JP2783878B2 - 低温庫 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 産業上の利用分野 本発明は冷気強制循環式の低温庫に関する。

従来の技術 特開昭63−220079号公報にあっては、庫内の左右両側
面に沿って立設された前後一対の支柱と、この両支柱に
架設され左右対をなす複数の細長い支持部材と、この支
持部材に支持される容器とからなり、前記前後両支柱は
その前壁に複数の孔が縦方向に形成され、又支持部材は
庫内中央方向に向って張り出し前記容器の一側縁を載置
すると共に、容器が下方に位置するときにはこの容器の
一側縁の上方に重なる張出部と、この張出部の外側縁か
ら下方に延びる垂直部と、この垂直部の下端縁から庫内
方向に延び前記容器の一側面に近接して相対向するガイ
ド部とからなり、前記両支柱に相対向する２ケ所を切欠
いて相対向する支柱の一部を夫々受け入れる前後一対の
両凹所と、この両凹所の前縁からこの両凹所内に延び前
記両支柱の孔を通して相対向する支柱に夫々係合される
前後一対の両係合片と、この両係合片と前記両凹所の前
縁との間に形成され、前記孔の上端縁、下端縁を夫々受
け入れる上下一対の溝とを具備してなる容器の支持装置
が開示されている。

発明が解決しようとする課題 前記技術にあっては、自然対流方式にて庫内を冷却す
るように構成されているため、全体に冷気がゆきわたり
にくく庫内温度を均一化するのに時間がかかり、庫内温
度に温度ムラを生じやすい問題があった。また、扉の開
放時に外気侵入にて庫内温度が上昇するが、この扉の閉
塞後庫内を所定温度まで低下させるのに時間がかかる。

一方、支持部材はその張出部に容器の下面側縁を載置
するとともに、下方に位置する容器の一側縁上方に位置
させているため、下方の容器を支持部材に沿って前方へ
引き出した際この容器の上方に位置する支持部材の張出
部が容器の浮き上がりを防止するものであるが、容器を
載置していない支持部材があった場合、その下に位置す
る容器の浮き上がろうとする力にて支持部材が持ち上が
って支持部材が外れてしまうことがあった。

また、容器の前後左右壁は同じ高さとなっていること
から、自然対流方式においてただでさえ冷気をゆきわた
らせにくいことに加えて、容器と容器の間が狭くさらに
冷気が回りにくくなって、温度ムラを大きくすることと
なっていた。

そこで、本発明は庫内の温度ムラをなくすとともに扉
開閉に伴なう温度上昇を抑制するようにした低温庫を提
供するものである。

〔発明の構成〕

課題を解決するための手段 本発明は、冷却装置を有した断熱箱の天壁と背壁に対
し間隔を存して配設され多数の通気孔を形成した区画壁
と、該区画壁と天壁及び背壁とで形成される空間に配置
される送風装置と、庫内左右両壁面に沿って立設された
前後一対の支柱に架設され左右対をなす複数の支持部材
と、該支持部材に摺動可能に支持される容器とを備えた
低温庫を提供するものであって、前記容器は他壁より高
く把手部を形成した前壁を有し、扉の閉塞時に、上下に
配置される上方の容器底部と下方の容器前壁上端との間
に隙間を設けて区画壁からこの隙間に向けた冷気通路を
形成するとともに、各容器前壁と扉との間に第１、第２
冷気通路を形成したものである。

作 用 扉の閉塞時において、区画壁に形成された通気孔から
吹き出される冷気は、容器と容器との間を通り隙間から
扉方向へ流れる第１冷気流路と、扉と各容器前壁との間
に形成される第２冷気流路とに分けられ、庫内全体を満
遍無くゆき渡らすように作用し、容器及び容器内の品物
を均一に冷却してゆく。

また扉の開放時にあっては、容器の前壁が他壁に対し
て高く形成されており、この前壁により庫内への外気侵
入を抑制し、外気侵入による温度上昇を抑えるようにし
ている。

実施例 以下図面に基づいて本発明の実施例を説明する。

１はコールドロールボックスと称されスーパーマーケ
ット等の店舗にて、ストックルームと店内との間の輸送
手段として使用される冷蔵庫等の低温庫で、本体を構成
する断熱箱２と、この本体の下部に設けられた前後一対
の４個のキャスタ3,4とにより構成されている。

断熱箱２はステンレス鋼板等の金属板からなる内外両
箱5,6と、この両箱間に充填された発泡断熱材７と、商
品収納及び取出用の前面開口に設けられ、上下一対のヒ
ンジにより回動自在に枢支された開閉用把手付の断熱扉
10とにより構成されている。前記内箱５はパイプオンシ
ート方式によって形成された冷却装置兼用のもので、そ
の天・背・左・右の各壁の外面即ち発泡断熱材７側の面
には蛇行状の冷却管11が配設されている。

15は内箱５の天壁及び背壁に対し間隔を存して配設さ
れ多数の通気孔16を形成した区画壁であって、この区画
壁15と天壁及び背壁とで形成される空間Ｋ内に、庫内強
制循環用の送風装置17と、蓄冷剤18を配置している。

尚、冷却管11を通過する減圧液冷媒の蒸発気化作用に
よって先ず内箱５を冷却し、この内箱５からの輻射熱で
もって空間Ｋ内空気を冷却するとともに蓄冷剤18を冷却
凍結させる。そして、送風装置17によって冷却された空
気を、区画壁15の通気孔16から庫内12に吹き出し、庫内
冷却後、再び通気孔16から空間Ｋ内に吸い込んで、冷気
の強制対流を行なわせ、庫内12の冷却を行なうものであ
る。

20は前記断熱箱２の下方に形成された機械室で、前記
冷却管11と共に冷凍サイクルを構成する冷媒圧縮機21
と、凝縮器22、送風ファン23を収納配置すると共に、そ
の前面に吸気口、背面に排気口を形成している。

25は断熱箱２の底壁に形成した排水孔13に対応させて
底壁下方かつ機械室20前方に形成した排水室であって、
その形状を第２図に示すように左右部よりも中央部が下
方となるように形成しておく。そして、その前部に排水
タンク26出し入れ用の小扉27を配設している。この排水
室25は、低温庫15を持ち上げて移動するフォークリフト
等の移動手段の爪部を断熱箱２の底壁下方に挿入したと
きに、爪部が当たらないように構成している。

30,31は前記左右両壁に夫々設けられた前後一対の金
属製支柱で、この各支柱の前壁には方形をなす多数の孔
33が縦方向同じ高さに形成されている。40は前記両支柱
30,31に係合架設される金属製の細長い支持部材で、庫
内12の中央方向に向けて張り出し、前端が前支柱30より
も前方に位置すると共に、後端が後支柱31よりも後方に
位置する載置部41と、この載置部41の外側縁から上方に
延びる側壁部42と、この側壁部42の上端縁から庫内方向
に膨出するストッパー部43とから成る。この支持部材40
を左右の前後両支柱30,31に上下方向複数段に水平に架
設することにより、載置部41が庫内に配置させる食品収
納用の容器50を出し入れ自在に支持するレールとして作
用する。

45,46は前後両支柱30,31と相対向する支持部材40の一
部を後述する両係合片を形成するように２ケ所にわたっ
て切欠くことにより形成される凹所で、この奥行寸法は
前後両支柱30,31の奥行寸法よりも大きくなっており、
支持部材40を両支柱30,31に架設したときには、この両
凹所45,46内に両支柱30,31の一部が入り込み、支持部材
40が左右両壁に接近することになる。

47,48は前記両支柱30,31の孔33に係合される前後両係
合片で、前記両凹所45,46に両支柱30,31を入り込ませた
後、支柱部材40を後方に移動させることにより、両支柱
30,31に係合する。

前記側壁部42は、容器50の一側壁52に近接して相対向
し、容器50を出し入れするときに、容器50の左右方向へ
の位置ずれを規制して載置部41からの落下及び両支柱3
0,31並びに庫内左右側壁への当たりを防止するものであ
る。また、この側壁部42の高さは、後述する容器50の側
壁52の高さよりも若干（２〜4mm程度）大きく形成して
ある。

一方、容器50を載置部41上で前後に摺動移動するにあ
たり、ストッパー部43が載置部41の先端を支点としその
先端より前方に位置する部分の上下方向への回転モーメ
ントによって、容器50の後部が上方へ浮き上がることを
防止する浮き上がり防止部材として作用するものであ
る。ストッパー部43の前部に第７図に示すように切欠き
49を形成し、支持部材40の載置部41への容器50の載せ換
えを行ないやすくしている。

容器50は、他壁すなわち左・右・背の三壁52よりも高
く形成され、その一部に把手部55を設けて成る前壁51を
有する。そして、左右一対の支持部材40を上下に複数配
設し、これら支持部材40に対して容器50それぞれ載置さ
せたとき、上下関係に位置する容器の上方の底部と下方
の前壁上端との間に隙間Ｓを形成するようにしている。

このことから、扉の閉塞時にあって、区画壁25の通気
孔26を介して庫内に吹き出される冷気にて、各容器50の
間の空間を侵入して前記隙間Ｓ部分を通過する複数の第
１冷気流路60を形成するとともに、各容器50の前壁51と
断熱扉10の庫内面との間に第２冷気流路70を形成する。
第１冷気流路60を流れる冷気により、容器50及び容器上
の食品を冷却して庫内温度を設定温度に維持させるとと
もに、第２冷気流路70を流れる冷気により、扉10及びそ
の周縁からの貫流熱が容器に到達しにくくしている。

一方、扉の開放時にあって、第２の冷気流路70にあっ
た冷気は、扉開放に伴なう吸引力によって流出してゆく
が、容器50間に形成される空間（即ち第２流路60）にあ
る冷気は、容器50の前壁51の上端が上の容器に近接する
関係上前記吸引力による影響が及びにくく、庫外に流出
しにくくなり、冷気漏れ防止が行なえる。

〔発明の効果〕

以上詳述したように本発明によれば、容器の前壁を他
壁より高く形成したことで、容器と容器との間には従来
に比べて大きな空間が形成されることとなり、区画壁の
通気孔から庫内に吹き出される冷気がこの空間に導びか
れやすくなり、容器及び容器に載置される品物の冷却効
果を向上することができる。また、上下関係に位置され
る上方容器の底部と下方容器の前壁上端との間に隙間を
設けて、通気孔から隙間へ向けた第１冷気流路を形成す
るとともに、各容器の前壁と扉との間に第２冷気流路を
形成して、庫内全体を満遍なく冷却し、庫内の温度ムラ
をなくすことができる。さらに、第２冷気流路が庫内へ
の貫流熱を遮るエアーカーテンとして作用させることが
でき、扉の開放時における外気侵入を抑制して温度上昇
を抑えることができる。

一方、前壁だけが他壁よりも高く形成され、上方に位
置する容器と下方の容器の前壁とが近接する関係上、こ
の前壁が扉を開放したときに容器上方に冷気をとどめる
ように作用し、容器内からの冷気流出を抑制することが
できるため、扉開放時の温度上昇を抑えることができ
る。

【図面の簡単な説明】

各図は本発明の一実施例を示し、第１図は低温庫の扉閉
塞時における冷気流路を示す断面図、第２図は扉を開放
した状態における低温庫斜視図、第３図は第２図のＡ−
Ａ断面図、第４図は支柱・支柱部材及び容器の関係を表
す概略斜視図、第５図及び第６図はそれぞれ第４図のＢ
−Ｂ断面図及びＣ−Ｃ断面図、第７図は支持部材の斜視
図である。 １……低温庫、２……断熱箱、11……冷却装置、Ｋ……
空間、17……送風装置、25……区画壁、26……通気孔、
30,31……支柱、40……支持部材、50……容器、51……
前壁、52……他壁、55……把手部、Ｓ……隙間、60……
第１冷気流路、70……第２冷気流路。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】冷却装置を有した断熱箱の天壁と背壁に対
   し間隔を存して配設され多数の通気孔を形成した区画壁
   と、該区画壁と天壁及び背壁とで形成される空間に配置
   される送風装置と、庫内左右両壁面に沿って立設された
   前後一対の支柱に架設され左右対をなす複数の支持部材
   と、該支持部材に摺動可能に支持される容器とを備え、
   前記容器は他壁より高く把手部を形成した前壁を有し、
   扉の閉塞時に、上下に配置される上方の容器底部と下方
   の容器前壁上端との間に隙間を設けて第１冷気流路を形
   成するとともに、各容器前壁と扉との間に第２冷気流路
   を形成して成る低温庫。