びセラミックスのいずれに対しても優れた接
着性を発現させるプライマー組成物に関する。本発明の
プライマー組成物は、金属あるいはセラミックスにレジ
ンを接着する医療、電子材料、精密機械および宝飾等の
多くの分野で利用可能であるが、特に歯科分野において
有用である。
【0002】
【従来の技術】歯科医療において、卑金属合金や貴金属
合金等の金属製あるいはセラミックス製の材料にレジン
セメントや即時重合レジン等の歯科用レジンを接着させ
る際には、その接着性を高めるために各種表面処理剤
(プライマー)が用いられている。
【0003】例えば、鉄、ニッケル、クロム、コバル
ト、スズ、アルミニウム、銅、チタン等の卑金属を主成
分とする卑金属合金製の金属床で義歯を作製をする場
合、該金属床の前処理にはリン酸エステルモノマーやカ
ルボン酸モノマーを含む表面処理剤(卑金属用プライマ
ー)が用いられている。また、金、白金、パラジウム、
銀等を主成分とする貴金属合金製歯冠修復物を接着性レ
ジンを用いて歯牙に接着する場合には、該歯冠修復物の
前処理には、チオリン酸基を有する化合物(特開平1−
138282号公報)、チオリン酸ジクロリド基を有す
る化合物(特開平5−117595号公報)、トリアジ
ンジチオン誘導体(特開昭64−83254号公報)、
メルカプトチアジアゾール誘導体(特開平8−1137
63号公報)、さらにはチオウラシル誘導体(特開平1
0−1409号公報)等の特定の官能基を有する重合性
化合物を含む表面処理剤(貴金属用プライマー)が用い
られている。さらに、歯冠修復物がセラミックス製であ
る場合には、シランカップリング剤を主成分とする表面
処理剤(セラミックス用プライマー)が用いられてい
る。
【0004】このように、従来は、接着の対象とする材
料に応じてその表面処理剤(プライマー)を選び、適切
な前処理を行うことによって、各種材料と歯科用レジン
との接着を可能としていた。
【0005】しかし、臨床上、それぞれの表面処理剤を
使いわけるのは面倒である。例えば、貴金属に焼付され
た陶材(セラミックス)が破折した場合には、往々にし
て破折片を陶材のみならず貴金属とも接着しなければな
らないが、こうした症例では、陶材面にはセラミックス
用プライマーを、貴金属面には貴金属用プライマーを使
用することになり、臨床術式が煩雑であった。このた
め、使用する材質によらずいずれの材質に対しても充分
な接着性を発現させる表面処理剤(プライマー)の開発
が望まれている。
【0006】このような問題を解決するプライマー組成
物として、特開昭63−51308号公報には、(メ
タ)アクリロイル基、ビニル基、メルカプト基およびエ
ポキシ基からなる群から選ばれた官能基を少なくとも1
個有するシランカップリング剤と分子内に少なくとも1
個のラジカル重合可能なオレフィン性二重結合を有する
酸性型有機リン化合物を構成要素とする歯科用接着性組
成物が、また特開平2−152915号には、分子中に
SH基を有する化合物、シランカップリング剤及び酸性
成分(重合性ピロリン酸エステル誘導体等)を含有する
ことを特徴とする歯科接着用組成物が開示されている。
【0007】しかしながら、上記の特開昭63−513
08号公報に開示されている組成物や特開平2−152
915号公報に開示されている組成物は、何れも卑金属
合金やセラミックスに対しては良好な接着性を示すもの
の、貴金属合金に対する接着性は充分なものではなかっ
た。
【0008】一般に、一部破損した歯科材料を修復する
場合、使用している金属の材質が分からないことが多い
が、このような場合に、表面処理剤(プライマー)の種
類を誤ると充分な接着力が得られないことがある。例え
ば、貴金属合金を使用している歯科材料の修復に上記の
プライマーを使用した場合には、充分な接着性が得られ
ないことになる。このように、卑金属合金、貴金属合
金、及びセラミックスのいずれに対しても優れた接着性
を発現させるプライマー組成物の開発が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、卑金属合金、貴金属合金、およびにセラミックスの
いずれに対しても充分な接着性を発現させるプライマー
組成物を見い出すことである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討を行った結果、分子内に少な
くとも1つのラジカル重合性基と硫黄原子とを有する重
合性化合物、カップリング剤、酸性基含有重合性単量
体、及び揮発性有機溶媒を含有するプライマー組成物
が、卑金属合金、貴金属合金、及びセラミックスのいず
れに対しても充分な接着性を発現させることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明は、(A)分子内に少なくと
も1つのラジカル重合性基と硫黄原子とを有する重合性
化合物、(B)カップリング剤、(C)酸性基含有重合
性単量体、及び(D)揮発性有機溶媒を含有してなるこ
とを特徴とする金属・セラミックス兼用プライマー組成
物である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用する(A)分子内に
少なくとも1つのラジカル重合性基と硫黄原子とを有す
る重合性化合物(以下、化合物Aともいう。)は、分子
内に少なくとも1つのラジカル重合性基と硫黄原子とを
含有しているものであれば特に限定されず、下記一般式
で示される化合物が使用できる。
【0013】すなわち、下記一般式A1〜A5に示され
る互変異性によりメルカプト基を生じ得る重合性化合
物;下記一般式A6に示される=P(=S)基を有する
化合物;下記一般式A7〜A10に示されるジスルフィ
ド化合物;下記一般式A11〜A12に示される鎖状若
しくは環状のチオエーテル化合物等が挙げられる。
【0014】
【化1】
【0015】{式中、R1は水素原子またはメチル基で
あり、R2は炭素数1〜12の2価の飽和炭化水素基、
−CH2−C64−CH2−基、−(CH2O−Si(C
32−O−Si(CH32−(CH2P−基(但し、
o及びpはそれぞれ1〜5の整数である。)、又は−C
2CH2OCH2CH2−基であり、Zは−OC(=O)
−基、−OCH2−基、又は−OCH2−C64−基であ
り(但し、これらいずれの基Zにおいても右端の炭素原
子は不飽和炭素に結合し、左端の酸素原子は基R2に結
合している。)、Z’は−OC(=O)−基(但し、右
端の炭素原子が不飽和炭素に結合し、左端の酸素原子が
基R2に結合している。)、−C64−基、又は結合手
であり(ここで、基Z’が結合手の場合とは基R2と不
飽和炭素が直接結合した状態をいう。)、Yは−S−、
−O−、−N(R’)−であり(R’は水素原子、又は
炭素数1〜5のアルキル基である。)、XはOH、又は
Clである。} これら化合物Aを具体的に例示すれば、前記一般式A1
〜A5に示される互変異性によりメルカプト基を生じ得
る重合性化合物、及び一般式A6に示される=P(=
S)基を有する化合物としては、次に示す化合物が挙げ
られる。
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】また、前記一般式A7〜A10に示される
ジスルフィド化合物としては、次に示す化合物等が挙げ
られる。
【0020】
【化5】
【0021】さらに、前記一般式A11〜A12に示さ
れる鎖状若しくは環状のチオエーテル化合物としては、
次に示す化合物等が挙げられる。
【0022】
【化6】
【0023】化合物Aは、1種又は2種以上を組み合わ
せて使用することもできる。
【0024】化合物Aとしては、これらの中でも、プラ
イマー組成物としたときの保存安定性の観点から、互変
異性によりメルカプト基を生じ得る重合性化合物、又は
ジスルフィド化合物が好適に用いられ、さらに接着強度
の観点から互変異性によりメルカプト基を生じ得る重合
性化合物が最も好適に使用される。
【0025】本発明のプライマー組成物において、化合
物Aの濃度は特に限定されないが、接着強度の観点か
ら、プライマー組成物全体の重量を基準として0.00
1〜20重量%の範囲内であることが好適である。化合
物Aとして上記互変異性によりメルカプト基を生じ得る
重合性化合物を用いた場合の、さらに好ましい濃度範囲
は、0.005〜10重量%である。
【0026】本発明に使用する(B)カップリング剤と
しては公知のものが制限なく使用できる。この様なカッ
プリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメ
チルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビ
ニルトリス(β−メトキエトキシ)シラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキ
シ)シラン、κ−メタクリロキシデシルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロ
キサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−
クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フ
ェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノ
エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリ
エトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等のシランカ
ップリング剤類;イソプロピルトリイソステアロイルチ
タネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、
イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、
イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネー
ト、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネ
ート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート等の
チタネート系カップリング剤類;アセトアルコキシアル
ミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップ
リング剤類等が挙げられる。
【0027】これらカップリング剤のなかでも、特に、
接着性及び取扱い性の観点から重合基を有するシランカ
ップリング剤が好適に使用される。
【0028】好適に使用される重合基を有するシランカ
ップリング剤を具体的に例示すると、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン、ω−メタク
リロキシデシルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルペンタメチルジシロキサン等が挙げられる。
【0029】上記のカップリング剤は1種又は2種以上
を組み合わせて使用することもできる。
【0030】本発明のプライマー組成物において、かか
るカップリング剤の濃度は特に限定されないが、接着強
度の観点から、プライマー組成物全体の重量を基準とし
て0.01〜20重量%の範囲内であることが好適であ
る。上記カップリング剤濃度のさらに好ましい濃度範囲
は、0.05〜10重量%である。
【0031】本発明で使用される(C)酸性基含有重合
性化合物としては、1分子中に少なくとも1つの酸性基
と少なくとも1つの重合性不飽和基を持つ重合性化合物
であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることが
できる。ここで、酸性基とは、ホスフィニコ基{=P
(=O)OH}、ホスホノ基{−P(=O)(O
H)2}、カルボキシル基{−C(=O)OH}、スル
ホ基(−SO3H)、及び酸無水物骨格{−C(=O)
−O−C(=O)−}を有する有機基等の水溶液中で酸
性を示す基を意味する。
【0032】(C)酸性基含有重合性化合物としては、
接着強度の観点から、下記一般式(1)又は(2)で示
される化合物が好適に使用できる。
【0033】
【化7】
【0034】{式中、R3及びR’3はそれぞれ独立に水
素原子またはメチル基を表し、W及びW’はそれぞれ独
立にオキシカルボニル基(−COO−)、アミド基(−
CONH−)、またはフェニレン基(−C64−)を表
し、R4及びR’4はそれぞれ独立に結合手、またはエー
テル結合および/或いはエステル結合を有していてもよ
い炭素数1〜30の2〜6価の有機残基を表し、W、
W’がオキシカルボニル基又はアミド基の場合にはR4
は結合手にはならず、Xは1価又は2価の酸性基を表
し、m及びm’はそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、
m+nはR4の価数を表し、m’+n’はR’4の価数を
表す。} 上記一般式(1)及び(2)中、Xは前記定義に従う酸
性基であれば、その構造は特に限定されることはない
が、好ましい具体例は次の通りである。
【0035】
【化8】
【0036】上記一般式(1)及び(2)中、R4の構
造は特に制限されることはなく、結合手、または公知の
エーテル結合および/或いはエステル結合を有してもよ
い炭素数1〜30の2〜6価の有機残基が採用され得る
が、具体的に例示すると次の通りである。尚、R4が結
合手の場合とは基Wと基Xが直接結合した状態をいい、
Wがオキシカルボニル基またはアミド基の場合にはR4
は結合手とはならない。
【0037】
【化9】
【0038】(式中、m1、m2、及びm3はそれぞれ
独立に0〜10の整数であり、かつm1+m2+m3は
1以上である。) 一般式(1)及び(2)で表される酸性基含有重合性化
合物の好ましい具体例を挙げると次の通りである。
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】(式中、l、m、及びnはそれぞれ独立に
0〜2の整数である。なお、式中、最下段の化合物は、
l、m、及びnがそれぞれ異なる化合物として得られる
ことが多く、該混合物におけるl、m、及びnの和の平
均は3.5である。)
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】(但し、R3は水素原子またはメチル基で
ある。) その他、ビニルホスホン酸類や、アクリル酸、メタクリ
ル酸、ビニルスルホン酸等も(C)酸性基含有重合性化
合物に含まれる。
【0045】上記の(C)酸性基含有重合性化合物は1
種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0046】本発明のプライマー組成物において、かか
る(C)酸性基含有重合性化合物の濃度は特に限定され
ないが、接着強度の観点から、プライマー組成物全体の
重量を基準として0.1〜15重量%の範囲内であるこ
とが好適である。上記カップリング剤濃度のさらに好ま
しい濃度範囲は、0.5〜10重量%である。
【0047】本発明で使用する(D)揮発性有機溶媒
は、上記(A)分子内に少なくとも1つのラジカル重合
性基と硫黄原子とを有する重合性化合物、(B)カップ
リング剤、及び(C)酸性基含有重合性化合物を溶解
し、室温で揮発性を有するものであれば、一般の有機溶
剤あるいは重合性単量体が何等制限なく使用できる。
【0048】本発明で好適に使用できる上記有機溶剤を
具体的に例示すれば、メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチルエーテ
ル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエー
テル類;酢酸エチル、蟻酸エチル等のエステル類;トル
エン、キシレン、ベンゼン等の芳香族系溶媒;ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のハイドロカーボ
ン系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジク
ロロエタン等の塩素系溶媒;トリフルオロエタノール等
のフッ素系溶媒等が挙げられる。これらの中で、溶解性
および保存安定性等の理由で、アセトン、トルエン、エ
タノール等が特に好ましく使用される。
【0049】また、本発明で有機溶媒として好適に使用
できる重合性単量体は、例えばラジカル重合性を示すも
のである。好適に使用できる重合性単量体を具体的に例
示すれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート
等の重合性の高いアクリルまたはメタクリル系重合性単
量体が挙げられる。
【0050】上記の有機溶媒は1種又は2種以上を組み
合わせて使用することもできる。
【0051】本発明のプライマー組成物において、かか
る(D)揮発性有機溶媒の濃度は特に限定されないが、
溶解性及び接着強度の観点から、プライマー組成物全体
の重量を基準として50〜99重量%の範囲内であるこ
とが好適である。上記揮発性有機溶媒濃度のさらに好ま
しい濃度範囲は、70〜98重量%である。
【0052】本発明の金属・セラミックス兼用プライマ
ー組成物において、保存安定性及び接着強度の観点か
ら、化合物(A)として互変異性によりメルカプト基を
生じ得る重合性化合物を使用し、(B)カップリング剤
として重合基を有するシランカップリング剤を使用し、
(C)酸性基含有重合性化合物として前記一般式(1)
又は(2)で示される化合物を使用し、(D)揮発性有
機溶剤としてアセトン、トルエン、メチルメタクリレー
トを使用するのが特に好適である。
【0053】また、本発明の金属・セラミックス兼用プ
ライマー組成物には接着力を低下させない範囲で必要に
応じて、重合触媒あるいは助触媒を添加することもでき
る。
【0054】添加可能な重合触媒及び助触媒としては、
ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド
等のジアシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド、ジターシャルブチルパーオキサイド等のジアルキル
パーオキサイド等の有機過酸化物系重合触媒;5−ブチ
ル(チオ)バルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニ
ル(チオ)バルビツール酸等の(チオ)バルビツール酸
系重合触媒;カンファーキノン、アセチルベンゾイル等
のα−ジケトン;ベンゾインエチルエーテル等のベンゾ
インアルキルエーテル;2−クロロチオキサンソン、メ
チルチオキサンソン等のチオキサンソン誘導体;ベンゾ
フェノン、P、P’−メトキシベンゾフェノン等のベン
ゾフェノン誘導体等の光重合触媒;及びN,N−ジメチ
ル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチ
ル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の
アミン助触媒等が挙げられる。これら重合触媒および助
触媒は、1種又は必要に応じて2種以上を組合せて添加
することができる。
【0055】更に必要に応じて、ハイドロキノンモノメ
チルエーテル、ハイドロキノン、4−ターシャルブチル
フェノール等の重合禁止剤を添加することもできる。
【0056】本発明のプライマー組成物において、全成
分が必ずしも同一包装中に存在する必要はなく、例え
ば、前記(A)分子内に少なくとも1つのラジカル重合
性基と硫黄原子とを有する重合性化合物、(B)カップ
リング剤、(D)揮発性有機溶媒からなる溶液と、
(C)酸性基含有重合性化合物、(D)揮発性有機溶媒
からなる溶液を別個に包装し、使用時に混合することも
できる。
【0057】本発明のプライマーの使用方法は特に限定
されないが、金属あるいはセラミックスとレジン等を良
好に接着するためには、本発明の金属・セラミックス兼
用プライマー組成物を金属表面あるいはセラミクッス表
面に塗布した後、該塗布面に重合性組成物を盛って、次
いで該重合性組成物を硬化させる方法が好適に採用でき
る。
【0058】上記方法において、金属あるいはセラミッ
クスとの接着に用いられる重合性組成物としては、公知
の重合性組成物が何等制限なく使用できるが、重合性、
採り扱い易さ等を考慮すると、重合開始触媒を含んだア
クリルまたはメタクリル系重合性単量体を主体とするも
のが好適である。歯科で一般的に用いられている重合性
組成物、例えば義歯床用レジン、即時重合レジン、硬質
レジン、コンポジットレジン、レジンセメント等は、ア
クリルまたはメタクリル系重合性単量体と重合開始剤を
必須成分として含んでいるので好適に使用することがで
きる。
【0059】アクリルまたはメタクリル系重合性単量体
の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、メタクリロキシエチルプロピオネー
ト等の単官能重合性単量体;トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(3−(メ
タ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アク
リロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、1,6−
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルヘキ
サメチレンジイソシアネート、ペンタエリスリトールト
リ(メタ)アクリレート等の多官能重合性単量体;4−
メタクリロキシエトキシカルボニルフタル酸無水物、1
0−メタクリロキシデシルジハイドロジエンホスフェー
ト、10−メタクリロキシデカメチレンマロン酸等の接
着性重合性単量体等が挙げられる。これらは、所望され
る物性や操作性に応じて1種又は2種以上の組合せで使
用される。
【0060】重合開始剤の具体例としてはベンゾイルパ
ーオキサイド/N,N−ジエタノール−P−トルイジン
の様なレドックス系開始剤;トリブチルボランの部分酸
化物等のアルキル金属化合物;n−ブチルバルビツール
酸/塩化銅のようなバルビツール酸系開始剤;カンファ
ーキノン/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト等の光重合開始触媒を挙げることができる。
【0061】
【実施例】次に、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるもので
はない。なお、以下の実施例及び比較例で使用した化合
物、および各プライマー組成物の評価方法は次の通りで
ある。
【0062】(1)構造と略号 以下に使用した化合物の構造と略号を記す。
【0063】
【化14】
【0064】
【化15】
【0065】(2)歯科用貴金属合金、セラミックスに
対する接着強さ 被着体である歯科用金−銀−パラジウム合金「金パラ1
2」(トーワ技研社製10×10×3mm)、歯科用陶
材「ジーセラコスモテックII」(ジーシー社製10×1
0×3mm)をそれぞれ#1500の耐水研磨紙で磨い
た後にサンドブラスト処理し、その処理面に接着面積を
固定するために3mmφの穴を開けた接着テープを貼り
付けた。この面に実施例または比較例のプライマー組成
物をそれぞれ筆で塗布し、溶媒を風乾させた。1分後、
プライマー処理面に歯科用接着剤「ビスタイトレジンセ
メント」(トクヤマ製)の練和ペーストを盛り上げた。
次いで、あらかじめサンドブラスト処理を行った8mm
φ×18mmのSUS304製丸棒を接着面に押しつけ
て接着を行った。余剰のセメントを除去し、1時間後に
接着試験片を37℃水中に浸漬した。24時間後、島津
製作所製オートグラフ(クロスヘッドスピード1mm/
分)を用いて引張接着強さを測定した。各々6個の試験
片の測定値を平均し、測定結果とした。
【0066】(2)歯科用卑金属合金に対する接着強さ 被着体である歯科用コバルト−クロム合金「ワクロー
ム」(トーワ技研社製10×10×3mm)を#150
0の耐水研磨紙で磨いた後にサンドブラスト処理し、そ
の処理面に接着面積を固定するために3mmφの穴を開
けた接着テープを貼り付けた。この面に実施例または比
較例のプライマー組成物をそれぞれ筆で塗布し、溶媒を
風乾させた。その後、6mmφの開いた厚さ10mmの
歯科用パラフィンワックスを接着テープと同心円上に貼
り付け、ワックス内に歯科用即時重合レジン「キュアフ
ァスト」(トクヤマ製)の練和ペーストを填入した。そ
の上にポリエチレンフィルムを覆せ、裏返して圧をかけ
て径内に隙間なく填入した。1時間後に接着試験片を3
7℃水中に浸漬した。24時間後、フィルムとワックス
を除去し、#1500の研磨紙で硬化したレジンの表面
を平に磨いた。その後、8mmφ×18mmのSUS3
04製丸棒を研磨したレジン表面にアロンアルファで取
り付けた。島津製作所製オートグラフ(クロスヘッドス
ピード1mm/分)を用いて引張接着強さを測定した。
各々6個の試験片の測定値を平均し、測定結果とした。
【0067】実施例1 0.04gのMTU−6、0.2gのA−174、0.
5gのPM2、及び9.26gのMMAから成るプライ
マー組成物を調製し、歯科用貴金属合金「金パラ1
2」、歯科用卑金属合金「ワクローム」及び歯科用陶材
「ジーセラコスモテックII」に対する接着強度を測定し
た。その結果、「金パラ12」に対し28MPa、「ワ
クローム」に対し25MPa、「ジーセラコスモテック
II」に対し27MPaの高い接着強さを得た。
【0068】実施例2〜30 実施例1と同様に表1及び表2に示す組成のプライマー
組成物を調製した。歯科用貴金属合金「金パラ12」、
歯科用卑金属合金「ワクローム」及び歯科用陶材「ジー
セラコスモテックII」に対する接着強度を測定した。そ
の結果、表1及び表2に示したように、いずれの組成に
おいても高い接着強さが得られた。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】比較例1〜3 実施例1と同様に表3に示すプライマー組成物を調製
し、歯科用貴金属合金「金パラ12」、歯科用卑金属合
金「ワクローム」及び歯科用陶材「ジーセラコスモテッ
クII」に対する接着強度を測定した。
【0072】
【表3】
【0073】その結果、表3に示したように、硫黄原子
含有重合性化合物を添加しなかった例(比較例1)で
は、歯科用貴金属合金である「金パラ12」に対する接
着強さが低下した。さらに、カップリング剤を添加しな
かった場合(比較例2)では、歯科用陶材である「ジー
セラコスモテックII」に対する接着強さが低下した。酸
性基含有重合性化合物を添加しなかった例(比較例3)
では、歯科用卑金属合金である「ワクローム」に対する
接着強さが低下した。また、有機溶媒を添加しなかった
例(比較例4)では、プライマーが均一な溶液とならな
かったため、接着試験が不可能であった。
【0074】
【発明の効果】本発明の金属・セラミックス兼用プライ
マー組成物を用いることにより、金属(卑金属合金及び
貴金属合金の両方)、並びにセラミックスいずれの材料
に対しても簡単な前処理で各種歯科用レジン等の接着性
を向上させることができる。例えば、貴金属に焼付され
た陶材(セラミックス)が破折した場合には、破折片の
金属及びセラミックス面を区別すること無く該プライマ
ー処理することにより、レジンに対する接着性を向上さ
せることが可能であり、臨床術式の簡略化にもつなが
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)分子内に少なくとも1つのラジカ
    ル重合性基と硫黄原子とを有する重合性化合物、(B)
    カップリング剤、(C)酸性基含有重合性化合物、及び
    (D)揮発性有機溶媒を含有してなることを特徴とする
    金属・セラミックス兼用プライマー組成物。
  2. 【請求項2】 (A)分子内に少なくとも1つのラジカ
    ル重合性基と硫黄原子とを有する重合性化合物が互変異
    性によりメルカプト基を生じ得る重合性化合物である請
    求項1記載の金属・セラミックス兼用プライマー組成
    物。
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