JP3648925B2 - キャビンのドア取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トラクタやコンバイン等の車両に搭載するキャビンのドア取付構造に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
車両に搭載するキャビンのドアは、車体上にドアを回動自在に支持するドアピラーを立設し、このドアピラーに回動ヒンジを取り付け、この回動ヒンジからアーム部材を介してドアを取り付ける構成となっている。しかしながら、これらのキャビンは、運転者の空間を安全に確保するために強度を十分に保持する必要が有る一方、なるべくこのフレームをコンパクトに構成し運転者の視界を良好にする必要が有る。また、これらのキャビンは、表面上の凹凸を極力少なくして、外観を損なわない構成にすることが望ましい。
【0003】
【課題を解決するための手段】
この発明は、以上のような課題に鑑みて、キャビンのドア取付構成を以下のように構成した。即ち、車体14上に突条部1を形成するキャビン16のドアピラー3を立設し、この突条部1内の溝肩部6,6間を回動ヒンジ10を有するプレートステー5にて連結すると共に、前記回動ヒンジ10からキャビン16の内側を通じて前記ドアピラー3の前端部を迂回するアーム9を設け、このアーム9を介してドア2を、このドア表面が前記突条部1の外面に略沿って位置するように取り付けたキャビンのドア取付構造とした。
【0004】
【発明の効果】
以上のようなキャビンのドア取付構成は、突条部1を形成するドアピラー3の内部にて、この突条部1内の溝肩部6,6間をプレートステー5にて連結したのでドアピラー3の強度を増強することができ、また、このプレートステー5にドア2を支持する回動ヒンジ10を設けたので、これをドアピラー外側に設けることと比較して、ピラーの幅をより狭くすることでき作業者の視界を広くすることができる。また、前記回動ヒンジ10をドアピラー3内に収納し、このドア2を支持するアーム9をキャビン16内部から延設し、このドア2の断面がドアピラー3の突条部1の外面に略沿った状態でドア2を取り付けているので表面の凹凸が少なくなり、外観を損なうことが無い。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づきこの発明の実施の形態をキャビンを搭載する農業用トラクタについて説明する。
トラクタは、図4に示すように、前部のボンネット15内にエンジンを搭載し、このエンジンからミッションケース14を連結し、このケース後部左右に後車輪18を設け、前記エンジンの左右側方に前車輪17を設けている。19は後車輪18を前方から上方へかけて覆う左右一対のフェンダーで、この左右のフェンダー19間に操縦席75を支持するシートフロア20を設けている、また、このフロア20の前側左右にはステップ21を設けている。キャビン16は、このフロア20部の前後左右の四隅部に、フロントピラー22,22とドアピラー3,3を設け、これら各フロントピラー22,22とドアピラー3,3との上端部に亘ってルーフ23を設けた構成となっている。
【0006】
左右のフロントピラー22,22間にはフロントガラス24を設け、後側左右のドアピラー3間にはリヤガラス25を設け、左右夫夫のフロントピラー22とドアピラー3との間には、後述するドア2を回動自在に設ける。
前記ドア2とドアピラー3について詳細に説明する。
ドア2は、図3に示すように、正面視「く」の字型に屈折した前ガラス2Aと、この後端部に連結した後ガラス2Bと、各連結部材等から構成され、この前ガラス2Aと後ガラス2Bは、この接合面47を接着剤で固着すると共に、キャビン16の内側で枠形成したガラス連結フレーム38を介してボルト39…,49…で連結した構成となっている。また、前ガラス2A外側の前部にはハンド26を設け、このハンド26の裏側にこのドアロック装置(図示省略)を操作するドアロックブラケット74を設けている。そして、このドアロックブラケット74と前記ガラス連結フレーム38とを運転座席75側方から前方に伸びるハンドフレーム46を介して連結した構成となっている。
【0007】
これにより、従来このドア2の周囲に鉄製フレーム等を設け、これにハンドフレームを支持する構成と比較して、ドア2の周囲、特に運転座席75の前方左右下方をガラス材のみで構成することができ、作業者の視界を妨げることが無い。従って、トラクタでの作業中に条旋回を繰り返すときに、既耕地と未耕地との境界を確認し易くなり車両の操作性を向上することができる。
【0008】
また、前記ガラス連結フレーム38の後枠には、鍵状に湾曲したドアアーム9を溶接し、この先端部に回動ヒンジ10を設けている。また、この後ガラス2Bの縁部で後述するドアピラー3に沿う個所にはゴム材からなるシール40が取り付けられている。
ドアピラー3は、図1、及び図2に示すように、中空状の鉄製フレームにて構成され、前記ミッションケース14、即ち車体側に設けたフェンダー19の後部に立設している。そして、このドアピラー3は、キャビン16の外側に向かって突出する突条部1を形成する外板部28と、キャビン16の内側に位置する内板部29とを前後側縁部30,31部を重合させて熔接した構成となっており、更に内板部29の内側には樹脂製の内装カバー32をはめ込んだ構成となっている。従って、ドアピラー3の断面は凸形状となっている。
【0009】
また、このドアピラー3の内部において、上下ヒンジ12,12のそれぞれ上下二個所に、上下一定距離Lを隔てて、前記突条部1の両溝肩部6,6間をプレートステー5にて溶接して連結している。このプレートステー5は、ボルト穴を有し、前記突条部1の裏側に形成されるピラー溝4内に前記ドア2を支持する固定ヒンジ12を取り付ける構成となっている。また、前記プレートステー5よりキャビン内側、即ち内側の中空部27には、ストッパープレート7を設け、このストッパープレート7の前縁部35は、キャビン内側へ屈折して形成され、ドア2を開放した時にドアアーム9が当接してストッパーとなる構成になっている。更に、前記固定ヒンジ12が位置する同高さの内板部29には、キャビン16内側から前記ドアアーム9が入出可能に開口穴34が設けられ、また、前記カバー32にも同様にドアアーム9が入出可能に上下一定幅の切欠部33が設けられている。
【0010】
以上のように構成したドア2をドアピラー3に取り付ける時には、最初に、ドア2の回動ヒンジ10を、取付プレート7の上下固定ヒンジ間37に位置させて、両ヒンジ8,10,8に偏平部36を有するヒンジピン11を挿通する。そして、ドア側の回動ヒンジ10、固定ヒンジ8及び取付ステー7を一体部品12(ヒンジピン11の抜き差しにより脱着可能)とした後、ドアアーム9を、内板部29の開口穴34を通して、取付プレート7を上下プレートステー5,5にボルト13,13にて組み付ける。このとき、ヒンジピン11の頭部偏平部36が上プレートステー5の下方に位置するように組み付ける。尚、内装カバー33は、前記切欠部33内にドアアーム9が位置するように、内板部29にはめ込む。
【0011】
これにより、車体の振動等によりヒンジピン11が上方へ抜けようとしても、この頭部の偏平部36がプレートステー5に係止されて抜け外れることはが無い。従って、従来のヒンジピンのように、この上下端にヒンジピンが抜け落ち無いようにナットなどのストッパーを設ける構成と比較して、部品点数を少なく構成することができ、またドアの組み付けに掛る工数を少なくすることができる。尚、図例ではドア2の上ヒンジを示すが、下ヒンジも同様な構成でドアピラー3に取り付ける。
【0012】
また、図2に示すように、前記ドア2をドアピラー3に組み付けた状態を水平方向に断面すると、前記一体部品12がピラー溝4内に内装され、ドアアーム9は、キャビン内側からドアピラー3の前端部を迂回して、前記突条部1の外面とドア2の外面とが略一直線上に位置するように取り付けた構成となっている。
以上のように構成したキャビン16のドア取付構成は、突条部1を有するドアピラー3の内部において、この凸部内の溝肩部6,6間をプレートステー5にて連結したのでドアピラー3の強度を増強することができ、また、このプレートステー5にドア2を支持する回動ヒンジ10を設けたので、これをピラー外側に設けることと比較して、ピラーの幅をより狭く構成でき作業者の視界を広くすることができる。また、このドア2を支持するアーム9をキャビン16内部から延設し、このドア2の断面がドアピラー3の突条部1の外面に略沿った状態でドア2を取り付けているので表面上の凹凸が少なくなり、外観を損なうことが無い。
【0013】
また、ここでは、前記回動ヒンジ10をドアピラー3の中空部のピラー溝4内に収納する構成としたので、ドアを大きく開放することができ、また、ピラー3内の幅広部27にスペースができ、このスペースに空調用の配管76や電気コードなどを挿通して利用することができる
前記リヤガラス24は、ルーフ23の後下部にヒンジ42を設け、上下に開閉回動可能に構成されている。リヤガラス24の左右両側部は前側へ湾曲されて、このリヤガラス24を閉めた状態では、この前端縁部43を前記ドアピラー3の突条部1の後面44に接近させて、この後面44とリヤガラス25との面が略一直線上に位置するように設けられている。尚、符号45は、リヤガラスの周縁部に取付けたシール材を示す。これにより、トラクタの側面形状は前記ドア2の取り付け構造と併せて、凹凸の無い略平面に形成することができ、キャビン16の外観を良好に維持することができる。
【0014】
フロントピラー22について図5に基づいて説明する。前記フロントピラー22は、ほぼ瓢箪形状の断面に形成され、後側のピラー溝部57に、後述する前ガラス2Aの各リップ51,52,53を圧接させ、前側のピラー溝部58には、フロントガラス24のシール材59を圧接する構成となっている。また、キャビン内側のフロントピラー22には、作業者がトラクタに乗降する際に掴むハンドルキャッチャ60をボルト61にて組み付けている。
【0015】
前記前ガラス2Aとフロントピラー22とが接するシール40は、挟持部54と、第一リップである外リップ51と、第二リップである中リップ52と、この中リップ52をベースにして上方に突出する第三リップである内リップ53とから構成されている。詳細に説明すると、前ガラス2Aの周縁部に取り付ける挟持部54は、硬質のゴム部材(ソリッドゴム)で構成され、断面形状は、「コ」の字型をしている。また、この内部には芯金55を有する。そして、この挟持部54の外周でこの一肩部には、フロントピラー22へ向けて帯状の外リップ51を突出した構成となっている。この外リップ51は、前記挟持部54と比較して軟質のゴム部材(発泡ゴム)で構成されている。また、前記挟持部54のキャビン内側には、中リップ52を設けている。この中リップ52は、挟持部54と同様の硬質のゴム部材から構成され、この中リップをベースとして、この上部に2つの中空部56,56を有する内リップ53を設けている。この内リップ52は、前記外リップ51と同様の軟質のゴム部材から構成されている。
【0016】
以上のようにキャビン16のシール構成を単一のシール部材40にて3段階にシールする構成としたので、キャビン外側から進入する雨水や洗浄水等を確実に防止することができる。また、従来、挟持部54に突設したリップの基部は、シール時の荷重が掛ったり、雨水などが溜まって劣化し易いという課題があった。また、シール全体を硬質のゴム材で構成するとコストが高くなったり、シール面、特に屈曲した面や細かな凹凸の有る面では間隙を生じ易いという課題があった。よって、ここでは、中リップ52を硬質のゴムで構成し、この中リップ52をベースとしてこの上部に軟質の内リップ53を設けたので、前記リップ基部の劣化を抑えつつ、屈曲した面を良好にシールすることができるように構成されている。 次に、キャビン16のルーフ支持部について説明する。キャビン16を支持するキャビンフレーム62は、図6に示すように、前記フロントピラー22と同様の断面形状で、湾曲した曲面部62Aと、直線状の平面部62B…とを括れさせて連結する鉄製の中空部材としている。そして、この曲面部62Aの下部のフレーム溝部63にドア2のシール材40を圧接させ、上部のフレーム溝部64には電装用のハーネス65を配設する構成としている。また、ルーフ23の外周縁部66は、曲面部62Aに沿って湾曲させて、これらの間にシール材67を介在させている。更に、ルーフフレーム62の平面部62B,62Bには、ルーフ23を固定するステー70や、内装パネル68の縁部69を受けさせると共に、この間隙部に空調用のハーネス73等を敷設した構成となっている。
【0017】
以上のように構成したキャビン16のルーフフレーム62、及びフロントフレーム22は、湾曲した曲面部62Aと直線状の平面部62Bを有する構成としたので、曲面部62Aをキャビン外側へ向かって配置し、トラクタの外観を丸みを帯びた形状として外観を向上する一方、キャビン内側では、平面部62Bを配置して、各種部材、例えば前記ハンドキャッチャ60を取り付け易くしたり、これに接する部材、例えば前記ステー70や内装パネル68の位置決めを容易とすることができる。また、ここでは、この平面部62Bを複数形成したので、フレーム62と内装パネル68との間に間隙を形成することができ、ここにハーネス73等の設置スペースを形成することができる。
【0018】
図7において、前記キャビン16ドア2と異なる点は、前記ドア2の前後2枚のガラス構成を単一のガラス構成とし、ガラス連結フレーム38を、一片状の中空部材38’で構成し、この中空部材38’に前記ドアの回動ヒンジ12やハンドルフレーム46を連結したものである。これにより、ドア全体を一片状のガラス構成とすることができ、ドア2の外周部に鉄製のフレームを設ける場合と比較して、作業者の視界を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドアのヒンジ部の側面図と、その一部の正面図。
【図2】ドアピラーの断面図。
【図3】ドア部の側面図と、その一部の断面図。
【図4】トラクタの側面図。
【図5】フロントピラー部の断面図。
【図6】ルーフフレーム部の断面図。
【図7】一部別実施例を示すドア部の側面図と、その平面図、正面図、背面図。
【符号の説明】
1 突条部
2 ドア
3 ドアピラー
4 ピラー溝
5 プレートステー
6 溝肩部
7 ヒンジ取付プレート
8 固定ヒンジ
9 ドアフレーム
10 回動ヒンジ
11 ヒンジピン

Claims (1)

  1. 車体14上に突条部1を形成するキャビン16のドアピラー3を立設し、この突条部1内の溝肩部6,6間を回動ヒンジ10を有するプレートステー5にて連結すると共に、前記回動ヒンジ10からキャビン16の内側を通じて前記ドアピラー3の前端部を迂回するアーム9を設け、このアーム9を介してドア2を、このドア表面が前記突条部1の外面に略沿って位置するように取り付けたキャビンのドア取付構造。
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