JP2761985B2 - 感熱記録材料 - Google Patents

感熱記録材料

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JP2761985B2
JP2761985B2 JP3213131A JP21313191A JP2761985B2 JP 2761985 B2 JP2761985 B2 JP 2761985B2 JP 3213131 A JP3213131 A JP 3213131A JP 21313191 A JP21313191 A JP 21313191A JP 2761985 B2 JP2761985 B2 JP 2761985B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感熱記録材料に関し、特
に光沢が少なく、画質に優れた感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来技術】感熱記録方法は、(1)現像が不用であ
る、(2)支持体が紙の場合は紙質が一般紙に近い、
(3)取扱が容易である、(4)発色濃度が高い、
(5)記録装置が簡単であり安価である、(6)記録時
の騒音が無い等の利点があるためファクシミリやプリン
ターの分野、POS等におけるラベルの分野等に用途が
拡大している。このため、感熱記録材料に対する要求も
多様化し、多色記録できるものやオーバーヘッドプロジ
ェクター(以下OHPという)用の透明な感熱記録材料
も開発されている(例えば特開昭63−45084
号)。
【0003】又、近年における超音波スキャナー、CT
スキャナー、レントゲン等の医療用機器の電子化に伴
い、これらのデジタル画像を直接記録できる透明な感熱
記録材料も開発されている。この場合、一般に医師等の
診断においては、感熱記録材料に記録された画像に背後
から蛍光灯等の光を当て(このような光を当てる装置を
シャーカステンという)、画像を傷つけないように支持
体側から観察する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、透明な
支持体に感熱記録層を設けた従来の感熱記録材料に記録
した画像を、支持体側から画像を観察した場合、透明支
持体の表面(感熱記録層が設けられていない側の面:以
下単に表面という)が平滑であるので光沢の強い画像が
観察され、見にくい上目が疲れ易く、又、得られた画像
の写真撮影が光沢のために困難であるという欠点があっ
た。
【0005】本発明者等は上記の欠点を解決すべく鋭意
検討した結果、透明支持体の感熱記録層を有しない側の
表面に、不透明化しない程度に観者の背後から光の反射
を防止する層を設けることにより良好な結果が得られる
ことを見出し本発明に到達した。従って、本発明の目的
は、光沢が少なく、優れた画質の画像を得ることのでき
る感熱記録材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、透
明な支持体の一方の面に感熱記録層を設けると共に
方の面に、高分子バインダー及び粒径が7.5〜50μ
mの微粒状物質を含有する光反射を防止する層を設け
なる、記録画像を透明な支持体側から観察する感熱記録
材料であって、走査型光学式非接触3次元形状測定機に
よって、100μm以上のうねり成分を除いて測定した
前記光反射を防止する層の表面の表面粗さRaが、0.
15〜0.6μmであることを特徴とする感熱記録材料
によって達成された。
【0007】本発明においては、常温において互いに隔
離されている発色剤と顕色剤とを、加熱することにより
互いに接触させて発色させることにより画像を記録す
る。
【0008】発色剤及び顕色剤としては電子供与性染料
前駆体(発色剤)と酸性物質(顕色剤)の組み合わせ又
はジアゾ化合物(発色剤)とカップリング化合物(顕色
剤)の組み合わせを用いることが好ましく、特に画像鮮
明性の観点からは前者の組み合わせを採用することが好
ましい。
【0009】本発明で使用する電子供与性染料前駆体は
特に限定されるものではないが、エレクトロンを供与し
て、或いは酸等のプロトンを受容して発色する性質を有
するものであって、ラクトン、ラクタム、サルトン、ス
ピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、顕
色剤と接触してこれらの部分骨格が開環若しくは開裂す
る略無色の化合物が通常用いられる。
【0010】係る電子供与性染料前駆体としては、例え
ば、クリスタルバイオレットラクトン、ベンゾイルロイ
コメチレンブルー、マラカイトグリーンラクトン、ロー
ダミンBラクタム、1,3,3−トリメチル−6’−エ
チル−8’−ブトキシインドリノベンゾスピロピラン等
がある。
【0011】これらの発色剤に対する顕色剤としては、
フェノール化合物、有機酸若しくはその金属塩、オキシ
安息香酸エステル等の酸性物質が用いられ、その具体例
は、例えば特開昭61−291183号に記載されてい
る。
【0012】本発明で使用するジアゾ化合物とは、後述
するカップリング成分と呼ばれる顕色剤と反応して所望
の色相に発色するものであって、反応前に特定の波長の
光を受けると分解し、もはやカップリング成分が作用し
ても発色能力を持たなくなる光分解性ジアゾ化合物であ
る。
【0013】この発色系における色相は、ジアゾ化合物
とカップリング成分が反応して生成したジアゾ色素によ
り主に決定される。従って、良く知られているように、
ジアゾ化合物の化学構造を変えるか、カップリング成分
の化学構造を変えれば容易に発色色相を変えることがで
き、組み合わせ次第で略任意の発色色相を得ることがで
きる。
【0014】本発明における光分解性のジアゾ化合物と
は主に芳香族ジアゾ化合物を指し、更に具体的には、芳
香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルホネート化合物、ジア
ゾアミノ化合物等の化合物を指す。ジアゾニウム塩は、
一般式ArN2 + - で示される化合物である(式中、
Arは置換された、或いは無置換の芳香族部分を表し、
2 + はジアゾニウム基を表し、X- は酸アニオンを表
わす)。
【0015】普通、ジアゾニウム塩の光分解波長はその
吸収極大波長であるといわれている。又ジアゾニウム塩
の吸収極大波長は、その化学構造に応じて200nm位
から700nm位迄変化することが知られている(「感
光性ジアゾニウム塩の光分解と化学構造」角田隆弘、山
岡亜夫著 日本写真学会誌29(4) 197〜205
頁(1965)。即ち、ジアゾニウム塩を光分解性化合
物として用いると、その化学構造に応じた特定の波長の
光で分解し、又、ジアゾニウム塩の化学構造を変えれ
ば、同じカップリング成分とカップリング反応した時の
色素の色相も変化する。
【0016】本発明で用いることのできるジアゾスルホ
ネートは多数のものが知られており、各々のジアゾニウ
ム塩を亜硫酸塩で処理することにより得られる。又、本
発明で用いることのできるジアゾアミノ化合物としては
ジアゾ基をジシアンジアミド、サルコシン、メチルタウ
リン、N−エチルアントラニックアシッド−5−スルホ
ニックアシッド、モノエタノールアミン、ジエタノール
アミン、グアニジン等でカップリングさせた化合物であ
る。これらのジアゾ化合物の詳細は、例えば特開平2−
136286号に記載されている。
【0017】本発明に用いられるジアゾ化合物(ジアゾ
ニウム塩)とカップリングして色素を形成するカップリ
ング成分は、例えば、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸
アニリドの他、レゾルシンを初めとし特開昭62−14
6678号に記載されているものを挙げることができ
る。
【0018】更にこれらのカップリング成分を2種以上
併用することによって任意の色調の画像を得ることがで
きる。これらのジアゾ化合物とカップリング成分とのカ
ップリング反応は塩基性雰囲気下で起こり易い為、層内
に塩基性物質を添加してもよい。
【0019】塩基性物質としては、水難溶性又は水不溶
性の塩基性物質や、加熱によりアルカリを発生する物質
が用いられる。それらの例としては無機及び有機アンモ
ニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチオ尿素及びそ
の誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、
ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾ
ール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン
類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピ
リジン類等の含窒素化合物が挙げられる。これらの具体
例は、例えば、特開昭61−291183号に記載され
ている。塩基性物質は2種以上併用してもよい。
【0020】本発明において使用する発色剤は、固体分
散剤として用いることもできるが、常温で発色剤と顕色
剤の接触を防止するといった感熱記録層の生保存性の観
点(カブリ防止)、及び希望の熱エネルギーで発色させ
るような発色感度の制御の観点等から発色剤をカプセル
化して用いることが好ましい。
【0021】本発明で使用することのできるマイクロカ
プセルの製造には界面重合法、内部重合法、外部重合法
の何れの方法をも採用することができるが、特に、発色
剤を含有した芯物質を水溶性高分子を溶解した水溶液中
で乳化した後、その油滴の周囲に高分子物質の壁を形成
させる界面重合法を採用することが好ましい。高分子物
質を形成するリアクタントは油滴の内部及び/又は油滴
の外部に添加される。
【0022】高分子物質の具体例としては、ポリウレタ
ン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカー
ボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹
脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、
スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。好ま
しい高分子物質はポリウレタン、ポリウレア、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリカーボネートであり、特に好ま
しくはポリウレタン及びポリウレアである。高分子物質
は2種以上併用することもできる。
【0023】前記水溶性高分子の具体例としては、ゼラ
チン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等
が挙げられる。例えばポリウレアをカプセル壁材として
用いる場合には、ジイソシアナート、トリイソシアナー
ト、テトライソシアナート、ポリイソシアナートプレポ
リマー等のポリイソシアナートと、ジアミン、トリアミ
ン、テトラアミン等のポリアミン、アミノ基を2個以上
含むプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又は
ポリオール等とを、水系溶媒中で界面重合法によって反
応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成さ
せることができる。
【0024】又、例えばポリウレアとポリアミドからな
る複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複
合壁は、例えばポリイソシアナートと酸クロライド若し
くはポリアミンとポリオールを用い、反応液となる乳化
媒体のpHを調整した後加温することにより調製するこ
とができる。これらのポリウレアとポリアミドとからな
る複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58─6
6948号公報に記載されている。
【0025】更に、加熱時にマイクロカプセル壁を膨潤
させるために固体増感剤を添加することもできる。固体
増感剤はマイクロカプセル壁として用いるポリマーの可
塑剤と言われるものの中から、融点が50℃以上、好ま
しくは120℃以下で常温では固体であるものを選択し
て用いることができる。例えば、壁材がポリウレア、ポ
リウレタンから成る場合には、ヒドロキシ化合物、カル
バミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有
機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリー
ルアミド化合物等が好適に用いられる。
【0026】本発明では、発色剤としてジアゾ化合物を
使用する場合には、発色助剤を用いることも可能であ
る。本発明で用いることのできる発色助剤とは、加熱印
字時の発色濃度を高くする、若しくは最低発色温度を低
くする物質であり、カップリング成分もしくはジアゾ化
合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下
させる作用により、ジアゾ化合物とカップリング成分が
反応し易い状況を作るためのものである。
【0027】発色助剤としては、フェノール化合物、ア
ルコール性化合物、アミド化合物、スルホンアミド化合
物等があり、具体例としては、p−tert−オクチルフェ
ノール、p−ベンジルオキシフェノール、p−オキシ安
息香酸フェニル、カルバニル酸ベンジル、カルバニル酸
フェネチル、ハイドロキノンジヒドロキシエチルエーテ
ル、キシリレンジオール、N−ヒドロキシエチル−メタ
ンスルホン酸アミド、N−フェニル−メタンスルホン酸
アミド等の化合物を挙げることができる。これらは、芯
物質中に含有させても良いし、分散物としてマイクロカ
プセル外に添加してもよい。
【0028】本発明においては、前記顕色剤を固体分散
剤として使用することもできるが、感熱記録層の透明性
を向上させ感熱記録材料の光透過性を良好にする観点か
ら、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解せしめた
後、これを界面活性剤を含有した水溶性高分子を保護コ
ロイドとして有する水相と混合し、乳化分散した分散物
の形で使用することもできる。
【0029】この場合に使用される有機溶剤は、高沸点
オイルの中から適宜選択することができる。中でも好ま
しいオイルとしては、エステル類の他、ジメチルナフタ
レン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレ
ン、ジメチルビフェニル、ジエチルビフェニル、ジイソ
プロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル、1−メ
チル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、1
−エチル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタ
ン、1−プロピル−1−ジメチルフェニル−1−フェニ
ルメタン、トリアリルメタン(例えば、トリトルイルメ
タン、トルイルジフェニルメタン)、ターフェニル化合
物(例えば、ターフェニル)、アルキル化合物(例え
ば、ターフェニル)、アルキル化ジフェニルエーテル
(例えば、プロピルジフェニルエーテル)、水添ターフ
ェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル)、ジフェ
ニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも特にエス
テル類を使用することが、乳化分散物の乳化安定性の観
点から好ましい。
【0030】エステル類としては、燐酸エステル類(例
えば、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ブチ
ル、燐酸オクチル、燐酸クレジルジフェニル)、フタル
酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸―2―エチル
ヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル
酸ブチルベンジル)、テトラヒドロフタル酸ジオクチ
ル、安息香酸エステル(安息香酸エチル、安息香酸プロ
ピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香
酸ベンジル)、アビエチン酸エステル(アビエチン酸エ
チル、アビエチン酸ベンジル)、アジピン酸ジオクチ
ル、コハク酸イソデシル、アゼライン酸ジオクチル、シ
ュウ酸エステル(シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチ
ル)、マロン酸ジエチル、マレイン酸エステル(マレイ
ン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチ
ル)、クエン酸トリブチル、ソルビン酸エステル(ソル
ビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチ
ル)、セバシン酸エステル(セバシン酸ジブチル、セバ
シン酸ジオクチル)、エチレングリコールエステル類
(ギ酸モノエステル及びジエステル、酪酸モノエステル
及びジエステル、ラウリン酸モノエステル及びジエステ
ル、パルミチン酸モノエステル及びジエステル、ステア
リン酸モノエステル及びジエステル、オレイン酸モノエ
ステル及びジエステル)、トリアセチン、炭酸ジエチ
ル、炭酸ジフェニル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、
ホウ酸エステル(ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチ
ル)等が挙げられる。これらの中でも、燐酸トリクレジ
ルを単独又は混合して使用した場合には顕色剤の乳化分
散安定性が特に良好であり好ましい。
【0031】上記のオイル同志、又は他のオイルとの併
用も可能である。本発明においては、上記の有機溶剤
に、更に低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えること
もできる。このような補助溶剤として、例えば酢酸エチ
ル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロラ
イド等を特に好ましいものとして挙げることができる。
【0032】これ等の成分を含有する油相と混合する水
相に、保護コロイドとして含有せしめる水溶性高分子
は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性
高分子の中から適宜選択することができるが、ポリビニ
ルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好まし
い。
【0033】又水相に含有せしめる界面活性剤は、アニ
オン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護
コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜
選択して使用することができる。好ましい界面活性剤と
しては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル
硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム
塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができ
る。
【0034】本発明における乳化分散物は、上記成分を
含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する
水相を、高速撹拌、超音波分散等、通常の微粒子乳化に
用いられる手段を使用して混合分散せしめ容易に得るこ
とができる。
【0035】又、油相の水相に対する比(油相重量/水
相重量)は、0.02〜0.6が好ましく、特に0.1
〜0.4であることが好ましい。0.02以下では水相
が多すぎて希薄となり十分な発色性が得られず、0.6
以上では逆に液の粘度が高くなり、取り扱いの不便さや
塗液安定性の低下をもたらす。
【0036】上記のようにして調製した感熱層液を支持
体上に塗布するに際しては、公知の水系又は有機溶剤系
の塗液を用いる塗布手段が用いられる。この場合、感熱
層液を安全且つ均一に塗布すると共に塗膜の強度を保持
するために、本発明においては、高分子バインダーとし
てメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、デンプン類、ゼラチン、ポ
リビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコ
ール、ポリアクリルアミド、ポリスチレン及びその共重
合体、ポリエステル及びその共重合体、ポリエチレン及
びその共重合体、エポキシ樹脂、アクリレート及びメタ
アクリレート系樹脂及びその共重合体、ポリウレタン樹
脂並びにポリアミド樹脂等をマイクロカプセルと共に併
用することもできる。
【0037】又、感熱記録層には、必要に応じて、顔
料、ワックス、硬膜剤等を添加しても良い。感熱記録層
は発色剤及び、顕色剤の全量が0.1〜10g/m2
なるように塗布されること及び該層の厚みが、1〜10
μmとなるように塗布されることが望ましい。本発明に
おいては感熱層上に感熱層の保護及び実機での走行改良
する為に保護層を設けることもできる。
【0038】本発明においては、透明支持体表面の光の
反射を防止するため、透明な支持体面に、高分子バイン
ダー及び微粒状物質を含有した光反射を防止する層(以
下光反射防止層をいう)を設ける。上記の高分子バイン
ダーとしては、前記感熱記録層に使用した高分子バイン
ダーと同様のものを用いることができる。又、支持体表
面から反射して画像を見にくくする波長範囲の光の反射
を防止すると共に、透明度を劣化させないという観点か
ら、微粒状物質の粒径は7.5〜50μmであることが
必要であり、特に7.5〜20μmの有機又は無機の微
粒状物質が好ましい。
【0039】このような微粒状物質の具体例としては、
大麦、小麦、コーン、米、豆等から得られる澱粉等の微
粒子の他、セルロースファイバー、ポリスチレン樹脂、
エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素ホルマリン樹
脂、塩化ビニル及び酢酸ビニルの共重合体樹脂、ポリオ
レフィン等の合成高分子の微粒子、炭酸カルシウム、酸
化チタン、カオリン等の無機物の微粒子等を挙げること
ができる。これらの微粒状物質は2種以上併用しても良
い。
【0040】光反射防止層は、不透明とならない程度に
光反射を防止する観点から、表面の形状を走査型光学式
非接触3次元形状測定機で(100μm以上のうねり成
分を除き)測定した場合の表面粗さRaが0.15〜
0.6μmとなるように設けられることが好ましい。走
査型光学式非接触3次元形状測定機とは、レーザー光を
使用して非接触に表面の三次元形状(粗さ)を測定でき
る高精度の表面粗さ測定機であり、最大分解能は測定範
囲が±3μmの範囲で1.5nmである。
【0041】本発明における光反射防止層は、前記高分
子バインダー、微粒状物質及び必要に応じて界面活性剤
を水又は有機溶剤に溶解或いは固体分散した溶液を公知
の塗布手段を用いて支持体上に塗布・乾燥させることに
より容易に得られる。上記界面活性剤としては、前記顕
色剤の乳化分散に使用したと同様のものを適宜選択して
使用することができる。
【0042】本発明で用いる透明な支持体としては、例
えばポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース
フィルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレン
フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィ
ルム等のポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィル
ム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィ
ルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィル
ム等が挙げられ、これらを単独或いは貼り合わせて用い
ることができるが、特にポリエステルフィルムに耐熱処
理、帯電防止処理を施したものが好ましい。支持体の厚
みとしては、10μm〜200μmのものが用いられ
る。
【0043】本発明においては、支持体から感熱記録層
や光反射防止層が剥がれることを防ぐ目的で、マイクロ
カプセルなどを含有する感熱層や光反射防止層を塗布す
る前に、支持体上に下塗り層を設けることが望ましい。
下塗り層としては、アクリル酸エステル共重合体、ポリ
塩化ビニリデン、SBR、水性ポリエステル等を用いる
ことができ、膜厚としては、0.1〜0.5μmとする
ことが望ましい。
【0044】下塗り層は、感熱層がその上に塗布された
時に感熱層中に含まれる水分により下塗層が膨潤する場
合には、感熱層に記録された画像が悪化することがある
ので、グルタルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−
1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びホウ酸等の
硬膜剤を用いて硬化させることが望ましい。これらの硬
膜剤の添加量は、下塗素材の重量に対して、0.20重
量%〜3.0重量%の範囲で、希望する硬化度に合わせ
て適切な添加量を選ぶことができる。
【0045】感熱層、保護層及び下塗層等は、ブレード
塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコ
ーテイング塗布法、スプレー塗布法、デイップ塗布法、
バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布される。塗布
量は1〜20g/m2 が好ましく、特に3〜10g/m
2 とすることが好ましい。
【0046】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明の感熱記録材
料は、画像を観察する側の透明支持体表面に光反射を防
止する層を設けているので、支持体を通して透過画像を
観察した場合に光沢が少なくなり、画像品質に優れた透
過画像を得ることができる。
【0047】
【実施例】以下本発明を実施例により更に詳述するが、
本発明はこれによって限定されるものではない。尚、添
加量を示す「部」は「重量部」を示す。
【0048】実施例1.カプセル液の調製 2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−ブチ
ルアミノフルオラン(ロイコ染料)14g及びタケネー
トD−110N(武田薬品工業株式会社製 カプセル壁
材の商品名)60gを、1−フェニル−1−キシリルエ
タン55gと酢酸エチル55gの混合溶媒に添加して溶
解した。
【0049】得られた溶液を8重量%のポリビニルアル
コール(PVA217E:クラレ株式会社の商品名)水
溶液 100gと水40g及び2重量%のスルホコハク
酸ジオクチルのナトリウム塩(分散剤)1.4gの水溶
液に混合した後、エースホモジナイザー(日本精機株式
会社製)を用いて10,000rpmで5分間乳化を行
った。得られた乳化液に更に水150gを加えた後、4
0℃で3時間カプセル化反応を行って平均粒径0.7μ
mのカプセル液を調製した。
【0050】顕色剤乳化分散液の調製 下記(化1)で表される顕色剤(a)8g、
【化1】 下記(化2)で表される顕色剤(b)4g、
【化2】 及び下記(化3)で表される顕色剤(c)30g、
【化3】 を1─フェニル─1─キシリルエタン8.0gと酢酸エ
チル30gの混合液に溶解した。
【0051】得られた溶液を8重量%のポリビニルアル
コール(PVA205:クラレ株式会社製の商品名)水
溶液100gと水150g及びドデシルベンゼンスルホ
ン酸ソーダ0.5gの水溶液に混合した後、エースホモ
ジナイザー(日本精機株式会社製)を用いて、10,0
00rpmで、常温で平均粒径が0.5μmになるよう
に5分間乳化を行って乳化分散液を得た。
【0052】感熱記録材料の作製 前記カプセル液5.0g、顕色剤乳化分散液10.0g
及び水5.0gを攪拌・混合した液を、厚さ70μmの
透明なポリエチレンテレフタレート(PET)支持体上
に固形分で15g/m2 になるように塗布・乾燥して感
熱層を形成させた。次に、形成された感熱層の上に下記
表1で表される組成の保護層液を、乾燥後の厚さが2μ
mとなるように塗布・乾燥して透明な感熱記録材料を作
製した。
【0053】
【表1】 ──────────────────────────────────── ─ 保護層液の組成 10重量%ポリビニルアルコール(PVA124:クラレ株式会社製の商品名) 20g 水 30g 2重量%スルホコハクサンジオクチルのナトリウム塩 0.3g ポリビニルアルコール(PVA205:クラレ株式会社製商品名)3g、水10 0g及びカオリン(カラブライト:シーレ カオリン株式会社(Thiele Kaolin Campany)製の商品名)35gをボールミルで分散したカ オリン分散物 3g ハイドリンZ−7(中京油脂株式会社製 ステアリン酸亜鉛の商品名) 0.5g ────────────────────────────────────
【0054】
【表2】 ─────────────────────────────────── 光反射防止層液Aの組成 10重量%ポリビニルアルコール(PVA124:クラレ株式会社製の商品名) 20g 水 30g 2重量%スルホコハクサンジオクチルのナトリウム塩 0.3g 小麦デンプン(50%重量粒径が14.5μmである) 0.1g ───────────────────────────────────
【0055】上記表2の組成物をスターラーを用いて攪
拌・混合して光反射防止層液を得た。得られた液を前記
感熱記録材料の感熱層を設けた面と反対側の面に固形分
で1g/m2 となるように塗布・乾燥して光反射防止層
を設けた。得られた感熱記録材料を用いて、サーマルプ
リンター(FTI−1000:富士写真フイルム製の商
品名)を使用して画像を記録し、記録画像をシャーカー
ステンを使用して透過画像として観察したところ、鮮明
で且つ光沢の少ない良好な画像であった。
【0056】上記感熱記録材料の光反射防止層を設けた
面の三次元形状を非接触3次元粗さ測定機で測定したと
ころ、表面粗さRaは0.4μmであった。尚、測定条
件は、レーザービームの径を1μm、スキャンスピード
を5cm/分及び測定範囲を±30μmとし、又100
μmのうねり成分を測定値から除く処理を行った。
【0057】実施例2. 下記表3の組成物をボールミルで分散して粒子サイズ2
μmの顕色剤分散液を調製した。
【0058】
【表3】分散液 ─────────────────────────────── ポリビニルアルール(PVA205:クラレ株式会社製の商品名) 5g (化4)の顕色剤(a) 2g
【化4】 (化5)の顕色剤(b) 15g
【化5】 水 100g ───────────────────────────────
【0059】得られた顕色剤分散液9g、実施例1で調
製したカプセル液5g及び水5gを攪拌・混合した液
を、厚さ70μmの透明なポリエチレンテレフタレート
(PET)支持体上に、固形分で15g/m2 になるよ
うに塗布・乾燥した他は実施例1と全く同様にして感熱
記録材料を作製した。
【0060】得られた感熱記録材料に、実施例1と全く
同様にして下記表4の組成の光反射防止層液Bを塗布・
乾燥して光反射防止層を設け、実施例1と全く同様にし
て画像を記録した。得られた画像は鮮明で光沢の少ない
良好な反射画像であった。又、実施例1と同様にして表
面粗さRaを測定したところ、0.31μmであった。
【0061】
【表4】 ─────────────────────────────────── 光反射防止層液Bの組成 10重量%ポリビニルアルコール(PVA124:クラレ株式会社製の商品名) 20g 水 30g 2重量%スルホコハクサンジオクチルのナトリウム塩 0.3g 米デンプン(50%重量粒径が7.5μmである) 0.1g ───────────────────────────────────
【0062】実施例3.カプセル液の調製 下記(化6)の化合物
【化6】 50部に、メチレンクロライド150g、トリクレジル
ホスフェート50部、トリメチロールプロパントリメタ
クリレート150部及びm−キシリレンジイソシアナー
トのトリメチロールプロパン3:1付加物の75重量%
酢酸エチル溶液(タケネートD110N:武田薬品工業
株式会社製の商品名)200部を均一に混合して油相溶
液とした。
【0063】一方、7重量%のポリビニールアルコール
(PVA217E:ケンカ度88〜89%、重合度1,
700:クラレ株式会社製の商品名)600部を調製し
て水溶性高分子水溶液とした。
【0064】次いで、温浴の付いた5リットルのステン
レス製ポットにデイ ゾルバーを取りつけ、前記高分子水
溶液を添加した後デイゾルバーを攪拌しながら前記油相
溶液を添加して、乳化物の平均粒径が約1.5μmにな
るように顕微鏡観察を行いながら乳化分散を行った。分
散終了後攪拌を緩めて温浴に42℃の温水を通し、前記
ポット内の温度を40℃に保って3時間でカプセル化反
応を終了させた。得られた液にイオン交換樹脂MB−3
(オルガノ株式会社製の商品名)25mlを添加して攪
拌した後、濾過してカプセル液を得た。
【0065】分散液Aの調製 下記表5に示した物質を混合し、デイ ゾルバーで予め分
散した後ダイノミル(ウィリー・エー・バコフェン・エ
ー・ジー(WILLY A.BACHOFEN A.G)社製)で平均粒径2
μmとなるように分散して分散液Aを得た。
【0066】
【表5】 ──────────────────────────────────── 15重量%ポリビニルアルコール水溶液(PVA−205:クラレ株式会社製 の商品名) 30部 (化7)の化合物のカプラー 4.3部
【化7】 (化8)の化合物のカプラー 0.6部
【化8】 (化9)の有機塩基性化合物 5.0部
【化9】 (化10)の発色性向上剤 3.0部
【化10】 ────────────────────────────────────
【0067】分散液Bの調製 下記の表6の物質を混合し、攪拌して分散液Bを得た。
【表6】 ──────────────────────────────────── ユニバー70(白石工業株式会社製の商品名) 20部 カオブライト(シーレカオリン株式会社(Thiele Kaolin Company )製の商品名 ) ─── 40重量%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液 0.5部 水 30部 ────────────────────────────────────
【0068】感熱記録材料の作製 前記カプセル液20部、分散液A20部、分散液B7部
及びニッサンラピゾール13─90(日本油脂株式会社
製 商品名)2重量%水溶液1.5部を攪拌・混合し、
厚さ70μmのポリエチレンテレフタレート(PET)
の支持体上に固形分が15g/m2 となるように塗布・
乾燥して感熱層を設けた。更に、該感熱層の上に下記表
7に示す組成の混合物を厚さ2μmになるように塗布し
て保護層を設け、感熱記録材料を作製した。
【0069】
【表7】 保護層の組成 ─────────────────────────────────── 10重量%ポリビニルアルコール(PVA124:クラレ株式会社製商品名) 20g 水 30g 2重量%スルホコハク酸ジオクチルのナトリウム塩 0.3g ポリビニルアルコール(PVA205:クラレ株式会社製商品名)3g、水10 0g及びカオリン(カオブライト:シーレカオリン株式会社(Thiele K olin Company)製の商品名)35gをボールミルで分散したカオリ ン分散物 3g ハイドリンZ−7(中京油脂株式会社製の商品名) 0.5g ────────────────────────────────────
【0070】得られた感熱記録材料に下記表8の組成の
光反射防止層液Cを実施例1と全く同様にして塗布・乾
燥して光反射防止層を設け、実施例1と全く同様にして
画像を記録した。得られた画像は鮮明で光沢の少ない良
好な反射画像であった。又、実施例1と同様にして表面
粗さRaを測定したところ、0.45μmであった。
【0071】
【表8】
【0072】比較例1. 光反射防止層を設けない他は全く実施例1と同様の感熱
記録材料を用い、実施例1と全く同様な方法で画像を記
録したところ、得られた画像は鮮明であったが光沢が強
く、透過画像としては見劣りのするものであった。尚、
実施例1と全く同様にして表面粗さRaを測定したとこ
ろ、0.1μmであった。
【0073】比較例2. 実施例1で用いた光反射防止層液を下記表9の組成の光
反射防止層液に代えて光反射防止層を設けた他は、実施
例1と全く同様にして感熱記録材料を作製し、全く同様
にして画像を記録したところ、得られた画像の光沢は少
なかったが、薄ぼけており且つ不鮮明であった。尚、実
施1と同様にして表面粗さRaを測定したところ、0.
7μmであった。
【0074】
【表9】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−44492(JP,A) 特開 昭63−89382(JP,A) 特開 昭64−56584(JP,A) 特開 平2−286391(JP,A) 特開 平1−235691(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/28 - 5/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な支持体の一方の面に感熱記録層を
    設けると共に他方の面に、高分子バインダー及び粒径
    が7.5〜50μmの微粒状物質を含有する光反射を防
    止する層を設けてなる、記録画像を透明な支持体側から
    観察する感熱記録材料であって、走査型光学式非接触3
    次元形状測定機によって、100μm以上のうねり成分
    を除いて測定した前記光反射を防止する層の表面の表面
    粗さRaが、0.15〜0.6μmであることを特徴と
    する感熱記録材料。
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