JP2795459B2 - 感熱記録材料 - Google Patents

感熱記録材料

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は感熱記録材料に関するものであり、特に連続
記録適性に優れた感熱記録材料に関するものである。
[従来の技術] 感熱記録方式は単に加熱するだけで発色画像が得ら
れ、又、記録装置が比較的簡単でコンパクトなものにす
ることができるなどの利点が好まれ、各種情報記録紙と
して広範囲に利用されている。
特に近年、かかる感熱記録材料を用いる感熱ファクシ
ミリ、感熱プリンターは装置上の改良が進み、従来は難
しかった高速記録が可能となっている。このような機
器、ハード分野の高速化に伴い、使用される感熱記録材
料も記録感度の向上が要求されこれに関する多くの提案
がなされている。これら感熱記録材料は一般に紙、プラ
スチックフィルム、合成紙等の支持体上に結着剤や熱発
色性物質を主成分とした単層又は多層の感熱発色層を設
けたものが使用される。
このような方式を実用に供する場合幾つかの問題があ
ることが知られている。1つは熱時に溶融状態にある発
色物質(おもにロイコ染料、フェノール類などの呈色
剤、そして熱可融性有機化合物いわゆる増感剤からな
る)がサーマルヘッドに転移付着することである。
この現象は「カス付着」と呼ばれ、連続的な記録中に
次第に堆積し、その結果、サーマルヘッドと感熱発色層
の密着性を阻害し、熱伝導が低下し、記録画質、記録濃
度の低下をもたらすことになる。
もう1つの問題は熱印加時に、サーマルヘッドと感熱
発色層の表面が粘着又は、べとつきの現象を起こすこと
である。この現象は「スティッキング」と呼ばれ、これ
が起きると感熱記録材料のスムーズな送りが妨げられ、
そのため記録が飛んだり、画像の乱れを生じるのみなら
ず、極端な場合、感熱発色層がサーマルヘッドに張り付
き連続記録が不可能になることがある。記録がスムーズ
に、連続的に行われるためには、前述のカス、スティッ
クがないということが、感熱記録材料の満たすべき条件
の1つである。
このカス、スティックを制御するために、例えば感熱
層中のカス、スティックの原因となる溶融成分量を減ら
し、顔料配合比を増やすことが考えられるが、高速印字
に伴う高感度化の要求と逆行し、カス、スティックは抑
えられるものの高速印字での低エネルギーでは充分な発
色濃度が得られないという問題がある。また高吸油性顔
料を配合するという提案が、例えば特公昭61−56118号
公報になされているが、やはり印字濃度が低下するなど
高速化に伴う高感度化の要求に対しては不充分であっ
た。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、カス付着が少なくかつスティッキン
グによる印字障害の起きない高速印字適性に優れた感熱
記録材料を提供することである。
さらに本発明の目的は、このような優れた感熱記録材
料を、何ら保護層を設けないで提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、この目的を達成するために研究を重ね
た結果、感熱記録材料において支持体と感熱発色層の間
に炭酸ジルコニルアンモニウムを含有する下塗り層を設
けることにより記録にかかわる諸品質を低下させること
なく、感熱発色層によるサーマルヘッドへのカス付着及
びスティッキングの無い感熱記録材料を得ることができ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、支持体上に感熱発色層を形成するにあた
り、感熱発色層の下に下塗り層を設けて成る感熱記録材
料において、下塗り層に、炭酸ジルコニルアンモニウム
を下塗り層中の接着剤100重量部に対して1〜50重量部
配合したことを特徴とする感熱記録材料に関するもので
ある。
保護層を設けることなく、しかもカス付着、スティッ
キングの現象が起きないようにするためには、本発明者
らは、下塗り層の調製にあたって塗料の凝集や感度低下
のような悪影響を起こさず、かつスティッキング防止、
カス付着防止の優れた性質を示すような添加剤を配合す
ることを考え研究を行った。その結果、各種の物質のう
ち、炭酸ジルコニルアンモニウム((NH4)2ZrO(CO3)2
がとくに顕著な効果を示す物質であることを見出し、本
発明を完成したものである。
ジルコニウム化合物であっても、炭酸ジルコニルアン
モニウム以外の例えば酸塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H
2O)、硫酸ジルコニル(ZrOSO4・nH2O)、硝酸ジルコニ
ル(ZrO(NO3)2・nH2O)、酢酸ジルコニル(ZrO(C2H3O2)
2)などのジルコニウム化合物は、塗料の凝集や増粘を
起こしやすくまた所望のカス、スティックに対する効果
が乏しく、感度低下を起こすこともあり、本課題解決の
ためには適切とは言えない。
炭酸ジルコニルアンモニウムが特異的に効果が顕著で
ある理由はこれまでのところ必ずしも明確ではないが、
pHがアルカリ側であることから塗料を安定して作ること
ができること、また塗工乾燥時にアンモニアや二酸化炭
素の気体を発生するために、下塗り層の空隙率を増加
し、カスの下塗り層への吸収能を高めることなどの他、
接着剤や溶融成分との反応などが何らかの寄与をしてい
るものと考えられる。
ジルコニウム化合物を含有する感熱発色層上に保護層
を設けることが、特開昭61−110585号公報において提案
されている。しかし、本発明は感熱発色層上に保護層を
設けないことを課題とするものであり、この提案は本発
明の課題を解決にはなり得ない。すなわち、保護層が存
在すると、サーマルヘッドから感熱発色層への熱伝達が
介在する保護層により阻害されて、高速印字での発色濃
度が適切でなくなる外、この保護層がせっかくのジルコ
ニウムのカス付着防止、スティッキング防止効果を阻止
してしまうので、その効果が全く現われることがない。
したがって、同提案によっては本発明の課題を解決され
ず、優れた作用、効果を有する感熱記録材料が望まれて
いたのである。
本発明において、炭酸ジルコニルアンモニウムは、下
塗り層を形成するための塗液中に混合する。同塗液にお
いて、炭酸ジルコニルアンモニウムは、下塗り層中接着
剤100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは3〜20
重量部の割合で用いられる。1重量部未満ではカス付
着、及びスティッキングの発生防止効果が十分でなく、
一方50重量部を越えると発色濃度の点で十分満足できる
ものではなくなる。
下塗り層中には、炭酸ジルコニルアンモニウムの外顔
料、接着剤及び必要に応じて、界面活性剤、分散剤、増
粘剤、耐水化剤、消泡剤等を含ませることができる。
下塗り層用顔料としては、吸油量の制限なく広い範囲
の無機及び有機顔料が使用可能となる。
具体的には、焼成カオリン、カオリン、タルク、硫酸
バリウム、酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、合成シリ
カ、天然シリカ、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹
脂、尿素ホルマリン樹脂等である。
顔料は1〜10μmの平均粒径のものが適当であり、2
〜6μmのものが好ましい。
接着剤としては水溶性高分子物質例えばデンプン、デ
ンプン誘導体、CMC、及びポリビニルアルコール及び疎
水性エマルジョン例えばSBR,MBR及びアクリル樹脂等が
挙げられるが、これらに類似する水溶性樹脂及び疎水性
高分子物質はいずれも本発明の下塗り層において用いる
ことができる。
下塗り層の塗布量は3g/m2ないし20g/m2とするのが一
般である。
下塗り層を形成する方法としては、エアーナイフ、ブ
レード、グラビア、ロールコーター、スプレー、ディッ
プ、バー、エクストルージョン等公知のいずれの塗布方
法も利用可能である。
本発明の感熱記録材料において、支持体材料は格別限
定されるものではない。例えば、紙、合成繊維紙、合成
樹脂フィルム等を適宜使用することができる。一般には
紙が好ましい。
感熱発色層は下塗り層の上に形成する。
感熱発色層形成のために使用する無色ないし淡色の塩
基性ロイコ染料、及び呈色剤としては、格別制限はな
い。たとえば以下のものを使用することができる。
塩基性染料としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミ
ノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド等のトリア
リルメタン系染料、3−ジエチルアミノ−6−メチル−
7−フェニルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−
6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−(N
−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−
7−フェニルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−
7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−
(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−
7−フェニルアミノフルオラン、等が挙げられる。
酸性呈色剤については温度の上昇によって液化、ない
し溶解する性質を有し、かつ上記塩基性染料と接触して
呈色させる性質を有する物であればよい。代表的な具体
例としては4−tert−ブチルフェノール、4−アセチル
フェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4′−s
ec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノー
ル、4,4′−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、4,4′−
イソプロピリデンジフェノール、ハイドロキノン、4,
4′−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4′−ジヒド
ロキシジフェニルサルファイド、4,4′−チオビス(6
−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルスルフォン、4−ヒドロキシ−
4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロ
キシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチ
ル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安
息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−
ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安
息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4
−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸
クロロフェニル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエー
テルなどのフェノール性化合物、安息香酸、p−tert−
ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、
サリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−tert−
ブチルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α
−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチ
ルサリチル酸などの芳香族カルボン酸、およびこれらフ
ェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マ
グネシウム、アルモニウム、カルシウムなどの多価金属
との塩などの有機酸性物質等が挙げられる。
感熱発色層形成にあたっては、通常添加することがで
きる補助物質を組み合わせて使用することができる。例
えば、増感剤としてパラベンジルフェニル、ジベンジル
テレフタレート、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェ
ニル、シュウ酸ジベンジル、アジピン酸ジ−o−クロル
ベンジル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、
シュウ酸ジ−p−クロルベンジルなどを使用できる。
感熱発色層形成塗液の調製にあたっては、水を分散媒
体として使用し、ボールミル、アトライター、サンドグ
ラインダー等の粉砕機により染料、呈色剤を分散し塗液
とする。かかる塗液中には、結合剤としてデンプン類、
ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビ
アゴム、ポリビニルアルコール、スチレン、無水マレイ
ン酸共重合体塩、スチレン・ブタジエン共重合体エマル
ジョンなどを全固形分の2乃至40重量%、好ましくは5
〜25重量%使用する。塗液中には必要に応じて各種の助
剤を添加することは差し支えない。例えば、ジオクチル
スルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステル・ナト
リウム塩、脂肪酸金属塩などの分散剤、その他消泡剤、
蛍光染料、着色染料などはいずれも添加できる。また、
感熱発色層をさらに白くするためにカオリン、クレー、
タルク、炭酸カルシウム、焼成クレー、酸化チタン、珪
藻土、微粒子状無水シリカ等の無機顔料を添加すること
もできる。適宜ステアリン酸、ポリエチレン、カルナバ
ロウ、パラフィンワックス、ステアリン酸カルシウム、
ステアリン酸亜鉛、エステルワックスなどの分散液もし
くはエマルジョン等のワックス類を必要に応じて添加す
ることもできる。
本発明の感熱記録材料において、感熱発色層の形成方
法は特に限定されない。感熱発色層形成塗液を支持体に
塗布する方法ではエアーナイフコーター、ブレードコー
ター等適当な塗布装置を用いることができる。
感熱発色層は、一般に乾燥重量で2〜12g/m2、好まし
くは3〜8g/m2の範囲となるように形成する。
以下実施例により具体的に説明する。
[実施例] 特に断らない限り例中の部及び%はそれぞれ重量部及
び重量%を示す。
実施例1 水 100部 焼成クレー(エンゲルハート社製アンシレックス) 100
部 10%ポリビニルアルコール(日本合成製GL05) 10部 炭酸ジルコニルアンモニウム 2部 を5分間ホモジナイザーで分散後、10%ポリビニルアル
コール(日本合成製GH17)50部と混合して下塗り層塗液
とした。
この下塗り層塗液を50g/m2の上質紙に塗布量が7g/m2
となるように塗布乾燥した。
一方感熱発色層用塗液として、分散液A,Bを調製し
た。
分散液Aの調製 3−(N−エチル−N−イソ・アミル)−6−メチル−
7−フェニルアミノフルオラン 20重量部 ポリビニルアルコール10%液 10重量部 水 70重量部 この組成物をサンドグラインダーで平均粒径2μmま
で粉砕した。
分散液Bの調製 4,4′−イソプロピリデンジフェノール 10重量部 p−ベンジルビフェニル 10重量部 ポリビニルアルコール10%液 10重量部 水 70重量部 発色層の調製 上記A液40部、B液160部、炭酸カルシウム顔料40
部、30%パラフィン分散液20部、10%ポリビニルアルコ
ール水溶液180部、 を混合攪拌し、塗液とした。
得られた塗液をアンダーコート紙に、乾燥後の塗布量
が4.5g/m2となるように塗布乾燥し、感熱記録紙を得
た。
比較例1 実施例1において、下塗り層塗液を調製するにあたり
炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液を除いた以外は実施
例1と同様にして感熱記録紙を製造した。
比較例2 実施例1において、下塗り層塗液を調製するにあたり
炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液の代わりに酸塩化ジ
ルコニウム水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして
感熱記録紙を得た。
比較例3 実施例1において、下塗り層塗液を調製するにあたり
炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液の代わりに硝酸ジル
コニル水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして感熱
記録紙を得た。
比較例4 実施例1において下塗り層塗液を調製するにあたり炭
酸ジルコニルアンモニウム水溶液の代わりに酢酸ジルコ
ニル水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記
録紙を得た。
実施例及び比較例の5種類について感熱紙の記録感度
の測定、カス、スティックについての評価を行なった。
その結果を第1表に示す。
記録感度は市販感熱ファクシミリを試験用に改造した
ものを用いて測定した。1ライン記録時間10msec、走査
線密度8×8ドット/mmの条件で、パルス幅を変調し、
ドットあたりの印加エネルギーを0.24mj,0.39mjと変化
させ、64ラインの印字を行った。その際の発色濃度をマ
クベス濃度計RD−914で測定し、感熱紙の記録感度を代
表する値とした。
サーマルヘッドへのカス付着試験は上記試験機を用
い、ドットあたりの印加エネルギー0.45mjとし、100mの
印字を行った。
表中○印はヘッドへのカス付着量が非常に少なく画像
への影響が全く無いことを、△印はカス付着が明らかに
認められることを、又×印はカス付着が著しく大きい状
態を示す、さらにスティッキングの発生状態を調べるた
め上記条件中1ライン記録時間100secとして800ライン
の印字を行った。表中○印はスティッキングが発生しな
かったことを、△印はスティッキング音を認めたこと
を、また×印は大きなスティッキング音が発生し画像に
も行間隔にも乱れが生じたことを示す。
[発明の効果] 本発明により記録感度の低下がなくカス付着が少なく
かつスティッキングの発生しない高速印字適性に優れた
感熱記録材料を、保護層を設けることなく提供すること
が可能となった。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−227374(JP,A) 特開 昭61−95978(JP,A) 特開 昭61−32790(JP,A) 特開 平1−101187(JP,A) 特開 昭62−1757(JP,A) 特開 昭48−51037(JP,A) 特開 昭61−110585(JP,A) 特開 平2−50884(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/28 - 5/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に感熱発色層を形成するにあた
    り、感熱発色層の下に下塗り層を設けて成る感熱記録材
    料において、下塗り層に、炭酸ジルコニルアンモニウム
    を下塗り層中の接着剤100重量部に対して1〜50重量部
    配合したことを特徴とする感熱記録材料。
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