JP2799975B2 - パルス型電磁石用電源装置 - Google Patents

パルス型電磁石用電源装置

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JP2799975B2
JP2799975B2 JP24271495A JP24271495A JP2799975B2 JP 2799975 B2 JP2799975 B2 JP 2799975B2 JP 24271495 A JP24271495 A JP 24271495A JP 24271495 A JP24271495 A JP 24271495A JP 2799975 B2 JP2799975 B2 JP 2799975B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパルス型電磁石を励
磁する際に用いられる電源装置に関し、エレクトロン又
はプロトン等の軽粒子線の他、重粒子線を用いた治療装
置においてビームラインに配置されるパルス型電磁石を
励磁する際に用いられる電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電源装置として、例え
ば、図2に示す電源装置が知られている。図2を参照し
て、図示の電源装置には整流器11を介して交流電源
(図示せず)が接続されている。図示の電源装置は、コ
ンデンサ12(容量をCとする)を備えており、このコ
ンデンサ12は整流器11に並列に接続されている。ス
イッチ13及びダイオード14が直列に接続され電流パ
スが形成されており、この電流パスはコンデンサ12に
対して並列に接続されている。
【0003】ダイオード14のカソードはコイル(電磁
石を構成するコイル)15の一端に接続されており(こ
こでは、コイルのインダクタンスをL、内部抵抗をRと
する)、コイル15の他端はダイオード16のアノード
及びトランジスタ17のコレクタに接続されている。そ
して、ダイオード16のカソードはスイッチ13及びコ
ンデンサ12に接続され、トランジスタ17のエミッタ
はダイオード14のアノード及びコンデンサ12に接続
されている。
【0004】いま、コンデンサ12には電圧(V)が印
加されているものとすると、コンデンサ12には、EC
=CV2 /2で表されるエネルギーが蓄積されている。
【0005】この状態で、スイッチ13及びトランジス
タ17がオンされると、コンデンサ12に蓄えられたエ
ネルギーに応じた電流がスイッチ13、コイル15、及
びトランジスタ17を介して流れることになる。つま
り、コンデンサ12に蓄えらたエネルギーがコイル15
に移動することになる。
【0006】いま、コイル15に流れる電流が定常状態
(フラットトップ)に達するまでの時間をT1 とする
と、T1 は、ほぼπ(LC)1/2 /2となる。つまり、
スイッチ13及びトランジスタ17をオンした後、時間
1 経過すると、コイル15に流れる電流は定常状態に
達する。この後、トランジスタ17は定電流動作に移行
する(定常状態における電流の強さをIとする)。
【0007】いま、時間T1 からさらに時間T2 経過し
たとき、予め設定された時間が経過するか、あるいはコ
イル15に流れる電流が低下したとすると、つまり、フ
ラットトップ状態が終了とすると、スイッチ13及びト
ランジスタ17がオフされる。これによって、コイル1
5に蓄えられたエネルギーはダイオード14、16を介
してコンデンサ12に回生され、時間T2 からさらに時
間T1 経過後コイル15に流れる電流がほぼゼロとな
る。その後、再びスイッチ13及びトランジスタ17が
オンされて、上述の動作が繰り返される。
【0008】ここで、コイル15に蓄えられるエネルギ
ーをEL とすると、EL =LI2 /2で表すことができ
る。また、コイル15は内部抵抗Rを有しているから、
熱エネルギーER として、ER =I2 RT2 +2I2
1 /3(2I2 RT1 /3の部分は三角波で近似し
た)で示すエネルギーがコイル15で消費される。さら
に、フラットトップ時、トランジスタ17ではVce×
2 2 の熱エネルギーが消費される(Vceはトラン
ジスタ17の両端の電圧)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の電源
装置では、フラットトップの時間を長くしようとする
と、コイル15における熱エネルギーを考慮して、コン
デンサ12に蓄えられるエネルギーを大きくするため
に、コンデンサ12の容量Cを大きくする必要がある。
しかしながら、コンデンサ12の容量Cを大きくする
と、コイル15に流れる電流の立ち上がり及び立ち下が
りが遅くなってしまう。一方、立ち上がりを早くするた
めに、コンデンサ12の両端電圧Vを高く設定すると、
定電流制御時にVceが大きくなり、つまり、I2 RT
2 が大となり、トランジスタ(定電流制御素子)が発熱
してしまうという問題点がある。さらに、別に充電電流
を制限する回路が必要となってしまい、回路構成が複雑
になってしまう。また、コンデンサの両端電圧を高くし
過ぎると、素子の耐圧とコイルの絶縁の問題を考慮する
必要性が生じる。
【0010】本発明の目的は立ち上がり及び立ち下がり
が速くしかもフラットトップ時間が長くとれるパルス型
電磁石用電源装置を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は回路構成が簡単で発熱
量の少ないパルス型電磁石用電源装置を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、電磁石
用コイルにパルス状電流を供給する際に用いられる電源
装置において、第1の電流供給源と第2の電流供給源と
を有し、前記パルス状電流の立ち上がり期間及び立ち下
がり期間の間前記第1の電流供給源を前記電磁石用コイ
ルに接続し前記立ち上がり期間及び立ち下がり期間の間
に位置するフラットトップ期間の間前記第2の電流供給
源を前記電磁石用コイルに接続する接続手段が備えられ
ていることを特徴とするパルス型電磁石用電源装置が得
られる。
【0013】ここでは、例えば、前記第1の電流供給源
は直流電源によって充電される第1のコンデンサを備
え、前記第2の電流供給源は直流電源によって充電され
る第2のコンデンサを備えており、前記電磁石用コイル
は前記第1及び前記第2のコンデンサに対して並列に接
続されている。そして、前記接続手段は、前記電磁石用
コイルを選択的に前記第1のコンデンサに接続する第1
のスイッチ手段と、前記電磁石用コイルを選択的に前記
第2のコンデンサに接続する第2のスイッチ手段と、前
記第1のスイッチ手段によって前記電磁石用コイルを前
記第1のコンデンサに接続して前記電磁石用コイルに流
れる電流の値が予め設定された設定値になると前記第1
のスイッチ手段によって前記電磁石用コイルと前記第1
のコンデンサとを切り離すとともに前記第2のスイッチ
手段によって前記電磁石用コイルと前記第2のコンデン
サとを接続する制御手段とを有している。また、接続後
定電流制御を行う前記制御手段は、前記電磁石用コイル
と前記第2のコンデンサとが接続された後、予め設定さ
れたフラットトップ時間を過ぎると、前記第1及び前記
第2のスイッチ手段によって前記電磁石用コイルと前記
第1及び前記第2のコンデンサを切離制御しており、さ
らに、前記電磁石用コイルが前記第1及び前記第2のコ
ンデンサから切り離し制御された際、前記電磁石用コイ
ルに蓄積されたエネルギーを前記第1のコンデンサに回
生する回生ルートを形成する回生手段が備えられてい
る。第1及び第2のスイッチ手段は、スイッチングトラ
ンジスタ又は電界効果トランジスタが考えられる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下本発明について図面を参照し
て説明する。
【0015】図1を参照して、図示の電源装置には整流
器21を介して交流電源(図示せず)が接続されてい
る。図示の電源装置は、コンデンサ22(容量をC1
する)を備えており、このコンデンサ22は整流器21
に並列に接続されている。スイッチ23を介してシャン
ト抵抗(電流計)24が接続され、このシャント抵抗2
4にはコイル(電磁石を構成するコイル)25が接続さ
れている(コイルのインダクタンスをL、内部抵抗をR
とする)。そして、コイル25はスイッチ26を介して
コンデンサ22に接続されている。つまり、スイッチ2
3及び26を介してシャント抵抗24及びコイル25が
並列に接続されていることになる。
【0016】さらに、図示のように、コイル25はダイ
オード27を介してコンデンサ22に接続されており、
コンデンサ22はダイオード28を介してシャント抵抗
24に接続されている。つまり、ダイオード27はアノ
ード側でコイル25に接続され、カソード側でコンデン
サ22に接続されている。また、ダイオード28はアノ
ード側でコンデンサ22に接続され、カソード側でシャ
ント抵抗24に接続されている。
【0017】図示のように、シャント抵抗24はトラン
ジスタ29を介してコンデンサ30(容量をC2 とす
る)に接続されており、このコンデンサ30はコイル2
5に接続されている。つまり、トランジスタ29はエミ
ッタでシャント抵抗24に接続され、コレクタでコンデ
ンサ30に接続されている。そして、コンデンサ30に
は並列に整流器31が接続され、この整流器31は交流
電源(図示せず)に接続されている。
【0018】この電源装置には制御器32が備えられて
おり、制御器32は後述するようにしてスイッチ23及
び26のオンオフ制御とトランジスタ29のオンオフ制
御並びに定電流制御を行う。
【0019】いま、コンデンサ22には電圧(V1 )が
印加されているものとすると、コンデンサ12には、E
c1=C1 1 2 /2で表されるエネルギーが蓄積され
る。
【0020】この状態で、制御器32によってスイッチ
23及び26がオンされると、コンデンサ22に蓄えら
たエネルギーに応じた電流(I1 )がスイッチ23及び
26を介してコイル25に流れることになる。つまり、
コンデンサ22に蓄えらたエネルギーがコイル25に移
動することになる。この際、電流(I1 )は時間T
11(T11はほぼπ(LC1 1/2 /2に等しい)が経過
すると、定常状態となる(つまり、立ち上がる)。
【0021】制御器32はシャント抵抗24に流れる電
流値(出力電流値)を監視しており、この出力電流が予
め設定された設定電流値になると、定常状態(フラット
トップ)になったものと判断して、スイッチ23をオフ
するとともにトランジスタ29をオンする。この結果、
コンデンサ30(コンデンサ30の両端電圧をV2 とす
る)からI2 R×フラットトップの熱エネルギーに対応
するエネルギーがトランジスタ29を介してコイル25
に与えられる。ここでは、トランジスタ29によって定
電流制御が行われる。つまり、トランジスタ29によっ
てコイル25に与えられる電流はI1 に規定される。
【0022】その後、フラットトップ時間が経過する
と、立ち下がり状態になったと判断して、制御器32は
トランジスタ29及びスイッチ26をオフする。この結
果、コイル25に蓄えられたエネルギー(LI1 2
2)がダイオード27及び28を介してコンデンサ22
に回生される。
【0023】上述のように、上述の例では、コイル25
に流れる電流がフラットトップとなると、コンデンサ3
0から電流を供給するようにしたので、V1 =V,I1
=Iとして、フラットトップ、つまり、立ち上がりまで
の時間をT1 とすれば、コンデンサ22に蓄えられるエ
ネルギーEc1は、(LI2 /2+2I2 RT1 /3)と
等価である。この結果、コンデンサ22に蓄えられるエ
ネルギーを少なくすることができる。つまり、コンデン
サ22の容量C1 を図2に示すコンデンサ12の容量C
に比べて少なくすることができる。従って、コイルに流
れる電流が立ち上がるまでの時間を短縮することができ
る(つまり、立ち上がりを速くすることができる)。
【0024】上述のように、フラットトップ時において
は、コンデンサ30から電流が供給される。コンデンサ
30から供給される電流をIとすると、コンデンサ30
にかかる電圧はRI+Vce(Vceはトランジスタ2
9(17)の両端の電圧)でよいことになる。この結
果、整流器31を最適化できることになる。さらに、フ
ラットトップの長さ(時間)はコンデンサ30の容量等
によって決まり、一方、立ち上がり及び立ち下がり時間
はコンデンサ22の容量によって決定されるから、立ち
上がり及び立ち下がり時間がフラットトップの時間に影
響されることがない。しかも、フラットトップの際、ト
ランジスタ29にかかる電圧が小さいから、発熱を抑え
ることができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明ではフラッ
トトップ時間を長くしてしかも立ち上がり立ち下がりの
速いパルス状電流をコイル(電磁石)に供給することが
できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電源装置の一例を説明するための
回路図である。
【図2】従来の電源装置を説明するための回路図であ
る。
【符号の説明】
11,21,31 整流器 12,22,30 コンデンサ 13,23,26 スイッチ 14,16,27,28 ダイオード 15,25 コイル 17,29 スイッチングトランジスタ又は電界効果ト
ランジスタ 24 シャント抵抗 32 制御器

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁石用コイルにパルス状電流を供給す
    る際に用いられる電源装置において、第1の電流供給源
    と第2の電流供給源とを有し、前記パルス状電流の立ち
    上がり期間及び立ち下がり期間の間前記第1の電流供給
    源を前記電磁石用コイルに接続し前記立ち上がり期間及
    び立ち下がり期間の間に位置するフラットトップ期間の
    間前記第2の電流供給源を前記電磁石用コイルに接続す
    る接続手段が備えられていることを特徴とするパルス型
    電磁石用電源装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されたパルス型電磁石用
    電源装置において、前記第1の電流供給源は直流電源に
    よって充電される第1のコンデンサを備え、前記第2の
    電流供給源は直流電源によって充電される第2のコンデ
    ンサを備えており、前記電磁石用コイルは前記第1及び
    前記第2のコンデンサに対して並列に接続されているこ
    とを特徴とするパルス型電磁石用電源装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載されたパルス型電磁石用
    電源装置において、前記接続手段は、前記電磁石用コイ
    ルを選択的に前記第1のコンデンサに接続する第1のス
    イッチ手段と、前記電磁石用コイルを選択的に前記第2
    のコンデンサに接続する第2のスイッチ手段と、前記第
    1のスイッチ手段によって前記電磁石用コイルを前記第
    1のコンデンサに接続して前記電磁石用コイルに流れる
    電流の値が予め設定された設定値になると前記第1のス
    イッチ手段によって前記電磁石用コイルと前記第1のコ
    ンデンサとを切り離すとともに前記第2のスイッチ手段
    によって前記電磁石用コイルと前記第2のコンデンサと
    を接続する制御手段とを有することを特徴とするパルス
    型電磁石用電源装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載されたパルス型電磁石用
    電源装置において、前記制御手段は、前記電磁石用コイ
    ルと前記第2のコンデンサとが接続された後、フラット
    トップ時間が経過したと判断すると前記第1及び前記第
    2のスイッチ手段によって前記電磁石用コイルを前記第
    1及び前記第2のコンデンサを切離制御しており、前記
    電磁石用コイルが前記第1及び前記第2のコンデンサか
    ら切り離し制御された際、前記電磁石用コイルに蓄積さ
    れたエネルギーを前記第1のコンデンサに回生する回生
    ルートを形成する回生手段が備えられていることを特徴
    とするパルス型電磁石用電源装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載されたパルス型電磁石用
    電源装置において、前記第1及び前記第2のスイッチ手
    段はスイッチングトランジスタであることを特徴とする
    パルス型電磁石用電源装置。
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