JP2760372B2 - 耐食性の向上した印刷シームレス缶の製造方法 - Google Patents

耐食性の向上した印刷シームレス缶の製造方法

Info

Publication number
JP2760372B2
JP2760372B2 JP26062994A JP26062994A JP2760372B2 JP 2760372 B2 JP2760372 B2 JP 2760372B2 JP 26062994 A JP26062994 A JP 26062994A JP 26062994 A JP26062994 A JP 26062994A JP 2760372 B2 JP2760372 B2 JP 2760372B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
coating
cup
ultraviolet
curable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26062994A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08117903A (ja
Inventor
弘明 後藤
誠七 小林
晋也 大塚
芳樹 渡辺
泰洋 湯川
敬三 神崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Seikan Kaisha Ltd filed Critical Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority to JP26062994A priority Critical patent/JP2760372B2/ja
Publication of JPH08117903A publication Critical patent/JPH08117903A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2760372B2 publication Critical patent/JP2760372B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Methods (AREA)
  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性の向上した印刷
シームレス缶の製造方法に関するもので、より詳細に
は、ネックイン加工部及びフランジ加工部を含めて、容
器全体の耐食性の向上した印刷シームレス缶を得ること
が可能な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、側面無継目の所謂シームレス缶と
しては、アルミニウム板、ブリキ板或いはティン・フリ
ー・スチール板等の金属素材を、絞りダイスとポンチと
の間で少なくとも1段の絞り加工に付し、側面に継目の
ない胴部と該胴部に継目なしに一体に接続された底部と
から成るカップに形成し、次いで所望により前記胴部
に、しごきポンチとしごきダイスとの間でしごき加工を
加えて、容器胴部を薄肉化する缶の製造方法が知られて
いる。
【0003】また、しごき加工の代わりに、再絞りダイ
スの曲率コーナ部で側壁部を曲げ伸ばしして側壁部を薄
肉化する製法も既に知られている(特表昭56−501
442号公報)。
【0004】容器素材を節約し且つ一定量の金属素材か
ら缶ハイト(高さ)の大きい缶を製造しようとする目的
には、容器胴部をしごき加工或いは曲げ伸ばし加工によ
って薄肉化することは好ましいことである。
【0005】また、側面無継目缶の有機被覆法として
は、一般に広く使用されている成形後の缶に有機塗料を
施す方法の他に、成形前の金属素材に予め樹脂フィルム
をラミネートする方法等が知られており、この後者の例
として、特公昭59−34580号公報には、金属素材
にテレフタル酸とテトラメチレングリコールとから誘導
されたポリエステルフィルムをラミネートしたものを用
いることが記載されている。また、曲げ伸ばしによる再
絞り缶の製造に際して、ビニルオルガノゾル、エポキ
シ、フェノリクス、ポリエステル、アクリル等の被覆金
属板を用いることも知られている。
【0006】シームレス缶の外面に印刷インキ層と仕上
げニス層とを設けることは公知であり、例えば、実公平
6−16739号公報には、TFS(電解クロム酸処理
鋼板)の内面にクリアポリエステルフィルム及び外面に
二酸化チタン配合ポリエステルフィルムを積層したもの
を深絞りし、このカップの外面に印刷インキ層と仕上げ
ニス層とを塗布し、これを焼き付けした後、ネックイン
加工及びフランジ加工を行って、缶とすることが記載さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
印刷シームレス缶の製造では、印刷インキ層と仕上げニ
ス層とを200℃で1乃至2分間程度の焼き付けに付
し、次いでこの印刷カップにネックイン加工及びフラン
ジ加工を行っているが、このネックイン加工及びフラン
ジ加工に際して、加工部の内面樹脂被覆が顕在的或いは
潜在的なダメージを受け、ネック部の内面で点状腐食や
皮膜下腐食(UFC)が直ちに或いは経時的に進行した
り、内容物のフレーバー保持性が低下するという問題が
ある。
【0008】上記の問題に加えて、印刷シームレス缶に
おいては、ストレスクラッキングの問題がある。また、
ストレスクラッキングとは、樹脂、特に熱可塑性樹脂中
に残留する応力が引き金となって、内容物が充填された
雰囲気において内面樹脂に経時的にクラックが入る現象
であり、やはり耐腐食性及び内容物のフレーバー保持性
の上で解決しなければならない課題である。
【0009】印刷シームレス缶において問題となる他の
特性は耐衝撃性である。即ち、シームレス缶はサイドシ
ーム缶のように底部に二重巻締部のような補強構造がな
く、しかも側壁部が一般に薄肉化されているため、底部
に落下衝撃等が加わると、この衝撃が加えられた部分の
被覆に剥離、ピンホール、クラック等の被覆欠陥が生じ
やすいことである。
【0010】従って、本発明の目的は、耐食性、内容物
のフレーバー保持性及び耐衝撃性の向上した印刷シーム
レス缶の製造方法を提供するにある。本発明の他の目的
は、上記印刷シームレス缶を、生産性よくしかも大気汚
染等を生じることなしに製造できる方法を提供するにあ
る。
【0011】
【問題点を解決するための手段】本発明によれば、内面
に有機被覆を施した金属製カップ状容器の側壁外面に、
紫外線硬化型インキ層を形成し紫外線硬化させる操作
と、紫外線硬化型仕上ワニス層を形成し紫外線硬化させ
る操作とを同時に或いはこの順序に行い、印刷金属製カ
ップ状容器の開口端上部をネックイン加工、フランジ加
工に付した後、熱処理を行うことを特徴とする印刷シー
ムレス缶の製造方法が提供される。
【0012】本発明では、上記仕上ワニスがカチオン硬
化型塗料であることが好ましい。
【0013】加工後の金属製カップ状容器の熱処理を内
面側有機被覆のガラス転移点(Tg)以上の温度、特に
好適にはTg+100℃以上の温度で行うことが好まし
い。
【0014】
【作用】本発明の印刷シームレス缶の製造方法では、ネ
ックイン加工及びフランジ加工を間に挟んで、前段に印
刷インキ層と仕上げニス層との紫外線硬化と、後段に印
刷金属製カップ状容器の熱処理を行うことが特徴であ
る。
【0015】ネックイン加工及びフランジ加工後の缶体
に印刷を施すことは、ネック部やフランジの存在により
困難となるため、これらの加工に先立って印刷を施して
おくことがどうしても必要となる。この場合、印刷イン
キ層と仕上げニス層とを加熱により焼き付けると、ネッ
クイン加工及びフランジ加工をすべき部分の内面樹脂被
覆が熱履歴を受け、内面樹脂被覆がこの熱による結晶化
や硬化の進行に伴って脆くなり、ネックイン加工やフラ
ンジ加工の際、顕在的或いは潜在的なダメージを受け、
耐腐食性低下及びフレーバー保持性低下の原因となる。
これに対して、本発明では、紫外線硬化型インキ及び紫
外線硬化型仕上ワニスを使用し、これらの各層を紫外線
硬化させるため、余分の熱履歴を与えることなしにネッ
クイン加工及びフランジ加工を行うことができ、これら
の加工の際内面樹脂被覆が受けるダメージを最小限のも
のに留めることができる。
【0016】また、ネックイン加工及びフランジ加工後
の印刷シームレス缶を熱処理に付することにより、これ
らの加工部の内面樹脂被覆に残留する歪みが解放され、
ストレスクラッキング等による被覆欠陥の発生及び耐腐
食性の低下を防止することができる。
【0017】更に、内面樹脂被覆が熱可塑性樹脂の場合
特に顕著であるが、余分の熱履歴がなくなるため、内面
樹脂被覆の熱による結晶化や硬化を少なくすることがで
き、シームレス缶の底部等が落下衝撃等によって、打痕
を生じた場合にも内面樹脂被覆に被覆欠陥が発生するの
が防止される。
【0018】本発明によれば、印刷インキと仕上げニス
の焼き付け装置やそのための熱エネルギーを省略できる
ばかりなく、焼き付け排ガスやヤニの発生もないので、
大気汚染を生じることがなく、しかも紫外線硬化はコン
パクトな装置を使用して、短時間の内に行えるので、生
産性が高く、その製造も比較的低コストで行えるという
利点をも与えるものである。
【0019】印刷インキ及び仕上げニスとしては、紫外
線硬化型のものであれば、任意のものを使用できるが、
仕上ワニスはカチオン硬化型塗料を用いるのがよい。即
ち、カチオン型塗料は、表面ニス層の硬度が高く、しか
も加工性及び密着性に優れているという利点を与える。
【0020】加工後の金属製カップ状容器の熱処理を内
面側有機被覆のガラス転移点(Tg)以上の温度、特に
好適にはTg+100℃以上の温度で行うことが好まし
く、これにより、ネックイン加工及びフランジ加工部の
内面樹脂被覆に残留する歪みを有効に解放することがで
きる。
【0021】
【発明の好適態様】
[製造方法の概略]本発明の製造方法の概略の工程を示
す図1において、この方法は、内面有機被覆金属製カッ
プの成形工程、紫外線硬化型インキ及び紫外線硬化型仕
上ワニスを施す印刷工程、インキ層及び仕上ワニス層を
紫外線硬化させる工程、印刷金属製カップ状容器の開口
端上部にネックイン加工及びフランジ加工を行う加工工
程、加工後の缶体を熱処理する工程から成る。
【0022】上記成形工程と印刷工程との間には、絞り
加工カップの耳の部分をカットするトリミング工程や、
内面側有機被覆が熱可塑性樹脂である場合、被覆と金属
との密着性を高めるための熱固定工程が追加されること
もある。
【0023】この印刷工程及び紫外線硬化工程を説明す
るための図2において、印刷用ターレット1と硬化用タ
ーレット2とが隣接して配置されており、これらターレ
ットの周囲に缶3は回転可能に保持されて、自転と公転
とを行うように保持される。印刷用ターレット1の周囲
に沿って、印刷ユニット4と仕上げニス塗布ユニット5
とが配置されており、一方硬化用ターレット2の周囲に
沿って紫外線光源6が配置されている。
【0024】成形され、トリミングされた有機被覆金属
カップ3は、供給機構7により印刷用ターレット1に供
給され、その側壁外面に印刷ユニット4により紫外線硬
化型インキ層が施され、このインキ層の上に仕上げニス
塗布ユニット5により、ウエット・オン・ウエットの関
係で、紫外線硬化型仕上ワニス層が施される。印刷済み
のカップ3aは硬化用ターレット2に乗り移り、その周
囲に設けられた紫外線光源で照射されて、印刷インキ層
と仕上げニス層の紫外線硬化が行われる。印刷硬化済み
のカップ3bは排出機構8により装置外に排出される。
【0025】図2に示す装置では、印刷インキ層と仕上
げニス層とがウエット・オン・ウエットに施され、これ
ら両層の硬化が同時に行われるが、2ヘッドの装置の代
わりに1ヘッドの装置2台を直列に接続させて使用し、
最初の装置で紫外線硬化型インキの印刷と紫外線硬化と
を行い、次の装置で紫外線硬化型仕上ワニスのウエット
・オン・ドライの塗布と仕上げワニスの紫外線硬化を行
うようにしてもよい。
【0026】[内面側有機被覆金属製カップの製造工
程]本発明に用いる金属製カップは、内面側有機被覆を
有する限り、任意のものでよく、有機被覆金属板をカッ
プに成形したものでも、金属製カップに後から有機被覆
を設けたものでもよいが、製造の容易さ及び簡略さの点
で、有機被覆金属板をカップに成形したものが好適であ
る。
【0027】この金属製カップは、金属板、特に有機被
覆金属板を、絞り再絞り加工、絞り再絞りしごき加工、
絞り曲げ延ばし再絞り加工、絞り曲げ延ばし再絞りしご
き加工等に付することにより得られる。
【0028】このカップの断面構造の一例を示す図3に
おいて、このカップ 10は金属基体11とその内面側
表面上に設けられた内面有機被膜12と基体の他方の表
面に設けられた外面有機被膜14とから成っている。断
面構造の他の例を示す図4において、断面構造は図3の
場合と同様であるが、金属基体表面と内面有機被膜12
との間、並びに金属基体表面と外面有機被膜14との間
に、それぞれ接着剤層15a,15bが介在されている
点で構造を異にしている。
【0029】本発明では、金属板としては各種表面処理
鋼板やアルミニウム等の軽金属板が使用される。
【0030】表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍
後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメ
ッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の
一種または二種以上行ったものを用いることができる。
好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板で
あり、特に10乃至200mg/m2 の金属クロム層と
1乃至50mg/m2 (金属クロム換算)のクロム酸化
物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐
腐食性との組合せに優れている。表面処理鋼板の他の例
は、0.5乃至11.2g/m2 の錫メッキ量を有する
硬質ブリキ板である。このブリキ板は、金属クロム換算
で、クロム量が1乃至30mg/m2 となるようなクロ
ム酸処理或いはクロム酸/リン酸処理が行われているこ
とが望ましい。更に他の例としてはアルミニウムメッ
キ、アルミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板
が用いられる。
【0031】軽金属板としては、所謂純アルミニウム板
の他にアルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加
工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.
2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Z
n:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.15乃
至0.25重量%、残部がAlの組成を有するものであ
る。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量
が20乃至300mg/mgとなるようなクロム酸処理
或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ま
しい。
【0032】金属板の素板厚、即ち缶底部の厚み(t
B)は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによって
も相違するが、一般に0.10乃至0.50mmの厚み
を有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の場合に
は、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属板の
場合には0.15乃至0.40mmの厚みを有するのが
よい。
【0033】金属基体上に設ける有機被覆は、熱可塑性
樹脂でも、熱硬化性樹脂でも或いはその組成物であって
もよいが、本発明は内面側有機被覆が熱可塑性樹脂であ
る場合に特に効果が大きい。
【0034】上記金属板上に被覆される熱可塑性樹脂と
しては、結晶性の熱可塑性樹脂が好ましく、その例とし
て、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピ
レン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレ
フィン系樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート
/イソフタレート共重合体等のポリエステル;ナイロン
6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等の
ポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン等を
挙げることができる。
【0035】上記熱可塑性樹脂の被覆層には、金属板を
隠蔽し、また絞り−再絞り成形時等に金属板へのしわ押
え力の伝達を助ける目的で無機フィラー(顔料)を含有
させることができる。また、このフィルムにはそれ自体
公知のフィルム用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアン
チブロッキング剤、各種帯電防止剤、滑剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤等を公知の処方に従って配合すること
ができる。
【0036】無機フィラーとしては、ルチル型またはア
ナターゼ型の二酸化チタン、亜鉛華、グロスホワイト等
の無機白色顔料;バライト、沈降性硫酸バライト、炭酸
カルシウム、石膏、沈降性シリカ、エアロジル、タル
ク、焼成或は未焼成クレイ、炭酸バリウム、アルミナホ
ワイト、合成乃至天然のマイカ、合成ケイ酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム等の白色体質顔料;カーボンブラ
ック、マグネタイト等の黒色顔料;ベンガラ等の赤色顔
料;シエナ等の黄色顔料;群青、コバルト青等の青色顔
料を挙げることができる。これらの無機フィラーは、樹
脂当り10乃至500重量%、特に10乃至300重量
%の量で配合させることができる。
【0037】被覆熱可塑性樹脂の金属板への被覆は、熱
融着法、ドライラミネーション、押出コート法等により
行われ、被覆樹脂と金属板との間に接着性(熱融着性)
が乏しい場合には、例えばウレタン系接着剤、エポキシ
系接着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミ
ド系接着剤、コポリエステル系接着剤等を介在させるこ
とができる。
【0038】また、熱可塑性樹脂の厚みは、一般に3乃
至50μm、特に5乃至40μmの範囲にあることが望
ましい。フィルムを用いた熱融着の場合、未延伸のもの
でも延伸のものでもよい。
【0039】特に好適なフィルムとして、エチレンテレ
フタレート単位を主体とするポリエステルを、T−ダイ
法やインフレーション製膜法でフィルムに成形し、この
フィルムを延伸温度で、逐次或いは同時二軸延伸し、延
伸後のフィルムを熱固定することにより製造されたフィ
ルムを挙げることができる。
【0040】原料ポリエステルとしては、ポリエチレン
テレフタレートそのものも著しく制限された延伸、熱固
定及びラミネート条件下で使用可能であるが、フィルム
の到達し得る最高結晶化度を下げることが耐衝撃性や加
工性の点で望ましく、この目的のためにポリエステル中
にエチレンテレフタレート以外の共重合エステル単位を
導入するのがよい。本発明ではエチレンテレフタレート
単位を主体とし、他のエステル単位の少量を含む融点が
210乃至252℃共重合ポリエステルの二軸延伸フィ
ルムを用いることが特に好ましい。尚、ホモポリエチレ
ンテレフタレートの融点は一般に255〜265℃であ
る。
【0041】一般に共重合ポリエステル中の二塩基酸成
分の70モル%以上、特に75モル%以上がテレフタル
酸成分から成り、ジオール成分の70モル%以上、特に
75モル%以上がエチレングリコールから成り、二塩基
酸成分及び/又はジオール成分の1乃至30モル%、特
に5乃至25%がテレフタル酸以外の二塩基酸成分及び
/又はエチレングリコール以外のジオール成分から成る
ことが好ましい。
【0042】テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イ
ソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸:シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸:コハク酸、アジピン酸、セバチン
酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸:の1種
又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール
以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,
6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の
1種又は2種以上が挙げられる。勿論、これらのコモノ
マーの組合せは、共重合ポリエステルの融点を前記範囲
とするものでなければならない。
【0043】用いるコポリエステルは、フィルムを形成
するに足る分子量を有するべきであり、このためには固
有粘度(I.V)が0.55乃至1.9dl/g、特に
0.65乃至1.4dl/gの範囲にあるものが望まし
い。
【0044】フィルムの延伸は一般に80乃至110℃
の温度で、面積延伸倍率が2.5乃至16.0、特に
4.0乃至14.0となる範囲で行うのがよく、フィル
ムの熱固定は、130乃至240℃、特に150乃至2
30℃の範囲で行うのがよい。
【0045】コポリエステルフィルムは、二軸延伸され
ていることが重要である。二軸配向の程度は、偏光蛍光
法、複屈折法、密度勾配管法密度等でも確認することが
できる。
【0046】積層に際しては、過度の結晶化を防ぐ目的
で、積層されるフィルムが結晶化温度域を通過する時間
を可及的に短くし、好ましくはこの温度域を10秒以
内、特に5秒以内で通過するようにする。このために、
積層に際して金属素材のみを加熱し、フィルム積層後直
ちに積層体を強制冷却するようにする。冷却には、冷
風、冷水との直接的な接触や強制冷却された冷却ローラ
の圧接が用いられる。この積層に際してフィルムを融点
近傍の温度に加熱し、積層後急冷を行えば、結晶配向度
を緩和させることも可能なことが理解されるべきであ
る。
【0047】接着用プライマーを用いる場合に、フィル
ムへの接着用プライマーとの密着性を高めるために、フ
ィルムの表面をコロナ放電処理しておくことが一般に望
ましい。コロナ放電処理の程度は、そのぬれ張力が44
dyne/cm以上となるようなものであることが望ま
しい。
【0048】この他、フィルムへのプラズマ処理、火炎
処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン
樹脂系、変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーテ
ィング処理を行っておくことも可能である。
【0049】ポリエステルフィルムと金属素材の間に所
望により設ける接着プライマーは、金属素材とフィルム
との両方に優れた接着性を示すものである。密着性と耐
腐食性とに優れたプライマー塗料の代表的なものは、種
々のフェノール類とホルムアルデヒドから誘導されるレ
ゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール
型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキシ系塗料で
あり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂とを50:5
0乃至5:95重量比、特に40:60乃至10:90
の重量比で含有する塗料である。
【0050】接着プライマー層は、一般に0.3乃至5
μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は予め
金属素材上に設けてもよく或いは予めポリエステルフィ
ルム上に設けてもよい。
【0051】熱硬化性樹脂塗料としては、例えば、フェ
ノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデ
ヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−
ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メ
ラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹
脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹
脂、シリコーン樹脂、油性樹脂、或は上記熱硬化性樹脂
と熱可塑性樹脂塗料、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニ
ル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合
体、飽和ポリエステル樹脂との組成物等を挙げることが
できる。これらの樹脂塗料は単独でも2種以上の組合せ
でも使用される。
【0052】上記熱硬化性樹脂塗料の内でも、エポキシ
樹脂(a)、ビスフェノール型エポキシ樹脂とこのエポ
キシ樹脂に対する硬化剤樹脂(b)との組み合わせが好
ましい。
【0053】これらの硬化剤樹脂の内でも、フェノール
ホルムアルデヒド樹脂、特に多環多価フェノールを含有
するフェノール−アルデヒド樹脂成分を用いることが、
フィルムに対する密着性、腐食成分に対するバリヤー性
及び耐加工性の点で望ましい。
【0054】エポキシ樹脂成分としては、この種の塗料
中のエポキシ樹脂成分として従来使用されているものは
すべて制限なしに使用し得るが、これらの内代表的なも
のとして、エピハロヒドリンとビスフェノールA[2,
2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン]、ビ
スフェノールF等のビスフェノール類との縮合によって
製造した平均分子量800乃至5500、特に望ましく
は、1400乃至5500のエポキシ樹脂が挙げられ、
このものは内面側有機被覆に使用される。
【0055】このエポキシ樹脂は、下記化学式(1)
【化1】 式中、Rはビスフェノール類の縮合残基であり、nは樹
脂の平均分子量が800乃至5500となるように選択
される数である。で表わされる。
【0056】尚、前述したエポキシ樹脂の分子量は、平
均分子量であり、従って、比較的低重合度の塗料用エポ
キシ樹脂と、高分子量の線状エポキシ樹脂、即ちフェノ
キシ樹脂とをその平均分子量が上記の範囲となるように
組合せて使用することは何等差し支えがない。
【0057】エポキシ樹脂に対する硬化剤樹脂成分とし
ては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等のエポキシ
基に対して反応性を有する極性基を有する任意の樹脂;
例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン
−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹
脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホル
ムアルデヒド樹脂、極性基含有ビニル樹脂、極性基含有
アクリル樹脂等の1種又は2種以上の組合せが使用され
る。これらの硬化剤樹脂の内でも、フェノールホルムア
ルデヒド樹脂、特に多環多価フェノールを含有するフェ
ノール−アルデヒド樹脂成分を用いることが、フィルム
に対する密着性、腐食成分に対するバリヤー性及び耐加
工性の点で望ましい。
【0058】使用するフェノール・アルデヒド樹脂成分
(b)も、この樹脂骨格中に多環フェノールを含有する
ものであれば、任意のものを用いることができる。
【0059】本明細書において、多環フェノールとは、
フェノール性水酸基が結合した環を複数個有するフェノ
ール類の意味であり、かかる多環フェノールの代表的な
例として、化学式(2) HO−Φ−R−Φ−OH ‥‥(2) 式中、Rは直接結合或は2価の橋絡基を表わし、Φはフ
ェニレン基(オルソ、メタ及び/またはパラ)を表す。
で表わされる2価フェノールが知られており、かかるフ
ェノールは本発明の目的に好適に使用される。前記式
(2)の2価フェノールにおいて、2価の橋絡基Rとし
ては、式−CR’R’−(式中、R’の各々は水素原
子、ハロゲン原子、炭素数4以下のアルキル基、または
パーハロアルキル基である)のアルキリデン基、−O
−、−S−、−SO−、−SO2 −、−NR−(式中、
Rは水素原子または炭素数4以下のアルキル基である)
の基等を挙げることができるが、一般にはアルキリデン
基又はエーテル基が好ましい。
【0060】このような2価フェノールの適当な例は、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(ビスフェノ−ルA)、2,2’−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、1,1’−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−,
3−または2−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェ
ノールF)、4−ヒドロキシフェニルエーテル、p−
(4−ヒドロキシ)フェノール、等であるが、ビスフェ
ノールA及びビスフェノールBが最も好適である。
【0061】これらの多環フェノールは単独で或はその
他のフェノール類との組合せで、ホルムアルデヒドと縮
合反応させてレゾール型フェノールアルデヒド樹脂とす
る。その他のフェノール類としては、従来この種の樹脂
の製造に使用される1価フェノールは全て使用できる
が、一般には下記化学式(3)
【0062】
【化2】
【0063】式中、R1 は水素原子又は炭素数4以下の
アルキル基又はアルコキシ基であって、3個のR1 の内
2個は水素原子であり、かつ1個はアルキル基又はアル
コキシ基であるものとし、Rは水素原子又は炭素数4以
下のアルキル基である。で表わされる2官能性フェノー
ル、例えば、o−クレゾール、p−クレゾール、p−te
rtブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−
キシレノール、2,5−キシレノール等の2官能性フェ
ノールの1種又は2種以上の組合せが最も好ましい。勿
論、上記式(3)の2官能性フェノールの他に、フェノ
ール(石炭酸)、m−クレゾール、m−エチルフェノー
ル、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノール等
の3官能性フェノール類;2,4−キシレノール、2,
6−キシレノール等の1官能性フェノール類;p−tert
−アミルフェノール、p−ノニルフェノール、p−フェ
ニルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール等のそ
の他の2官能性フェノールも、単独で或は上記式(3)
の2官能性との組合せで、フェノールアルデヒド樹脂の
調製に使用することができる。
【0064】フェノールアルデヒド樹脂中における多環
フェノールの量は全フェノール成分の少なくとも10重
量%以上、特に30重量%以上であればよいが、多環フ
ェノール(イ) と前記1価フェノール(ロ) とを、イ:ロ=
98:2〜65:35、特に95:5〜75:25の重
量比で組合せることが、耐レトルト性の点で有利であ
る。
【0065】また、フェノールアルデヒド樹脂のアルデ
ヒド成分としては、ホルムアルデヒド(又はパラホルム
アルデヒド)が特に適しているが、アセトアルデヒド、
ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等の他のアルデヒ
ドも単独或はホルムアルデヒドとの組合せで使用するこ
とができる。
【0066】レゾール型フェノールアルデヒド樹脂は、
上述したフェノールとアルデヒドとを塩基性触媒の存在
下に反応させることにより得られる。フェノールに対す
るアルデヒドの使用量には特に制限はなく、従来レゾー
ル型樹脂の製造に使用されている量比で用いることがで
き、例えばフェノール類1モル当たり1モル以上、特に
1.5乃至3.0モルの量比のアルデヒドを好適に用い
ることができるが、1モルよりも少ないアルデヒドを用
いても特に不都合はない。
【0067】縮合は、一般に適当な反応媒体中、特に水
性媒体中で行うのが望ましい。塩基性触媒としては、従
来レゾール型樹脂の製造に使用されている塩基性触媒の
いずれもが使用でき、就中、アンモニアや、水酸化マグ
ネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化マ
グネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性塩化マグ
ネシウム、塩基性酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金
属等の水酸化物、酸化物或は塩基性塩等が好適に使用さ
れる。これらの塩基性触媒は、反応媒体中に触媒量、特
に0.01乃至0.5 モル%の量で存在させればよい。縮合条
件は、特に制限はなく、一般に80乃至130℃の温度
で1乃至10時間程度の加熱を行えばよい。
【0068】生成する樹脂はそれ自体公知の手段で精製
することができ、例えば、反応生成物たる樹脂分を例え
ばケトン、アルコール、炭化水素溶媒或はこれらの混合
物で反応媒体から抽出分離し、必要により水で洗浄して
未反応物を除去し、更に共沸法或は沈降法により水分を
除去して、エポキシ樹脂に混合し得る形のレゾール型フ
ェノールアルデヒド樹脂とすることができる。
【0069】上記塗料は、絞り成形に先立って、金属板
に予め施し、この保護被覆層を実質上損傷することなし
に、深絞り成形と側壁部の均一薄肉化とを行うことがで
きる。
【0070】前述した樹脂塗料は、エナメル或はラッカ
ー等の有機溶媒溶液の形で、或は水性分散液または水溶
液の形で、ローラ塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、静電
塗装、電気泳動塗装等の形で金属素材に施す。勿論、こ
の塗料は、例えば150乃至250℃の温度で、0.5
乃至15分間程度焼付けして硬化塗膜とする。保護塗膜
は、耐腐食性と加工性との見地から、一般に2乃至50
μm、特に3乃至40μmの厚み(乾燥状態)を有する
ことが望ましい。また、絞り−再絞り性やしごき性を向
上させるために、塗膜中に、各種滑剤を含有させること
ができる。
【0071】金属製カップ状容器への成形は、それ自体
公知の手段、例えば絞り再絞り加工、絞り再絞りしごき
加工、絞り曲げ延ばし再絞り加工、絞り曲げ延ばし再絞
りしごき加工等で行われる。
【0072】例えば、深絞り成形(絞り−再絞り成形)
によれば、被覆金属板から成形された前絞りカップを、
このカップ内に挿入された環状の保持部材とその下に位
置する再絞りダイスとで保持する。これらの保持部材及
び再絞りダイスと同軸に、且つ保持部材内を出入し得る
ように再絞りポンチ配置する。再絞りポンチと再絞りダ
イスとを互いに噛みあうように相対的に移動させる。
【0073】これにより、前絞りカップの側壁部は、環
状保持部材の外周面から、その曲率コーナ部を経て、径
内方に垂直に曲げられて環状保持部材の環状底面と再絞
りダイスの上面とで規定される部分を通り、再絞りダイ
スの作用コーナ部により軸方向にほぼ垂直に曲げられ、
前絞りカップよりも小径の深絞りカップに成形すること
ができる。
【0074】更に再絞りダイスの作用コーナー部の曲率
半径(Rd )を、金属板素板厚(tB)の1乃至2.9
倍、特に1.5乃至2.9倍の寸法とすることにより、
側壁部の曲げ引張りによる薄肉化を有効に行うことがで
きる。のみならず、側壁部の下部と上部とにおける厚み
の変動が解消され、全体にわたって均一な薄肉化が可能
となる。一般に、缶胴の側壁部は下記数式(4) 式中、tBは素板厚であり、tWは側壁部の厚みである
で定義される薄肉化率が5乃至45%、特に5乃至40
%の厚みに薄肉化することができる。
【0075】深絞り缶の場合、下記数式(5) 式中、Dは剪断したラミネート材の径であり、dはポン
チ径である、で、定義される絞り比RD は一段では1.1
乃至3.0 の範囲、トータルでは1.5 乃至5.0 の範囲にあ
るのがよい。
【0076】また再絞り或いは曲げ伸ばし再絞りの後方
にしごきダイスを配置して、側壁部に対して、しごきも
含めた薄肉化率が5乃至70%、特に10乃至60%の
厚みになるようにしごきで薄肉化することもできる。
【0077】絞り成形等に際して、被覆金属板或は更に
カップに、各種滑剤、例えば流動パラフィン、合成パラ
フィン、食用油、水添食用油、パーム油、各種天然ワッ
クス、ポリエチレンワックスを塗布して成形を行うのが
よい。滑剤の塗布量は、その種類によっても相違する
が、一般に0.1乃至10mg/dm2 、特に0.2乃
至5mg/dm2 の範囲内にあるのがよく、滑剤の塗布
は、これを溶融状態で表面にスプレー塗布することによ
り行われる。
【0078】カップへの絞り成形性を向上させるため、
樹脂被覆絞りカップの温度を被覆樹脂のガラス転移点
(Tg)以上、特に熱結晶化温度以下の範囲に予め設定
加熱して、樹脂被覆層の塑性流動を容易にした状態で成
形することが有利である。
【0079】成形後の内面側有機被覆金属製カップは、
カップ開口部の耳の部分を切断する、所謂トリミングを
行った後、印刷工程に付する。このトリミング処理に先
立って、成形後のカップを被覆樹脂のガラス転移点(T
g)以上で融点よりも低い温度に加熱して、被覆樹脂の
歪みを緩和しておくことができる。この操作は、熱可塑
性樹脂の場合特に被覆と金属との密着性を高めるために
有効である。
【0080】[紫外線硬化型インキ、紫外線硬化型仕上
ワニス]本発明では、インキ及び仕上げワニスとして、
紫外線硬化型のものを使用する。このインキ及び仕上ワ
ニスには、紫外線硬化型樹脂組成物が含有されており、
紫外線硬化型樹脂組成物には、大別してカチオン硬化型
のものとラジカル重合型のものがある。
【0081】紫外線カチオン重合型樹脂組成物として
は、紫外線硬化型エポキシ樹脂と光カチオン重合触媒の
組み合わせが使用される。
【0082】紫外線硬化型エポキシ樹脂としては、分子
内に脂環族基を有し且つ脂環基の隣接炭素原子がオキシ
ラン環を形成しているエポキシ樹脂成分を含有するもの
であり、例えば分子内に少なくとも1個のエポキシシク
ロアルカン基、例えばエポキシシクロヘキサン環、エポ
キシシクロペンタン環等を有するエポキシ化合物等が単
独或いは組み合わせで使用される。
【0083】その適当な例は、これに限定されないが、
ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ビニルシクロヘキ
センモノエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシル
メチル−3,4−エポキシシクロヘキサン・カーボキシ
レート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,
5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−
ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)
アジペート等である。
【0084】上記エポキシ樹脂と組み合わせで用いるカ
チオン性紫外線重合開始剤とは、紫外線によって分解
し、ルイス酸を放出し、このルイス酸がエポキシ基を重
合する作用を有するものであり、その例として、芳香族
ヨードニウム塩、芳香族スルフォニウム塩、芳香族セレ
ニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩等が挙げられる。
【0085】ジアリルヨードニウム塩としては、例え
ば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネ
ート、ジフェニルヨードニウムヘキサオロホスフェー
ト、4−クロルフェニルヨードニウムテトラフルオロボ
レート、ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウムクロ
ライド、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウ
ム等が挙げられる。
【0086】トリアリールスルホニウム塩としては、例
えば、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレー
ト、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェ
ート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホ
ニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルス
ルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−クロル
フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフ
ェート等が挙げられる。
【0087】トリアリールセレニウム塩としては、例え
ば、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェー
ト、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロアンチモネ
ート等が挙げられる。
【0088】その他のカチオン重合開始剤として、
(2,4−シクロペンタジェン−1−イル)[(1−メ
トキシチエチル)−ベンゼン]−アイロン−ヘキサフル
オロホスフェート、ジフェニルスルホニウムヘキサフル
ロアンチモネート、ジアルキルフェニルスルホニウムヘ
キサフルオロアンチモネート、ジアルキルフェニルスル
ホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス
[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]
フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモー
ネート、4,4-ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フ
ェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキ
サフルオロホスフェード等が挙げられる。
【0089】このカチオン硬化型樹脂組成物には、それ
自体公知の希釈剤、他のエポキシ樹脂、増感剤、架橋剤
等を含有させることができる。
【0090】希釈剤としては、フェニルグリシジルエー
テル、メチルフェニルグリシジルエーテル、n-ブチル
グリシジルエーテル、1,2−エポキシヘキサデカン等
が挙げられる。
【0091】変性用の他のエポキシ樹脂としては、カッ
プの項で述べたようなビスフェノール型エポキシ樹脂等
が使用される。
【0092】増感剤としては、チオキサントン誘導体、
例えば2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイ
ソプロピルチオキサントンが挙げられる。
【0093】架橋剤としては、種々のポリオール類、例
えばε−カプロラクトントリオール等を挙げることがで
きる。
【0094】カチオン硬化型樹脂組成物の処方の適当な
例は、これに限定されないが、脂環式エポキシ樹脂10
0重量部当たり、カチオン性紫外線重合開始剤0.1乃
至20重量部、特に0.5乃至15重量部、希釈剤0乃
至50重量部、特に5乃至45重量部、他のエポキシ樹
脂0乃至50重量部、特に5乃至45重量部、増感剤0
乃至20重量部、特に0.5乃至10重量部及び架橋剤
0乃至50重量部、特に5乃至45重量部からなるもの
である。
【0095】紫外線ラジカル重合型樹脂組成物として
は、紫外線重合性モノマー乃至プレポリマーと光重合触
媒の組み合わせが使用される。
【0096】紫外線重合性モノマー乃至プレポリマーと
しては、分子内に複数のエチレン系不飽和基を有するモ
ノマー乃至プレポリマー或いはそれらの混合物が使用さ
れる。その適当な例はエポキシアクリレート樹脂、ウレ
タンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート、熱
硬化型アクリル樹脂、熱硬化型ポリエステル樹脂等であ
る。
【0097】エポキシアクリレート樹脂としては、前記
式(1)のビスフェノール型エポキシ樹脂とエチレン系
不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタアクリル酸
との付加物、或いはこの付加物とエチレン系不飽和多価
カルボン酸無水物、例えば無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸等との反応物等が使用される。
【0098】ウレタンアクリレート樹脂としては、イソ
シアネート末端ポリエステル或いはイソシアネート末端
ポリオールと官能基含有アクリル単量体、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート等とを反応させて得られたウレタンアクリレート
樹脂が使用される。
【0099】熱硬化型アクリル樹脂としては、1,6 −ヘ
キサンジオールジアクリレート(HDDA)、1,6 −ヘキサン
ジオールジメタクリレート(HDDMA) 、ネオペンチルグリ
コールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタ
クリレート、エチレングリコールジアクリレート(EGD
A)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA) 、ポ
リエチレングリコールジアクリレート(PEGMA−A)、ポリ
エチレングリコールジアクリレート(PEGMA) 、ポリプロ
ピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリ
コールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリ
レート、ブチレングリコールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールジアクリレート、1,4 −ブタンジオール
ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサアクリレート、テトラメチロールメタン
テトラアクリレート、N,N, N′,N′−テトラキス(β−
ヒドロキシエチル)エチレンジアミンのアクリル酸エス
テル、2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ
−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン等が
使用される。
【0100】熱硬化型ポリエステル樹脂としては、分子
中にエチレン系不飽和結合を含むポリエステル、例え
ば、エチレン系不飽和多価カルボン酸、例えばマレイン
酸、フマール酸、イタコン酸、テトラヒドロフタール酸
等と、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット
酸、アジピン酸、セバチン酸、重合脂肪酸等の他の酸成
分との組み合わせと、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ネオ
ペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ビスフエノール類等の多価アルコール
とを縮合させて得られるポリエステル樹脂が使用され
る。
【0101】上記の多官能性モノマー乃至プレポリマー
は、通常1官能性モノマーと組み合わせで使用するのが
普通であり、このようなモノマーとして、グリシジルア
クリレート(GA)、グリシジルメタクリレート(GMA) 、カ
ルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアク
リレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジ
シクロペンタジエニルアクリレート、ジヒドロジシクロ
ペンタジエニルメタクリレート、イソボルニルアクリレ
ート、アクリルアミド(AAm) 、メタクリルアミド(MAm)
、N−メチロールアクリルアミド(N-MAM) 、N−ジア
セトンアクリルアミド(DAAM)、N−ビニルピロリドン、
マレイン酸、イタコン酸、メチルメタクリレート(MMA)
、エチルアクリレート(EA)、スチレン(ST)、 アクリロ
ニトリル(AN)、酢酸ビニル(VAc)、ビニルトルエン(VT)
等。
【0102】更に、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレ
ート(DAP)、ジアリルイソフタレート、ジアリルア
ジペート、ジアリルグリコレート、ジアリルマレエー
ト、ジアリルセバケート、トリアリルフオスフエート、
トリアリルアコニテート、トリメリット酸アリルエステ
ル、ピロメリット酸アリルエステル等の他の多官能性モ
ノマーも使用しうる。。
【0103】光ラジカル重合開始剤の代表的なものとし
ては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾ
インエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル
等のベンゾイン及びそのアルキルエーテル類;アセトフ
ェノン、2,2-ジメトキシ−2−フェニルアセトフェ
ノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノ
ン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシ
シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メ
チルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−
1−オン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキ
ノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン
類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチ
ルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4
−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン
類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチ
ルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾ
フェノン類またはキサントン類、2,4,6−トリメチ
ルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス
(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ
−メチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホス
フィンオキサイド類等がある。
【0104】かかる光重合開始剤は、安息香酸系又は第
三級アミン系など公知慣用の光重合促進剤の1種あるい
は2種以上と組み合わせて用いることが出来る。
【0105】ラジカル重合性樹脂組成物において、光重
合開始剤は紫外線硬化性樹脂100 重量部に対して0.1
〜30重量部、好ましくは1〜25重量部となる割合で
用いるのが好ましい。
【0106】本発明に用いる紫外線硬化型インキは、上
記紫外線硬化性樹脂組成物に着色顔料及びインキ用助剤
を配合したものからなる。インキは著しい非ニュートン
挙動を示すため、その粘度を定義するのは難しいが、一
般に剪断速度が1sec-1における見かけ粘度が500
乃至5000ポイズ(p、20℃)の範囲にあるのが望
ましい。
【0107】着色顔料の適当な例は次の通りである。 黒色顔料 カーボンブラック、アセチレンブラック、ランブラッ
ク、アニリンブラック。 黄色顔料 黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネ
ラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネー
ブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエロ
ーG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、
ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パ
ーマンネントイエローNCG、タートラジンレーキ。 橙色顔料 赤口黄鉛、モリブテンオレンジ、パーマネントオレンジ
GTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、イン
ダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレン
ジG、インダスレンブリリアントオレンジGK。 赤色顔料 ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウ
ム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾ
ロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキ
レッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレー
キ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリア
ントカーミン3B。 紫色顔料 マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレ
ットレーキ。 青色顔料 紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクト
リアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタ
ロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化
物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーB
C。 緑色顔料 クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、
マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーン
G。 白色顔料 亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛。 体質顔料 バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイト
カーボン、タルク、アルミナホワイト。
【0108】インキ用配合剤としては、消泡剤としてシ
リコーンオイル等、レベリング剤としてフッ素系界面活
性剤、シリコーン系界面活性剤、アクリル共重合体等、
増粘剤、減粘剤等を用いることができる。
【0109】仕上げワニスとしては、着色顔料の配合が
なく、透明性に優れているという点をのぞけば、印刷イ
ンキと同様のものが使用される。その粘度は、一般に1
00乃至400センチポイズ(cp、20℃)の範囲に
あるのが望ましい。
【0110】本発明において、紫外線硬化型インキの印
刷は、オフセット印刷、平版印刷、グラビア印刷、スク
リーン印刷等のそれ自体公知の製缶印刷法により行うこ
とができる。一方、紫外線硬化型仕上ワニスの塗布は、
グラビアロール、通常のコーティングロール等を用いて
行うことができる。仕上げワニスの塗布厚みは一般に2
乃至20μmの範囲にあるのがよい。
【0111】インキ層等の硬化に使用する紫外線として
は、近紫外領域をも含めて、一般に波長200乃至44
0nm、特に240乃至420nmの光線が使用され
る。紫外光源としては、ハライドランプ、高圧水銀灯、
低圧水銀灯等が使用される。インキ層及び仕上げニス層
の厚みは著しく小さいので、硬化に要するエネルギーは
かなり少なくてすむことが利点であり、一般に500乃
至5000ジュール/m 2 等のエネルギーで十分であ
る。
【0112】[ネックイン加工及びフランジ加工]本発
明において、印刷カップのネックイン加工及びフランジ
加工はそれ自体公知の手段で行う。ネックイン加工は、
それ自体公知のネックイン加工法、例えば、ダイ方式、
或はスピンネックイン方式により一段或は複数段で行う
ことができる。
【0113】下記数式(6) 式中、RL はネックイン加工前の缶胴外径を表わし、R
S はネックイン加工部の缶胴外径を表わす。で定義され
るネックイン加工率(NR )は、一段で1.01乃至
1.10、特に1.02乃至1.07の範囲にあるのが
よく、多段ネックイン加工の場合には、全体で1.10
乃至1.30、特に1.11乃至1.25の範囲内にあ
るのがよい。
【0114】ネックイン加工は、50℃以上で且つ被覆
のガラス転移点温度(Tg )よりも低い温度で行うのが
推奨される。即ち、被覆のTg 以上の温度では、被覆と
工具との係合等により、被覆自体に傷が入るので好まし
くなく、一方50℃よりも低い温度では、ネックイン加
工に際して被覆が金属素材の塑性流動に追従しない傾向
があり、被覆の剥離やクラック発生等の被覆欠陥が発生
し易い。ネックイン加工に際して、工具と接触する缶胴
部に滑剤、潤滑剤を塗布したり、あるいは缶胴と接触す
る工具表面を潤滑性能に優れた素材で形成したりし得る
ことは任意である。
【0115】ネックイン加工されたカップは、その開口
端部をフランジングダイと係合させて、フランジ加工を
行い、缶端と二重巻締するためのフランジを形成させ
る。
【0116】[熱処理工程]加工後の金属製カップ状容
器を、内面側有機被覆のガラス転移点(Tg)以上の温
度、特に好適にはTg+100℃以上の温度で加熱し
て、ネックイン加工及びフランジ加工部の内面樹脂被覆
に残留する歪みを有効に解放させる。
【0117】この加熱は、熱風加熱炉、赤外線加熱炉等
により容器全体について行ってもよいし、カップのネッ
クイン加工及びフランジ加工部乃至その近傍についての
み行ってもよい。
【0118】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明する。実施例に挙げる容器特性の評価、測定方法は次
の通りである。
【0119】(A)結晶化度 密度勾配管によりサンプ
ルの密度を求めた。これにより、以下の式に従い、結晶
化度を算出した。 (p−pa)/(pc−pa)×100 p:測定密度(g/cm3) pa:完全非晶体密度(g/cm3) pc:完全結晶体密度(g/cm3) ポリエチレンテレフタレート系の場合 pa=1.335(g/cm3) pc=1.455(g/cm3
【0120】(B)耐食性 作製したシームレス缶に腐食モデル液(蒸留水1000
mlにクエン酸5g、酢酸5g、食塩30gを添加した
水溶液)を充填巻締し、37℃で6カ月間保存し、缶内
面ネック部の腐食状態を目視で観察した。腐食試験は実
施例、比較例に記載の各条件について100缶づつ行
い、1mm2 以上の腐食点を1点以上有する場合、腐食
有りと判断し、腐食缶が100缶中何缶あるかで耐食性
を評価した。
【0121】(C)耐衝撃性 作製したシームレス缶に腐食モデル液(蒸留水1000
mlにクエン酸5g,酢酸 5g、食塩30gを添加し
た水溶液)を充填巻締した後、7℃で2日保存し、7℃
のままで30cmの高さから正立で落下させ、缶下部に
衝撃変形を加えてから、37℃で1カ月保存し、変形部
の腐食状態を目視で観察した。腐食試験は実施例、比較
例に記載の各条件について100缶づつ行い、1mm2
以上の腐食点を1点以上有する場合、腐食有りと判断
し、腐食缶が100缶中何缶あるかで耐食性を評価し
た。
【0122】実施例1 素板厚0.18mm、調質度DR−9のティンフリース
チール板(表面処理被覆量として金属クロム量120m
g/m^2、クロム酸化物量15mg/m^2とした)
の缶内面になる側に厚さ20μmの2軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレート/イソフタレート共重合体フィルム
を、一方缶外面になる側に酸化チタンを20重量%含有
する厚さ20μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
ト/イソフタレート共重合体フィルムをフィルムの融点
で両面同時に熱接着し、直ちに水冷することにより有機
被覆金属板を得た。なお、DSC法で測定したフィルム
のガラス転移温度は74℃、融点は230℃である。
【0123】この有機被覆金属板にグラマーワックスを
均一に塗布した後、直径187mmの円板に打ち抜き、
常法に従って浅絞りカップを成形した。この絞り工程に
おける絞り比は1.4である。
【0124】次いで浅絞りカップを80℃に予備加熱し
た後、第1次、第2次、第3次の再絞りを行った。再絞
り工程で金属の曲げ伸ばしによる側壁部の薄肉化を行っ
た。再絞り工程の成形条件及び再絞り成形された深絞り
カップの諸特性を以下に示す。 第1次再絞り比 1.25 第2次再絞り比 1.25 第3次再絞り比 1.25 再絞りダイス作用コーナー部曲率半径 0.40mm カップ径 66mm カップ高さ 140mm 側壁厚み変化率 −20%
【0125】この後、常法に従ってドーミング成形を行
った後、前記深絞りカップを215℃で1分間熱処理
し、フィルムの加工歪みを取り除くともに、潤滑剤を揮
発させ、印刷適性を向上させた。次いで開口端部の縁切
りを行い、外面側壁部にエポキシアクリレート系ラジカ
ル硬化性紫外線硬化型インキを用いてドライオフセット
方式で印刷を行った後、出力160w/cmのメタルハ
ライドランプにより紫外線を照射しインキ層を硬化させ
た。この印刷深絞りカップの外面側壁部全面に更に脂環
式エポキシ系カチオン硬化性紫外線硬化型仕上ワニスを
乾燥塗膜量150mg/缶で塗布した後、出力160w
/cmのメタルハライドランプにより紫外線を照射し、
仕上ワニス層を硬化させた。
【0126】次いで深絞りカップの開口端部をその直径
が66mmから57mmになるまでロールネック方式に
より縮径した後、フランジ加工を施し、更に200℃で
30秒間熱処理することで、目的とする350ml用の
薄肉化深絞り缶を得た。
【0127】作製した薄肉化深絞り缶の諸特性を表1に
示すが、外見も良好な耐食性、耐衝撃性に優れた印刷缶
が得られた。
【0128】実施例2 仕上ワニスをエポキシアクリレート系ラジカル重合性紫
外線硬化型塗料に変更した以外は実施例1と同様にし
て、薄肉化深絞り缶を作製した。その結果は表1に示す
ように、耐食性、耐衝撃性に関しては何等問題がなかっ
たが、ネック部の外面にロールによりこすられたことに
起因する仕上ワニス層、インキ層の浮きが観察された。
【0129】実施例3 印刷、塗装方法を以下に記載したように変更した以外は
実施例1と同様にして、薄肉化深絞り缶を作製した。す
なわち、脂環式エポキシ系カチオン硬化性紫外線硬化型
インキを用いてドライオフセット方式で印刷を行い、更
に脂環式エポキシ系カチオン硬化性紫外線硬化型仕上ワ
ニスを乾燥塗膜量150mg/缶でウェットオンウェッ
ト方式で外面側壁部全面に塗布した後、出力160w/
cmのメタルハライドランプにより紫外線を照射して、
インキ層、仕上ワニス層を同時に硬化した。その結果は
表1に示すように、外見も良好な耐食性、耐衝撃性の優
れた薄肉化深絞り缶が得られた。
【0130】実施例4 印刷、塗装方法を以下に記載の方法に変更した以外は実
施例1と同様にして、薄肉化深絞り缶を作製した。すな
わち、塩基性のモノマー、添加剤を使用しないように処
方したエポキシアクリレート系ラジカル硬化性紫外線硬
化型インキを用いてドライオフセット方式で印刷を行
い、更に脂環式エポキシ系カチオン硬化性紫外線硬化型
仕上ワニスを乾燥塗膜量150mg/缶でウェットオン
ウェット方式で外面側壁部全面に塗布した後、出力16
0w/cmのメタルハライドランプにより紫外線を照射
し、インキ層、仕上ワニス層を同時に硬化させた。その
結果は表1に示すが、外観も良好であり耐食性、耐衝撃
性の優れた薄肉化深絞り缶が得られた。
【0131】実施例5 ネックイン−フランジ加工後の熱処理を180℃−30
秒に変更する以外は実施例1と同様にして、薄肉化深絞
り缶を作製した。その結果を表1に示すように、外観も
良好な耐食性、耐衝撃性に優れた薄肉化深絞り缶が得ら
れた。
【0132】実施例6 ネックイン−フランジ加工後の熱処理を210℃−30
秒に変更する以外は実施例1と同様にして、薄肉化深絞
り缶を作製した。その結果を表1に示すように、外観も
良好な耐食性、耐衝撃性に優れた薄肉化深絞り缶が得ら
れた。
【0133】比較例1 印刷、塗装方法を以下に記載の方法に変更する以外は実
施例1と同様にして、薄肉化深絞り缶を作製した。すな
わち、ポリエステル系熱硬化型インキを用いてドライオ
フセット方式で印刷を行い、更にアクリルアミノ系熱硬
化型仕上ワニスを乾燥塗膜量が150mg/缶となるよ
うにウェットオンウェット方式で外面側壁部全面に塗布
して後、この深絞りカップをガスオーブンに入れ、20
0℃−2分の焼付を行い、インキ層、仕上ワニス層を硬
化させた。この条件で作製した薄肉化深絞り缶では、表
1に示すようにネック部の耐食性は優れているが、耐衝
撃性は悪かった。
【0134】比較例2 ネックイン−フランジ加工後の熱処理を実施しない点を
除いて比較例1と同様にして、薄肉化深絞り缶を作製し
た。この条件で作製した薄肉深絞り缶は、表1に示すよ
うに耐衝撃性、耐食性共に悪かった。
【0135】比較例3 ネックインーフランジ加工後の熱処理を60℃−30分
に変更する以外は実施例1と同様にして、薄肉化深絞り
缶を作製した。その結果は表1に示すが、この条件で作
製した薄肉化深絞り缶は、耐衝撃性には問題ないが、ネ
ック部の耐食性が悪かった。
【0136】実施例7 素板厚0.245mm、テンパー4、E2.8/2.8
ぶりきから直径142mmの円板を打ち抜き、絞り比
1.6でカップを成形後、再絞り(絞り比1.3)とし
ごき成形(3工程、総リダクション67%)を行い、内
径66mmの絞りしごきカップを成形した。この絞りし
ごきカップを高さが123mmとなるように開口端部の
縁切りを行い、常法に従って、洗浄、処理、乾燥を行っ
た。この絞りしごきカップの内面側にエポキシフェノー
ル系塗料を乾燥塗膜量が200mg/缶となるようにス
プレー塗装し、200℃−2分の焼付を行った。次いで
この絞りしごきカップの外面側壁部に、脂環式エポキシ
系カチオン硬化性紫外線硬化型インキを用いてドライオ
フセット方式で印刷を行い、更に脂環式エポキシ系カチ
オン硬化性紫外線硬化型仕上ワニスを乾燥塗膜量150
mg/缶でウェットオンウェット方式で外面側壁部全面
に塗布し、出力160w/cmのメタルハライドランプ
により紫外線を照射して、インキ層、仕上ワニス層を同
時に硬化させた。
【0137】次いでこの絞りしごきカップの開口端部を
その直径が66mmから57mmになるまでロールネッ
ク方式により縮径した後、フランジ加工を施し、更に2
00℃で30秒間熱処理することで、目的とする350
ml用のしごき缶を得た。尚、エポキシフェノール系塗
膜のTgはDSC法により測定して、101℃であっ
た。
【0138】作製した絞りしごき缶の諸特性を表2に示
すが、外観も良好であり、耐食性、耐衝撃性ともに優れ
た絞りしごき缶が得られた。
【0139】比較例4 印刷、外面塗装を以下に記載の方法に変更する以外は実
施例7と同様にして、絞りしごき缶を作製した。すなわ
ち、ポリエステル系熱硬化型インキを用いてドライオフ
セット方式で印刷を行い、更にアクリルアミノ系熱硬化
型仕上ワニスを乾燥塗膜量が150mg/缶となるよう
にウェットオンウェット方式で外面側壁部全面に塗布し
て後、この絞りしごきカップをガスオーブンに入れ、2
00℃−2分の焼付を行い、インキ層、仕上ワニス層を
硬化させた。尚、エポキシフェノール系塗膜のTgはD
SC法により測定して、104℃であったこの条件で作
製した絞りしごき缶は、表2に結果を示すようにネック
部の耐食性は良好であるが、耐衝撃性に劣っていた。
【0140】比較例5 ネックイン−フランジ加工後の熱処理を実施しない点を
除いて比較例4と同様にして、絞りしごき缶を作製し
た。尚、エポキシフェノール系塗膜のTgはDSC法に
より測定して103℃であった。この条件で作製した絞
りしごき缶は、表2に示すように耐食性、耐衝撃性とも
に劣っていた。
【0141】上記の実施例、比較例によって示したよう
に、紫外線硬化型インキ、紫外線硬化型仕上ワニスを使
用して、印刷、塗装を行い、更にネックイン−フランジ
加工等の一連の加工の最後に内面側有機被覆膜のTg以
上の温度で熱処理を行うことにより、耐食性、耐衝撃性
に優れた印刷シームレス缶を得ることができる。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
【発明の効果】本発明によれば、紫外線硬化印刷を行う
ことにより、内面側有機被覆に無用な熱履歴を与えるこ
となく深絞りカップをネックイン等の加工に付すること
ができるため、これらの加工による内面側有機被覆のダ
メージを最小限に留められ、しかも加工後の熱処理によ
り内面側有機被覆層に加わった歪みを開放できるため、
ストレスクラック等を抑制でき、耐食性に優れた印刷シ
ームレス缶を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の概略の工程図である。
【図2】本発明の印刷工程及び紫外線硬化工程を説明す
るための説明図である。
【図3】本発明に用いるカップの断面構造の一例を示す
断面図である。
【図4】本発明に用いるカップの断面構造の他の例を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 印刷用ターレット 2 硬化用ターレット 3 缶 3a 印刷済みのカップ 3b 印刷硬化済みのカップ 4 印刷ユニット 5 仕上げニス塗布ユニット 6 紫外線光源 7 供給機構 8 排出機構 10 カップ 11 金属基体 12 内面有機被膜 14 外面有機被膜 15a,15b 接着剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B05D 3/06 102 B05D 3/06 102Z 5/00 5/00 K 7/14 7/14 F 7/24 301 7/24 301M B41M 1/28 B41M 1/28 B65D 1/16 B65D 1/16 (72)発明者 湯川 泰洋 神奈川県川崎市中原区下小田中6−7− 27 (72)発明者 神崎 敬三 東京都世田谷区等々力5−14−14 (56)参考文献 特開 平6−31362(JP,A) 特開 平1−95832(JP,A) 特公 昭59−34580(JP,B2) 特公 平2−39335(JP,B2) 実公 平6−16739(JP,Y2) 特公 昭60−16862(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21D 51/26 B05D 3/02 B05D 3/06 B05D 7/14 B41M 1/28 B65D 1/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内面に有機被覆を施した金属製カップ状
    容器の側壁外面に、紫外線硬化型インキ層を形成し紫外
    線硬化させる操作と、紫外線硬化型仕上ワニス層を形成
    し紫外線硬化させる操作とを同時に或いはこの順序に行
    い、印刷金属製カップ状容器の開口端上部をネックイン
    加工、フランジ加工に付した後、熱処理を行うことを特
    徴とする印刷シームレス缶の製造方法。
  2. 【請求項2】 内面側有機被覆が熱可塑性樹脂フィルム
    であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 内面側有機被覆が熱硬化性樹脂フィルム
    であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 仕上ワニスがカチオン硬化型塗料である
    ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 熱処理を内面側有機被覆のガラス転移点
    (Tg)以上の温度で行う請求項1記載の製造方法。
JP26062994A 1994-10-25 1994-10-25 耐食性の向上した印刷シームレス缶の製造方法 Expired - Fee Related JP2760372B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26062994A JP2760372B2 (ja) 1994-10-25 1994-10-25 耐食性の向上した印刷シームレス缶の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26062994A JP2760372B2 (ja) 1994-10-25 1994-10-25 耐食性の向上した印刷シームレス缶の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08117903A JPH08117903A (ja) 1996-05-14
JP2760372B2 true JP2760372B2 (ja) 1998-05-28

Family

ID=17350581

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26062994A Expired - Fee Related JP2760372B2 (ja) 1994-10-25 1994-10-25 耐食性の向上した印刷シームレス缶の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2760372B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7090397B2 (ja) * 2016-11-11 2022-06-24 ユニバーサル製缶株式会社 ネジ付缶の製造方法
WO2023079935A1 (ja) * 2021-11-05 2023-05-11 東洋製罐株式会社 シームレス缶の製造装置及び製造方法
JP7130835B1 (ja) * 2021-12-16 2022-09-05 マツイカガク株式会社 印刷シームレス缶の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08117903A (ja) 1996-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5137762A (en) Laminated metal plate for drawn can, and drawn can prepared therefrom
JP2611737B2 (ja) シームレス缶及びその製造方法
JP3146973B2 (ja) ラミネート板及びこれを用いた製缶方法
US9751283B2 (en) Resin-coated metal sheet for containers
JPH07507525A (ja) 積層金属板
JPH03133523A (ja) 薄肉化絞り缶の製造方法
JP2611738B2 (ja) ポリエステル−金属ラミネート板及びそれを用いたシームレス缶
JP2001146221A (ja) 光輝性に優れた印刷金属製包装体
JPH10236483A (ja) 包装容器
JP2002114934A (ja) 印刷インキ、印刷方法及び印刷包装体
JP2798114B2 (ja) 薄肉化シームレス缶
JP2760372B2 (ja) 耐食性の向上した印刷シームレス缶の製造方法
JPH11170684A (ja) 曲面体への印刷方法及び曲面印刷体
JP3262031B2 (ja) 積層体及びそれを用いた容器
JP2001121648A (ja) アルミニウム製缶材料、缶及び缶蓋
JPH1191031A (ja) 光輝感に優れた缶壁構成積層体及びシームレス缶
JP3899554B2 (ja) シームレス缶及びその製造法
JPH10195281A (ja) 紫外線硬化型樹脂組成物、包装容器用外面塗料並びに外面塗装缶
JPH09103833A (ja) 意匠性に優れた印刷缶の製造方法
JPH0931144A (ja) 紫外線硬化型樹脂組成物及びそれを用いた積層体
JPH1179174A (ja) 印刷シームレス缶及びその製造方法
JPH1176930A (ja) 印刷缶の製造方法
JP3695043B2 (ja) 塗装構造物
JPH1086308A (ja) 積層体及びそれを用いた容器
JP5605012B2 (ja) 容器用樹脂被覆金属板

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees