JP2769731B2 - 摩擦パッド支持ディスク - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、特に自動車のディスク型摩擦クラッチに適
する摩擦パッド支持ディスクに関する。

この支持ディスクは、周辺部と中心部を備え、周辺部
は、摩擦パッドを支持するべく、半径方向の線によっ
て、円周方向の複数のブレードに分割されている。

ブレードは、半径方向を向く基部を介して、前記中央
部に片持式に連結されており、ブレードのどちらか一方
の側部は、他側部に対して非対称的に長くなっている。

ブレードには、複数のパッド支持部を区分する接合部
がある。前記パッド支持部は、中央部に対して、ほぼ平
行をなしている。接合部は、支持部と交互に存在し、求
心方向に対してやや傾斜している。

〔従来の技術〕

上記のような支持ディスクは、フランス国特許公報第
2370893B（対応イギリス国特許公報第1591949A）に記載
されている。

しかしこれらによると、摩擦パッドが係合した際、デ
ィスクは、ブレードの付近で軸方向に変形を起こすこと
がある。

前記特許公報の第６図〜第９図においては、各ブレー
ドは、非対称的であり、その外端の一方の肩部は、ブレ
ードの基部から最も離れた位置において、円周と交って
いる。ブレードの基部から最も離れた径方向の末端部た
る周辺部に、接合部および支持部が形成されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

この支持ディスクにおいては、特に遠心力の作用によ
って、ブレード基部並びに前記各部の近くが破損するこ
とがあり、この破損により、摩擦パッドの破損が誘発さ
れる。

本発明の目的は、摩擦パッドが係合した際、ブレード
の近くで、軸方向に好適に変形することができ、かつ従
来の機器に大幅の変形や変更を加えることなしに、容易
に製造しうる摩擦パッド支持ディスクを提供することに
ある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の支持ディスクは、所定の直径に対応する円周
上から、ブレードを、その基部に対して最大限に片持式
に突出させ、かつブレードの周辺部の外側端の肩部を、
補助基部を介して、中央部に連結したことを特徴とする
ものである。

本発明による摩擦パッドの支持ディスクは、非常に丈
夫であるので、その耐用年数を、大幅に延ばすことがで
きる。

摩擦パッドの損耗は押さえられ、かつ、それが係合す
る際、ブレードの近くが好適に軸方向に変形して、適切
な状態が保持されるため、本発明の摩擦パッド支持ディ
スクは、高速で回転させることができる。

補助基部の半径方向の長さは、ブレードの基部のそれ
よりも大である。補助基部は、ブレードの慣性モーメン
トを増やすことなく、その可撓性を大とするために、薄
いストリップ片からなっている。

ある実施例によると、補助基部は、外端が閉じている
スロットによって形成され、かつ、前記周辺部と交差し
ている。また補助基部は、隣接する２枚のブレード間の
空間内に位置している。

〔実施例〕

以下、本発明の好適実施例を、図面に基づき、詳細に
説明する。

図面は、特に自動車用クラッチに適するディスク型摩
擦クラッチの構成部品として好適な摩擦パッド支持ディ
スクを示す。

この支持ディスクは、ほぼ円形をなし、平らで円周方
向に連続する環状をなすその中央部（10）には、円周方
向に作用するばねを取付けるための孔（11）と、摩擦リ
ングを案内リング（図示せず）に固定するために、摩擦
リングにおける耳片リベットとを挿入するための孔（1
2）（12′）とがあけられている。

この支持ディスクは、摩擦パッドが取付けられる（例
えばイギリス公開特許第GB1591949A号の第２図を参
照）。

前記支持ディスクの周辺部は、半径方向を向く線によ
り、複数のブレード（13）に分割されている。

各ブレード（13）は、やや狭幅の半径方向の基部（1
4）を介して、中央部（10）と連なっている。各ブレー
ド（13）は、その基部（14）に対して、円周方向に非対
称となっており、かつ基部（14）を介して片持式となっ
ている。

各ブレード（13）は、内外２つの円周（C1）（C2）の
間に位置しており、各円周（C1）（C2）は、それぞれ、
ブレード（13）の最小半径および最大半径の周縁を定め
ている。

各ブレード（13）の側縁（54）（54′）は、実施例に
おいては、ほぼ半径方向を向いている。

各ブレード（13）の周辺部の両側端は、支持部（21
A）（21B）の外縁となる肩部（53）となっている。ま
た、各ブレード（13）には、中央部（10）とほぼ同一面
において、摩擦パッド支持部（21A）（21B）が形成され
ている。

支持部（21A）と（21B）との間の接合部（22）は、中
央部（10）の中心方向に対して、やや斜めを向いてい
る。支持部（21A）と（21B）とは、求心方向に対して異
なる方向に傾斜している。

平らな中央部（10）の延長上に位置する一方の支持部
（21A）の一方の側方には、第１の接合部（22）、支持
部（21B）、第２の接合部（22）、およびブレードの基
部（14）から最も遠くに位置する末端段部（53）に続く
支持部（21A）がある。

肩部（53）は、専ら円周（C2）に沿って作用するだけ
である。

大きな直径の円周（C2）は、ブレード（13）の外郭を
なしている。小さな直径の円周（C1）上においては、ブ
レード（13）の両側には肩部（53）はなく、接合部（2
2）のみがある。

中央部（10）の延長上に位置する支持部（21A）の他
側方には、前記した逆方向に傾斜する接合部（22）と、
専ら円周（C2）に沿いに作用する支持部（21B）とが位
置している。

上述したフランス国特許公報第2,370,893B号（対応、
イギリス国特許公報第1,591,949A号）に記載されている
ように、ブレードの最大の径の円周に沿って作用する支
持部の数は、ブレードの最小の径の円周に沿って作用す
る支持部の数よりも多い。前記のように、片持式のブレ
ードにおける支持部（21A）（21B）は、支持ディスクの
半径に対して傾斜している。

（18A）及び（18B）は、摩擦パッドと係合するために
ブレード（13）に設けられた係合孔である。摩擦パッド
は、通常は連続するリング体であり、例えばリベット
で、支持ディスクの両面に取り付けられる。

ブレード（13）の基部（14）は、内側の円周（C1）上
において、ブレード（13）に対して最大限度偏った位置
で、ブレード（13）を片持式に支持している。基部（1
4）は、肩部（53）の反対側にある。

ブレード（13）の長く突出する側の側端は、補助基部
（50）を介して、中央部（10）と連なっている。本実施
例においては、前記肩部（53）は、支持部（21A）の一
部をなし、補助基部（50）は、ブレードの基部（14）と
同一面内にある。

補助基部（50）は、前記周辺部の支持部（21A）内で
外端が閉じている半径方向を向くスロット（51）によっ
て形成されている。このスロット（51）は、接合部（2
2）をも貫通している。またスロット（51）の半径方向
の外端部（55）は、円周（C2）よりやや内方に位置し、
かつスロット（51）は、ほぼ半径方向を向いている。

補助基部（50）は、中央部（10）と連なっており、ス
ロット（51）は、ブレードの基部（14）からその外端部
（55）まで向かう、ほぼ逆Ｌ字形をなしている。

補助基部（50）は、円周方向を向く連片（56）を介し
て、支持部（21A）の外縁部と連なっている。これによ
り、遠心力の作用によって、ブレード（13）の外端部が
破損するのが防止される。

また、補助基部（50）の外側縁は、ブレード（13）の
一方の側縁（54）と一致している。実施例においては、
この側縁（54）は、補助基部（50）と平行をなすスロッ
ト（51）と平行に、半径方向を向いている。

補助基部（50）の半径方向の長さは、ブレードの基部
（14）のそれよりも長い。同基部（50）は、薄い材料の
細長いストリップからなっている。

接合部（22）が存在するため、各ブレード（13）は、
摩擦パッド同士が一定の間隔で食い違っている静止位置
と、摩擦パッド同士が互に対向するように移動する作動
位置または係合位置との間で、軸方向に弾性的に変形し
うる。

補助基部（50）は、スロット（51）により、ブレード
（13）に好ましい可撓性を与えるが、摩擦パッドの動き
を妨げることはない。

本発明は、前述した実施例及び図面に限定されるもの
ではない。

支持部および接合部は、上述したフランス国特許公報
第2370893B号（対応、イギリス国特許公報第1591949A
号）の第９図に記載されているように、おおむねディス
クの半径方向を向いていてもよい。

本発明の装置における支持部（21A）（21B）の数は任
意である。例えば、ブレード（13）の基部（14）と一体
をなす支持部（21A）の一側には、一つの接合部（22）
のみを設け、他の側には、接合部（22）を介して、支持
部（21B）を設けて、周辺部を形成してもよい。

補助基部（50）は、傾斜させてもよい。

薄いストリップ状の補助基部（50）を、ブレードの外
側縁に設けてもよい。この際、別のブレードの外側縁
（54）に対し、前記連片（56）と同じように連結する。

別の変形例として、特に、摩擦パッドが支持ディスク
の周縁から半径方向に突出している場合には、例えば傘
の柄形に曲がって、円周（C2）の外方へ突出する連片
（56）をもって、補助基部（50）として、ブレードの外
周辺部に連結してもよい。このようにすると、ブレード
の可撓性はより大となる。

補助基部は、ブレードの外方へ突出させていてもよい
し、スロット（51）と同様のスロットを切込むことによ
って、ブレードと一体的に形成してもよい。

中央部（10）に連なる補助基部は、外端が閉じられた
スロットをもって、側縁（54）と平行に形成される。

この補助基部は、ブレードの半径方向の長さの範囲内
において、もしくはその内側の円周の範囲内で、ブレー
ドと結合するのがよい。このようにすると、図示の実施
例に比して、スロット（51）の長さが短かくなり、支持
部（21A）の中へ突入することはない。

円周方向の連片（56）によって、ブレード（13）の内
周における基部（14）から最も遠い位置にある接合部
（22）と結合してもよい。

ある変形例においては、この接合部（22）は、ブレー
ド（13）の外周縁に位置しており、かつブレード（13）
は、その基部（14）の一側、及びその支持部（21A）に
向かって、接合部（22）、支持部（21B）、接合部（2
2）とを、連続的に備えている。補助基部（50）は、連
片（56）によって、接合部（22）と連結されている。

上記したすべての実施例においては、ディスクは、格
別な機械を使用することなく、１回目のプレス加工によ
って製造することができる。

【図面の簡単な説明】

図は、本発明の摩擦パッド支持ディスクの正面図であ
る。 （10）中央部、（11）貫通孔 （12）（12′）孔、（13）ブレード （14）基部、（18A）（18B）係合孔 （21A）（21B）支持部、（22）接合部 （50）補助基部、（51）スロット （53）肩部、（54）（54′）側縁 （55）外端部、（56）連片 （C1）（C2）円周

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−100280（ＪＰ，Ａ) 特開 昭51−128650（ＪＰ，Ａ) 特開 昭50−62140（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−197882（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−58638（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−102479（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−100561（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−53927（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−53928（ＪＰ，Ｕ)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円周方向に連続する中央部（10）と、半径
   方向の線で複数に分割され、摩擦パッドを支持するよう
   になっているブレード（13）を有する周辺部とを備え、
   前記各ブレード（13）は、ほぼ半径方向を向く基部（1
   4）によって、中央部（10）と連結され、かつ、前記基
   部（14）のどちらか一方の側方に、非対称的に円周方向
   へ片持式に突出しており、かつ摩擦バッド支持部（21
   A）（21B）を限定する肩部を備え、前記支持部（21A）
   （21B）は、中央部（10）とほぼ同一面上にあり、これ
   に隣接する支持部（21A）（21B）間における接合部（2
   2）は、求心方向に対して、やや傾斜しており、かつ各
   ブレードの外端の肩部（53）は、大きな円周の交差して
   いる自動車用ディスク型クラッチに適する摩擦パッド支
   持ディスクであって、 ブレードは、所定の直径に対応する円周上における基部
   （14）に対して、最大限度、片持式に突出しており、か
   つ前記肩部（53）によって交差したブレード（13）にお
   ける周辺部（21A）（21B）（22）が、補助基部（50）を
   介して、中央部（10）に連結されていることを特徴とす
   る自動車用ディスク型クラッチに適する摩擦パッド支持
   ディスク。
2. 【請求項２】補助基部（50）が、連続する側縁部を備え
   るスロット（51）によって形成されていることを特徴と
   する請求項（１）記載の摩擦パッド支持ディスク。
3. 【請求項３】スロット（51）が、周辺部（21A）と交差
   しており、かつスロット（51）によって形成された補助
   基部（50）が、ほぼスロット（51）の外端（55）によっ
   て限定された円周上に位置する連片（56）を介して、前
   記周辺部（21A）に連結されていることを特徴とする請
   求項（２）記載の摩擦パッド支持ディスク。