JP2809104B2 - 組込み式チャイルドシート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はベンチ型の車両用シート
（以下ベンチシートと言う）に引出し可能に格納して設
けられ、幼児等を着座させて拘束保護するために用いて
好適な組込み式チャイルドシートに関し、特に幼児等を
安定して着座させて拘束保護することが可能で、且つア
ームレストとして利用可能な組込み式チャイルドシート
に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば特開昭５６−２８０２３号公報、
及び実開昭５７−９２５４３号公報には、自動車の後部
座席に用いられるベンチ型の車両用シートにおいて、シ
ートバック中央部分のアームレスト付設個所等に、折畳
み式のチャイルドシートを格納、引出し可能に設けた構
造が開示されている。

【０００３】このような構造によれば、チャイルドシー
トが車両用シートに常備され、従来一般的であった別体
構造による独立型で且つ成人用シートベルト等で保持固
定されるようなチャイルドシートに比べ、構造が簡単
で、使い易く、しかも安定感を持って使用でき、また不
使用時の保管等の問題もない等の利点を奏するものであ
った。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来の折畳み式のチャイルドシートにあっては、シート
クッション部において自動車の旋回走行時等に生じる横
方向への揺動（横Ｇ）の影響を阻止できる対策は講じら
れていない。そして、このような構成では、例えばチャ
イルドシート部に着座している幼児等の足が左右に不安
定となり、安定性に欠ける等の問題を有していた。

【０００５】更に、シートバック中央部分のアームレス
ト付設個所等に、折畳み式のチャイルドシートを格納、
引出し可能に設けた場合には、アームレストを付設する
部分がなくなり、アームレストを利用することができな
いという問題もあった。

【０００６】また実開昭５７−９２５４３号公報には、
子供用シートをアームレストと兼用する構成が示されて
いるが、もたれ枠が子供用シートの外側に設けられてい
るので、シートバックの左右の大人の着座位置が狭めら
れる欠点を有していた。

【０００７】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、ベンチシート中央部に簡易型構造によるチ
ャイルドシートを引出し可能に組込み、且つ必要時に引
出して使用可能とし得ると共に、使用時において幼児の
拘束保護にあたっての安定性を確保でき、またチャイル
ドシートの不使用時にアームレストとして使用すること
ができ、シートバックの左右の大人の着座位置が狭めら
れる虞れのない組込み式チャイルドシートを得ることを
目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上述せる課題に
鑑みてなされたもので、本発明の請求項１に記載の組込
み式チャイルドシートは、ベンチ型の車両用シートにお
けるシートバックの凹所部分に格納、引出し可能な状態
で組込み配置される組込み式チャイルドシートにおい
て、前記チャイルドシートは、常時は前記シートバック
の凹所内に格納されると共に、下端枢支部により引出さ
れて前記車両用シートのシートクッション上に載置され
ることにより腰掛け部となるクッション体と、このクッ
ション体の引出し時に背もたれ部となる前記シートバッ
クの凹所内での側壁部とによって構成され、前記シート
バックの凹所内での側壁部が上下方向に摺動可能に支持
され、前記クッション体が前方に引出されてアームレス
トとして使用することができるようになされていること
を特徴とする。

【０００９】また、本発明に係る組込み式チャイルドシ
ートは、シートバックの凹所内から引出されるクッショ
ン体の前端側に、幼児の腹部をホールド可能に起立され
る略Ｔ字状の胸当てパッド部を回転ヒンジを介して回動
可能に設けているものである。

【００１０】

【作用】本発明によれば、ベンチシートのシートバック
での凹所から、チャイルドシートを構成するクッション
体を引出し、シートクッション上に載置することによ
り、シートバックの凹所内での側壁部を背もたれ部と
し、クッション体を腰掛け部としたチャイルドシートを
得ることができる。また、本発明によれば、クッション
体の前端側に、胸当てパッド部を回転ヒンジを介して回
動可能に設けており、これにより幼児の安定したホール
ド保持状態を得ることができ、また胸当てパッド部を回
動させずにそのままアームレストとして使用することが
できる。

【００１１】また、シートバックの凹所内での側壁部が
上下方向に摺動可能に支持され、クッション体を前方に
引出し、チャイルドシートを形成する際に、チャイルド
シートの背もたれ部となる側壁部を上方向に摺動させる
ことにより、背もたれ部を最適な位置に移動させること
ができる。

【００１２】

【実施例】図１乃至図６は本発明に係る組込み式チャイ
ルドシートの一実施例を示し、これらの図において、符
号１は車両のリアシートとして用いられるベンチシー
ト、２はそのシートクッション、３はシートバックであ
る。

【００１３】さて、本発明に係る組込み式チャイルドシ
ート１０によれば、図１乃至図３から明らかなように、
ベンチシート１のシートバック３の一部、この実施例で
は中央部に凹所４を設け、且つこの凹所４内に格納、引
出し可能な状態で組込み配置されている。

【００１４】そして、組込み式チャイルドシート１０
は、常時はシートバック３の凹所４内に格納されると共
に、下端枢支部６により引出されてベンチシート１のシ
ートクッション２上に載置されることにより腰掛け部１
１ａとなるクッション体１１と、このクッション体１１
の引出し時に背もたれ部となるシートバック３の凹所４
内での側壁部４ａとによって構成されている。

【００１５】このような構成によれば、簡単な構成であ
るにもかかわらず、ベンチシート１のシートバック３で
の凹所４から、チャイルドシート１０を構成するクッシ
ョン体１１を引出して前に倒し、シートクッション２上
に載置するだけで、シートバック３の凹所４内での側壁
部４ａを背もたれ部とし、クッション体１１の腰掛け部
１１ａを腰掛け部としたチャイルドシート１０を得るこ
とができる。

【００１６】しかも、このようなチャイルドシート１０
は、凹所４の両側部４ｂ，４ｂもホールド機能が得られ
るようになされ、揺れに対する安定感を向上させること
ができる。

【００１７】また、本発明によれば、シートバック３の
凹所４内から引出されるクッション体１１の前端側に、
幼児の腹部をホールド可能に起立回動される略Ｔ字状の
胸当てパッド部１５を、回転ヒンジ１６を介して一体的
にしかも回動可能に設けている。

【００１８】前記クッション体１１の腰掛け部１１ａと
胸当てパッド部１５とを一体に引出した状態で、クッシ
ョン体１１の腰掛け部１１ａと胸当てパッド部１５の上
面が同一平面を形成するように、腰掛け部１１ａの厚さ
Ｌが胸当てパッド部１５の厚さＬ１より大きく形成され
ている。

【００１９】前記クッション体１１の前端側中央に凹状
切欠部１３が形成され、略Ｔ字状の胸当てパッド部１５
の下端１５ａが前記凹状切欠部１３に嵌合され、下端１
５ａが凹状切欠部１３の下部で回転ヒンジ１６により枢
支されている。

【００２０】特に、このような構造では、クッション体
１１に回転ヒンジ１６を介して軸支され且つシートバッ
ク３側からのベルト２０，２０の差込み口１７，１７を
有する胸当てパッド部１５によって、それ自身、更にこ
れによりホールドされる幼児の前後方向の揺れを少なく
でき、幼児の姿勢に安定感を持たせることができる。
尚、ベルト２０，２０の先端には差込み口１７，１７へ
の装着用タング１８，１８が設けられている。

【００２１】更に、幼児の成長に伴なうベルトの高さ調
整手段２２を、図１から明らかなように付設することに
より、使い勝手のよい組込み式のチャイルドシートを得
ることができる。即ち、図中２２ａ，２２ａはベルトの
高さ調整手段２２を構成するシートバック凹所４の側壁
部４ａに複数段に連続形成されているベルト２０，２０
の引出し高さ位置調整用溝である。

【００２２】また、ベルト２０，２０の引出し長さ調整
を行なうレバー部が設けられ、シートバック３内でロー
ル式ベルト収納箱から引出されるベルト２０の長さを適
宜の位置でロックするロック機構を操作可能に構成され
ているが、その詳細な説明は省略する。

【００２３】シートバック３の凹所４の側部４ｂには、
図２に示す如く、ブラケット２４が設けられ、このブラ
ケット２４は前記下端枢支部６を中心として回動可能に
設けられている。前記ブラケット２４には前記下端枢支
部６を中心とする円弧状溝２４ａが形成され、この円弧
状溝２４ａにクッション体１１の側部に固着されたピン
２６が挿入されている。

【００２４】前記ブラケット２４の前記円弧状溝２４ａ
が形成された側とは反対側の後端に、上方に突出するア
ーム部２４ｂが形成され、このアーム部２４ｂに側壁部
４ａの下端がピン２７により枢支されている。また図３
に平面で示す如く、側壁部４ａの両側端部はシートバッ
ク３の凹所４の側部４ｂに形成されたガイド溝４ｃに嵌
合し、上下方向に摺動可能に支持されている。

【００２５】また、側壁部４ａの背面側に水平方向に延
びるロック溝４ｅが形成され、シートバック３の凹所４
の側壁部４ａと対向する側にロック用ワイヤ２９が設け
られている。また、側壁部４ａの上端にはヘッドレスト
４ｄが形成され、このヘッドレスト４ｄがラチェット機
構またはフリクション機構により前後に回動調節可能に
なされている。

【００２６】従って、前記クッション体１１の腰掛け部
１１ａと胸当てパッド部１５とを一体に引出した状態
で、クッション体１１の腰掛け部１１ａと胸当てパッド
部１５の上面が同一平面を形成しているので、アームレ
ストとして簡易に利用することができる。

【００２７】また、図２に示す如く、クッション体１１
を引出すと、クッション体１１の側部に固着されたピン
２６がブラケット２４を前記下端枢支部６を中心として
回動させ、ブラケット２４のアーム部２４ｂが側壁部４
ａをピン２７を介して上昇させ、この側壁部４ａの上昇
位置で、側壁部４ａの背面側のロック溝４ｅにシートバ
ック３の凹所４側のロック用ワイヤ２９が係止されるよ
うになされている。

【００２８】尚、本発明は上述した実施例構造に限定さ
れず、シートバック３の凹所４の側壁部４ａの形状や大
きさ、及びクッション体１１の形状等適宜変更すること
ができ、例えば、クッション体１１が胸当てパッド部１
５の上端より長く形成され、アームレストとして利用で
きる範囲が長く形成されているが、胸当てパッド部１５
の上端位置でクッション体１１が終了する大きさであっ
てもよく、その他各部の形状、構造等を、必要に応じて
適宜変形、変更することは自由で、種々の変形例が考え
られよう。

【００２９】

【発明の効果】以上が本発明に係る組込み式チャイルド
シートの一実施例の構成であるが、本発明の請求項１に
記載の組込み式チャイルドシートによれば、ベンチ型の
車両用シートにおけるシートバックの凹所部分に格納、
引出し可能な状態で組込み配置される組込み式チャイル
ドシートにおいて、前記チャイルドシートは、常時は前
記シートバックの凹所内に格納されると共に、下端枢支
部により引出されて前記車両用シートのシートクッショ
ン上に載置されることにより腰掛け部となるクッション
体と、このクッション体の引出し時に背もたれ部となる
前記シートバックの凹所内での側壁部とによって構成さ
れ、前記シートバックの凹所内での側壁部が上下方向に
摺動可能に支持され、前記クッション体が前方に引出さ
れてアームレストとして使用することができるようにな
されているので、ベンチシートのシートバックでの凹所
から、チャイルドシートを構成するクッション体を引出
し、シートクッション上に載置することにより、シート
バックの凹所内での側壁部を背もたれ部とし、クッショ
ン体を腰掛け部としたチャイルドシートを簡易に得るこ
とができる。

【００３０】また、本発明に係る組込み式チャイルドシ
ートは、シートバックの凹所内から引出されるクッショ
ン体の前端側に、幼児の腹部をホールド可能に起立され
る略Ｔ字状の胸当てパッド部を、回転ヒンジを介して回
動可能に設けているので、幼児の安定したホールド状態
を得ることができる。

【００３１】また、シートバックの凹所内での側壁部が
上下方向に摺動可能に支持され、クッション体を前方に
引出しチャイルドシートを形成する際に、チャイルドシ
ートの背もたれ部となる側壁部を上方向に摺動させるこ
とにより、背もたれ部を最適な位置に移動させることが
できる。

【００３２】また、チャイルドシートの不使用時に、ク
ッション体を前方に引出し、胸当てパッド部を上方に回
動させずにそのままアームレストとして使用することが
でき、シートバックの左右の大人の着座位置を狭める虞
れのない組込み式チャイルドシートを得ることができ
る。

【００３３】更に、幼児の成長に伴なうベルトの高さ調
整手段を付設することにより、使い勝手のよい組込み式
のチャイルドシートを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る組込み式チャイルドシートの一実
施例を示し、ベンチ型車両用シートの組込み式チャイル
ドシートの使用状態を示す概略斜視図。

【図２】本発明に係る組込み式チャイルドシートの一部
断面側面図。

【図３】本発明の組込み式チャイルドシートのシートバ
ックの水平断面図。

【図４】本発明の組込み式チャイルドシートの収納状態
を示す側面説明図。

【図５】本発明の組込み式チャイルドシートのクッショ
ン体を前方に引出している状態を示す側面説明図。

【図６】本発明の組込み式チャイルドシートの使用状態
を示す側面説明図。

【符号の説明】

１ ベンチ型車両用シート（ベンチシート） ２ シートクッション ３ シートバック ４ 凹所 ４ａ 凹所内の側壁部 ４ｂ 凹所の側部 ４ｃ ガイド部 ４ｄ ヘッドレスト ４ｅ ロック溝 ６ 枢支部 １０ 組込み式チャイルドシート １１ クッション体 １１ａ 腰掛け部 １５ 胸当てパッド部 １６ 回転ヒンジ １７ ベルト差込み口 １８ タング ２０ ベルト ２２ ベルトの高さ調整手段 ２４ ブラケット ２４ａ 円弧状溝 ２６ ピン ２７ ピン ２９ ロック用ワイヤ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベンチ型の車両用シートにおけるシート
   バックの凹所部分に格納、引出し可能な状態で組込み配
   置される組込み式チャイルドシートにおいて、 前記チャイルドシートは、常時は前記シートバックの凹
   所内に格納されると共に、下端枢支部により引出されて
   前記車両用シートのシートクッション上に載置されるこ
   とにより腰掛け部となるクッション体と、 このクッション体の引出し時に背もたれ部となる前記シ
   ートバックの凹所内での側壁部とによって構成され、 前記シートバックの凹所内での側壁部が上下方向に摺動
   可能に支持され、前記クッション体が前方に引出されて
   アームレストとして使用することができるようになされ
   ていることを特徴とする組込み式チャイルドシート。
2. 【請求項２】 請求項１記載の組込み式チャイルドシー
   トにおいて、 シートバックの凹所内から引出されるクッション体の前
   端側には、幼児の腹部をホールド可能に起立される略Ｔ
   字状の胸当てパッド部が、回転ヒンジを介して回動可能
   に設けられていることを特徴とする組込み式チャイルド
   シート。