JP2806429B2 - 弾性表面波コンボルバ - Google Patents

弾性表面波コンボルバ

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は弾性表面波コンボルバに関し、特にいわゆる
セルフコンボリューションが抑圧され効率の向上せしめ
られた弾性表面波コンボルバに関する。
[従来の技術及び発明が解決しようとする課題] 第4図は、「中川他,電子通信学会論文誌'86/2,Vol.
J69−c,No.2,pp190〜198」に記載されている、従来の弾
性表面波コンボルバの構成を示す概略平面図である。
第4図において、1は圧電基板であり、2,3は該基板
1の表面上にx方向に適宜距離隔てて対向配置され形成
されている1対の弾性表面波励振用櫛型電極である。4
−1,4−2,4−3,・・・・・,4−nはこれら電極2,3間に
おいてx方向に延びて互いに平行に基板1の表面に形成
されている導波路である。また、5は基板1の表面上に
上記導波路からy方向に適宜距離隔てて配置され形成さ
れている音響電気変換器である。該音響電気変換器は櫛
型電極からなる。
この弾性表面波コンボルバにおいて、入力用櫛型電極
2,3に対し角周波数ωの電気信号を入力すると、該周波
数の弾性表面波が励振され、該弾性表面波は導波路4−
1〜4−nをx軸方向に互いに反対向きに伝搬し、該導
波路にてパラメトリック・ミキシング現象によりy軸方
向に伝搬する角周波数2ωの弾性表面波が発生する。こ
の弾性表面波が音響電気変換器5に到達し、ここで上記
2つの入力信号のコンボリューション電気信号を得るこ
とができる。
しかしながら、上記従来の弾性表面波コンボルバで
は、櫛型電極2,3のうちの一方で励振された弾性表面波
は導波路を伝搬して他方の櫛型電極に到達し、ここで該
信号の一部が反射せしめられて再び導波路を反対向きに
伝搬し、この信号と上記反射前の信号とが重畳していわ
ゆるセルフコンボリューション信号を生じ、コンボルバ
としての特性が劣化し、更に効率も十分に良好とはいえ
ない。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、セ
ルフコンボリューションが抑圧され特性が良好であり且
つ高効率の弾性表面波コンボルバを提供することを目的
とする。
[課題を解決するための手段] 本発明によれば、以上の如き目的は、 圧電基板に、弾性表面波を励振する少なくとも1対の
励振電極と、該励振電極により励振された弾性表面波を
互いに反対向きに伝搬させる導波路と、該導波路にて発
生し上記弾性表面波の進行方向を横切る方向に伝搬する
弾性表面波を電気信号に変換する音響電気変換器とが設
けられている弾性表面波コンボルバであって、 上記導波路は、長手方向が上記1対の励振電極によっ
て励振された弾性表面波の伝搬方向と平行になるように
並列に配置された複数の導波路要素から構成されてお
り、上記1対の励振電極のうちの一方は上記各導波路要
素に対して互いに同相な弾性表面波を励振して入力する
様構成されており、上記1対の励振電極のうちの他方は
該励振電極によって励振された弾性表面波の伝搬方向と
直交する方向に関し分割された複数の要素からなり、隣
接要素では互いに逆相な弾性表面波を励振して上記複数
の導波路要素のうちの隣接する導波路要素に入力する様
構成されており、上記導波路要素の配列ピッチPが、上
記導波路にて発生する弾性表面波の波長をλとして、実
質的に、 P=(n+1/2)λ(nは0又は正の整数) を満足することを特徴とする弾性表面波コンボルバ、 により達成される。
[実施例] 以下、図面を参照しながら本発明の具体的実施例を説
明する。
第1図は本発明による弾性表面波コンボルバの第1の
実施例を示す概略平面図である。
第1図において、1は圧電基板である。該圧電基板と
してはたとえばニオブ酸リチウム等の従来知られている
圧電基板を用いることができる。2,3は該基板1の表面
上にx方向に適宜距離隔てて対向配置され形成されてい
る1対の弾性表面波励振用電極(入力用櫛型電極)であ
る。これら櫛型電極2,3はそれぞれy方向に関し分割さ
れ一定ピッチpで配列されたn個の要素2−1〜2−n
及び3−1〜3−nからなる。一方の櫛型電極2におい
ては隣接する電極要素どうしで同一位相で電圧印加が行
なわれる様な電極構造とされており、他方の櫛型電極3
においては隣接する電極要素どうしで逆位相で電圧印加
が行なわれる様な電極構造とされている。これら電極は
たとえばアルミニウム等の導電体からなり、電極指は弾
性表面波がx方向に伝搬する様に設けられている。
4−1,4−2,4−3,・・・・・,4−nはこれら電極2,3
間においてx方向に延びて互いに平行に基板1の表面に
一定ピッチP(=p)で配列され形成されている導波路
である。図示される様に、導波路4−1〜4−nはそれ
ぞれ電極要素2−1及び3−1〜電極要素2−n及び3
−nに対応して配置されている。該導波路はたとえばア
ルミニウム等の導電体を付することにより形成される。
また、5は基板1の表面上に上記導波路からy方向に適
宜距離隔てて配置され形成されている音響電気変換器で
ある。該音響電気変換器は櫛型電極(出力用櫛型電極)
であり、たとえばアルミニウム等の導電体からなり、電
極指はy方向に伝搬する弾性表面波を効率よく電気信号
に変換できる様に設けられている。
本実施例の弾性表面波コンボルバにおいて、一方の入
力用櫛型電極2に対し中心角周波数ωの電気信号F
(t)exp(jωt)を入力すると、各電極要素から同
位相で該周波数の弾性表面波が励振され、該弾性表面波
はそれぞれ導波路4−1〜4−nをx方向に正の向きに
伝搬し、他方の入力用櫛型電極3に同位相で到達する。
これに対し、他方の入力用櫛型電極3に対し中心角周波
数ωの電気信号G(t)exp(jωt)を入力すると、
各電極要素から隣接要素で位相が逆になる様に該周波数
の弾性表面波が励振され、該弾性表面波はそれぞれ導波
路4−1〜4−nをx方向に負の向きに伝搬し、他方の
入力用櫛型電極2の電極要素に隣接要素で位相が逆にな
って到達する。従って、櫛型電極2から櫛型電極3の各
電極要素に到達した弾性表面波は全電極要素で位相が同
一であり且つ櫛型電極3からは隣接電極要素ごとに逆位
相で出力される(即ち極性が反転している)ので、該電
極に到達した弾性表面波は電気的に中和され、結局再励
起による反射波は生じない。同様に、櫛型電極3から櫛
型電極2の各電極要素に到達した弾性表面波は隣接電極
要素で位相が逆であり且つ櫛型電極2からは全電極要素
で同一位相で出力される(即ち極性が同一である)の
で、該電極に到達した弾性表面波は電気的に中和され、
結局再励起による反射波は生じない。かくして、本実施
例では従来の弾性表面波コンボルバの様に入力用櫛型電
極2,3のうちの一方により励振され導波路を第1の向き
に伝搬する弾性表面波と該弾性表面波が他方の入力用櫛
型電極により反射せしめられて導波路を第2の向きに伝
搬する反射波との重畳により生ずるセルフコンボリュー
ションを抑圧することができる。
ところで、各導波路4−1〜4−nでは、入力用櫛型
電極2,3に入力された信号F(t)exp(jωt)及びG
(t)exp(jωt)のコンボリューション信号が発生
するが、隣接導波路では信号G(t)exp(jωt)が
逆位相であるので、奇数番目の導波路4−1,4−3,4−5,
・・・・・で発生するコンボリューション信号Haを、導
波路長さをLとして、 とすると、偶数番目の導波路4−2,4−4,4−6,・・・・
・で発生するコンボリューション信号Hbは、 となる。即ち、隣接する導波路では互いに逆位相のコン
ボリューション信号が発生し、圧電効果によりこれらの
信号に対応した弾性表面波が各導波路から効率よく励起
され、y軸方向に伝搬する。そして、この弾性表面波は
出力用櫛型電極5にて電気信号に変換されて出力され
る。
尚、本実施例では、入力用櫛型電極2,3の電極要素の
配列ピッチp及び導波路要素4−1〜4−nの配列ピッ
チPをいずれも上記コンボリューション信号弾性表面波
の波長λの約1/2の奇数倍とすることにより、該コンボ
リューション弾性表面波がほぼ同一位相で重畳されるの
で、最も効率良く弾性表面波を伝搬させ出力用櫛型電極
5において高効率にて出力させることができる。
第2図は本発明による弾性表面波コンボルバの第2の
実施例を示す概略平面図である。本図において、上記第
1図におけると同様の部材には同一の符号が付されてい
る。
本実施例では、入力用櫛型電極2が複数の電極要素か
らなるのではなく単一の櫛型電極から構成されている点
のみ、上記第1実施例と異なる。
本実施例においても、上記第1実施例と同様の作用効
果が得られる。
第3図は本発明による弾性表面波コンボルバの第3の
実施例を示す概略平面図である。本図において、上記第
1図におけると同様の部材には同一の符号が付されてい
る。
本実施例は、更に出力用櫛型電極5と同様な出力用櫛
型電極6が基板1の表面上において導波路からy方向に
出力用櫛型電極5と反対側に同一距離隔てて配置され形
成されている点のみ、上記第1実施例と異なる。
本実施例においても上記第1実施例と同様の作用効果
が得られるが、更に本実施例では導波路にて生ぜしめら
れたコンボリューション信号弾性表面波はy軸方向に双
方の向きに伝搬するので、2つの出力用櫛型電極5,6か
らこれらを出力させて合成することにより上記第1実施
例及び第2実施例の2倍の出力を得ることができる。
尚、2つの出力用櫛型電極5と6とで導波路からの距離
を異ならせておくことにより、一方の出力用櫛型電極か
らの出力を他方の出力用櫛型電極からの出力に対し適宜
の時間遅延させることができる。
本実施例では入力用櫛型電極2を上記第1実施例と同
様の構成としたが、該櫛型電極を上記第2実施例と同一
の構成とすることもできる。
上記実施例では入力用櫛型電極2,3により励振される
弾性表面波のビーム幅は各導波路要素幅あるいは全導波
路幅とほぼ等しく設定されているが、本発明においては
比較的幅の大きな櫛型電極を用いてビーム幅の大きな弾
性表面波を励振させ、ホーン型導波路またはマルチスト
リップカプラ等のビーム幅変換器を通してビーム幅を圧
縮した上で導波路に導いてもよい。
更に、上記実施例における入力用櫛型電極2,3をダブ
ル電極(スプリット電極)とすることにより、反射波の
発生は更に抑制され、セルフコンボリューションをより
一層良好に抑圧できる。同様に、出力用櫛型電極5,6を
ダブル電極(スプリット電極)とすることにより、該出
力用櫛型電極での反射波の発生が抑制され、コンボルバ
の特性をより一層良好なものとすることができる。
[発明の効果] 以上の様に、本発明によれば、1対の入力用励振電極
のうちの片方から隣接電極要素ごとに逆相で弾性表面波
を励振させ、更に、実質上導波路要素の配列ピッチを導
波路で発生するコンボリューション信号弾性表面波の波
長λの半分の奇数倍となる様にしたので、入力用励振電
極での反射波の発生を抑制でき且つコンボリューション
信号弾性表面波をほぼ同一位相で重畳させることがで
き、かくしてセルフコンボリューションが抑圧され特性
が良好であり且つ高効率でコンボリューション信号を得
ることの可能な弾性表面波コンボルバが提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図及び第3図は本発明による弾性表面波コ
ンボルバを示す概略平面図である。 第4図は従来の弾性表面波コンボルバを示す概略平面図
である。 1:基板、2,3:弾性表面波励振用電極、2−1〜2−n,3
−1〜3−n:電極要素、4−1〜4−n:導波路要素、5,
6:音響電気変換器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電基板に、弾性表面波を励振する少なく
    とも1対の励振電極と、該励振電極により励振された弾
    性表面波を互いに反対向きに伝搬させる導波路と、該導
    波路にて発生し上記弾性表面波の進行方向を横切る方向
    に伝搬する弾性表面波を電気信号に変換する音響電気変
    換器とが設けられている弾性表面波コンボルバであっ
    て、 上記導波路は、長手方向が上記1対の励振電極によって
    励振された弾性表面波の伝搬方向と平行になるように並
    列に配置された複数の導波路要素から構成されており、
    上記1対の励振電極のうちの一方は上記各導波路要素に
    対して互いに同相な弾性表面波を励振して入力する様構
    成されており、上記1対の励振電極のうちの他方は該励
    振電極によって励振された弾性表面波の伝搬方向と直交
    する方向に関し分割された複数の要素からなり、隣接要
    素では互いに逆相な弾性表面波を励振して上記複数の導
    波路要素のうちの隣接する導波路要素に入力する様構成
    されており、上記導波路要素の配列ピッチPが、上記導
    波路にて発生する弾性表面波の波長をλとして、実質的
    に、 P=(n+1/2)λ(nは0又は正の整数) を満足することを特徴とする弾性表面波コンボルバ。
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