JP5605012B2 - 容器用樹脂被覆金属板 - Google Patents
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Description
そこで、これらの問題を解決するため、塗装鋼板に替わり、熱可塑性樹脂フィルムを加熱した金属板に積層してなるフィルムラミネート金属板が開発され、現在、食品缶詰素材として工業的に用いられている。
一方、上記(2)のフィルムの表面に、改質剤を含む樹脂をコーティングする方法は、フィルムへの付加機能の変更が容易であるため、食品缶詰の多様なニーズに対応できる。改質剤を含むコーティング液の入ったタンクを、洗浄・交換することで、すばやく対応できるからである。
ポリエステルを主成分とする複層構造の樹脂被覆層を、金属板の少なくとも片面に有する。そして、特定の数平均分子量及びガラス転移温度(以下、Tgと称する)を有する飽和型ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート、特定の数平均分子量を有するエポキシ樹脂を含有する樹脂層を金属板との密着層とし、好ましくはその上層にポリエステルを主成分とする樹脂層を積層することで、優れた深絞り成形性、加工後密着性などの基本特性に加え、レトルト処理環境下での意匠性に関わる性能等、多くの機能を有する容器用樹脂被覆金属板を得ることができる。
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]金属板の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂を主成分とする複層構造の樹脂被覆層(A)を有し、該樹脂被覆層(A)は、前記金属板面と密着し下記(イ)〜(ニ)の成分を含有しポリエステル樹脂を主成分とする樹脂層(a1)を有することを特徴とする容器用樹脂被覆金属板。
(イ)数平均分子量が5000〜30000、ガラス転移温度(Tg)が5〜50℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂
(ロ)数平均分子量が5000〜30000、ガラス転移温度(Tg)が51〜100℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂
(ハ)ポリイソシアネート
(ニ)数平均分子量500〜5000の範囲にあるエポキシ樹脂
[2]前記[1]において、前記樹脂被覆層(A)が、前記樹脂層(a1)と、該樹脂層(a1)の上層に形成されるポリエステルフィルム(a2)からなることを特徴とする容器用樹脂被覆金属板。
[3]前記[1]または[2]に記載の前記樹脂層(a1)を形成する前記(イ)飽和型ポリエステル樹脂、前記(ロ)飽和型ポリエステル樹脂、前記(ハ)ポリイソシアネートおよび前記(ニ)エポキシ樹脂の合計含有量を100重量部としたとき、以下の組成比からなることを特徴とする容器用樹脂被覆金属板。
前記(イ)飽和型ポリエステル樹脂:25〜45重量部
前記(ロ)飽和型ポリエステル樹脂:25〜45重量部
前記(ハ)ポリイソシアネート:10〜30重量部
前記(ニ)エポキシ樹脂:10〜20重量部
[4]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、前記(ハ)ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートより選ばれる1種以上のポリイソシアネートであることを特徴とする容器用樹脂被覆金属板。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかにおいて、前記(ニ)エポキシ樹脂がノボラック型エポキシ樹脂であることを特徴とする容器用樹脂被覆金属板。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかにおいて、前記樹脂層(a1)に、有機顔料を、前記樹脂層(a1)を形成する樹脂組成物100重量部に対し1〜10重量部の割合で含有することを特徴とする容器用樹脂被覆金属板。
[7]前記[2]〜[6]のいずれかにおいて、前記ポリエステルフィルム(a2)が、ポリエステル樹脂の構成単位の93mass%以上がエチレンテレフタレート単位及び/またはエチレンナフタレート単位である二軸延伸ポリエステルフィルムであり、該二軸延伸ポリエステルフィルムは、無機粒子および/または有機粒子を含有することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の容器用樹脂被覆金属板。
本発明の容器用樹脂被覆金属板は、金属板の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂を主成分とする複層構造の樹脂被覆層(A)を有する。そして、この樹脂被覆層(A)は、前記金属板面と密着しポリエステル樹脂を主成分とする樹脂層(a1)を有し、さらに、前記樹脂層(a1)は、下記(イ)〜(ニ)の成分を含有する。
(イ)数平均分子量が5000〜30000、Tgが5〜50℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂
(ロ)数平均分子量が5000〜30000、Tgが51〜100℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂
(ハ)ポリイソシアネート
(ニ)数平均分子量500〜5000の範囲にあるエポキシ樹脂
まず、本発明で用いる金属板について説明する。
本発明の金属板としては、缶用材料として広く使用されているアルミニウム板や軟鋼板等を用いることができる。特に、下層が金属クロム、上層がクロム水酸化物からなる二層皮膜を形成させた表面処理鋼板(以下、TFSと称す)等が最適である。
TFSの金属クロム層、クロム水酸化物層の付着量については、特に限定されないが、加工後密着性、耐食性の観点から、何れもCr換算で、金属クロム層は70〜200mg/m2、クロム水酸化物層は10〜30mg/m2の範囲とすることが望ましい。
樹脂層(a1)は、ポリエステルを主成分とする。
ポリエステルを主成分とする樹脂層とは、ポリエステルを50mass%以上100mass%以下含む樹脂であり、ポリエステル以外の樹脂を含む場合には、エポキシ、ポリオレフィンなどの樹脂を含有することができる。
(イ)数平均分子量が5000〜30000、Tgが5〜50℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂
(ロ)数平均分子量が5000〜30000、Tgが51〜100℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂
(ハ)ポリイソシアネート
(ニ)数平均分子量500〜5000の範囲にあるエポキシ樹脂
成分(イ):数平均分子量が5000〜30000、Tgが5〜50℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂
樹脂層(a1)を形成する、数平均分子量5000〜30000、Tgが5〜50℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂(イ)は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とをエステル化反応させたものであり、少なくとも一方の成分として三官能以上の成分を用いればよい。
多塩基酸成分としては、たとえば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの1種以上のニ塩基酸及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が用いられ、必要に応じて、安息香酸、クロトン酸、などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。
多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1、4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタンジオール、1、4-ヘキサンジオール、1、6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの2価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
樹脂層(a1)を形成する、数平均分子量5000〜30000、Tgが51〜100℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂(ロ)としては、上記成分(イ)と同様の組成であり、市販品としては、例えば、東洋紡績(株)製のバイロン200、226、240、245、270、280、290、296、660、885、バイロンGK250、360、640、880、ユニチカ(株)製エリーテルUE-3200、9200、3201、3203、3350、3370、3380、3600、3980、3660、3690、9600、9800、東亞合成(株)製アロンメルトPES-316、360などが挙げられる。
樹脂層(a1)には、さらに成分(ハ)としてポリイソシアネートを添加する。イソシアネート基は、ポリエステル樹脂の末端の官能基や、基材であるポリエステルフィルムの表面の官能基と、速やかに反応することができる。これにより、熱融着ラミネート法などの、極めて短時間(1秒未満)の熱処理において、イソシアネート架橋反応による高分子化が可能となる。そして、密着層の強度と加工性を大幅に向上させるとともに、基材フィルムとの強固な密着性を得ることができる。適用するポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートが挙げられ、中でも、キシリレンジイソシアネート化合物が、密着性、耐久性などの観点から、最も好適である。
樹脂層(a1)に用いる、数平均分子量500〜5000の範囲にあるエポキシ樹脂(ニ)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
樹脂層(a1)の付着量は、0.1g/m2以上5.0/m2以下の範囲に規定するのが好ましい。0.1g/m2未満では、金属板表面を均一に被覆することができず、膜厚が不均一になる場合がある。改質剤を添加した場合は、改質剤の付着量が変動することとなり、安定した機能を得ることができず、不適となる場合がある。一方、5.0g/m2超とすると、樹脂の凝集力が不十分となり、樹脂層の強度が低下してしまう恐れがある。その結果、製缶加工時に、樹脂層が凝集破壊してフィルムが剥離し、そこを起点に缶胴部が断裂してしまうこととなる。
以上より、付着量は、0.1g/m2以上5.0g/m2以下、好ましくは0.1g/m2以上3.0g/m2以下、更に好ましくは、0.5g/m2以上2.0g/m2である。
更に、樹脂層(a1)に染料、顔料などの着色剤を添加することで、下地の金属板を隠蔽し、樹脂独自の多様な色調を付与できる。容器表面に光輝色を望む場合には、黄色の有機系顔料の使用が好適である。透明性に優れながら着色力が強く、展延性に富むため、容器成形後も光輝色のある外観が得られる。本発明で使用できる有機系顔料を例示すれば、カラーインデックス(C.I.登録の名称)が、ピグメントイエロー12、13、14、16、17、55、81、83、139、180、181、183、191、214のうちの少なくとも1種類を挙げることができる。特に、色調(光輝色)の鮮映性、耐熱水変色性などの観点から、C.I.ピグメントイエロー180、214がより好ましく用いられる。
黄色の有機系顔料の添加量は、樹脂層(a1)を形成する成分(イ)〜(ニ)の合計を100重量部とした場合に、1〜10重量部とすることが好ましい。添加量が1重量部以上であれば、発色に優れるので好適である。また、添加量を10重量部以下に抑えることで、透明度が高くなり光輝性に富んだ色調となる。
樹脂層(a1)には、前記の成分(イ)〜(ニ)及び着色剤に加えて、架橋を促進させる硬化触媒を添加することができる。硬化触媒としては強酸化合物が挙げられ、スルホン酸化合物またはスルホン酸化合物のアミン中和物が適している。スルホン酸化合物の代表例としては、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸などを挙げることができる。添加量としては、樹脂層(a1)を形成する成分(イ)〜(ニ)および着色剤の固形分の合計を100重量部とした場合に、0.5〜5重量部の範囲であることが望ましい。5重量部よりも多い場合は着色剤が過剰に硬化し、加工性が低下するおそれがある。一方、0.5重量部未満の場合には硬化反応が遅いため、耐ブロッキング性が悪化するおそれがある。
樹脂被覆層(A)は、最上層として樹脂層(a1)の上層にポリエステル樹脂を主成分とする樹脂層(a2)を形成することが好ましく、さらに好ましくは樹脂層(a2)としてはポリエステルフィルム(a2)である。
本発明で使用するポリエステルフィルムは、レトルト後の味特性を良好とする点、製缶工程での摩耗粉の発生を抑制する点で、エチレンテレフタレート及び/またはエチレンナフタレートを主たる構成成分とすることが望ましい。エチレンテレフタレート及び/またはエチレンナフタレートを主たる構成成分とするポリエステルとは、ポリエステルの93mass%以上がエチレンテレフタレート及び/またはエチレンナフタレートを構成成分とするポリエステルである。さらに好ましくは95mass%以上であると金属缶に飲料を長期充填しても味特性が良好であるので望ましい。
一方、味特性を損ねない範囲で他のジカルボン酸成分、グリコール成分を共重合してもよく、ジカルボン酸成分としては、例えば、ジフェニルカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。
グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の指環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコール成分は2種以上を併用してもよい。
また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合してもよい。
本発明で用いるポリエステルフィルムは、無機粒子および/または有機粒子を含有することができる。本発明で用いるポリエステルフィルムにおける粒子とは、組成的には有機、無機を問わず特に制限されるものではないが、耐摩耗性、加工性、味特性等の点から体積換算平均粒子径が0.005〜5.0μmであることが必要であり、特に0.01〜3.0μmであることが好ましい。また、耐摩耗性等の点から、下記式に示される相対標準偏差が0.5以下であることが必要であり、さらには0.3以下であることが好ましい。
また、これらの効果を十分に発現させるには、上記からなる粒子を0.005〜10mass%含有することが必要である。
また、有機粒子としては、さまざまな有機高分子粒子を用いることができるが、その種類としては、少なくとも一部がポリエステルに対し不溶の粒子であればいかなる組成の粒子でも構わない。また、このような粒子の素材としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメチルメタクリレート、ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂などの種々のものを使用することができる。中でも、耐熱性が高く、かつ粒度分布の均一な粒子が得られやすいビニル系架橋高分子粒子が特に好ましい。
このような無機粒子および有機高分子粒子は、単独で用いても構わないが、2種以上を併用して用いることが好ましく、粒度分布、粒子強度など物性の異なる粒子を組み合わせることにより、さらに機能性の高いポリエステル樹脂を得ることができる。
本発明で用いるポリエステルフィルムの厚さは、5〜100μmが好ましい。ポリエステルフィルムの厚さが5μm未満では、被覆性が不十分であり耐衝撃性と成形性が確保できない。一方、100μmを超えると、上記特性が飽和して何ら改善効果が得られないばかりか、金属表面への熱融着時に必要となる熱エネルギーが増大するため、経済性を損なってしまう。このような観点から、より好ましいポリエステルフィルムの厚さは8〜50μm、さらに好ましくは10〜25μmである。
一例として、ポリエステル樹脂層(a1)を、ポリエステルフィルム(a2)の表面に形成する方法について述べる。
主成分となるポリエステル樹脂を有機溶媒中に溶解させるとともに、本発明が規定する樹脂層(a1)の添加成分及び任意添加成分を有機溶剤中に溶解または分散させてコーティング液を調製する。このコーティング液を、ポリエステルフィルム(a2)製膜時もしくは製膜後に、フィルム表面に塗布し乾燥することで、樹脂層(a1)を形成する。
また、本発明で規定する架橋剤、硬化触媒、着色剤としてカーボンブラック、アゾ系顔料などの添加剤も、有機溶剤中に分散させて使用することができる。この際、分散剤を併用すると、添加剤の均一性が付与できるため好適である。
樹脂層(a1)をコーティングしたポリエステルフィルム(a2)を樹脂層(a1)が金属板面と密着するように金属板表面にラミネートする。例えば、金属板をフィルムの融点を超える温度で加熱し、その表面に樹脂層(a1)をコーティングしたポリエステルフィルム(a2)を圧着ロール(以下、ラミネートロールと称す)を用いて接触させ熱融着させる方法を用いることができる。なお、このとき、上述したように、樹脂層(a1)をコーティングしたポリエステルフィルム面を圧着ロール(以後ラミネートロールと称す)を用いて金属板に接触させ熱融着させることが必要である。
ラミネート条件については、本発明に規定する樹脂層が得られるように適宜設定される。例えば、ラミネート開始時の温度を少なくともフィルムの融点以上とし、ラミネート時にフィルムの受ける温度履歴として、フィルムの融点以上の温度で接している時間を1〜20msecの範囲とすることが好適である。このようなラミネート条件を達成するためには、高速でのラミネートに加えて、融着中の冷却も必要である。ラミネート時の加圧は特に規定するものではないが、面圧として9.8〜294N/cm2(1〜30kgf/cm2)が好ましい。この値が低すぎると、樹脂界面の到達する温度が融点以上であっても時間が短時間であるため溶融が不十分であり、十分な密着性を得難い。また、加圧が大きいとラミネート金属板の性能上は不都合がないものの、ラミネートロールにかかる力が大きく設備的な強度が必要となり装置の大型化を招くため不経済である。
金属板として、クロムめっき鋼板を用いた。冷間圧延、焼鈍、調質圧延を施した厚さ0.18mm、幅977mmの鋼板に対して、脱脂、酸洗後、クロムめっき処理を行い、クロムめっき鋼板を製造した。クロムめっき処理は、CrO3、F−、SO4 2−を含むクロムめっき浴でクロムめっき、中間リンス後、CrO3、F−を含む化成処理液で電解した。その際、電解条件(電流密度・電気量等)を調整して金属クロム付着量とクロム水酸化物付着量を、Cr換算でそれぞれ120mg/m2、15mg/m2に調整した。
表2に示すグリコール成分と酸成分を表2に示す比率にて重合したポリエステル樹脂に、表2に示す粒子を配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物を常法に従い、乾燥、溶融、押し出して、冷却ドラム上で冷却固化させ、未延伸フィルムを得た後、二軸延伸・熱固定して、二軸配向ポリエステルフィルム(a2)を得た。
次いで、表1に示すポリエステル樹脂を主成分とする樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、有機顔料などの各種添加剤を、表1に示す比にてトルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒中に溶解してコーティング液を作製した。このコーティング液を上記にて得られた二軸配向ポリエステルフィルム(a2)の片側の面に、グラビアロールコーターにより所定の乾燥付着量となるように塗布・乾燥し、乾燥後の樹脂層(a1)の付着量を調整した。乾燥温度は、80〜120℃の範囲とした。
表4に示すグリコール成分と酸成分を表4に示す比率にて重合したポリエステル樹脂に、表4に示す粒子を配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物を常法に従い、乾燥、溶融、押し出して、冷却ドラム上で冷却固化させ、未延伸フィルムを得た後、二軸延伸・熱固定して、二軸配向ポリエステルフィルム(a2)を得た。
次いで、表3に示すポリエステル樹脂を主成分とする樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、有機顔料などの各種添加剤を、表3に示す比にてトルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒中に溶解してコーティング液を作製した。このコーティング液を上記にて得られた二軸配向ポリエステルフィルム(a2)の片側の面に、グラビアロールコーターにより所定の乾燥付着量となるように塗布・乾燥し、乾燥後の樹脂層(a1)の付着量を調整した。乾燥温度は、80〜120℃の範囲とした。
図1に示す金属帯のラミネート装置を用い、前記で得たクロムめっき鋼板1を金属帯加熱装置2で加熱し、ラミネートロール3により、クロムめっき鋼帯1の一方の面に、缶内面側の樹脂被覆層(A)をラミネート(熱融着)するとともに、他方の面に缶外面側の樹脂被覆層(A)をラミネート(熱融着)した。その後、金属帯冷却装置5にて水冷を行い、ポリエステル樹脂被覆金属板を製造した。上記ラミネートロール3は内部水冷式とし、ラミネート中に冷却水を強制循環し、フィルム接着中の冷却を行った。樹脂フィルムを金属板にラミネートする際に、金属板に接する界面のフィルム温度がフィルムの融点以上になる時間を1〜20msecの範囲内にした。
以上より製造された容器用樹脂被覆金属板(本発明例)の片面側の被膜断面構造を図2に示す。
以上より製造された容器用樹脂被覆金属板の特性について、下記の(1)〜(5)の方法によりそれぞれ測定、評価した。
(1)成形性
容器用樹脂被覆金属板にワックスを塗布後、直径200mmの円板を打ち抜き、絞り比2.00で浅絞り缶を得た。次いで、この絞り缶に対し、絞り比2.20で再絞り加工を行った。この後、常法に従いドーミング成形を行った後、トリミングし、次いでネックイン−フランジ加工を施し深絞り缶を成形した。このようにして得た深絞り缶のネックイン部に着目し、フィルムの損傷程度を目視観察した。評価対象は、缶の内外面である。
(評点について)
◎:成形後フィルムに損傷も白化も認められない状態
○:成形後フィルムに損傷が認められないが、部分的に白化が認められる状態
×:缶が破胴し、成形不可能
(2)耐レトルト白化性
上記(1)の成形性評価で成形可能(○以上)であった缶の、底部(缶外面側)を対象とした。缶内に常温の水道水を満たした後、蓋を巻き締めて密閉した。その後、缶底部を下向きにして、蒸気式レトルト殺菌炉の中に配置し、125℃で90分間、レトルト処理を行った。レトルト処理後、缶底部外面の外観変化を目視で観察した。
なお、蒸気式レトルト殺菌炉とは、加熱媒体として、純粋な飽和蒸気を使用し、缶を振動させないで加熱殺菌する炉のことである。
(評点について)
◎:外観変化なし
○:外観にかすかな曇り発生
×:外観が白濁(白化発生)
(3)耐熱水変色性
上記(1)の成形性評価で成形可能(○以上)であった缶の、底部(缶外面側)を対象とした。缶内に常温の水道水を満たした後、蓋を巻き締めて密閉した。その後、缶底部を下向きにして、熱水式レトルト殺菌炉の中に配置し、125℃で90分間、レトルト処理を行った。レトルト処理後、缶底部外面の外観変化を目視で観察した。
なお、熱水式レトルト装置とは、加熱媒体として熱水を使用して、缶を振動させないで加熱殺菌する炉のことである。
(評点について)
◎:外観変化なし
○:外観がわずかに変化(変色発生)
×:外観が変化(顕著な変色が発生)
(4)成形後密着性1
上記(1)の成形性評価で成形可能(○以上)であった缶を対象とした。缶胴部よりピール試験用のサンプル(幅15mm、長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムの一部を剥離する。剥離したフィルムを、剥離された方向とは逆方向(角度:180°)に開き、引張試験機を用いて、引張速度30mm/min.でピール試験を行い、幅15mmあたりの密着力を評価した。評価対象は、缶外面の缶胴部である。
(評点)
◎:10.0(N)/15(mm)以上
○:5.0(N)/15(mm)以上、10.0(N)/15(mm)未満
×:5.0(N)/15(mm)未満
(5)成形後密着性2
上記(1)の成形性評価で成形可能(○以上)であった缶を対象とした。缶の内部に水道水を充填した後、蓋を巻き締めて密閉した。続いて、レトルト殺菌処理を130℃、90分間の条件で実施し、缶胴部よりピール試験用のサンプル(幅15mm、長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムの一部を剥離する。剥離したフィルムを、剥離された方向とは逆方向(角度:180°)に開き、引張試験機を用いて、引張速度30mm/min.でピール試験を行い、幅15mmあたりの密着力を評価した。評価対象は、缶内面の缶胴部である。
(評点)
◎:10.0(N)/15(mm)以上
○:5.0(N)/15(mm)以上、10.0(N)/15(mm)未満
×:5.0(N)/15(mm)未満
以上により得られた結果を表5および表6に示す。
2 金属帯加熱装置
3 ラミネートロール
4a、4b フィルム
5 金属帯冷却装置
Claims (7)
- 金属板の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂を主成分とする複層構造の樹脂被覆層(A)を有し、該樹脂被覆層(A)は、前記金属板面と密着し下記(イ)〜(ニ)の成分を含有しポリエステル樹脂を主成分とする樹脂層(a1)を有することを特徴とする容器用樹脂被覆金属板。
(イ)数平均分子量が5000〜30000、ガラス転移温度(Tg)が5〜50℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂
(ロ)数平均分子量が5000〜30000、ガラス転移温度(Tg)が51〜100℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂
(ハ)ポリイソシアネート
(ニ)数平均分子量500〜5000の範囲にあるエポキシ樹脂 - 前記樹脂被覆層(A)が、前記樹脂層(a1)と、該樹脂層(a1)の上層に形成されるポリエステルフィルム(a2)からなることを特徴とする請求項1に記載の容器用樹脂被覆金属板。
- 前記樹脂層(a1)を形成する前記(イ)飽和型ポリエステル樹脂、前記(ロ)飽和型ポリエステル樹脂、前記(ハ)ポリイソシアネートおよび前記(ニ)エポキシ樹脂の合計含有量を100重量部としたとき、以下の組成比からなることを特徴とする請求項1または2に記載の容器用樹脂被覆金属板。
前記(イ)飽和型ポリエステル樹脂:25〜45重量部
前記(ロ)飽和型ポリエステル樹脂:25〜45重量部
前記(ハ)ポリイソシアネート:10〜30重量部
前記(ニ)エポキシ樹脂:10〜20重量部 - 前記(ハ)ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートより選ばれる1種以上のポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器用樹脂被覆金属板。
- 前記(ニ)エポキシ樹脂がノボラック型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器用樹脂被覆金属板。
- 前記樹脂層(a1)に、有機顔料を、前記樹脂層(a1)を形成する樹脂組成物100重量部に対し1〜10重量部の割合で含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の容器用樹脂被覆金属板。
- 前記ポリエステルフィルム(a2)が、ポリエステル樹脂の構成単位の93mass%以上がエチレンテレフタレート単位及び/またはエチレンナフタレート単位である二軸延伸ポリエステルフィルムであり、該二軸延伸ポリエステルフィルムは、無機粒子および/または有機粒子を含有することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の容器用樹脂被覆金属板。
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