JP2763378B2 - 写真用支持体 - Google Patents

写真用支持体

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JP2763378B2
JP2763378B2 JP11455790A JP11455790A JP2763378B2 JP 2763378 B2 JP2763378 B2 JP 2763378B2 JP 11455790 A JP11455790 A JP 11455790A JP 11455790 A JP11455790 A JP 11455790A JP 2763378 B2 JP2763378 B2 JP 2763378B2
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徹 桂
裕夫 鍛治
憲司 門間
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、表面の平滑性がすぐれた写真用支持体に関
するものである。
【従来の技術】 写真用支持体には、外観および画像の解像性の点か
ら、印刷用紙等のいわゆる一般紙とは比較にならない程
高度な平滑性が求められている。最近の写真用支持体
は、原紙層への処理液の浸透を防止し、迅速な現像処理
を可能にするため、原紙の両面をポリオレフィン等の樹
脂で被覆するようになってきている。この種の写真用支
持体を使用した印画紙は、従来のバライタ紙の場合と異
なり、現像後に乾燥する際、鏡面を転写するフェロタイ
プ処理を行わないため、写真用支持体の平滑性がそのま
ま現像乾燥後の印画紙の平滑性に反映される。 上述のように、この種の写真用支持体では、原紙の両
面に均一な厚さのポリオレフィン等の樹脂を押しだし塗
工機等で塗工することにより得られるものであるため、
原紙の平滑性の影響を強く受ける。したがって、従来の
バライタ紙より高い原紙の平滑性が要求されている。原
紙の平滑性を向上させるための技術としては、特開昭58
−68037号、特開昭62−54252号公報等に開示されている
ように、原紙に用いるパルプの繊維長分布をある範囲内
に調節する方法や、特公昭59−42295号公報に開示され
ているような、パルプの光学特性を規定する方法が知ら
れている。 一方、叩解後のパルプスラリーにカチオン性のポリア
ミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂を添加し、
写真用支持体を製造することは、特開昭59−125731号、
特開昭55−21074号公報等に開示されているように、湿
潤強度の改良を目的として従来から試みられている。
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、原紙の両面をポリオレフィン等の樹脂
で被覆した写真用支持体の平滑性を向上させる目的で種
々の試みがなされているが、これらいずれの方法によっ
ても、目的とした良好な平滑性の写真用支持体は得られ
なかった。すなわち、本発明は原紙の両面をポリオレフ
ィン樹脂で被覆した、平滑性のすぐれた写真用支持体を
提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため、写真用支持体
の製造各工程での平滑性の変化を解析した結果、ポリオ
レフィン樹脂の押しだし塗工時に、約300℃の溶融樹脂
が原紙表面に接触する際、表面が不均一に収縮すること
に起因する平滑性の低下が、押し出し塗工前の原紙の平
滑性にも増して重要であることを見いだした。さらに、
この押し出し塗工時の表面の収縮を減少させるために
は、熱硬化性の樹脂であるポリアミド−ポリアミン−エ
ピクロルヒドリン樹脂をパルプスラリーに添加した後、
叩解して製造した原紙を使用することが最も効果のある
ことを見いだし、本願発明を完成するに至った。その理
由としては、叩解によりパルプ繊維壁が緩むと同時に、
水が圧入されて膨潤する際、ポリアミド−ポリアミン−
エピクロルヒドリン樹脂が存在すると、水とともに繊維
壁内に圧入され、叩解により新たに生じた表面に定着す
る。さらに、乾燥に際して、ポリアミド−ポリアミン−
エピクロルヒドリン樹脂はこれら繊維壁内の表面間に不
可逆的な結合を形成するため、その後の温度あるいは水
分率変化による、繊維の幅方向での膨潤や収縮が少なく
なると考えられる。 本発明で使用するパルプとしては、NBKP、LBKP、NBS
P、LBSP、各種非木材パルプなどが挙げられる。ポリア
ミド−ポリアミン−ケピクロルヒドリン樹脂を添加する
前のパルプは、未叩解の状態であっても目的とした叩解
度に満たない状態であっても構わない。ただし、ポリア
ミド−ポリアミン−ケピクロルヒドリン樹脂添加後の叩
解では、濾水度を200ml以上低下させることが好まし
い。 また、本発明で使用するポリアミド−ポリアミン−ケ
ピクロルヒドリン樹脂は、湿潤紙力増強剤として一般に
よく知られているものであり、例えば特開昭49−109617
号、特開昭49−109617号、特開昭50−59492号、特開昭5
4−59416号公報等に開示されているものである。 本発明のポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリ
ン樹脂の添加量としては、パルプに対する重量パーセン
トで0.1以上、3.0以上であることが好ましい。添加量0.
1重量パーセント未満では十分な平滑性向上効果が得ら
れず、3.0重量パーセントを越える場合には、それ以上
の平滑性が得られないのみならず、損紙を回収する際の
離解性が著しく悪化するため好ましくない。 本発明のポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリ
ン樹脂を添加したパルプを叩解する叩解機としては、通
常パルプの叩解に使用する叩解機、例えばビーター、コ
ニカルリファイナー、デイスクリファイナーなどを使用
することができる。その際、繊維の切断を少なくし、繊
維の膨潤を促進するような叩解条件が好ましい。 本発明の写真用支持体の原紙には、カブリ防止剤、染
料、填料、サイズ剤、定着剤、乾燥紙力増強剤などを必
要に応じて含有するものである。なお、必要に応じて湿
潤紙力増強剤を本発明の方法に加え、叩解後のパルプス
ラリーに添加しても差し支えない。さらに、各種澱粉、
ポリビニルアルコール、ゼラチン等による表面処理、お
よびぼう硝、塩化ナトリウム、塩化アルミニウム、有機
導電剤等による帯電防止処理を必要に応じて原紙上に行
うことも可能である。 本発明のポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プ
ロピレン等のα−オレフィンのホモポリマー、あるいは
2種類以上のα−オレフィンから成る共重合体またはα
−オレフィンを主成分として、それと共重合可能な他の
モノマーとの共重合体、およびそれらの混合物を用いる
ことが出来る。これらの樹脂に、二酸化チタン、アルミ
ナ、炭酸カルシウム等の白色顔料や着色顔料を添加する
こと、通常樹脂に混合される安定化剤、酸化防止剤、分
散剤、滑剤等を添加することも差し支えない。 本発明のポリオレフィン樹脂被覆写真用支持体は、走
行する原紙上に加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる
押しだし塗工法によって製造される。 本発明による平滑性のすぐれた写真用支持体は、カラ
ー印画紙用紙、白黒印画紙用紙、写植印画紙用紙、複写
印画紙用紙、製版用印画紙等に使用することができる。
【作用】
本発明の、パルプスラリーにポリアミド−ポリアミン
−エピクロルヒドリン樹脂を添加した後、叩解して製造
した原紙では、パルプ繊維壁内部表面をポリアミド−ポ
リアミン−エピクロルヒドリン樹脂で加工できるため、
熱や水分変化によるパルプ繊維の膨潤や収縮が抑えられ
る。したがって、ポリオレフィン樹脂を押しだし塗工時
の平滑性の悪化が少なく、平滑性のすぐれた写真用支持
体が得られる。
【実施例】 以下では、本発明を実施例により詳細に説明する。な
お、本発明は実施例に限定されるものではない。以下に
おける部、%はすべて重量によるものである。 実施例1 LBKPとNBSPが重量比で7:3の混合パルプ100部に、ポリ
アミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂(カイメ
ンS25、ディック−ハーキュレス社製)を有効成分とし
て0.50%添加後、パルプ濃度を3.0%に調節し、実験室
ディスクリファイナーにより、ろ水度350ml、csfまで叩
解を行った。なお、叩解前のパルプのろ水度は600ml、c
sfであった。このパルプ試料100部に対して、アニオン
性ポリアクリルアミド(スターガムA15、星光化学社
製)を0.3部、カチオン澱粉(ケイトE、王子ナショナ
ル社製)を2.0部、およびアルキルケテンダイマーサイ
ズ剤(ハーコン11−2、ディック−ハーキュレス社製)
を0.4部添加し、坪量180g/m2の手すきシートを作製し
た。なお、シートの乾燥条件は100℃で10分間とした。
このシートを、濃度3%のポリビニルアルコール水溶液
でタブサイズ処理し、スーパーカレンダーで平滑化処理
をした後、表面には二酸化チタン10%を含む低密度ポリ
エチレンを、裏面には低密度ポリエチレンを、それぞれ
32μmの厚さに、樹脂温度320度の条件で押しだし塗工
し、写真用支持体を得た。この試料を、試料1−1とす
る。 比較例1 実施例1で、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒ
ドリン樹脂を、叩解前のパルプスラリーではなく、叩解
後のパルプスラリーに添加する以外は、すべて同一の方
法で写真用支持体を得た。この試料を、試料1−2とす
る。 比較例2 実施例1において、ポリアミド−ポリアミン−エピク
ロルヒドリン樹脂の代わりにカチオン性ポリアクリルア
ミド(DSR1256、アライドコロイド社製)を0.50部添加
する以外は、すべて同一の方法で写真用支持体を得た。
この試料を、試料1−3とする。 実施例2 実施例1と同一の未叩解パルプに、ポリアミド−ポリ
アミン−エピクロルヒドリン樹脂を有効成分として、0.
05、0.10、1.00、3.00、および4.00%の5水準に変化さ
せ添加後、パルプ濃度を3.0%に調節し、それぞれのパ
ルプを実験室ディスクリファイナーでろ水度が200ml,cs
fになるまで叩解を行った。これらの叩解パルプ試料を
用い、実施例1と同一の方法で写真用支持体を得た。こ
れらの試料をポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒド
リン樹脂の添加量の少ないものから順に試料2−1、試
料2−2、試料2−3、試料2−4、および試料2−5
とする。 以上の結果をまとめて第1表に示す。 比較例3 実施例1の叩解前のパルプをろ水度200ml,csfまで叩
解し、その他の薬品を添加後、最後にポリアミド−ポリ
アミン−エピクロルヒドリン樹脂を、0.05、0.10、1.0
0、3.00、および4.00%の5水準に変化させ添加する以
外は、実施例1と同一の方法で写真用支持体を得た。こ
れらの試料を、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒ
ドリン樹脂の添加量が少ないものから順に、試料2−
6、試料2−7、試料2−8、試料2−9、および試料
2−10とする。 これらの結果を第2表に示す。 第1表および第2表の表面粗さとは、JIS B 0601に準
拠し、触針式粗さ計を用い、測定長さ2.5mm、カットオ
フ値0.8mmの条件で測定した写真用支持体表面の中心線
平均粗さ(μm)の値である。また、外観とは、平滑性
の視覚評価結果であり、平滑性の最も良いものをA、最
も劣るものをDとしている。写真用支持体としては、表
面粗さ0.20μm以下、外観C以上(A、B、C)が必要
である。 試料1−1と試料1−3の比較から、平滑性のすぐれ
た写真用支持体を得るためには、叩解前のパルプに、ポ
リアクリルアミドのような乾燥紙力増強剤を添加したの
では全く効果がなく、本発明のようにポリアミド−ポリ
アミン−エピクロルヒドリン樹脂を添加することにより
目的の達せられることが明らかである。 試料2−1〜試料2−5と試料2−6〜試料2−10の
比較から、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリ
ン樹脂の添加量を変化させた場合においても、叩解前の
パルプに添加することにより、すぐれた平滑性の得られ
ることが明かである。さらに、ポリアミド−ポリアミン
−エピクロルヒドリン樹脂の添加量が、パルプに対する
重量パーセントで0.1以上、3.0以下の範囲がとくに添加
量に対する平滑性向上効果の点で好ましいことも明かで
ある。
【発明の効果】
以上から、本発明の写真用支持体すなわち、パルプス
ラリーにポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン
樹脂を添加した後、叩解し得た原紙の両面を、ポリオレ
フィン樹脂で被覆することにより製造した写真用支持体
は、すぐれた平滑性を有することが明かである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−189651(JP,A) 特開 昭62−45794(JP,A) 特開 平2−293497(JP,A) 特開 平3−294597(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 1/775

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原紙の両面をポリオレフィン樹脂により被
    覆した写真用支持体において、前記原紙として、パルプ
    スラリーにポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリ
    ン樹脂を添加した後、叩解して製造した原紙を使用する
    ことを特徴とする写真用支持体。
  2. 【請求項2】叩解前のパルプスラリーに添加するポリア
    ミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂の添加量
    が、パルプに対する重量パーセントで0.1以上、3.0以下
    であることを特徴とする請求項1記載の写真用支持体。
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