JP2797870B2 - 車両のドア構造 - Google Patents

車両のドア構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は車両のドア構造に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来のドア構造としては、例えば図11
及び図12に示すようなものが知られている(実開昭6
1−125817号公報参照)。このドアはアウタパネ
ル1とインナパネル2より成るドア本体3内にサッシュ
部4を組み付けた構造となっており、このドア本体3内
に設けた図示せぬレギュレータ装置にてドアウィンドウ
パネル5を昇降自在としている。
【0003】特に、このドアのインナパネル2の上部に
は作業用の切欠部6が形成してあり、この切欠部6にレ
インフォース7が取付けてある。このレインフォース7
は断面コ字を呈しており、前後のフランジ部7a、7b
を、アウタパネル1の前端面1a及び後端面1bに、そ
れぞれボルト・ナット手段8で取付けてある。そして、
このレインフォース7を切欠部6に取付けることによ
り、切欠部6によるドアの強度低下を防いでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の技術にあっては、レインフォース7の前後の
フランジ部7a、7bを、アウタパネル1の前端面1a
及び後端面1bに対し、ボルト・ナット手段8によりド
ア長手方向(前後方向)に沿った方向性で取付ける構造
となっていたため、レインフォース7の取付点強度並び
にドア全体の剛性向上の面で不利である。つまり、取付
点(ボルト・ナット手段8)の位置がドア厚さ方向(左
右方向)において同一位置にあるため、ドアのねじれ変
形等に対する剛性の面で不利である。
【0005】また、レインフォース7のインナパネル2
に対する取付方向(ドア厚さ方向)に対して、ボルト・
ナット手段8による締め付け方向(ドア長手方向)が相
違しているために、このレインフォース7のフランジ部
7a、7bをボルト・ナット手段8により強く締めてい
くと、レインフォース7自体に無理な変形が生じると共
にドア全体の組立精度にも悪影響を与えるおそれがあ
る。
【0006】更に、インナパネル2の上部に作業用の切
欠部6が形成してあるため、この部分にレインフォース
7を設けているものの、ドアの全体的な剛性はどうして
も低下する。従って、ドアウィンドウパネル5の昇降精
度に悪影響を与えるおそれがあり、またドアに外力が加
わった際のエネルギー吸収性能が低下するおそれもあ
る。そこで、従来はドアウィンドウパネル5を昇降させ
るレギュレータ装置に特別精度の良いものを採用した
り、或いはドアを構成するパネル部材の板厚を上げたり
する必要があり、重量及びコストの面で不利である。
【0007】この発明はこのような従来の技術に着目し
てなされたものであり、ドア全体の剛性向上が図れると
共に取付作業性が良い車両のドア構造を提供するもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
る車両のドア構造は、中央に開放部を切欠形成して略凹
形状を呈したインナパネルの各ウエスト部に、ドアウィ
ンドウパネル及びレギュレータが組付けられたインナフ
レームの長手方向端部を、各々ドア厚さ方向で位置の相
違した複数の取付点でもって、車内側からのボルト・ナ
ット手段により取付けた車両のドア構造であって、前記
ボルト・ナット手段が各々ドア厚さ方向に沿ったもので
ある。
【0009】請求項2記載の発明に係る車両のドア構造
は、中央に開放部を切欠形成して略凹形状を呈したイン
ナパネルの各ウエスト部に、ドアウィンドウパネル及び
レギュレータが組付けられたインナフレームの長手方向
端部を、各々ドア厚さ方向で位置の相違した複数の取付
点でもって、車内側からのボルト・ナット手段により取
付けた車両のドア構造であって、前記インナフレーム上
端部の略中央位置に該インナフレーム上端部よりも若干
短いサイズのレインフォースを車外側から接合してドア
長手方向に沿った第一閉断面部を形成し、開放部をはさ
んで対峙するインナパネルの各ウエスト部にそれぞれ車
外側からウエストブラケットを接合してドア長手方向に
沿った第二閉断面部を形成すると共に該第二閉断面部を
形成するウエストブラケットの一部を開放部側へ突出さ
せてドア長手方向に沿った延設部とし、且つ、前記第一
閉断面を前記延設部に車内側から重合結合させて、第一
閉断面部と両第二閉断面部とを長手方向に沿って連続さ
せたものである。
【0010】請求項3記載の発明に係る車両のドア構造
は、前記ドアロックに対応する後側のウエストブラケッ
トを下方へ延長し、該ウエストブラケット上にドアロッ
クを設置すると共に、ドアロックのリンケージを少なく
とも後側の第二閉断面部及び第一閉断面部内に配索した
ものである。ここで、「リンケージ」とは、ワイヤ又は
ロッド、及びこれらを連結するベルクランク等を含むも
のであり、インサイドハンドルの操作力をドアロック或
いはアウトサイドハンドル等に伝える伝達手段を意味す
る。
【0011】尚、以上及び以下の説明において、「前
後」「左右」等の方向性は、全て、ドアを車両に取付け
た状態で特定したものである。従って、「ドア長手方
向」とは「前後方向」であり、「ドア厚さ方向」とは
「左右方向」を意味する。
【0012】
【作用】請求項1の車両のドア構造によれば、インナフ
レームをドア厚さ方向で位置の相違した複数の取付点で
もってインナパネルに取付けるので、ドア全体としての
十分な剛性が得られる。
【0013】また、インナフレームをドア厚さ方向に沿
うボルト・ナット手段でもってインナパネルに取付ける
ので、インナフレームの取付方向とボルト・ナット手段
の方向性が合致し、取付作業性が向上すると共に、イン
ナフレーム自体或いはドアに無理な変形を強いることも
ない。
【0014】請求項2の車両のドア構造によれば、イン
ナフレームの上端部にレインフォースに接合して第一閉
断面部を形成すると共にインナパネルの各ウエスト部に
ウエストブラケットを接合して第二閉断面部を形成し、
そして第一閉断面部及び両第二閉断面部の双方を長手方
向に沿って連続させたため、ドアの全体剛性が向上す
る。従って、ドアウィンドウパネルの昇降精度も高ま
り、外力のエネルギー吸収性能も向上する。
【0015】請求項3の車両のドア構造によれば、ドア
ロックに対応する後側のウエストブラケットを下方へ延
長し、そこにドアロックを設置したため、ウエストブラ
ケットがドアロックの補強板兼用となり、ドアロックの
取付剛性を高めることができるため、従来別個に設けら
れていた補強板(ロックパッチ)を省略することができ
る。また、ドア長手方向に沿って連続した少なくとも第
一閉断面部及び後側の第二閉断面部内にドアロックのリ
ンケージを配索したため、リンケージの不正操作を未然
に防止することができる。
【0016】
【実施例】以下、この発明の好適な実施例を図面に基づ
いて説明する。この実施例は自動車の左フロントドアを
示すものである。尚、図中において、Yが前後方向(長
手方向)、Xが左右方向(厚さ方向)である。
【0017】図1〜図3はこの発明の第1実施例を示す
図である。まず、図1に、このドアの全体構造を示し
た。すなわち、Aがアウタモジュールで、Bが昇降モジ
ュールで、Cがインナモジュールである。以下、各モジ
ュールA、B、Cの構造を説明する。
【0018】アウタモジュール このアウタモジュールAは、主にアウタパネルA1とイ
ンナパネルA2とから構成されている。アウタパネルA
1の外面と上面にはそれぞれモールドA3、A4が取付
けられるものである。また、このアウタパネルA1の内
面には、強度剛性を高めるためのレインフォースA5と
ガード部材A6が設けられている(図2参照)。
【0019】また、インナパネルA2の車室内側の略全
面には大きな開放部A7が上側から切欠き形成され側面
視で凹部形状となっており、このインナパネルA2の前
端面には上下ヒンジ部A10も取付けてある。
【0020】昇降モジュール この昇降モジュールBは、主にドアウィンドウパネルB
1、コーナピースB2、レギュレータB3、インナフレ
ームB4とから構成されている。レギュレータB3は、
前後方向Yに沿う3本のブラケット(アッパブラケット
B5、ウェストブラケットB6、ロアブラケットB7)
を上下方向に沿って並設し、このブラケットB5、B
6、B7に、前後方向Yに並設させた3本のレール(フ
ロントレールB8、センタレールB9、リヤレールB1
0)を組み付けた基本構造となっており、この3本のレ
ールB8、B9、B10にキャリアプレートB11が上
下摺動自在に取付けられているものである。
【0021】ドアウィンドウパネルB1の底辺部はこの
キャリアプレートB11に固定され、キャリアプレート
B11と一体的に上下動するようになっている。ウェス
トブラケットB6の前方には駆動部B12が設けられて
おり、この駆動部B12と上下プーリB13、B14間
にかけ回したワイヤB15の一箇所を前記キャリアプレ
ートB11に取付けることにより、該キャリアプレート
B11を駆動部B12により上下動できるようになって
いる。更に、このウェストブラケットB6の内側には中
央にネジ孔B16を形成したL型ブラケットB17が設
けられていると共に、同じくウェストブラケットB6の
前側部分にはネジ孔B18付きのブラケットB19が取
付けてある。また、インナフレームB4の内側にはイン
ナモジュールCの位置保証を行うためのロケート孔B2
0が前後に設けてある。
【0022】インナモジュール このインナモジュールCは、主にトリム本体C1、ポケ
ット形成部材C2、開閉操作部C3とから構成されてい
る。C4はスピーカで、トリム本体C1に取付けられ
る。また、トリム本体C1の上部には前後にロケートピ
ンC6が突設してあり、アームレストC7には底部に取
付孔C8が形成されたプルハンドル用の凹部C9が設け
られている。更に、アームレストC7のグリップ部C1
0の上端部には取付孔C11が設けてある。
【0023】組立手順 次に、前記アウタモジュールA、昇降モジュールB、イ
ンナモジュールCによるドアの組立手順を説明する。
【0024】まず、昇降モジュールBをアウタモジュー
ルAに対して取付ける。アウタモジュールAのインナパ
ネルA2における前後上端部のウエスト部Wには、それ
ぞれドア内部側に位置した段差部A11、A12が設け
られており、この各段差部A11、A12はそれぞれド
ア内部に設けられたブラケットA13、A14により内
側から支えられている。また、これら前後の段差部A1
1、A12には前側に1つ、後側に2つの取付孔A1
5、A16が形成されており、この段差部A11、A1
2に近接したインナパネルA2の前後上端部にはそれぞ
れ前側に2つ、後側に1つの取付孔A17、A18が形
成されている。
【0025】一方、昇降モジュールBのインナフレーム
B4は、インナモジュールC側の第一部材B21と、ア
ウタモジュールA側の第二部材B22とを接合すること
により一種の中空断面構造体となっており、そして前側
の接合部には前記取付孔A17に対応する2つの取付孔
B23を、後側の接合部には前記取付孔A18に対応す
る1つの取付孔B24を形成した。また、アウタモジュ
ールA側の第二部材B22には、前側に前記取付孔A1
5に対応する取付孔B25が形成してあり、後側には前
記取付孔A16に対応する取付孔B26が形成してあ
る。そして、インナモジュールC側の第一部材B21に
は、前記第二部材B22に形成した取付孔B25、26
に対応する作業孔B27が各々形成してある。また、イ
ンナパネルA2の段差部A11へつながる傾斜面A20
に対面するB79が、また後側の傾斜面21に対応する
面B80が各々形成してある。
【0026】従って、昇降モジュールBのインナフレー
ムB4を、アウタモジュールAのインナパネルA2の前
後上端部に対し、左右方向Xに沿ってセットし、それぞ
れの取付孔A15〜18、B23〜26を位置決めした
後に、作業孔B27をを利用してボルト・ナット手段B
28により両者を固定すれば、昇降モジュールBの取付
けが完了する。このアウタモジュールAに対する昇降モ
ジュールBの取付けは、左右方向Xに沿った取付作業だ
けなので、作業性が大変に良い。また、インナフレーム
B4の両側部分を変形しづらい中空構造体とすると共
に、このインナフレームB4とインナパネルA2との取
付点(ボルト・ナット手段B28の位置)を複数箇所に
し、しかも取付点B28の位置を前後方向Y・左右方向
X・上下方向において、それぞれずらして設定したの
で、インナフレームB4(ドアウィンドウパネルB1)
の取付精度が高まると共にドアの剛性向上にも多いに寄
与する。そして、前記各取付孔A15〜18、B23〜
26の直径はボルト・ナット手段B28のボルト径より
も若干余裕があり、この余裕範囲内において、インナパ
ネルA2に対するインナフレームB4の前後方向Y・上
下方向における微妙な位置調整が行なえるようになって
いる。また、インナフレームB4は面B79、B80を
有するので、車両の前後方向Yの過大入力が作用した時
はこの面B79、B80が傾斜面A20、A21に当接
するので、前後方向Yにおける強度を高くすることが可
能となる。
【0027】次に、昇降モジュールBに対するインナモ
ジュールCの取付け方を説明する。インナモジュールC
にはロケートピンC6が突設してあるため、インナモジ
ュールCを左右方向Xに沿って昇降モジュールBにセッ
トし、インナモジュールCのロケートピンC6を、昇降
モジュールBのインナフレームB4に形成されたロケー
ト孔B20へ挿入する。そして、このロケートピンC6
とロケート孔B20との対応により、インナモジュール
Cに対するインナフレームB4の位置保証はなされ、取
付けはトリム本体C1の裏側に一体的に形成したクリッ
プCBを昇降モジュールBに形成した取付孔BBに挿入
することで行われる。更に、インナモジュールCのアー
ムレストC7に設けられた凹部C9の取付孔C8から挿
入したネジB29を、昇降モジュールBのL形ブラケッ
トB17のネジ孔B16内へ螺合させると共に、グリッ
プ部C10の上端の取付孔C11から挿入したネジB3
0を昇降モジュールB側のウェストブラケットB6に固
定されたブラケットB19のネジ孔B18へ螺合させ
る。これによりアームレストC7にかかる力を昇降モジ
ュールBに分散させることができる。そして、この基本
的取付作業の終了した後に、インナモジュールCの周辺
部を、インナパネルA2及びインナフレームB4の所定
位置(例えば、取付孔AA)にそれぞれクリップCCで
止めていくことによりインナモジュールCの取付作業が
全て完了する。このようにして完成されたドアは、ドア
ウィンドウパネルB1が出入りするウェスト開口(アウ
タパネルA1の上辺部とインナフレームB4との間の隙
間)が従来のものよりも狭く設定してあるため、ドアの
全体剛性が格段と向上する。そして、このウェスト開口
に従来設けられていたドアウィンドウパネルB1支持用
のスタビライザを重量軽減のために廃止してある。
【0028】図4〜図7はこの発明の第2実施例を示す
図である。先の第1実施例ではサシュレスドアを例にし
たが、この実施例ではサッシュ部を一体的に備えたタイ
プのドアを例にしている。10がアウタモジュールで、
11が昇降モジュールを示しており、インナモジュール
の図示は省略してある。アウタモジュール10は、アウ
タパネル12とインナパナル13とから主に構成されて
おり、ドアウィンドウパネル14を支持するサッシュ部
15を一体的に備えていると共に、インナパネル13に
は先の実施例同様に大きめの開放部16が上側から切欠
き形成してある。
【0029】開放部16をはさんで対峙するインナパネ
ル13の各ウエスト部Wには、車内側へ向けた凸部1
7、18が各々形成されており、該凸部17、18の上
面部は車内側へ向けて若干下がった傾斜状態となってい
る。また、前後の各ウエスト部Wにはそれぞれ車外側か
らウエストブラケット19、20が接合してある。
【0030】前側のウエストブラケット19は、上側の
コーナピース21部分と凸部17の下側部分も含めたサ
イズを有し、凸部17に対応する部分19aは凸部17
に相反する断面形状で車外側へ出張っている。従って、
凸部17とこの対応部分19aとで断面平行四辺形をし
た前側の第二閉断面部22が形成される。更に、この前
側のウエストブラケット19には、その対応部分19a
をそのまま開放部16側に一定長さだけ水平に突出させ
た状態の延設部23が一体的に備えられている。
【0031】後側のウエストブラケット20は、上はサ
ッシュ部15の付け根部分から下はドアロック24まで
至るサイズを有し、先の前側のウエストブラケット19
と同様に、凸部18と対応部分20aとで第二閉断面部
25を形成している。そして、この後側のウエストブラ
ケット20にも、その対応部分20aをそのまま開放部
16側に一定長さだけ水平に突出させた状態の延設部2
6が一体的に備えられている。
【0032】なお、この後側におけるウエストブラケッ
ト20は、前述のように凸部18との間に第二閉断面部
25を形成するだけでなく、上側のサッシュ部15の付
け根部との間でも上側に延びる別の閉断面部27を形成
し、また凸部18の下側のインナパネル13との間でも
ドアロック24付近にまで延びる閉断面部18を形成し
ており、これらの各閉断面部25、27、28は互い連
通状態となっている。下側の閉断面部28の下面部29
は傾斜状態となっており、この下面部29には開口30
が形成されている。そして、このウエストブラケット2
0の下側部分は前記該閉断面部28以外の部分が全てイ
ンナパネル13に重合されており、前記ドアロック24
もこのウエストブラケット20上に取付けられている。
従って、ドアロック24の取付強度が大変に高く、別物
の補強板を設ける必要がない。また、このドアロック2
4と、後述する昇降モジュール11のインナフレーム3
1に設けたインサイドハンドル32とは、リンケージ3
3にて連結されている。
【0033】そして、前後のウエスト部Wに形成した各
凸部17、18の上面部には、それぞれ1つづつ車外側
に溶接ナットN1 、N2 を備えた取付孔H1 、H2 が形
成されている。また、前後の凸部17、18の下方部分
で、ウエストブラケット19、20を接合した部位に
も、溶接ナットN3 〜N6 付きの取付孔H3 〜H6 がそ
れぞれ上下一対状態で形成されており、更に、開放部1
6側へ突出させた前後の延設部23、26にも、同様に
溶接ナットN7 、N8 付きの取付孔H7 、H8 が1つづ
つ形成してある。更に、開放部16の下側中央にも熔接
ナットN9 付きの取付孔H9 が形成してある。
【0034】次に、昇降モジュール11の説明をする。
この昇降モジュール11は、逆山形状をしたインナフレ
ーム31と、支持板34と、レギュレータ35と、ドア
ウィンドウパネル14とを備えている。レギュレータ3
5は、支持板34に沿ってループ状にかけ回されたワイ
ヤ36と、該ワイヤ36を上下に駆動させる駆動部37
を備え、前記ワイヤ36の一部をドアウィンドウパネル
14の下端に固定することにより、該ドアウィンドウパ
ネル14を昇降自在としている。なお、このドアウィン
ドウパネル14の前後縁は図示せぬアウタモジュール側
に設けたロアレール部及びサッシュ部15にて支持さ
れ、該レール部及びサッシュ部15に沿った昇降軌跡を
描くようになっている。
【0035】インナフレーム31の上端部38には、前
記インナパネル13の凸部17、18に相応する形状の
凸部39が長手方向に沿って連続形成されている。ま
た、この凸部39が形成されているインナフレーム31
の上端部38には、その長手方向中央部に、インナフレ
ーム31の上端部38よりも若干短いサイズのレインフ
ォース40が車外側から接合してある。インナフレーム
31の凸部39は前記ウエスト部Wの凸部17、18に
相応する断面形状を有し、レインフォース40は前記延
設部23、26に相応する断面形状を有している。そし
て、このインナフレーム31の上端部38とレインフォ
ース40とで第一閉断面部41を形成している。
【0036】そして、インナフレーム31における凸部
39の上面部には、前後両端部にボルトB1 、B2 を挿
通する取付孔h1 、h2 が各々形成されている。この取
付孔h1 、h2 はウエスト部W側の凸部17、18の上
面部に形成した取付孔H1 、H2 に対応するものであ
る。更に、取付孔h1 、h2 の内側で第一閉断面部41
の両端部に相当する位置には、ボルトB7 、B8 の頭部
まで挿入可能な挿入孔S7 、S8 が形成されている。そ
して、この挿入孔S7 、S8 に対応するレインフォース
40には取付孔h7 、h8 が形成されている。この取付
孔h7 、h8 は、前記延設部23、26に形成した取付
孔H7 、H8 に対応するものである。また、インナフレ
ーム31の前後両端部で、凸部39の下側部分には、前
記ウエスト部Wに形成した各取付孔H3 〜H6 に対応す
る取付孔h3 〜h6 がそれぞれ設けられている。また、
支持板34の下端ブラケット42には前記取付孔H9
対応する取付孔h9 が形成されている。
【0037】従って、昇降モジュール11をアウタモジ
ュール10のインナパネル13へ車内側からセットし、
両者の取付孔H1 〜H9 と取付孔h1 〜h9 とを位置決
めした後にボルトB1 〜B9 を螺合することにより、昇
降モジュール11のアウタモジュール10に対する取付
けが完了する。この実施例においても、例えば、「取付
点」としての取付孔H1 、H2 (ボルトB1 、B2
と、取付孔H3 、H5 (ボルトB3 、B5 )とは、ドア
厚さ方向における位置が差dだけ相違している(図6参
照)。そして、昇降モジュール11を取付けた後に、図
示せぬインナモジュールを取付けることによりドアが完
成する。
【0038】前述のようにして、昇降モジュール11の
インナフレーム31をアウタモジュール10のウエスト
部Wへ取付けることにより、該前後のウエスト部Wに形
成されている第二閉断面部22、25と、インナフレー
ム31の第一閉断面部41とが長手方向に沿って連続す
ることとなり、ドアのねじれ剛性等の全体的剛性が向上
する。しかも、第二閉断面部22、25側にある延設部
23、26が第一閉断面部41の車外側へ重合し(図5
参照)、また第一閉断面部41があるインナフレーム4
0の両端の凸部39が第二閉断面部22、25の車内側
に重合されるため、第一閉断面部41と第二閉断面部2
2、25とは一体的且つ密接に連続した状態となり、特
にドアのウエストラインに沿った部分の剛性が高まる。
また、剛性が高まった分、ドアが外力を受けた際におけ
るエネルギー吸収性能も高まるため、乗員保護の面でも
有利である。このように、ドアの全体剛性が十分に向上
するため、従来のようにアウタパネル12やインナパネ
ル13等の板厚等を上げる必要がなく、重量及びコスト
の面で有利である。更に、ドアの全体剛性が高まること
により、レギュレータ35によるドアウィンドウパネル
14の昇降精度も向上するため、ドアウィンドウパネル
14のガタつき等もなくなる。
【0039】加えて、この実施例では、インサイドハン
ドル32からの操作力をドアロック24へ導くリンケー
ジ33を、第一閉断面部41と、後側の第二閉断面部2
5と、この第二閉断面部25に連通した下側の閉断面部
28内に配索している。すなわち、インサイドハンドル
32の取付部付近にはドア内部及び第一閉断面部41に
つながる孔部43が形成されており、前述の如きインナ
フレーム31の取付けを完了させた後に、インサイドハ
ンドル32からのリンケージ33をここから第一閉断面
部41内に入れ、該リンケージ33をそのまま後側の第
二閉断面部25及び下側への閉断面部28を通過させた
後、該閉断面部28の下面部29に形成した開口30か
ら出してドアロック24に連結している。このように、
リンケージ33の周囲が各閉断面部41、25、28に
て保護されることとなるため、リンケージ33が外部か
ら不正に操作されてドアロック24を解錠されるおそれ
がない。また、ドアロック24の真上位置には前記閉断
面部28があり、アウタパネル12とインナパネル13
との間に雨水等の水Rが侵入しても、その水Rは閉断面
部28の表面をつたわって、例えば開口30の上縁30
aから下方へ落ちるため、ドアロック24にかからな
い。従って、寒冷地等においてドアロック24が被水し
て凍結を起こす心配はない。
【0040】以下、第2実施例に関連した第3・第4・
第5実施例を示す。尚、各部の符号は第2実施例と同じ
ものを用いた。図8はこの発明の第3実施例である。こ
の実施例は第一閉断面部41の断面形状の変形例を表す
ものである。すなわち、延設部23、26及びレインフ
ォース40の角部K1 を断面内に突出させた断面形状を
呈している。このような断面形状にすることにより、新
たに2つの角部K2 、K3 ができるため、第一閉断面部
41の剛性が更に高まる。
【0041】図9はこの発明の第4実施例である。この
実施例では、レインフォース40の角部K4 だけを断面
内に突出させ、延設部23、26の角部K5 はそのまま
にした例を示すものである。このようにすることによ
り、レインフォース40と延設部23、26とで断面内
に新たな閉断面部44が形成され、第一閉断面部41の
剛性が更に高まる。
【0042】図10はこの発明の第5実施例を示す図で
ある。この実施例では、ドアロック24の真上の閉断面
部28の下面部45を水平にすると共に、この閉断面部
28の下端周辺に樋46を形成したものである。従っ
て、ドア内部に雨水等の水Rが侵入してもその水Rは樋
46に受け止められ、下方のドアロック24にかからな
い。
【0043】
【発明の効果】請求項1記載の発明に係るの車両のドア
構造によれば、インナフレームをドア厚さ方向で位置の
相違した複数の取付点でもってインナパネルに取付ける
ので、ドア全体としての十分な剛性が得られる。また、
インナフレームをドア厚さ方向に沿うボルト・ナット手
段でもってインナパネルに取付けるので、インナフレー
ムの取付方向とボルト・ナット手段の方向性が合致し、
取付作業性が向上すると共に、インナフレーム自体或い
はドアに無理な変形を強いることもない。
【0044】請求項2記載の発明に係るの車両のドア構
造によれば、インナフレームの上端部にレインフォース
にて第一閉断面部を形成すると共にインナパネルの各ウ
エスト部にウエストブラケットにて第二閉断面部を形成
し、そして第一閉断面部及び第二閉断面部の双方を長手
方向に沿って連続させたため、ドアの全体剛性が向上す
る。従って、ドアウィンドウパネルの昇降精度も高ま
り、外力のエネルギー吸収性能も向上する。
【0045】請求項3記載の発明に係る車両のドア構造
によれば、ドアロックに対応する後側のウエストブラケ
ットを下方へ延長し、そこにドアロックを設置したた
め、ウエストブラケットがドアロックの補強板兼用とな
り、ドアロックの取付剛性を高めるために従来別個に設
けられていた補強板(いわゆるロックパッチ)を省略す
ることができる。また、ドア長手方向に沿って連続した
第一閉断面部及び第二閉断面部内にドアロックのリンケ
ージを配索したため、リンケージの不正操作を未然に防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係るドア構造を示す組
立図である。
【図2】車室内側から見たドア構造を示す組立図であ
る。
【図3】インナフレームをインナパネルに取付けた状態
を示す図2中矢示SA−SA線に沿った一部省略の断面
図である。
【図4】この発明の第2実施例に係るドア構造を示す組
立図である。
【図5】第4図中矢示SA−SA線に沿う断面図であ
る。
【図6】第4図中矢示SB−SB線に沿う断面図であ
る。
【図7】第4図中矢示DA方向から見た部分斜視図であ
る。
【図8】この発明の第3実施例に係る第一閉断面部の断
面図である。
【図9】この発明の第4実施例に係る第一閉断面部の断
面図である。
【図10】この発明の第5実施例を示す図7相当の部分
斜視図である。
【図11】従来のドア構造を示す図である。
【図12】インナフレームをインナパネルに取付けた状
態を示す図11中矢示SG−SG線に沿った一部省略の
断面図である。
【符号の説明】
A、10 アウタモジュール A2、13 インナパネル A7、16 開放部 B、11 昇降モジュール B1、14 ドアウィンドウパネル B3、35 レギュレータ B4、31 インナフレーム B28 ボルトナット手段(取付点) B1 〜B9 、N1 〜N9 ボルト・ナット手段(取付
点) C インナモジュール 19、20 ウエストブラケット 22、25 第二閉断面部 23、26 延設部 24 ドアロック 33 リンケージ 40 レインフォース 41 第一閉断面部 W ウエスト部 X 左右方向(ドア厚さ方向) Y 前後方向(ドア長手方向)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 隆行 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地日産 自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−60375(JP,A) 特開 平4−197828(JP,A) 特開 平5−42827(JP,A) 実開 平3−91214(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60J 5/00 B60J 5/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中央に開放部を切欠形成して略凹形状を
    呈したインナパネルの各ウエスト部に、ドアウィンドウ
    パネル及びレギュレータが組付けられたインナフレーム
    の長手方向端部を、各々ドア厚さ方向で位置の相違した
    複数の取付点でもって、車内側からのボルト・ナット手
    段により取付けた車両のドア構造であって、 前記ボルト・ナット手段が各々ドア厚さ方向に沿ったも
    のであることを特徴とする車両のドア構造。
  2. 【請求項2】 中央に開放部を切欠形成して略凹形状を
    呈したインナパネルの各ウエスト部に、ドアウィンドウ
    パネル及びレギュレータが組付けられたインナフレーム
    の長手方向端部を、各々ドア厚さ方向で位置の相違した
    複数の取付点でもって、車内側からのボルト・ナット手
    段により取付けた車両のドア構造であって、 前記インナフレーム上端部の略中央位置に該インナフレ
    ーム上端部よりも若干短いサイズのレインフォースを車
    外側から接合してドア長手方向に沿った第一閉断面部を
    形成し、 開放部をはさんで対峙するインナパネルの各ウエスト部
    にそれぞれ車外側からウエストブラケットを接合してド
    ア長手方向に沿った第二閉断面部を形成すると共に該第
    二閉断面部を形成するウエストブラケットの一部を開放
    部側へ突出させてドア長手方向に沿った延設部とし、 且つ、前記第一閉断面を前記延設部に車内側から重合結
    合させて、第一閉断面部と両第二閉断面部とを長手方向
    に沿って連続させたことを特徴とする車両のドア構造。
  3. 【請求項3】 ドアロックに対応する後側のウエストブ
    ラケットを下方へ延長し、該ウエストブラケット上にド
    アロックを設置すると共に、ドアロックのリンケージを
    少なくとも後側の第二閉断面部及び第一閉断面部内に配
    索した請求項2記載の車両のドア構造。
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