JP2800221B2 - イオウ含有芳香族ビニル化合物 - Google Patents

イオウ含有芳香族ビニル化合物

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JP2800221B2 JP1013898A JP1389889A JP2800221B2 JP 2800221 B2 JP2800221 B2 JP 2800221B2 JP 1013898 A JP1013898 A JP 1013898A JP 1389889 A JP1389889 A JP 1389889A JP 2800221 B2 JP2800221 B2 JP 2800221B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は新規なイオウ含有芳香族ビニル化合物、それ
を含有する組成物、それを主たるモノマーとして用いた
架橋重合体成形物および該架橋重合体のレンズに関す
る。特に本発明は注型重合により高屈折率の硬化物を与
えることができる新規なイオウ含有芳香族ビニル化合物
およびその利用に関するものである。
(従来の技術) 現在プラスチックレンズ用として実用化されている樹
脂には、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ジエチレン
グリコールビスアリルカーボネート)、ポリスチレン、
ポリカーボネート等がある。
これらの内、特に視力矯正のための眼鏡用プラスチッ
クレンズにはポリメチルメタクリレートやポリ(ジエチ
レングリコールビスアリルカーボネート)がよく使われ
ている。
しかしポリメチルメタクリレート、ポリ(ジエチレン
グリコールビスアリルカーボネート)は共に屈折率が1.
50と低い欠点を有し、これらの樹脂を視力矯正用レンズ
とした場合、同じ度数を得るためには無機ガラスに比べ
てレンズの縁厚みが大きくなるという欠点がある。
一方、需要者からはレンズに対して軽量薄型化の要求
が強く、これを可能とするような高屈折率かつ比重の小
さい透明樹脂の開発が期待されていた。
このような高屈折率レンズ用の樹脂としてはこれまで
に例えば次のようなものが知られていた。
(1) 特公昭58−14449号公報 これには(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシエトキシ
フェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレートを使用し
た樹脂が記載されている。
(2) 特開昭59−133211号公報及び特開昭60−11513
号公報 これにはトリブロモフェニルグリシジルエーテルを
(メタ)アクリル酸で開環した化合物とイソシアネート
とを反応させた化合物を使用した樹脂が記載されてい
る。
(3) 特開昭60−51706号公報 これにはビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシエト
キシフェニル)プロパンをアクリル酸でモノエステル化
した化合物とイソシアネートとを反応させた化合物を使
用した樹脂が記載されている。
(4) 特開昭58−164615号公報 これにはハロゲン含有量が少なくとも30重量%である
ポリオール(例えばジブロモネオペンチルグリコールや
テトラブロモビスフェノールA等)とポリイソシアネー
ト(例えばキシリレンジイソシアネートやイソホロンジ
イソシアネート等)とを反応させて得られたポリウレタ
ンからなるプラスチックレンズ用樹脂が記載されてい
る。
(5) 特開昭57−104901号公報 これには下記一般式〔I〕で表わされる単量体10〜30
%、下記一般式〔n〕で表わされる単量体1〜15%およ
びラジカル重合可能な単量体55〜89%の混合物をラジカ
ル重合せしめて得られた合成樹脂レンズが記載されてい
る。
(式〔I〕中R1は水素原子又はメチル基、Xはフッソ以
外のハロゲン、(n+m)は0〜8の整数を示す。) (式〔II〕中R1は水素原子又はメチル基、R2 のいずれか一種、n1は6〜20の整数、n2は3〜20の整
数、n3は3〜30の整数を示す。) (6) 特開昭60−217229号公報 これには硫黄含有量が少なくとも20重量%の硫黄含有
ポリオールとポリイソシアネトとを反応させることによ
って得られた硫黄含有ポリウレタンよりなるレンズ用樹
脂が記載されている。
(発明が解決しようとする問題点) 然しながらこれらの公知のものは特定構造のブロムの
如きハロゲンを含んでいるモノマーを用いるため、これ
らの樹脂から得られたレンズはコストが高くなったり、
耐候性が不満足であったり、又比重が約1.4程度と大き
い欠点を有していた。また上記特開昭60−217229号公報
記載の樹脂はハロゲンを含有するモノマーを使用しない
のでこれらの欠点は少ないが耐熱性が低いという欠点が
あった。
(問題点を解決するための手段) 本発明は前記従来より公知の樹脂の欠点を大巾に低減
した物性を有する新規な樹脂の提供が目的であって、特
に本発明は注型重合により高屈折率、透明な硬化物を与
えることができる新規なイオウ含有芳香族ビニル化合
物、それらかなる新規な硬化性組成物及びそれを硬化さ
せた架橋重合体成形物を提供することにある。
以下本発明を更に詳細に説明する。
イオウ含有芳香族ビニル化合物〔I〕およびその製造方
法 本発明におけるイオウ含有芳香族ビニル化合物は下記
の一般式〔I〕で表わされる。
上記一般式〔I〕において、R1は炭素数1〜3のアル
キレン基であり、具体的には−CH2−、 または−CH2CH2CH2−であって、これらのうち好ましい
ものは−CH2−である。R2は炭素数2〜8の、好ましく
は2〜6のアルキレン基であり、具体的には例えば−CH
2CH2−、 −CH2CH2CH2CH2CH2− または −CH2CH2CH2CH2CH2CH2− などを挙げることができる
が、これらのうち好ましいのは−CH2CH2−、−CH2CH2CH
2−または であり特に−CH2CH2−が好ましい。また上記一般式
〔I〕においてベンゼン環に結合した2つの基は互いに
メタ位またはパラ位のいずれに位置していてもよい。
前記一般式〔I〕で示されるイオウ含有芳香族ビニ化
合物の好ましい具体例としては、次に示す化合物のメタ
体あるいはパラ体が挙げられる。
これらのうち特に好ましいのは2−(3−ビニルベン
ジルチオ)エタノール、2−(4−ビニルベンジルチ
オ)エタノールおよびこれらの混合物である。
本発明における前記一般式〔I〕のイオウ含有芳香族
ビニル化合物は、一般には下記の一般式〔II〕 (式中R1は炭素数1〜3のアルキレン基、Xは塩素また
は臭素を表わし、ベンゼン環における2つの結合は互い
にメタ位またはパラ位に位置するものとする。) で表わされるハロゲン化スチレン誘導体と、下記一般式
〔III〕 HO−R2−SH ………〔III〕 (式中R2は炭素数2〜8のアルキレン基を表わす) で表わされる水酸基含有チオール化合物を、アルカリの
存在下に反応させることによって製造することが可能で
ある。上記一般式〔II〕のハロゲン化スチレン誘導体と
しては例えば(クロロメチル)スチレン、(ブロモメチ
ル)スチレン、(クロロエチル)スチレン、(ブロモエ
チル)スチレンなどが挙げられ、これらは当然のことな
がらメタ体およびパラ体が含まれる。また上記一般式
〔III〕の水酸基含有チオール化合物としては例えば2
−メチルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノー
ル、2−メルカプト−1−メチルエタノールおよび6−
メリカプトヘキサノールなどが挙げられる。
上記化合物〔II〕および〔III〕の反応に使用される
アルカリは反応の結果副生するハロゲン化水素を補捉す
る作用を有する。従ってアルカリとしてはハロゲン化水
素と反応し、ハロゲン化アルカリを生ずるものであれば
よく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化第4級アンモニウム
などの無機塩基が好ましい。反応はハロゲン化スチレン
誘導体〔II〕1モルに対して、水酸基含有チオール化合
物〔III〕を約1〜約2モル、好ましくは約1〜約1。
5モル、およびアルカリ約1〜約2モルをそのまま、あ
るいは不活性溶媒中で約0℃〜反応混合液の沸点の範囲
の温度で数分〜24時間撹拌することによって実施され
る。
上記反応を不活性溶媒中で行なう場合、その溶媒とし
ては例えば水;メタノール、エタノールの如きアルコー
ル;テトラヒドロフラン、ジオキサンの如きエーテル;
アセトン、メチルエチルケトンの如きケトン;ベンゼ
ン、トルエンの如き芳香族炭化水素などが挙げられる。
上記反応は、反応の進行に従って発熱が起るので、ハ
ロゲン化スチレン誘導体〔II〕、水酸基含有チオール化
合物〔III〕またはアルカリの一成分を徐々に反応系中
に添加することによって、反応温度を制御することが容
易となる。反応終了後、炉過または水洗などの手段によ
り生成した塩および未反応のアルカリを除去する。次に
加熱減圧下で溶媒、未反応のハロゲン化スチレン誘導体
〔II〕および水酸基含有チオール化合物〔III〕を留去
して目的とするイオウ含有芳香族化合物〔I〕を得る。
更に必要ならば、減硫蒸留するか、または活性炭ある
いはシルカを充填したカラムを通過させて、高純度のも
のとすることができる。
上記の反応、分離および精製工程において、加熱を伴
う場合、イオウ含有芳香族ビニル化合物〔I〕の重合を
防止するために、それ自体公知のラジカル重合禁止剤を
添加しておくことが望ましい。
本発明のイオウ含有芳香族ビニル化合物〔I〕は前記
した反応方法以外の別の方法によっても製造することが
できる。即ち上記一般式〔I〕においてR1の炭素数が2
に相当する化合物を目的とする場合には、ジビニルベン
ゼンと前記一般式〔III〕の水酸基含有チオール化合物
とを付加させることによって目的化合物を得ることもで
きる。
硬化性組成物とその調製 本発明において前記イオウ含有芳香族ビニル化合物
〔I〕を用いた硬化性組成物は、大別して下記の2つの
組成物に分けられる。
〔A−1〕 前記イオウ含有芳香族ビニル化合物〔I〕、イソシア
ネート化合物およびラジカル重合開始剤よりなる硬化性
組成物。
〔A−2〕 前記イオウ含有芳香族ビニル化合物〔I〕、他のラジ
カル重合性ビニルモノマー、イソシアネート化合物およ
びラジカル重合開始剤よりなる硬化性組成物。
前記〔A−2〕の硬化性組成物は〔A−1〕に対して
さらに他のラジカル重合性ビニルモノマーが添加されて
いる点が相違している。以下の説明では本発明のイオウ
含有芳香族ビニル化合物〔I〕及びイソシアネート化合
物を“主モノマー”と、また他のラジカル重合性ビニル
モノマーを“共モノマー”と略称することがある。
〔A−2〕の硬化性組成物中の主モノマーと共モノマ
ーとの割合は、主モノマーおよび共モノマーの種類、目
的とする架橋重合体成形物の物性及び用途や経済性など
を考慮して決められるが、通常組成物中に主モノマーが
60〜100wt%、好ましくは70〜100wt%、共モノマーが0
〜40wt%、好ましくは0〜30wt%の割合が使用される。
なお共モノマーは一般式〔I〕のイオウ含有芳香族ビニ
ル化合物及びイソシアネート化合物と共重合して架橋重
合体を生成しうるラジカル重合性ビニルモノマーであ
り、好ましくはビニル化合物、アクリル化合物またはア
クリル化合物である。具体的にはビニル化合物としては
ステレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙
げられ、アクリル化合物としてはメチル(メタ)アクリ
レート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)
アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、クロロ
フェニル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、またア
リル化合物としてはジアリルフタレート、ジエチレング
リコールビスアリルカーボネートなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものとしてはスチレン、クロロ
スチレン、ジビニルベンゼン、フェニル(メタ)アクリ
レート、ベンジル(メタ)アクリレート及びジアリルフ
タレートである。
前記本発明の硬化性組成物〔A−1〕および〔A−
2〕において使用されるイソシアネート化合物は脂肪族
イソシアネート、脂環族イソシアネートおよび芳香族イ
ソシアネートのいずれかであってもよいが、好ましくは
芳香族イソシアネートである。またイソシアネート化合
物は2官能またはそれ以上の官能基を有するポリイソシ
アネート化合物が好ましい。
イソシアネート化合物の具体例としてはイソホロンジ
イソシタネート、ヘイサメチレンジイソシアネート、2
−イソシアナトエチルメタクリレート、フェニルイソシ
アネート、4−ビニルベンジルイソシアネート、m−あ
るいはp−キシリレンジイソシアネート、トルイレンジ
イソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4′
−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソプロピリデ
ンビス(4−フェニルイソシアネート)あるいはそれら
の塩素化物や臭素化物を挙げることができるが、これら
に限定されるものでは無い。好ましくは芳香族ジイソシ
アネート化合物であり、特に好ましくはキシリレンジイ
ソシアネート及びトルイレンジイソシアネートである。
これらのイソシアネート化合物は2種以上を混合して使
用してもよい。
イソシアネート化合物はイオウ含有芳香族ビニル化合
物〔I〕および他のラジカル重合性ビニルモノマーに対
してビニル基の全モル数/イソシアネート基の全モル数
の比が0.5〜約2の範囲、好ましくは約0.7〜約2の範囲
となる割合で使用される。
また本発明の硬化性組成物中には重合反応を制御する
ために、また架橋重合体成形物の物性を改良するため
に、例えばトリメチロールプロパントリス(β−チオグ
リコレート)、トリメチロールプロパントリス(β−チ
オプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス
(β−チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテト
ラキス(β−チオプロピオネート)などの多官能性化合
物を少量添加することもできる。本発明においては前記
〔A−1〕または〔A−2〕の硬化性組成物が調製さ
れ、この硬化性組成物を型中で、パルク重合することに
よって架橋重合体成形物が形成される。ラジカル重合開
始剤は加熱あるいは紫外線や、電子線によってラジカル
を生成するものであれば使用可能であり、例えば過酸化
ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、
アゾビスイソブチロニトリルなどの公知の熱重合解媒や
ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテ
ルなどの公知の高重合媒体が挙げられる。これは単独も
しくは混合しても使用しうる。
ラジカル重合開始剤の使用量は通常組成物100重量部
当り0.01〜5部、好ましくは0.1〜3部が使用される。
またイソシアネート化合物をモノマー成分として使用
する場合、イソシアネートの反応性を高め、得られた架
橋重合体成形物の強度を上げるために後述の解媒を更に
添加することもできる。かかる解媒としては例えばジブ
チルチンジラウリレート、ジメチルチンジクロライド、
スタナスオクトエートの如きスズ化合物;亜鉛、鉛、ア
ルミニウム、チタニウム、、バナジウムなどの金属の化
合物;第3級アミン、第3級ホスフィンなどのルイズ塩
基が挙げられる。
硬化性組成物に公知の安定剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、着色防止剤、難燃剤等を予め添加して硬化後の架
橋重合体成形物の物性を更に改善することも可能であ
る。
架橋重合体成形物及びその製造方法 本発明の架橋重合体成形物は (a) まず前記の硬化性組成物を調製する。
(b) 該硬化性組成物を型にいれる。
(c) 該型中で該硬化性組成物加熱硬化せしめ、次い
で (d) 該型中から架橋重合体成形物を取り出すことに
よって製造される。
即ちラジカル重合開始剤を含む硬化性組成物を型中に
供給し、次いで加熱または紫外線や電子線を照射するこ
とによって3次元構造の架橋重合体成形物に重合硬化さ
せるものである。
本発明の硬化性組成物は直接型に供給することもでき
るが、必要に応じ予備重合を行なわせることもできる。
予備重合は硬化性組成物の流動性が失なわれない範囲で
該組成物を短時間加熱することによって実施される。予
備重合は型中で急激な反応が起ることによる硬化物表面
のひび割れや、凹凸の発生を防止するためにしばしば有
効である。
通常硬化性組成物は室温では流動性であり、型中に供
給されて型を加熱するかもしくは紫外線照射または加熱
と同時に紫外線を照射することによって、重合反応が開
始される。型を加熱するのが装置も簡単であり、重合反
応の制御が容易で経済的な方法である。型の加熱温度は
40〜130℃、好ましくは40〜120℃の範囲である。型の加
熱は必ずしも一定温度である必要はなく、前述の温度範
囲内で比較的低温で重合反応を開始させ温度が高くなる
につれて昇温速度を早めるように加熱した場合にレンズ
として優れた物性のものが得られる。
加熱時間は通常少なくとも1時間以上、好ましくは少
なくとも5時間以上が必要である。また加熱時間の上限
は24時間、好ましくは20時間である。
型の構造は所望の硬化物の形状にもよるが、例えば光
学レンズの製造の場合には型は2枚のガラスとゴム製の
ガスケットからなる簡単な構造とすることができる。
型中での重合硬化が完了した後、架橋重合体成形物は
型から取り出される。取り出された架橋重合体成形物は
直接製品とすることもできるが更に次の工程、例えばレ
ンズの場合にはハードコート、反射防止、防曇性付与等
の表面処理が行なわれる。また必要に応じ後硬化のため
の熱処理が行なわれることもある。
(発明の効果) 本発明のイオウ含有芳香族ビニル化合物を使用した架
橋重合体は軽量で高屈折率、かつ高アツベ(低分散)の
特性を有する。更に耐候性、耐熱性、強度などに優れ、
特に視力矯正用の眼鏡用プラスチックレンズ用途に極め
て有用である。
(実施例) 次に実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
なお、実施例中硬化物の耐熱性、対衝撃性はそれぞれ
次の方法にて測定し評価した。
耐熱性 :硬化物の荷重1Kgにおけるビカット熱軟
化温度が120℃以上の場合を良好とした。
対衝撃性:60mmφ×2.5mm厚の円板状硬化物に1.2mの
高さから30gの鉄球を落とし割れない場合を良好とし
た。
実施例 1 クロルメチルスチレン(m−、p−混合体)152g(1.
0モル)、炭酸カリウム165g(1.2モル)、メチルエチル
ケトン1の混合液に重合禁止剤としてp−メトキシフ
ェノール1.24g(0.01モル)を加え、加熱煮沸し、2−
メルカプトエタノール78g(1.0モル)を1時間かけて滴
下した。3時間煮沸を続け、室温に冷却した後、生成し
た塩化カリウムと未反応炭酸カリウムを濾過で分離し沈
殿物をメチルエチルケトン500mlで洗浄した。洗液を先
の炉液と合わせ、次に炉液をアスピレーターで減圧濃縮
しメチルエチルケトンを除いた。続いて、濃縮液を減圧
蒸留(140℃/1〜2mmHg)し、無色透明な液体127gを得
た。
分析の結果、上記液体は目的の2−(3−ビニルベン
ジルチオ)エタノールと2−(4−ビニルジルチオ)エ
タノールの混合体であった。
元素分析値:C=68.1%、H=7.14%、S=16.4%、O=
8.35%(理論値:C=68.0%、H=7.22%、S=16.5%、
O=8.25%) 赤外線吸収スペクトル 3300cm-1:OHの伸縮振動 3090cm-1:ベンゼン環C−Hの伸縮振動 2900−3000cm-1:−CH2−の伸縮振動 1625cm-1:CH2=CH−の伸縮振動 1500cm-1:ベンゼン環の振動 1010cm-1:−O−の伸縮振動 H′−NMR吸収スペクトル 2.0 ppm:OHのH 2.6 ppm:CCH2SのH 3.7 ppm:CCH2OのH 3.74ppm:ベンゼン環に接したCH2のH 5.5 ppm:ビニル基の=CH2のH 6.6 ppm:ビニル基の−CH=のH 7.2 ppm:ベンゼン環のH 実施例 2 前記実施例1で得た2−(3−ビニルベンジルチオ)
エタノールと2−(4−ビニルベンジルチオ)エタノー
ルの混合体75g、m−キシリレンジイソシアネート25g、
パーブチルO〔t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキ
サノエイト)〕0.2g、パー、ブチルA〔t−ブチルパー
オキシアセタート〕0.2g及びジブチルチンジラウリレー
ト50ppmを均一に混合し、2枚のガラスとゴム製ガスケ
ットで構成された母型の中に注入して、40℃から90℃ま
で10時間、直線的に昇温後、90℃で2時間保持して重合
硬化を行った。
得られた硬化物は、無色透明、アッベ屈折計により測
定した屈折率N20℃は1.625、アッベ数は33であり、屈
折率が高くしかも高アッベ数という良好な光学的性質を
有していた。
又、比重は1.24と軽量で、耐熱性、耐衝撃性が良好
で、レンズ特に眼鏡用高屈折率レンズとして優れたもの
であった。
実施例 3 p−(クロルメチル)スチレン152g(1.0モル、水酸
化ナトリウム60g(1.5モル)、テトラヒドロフラン0.5
の混合液に重合禁止剤としてp−メトキシフェノール
1.24g(0.01モル)を加え、加熱煮沸し、2−メルカプ
トエタノール78g(1.0モル)を0.5時間かけて滴下し
た。3時間煮沸を続け、室温に冷却した後、実施例1と
同様の操作で過後、減圧蒸留(140〜145℃/1〜2mmH
g)により2−(4−ビニルベンジルチオ)エタノール
の白色固体93gを得た。
ガスクロマトグラムによる純度:98.0% 元素分析値:C=68.2%、H=7.34%、S=16.3%、O
=8.12%(理論値:C=68.0%、H=7.22%、S=16.5
%、O=8.25%) 赤外線吸収スペクトル(第1図参照) 3300cm-1:−OHの伸縮振動 1625cm-1:CH2=CH−の伸縮振動 1500cm-1:ベンゼン環の振動 1010cm-1:−O−の伸縮振動 H′−NMR吸収スペクトル(第2図参照) 2.1ppm:OHのH 2.6ppm:CCH2SのH 3.6ppm:CCH2OのH 3.7ppm:ベンゼン環に接したCH2のH 5.4ppm:ビニル基の=CH2のH 6.7ppm:ビニル基の−CH=のH 7.3ppm:ベンゼン環のH 実施例 4 前記実記例1で得た、2−(4−ビニルベンジルチ
オ)エタノールと2−(3−ビニルベンジルチオ)エタ
ノールの混合物67g、m−キシリレンジイソシアネート3
3gからなる混合物に重合開始剤としてパーブチルO〔t
−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエイト)〕0.
1g、パーブチルA〔t−ブチルパーオキシアセタート〕
0.1g及びジブチルチンジラウリレート100ppmを均一に混
合し、2枚のガラスとゴム製ガスケットで構成された母
型の中に注入して、40℃から90℃まで12時間、直線的に
昇温後、90℃で1時間保持して重合硬化を行った。
なお、2−(ビニルベンジルチオ)エタノール/(m
−キシリレンジイソシアネート×2)のモル比、すなわ
ち組成物中のビニル基の全モル数とイソシアネート基の
全モル数の比は1.0である。
得られた硬化物は無色透明でありアッベ屈接計により
測定した屈接率▲20℃ ▼は1.620、アッベ数は33であ
り、屈折率が高くしかも高アッベ数という良好な光学的
性質を有していた。
又、比重は1.25と軽量で、耐熱性、耐衝撃性が良好
で、染色性も良く、レンズ特に眼鏡用プラスチックレン
ズとして優れたものであった。
実施例 5 2−メルカプトエタノール78g(1.0モル)、30%水酸
化ナトリウム水溶液133g(1.0モル)、メタノール0.15
の混合液に重合禁止剤としてp−メトキシフェノール
1.24g(0.01モル)を加え、10℃以下に冷却しながらm
−(クロルメチル)スチレン152g(1.0モル)を3時間
かけて滴下した。その後3時間撹拌を続け反応を完結し
た。水1を加えて油層と水層を分離した。次に油層を
水で洗浄した後、減圧蒸留(140〜150℃/1〜2mmHg)し
て、2−(3−ビニルベンジルチオ)エタノールの無色
透明な液体105gを得た。そのガスクロマトグラムによる
純度は98.2%であった。
元素分析値:C=68.1%、H=7.25%、S=16.4%、O=
8.25%(理論値:C=68.0%、H=7.22%、S=16.5%、
O=8.25%) 赤外線吸収スペクトル 3300cm-1:−OHの伸縮振動 3090cm-1:ベンゼン環のC−Hの伸縮振動 2900〜3000cm-1:−CH2−の伸縮振動 1625cm-1:CH2=CH−の伸縮振動 1500cm-1:ベンゼン環の振動 1010cm-1:−O−の伸縮振動 H′−NMR吸収スペクトル 2.0 ppm:OHのH 2.6 ppm:CCH2SのH 3.7 ppm:CCH2OのH 3.75ppm:ベンゼン環に接したCH2のH 5.5 ppm:ビニル基の=CH2のH 6.6 ppm:ビニル基の−CH=のH 7.2 ppm:ベンゼン環のH 実施例 6 実施例5で得られた2−(3−ビニルベンジルチオ)
エタノール67g、m−キシリレンジイソシアネート33gか
らなる混合物に重合開始剤としてパーブチルO〔t−ブ
チルパーオキシ(2−エチルヘキサノエイト)〕0.2g及
びジブチルチンジラウリレート50ppmを均一に混合した
後、実施例4と全く同様の条件で注型重合を行なった。
得られた硬化物は無色透明であり、屈折率▲N20℃
は1.621、アッベ数は33であった。また比重は1.25と軽
量で耐熱性、耐衝撃性共に良好であった。
実施例 7〜9 実施例4と同様の方法で重合開始剤としてパブチルO
〔t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエイ
ト)〕0.5g及びジブチルチンジラウリレート100ppmを用
いて表1の組成物を重合硬化した。得られた硬化物は無
色透明であった。測定した硬化物の物性値を表1に示し
た。なお表中の略号は次の化合物を示す。
VBTE:2−(3−及び4−ビニルベンジルチオ)エタノー
ル混合物 MXDI:m−キシリレンジイソシアネート TDI :トルイレンジイソシアネート HMDI:ヘキサメチレンジイソシアネート 実施例 10〜12 実施例7〜9と同様の方法で表2の組成物を重合硬化
した。得られた硬化物は無色透明であった。測定した硬
化物の物性値を表2に示す。なお表中の略号は次の化合
物を示す。
St : スチレン DVB: ジビニルベンゼン IG : エチレングリコールジメタクリレート
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明の実施例3により得られた2
−(4−ビニルベンジルチオ)エタノールの赤外線吸収
スペクトル(第1図)及びH′−NMR吸収スペクトル
(第2図)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−21890(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 18/67 C08F 12/30 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式〔I〕 (式中R1は炭素数1〜3のアルキレン基、R2は炭素数2
    〜8のアルキレン基を表し、ベンゼン環における2つの
    結合手は互いにメタ位またはパラ位に位置するものとす
    る。)で表されるイオウ含有芳香族ビニル化合物。
  2. 【請求項2】該R1が−CH2−である請求項1記載のイオ
    ウ含有芳香族ビニル化合物。
  3. 【請求項3】該R2が−CH2−CH2−または である請求項1記載のイオウ含有芳香族ビニル化合物。
  4. 【請求項4】上記一般式〔I〕で表される少なくとも一
    種のイオウ含有芳香族ビニル化合物、イソシアネート化
    合物およびラジカル重合開始剤を含有した硬化性組成物
    を型中で硬化せしめることにより得られた架橋重合体成
    形物。
  5. 【請求項5】上記一般式〔I〕で表わされる少なくとも
    一種のイオウ含有芳香族ビニル化合物、イソシアネート
    化合物、ラジカル重合開始剤およびラジカル重合性ビニ
    ルモノマーを含有した硬化性組成物を型中で硬化せしめ
    ることにより得られた架橋重合体成形物。
  6. 【請求項6】請求項4または5記載の架橋重合体成形物
    よりなるレンズ。
  7. 【請求項7】(a)上記一般式〔I〕で表わされる少な
    くとも一種のイオウ含有芳香族ビニル化合物、イソシア
    ネート化合物およびラジカル重合開始剤を含有した硬化
    性組成物を調整し、 (b)該硬化性組成物を型中へ供給し、 (c)該型中で該硬化性組成物を加熱し硬化せしめ、次
    いで (d)該型中から架橋重合体成形物を取り出す、ことを
    特徴とする架橋重合体成形物の製造方法。
  8. 【請求項8】(a)上記一般式〔I〕で表わされる少な
    くとも一種のイオウ含有芳香族ビニル化合物、イソシア
    ネート化合物、ラジカル重合開始剤およびラジカル重合
    性モノマーを含有した硬化性組成物を調整し、 (b)該硬化性組成物を型中へ供給し、 (c)該型中で該硬化性組成物を加熱し硬化せしめ、次
    いで、 (d)該型中から架橋重合体成形物を取り出す、ことを
    特徴とする架橋重合体成形物の製造方法。
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