JP4226260B2 - 農薬散布車のキャビン構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農薬散布車に関し、より詳しくは、農薬散布車におけるキャビンの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、農薬散布車の一形態として、車体フレーム上に運転部を設けるとともに、運転部は、キャビン内にハンドルと座席とを配置して構成したものがある。例えば、特開2001−120149号公報の技術で、キャビンは、右サイドドアを開閉ドア体として、開閉ドア体を開閉させることにより、キャビン内への乗降が行えるようにしていた。図29に示すように、キャビンフレーム105にアウタールーフ101を取り付けるための取付部材102は、アウタールーフ101に締結部材103により固定されており、該締結部材となるボルト103はキャビン外側からアウタールーフ101および取付部材102に挿通し、ナット103aで締結していた。また、フロントガラス104は、図30に示すように、キャビンフレーム105に装着し、固定していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の農薬散布車は、枝が張り出した果樹園の枝下を走行する場合に、キャビン外形に凹凸部分(段差)があると、枝等を引っ掛け果樹を傷つけてしまう恐れがあった。また、凹凸部分があるため水が溜まりやすく、排水性が悪く、水がオペレータにかかってしまう恐れがあった。従来のアウタールーフの取り付けにおいて、取付部材は、アウタールーフに外側から挿通した締結部材で固定されているので、その締結部は平面にする必要があり、アウタールーフに段差を設けなければならず、アウタールーフの角部に滑らかで大きい曲げを形成することができなかった。また、締結部材がアウタールーフの表面から外側に突出しているため、果樹を傷つけてしまう恐れがあった。また、従来のフロントガラスはキャビンフレームに装着されていたが、該キャビンフレームは、複数の部材を溶接などの固着方法により組み立てて一体的に構成していることが多く、その構成部材寸法のばらつき、固着時のゆがみなどにより、フロントガラスを装着するのに必要な精度の装着面を確保するのは困難であった。更に、フロントガラスは、キャビンフレームやアウタールーフとの間に不可避的に段差が生じていたため、果樹を傷つける原因にもなっていた。そこで、本発明では、キャビン外側の凹凸部分を極力なくし、果樹を傷つけることなく散布作業が行える農薬散布車のキャビン構造を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
請求項1においては、キャビン(3)内にハンドル(13)と座席(15)とを配置した運転部(2)を具備する農薬散布車(1)において、該キャビン(3)の天井部(31)を構成するアウタールーフ(57)はキャップ状に形成し、キャビンフレーム(20)を構成する後フレーム(22)に、後壁形成部(36)を取り付けた状態で、天井支持フレーム(27)および後壁形成部(36)の上面形成部の上から、外嵌合状態に装着し、該アウタールーフ(57)の内側角部に、二重構造として後方を開放した前面断面視L字状の固定部(57d)を一体的に形成し、該固定部(57d)にボルト孔(57b)を形成し、該ボルト孔(57b)の上方にナット(86)を固着し、前記固定部(57d)の下方には取付部材(59)を固設し、該取付部材(59)は、後方を開放した平面視コ字状に形成し、該取付部材(59)に複数のボルト孔(59b)を形成し、該ボルト孔(59b)に下方から締結部材(85)を挿通し、前記ナット(86)でねじ込んで、該取付部材(59)をアウタールーフ(57)の内側に固定し、該アウタールーフ(57)を、キャビンフレーム(20)を構成する上部フレーム(23)の上に固定した天井支持フレーム(27)および後壁形成部(36)の上面に嵌合状態に載置した状態にて、前記天井支持フレーム(27)の水平面部(27a)の下側から締結部材(88)を取付部材(59)にねじ込んで、該天井支持フレーム(27)と取付部材(59)を連結するものである。
【0006】
請求項2においては、キャビン(3)内にハンドル(13)と座席(15)とを配置した運転部(2)を具備する農薬散布車(1)において、フロントガラス部(34)は、フロントガラス(40)と、ガラスフレーム(69)とで構成し、該フロントガラス(40)と、アウタールーフ(57)の前端部と、フロントマスク(71)と、該キャビンフレーム(20)を構成する左右の前フレーム(21・21)の前端に固設するカバー(78・78)とを、略同一面とするために、前記ガラスフレーム(69)を設け、該ガラスフレーム(69)は、中央をくり抜いた枠状に構成し、キャビンフレーム(20)を構成する左右前フレーム(21・21)と、中間フレーム(24)と、上部フレーム(23)の 前縁部に取り付けられ、該ガラスフレーム(69)の外周の縁部に前上方へ突出する突設部(69a)を設け、前記突設部(69a)の内側にフロントガラス(40)を装着する装着面を設け、該装着面は、フロントガラス(40)の取付面に合わせた面とし、該フロントガラス(40)を取り付け、該突設部(69a)の上端およびフロントガラス(40)の表面側を略同一面上とし、該ガラスフレーム(69)をキャビンフレーム(20)に固着することで、該キャビンフレーム(20)に発生する歪みを吸収して、該ガラスフレーム(69)にフロントガラス(40)を精度良く取り付け可能としたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は農薬散布車の全体側面図、図2はキャビンの正面図、図3はキャビンの平面図、図4はキャビンの右側面図、図5はキャビンの左側面図、図6はキャビンの後面図、図7はキャビンフレームの正面図、図8はキャビンフレームの後面図、図9はキャビンフレームの右側面図、図10は右サイドドアの固定部材の断面図、図11はキャビンフレームの左側面図、図12は左サイドプレートの固定部材の断面図、図13は固定部材およびプレートの側面図、図14はキャビンフレームの平面図、図15はキャビンの断面平面図、図16はアウタールーフの断面正面図、図17はキャビンの断面正面図、図18は右サイドドアの側面図、図19はサッシの側面図、図20は左下側窓ガラスの側面図、図21はサイドミラー取付部の断面図、図22はガラスフレームの正面図、図23はフロントガラスの正面図、図24はキャビンの一部拡大図、図25はフロントマスクの正面図、図26はフロントマスクの右側面図、図27はフロントマスクの左側面図、図28は後壁形成部の側面図、図29は従来のアウタールーフを示す断面図、図30は従来のフロントガラス取付部を示す右側面図である。
【0008】
まず、本発明のキャビンを有する農薬散布車について説明する。農薬散布車(スピードスプレーヤ)は、走行機体に薬液散布装置を搭載して構成されるものである。図1に示すように、農薬散布車1は、車体フレーム10上において、前部に運転部2を設け、その後方位置に薬液タンク11を設け、その後方位置に原動機部4を設け、その直後方位置に軸流送風機5aを含む薬液散布部5を設けている。そして、前車輪6と後車輪7を具備した4輪式としている。前記原動機部4は、エンジン8と薬液噴霧用ポンプ9を具備している。
【0009】
このようにして、農薬散布車1は、車体を走行させながら、薬液タンク11内に貯溜している薬液を薬液噴霧用ポンプ9により薬液散布部5に圧送して、同薬液散布部5のノズル(図示せず)より放射方向に噴霧し、前記軸流送風機5aにより飛散させて、周囲に薬液を散布するようにしている。車体フレーム10の中央部寄り位置に、比較的重量物である薬液タンク11と原動機部4とを配置しているため、車体の安定性も良好に確保することができて、走行性を向上させることができる。
【0010】
運転部2は、車体フレーム10の前部にキャビン3を配設し、同キャビン3内において、車体フレーム10の前端部に操作コラム12を立設し、同操作コラム12の上端部にハンドル13をハンドル支軸14を介して取り付け、同ハンドル13の直後方位置に座席15を配置している。
【0011】
次に、キャビン3について、図2乃至図6を用いて説明する。キャビン3は、立体枠状に形成した後述するキャビンフレーム20(図8、図9)に、天井部31と、進行方向左側の左サイドパネル32と、進行方向右側の右サイドドア33と、フロントガラス部34と、フロントマスク部35と、後壁形成部36とを外装カバーとして装着することにより構成している。図2に示すように、前記フロントガラス部34は、キャビンフレーム20の前面上部に配設されており、前窓を形成するフロントガラス40、ワイパー41が装着されている。該フロントガラス部34の左右両側方には、カバー78・78が装着され、キャビンフレーム20前部を覆っている。該フロントガラス部34の下方には、フロントマスク部35が配設されており、ライト42・42が装着されている。そして、該フロントマスク部35の下方両側には、ウィンカー43・43が装着されたバンパー44が配設されている。キャビンフレーム20の上面に、図3に示すように、天井部31が配設され、該天井部31は、アウタールーフ57で形成されている。
【0012】
前記右サイドドア33・左サイドパネル32は、図4、図5に示すように、キャビンフレーム20の右・左側面に配置している。右サイドドア33は、ヒンジ48により開閉可能に取り付けられており、はめ殺しの上・下側窓ガラス61・62、開閉用の取っ手51が装着されている。左サイドパネル32の上部には、前後方向にスライドさせて開閉可能なサッシ66が、下部には、固定式の窓ガラス67が装着されている。また、左サイドパネル32、右サイドドア33の側方に、サイドミラー49・49が装着されている。図6に示すように、キャビンフレーム20後面に、後壁形成部36が配設され、該後壁形成部36の上部に、後窓を形成するはめ殺しのリアガラス52を、左右両側面にウィンカー53・53を装着している。また、キャビン3内には、ルームミラー54が装着されている。
【0013】
次に、キャビンフレーム20について、説明する。前記キャビンフレーム20は、図7乃至図12に示すように、前部左右両側に立設する前フレーム21と、後部に背面視にて四角形枠に形成して安全フレームも兼用する後フレーム22と、左右の前フレーム21の上端と後フレーム22の上端とを前後方向に連結する上部フレーム23と、左右の前フレーム21間に連結されている中間フレーム24と、左右の前フレーム21と後フレーム22とを前後方向に連結する下部フレーム25・26等で一体的に構成している。
【0014】
前記前フレーム21は、二本のパイプを、側面視「く」字状に接合したものであり、前フレーム21の接合部、および、前フレーム21と上部フレーム23との接合部には、コーナー部材56・56が介設されており、前フレーム21の接合部の強度増大化を図っている。このようにして、キャビンフレーム20を立体枠状に一体的に形成することで、後フレーム22だけでなく、キャビンフレーム20全体が安全フレームとして機能するので、オペレータの安全を良好に確保することができる。
【0015】
また、キャビンフレーム20上部には、天井部31を取り付けるための天井支持フレーム27が配設されている。図9、図11、図14に示すように、該天井支持フレーム27は、車体前部側を低く配設している上部フレーム23に載置固定されており、水平面部27aと、係合部27bとで構成されている。該水平面部27aは、後方を開放した平面視コ字状のプレートを、上部フレーム23・23と、後述するガラスフレーム69との上側縁部に沿わせて取り付けられている。該水平面部27aは、複数のボルト孔27cが上下方向に形成されている。前記係合部27bは、該水平面部27aの内側縁部より上方に突設している。該係合部27bの上部に溝部27dを形成し、後述するアウタールーフ57を取り付ける際の位置決めとしている。
【0016】
次に、天井部31について、図15乃至図17を用いて説明する。天井部31のアウタールーフ57は、後フレーム22に後壁形成部36を取り付けた状態で、天井支持フレーム27および後壁形成部36の上面形成部の上から、嵌合状態に装着しているものであり、アウタールーフ57をキャップ状に形成している。図16、図17に示すように、アウタールーフ57の内側角部に、後方を開放した断面視L字状の固定部57dを一体的に形成し、アウタールーフ57を二重構造としている。そして、該固定部57dにボルト孔57bが形成されており、ボルト孔57bの上方にナット86が固着されている。前記固定部57dの下方には、取付部材59が配設されている。図15に示すように、該取付部材59は、後方を開放した平面視コ字状に形成されており、その内側左右縁部に取っ手59aが突設されている。また、該取付部材59に、複数のボルト孔59b・・・を形成し、該ボルト孔59bに下方から締結部材85を挿通し、前記ナット86でねじ込んで、取付部材59をアウタールーフ57の内側に固定している。
【0017】
このような構成で、アウタールーフ57を、天井支持フレーム27および後壁形成部36の上面に嵌合状態に載置すると、天井支持フレーム27の水平面部27aにアウタールーフ57に固定された取付部材59が当接するとともに、係合部27b上部に形成されている溝部27dに取付部材59から突設している取っ手59aが嵌合する。同状態にて、前記水平面部27a下側から締結部材88を取付部材59にねじ込んで天井支持フレーム27を連結することにより、天井部31を簡単に取り付けることができる。一方、天井部31を取り外す場合は、上記した取付手順とは反対の手順をたどればよく、簡単に取り外すことができる。
【0018】
このように、アウタールーフ57の内側角部に固定部57dを形成し、二重構造とすることで、剛性をアップすることができ、また、取付部材59を固定する締結部材85は、二重構造の内側で固定することができ、アウタールーフ57の外側に締結部材85が突出することがなく、締結部材85による引っ掛かりを防止することができる。また、アウタールーフ57の外側に締結部材85を固定するための平面部を構成しなくてもよいため、アウタールーフ57の角部に大きな曲率の曲げR(図16)を設けることができ、キャビン外側の凹凸部分をなくすことができ、果樹を傷つけることなく散布作業を行うことができる。また、キャビン3の外周面が、全体的に流線形状となるので、外観もよくなる。更に、天井部31の取付・取外しの際には、キャビン3内より行うことができるので、不慮の事故等により、開閉ドアである右サイドドア33が開かない場合には、上記の手順により天井部31をキャビン3内より取り外すことができ、速やかに脱出することができる。
【0019】
また、図3、図16に示すように、アウタールーフ57上面の前後方向に、水抜溝57cが、左右両側に適当間隔を開けて平行に形成されている。このように、水抜溝57cをアウタールーフ57に設けることで、剛性をアップさせるとともに、アウタールーフ57の平面部57eは、水抜溝57cよりも高い位置であり、かつ、前方向に傾斜がついているため、天井部31に溜まった薬液、水等は、平行部よりも低い水抜溝57cへと流れ、前下がりの傾斜により前方へ排出されるので、アウタールーフ57上面に薬液、水等が溜まらないようにすることができる。
【0020】
次に、右サイドドア33について説明する。図4に示すように、右サイドドア33は、キャビンフレーム20の右側面に、固定部材28を介して開閉可能に装着されている。該固定部材28は、図9、図10に示すように、キャビンフレーム20の右側内周縁に沿った形状のプレートで、キャビンフレーム20の側面部に溶接等で固着され、作業者が乗降するための開口枠とし、右サイドドア33を閉めた時、右サイドドア33の外周に装着されているウェザーストリップ(図示せず)とのシール性を高めている。右サイドドア33は、図18に示すように、キャビンフレーム20の内周縁形状に沿わせて形成した形成部枠体63と、形成部枠体63に取り付けた上側窓ガラス61および下側窓ガラス62と、上側窓ガラス61の前下部に取り付けたサイドミラー取付体81と、上側窓ガラス61の後下部に取り付けた開閉用取っ手取付体82と、形成部枠体63の前下部に取り付けたドア開閉用ヒンジ48とから構成している。
【0021】
上部フレーム23は、前下がりに配設されているため、右サイドドア33も同様に前下がりの状態を保持させるため、三個を一体物としたヒンジ48を使用し、補強している。そして、右サイドドア33を、キャビンフレーム20にヒンジ48で回動可能に取着すべく、該ヒンジ48を、右前フレーム21下部から突設した取付部材64(図9)に、ピン65を介して開閉自在に枢支している。また、右前フレーム21の上部から後フレーム22の中途部に沿って、固定部材28にトリムシール55を装着し、キャビンフレーム20の上部を伝って流れてくる水等をトリムシール55で受け止め、トリムシール55を伝って前方に排出できるようにしている。このようにすることで、右サイドドア33を開けたとき、水滴等が垂れてくるのを防止でき、作業者が乗り降りする際に、キャビンフレーム20を伝って流れてくる水等がかからないようにしている。
【0022】
次に、左サイドパネル32について、図11乃至図13、図19、図20を用いて説明する。左サイドパネル32は、キャビンフレーム20の左側面に一体的に配設されている。該左サイドパネル32は、サッシ66(図19)、窓ガラス67(図20)、サッシ66、及び、窓ガラス67をキャビンフレーム20に固定する固定部材29等で構成されている。該固定部材29は、外周がキャビン3内側縁に沿った形状で、上部と下部に開口部29a・29cが設けられ、キャビンフレーム20の左側面部に溶接等で固着されている。固定部材29の上部には、 サッシ66の形状と同じ開口部68aを設けたプレート68を溶接等で固着し、サッシ66は、その開口部29a・68aに弾性部材を介して取り付けられている。該サッシ66は、機体前後方向にスライド式に開閉可能な開閉用窓である。また、固定部材29およびプレート68の前部には、サイドミラー取付用孔29b・68bが形成されており、後述するサイドミラー49が取り付けられている。一方、固定部材29の下部には、取付孔29d・・・が形成されており、窓ガラス67を、ボルト等で着脱可能に取り付けている。
【0023】
従来の農薬散布車のキャビンは、窓を開閉することができず、キャビンの外部と応対するには、右サイドドアから出なければならず、とても不便であった。また、ほぼ密閉状態のため走行中または作業中等にキャビン外部の状況が判断しにくいという不具合もあった。そこで、左サイドパネル32に開閉可能なサッシ66を取り付け、サッシ66を開くことで、サイドミラー49の汚れを取る等キャビン3外部との対応が行いやすくなる。また、移動中等に窓を開けて走行することも可能となり、空気の入れ替えが行えるので、通気性や開放感を充分に得ることができる。
【0024】
次に、サイドミラー49について、図18、図21を用いて説明する。サイドミラー49・49は、左サイドパネル32と右サイドドア33の側方に配置され、サイドミラー49を車体から外方へ張り出した使用位置と、車体に沿わせて近接された不使用位置との間で、回動位置調節自在に取り付けている。また、サイドミラー49の回動位置調節は、キャビン3内より操作レバー73を介して行えるようにしている。
【0025】
まず、右サイドドア33に装着されているサイドミラー49について説明する。サイドミラー49のキャビン側下端部に、球状に形成した枢支片72から上方に突設した支持ロッド74を取り付ける。一方、L字状に形成した操作レバー73は、キャビン3の内側に配設され、一端を該枢支片72に固定している。前記枢支片72は、ハウジング体77に嵌合され、回動可能に支持されて、任意回動位置を保持できるようにしている。該ハウジング体77は、ハウジング蓋体75と、前記サイドミラー取付体81とで、ボルト等で前記右サイドドア33に固定されている。そして、ハウジング体77及びハウジング蓋体75の全体を、被覆するケース76を取り付け、防塵、防水効果を確保している。
【0026】
このような構成で、キャビン3の内部の操作レバー73を操作すると、枢支片72が回動し、同時に支持ロッド74およびサイドミラー49も回動し、サイドミラー49を、キャビン3内部から、使用位置と不使用位置とに切り換えることができる。なお、左サイドパネル32に装着されているサイドミラー49は、前記固定部材29およびプレート68に取り付けられており、その他の構成は、右サイドドア33のものと同様としている。
【0027】
次に、後壁形成部36について、図6、図8、図28を用いて説明する。後壁形成部36は、後フレーム22の上面と、左右側面に沿わせて、後フレーム22にボルト等で着脱自在に取り付けている。また、後壁形成部36の上部には、左右方向に横長のリアガラス52を設け、また、左右側面下方にウィンカー53・53を装着している。
【0028】
次に、フロントガラス40について、図2、図7、図22乃至図24を用いて説明する。前記フロントガラス部34において、フロントガラス40、アウタールーフ57、フロントマスク71、カバー78・78等を相互に略同一面とするために、ガラスフレーム69(図22)を設けている。該フロントガラス部34は、フロントガラス40と、ガラスフレーム69とで構成されており、該ガラスフレーム69は、中央をくり抜いた枠状に構成して、左右前フレーム21・21、中間フレーム24、上部フレーム23の縁部に取り付けられている。図24に示すように、該ガラスフレーム69の外周の縁部に前上方へ突出する突設部69aを設け、前記突設部69aの内側のフロントガラス40を装着するための装着面は、フロントガラス40の取付面に合わせて平滑な面として、フロントガラス40を接着剤等で取り付け、突設部69aの上端およびフロントガラス40の外側面(表面側)を略同一面上としている。また、図2に示すように、前フレーム21・21の前端に、ガラスフレーム69と同一面となるようにカバー78・78を装着している。このように、ガラスフレーム69に突設部69aを形成することで、ガラスフレーム69の強度がアップし、事故等によるフロントガラス40の破損を防ぐことができ、異なる段差を有するキャビンであっても、前記突設部69aの高さを調節することで、同じフロントガラス40を使用することができ、汎用性がありコスト削減を図ることができる。また、フロントガラスをキャビンフレームに装着する場合は、キャビンフレームの装着面にフロントガラスの装着面が沿うような面としての精度が必要であるが、キャビンフレームは、複数の部材を溶接などの固着方法により構成していることが多く、その構成部材のばらつき、固着時のゆがみなどにより、フロントガラスを装着するのに必要な精度の装着面を確保するのは困難であったが、単純形状の前記ガラスフレーム69の装着面を精度良く仕上げることによりフロントガラス40を良好に装着することが実現でき、また、ガラスフレーム69をキャビンフレーム20に固着することで、キャビンフレーム20の製造時や組立時に発生した歪み等を吸収して、ガラスフレーム69にフロントガラス40を精度良く取り付けることができる。更に、フロントガラス40、ガラスフレーム69、アウタールーフ57、フロントマスク71、カバー78・78等を、相互に同一面となるように配置することができ、キャビン3外側の凹凸部分をなくし、果樹を傷つけることなく散布作業を行うことができ、また、キャビン3の外周面が、全体的に流線形状となるので、外観もよくなる。
【0029】
次に、フロントマスク部35について、図7、図25乃至図27を用いて説明する。フロントマスク部35は、フロントマスク71、ライト42・42、フロントマスク71下方に取り付けられているバンパー44、ウィンカー43・43等で構成されており、左右前フレーム21・21、中間フレーム24、下部フレーム25・26の前縁部に取り付けられている。前記左右前フレーム21・21から、取付部材21a・21aがキャビンフレーム20内側に突設しており、該取付部材21a・21aに、フロントマスク71をボルト83で着脱可能に取り付けている。また、フロントマスク71の左右の角部に、大きな曲げを形成し、キャビンフレーム20、および、前記右サイドドア33のヒンジ回動部分等を被覆している。フロントマスク71は、左右両側にライト用孔が形成されており、ライト42・42が装着されている。同様に、バンパー44には、ウィンカー43・43が装着されている。このように、フロントマスク71の左右角部の曲げを大きくとすることで、キャビンフレーム20を構成する異形パイプを覆い隠し、キャビン3の下部側面と前面とをなめらかに連結することができ、また、右サイドドア33のヒンジ48部分等の凹凸部分をなくすことができ、散布作業時に、枝等を引っ掛けて果樹を傷つけることがない。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0031】
請求項1に示す如く、キャビン(3)内にハンドル(13)と座席(15)とを配置した運転部(2)を具備する農薬散布車(1)において、該キャビン(3)の天井部(31)を構成するアウタールーフ(57)はキャップ状に形成し、キャビンフレーム(20)を構成する後フレーム(22)に、後壁形成部(36)を取り付けた状態で、天井支持フレーム(27)および後壁形成部(36)の上面形成部の上から、外嵌合状態に装着し、該アウタールーフ(57)の内側角部に、二重構造として後方を開放した前面断面視L字状の固定部(57d)を一体的に形成し、該固定部(57d)にボルト孔(57b)を形成し、該ボルト孔(57b)の上方にナット(86)を固着し、前記固定部(57d)の下方には取付部材(59)を固設し、該取付部材(59)は、後方を開放した平面視コ字状に形成し、該取付部材(59)に複数のボルト孔(59b)を形成し、該ボルト孔(59b)に下方から締結部材(85)を挿通し、前記ナット(86)でねじ込んで、該取付部材(59)をアウタールーフ(57)の内側に固定し、該アウタールーフ(57)を、キャビンフレーム(20)を構成する上部フレーム(23)の上に固定した天井支持フレーム(27)および後壁形成部(36)の上面に嵌合状態に載置した状態にて、前記天井支持フレーム(27)の水平面部(27a)の下側から締結部材(88)を取付部材(59)にねじ込んで、該天井支持フレーム(27)と取付部材(59)を連結することにより、キャビン外側の凹凸部分を極力なくし、果樹を傷つけることなく散布作業が行える農薬散布車のキャビン構造を提供する。
即ち、キャビンの天井部を固定する締結部材は、二重構造の内側に固定することができ、アウタールーフ外周面に締結部材が突出することがなく、締結部材による引っ掛かりを防止することができる。
また、締結部材をアウタールーフ外周面に固定する必要がないので、角部の曲げを大きくすることもでき、キャビンフレームを広く被覆することができる。
【0032】
請求項2に示す如く、キャビン(3)内にハンドル(13)と座席(15)とを配置した運転部(2)を具備する農薬散布車(1)において、フロントガラス部(34)は、フロントガラス(40)と、ガラスフレーム(69)とで構成し、該フロントガラス(40)と、アウタールーフ(57)の前端部と、フロントマスク(71)と、該キャビンフレーム(20)を構成する左右の前フレーム(21・21)の前端に固設するカバー(78・78)とを、略同一面とするために、前記ガラスフレーム(69)を設け、該ガラスフレーム(69)は、中央をくり抜いた枠状に構成し、キャビンフレーム(20)を構成する左右前フレーム(21・21)と、中間フレーム(24)と、上部フレーム(23)の前縁部に取り付けられ、該ガラスフレーム(69)の外周の縁部に前上方へ突出する突設部(69a)を設け、前記突設部(69a)の内側にフロントガラス(40)を装着する装着面を設け、該装着面は、フロントガラス(40)の取付面に合わせた面とし、該フロントガラス(40)を取り付け、該突設部(69a)の上端およびフロントガラス(40)の表面側を略同一面上とし、該ガラスフレーム(69)をキャビンフレーム(20)に固着することで、該キャビンフレーム(20)に発生する歪みを吸収して、該ガラスフレーム(69)にフロントガラス(40)を精度良く取り付け可能としたので、キャビン外側の凹凸部分を極力なくし、果樹を傷つけることなく散布作業が行える農薬散布車のキャビン構造を提供する。
即ち、フロントガラス部(34)において、キャビン外側の凹凸部分をなくし、果樹を傷つけることなく散布作業を行うことができ、キャビンの外周面が全体的に流線形状となるので、外観もよくなる。
また、フロントガラスをキャビンフレームに装着する場合は、キャビンフレームの装着面にフロントガラスの装着面が沿うような面としての精度が必要であるが、キャビンフレームは、複数の部材を溶接などの固着方法により構成していることが多く、その構成部材のばらつき、固着時のゆがみなどにより、フロントガラスを装着するのに必要な精度の装着面を確保するのは困難であったが、単純形状の前記ガラスフレームの装着面を精度良く仕上げることによりフロントガラスを良好に装着することが実現でき、また、ガラスフレームをキャビンフレームに固着することでキャビンフレームの製造時や組立時に発生した歪み等を吸収して、ガラスフレームにフロントガラスを精度良く取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 農薬散布車の全体側面図。
【図2】 キャビンの正面図。
【図3】 キャビンの平面図。
【図4】 キャビンの右側面図。
【図5】 キャビンの左側面図。
【図6】 キャビンの後面図。
【図7】 キャビンフレームの正面図。
【図8】 キャビンフレームの後面図。
【図9】 キャビンフレームの右側面図。
【図10】 右サイドドアの固定部材の断面図。
【図11】 キャビンフレームの左側面図。
【図12】 左サイドプレートの固定部材の断面図。
【図13】 固定部材およびプレートの側面図。
【図14】 キャビンフレームの平面図。
【図15】 キャビンの断面平面図。
【図16】 アウタールーフの断面正面図。
【図17】 キャビンの断面正面図。
【図18】 右サイドドアの側面図。
【図19】 サッシの側面図。
【図20】 左下側窓ガラスの側面図。
【図21】 サイドミラー取付部の断面図。
【図22】 ガラスフレームの正面図。
【図23】 フロントガラスの正面図。
【図24】 キャビンの一部拡大図。
【図25】 フロントマスクの正面図。
【図26】 フロントマスクの右側面図。
【図27】 フロントマスクの左側面図。
【図28】 後壁形成部の側面図。
【図29】 従来のアウタールーフを示す断面図。
【図30】 従来のフロントガラス取付部を示す右側面図。
【符号の説明】
1 農薬散布車
2 運転部
3 キャビン
13 ハンドル
15 座席
20 キャビンフレーム
40 フロントガラス
57 アウタールーフ
69 ガラスフレーム
71 カバー(フロントマスク)
78 カバー
Claims (2)
- キャビン(3)内にハンドル(13)と座席(15)とを配置した運転部(2)を具備する農薬散布車(1)において、該キャビン(3)の天井部(31)を構成するアウタールーフ(57)はキャップ状に形成し、キャビンフレーム(20)を構成する後フレーム(22)に、後壁形成部(36)を取り付けた状態で、天井支持フレーム(27)および後壁形成部(36)の上面形成部の上から、外嵌合状態に装着し、該アウタールーフ(57)の内側角部に、二重構造として後方を開放した前面断面視L字状の固定部(57d)を一体的に形成し、該固定部(57d)にボルト孔(57b)を形成し、該ボルト孔(57b)の上方にナット(86)を固着し、前記固定部(57d)の下方には取付部材(59)を固設し、該取付部材(59)は、後方を開放した平面視コ字状に形成し、該取付部材(59)に複数のボルト孔(59b)を形成し、該ボルト孔(59b)に下方から締結部材(85)を挿通し、前記ナット(86)でねじ込んで、該取付部材(59)をアウタールーフ(57)の内側に固定し、該アウタールーフ(57)を、キャビンフレーム(20)を構成する上部フレーム(23)の上に固定した天井支持フレーム(27)および後壁形成部(36)の上面に嵌合状態に載置した状態にて、前記天井支持フレーム(27)の水平面部(27a)の下側から締結部材(88)を取付部材(59)にねじ込んで、該天井支持フレーム(27)と取付部材(59)を連結することを特徴とする農薬散布車のキャビン構造。
- キャビン(3)内にハンドル(13)と座席(15)とを配置した運転部(2)を具備する農薬散布車(1)において、フロントガラス部(34)は、フロントガラス(40)と、ガラスフレーム(69)とで構成し、該フロントガラス(40)と、アウタールーフ(57)の前端部と、フロントマスク(71)と、該キャビンフレーム(20)を構成する左右の前フレーム(21・21)の前端に固設するカバー(78・78)とを、略同一面とするために、前記ガラスフレーム(69)を設け、該ガラスフレーム(69)は、中央をくり抜いた枠状に構成し、キャビンフレーム(20)を構成する左右前フレーム(21・21)と、中間フレーム(24)と、上部フレーム(23)の前縁部に取り付けられ、該ガラスフレーム(69)の外周の縁部に前上方へ突出する突設部(69a)を設け、前記突設部(69a)の内側にフロントガラス(40)を装着する装着面を設け、該装着面は、フロントガラス(40)の取付面に合わせた面とし、該フロントガラス(40)を取り付け、該突設部(69a)の上端およびフロントガラス(40)の表面側を略同一面上とし、該ガラスフレーム(69)をキャビンフレーム(20)に固着することで、該キャビンフレーム(20)に発生する歪みを吸収して、該ガラスフレーム(69)にフロントガラス(40)を精度良く取り付け可能としたことを特徴とする農薬散布車のキャビン構造。
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