以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ここで、実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は、例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本発明に直接関係のない要素については図示を省略する。さらに、以下の各図では、一例として、鉛直方向にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内において、X軸、かつ、X軸に垂直な方向にY軸を取る。
本実施形態に係る貨物用コンテナ(以下、単に「コンテナ」という。)は、航空貨物輸送用として、航空機の貨物室に搬入・搬出可能に格納されるULD(Unit Load Device)であるものとする。したがって、本実施形態に係るコンテナの全体形状は、一般的なULDの規格に準ずる。特に、貨物室の断面形状は、航空機の機体の断面形状に合わせて規定されているため、コンテナの形状も、貨物スペースを有効に利用するために、貨物室の断面形状に合わせて一部が左右非対称となる場合が多い。
まず、本実施形態に係るコンテナの全体形状について説明する。
図1は、本実施形態に係るコンテナ10の斜視図である。ただし、図1では、冷却ユニット40のフレーム41から、正面板22、第1側面板23及び第2側面板24がそれぞれ分離された状態が示されている。図2は、コンテナ10の斜視図である。ただし、図2では、冷却ユニット40のフレーム41には、正面板22、第1側面板23及び第2側面板24が取り付けられていない。
コンテナ10の全体形状は、おおよそ直方体状である。コンテナ10は、全体として、上壁部11と、下壁部12と、前扉部13と、後壁部14と、第1側壁部15と、第2側壁部16と、傾斜壁部17とを有する。
上壁部11と下壁部12とは、互いにXY平面に対して平行である。上壁部11及び下壁部12の平面形状は、それぞれ矩形である。上壁部11及び下壁部12のY方向に沿った幅方向の寸法は、互いに同一である。ただし、下壁部12のX方向に沿った奥行き方向の寸法は、上壁部11の奥行き方向の寸法よりも短い。
前扉部13、後壁部14、第1側壁部15及び第2側壁部16は、それぞれ、上壁部11の四方のいずれかの端辺部に、Z方向に沿って連接している。前扉部13、第1側壁部15及び第2側壁部16は、それぞれ、下壁部12の四方のいずれかの端辺部に、Z方向に沿って連接している。前扉部13と後壁部14とは、互いにYZ平面に対して平行である。第1側壁部15と第2側壁部16とは、互いにXZ平面に対して平行である。
前扉部13は、例えば、一対の開閉扉である。前扉部13の一方の扉は、複数の第1蝶番20を介して第1側壁部15に支持されている。前扉部13の他方の扉は、複数の第2蝶番21を介して第2側壁部16に支持されている。
傾斜壁部17は、航空機の貨物室の断面形状に合わせて形状が規定された壁部である。傾斜壁部17のZ方向上方の端辺部は、後壁部14に連接している。傾斜壁部17のZ方向下方の端辺部は、下壁部12に連接している。つまり、前扉部13又は後壁部14の側からコンテナ10を見ると、コンテナ10の平面形状は、おおよそ四角形である。一方、第1側壁部15又は第2側壁部16の側からコンテナ10を見ると、コンテナ10の平面形状は、おおよそ五角形である。
下壁部12は、上底部12aと、下底部12bと、上底部12aと下底部12bとを接続する側壁部12cとを有する。上底部12aは、コンテナ本体部30の一部を構成する実際上の下壁部である。上底部12aと下底部12bとの間は、空間領域である。一方、第1側壁部15の側と第2側壁部16の側との2箇所の側壁部12cは、特に航空機の外部でコンテナ10を移動させる際に利用されるフォークリフト等の荷役装置のフォーク部を挿入可能とする挿入口12dを有する。
次に、コンテナ10の具体的構成について説明する。
図3は、冷却ユニット40がコンテナ本体部30から取り外されている状態のコンテナ10を示す斜視図である。図4は、冷却ユニット取付部32をZ方向下方から見上げたコンテナ本体部30の一部斜視図である。
コンテナ10は、コンテナ本体部30と、冷却ユニット40とを備える。
コンテナ本体部30は、貨物を収容する収容室31(図7参照)を含む、コンテナ10の本体構造体である。なお、コンテナ本体部30内の収容室31の具体的形状については後述する。コンテナ本体部30は、冷却ユニット40を取り付ける冷却ユニット取付部32を有する。
冷却ユニット取付部32は、コンテナ10の全体形状で見ると、後壁部14の一部と傾斜壁部17とが冷却ユニット40の一部となるように存在する。具体的には、コンテナ10の全体形状は、上述のとおり、ULD特有の一部左右非対称となる形状である。そのため、冷却ユニット取付部32は、冷却ユニット40がコンテナ本体部30に取り付けられた状態でもコンテナ10の全体形状から外側に出ないように、コンテナ本体部30における切り欠き領域となっている。
コンテナ本体部30は、例えば、複数の枠体30aと、複数の外壁30bと、前扉部13との組み合わせで構成される。複数の外壁30bのうちのいくつかは、それぞれ、上壁部11、下壁部12、後壁部14の一部、第1側壁部15の一部、又は、第2側壁部16の一部のいずれかを構成する。
また、コンテナ本体部30は、図4に示すように、冷却ユニット取付部32に含まれる外壁30bとして、第1取付壁部18と、第2取付壁部19とを有する。第1取付壁部18と第2取付壁部19とは、互いに垂直となる姿勢で連接する。具体的には、第1取付壁部18は、上壁部11と平行で、第2取付壁部19、後壁部14の一部、第1側壁部15の一部、及び、第2側壁部16の一部に連接する。第2取付壁部19は、後壁部14と平行で、第1取付壁部18、下壁部12、第1側壁部15の一部、及び、第2側壁部16の一部に連接する。つまり、冷却ユニット取付部32に冷却ユニット40が取り付けられた状態では、第1取付壁部18は、Z方向で冷却ユニット40に対向し、第2取付壁部19は、X方向で冷却ユニット40に対向する。
複数の枠体30aは、それぞれ、隣り合う外壁30b又は前扉部13を支持する。枠体30a同士は、連結部30cを介して連結されてもよい。枠体30a、外壁30b、連結部30c又は前扉部13は、それぞれ、コンテナ10が航空機に搭載される性質上、軽量な金属であるアルミニウム系合金で形成されてもよい。さらに、外壁30bと前扉部13とをアルミニウム又は繊維強化プラスチック(FRP)を表層材とする断熱パネルで形成することで、コンテナ10の保冷性能を高めることができる。
特に、第1取付壁部18又は第2取付壁部19を支持する複数の枠体30aのうち、冷却ユニット40に対向する面には、冷却ユニット取付部32に対する冷却ユニット40の取り付けに用いられる複数の取付穴30dが形成されている。これらの取付穴30dは、それぞれの枠体30aの全長に対して均等に配置されることが望ましい。さらに、第1取付壁部18又は第2取付壁部19は、冷却ユニット取付部32に対する冷却ユニット40の取り付けに用いられる取付穴を有してもよい。本実施形態では、一例として、第2取付壁部19が2つの取付穴19aを有する。
なお、コンテナ本体部30は、例えば、後壁部14側の枠体30aに、コンテナ10を移動させる際に用いられるベルト33を吊設してもよい。また、コンテナ本体部30は、例えば、第1側壁部15及び第2側壁部16の側のそれぞれの外壁30bに、前扉部13の開放状態を保持する際に用いられる引っ掛け部34を設置してもよい。
また、コンテナ10は、コンテナ本体部30の収容室31の内部を冷却するための冷却システム50を備える。本実施形態では、冷却システム50の冷却方式として、蓄冷式を採用する。この場合、冷却システム50は、例えば、制御BOX51と、圧縮機52と、凝縮器53と、蓄冷板54とを含む。
制御BOX51は、冷却システム50の運転を制御する。圧縮機52は、高温・高圧のガス冷媒を生成する。凝縮器53は、例えばファン55を含み、ファン55の駆動に合わせて、圧縮機52で生成されたガス冷媒と外気との間で熱交換を行わせることで、ガス冷媒を冷却して凝縮させて液冷媒を生成する。蓄冷板54は、蓄冷材を封入している。凝縮器53と蓄冷板54とは、冷媒配管56を介して接続されている。凝縮器53から排出された液冷媒は、冷媒配管56を流通する段階で減圧されて断熱膨張した後、蓄冷板54内を流通することで蓄冷材から熱を奪って蒸発し、蓄冷材を冷却する。
図5は、冷却システム50を構成する各要素を示したコンテナ10の斜視図である。図5(a)は、図2中のVA−VA断面に対応する、コンテナ10の断面斜視図である。具体的には、図5(a)は、冷却ユニット40のX方向のコンテナ本体部30に対向する側の端部に沿ってコンテナ10が切断された状態を示している。ただし、図5(a)に示す図では、冷却ユニット40に第1側面板23が取り付けられている。図5(b)は、図5(a)におけるVB領域に対応する、冷媒配管56の途中に設けられている管継手57の近傍を示す拡大斜視図である。
本実施形態では、冷却システム50に含まれる蓄冷板54は、収容室31内の空間に面するように、コンテナ本体部30の内部に設置される。例えば、蓄冷板54は、収容室31の上壁部11側の内面を覆うように設置されてもよい。これに対して、冷却システム50に含まれる構成要素のうち、蓄冷板54以外の構成要素、例えば、制御BOX51、圧縮機52及び凝縮器53は、冷却ユニット40に収容され、保持される。
図6は、おおよそ第2取付壁部19に取り付けられる側から見た、冷却ユニット40の構成を示す斜視図である。
冷却ユニット40は、上記の蓄冷板54以外の冷却システム50の構成要素と、これらの構成要素を保持するフレーム41とを有する。なお、冷却ユニット40は、コンデンシングユニットともいう。
フレーム41は、例えば、複数のL型アングル材の組み合わせで構成され得る。フレーム41の材質は、コンテナ本体部30の各構成要素と同様に、アルミニウム系合金であってもよい。フレーム41は、本実施形態における例では、上枠体42と、下枠体43と、第1側枠体44と、第2側枠体45と、載置枠体46とを含む。
上枠体42は、Z方向の最上部に位置し、Y方向に沿って延伸する棒状体である。上枠体42は、後壁部14の一部とみなすことができ、第1取付壁部18側の枠体30aの一部とZ方向で接触可能である。下枠体43は、Z方向の最下部に位置し、Y方向に沿って延伸する棒状体である。
第1側枠体44は、第1側壁部15の一部とみなすことができる環状体である。具体的には、第1側枠体44は、第1上枠44aと、第1表枠44bと、第1裏枠44cと、第1傾斜枠44dとを含む。以下、フレーム41に関しての「表」とは、冷却ユニット40がコンテナ本体部30に取り付けられたときに、コンテナ10の外部に向かう側をいう。一方、フレーム41に関しての「裏」とは、「表」の反対側に位置し、冷却ユニット40がコンテナ本体部30に取り付けられたときに、コンテナ10の内部に向かう側をいう。
第1上枠44aは、Z方向の最上部に位置し、X方向に沿って延伸する棒状体である。第1上枠44aは、第1取付壁部18側の枠体30aの一部とZ方向で接触可能である。第1表枠44bは、コンテナ10の外枠に相当し、Z方向に沿って延伸する棒状体である。したがって、第1表枠44bは、後壁部14の一部ともみなすことができる。第1裏枠44cは、Z方向に沿って延伸する棒状体である。第1裏枠44cは、第2取付壁部19側の枠体30aの一部とX方向で接触可能である。第1傾斜枠44dは、コンテナ10の外枠に相当し、傾斜壁部17の傾きに沿って延伸する棒状体である。したがって、第1傾斜枠44dは、傾斜壁部17の一部ともみなすことができる。
第2側枠体45は、第2側壁部16の一部とみなすことができる環状体である。具体的には、第2側枠体45は、第2上枠45aと、第2表枠45bと、第2裏枠45cと、第2傾斜枠45dとを含む。第2上枠45aは、Z方向の最上部に位置し、X方向に沿って延伸する棒状体である。第2上枠45aは、第1取付壁部18側の枠体30aの一部とZ方向で接触可能である。第2表枠45bは、コンテナ10の外枠に相当し、Z方向に沿って延伸する棒状体である。したがって、第2表枠45bは、後壁部14の一部ともみなすことができる。第2裏枠45cは、Z方向に沿って延伸する棒状体である。第2裏枠45cは、第2取付壁部19側の枠体30aの一部とX方向で接触可能である。第2傾斜枠45dは、コンテナ10の外枠に相当し、傾斜壁部17の傾きに沿って延伸する棒状体である。したがって、第2傾斜枠45dは、傾斜壁部17の一部ともみなすことができる。
載置枠体46は、冷却ユニット40に収容される冷却システム50の各構成要素を載置させる環状体である。具体的には、載置枠体46は、表中段枠46aと、裏中段枠46bと、第1側中段枠46cと、第2側中段枠46dとを含む。表中段枠46a、裏中段枠46b、第1側中段枠46c及び第2側中段枠46dは、すべて、同一のXY平面上、すなわち、同一の水平面上にある。そして、表中段枠46aは、例えば、コンテナ10の後壁部14と傾斜壁部17との連接位置上を延伸する棒状体であってもよい。
上枠体42、下枠体43、表中段枠46a及び裏中段枠46bの一方の端部は、第1側枠体44に連結される。同様に、上枠体42、下枠体43、表中段枠46a及び裏中段枠46bの他方の端部は、第2側枠体45に連結される。この場合、上枠体42、下枠体43、第1側枠体44、第2側枠体45、及び、載置枠体46の表中段枠46aは、換言すると、フレーム41の外形を規定する外枠である。
ここで、フレーム41は、複数の貫通穴41aを有する。複数の貫通穴41aは、フレーム41のうち、冷却ユニット取付部32にある複数の取付穴30dに対応する位置に形成されている。このような貫通穴41aが形成されている位置は、具体的には、上枠体42、第1上枠44a、第2上枠45a、第1裏枠44c及び第2裏枠45cのうち、冷却ユニット取付部32にある複数の枠体30aのいずれかと接触可能な板部である。
また、複数の貫通穴41aは、上記のほかに、フレーム41のうち、正面板22、第1側面板23及び第2側面板24にある複数の取付穴に対応する位置にも形成されている。なお、図1及び図5の各図では、正面板22、第1側面板23及び第2側面板24をフレーム41に取り付けるためのボルト25を描画しているため、正面板22、第1側面板23及び第2側面板24にある複数の取付穴は不図示である。
フレーム41は、上記の枠体のほかに、1つ以上の補強枠体47を含んでもよい。例えば、載置枠体46は、冷却システム50の各構成要素の重量を受ける。そこで、フレーム41は、載置枠体46の支持強度を増加させるために、それぞれ下枠体43から載置枠体46を支持する第1補強部材47a、第2補強部材47b、第3補強部材47c又は第4補強部材47dを有してもよい。第1補強部材47a及び第2補強部材47bは、それぞれ、第1傾斜枠44d及び第2傾斜枠45dと平行であり、下枠体43と表中段枠46aとを連結する。第3補強部材47c及び第4補強部材47dは、それぞれ、第1裏枠44c及び第2裏枠45cと平行であり、下枠体43と裏中段枠46bとを連結する。さらに、フレーム41は、例えば、下枠体43及び表中段枠46aと平行で、第1補強部材47aと第2補強部材47bとを連結する第5補強部材47eを有してもよい(図8参照)。
また、フレーム41は、例えば、冷却システム50の各構成要素の個々の形状に合わせて固定しやすくするために、載置枠体46内に、第6補強部材47f、第7補強部材47g、第8補強部材47h又は第12補強部材47lを有してもよい(図5参照)。ここで、本実施形態では、冷却ユニット40の長手方向であるY方向に沿って、一方の側から順に、制御BOX51、凝縮器53及び圧縮機52と並んでいる。特に、発熱による放熱の要請から、圧縮機52は、フレーム41の端側に設置されることが望ましい。そして、制御BOX51、凝縮器53及び圧縮機52の配列を考慮すると、第6補強部材47fは、第1側中段枠46c及び第2側中段枠46dと平行で、かつ、圧縮機52と凝縮器53との間で、表中段枠46aと裏中段枠46bとを連結する。同様に、第7補強部材47gは、第1側中段枠46c及び第2側中段枠46dと平行で、凝縮器53と制御BOX51との間で表中段枠46aと裏中段枠46bとを連結する。さらに、第8補強部材47hは、表中段枠46a及び裏中段枠46bと平行で、第6補強部材47fと第7補強部材47gとを連結する。そして、第12補強部材47lは、表中段枠46a及び裏中段枠46bと平行で、第6補強部材47fと第1側中段枠46cとを連結する。
また、フレーム41は、例えば、冷却システム50の各構成要素をより強固に固定するために、それぞれ上枠体42から載置枠体46を支持する第9補強部材47i又は第10補強部材47jを有してもよい(図8参照)。第9補強部材47i及び第10補強部材47jは、それぞれ、第1裏枠44c及び第2裏枠45cと平行であり、上枠体42と表中段枠46aとを連結する。さらに、フレーム41は、例えば、上枠体42及び表中段枠46aと平行で、第2表枠45bと第9補強部材47iとを連結する第11補強部材47kを有してもよい(図8参照)。
冷却システム50に含まれる制御BOX51、凝縮器53及び圧縮機52と、その他、各構成要素間で接続される配管又は配線類は、直接的、又は、継手金具等を介して間接的に、例えばボルトを用いて締結されることで、フレーム41の各種の枠体に固定される。
冷却システム50は、凝縮器53から、コンテナ本体部30の収容室31の内部に設置されている蓄冷板54へ液冷媒を流通させる冷媒配管56を有する。本実施形態では、冷媒配管56は、図5(a)に示すように、冷却ユニット40からZ方向に沿って上方に延伸している。そして、冷媒配管56は、第1取付壁部18に形成されている開口部18aを貫通して、蓄冷板54に接続される。
また、本実施形態では、凝縮器53が設置されている冷却ユニット40を、蓄冷板54が設置されているコンテナ本体部30から取り外し可能とするために、冷媒配管56は、開口部18aの近傍で分離可能である。具体的には、冷媒配管56は、凝縮器53に接続されている一方の配管と、蓄冷板54に接続されている他方の配管とを含む。そして、図5(b)に示すように、冷媒配管56を構成するそれぞれの配管は、管継手57を介して互いに連結される。ここで、開口部18aの大きさは、収容室31内の保冷性能を低下しづらくするために、管継手57を含む冷媒配管56の先端部が貫通するのに要求される程度の大きさとし、シール材を塗布することが望ましい。また、管継手57は、冷却ユニット40を冷却ユニット取付部32に取り付けている状態、すなわち、管継手57が締結されている状態では、収容室31の側にある。
また、コンテナ10は、図1に示すように、冷却ユニット40のフレーム41を覆う外装板として、正面板22と、第1側面板23と、第2側面板24とを有する。正面板22、第1側面板23及び第2側面板24の材質は、それぞれ、コンテナ本体部30の各構成要素と同様に、アルミニウム系合金であってもよい。
正面板22は、フレーム41において後壁部14の一部に対応する部分を覆う第1平板部22aと、傾斜壁部17に対応する部分を覆う第2平板部22bとを含む。第1平板部22a及び第2平板部22bは、それぞれ、フレーム41に形成されている複数の貫通穴41aに対応する位置に複数の取付穴を有する。また、第2平板部22bには、フレーム41の形状に合わせて、フレーム41に形成されている複数の貫通穴41aに対応する位置に複数の取付穴を有するフランジ部22eを有してもよい。なお、図1に示す例では、第1平板部22aと第2平板部22bとが一体化しているが、それぞれ別体であってもよい。
また、正面板22は、例えば第1平板部22aに、フレーム41の内部と外部との間で大気を流通可能とする複数の貫通穴の集合部であるパンチング部22cを有する。パンチング部22cは、第1平板部22aにおける、例えば、圧縮機52に対向する領域と、凝縮器53に対向する領域とに形成される。これにより、圧縮機52は、効率良く放熱を行うことができる。凝縮器53は、外部から効率良く大気を導入することができる。また、正面板22は、第1平板部22aにおける制御BOX51に対向する領域に、正面板22がフレーム41に取り付けられている状態でも作業者が外部から制御BOX51の操作ボタン等にアクセス可能とするための開口部22dを有する。
第1側面板23は、フレーム41において第1側壁部15の一部に対応する部分を覆う。第1側面板23は、フレーム41に取り付けられている状態では、圧縮機52の近傍にある。そこで、第1側面板23は、図5(a)に示すように、圧縮機52に対向する領域に、上記のパンチング部22cと同様のパンチング部23aを有する。また、第2側面板24は、フレーム41において第2側壁部16の一部に対応する部分を覆う。第1側面板23及び第2側面板24は、それぞれ、フレーム41に形成されている複数の貫通穴41aに対応する位置に複数の取付穴を有する。
なお、図1等では、上記のとおり、正面板22、第1側面板23及び第2側面板24に形成されている取付穴自体は不図示であるが、複数の取付穴に対応する位置には、それぞれ締結に用いられるボルト25が描画されている。
次に、コンテナ10における収容室31の形状について説明する。
図7は、コンテナ10の側面図である。ただし、図7では、コンテナ本体部30から冷却ユニット40が取り外された状態を示している。また、図7では、コンテナ本体部30にある収容室31の形状を、概略的に二点鎖線で示している。
冷却ユニット40は、一般的なULDの形状に準拠しているコンテナ10において、X方向に関しては傾斜壁部17が存在する奥側の領域内に、かつ、Z方向に関しては傾斜壁部17を含む下側の領域内に設置される。したがって、収容室31の収容領域は、X方向の位置が前扉部13から第2取付壁部19に到達するまでの間では、おおよそ、コンテナ10の全体形状に合わせた領域となる。さらに、収容室31は、X方向の位置が第2取付壁部19から後壁部14に到達するまでの間で、かつ、Z方向の位置が上壁部11から第1取付壁部18に到達するまでの間も、収容領域となる。つまり、本実施形態では、冷却ユニット40がコンテナ本体部30に取り付けられている状態でも、冷却ユニット40のZ方向の上方に位置する領域が、収容室31の一部となる。
次に、コンテナ本体部30に冷却ユニット40を取り付ける手順について説明する。
当初、コンテナ本体部30と冷却ユニット40とは、別々に組み立てられる。特に、冷却ユニット40は、コンテナ本体部30に取り付ける前に、図6に示すような1つのユニットとして組み立てられる。つまり、冷却システム50を構成する制御BOX51、凝縮器53及び圧縮機52等は、この段階でフレーム41に保持されている。
次に、冷却ユニット40は、コンテナ本体部30の冷却ユニット取付部32の所定位置に配置される。ここで、冷却ユニット40は、冷却システム50を構成する複数の要素を保持しているため、ある程度の重量を有する。そのため、本実施形態では、冷却ユニット40は、以下のような保持治具と、フォークリフト等の荷役装置とにより、冷却ユニット取付部32に配置される。
図8は、第1保持治具60a及び第2保持治具60bを取り付けた状態の冷却ユニット40の正面図である。図9は、第1保持治具60a及び第2保持治具60bを取り付けた状態の冷却ユニット40の側面図である。また、図10は、第1保持治具60a及び第2保持治具60bを取り付けた状態の冷却ユニット40の斜視図である。図8〜図10の各図では、フォークリフトの本体は不図示であるが、フォークリフトのフォーク部の一部として、2つの先端部が示されている。以下、フォーク部の一方の先端部を第1フォーク100aと表記し、フォーク部の他方の先端部を第2フォーク100bと表記する。
冷却ユニット40を冷却ユニット取付部32に配置する段階では、フレーム41には、未だ正面板22等が取り付けられていない。そのため、フォークリフトは、フレーム41の外部から内部に向けて、第1フォーク100a及び第2フォーク100bを貫通させることができる。また、フレーム41には、水平面と平行に配置された載置枠体46が存在する。したがって、フォークリフトは、第1フォーク100a及び第2フォーク100bを、載置枠体46の下方に挿入させた後、そのまま上方に引き上げることで載置枠体46を持ち上げ、結果として冷却ユニット40全体を持ち上げて、移動させることができる。
しかし、冷却ユニット40では、載置枠体46の上部に冷却システム50の各要素が固定されているが、そのほか、図8〜図10に示すように、載置枠体46の下部には、各種の配管類が存在する。そのため、フォークリフトが、第1フォーク100a及び第2フォーク100bを単に載置枠体46の下方に挿入させたのでは、載置枠体46を持ち上げようとした際に、第1フォーク100a又は第2フォーク100bが配管類に接触することもあり得る。そこで、本実施形態では、フォークリフトは、第1フォーク100a及び第2フォーク100bのそれぞれに対応した2つの保持治具である第1保持治具60a及び第2保持治具60bを介して、載置枠体46を持ち上げる。
第1保持治具60a及び第2保持治具60bは、それぞれ、載置枠体46の一部の裏面と、第1フォーク100a又は第2フォーク100bの載置面とに当接可能なブロック体である。第1保持治具60a及び第2保持治具60bの材質は、例えば、載置枠体46との接触により載置枠体46に対して傷が付くことを抑えるために木材等であってもよい。第1保持治具60a及び第2保持治具60bの高さ寸法は、図8に示すように、第1フォーク100a等が第1保持治具60a等を介して載置枠体46を保持しても、第1フォーク100a等が載置枠体46の下部に存在する配管類に接触しない程度とする。第1保持治具60a及び第2保持治具60bの奥行寸法は、図10に示すように、第1フォーク100a等が第1保持治具60a等を介して載置枠体46を保持しても、第1フォーク100a等が載置枠体46の下部に存在する配管類に接触しない程度とする。したがって、第1保持治具60aと第2保持治具60bとの奥行寸法は、それぞれ、配管類の配置に合わせて互いに異なっていてもよい。
また、第1保持治具60a及び第2保持治具60bが載置枠体46に当接する位置は、冷却ユニット40における各部での重量配分に基づいて決定されてもよい。例えば、冷却ユニット40に保持されている冷却システム50の各構成要素のうち、圧縮機52が最も重い。そこで、第1フォーク100a又は第2フォーク100bの一方である第2フォーク100bが、図8及び図10に示すように、圧縮機52の下方に位置するように、第2保持治具60bを載置枠体46の一部に当接させてもよい。なお、この場合、もう一方の第1保持治具60aの載置枠体46との当接位置は、第1フォーク100aと第2フォーク100bとの間隔に従って決定される。これにより、フォークリフトは、第1フォーク100a及び第2フォーク100bに冷却ユニット40をバランスよく保持させることができる。
また、第1保持治具60a及び第2保持治具60bは、それぞれ、分割されていてもよい。例えば、本実施形態では、第2保持治具60bは、図10に示すように、載置枠体46の表中段枠46aのほかに、同一平面上にある第12補強部材47lにも当接している。このような場合、第2保持治具60bは、表中段枠46aと第2フォーク100bとに当接する一方のブロック体と、第12補強部材47lと第2フォーク100bとに当接する他方のブロック体との2つのブロック体で構成されてもよい。
冷却ユニット40が冷却ユニット取付部32に配置された後、次に、作業者は、複数のボルト48(図5(a)参照)を、フレーム41の内側から貫通穴41aを貫通させて、冷却ユニット取付部32にある複数の取付穴30dに締結させる。これにより、冷却ユニット40は、冷却ユニット取付部32に対して固定される。ここで、特に振動を発生する圧縮機52を保持する部分をより強固に固定するために、図5(a)に示すように、ボルト48を、第3補強部材47cの貫通穴41aにも貫通させて、第2取付壁部19にある2つの取付穴19aに締結させてもよい。
ここまでの段階で、冷却ユニット40側の冷媒配管56のうち、管継手57が付されている冷媒配管56の先端部は、第1取付壁部18の開口部18aを貫通して、コンテナ本体部30の収容室31内にある。そこで、次に、作業者は、前扉部13から収容室31内に進入し、管継手57を締結させて、蓄冷板54側の冷媒配管56と、冷却ユニット40側の冷媒配管56とを連結させる。
そして、作業者は、複数のボルト25を用いて、正面板22、第1側面板23及び第2側面板24をフレーム41に固定することで、コンテナ10の組み立てを完了する。
次に、冷却システム50をメンテナンスする手順について説明する。
まず、冷却システム50に含まれる制御BOX51、凝縮器53又は圧縮機52等を簡易的にメンテナンスする場合には、作業者は、ボルト25による締結を解除することで、正面板22、第1側面板23又は第2側面板24をフレーム41から取り外す。これにより、冷却システム50の各構成要素は、コンテナ10の外部に露出する。したがって、作業者は、冷却システム50の各構成要素を、コンテナ10から取り外すことなく、フレーム41の隙間からアクセスして、容易にメンテナンスを実施することができる。
一方、例えば、冷却システム50のいずれかの構成要素の交換を要するようなメンテナンスを行う場合には、作業者は、上記の冷却ユニット40の取付手順とは反対の手順でコンテナ本体部30から冷却ユニット40を取り外した後、実施すればよい。
次に、本実施形態に係るコンテナ10による効果について説明する。
本実施形態に係るコンテナ10は、貨物を収容する収容室31を有するコンテナ本体部30と、圧縮機52及び凝縮器53を含み、収容室31の内部を冷却する冷却システム50と、圧縮機52及び凝縮器53を収容して保持するフレーム41とを備える。フレーム41は、圧縮機52及び凝縮器53を保持した状態で、コンテナ本体部30に対して着脱可能である。
このようなコンテナ10によれば、例えば、冷却システム50を構成する圧縮機52等の交換を要するようなメンテナンスを実施する場合、作業者は、コンテナ本体部30からフレーム41ごと冷却システム50の構成要素を取り外すことができる。したがって、作業者は、その後、例えば、コンテナ本体部30とは別の場所でフレーム41に対して冷却システム50の各構成要素の交換等を実施することができる。つまり、従来、圧縮機や凝縮器等は、コンテナに対して、直接的に、かつ、個別に設置されていたため、交換等を要する場合には、コンテナから個別に取り外し、その後、取り付けなければならなかった。これに対して、本実施形態によれば、冷却システム50の構成要素をフレーム41ごと一括して取り外すことができるので、着脱に要する時間を短縮化させることができるので、結果として、メンテナンスに要する時間全体を短縮化させることができる。また、交換作業をコンテナ本体部30とは別の場所で行うことができるので、作業性を向上させることができる。
したがって、本実施形態によれば、収容室31の内部を冷却する冷却システム50のメンテナンス性を向上させるのに有利なコンテナ10を提供することができる。
また、本実施形態に係るコンテナ10は、航空機の貨物室に搭載され、かつ、貨物室の断面形状に合わせて傾斜する傾斜壁部17を有する。フレーム41は、コンテナ本体部30に取り付けられているときに、傾斜壁部17を含む形状を有するものとしてもよい。
このようなコンテナ10によれば、フレーム41は、コンテナ10の外部に面する部分に位置することになるので、作業者は、冷却システム50のメンテナンスの際に、フレーム41にアクセスすることが容易となる。
また、本実施形態に係るコンテナ10では、コンテナ本体部30は、フレーム41の鉛直方向の上方に収容室31の一部を含んでもよい。
このようなコンテナ10によれば、例えば、フレーム41が傾斜壁部17を含むような形状を有する場合でも、フレーム41の上方の領域を収容室31の収容領域として有効に活用することができる。また、このようなコンテナ10によれば、冷却システム50の各構成要素を保持しているフレーム41がコンテナ10の下方に位置することになるので、コンテナ10が低重心化され、コンテナ10の姿勢の安定化が図れるという利点がある。
また、本実施形態に係るコンテナ10では、コンテナ本体部30は、フレーム41に向けて形成された複数の取付穴30dを有するものとしてもよい。フレーム41は、複数の取付穴30dのそれぞれに対応する位置に貫通穴41aを有し、ボルト48を貫通穴41aに貫通させて取付穴30dに締結させることで、コンテナ本体部30に取り付けられてもよい。
このようなコンテナ10によれば、冷却システム50のメンテナンス等において、作業者は、ボルト48の締結又はその解除を行うことで、コンテナ本体部30に対するフレーム41の着脱を容易に行うことができる。
また、本実施形態に係るコンテナ10では、冷却システム50は、収容室31の内部に設置される蓄冷板54と、蓄冷板54と凝縮器53との間、及び、蓄冷板54と圧縮機52との間で冷媒を流通させる冷媒配管56とを含んでもよい。また、コンテナ10は、冷媒配管56を一方の配管と他方の配管とに分離可能とする管継手57を含んでもよい。管継手57の締結は、フレーム41が圧縮機52及び凝縮器53を保持した状態でコンテナ本体部30から取り外されるときに解除されてもよい。
このようなコンテナ10によれば、作業者は、冷媒を回収した後に管継手57の締結を解除すれば、蓄冷板54と凝縮器53、及び、蓄冷板54と圧縮機52の連接自体が解除されることになるため、コンテナ本体部30からフレーム41を容易に取り外すことができる。
また、本実施形態に係るコンテナ10は、外部に面し、フレーム41に対して着脱可能な外装板を有してもよい。
ここで、外装板は、例えば、正面板22、第1側面板23又は第2側面板24に相当する。
このようなコンテナ10によれば、作業者は、冷却システム50の構成要素の交換を伴わないような簡易的なメンテナンスを行う場合に、外装板を取り外すのみで、容易に冷却システム50にアクセスしてメンテナンスを行うことができる。つまり、冷却システム50に対する簡易的なメンテナンスの場合には、作業者は、コンテナ本体部30からフレーム41を取り外さなくてもよい。
また、本実施形態に係るコンテナ10では、フレーム41は、フレーム41の外部から内部に向けて荷役装置のフォーク部が挿入されたときに、フォーク部と対向する枠体を有してもよい。枠体は、フォーク部により、保持治具を介して持ち上げられてもよい。保持治具は、フォーク部が枠体を持ち上げるときにフォーク部と冷却システム50とを非接触とする高さ寸法を有してもよい。
ここで、荷役装置のフォーク部は、例えば、フォークリフトの第1フォーク100a又は第2フォーク100bに相当する。枠体は、例えば載置枠体46に相当する。保持治具は、例えば、第1保持治具60a又は第2保持治具60bに相当する。
このようなコンテナ10によれば、作業者は、例えばフォークリフトを用いてフレーム41を保持させて、容易に移動させることができる。つまり、フレーム41は、クレーン等の貨物を吊り下げて移動させる荷役装置に寄らなくても容易に移動させられるので、吊り下げ用の引っ掛け部等を備えなくてもよい。また、作業者は、フォークリフトでフレーム41を保持させながら、複数のボルト48の締結やその解除を行うことで、冷却システム50の構成要素を保持したフレーム41すなわち冷却ユニット40を、コンテナ本体部30に対して容易に着脱させることができる。また、フレーム41は、保持治具を介してフォーク部に保持されるので、フレーム41の持ち上げ時にフレーム41に傷が付きにくくなる。また、保持治具は、フォーク部が枠体を持ち上げるときにフォーク部と冷却システム50とを非接触とする高さ寸法を有するので、冷却システム50の構成要素である例えば配管類の破損等を予め回避させることができる。
なお、上記の実施形態では、コンテナ10が航空輸送に用いられるULDであるものとして説明したが、本発明の貨物用コンテナは、例えば、船舶輸送や陸上輸送に用いられるコンテナにも適用することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。