JP2805250B2 - 熟成肉の製造法 - Google Patents

熟成肉の製造法

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JP2805250B2
JP2805250B2 JP2415703A JP41570390A JP2805250B2 JP 2805250 B2 JP2805250 B2 JP 2805250B2 JP 2415703 A JP2415703 A JP 2415703A JP 41570390 A JP41570390 A JP 41570390A JP 2805250 B2 JP2805250 B2 JP 2805250B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、熟成肉の製造法に係
るもので、肉質の軟らかさはもちろん、特に「旨味」の
向上をもたらすことのできる熟成肉の製造法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、肉類は屠殺後、一定の時
間を経過すると硬直する性状を備えている。すなわち死
後硬直とよばれる現象である。ちなみに豚では屠殺後1
2〜24時間、牛の場合は3日後に最大硬直するといわ
れている。
【0003】ところで硬直中の肉は、加熱調理しても肉
質が硬く、「旨味」にも欠ける。また加工するにして
も、肉タンパク質の水和が減少しているため、粘着性に
乏しく、品質の高い肉製品を製造することは困難であ
る。
【0004】そこで、一般には、この硬直を解除し、肉
質の軟らかさと、食味を確保するため、熟成という方法
がとられている。
【0005】ところで現在、一般的に採られる熟成方法
としては、大雑把に分類して、次のような方法がある。
【0006】(1)枝肉熟成法 屠体を半身に解体し、この半身を10〜14日間冷蔵
(0〜10℃)保存し、肉自体が有する酵素の働きによ
って、すなわち自己消化作用によって熟成させるという
方法である。ちなみに冷蔵・流通される肉類の熟成は、
この方法によるのが大部分である。
【0007】(2)部分肉熟成法(ウエットエージン
グ) 屠殺後、直ちに、もも,肩,ロースなどの部位毎にカッ
トし、プラスチックフイルムなどの袋に入れて−36℃
以下−40℃で凍結し、−18℃で冷凍保存し、ついで
市場出荷の時期等に合わせて、解凍し、しかるのち再
度、袋ごと冷蔵(0〜10℃)し、袋の中で3〜14日
間保存し、その間に熟成させるという方法である。別称
ウエットエージングとも呼ばれる方法である。なお、凍
結させずにエージングする場合もある。
【0008】(3)部分肉熟成法(ドライエージング) カットした部分肉をチルド(凍結しない程度の低温)で
乾燥した風に当て、いわゆる乾燥熟成させる方法で、別
称ドライエージングとも呼ばれる方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記した熟
成法には、次のような問題点が指摘されている。まず、
現在最も普及している前記(1)の枝肉熟成法および
(2)のウエットエージングであるが、この方法は肉質
を柔らかくすること、そして、ドリップ、すなち肉から
浸出する液汁の損失を極力抑制した形で熟成することを
狙ったものである。
【0010】したがって肉質の軟らかさや、それなりの
食味を得ることは可能である。しかしながら、「旨味」
の増進に大きく関与するものと目されている肉タンパク
質の自己分解促進、すなわち「旨味」成分であるアミノ
酸類の生成に、それほどの効果が期待できず、軟らかさ
はともかく、食味の上でいま一つの欠点とされている。
【0011】そこで、この欠点を解消する手段として、
開発されたのが、先に示した(3)のドライエージング
である。この(3)に示すドライエージングによる熟成
法は、前記ウエットエージングによる方法に比較し、水
分の排出が効果的で、熟成に要する時間短縮などのメリ
ットが期待されている。
【0012】しかし、乾燥した空気を常に吹き付ける手
法であるため、芯からのドリップが不充分となり、また
「旨味」そのものにも癖があり、期待されるほどの柔ら
かさと、風味ある「旨味」をもった熟成肉を得るまでに
はなっていない。
【0013】特に、このドライエージングの方法は、先
に説明したように空気を常に吹きつけて乾燥させながら
熟成を促進する方法であるため、わが国のように湿度の
高い、しかもカビ類等の雑菌が多い環境下においては、
食品衛生上からもあまり好ましい方法ではなく普及する
までには至っていない。いずれにしても従来の熟成法に
よっては、より「旨味」を有する食肉を提供するまでは
至っていないのが実情である。
【0014】発明者は、このような実情をふまえ、より
「旨味」をもった熟成肉の製造法の開発研究の結果、次
のような手順工程をとることにより、従来法によっては
得ることのできなかった柔らかい肉質と、風味ある「旨
味」とをもった熟成肉の製造に成功した。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明による熟成法の
特徴とするところは、まず屠体を半身ないし部位毎にカ
ットし、そのカットした部位肉を高分子系材料からなる
フイルムを用いて真空包装するとともに、熱湯で表面殺
菌をしたのち凍結し、ついでそれを急速解凍し、解凍時
に浸出する解凍ドリップを布材で速やかに拭きとるとと
もに、肉の全表面に芳香を含んだアルコール類、具体的
にはブランデーを噴霧して、肉表面の殺菌処理と、芳香
の浸透処理とを行い、さらに布材でくるみ3日間冷蔵保
存し、冷蔵期間経過後、再度、肉の全表面に芳香を含ん
だアルコール類、すなわちブランデーを噴霧し、さらに
吸水性と通気性とを備えた包装材を用いてパッキング
し、その状態で温度4℃の低温状態で3〜4週間の熟成
期間をもって熟成させるようにしたことにある。
【0016】
【作用】この発明による熟成法は、以上説明したような
手順によるものであるため、まず、前処理としての意味
をもつ部位肉を高分子系材料のフイルムをもってパッキ
ングし、熱湯で表面殺菌したのち冷凍保存する過程で、
肉に含まれている血液および余分な水分が凍結される。
そのため、一部の細胞は破壊され「旨味」成分の増加に
は必ずしも役立たない。しかし、「旨味」成分の破壊要
因となるブドウ糖や乳酸類のような栄養素、さらには血
液および余分な水分が凍結除去されるので、「旨味」の
喪失につながるようなことはない。良質な肉タンパク質
により、すなわち理想に近い自己消化の条件が設定され
ることになる。
【0017】ついで、室温での解凍処理によって、ドリ
ップが促進される。特に急速解凍であるため、解凍ドリ
ップが増加する。解凍処理が終了したところで、肉の全
表面に芳香を含んだアルコール類、すなわちブランデー
を噴霧し、布材でくるみ3日間冷蔵保存するので、その
間にブランデーによる殺菌作用が働くとともに、香りが
浸透し、肉の食味を損わず自己消化作用が促進されるこ
とになる。
【0018】さらに、前記3日間の冷蔵期間が終ったと
ころで、再度、肉の全表面にブランデーを噴霧し、すな
わち塗布し、最後の処理手段として、こんどは吸水性と
通気性とを備えた包装材でパッキングし、その状態で温
度4℃の低温をもって3〜4週間ねかしておくものであ
るから、肉タンパク質の自己消化作用が促進される。そ
の結果、従来の熟成法に比較し、より「旨味」ある熟成
肉が得られる。
【0019】特に、この発明の熟成法にあっては、最終
的な低温熟成の遇程を、通気性の包装材でパッキングし
た状態で行うようにしたので、、すなわち好気性の環境
を維持しながら熟成が行われるように配慮しているた
め、肉自体が有する酵素の働きが促進され、いわゆる自
己消化作用が活性化される。逆に言えば、肉の変色や腐
敗につながる嫌気性環境の造成が回避されるので、より
美味しい熟成肉が得られることになる。しかも前記包装
材は、吸水性を備えているため、前記熟成期間中におけ
るドリップは、その包装材によって吸着され、ドリップ
による肉質の変敗は阻止される。
【0020】さらに、熟成温度を4℃に設定したため、
細菌類の繁殖は抑止され、他方、自己消化作用の活性化
は維持されて、きわめて好ましい熟成環境の維持によっ
て、より「旨味」ある熟成肉の製造が可能である。
【0021】
【実施例】さらに、本発明を牛肉の熟成に適用した場合
の実施例に基づいて具体的に説明する。なお実施例では
屠殺後の屠体を解体したのち、部位毎にカットして部分
肉としたものを用いた。
【0022】まず、その部分肉を耐熱性,耐寒性を備え
た高分子系のフレキシブルタイプの包装材で真空包装し
た。その状態で熱湯により表面の殺菌処理を施し、しか
るのち冷凍装置に収納して凍結させた。ついで流通市場
の状況をみながら、室温で解凍し、すなわち急速に解凍
し、ドリップの排除を行うとともに、表面の水分を拭き
とった。表面水の拭きとりが終了したところで、再度、
ブランデーを肉表面全体に噴霧した。これは、先に説明
したように肉の表面殺菌と、ブランデーのもつ香りを肉
に浸透させることを目的としたものである。したがっ
て、適度の芳香を含んだアルコール類で、度数が35度
以上のものであれば、なにもブランデーに限定されるも
のではない。ブランデーの噴霧が終了すると、布材でく
るんで冷蔵貯蔵し、3日間の冷蔵によるドリップ処理を
施した、その結果、肉中に含まれている余分な血液およ
び水分を取り除くことができた。なお、実施例では冷蔵
中、布にくるんだ肉は、肉の縦方向、すなわち筋肉の伸
び方向に対し、約15度の傾斜をもたせてねかせるよう
にした。その結果、ドリップは促進され、均質な軟らか
さをもった肉となった。
【0023】3日間の冷蔵によるドリップが終了する
と、再度、肉全体の表面にブランデーを噴霧し、表面の
殺菌処理と香りの浸透処理を行った。
【0024】そして、最終的な熟成処理を行うため、前
記肉を通気性と吸水性を備えた包装材を用いてパッキン
グし、4℃の低温をもって、3〜4週間の熟成を行っ
た。なお、通気性と吸水性を有する包装材として、実施
例では、吸水紙ないしは綿状パルプ、高分子吸水材を、
ポリエチレンもしくはポリエステルからなる不織布をも
ってくるみ、重合させてなる包装材を用いた。また、熟
成期間中、前記パッキングした肉は、前記3日間の冷蔵
ドリップ処理の場合と同様、約15度の傾斜状態でねか
せるようにした。所定の熟成期間経過後、開包したとこ
ろ鮮紅色を保ち、しかも均質な軟らかさと、「旨味」を
もった熟成肉となった。
【0025】
【発明の効果】この発明による熟成肉の製造法は、以上
説明したように、熟成の阻害要因となる余分な血液や水
分さらにはブドウ糖類を、まず冷凍処理を施すことによ
り排除しやすくし、ついで急速な解凍によって解凍ドリ
ップの増加を促進させながら、理想的な熟成状態をとと
のえ、その上でさらに冷蔵ドリップ処理を行い、さらに
2度にわたる芳香を含んだアルコール類による表面殺菌
と香りの浸透を行い、最後に吸水性と通気性を備えた包
装材でパッキングし、熟成に好適な好気性環境を保持し
ながら低温熟成を施すようにしたため、肉タンパク質の
活性ある自己消化作用が促進され、これまで食味するこ
とのできなかった「旨味」をもった熟成肉を得ることが
できた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屠体をカットして得られた部分肉を、真
    空包装したのち、熱湯で表面の殺菌処理をし、冷凍凍結
    後、解凍し、解凍後、芳香を含んだアルコール類で表面
    の殺菌処理と芳香の浸透処理とを行い、ついで布材でく
    るみ3日間の冷蔵後、再度、芳香を含んだアルコール類
    で表面の殺菌処理と芳香の浸透処理とを行い、最後に吸
    水性と通気性とを備えた包装材でパッキングするととも
    に、4℃の低温で3〜4週間ねかすことを特徴とする熟
    成肉の製造法。
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JP5824178B1 (ja) * 2015-03-27 2015-11-25 浩二 長崎 熟成肉製造方法と熟成管理装置、及び凍結熟成肉製造方法、並びに低温管理方法と低温管理装置

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