JP2776577B2 - 蓄冷型保冷庫 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、蓄冷剤の蓄冷運転中にこれと平行して保冷
庫内の保冷運転も行い、生鮮食品や医薬品などの冷蔵あ
るいは冷凍を要する商品の輸送に使用するとともに、基
地などにおいても冷凍冷蔵保冷庫として使用でき、また
必要に応じて、輸送コンテナとしても使用できる蓄冷型
保冷庫に関するものである。

従来の技術 近年、生鮮食品の流通段階において従来の冷凍冷蔵庫
に加えて、蓄冷剤を用いた小型の蓄冷型保冷庫が使用さ
れてきている。

以下図面を参照しながら、上述した従来の蓄冷型保冷
庫の一例に付いて説明する。例えば、実公昭63−142664
号公報等において知られているような冷却コンテナがあ
る。その構成としては、蓄冷部材を格納する格納箱と、
被冷却物品の収納空間を規定すると共に前記格納箱を収
容する箱体と、前記格納箱に設けられた第１及び第２の
開口部と、該第１及び第２の開口部の少なくとも一方を
開閉自在に蓋するダンパ部と、該ダンパ部の開閉を制御
する制御部とを有し、前記第１の開口部は前記第２の開
口部よりも高い位置に配されているものである。収納空
間の冷却は、冷却された蓄冷部材と収納空間の空気の熱
交換によって行われており、ダンパ部を開閉することに
より蓄冷部材との熱交換量を制御している。ダンパが開
となると蓄冷部材によって冷却された空気が収納空間に
はいり、収納空間内の暖かい空気は第１の開口部より格
納箱内にはいるという自然対流によって空気が箱体内を
循環し収納空間を冷却するものである。

発明が解決しようとする課題 しかしながら上記従来の構成では、格納箱が箱体内の
上部に取り付けられており、仕切り部材が断熱材を備え
たものではないため、蓄冷部材を冷却し凍結させる過程
で、仕切り部材を介して箱体内も同時に冷却される。従
って、箱体内は温度調節機能がないため、冷蔵保冷の場
合にはダンパ部が閉じた状態であっても、格納箱内と箱
体内の間で熱交換がなされ保冷庫内が０℃以下にもな
る。このようなことが原因となって冷蔵保冷の輸送品物
が凍結し、生鮮輸送品物に低温障害が起き、商品価値が
なくなったり、蓄冷部材の冷却中には、箱体内に輸送品
物を保管することができないため、生鮮輸送品物が常温
下にさらされ、腐敗を招くという欠点や、箱体が使用の
限界となって交換する必要が生じた場合には、冷却ユニ
ットも同時に廃棄しなければならず不経済であるという
欠点もあった。また、蓄冷部材及び冷却ユニットの取り
付け位置が規定されておりユーザーニーズによる蓄冷部
材の位置変更が不可能であった。

本発明は、上記課題を解決するもので、格納箱内と箱
体内の間の仕切り部材が断熱材を備えたものであるた
め、蓄冷部材の冷却運転中に、格納箱内と箱体内との間
での熱交換が少なく、保冷室内の温度降下が抑制される
ため、保冷室内が０℃以下となり冷蔵保冷品物が凍結し
たりすることがなく、また、保冷運転中のみならず、基
地などにおける蓄冷部材の冷却運転中においても保冷室
への冷風量を制御して保冷室内を設定温度に維持できる
事により、冷蔵保冷並びに冷凍保冷の保管ができ、輸送
機器だけでなく、基地などに備えつけの保冷保管庫とし
ても使用できるということや、また、冷却ユニットが一
体化され着脱自在に取り付けられているため箱体の交換
の場合でも冷却ユニットが再利用でき、取り付け位置に
ついてもユーザーの指定した場所に取り付けることがで
きる。従って、以上のようなことから経済性が高く、ユ
ーザーニーズにも幅広く対応できる蓄冷型保冷庫を提供
できるものである。

課題を解決するための手段 保冷室に保冷ファンと送風ダクトを内蔵する第１の断
熱箱体と、前記第１の断熱箱体の下面に形成される第２
の断熱箱体と、前記第２の断熱箱体内に断熱板を介して
コンデンサとコンデンサファンとコンプレッサよりなる
コンデンシングユニットを設置する機械室と、送風ファ
ンと冷却器を設置する冷却室を形成し、前記冷却室の冷
却器の冷気吐出風路内に冷却器と分離設置される蓄冷剤
を備え、前記冷却器の冷気吐出風路に第１の断熱箱体と
連通する吐出風路と吸入風路を備え、コンプレッサ運転
中の冷却室の温度を蓄冷剤の凍結温度より低く、保冷室
の温度を蓄冷剤の凍結温度より高い所定の温度に制御す
る手段を備えてなるものである。

作 用 本発明は上述したような構成によって、蓄冷室が蓄冷
運転中であっても蓄冷剤の凍結運転と同時に、保冷室内
も設定温度に維持できるので従来の基地などに別途保冷
管庫を保有しているのに比べて、保冷保管庫の購入維持
管理を不要にさせ、基地内の設置滞留スペースの有効活
用が図れ、輸送〜基地（保冷保管）における輸送品物の
搬出入作業の削減、及びこれに伴う輸送品物の品温維持
による品質の確保と、保冷庫の交換の際の経済的負担の
軽減を実現することができる。

実施例 以下本発明の一実施例について第１図、第２図を参照
しながら説明する。

第１図において、１は第１の断熱箱体で断熱材を内蔵
したキャピネット２と、ドア３と、キャビネット２とド
ア３をシールするガスケット４とにより構成され、その
内部には送風ダクト５と、保冷ファン６、スペーサ７、
保冷室温度検知器８及びそれらによって規定される保冷
室９を形成している。10は断熱材を内蔵した第２の断熱
箱体で、第１の断熱箱体１の下部に取り付けられてい
る。第２の断熱箱体10内には機械室11と冷却室12が断熱
板13により区切られて形成されている。機械室11にはコ
ンプレッサ14、コンデンサファン15、コンデンサ16より
なるコンデンシングユニット17及び、制御部18が取り付
けられている。冷却室12内には、冷却ファン19、冷却器
20、蓄冷剤21がドア面から一列に配設されており、蓄冷
剤21の蓄冷検知と凍結温度の制御を行う蓄冷剤温度検知
器22も設置され、その検知部23は蓄冷剤21の表面に取り
付けている。また、コンプレッサ14、コンデンサ16、キ
ャピラリチューブ（図示せず）冷却器20は直列に接続さ
れ冷凍サイクルを形成している。前記保冷室９内と冷却
室12内とは、冷却器20の冷気吐出風路30に設けられた蓄
冷剤21の後方側上面に設けられた吐出風路24と蓄冷剤21
のドア３側上面に設けられた吸入風路25とで連通してお
り、前記機械室11にはコンデンサファン15の風路として
吸入口26がコンデンサファン15のドア側下面に、吐出口
27がコンデンサ16の直下部に設けられている。また、第
１の断熱箱体１と第２の断熱箱体10との接続は固定フッ
ク28により行われ、必要なときには取り外し可能となっ
ている。29は電源コードで商用電源30に接続され、31は
バッテリで前記保冷ファン６の電源である。

以上のように構成された蓄冷型保冷庫について以下第
１図、第２図を用いてその動作を説明する。

まず、基地やベースなどにおいて電源コード20を電源
21に差し込みコンデンシングユニット17、冷却ファン1
9、冷却器20を運転し蓄冷剤21の運転を行う。冷却され
た冷却器20により蓄冷剤21を冷却し、蓄冷剤21が完全に
冷却凝固されて検知部23の温度が蓄冷剤21の連結温度よ
り低い所定の温度（例えば約−30℃）になると蓄冷剤温
度検知器22が作動し、コンデンシングユニット17、冷却
ファン19、冷却器20の運転を停止する。以降コンデンシ
ングユニット17、冷却ファン19、冷却器20の停止、運転
を繰り返し、蓄冷剤10の温度が上昇・低下しないように
蓄冷剤10の凍結温度を一定の温度範囲内に制御する。蓄
冷運転によって蓄冷室冷却室12内は保冷室９内より低い
温度（例えば約−40℃）に保たれているが、冷却室12を
形成する第２の断熱箱体10は断熱材を内蔵したキャビネ
ットでできているため、冷却室12と保冷室９との壁面を
通した熱交換は微少に制限されている。また、第１の断
熱箱体１と第２の断熱箱体10との連通部となっている吐
出風路24と吸入風路25の付近の静圧は冷却ファン19運転
時には共に正圧となっているため、保冷室９内へは冷却
室12内の空気が浸入することはない。

一方、蓄冷剤21の蓄冷運転を開始すると同時に、バッ
テリ31の充電及び、保冷室９の保冷も開始する。まず、
保冷室９内の空気温度が設定値よりも高くなっており、
冷却が必要な場合には保冷室９内の上部に取り付けられ
ている保冷室温度検知器８が動作し、保冷ファン６が運
転される。これによって蓄冷室12内で冷却器20によって
冷却された空気が吐出風路24、送風ダクト５を通り保冷
室９内へ導かれ、保冷室９内の暖かい空気は吸入風路25
を通って冷却室12内へ導入される。以下の動作を保冷室
９が設定温度（例えば５℃）となるまで行い、設定温度
に達すると保冷室温度検知器８により保冷ファン６を制
御し、保冷室９内への冷風量を調整することで保冷室９
内の温度を維持するものである。

次に保冷輸送に使用する場合について説明する。蓄冷
剤21の蓄冷とバッテリ31の充電が終了した上で、電源コ
ード29を商用電源30より抜き取り、コンデンシングユニ
ット17、冷却ファン19、冷却器20の運転を停止する。そ
して輸送用トラックや船舶、航空機などに乗せて目的地
まで輸送する。この時、保冷室９内の保冷は、蓄冷運転
中の保冷室９内の温度制御は以下のようにして行う。基
本的には蓄冷運転中と同様であるが、冷却室12内の冷却
空気は蓄冷剤21が融解するときの融解潜熱によって得ら
れたものである。保冷室９内の空気温度が上昇すると、
保冷室９の上部に取り付けられている保冷室温度検知器
８が動作することにより、バッテリー31を電源とした保
冷ファン６を運転し、蓄冷剤21の融解潜熱により得られ
る冷風を吐出風路24より保冷室９内に送り込み、保冷室
９内の空気を吸入風路25より保冷室12内へ導入し冷却す
る。

また、第１の断熱箱体１か第２の断熱箱体10のどちら
かが破損した場合には固定フック28を外すことで双方を
分離することができ、簡単に取り替えができるようにな
っている。また、第２の断熱箱体10全体を第１の断熱箱
体１の側面や上部に取り付け、保冷室９内の保冷を行う
こともでき、広くユーザーニーズに対応できる。

以上のように本実施例によれば、冷却室12と保冷室９
との熱交換がほとんどなく、保冷室12内の冷気を保冷フ
ァン６によって保冷室９内に導いているため、輸送中に
おいても、また、ベースや基地における蓄冷剤21の蓄冷
運転中においても保冷室９内を設定温度に維持できる。
また第１の断熱箱体１と第２の断熱箱体10が、完全に分
離できる構造になっているため、損失した場合の交換コ
ストが少なくて済み、ユーザーニーズによって第２の断
熱箱体10の取り付け位置を付け変えることもできるた
め、種々雑多の形状に保冷庫に対応できるものである。

発明の効果 保冷室に保冷ファンと送風ダクトを内蔵する第１の断
熱箱体と、前記第１の断熱箱体の下面に形成される第２
の断熱箱体と、前記第２の断熱箱体内に断熱板を介して
コンデンサとコンデンサファンとコンプレッサよりなる
コンデンシングユニットを設置する機械室と、送風ファ
ンと冷却器を設置する冷却室を形成し、前記冷却室の冷
却器の冷気吐出風路内に冷却器と分離設置される蓄冷剤
を備え、前記冷却器の冷気吐出風路に第１の断熱箱体と
連通する吐出風路と吸入風路を備え、コンプレッサ運転
中の冷却室の温度を蓄冷剤の凍結温度より低く、保冷室
の温度を蓄冷剤の凍結温度より高い所定の温度に制御す
る手段を備えた構成としているため、輸送中において
も、ベースや基地などにおける蓄冷運転中においても、
保令室内を冷やし過ぎることのないよう設定温度に維持
でき、また第２の断熱箱体の取り付け位置を自由に設定
でき、破損した時でも一部分だけ取り替えることができ
る構造としている。従って、輸送機器としてだけでな
く、基地などに備えつけの保冷保管庫としても使用で
き、また取り付け位置のユーザーニーズに対応できるよ
うな、使用範囲の広い蓄冷型保冷庫を提供できるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の蓄冷型保冷庫の縦断面図、
第２図は同電気配線図である。 １……第１の断熱箱体,10……第２の断熱箱体,11……機
械室,12……冷却室,17……コンデンシングユニット,19
……冷却ファン,20……冷却器,21……蓄冷剤,24……吐
出風路,25……吸入風路。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−189473（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−189471（ＪＰ，Ａ) 実開 昭49−32273（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−142671（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】保冷室に保冷ファンと送風ダクトを内蔵す
   る第１の断熱箱体と、前記第１の断熱箱体の下面に形成
   される第２の断熱箱体と、前記第２の断熱箱体内に断熱
   板を介してコンデンサとコンデンサファンとコンプレッ
   サよりなるコンデンシングユニットを設置する機械室と
   送風ファンと冷却器を設置する冷却室を形成し、前記冷
   却室の冷却器の冷気吐出風路内に冷却器と分離設置され
   る蓄冷剤を備え、前記冷却器の冷気吐出風路に第１の断
   熱箱体と連通する吐出風路と吸入風路を備え、コンプレ
   ッサ運転中の冷却室の温度を蓄冷剤の凍結温度より低
   く、保冷室の温度を蓄冷剤の凍結温度より高い所定の温
   度に制御する手段を備えたことを特徴とする蓄冷型保冷
   庫。