JPH11148065A - 接着剤組成物およびその利用 - Google Patents

接着剤組成物およびその利用

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JPH11148065A
JPH11148065A JP31470797A JP31470797A JPH11148065A JP H11148065 A JPH11148065 A JP H11148065A JP 31470797 A JP31470797 A JP 31470797A JP 31470797 A JP31470797 A JP 31470797A JP H11148065 A JPH11148065 A JP H11148065A
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JP
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epoxy resin
adhesive composition
metal plate
plastic film
resin
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JP31470797A
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English (en)
Inventor
Masahiro Uchida
雅裕 内田
Susumu Otsuka
進 大塚
Takashi Yamada
尊士 山田
Chikashi Ishihara
爾 石原
Kazuto Nakano
和人 中野
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、飲料缶等用の金属板とプラスチッ
クフィルムとを短時間で十分にラミネート可能で、ラミ
ネート後の種々の加工や熱水処理等を経ても優れた接着
力が維持でき、接着剤層の白濁等が生じないプラスチッ
クフィルム被覆金属板を提供し得る接着剤組成物、及び
係る接着剤組成物を塗布して成るラミネート用プラスチ
ックフィルム並びに金属板、さらにはこれらラミネート
用プラスチックフィルムと金属板、ラミネート用金属板
とプラスチックフィルムとを貼り合わせて成るプラスチ
ックフィルム被覆金属板を提供することを目的とする。 【解決手段】 ポリエステル樹脂(A)、芳香族多塩基
酸(b1)と二級の水酸基を有するエポキシ樹脂(b
2)中の該二級の水酸基の一部とをエステル交換反応せ
しめてなる変成エポキシ樹脂(B)、及び硬化剤(C)
を含有することを特徴とする接着剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は接着剤組成物、およ
び該接着剤組成物を塗布してなるラミネート用フィルム
又はラミネート用金属板、並びにラミネート用フィルム
に金属板を貼り合わせて成るプラスチックフィルム被覆
金属板又はプラスチックフィルムにラミネート用金属板
にを貼り合わせて成るプラスチックフィルム被覆金属板
関するものである。さらに詳しくは高加工、熱水処理等
を施しても優れた接着力が維持でき、表面に白濁等の劣
化が生じないプラスチックフィルム被覆金属板を提供し
得る接着剤組成物等に関する。
【0002】
【従来の技術】清涼飲料水等を収容する飲料缶、および
食品を収容する食缶の外面は金属板の腐食を防止し、商
品の美的価値を高め、かつ食品殺菌処理時の熱処理工程
に耐え得る塗料により被覆形成されている。近年これら
塗料による被覆方法に変わって錫メッキ鋼板、ティンフ
リースチール等の金属板に熱可塑性プラスチックフィル
ムをラミネートする被覆方法が検討、実用化されてい
る。これは製缶工程における作業工程の簡素化、有機溶
剤を使用しないことによる作業環境の改善に対して非常
に有効であることは言うまでもなく、缶体自身あるいは
内容物の衛生性も大幅に向上することから、製缶業界に
おいても急速に広まりつつある被覆形成方法である。
【0003】飲料缶等の缶用金属板へのプラスチックフ
ィルムの接着においては、それに用いる接着剤の性能と
して、短時間で接着剤の硬化が行われ、高加工、熱水処
理等を施してもフィルムの剥離等が発生しない優れた接
着力を維持し、フィルム表面および接着層の曇り等、外
観上の変化が生じない耐熱水性が要求される。
【0004】缶体の被覆に用いられる熱可塑性プラスチ
ックフィルムには、成型加工性、耐熱性、耐フレーバー
性などの優れたポリエステル系フィルムを用いることが
一般的である。ポリエステル系フィルムと金属板の接着
は通常、接着剤を介して行われる。係る接着剤として
は、特開平5−43859号公報、特公平8−9216
号公報、特開平8−81653号公報、特開平8−19
9147号公報、特開平6−264042号公報等に、
主成分としてエポキシ樹脂を、硬化剤としてフェノール
系化合物を用いるエポキシ・フェノール系(以下、同様
に主成分・硬化剤を指す)や、エポキシウレタン・アミ
ン系、ポリエステル・エポキシ・イソシアネート系等が
開示されている。
【0005】しかしながら、従来の接着剤のうち主成分
としてエポキシ樹脂のみを使用した場合には、金属表面
への親和力は非常に優れているものの、プラスチックフ
ィルム表面への親和力や接着剤層の柔軟性、可撓性が十
分に得られず、ラミネート(貼り合わせ)後、缶体を製
造する際の絞り加工や折り曲げ加工といった大きな変形
を伴うような加工には十分対応することができなかっ
た。またポリエステル樹脂のみを主成分とした場合に
は、金属表面に対する接着力や接着層の耐熱水性が十分
に得られず、ラミネート(貼り合わせ)後、金属からフ
ィルムが剥離したり、接着剤層の劣化による白濁が生じ
やすかった。さらに上記以外の樹脂成分、例えばウレタ
ン樹脂等を主成分とした場合には、前記性能のいずれか
に、缶用としては致命的な欠陥があった。
【0006】そこで、これら樹脂特有のそれぞれの長所
を活かすべく、複数の樹脂成分を併用することについて
これまでも種々の提案がなされている。しかし、分子量
がある程度大きく、かつ構造が著しく異なる複数の樹脂
を単に混合するのみでは、均一な接着剤層としての性能
を十分にを発揮することが難しく、接着剤層の濁りや缶
用の材料として要求される高加工、熱水処理後の高接着
力及び十分な耐水性が得られなかった。
【0007】そこで、係る問題に対し、複数の樹脂間の
親和性を高めるべく、既に高分子化されたある樹脂の一
部に反応性基を持たせ、当該反応性基と反応し得る基を
有する他の樹脂を前記の樹脂と反応させる方法も提案さ
れている。しかし、この場合には、高分子同士の反応で
あるため分子量の急激な増大を制御することが困難であ
り、工業的に目的とする一定の分子量のポリマーを再現
性よく安定して製造することは困難であった。また、被
着体の種類に応じて樹脂成分の種類や配合を変化させる
必要もあり、係る場合にそれぞれの樹脂間の反応性につ
いて複雑な制御を行う必要があり、配合の自由度が非常
に狭まるといった欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の現状に
鑑みてなされたものであり、その目的とするところはポ
リエステル樹脂特有の柔軟性およびエポキシ樹脂特有の
金属表面への良好な接着性とを兼ね備えた接着剤組成物
を、これらの樹脂を互いに反応させること無く、混合す
るのみで提供することにある。さらに、その最終的な目
的とするところは、飲料缶等用の金属板とプラスチック
フィルムとを短時間で十分にラミネート可能で、ラミネ
ート後の種々の加工や熱水処理等を経ても優れた接着力
が維持でき、接着剤層の白濁等が生じないプラスチック
フィルム被覆金属板を提供し得る接着剤組成物、及び係
る接着剤組成物を塗布して成るラミネート用プラスチッ
クフィルム並びに金属板、さらにはこれらラミネート用
プラスチックフィルムと金属板、ラミネート用金属板と
プラスチックフィルムとを貼り合わせて成るプラスチッ
クフィルム被覆金属板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記した課
題を解決するために、ポリエステル樹脂特有の柔軟性お
よびエポキシ樹脂特有の金属表面への良好な接着性とを
兼ね備えた接着剤組成物を得るべく鋭意研究を重ねた結
果、エポキシ樹脂(b2)中の二級水酸基の一部と芳香
族多塩基酸エステル(b1)とをエステル交換反応によ
り脱アルコール反応せしめ、変成エポキシ樹脂(B)と
することによってポリエステル樹脂(A)との相溶性を
高める得るとともに、エポキシ樹脂由来の金属表面への
良好な接着性を損なうことなくさらにプラスチックフィ
ルムへの親和力を高め得ることを見出し、本発明を完成
した。
【0010】すなわち、第1の発明は、ポリエステル樹
脂(A)、芳香族多塩基酸(b1)と二級の水酸基を有
するエポキシ樹脂(b2)中の該二級の水酸基の一部と
をエステル交換反応せしめてなる変成エポキシ樹脂
(B)、及び硬化剤(C)を含有することを特徴とする
接着剤組成物である。
【0011】第2の発明は、変成エポキシ樹脂(B)
が、エポキシ樹脂(b2)中の二級の水酸基と芳香族多
塩基酸エステル(b1)中のエステル基の当量比を1/
0.05〜1/0.5となるようにしてエステル交換反
応せしめてなることを特徴とする第1の発明記載の接着
剤組成物である。
【0012】第3の発明は、ポリエステル樹脂(A)
が、多価アルコール(a1)と少なくとも芳香族多塩基
酸類(a2)を必須成分として反応せしめてなることを
特徴とする第1又は第2の発明記載の接着剤組成物であ
る。
【0013】第4の発明は、ポリエステル樹脂(A)
が、分子中に少なくとも一つ以上の分岐した構造を有す
ることを特徴とする第1の発明ないし第3の発明いずれ
か記載の接着剤組成物である。
【0014】第5の発明は、硬化剤(C)が、アミノ樹
脂であることを特徴とする第1の発明ないし第4の発明
記載の接着剤組成物である。
【0015】第6の発明は、第1の発明ないし第5の発
明いずれか記載の接着剤組成物をプラスチックフィルム
に塗布してなることを特徴とするラミネート用プラスチ
ックフィルムである。
【0016】第7の発明は、第1の発明ないし第5の発
明いずれか記載の接着剤組成物を金属板に塗布してなる
ことを特徴とするラミネート用金属板である。
【0017】第8の発明は、第6の発明記載のラミネー
ト用プラスチックフィルムに金属板を貼りあせて成るこ
とを特徴とするプラスチックフィルム被覆金属板であ
る。
【0018】第9の発明は、第7の発明記載のラミネー
ト用金属板にプラスチックフィルムを貼りあせて成るこ
とを特徴とするプラスチックフィルム被覆金属板であ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の接着剤組成物は、前記し
たようにポリエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(b
2)中の二級水酸基を芳香族脂肪酸エステル(b1)に
てエステル交換反応せしめてなる変成エポキシ樹脂
(B)、硬化剤(C)の3成分を必須とし、これらを混
合して成るものである。以下、本発明の接着剤組成物お
よびそれを用いたラミネート用プラスチックフィルム、
ラミネート用金属板、更にこれらを張り合わせて成るプ
ラスチック被覆金属板についてより詳細に説明する。
【0020】本発明に用いられるポリエステル樹脂
(A)は、多価アルコール(a1)を多塩基酸と縮合反
応することで得られる。多価アルコール(a1)の例と
しては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
1 、2 ブタンジオール、1 、3 ブタンジオール、1 、4-
ブタンジオール、1 、6-ヘキサンジオール、シクロヘキ
サンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノー
ルAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAの
プロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、これらは単
独で使用しても良いし、複数を併用しても良い。
【0021】前記多塩基酸としては、イソフタル酸、テ
レフタル酸、フタル酸などの芳香族多塩基酸およびその
無水物(以下、芳香族多塩基酸類(a2)という)、テ
トラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などの脂環
式多塩基酸及びその無水物、コハク酸、アジピン酸、ア
ゼラアイン酸、セバシン酸などの脂肪族多塩基酸および
その無水物、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不
飽和脂肪酸およびその無水物、あるいはこれら多塩基酸
類から誘導されるダイマー酸、さらには上記多塩基酸の
エステル類が挙げられ、耐熱水性に優れる、即ち熱水処
理をした際に接着剤層の外観が変化し難いという点で芳
香族多塩基酸類(a2)が好ましい。また、これら多塩
基酸は単独で使用しても良いし、複数を併用しても良
く、例えば多塩基酸の一つとしてトリメリット酸、無水
トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸
等の3価以上の官能基を有する多塩基酸を用いた場合に
は、分子中に分岐構造を有するポリエステル樹脂(A)
が得られる。分岐構造を呈することによって分子鎖が絡
み合い凝集力が増し、高加工時の接着力に優れるので、
3価以上の官能基を有する多塩基酸を併用することも好
ましい。
【0022】多価アルコール(a1)と多塩基酸とは、
多価アルコール(a1)の水酸基と多塩基酸のカルボキ
シル基の当量比(水酸基/カルボキシル基)を0.7/
1〜1.5/1の範囲で反応せしめることが好ましく、
1.05/1〜1.5/1の範囲で反応せしめることが
より好ましい。水酸基の当量比が0.7に満たない場合
にはポリエステル樹脂(A)中に未反応のカルボキシル
基が残存し、接着剤組成物に白濁や析出等の不具合が発
生する場合があり、また水酸基の当量比が1.5を超え
る場合には、分子量が小さくなり、後述するように得ら
れる接着剤層の凝集力が小さくなり物性低下の原因とな
る恐れがある。
【0023】ポリエステル樹脂(A)は、従来から公知
の製造方法で得ることができる。例えば反応槽中に多塩
基酸と多価アルコール(a1)を仕込み、加熱、撹拌し
ながら180〜250℃にて反応することによりポリエ
ステル樹脂(A)を得る。
【0024】本発明に用いられるポリエステル樹脂
(A)の重量平均分子量は、3000〜100000の
範囲にあることが好ましく、5000〜80000の範
囲にあることがより望ましい。重量平均分子量が前記の
範囲より小さい場合には、これを主成分の1つとして含
有する接着剤組成物から形成される接着剤層は凝集力の
不足から高温でラミネートした際にフィルム表面にシワ
が発生し易い。一方、重量平均分子量が前記の範囲より
大きい場合には、接着剤組成物の粘度が高くなり、均一
塗工が難しくなり塗りムラを生じやすく、表面の平滑性
を損ない易い。
【0025】本発明に用いられる変成エポキシ樹脂
(B)は、二級の水酸基を有するエポキシ樹脂(b2)
中の二級の水酸基と芳香族多塩基酸エステル(b1)と
をエステル交換反応させることで得られる。エポキシ樹
脂(b2)を変成する際に芳香族多塩基酸ではなく芳香
族多塩基酸エステル(b1)を用いるのは以下のような
理由による。 芳香族多塩基酸を用いた場合に、反応により全ての
カルボキシル基が消失せず、得られる変性エポキシ樹脂
中に親水基であるカルボキシル基が残存すると、この変
性エポキシ樹脂を含有する接着剤層の耐水性が低下す
る。また、一度はエポキシ基とカルボキシル基との反応
を完全に行い全てのカルボキシル基が消失した場合にお
いても、長期にわたる保存期間中に加水分解が生じ、同
様に接着剤層の耐水性が低下する。一方、カルボキシル
基を分子中に有しない芳香族多塩基酸エステル(b1)
を用いると接着剤層の耐水性が低下することはない。
【0026】 さらに芳香族多塩基酸エステル(b
1)ではなく芳香族多塩基酸を用いた場合には、芳香族
多塩基酸のカルボキシル基はエポキシ樹脂(b2)中の
二級の水酸基よりもエポキシ基との反応性に富むため、
係るカルボキシル基がエポキシ基と優先的に反応し、変
成時にエポキシ基の多くが消費されてしまい、接着剤組
成物が硬化する際に反応性基となるべきエポキシ基が不
足し、接着剤組成物の硬化性が低下するばかりでなく、
接着剤としての機能を十分には果たし得なくなる。
【0027】 本発明において、エポキシ樹脂(b
2)を変性する目的は、ポリエステル樹脂(A)との相
溶性を高めることにある。この時変成剤として芳香族多
塩基酸エステル(b1)を用いることによって、エポキ
シ樹脂(b2)分子の側鎖に位置する水酸基が反応す
る。側鎖が変成を受けると、主鎖が変成を受ける場合に
比して、変成後の変成剤の分子運動の自由度が高くなる
ため、ポリエステル樹脂(A)との相溶性がより高くな
り、その結果より均一な接着剤層を形成し得ることとな
り、接着力が大幅に向上するという効果を奏する。一
方、芳香族多塩基酸エステル(b1)ではなく芳香族多
塩基酸によってエポキシ樹脂(b2)を変成する場合
は、前記のようにエポキシ樹脂(b2)の側鎖の水酸基
ではなく主鎖のエポキシ基が反応するため、上記のよう
な効果は期待できない。
【0028】前記変成エポキシ樹脂(B)の原料となる
エポキシ樹脂(b2)としては、接着剤層が金属への密
着性に優れ、耐熱水性に優れるという観点からビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂が好適である。また分子内に少
なくとも1つ以上の二級の水酸基を有すること、さらに
は接着剤組成物中において前記のポリエステル樹脂
(A)との相溶性を良好にすべく、数平均分子量(以
下、Mnと称する)は900〜5000であることが好
ましく、900〜3000であることがより望ましい。
Mnが前記範囲より小さい、即ち分子内の二級の水酸基
数が少ない場合には接着剤層の金属への密着性が低下す
る傾向にある。一方、Mnが前記範囲より大きい場合に
は、ポリエステル樹脂(A)との相溶性が不足し均一な
接着剤組成物や接着剤層が得られにくく、接着力の低下
を生じる恐れがある。尚、エポキシ樹脂(b2)は単独
で使用しても良いし、複数を併用しても良い。
【0029】本発明においてエポキシ樹脂(b2)を変
成するために用いられる芳香族多塩基酸エステル(b
1)としては、一般にポリエステル樹脂(A)の原料と
なり得るイソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸等
の芳香族多塩基酸のカルボキシル基の一部、または全部
をアルコールでエステル化されたものが挙げられ、低級
アルコールでエステル化されたものが好ましい。係る低
級アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール等が挙げられる。尚、芳香族多塩基
酸エステル(b1)は単独で使用しても良いし、複数を
併用しても良い。
【0030】これらのエポキシ樹脂(b2)と芳香族多
塩基酸エステル(b1)とは、エポキシ樹脂(b2)中
の二級の水酸基と芳香族多塩基酸エステル(b1)中の
エステル基の当量比(水酸基/エステル基)を1/0.
05〜1/0.5の範囲で反応せしめることが好まし
い。水酸基に比してエステル基の当量比が0.05より
も低い場合には、ポリエステル樹脂(A)と変成エポキ
シ樹脂(B)との相溶性があまり良くないので均一な接
着剤組成物や接着剤層が得られにくく、接着剤層の白濁
などを生じ易く、また変成エポキシ樹脂(B)のプラス
チックフィルムへの親和力が不足しがちになるため接着
力も低下し易くなる。一方、水酸基に比してエステル基
の当量比が0.5よりも高い場合には、エステル交換よ
りエポキシ樹脂間の架橋反応が起こり易く、高分子量化
し易くなるため、これを含有する接着剤組成物の塗工性
が低下する傾向にある。
【0031】変成エポキシ樹脂(B)は、公知の製造方
法で得ることができる。例えば反応槽中にエポキシ樹脂
(b2)と芳香族多塩基酸エステル(b1)及び亜鉛化
合物等のエステル交換触媒を仕込み、加熱、撹拌しなが
ら150〜200℃にて反応し、アルコールを留去し、
変性エポキシ樹脂(B)を得ればよい。
【0032】本発明に用いられる変成エポキシ樹脂
(B)のMnは1000〜10000であることが好ま
しく、1000〜3500の範囲にあることがより望ま
しい。Mnが前記の範囲より小さい場合には、エポキシ
樹脂(b2)の変成が不十分であり、ポリエステル樹脂
(A)と変成エポキシ樹脂(B)との相溶性があまり良
くないので均一な接着剤組成物や接着剤層が得られにく
く、接着剤層の白濁などを生じ易く、また変成エポキシ
樹脂(B)のプラスチックフィルムへの親和力が不足し
がちになるため接着力も低下し易くなる。一方、エポキ
シ樹脂(b2)が多塩基酸エステル(b1)を介して架
橋することとによって分子量が増大し、Mnが前記の範
囲より大きくなると、ポリエステル樹脂(A)との相溶
性が低下し、上述と同様の傾向となる。
【0033】本発明に用いられる硬化剤(C)は、常温
においては不活性であり、加熱されることにより活性が
生じ、自己架橋反応及び他の樹脂成分の官能基と反応す
ることで硬化する、いわゆる熱硬化型の硬化剤が好適で
ある。硬化剤(C)としては、例えば尿素樹脂、メラミ
ン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのアミノ樹脂、レゾ
ール型、ノボラック型に代表されるようなフェノール樹
脂、加熱によりイソシアネート基が再生されるブロック
イソシアネートなどが挙げられれ、これらは単独でも使
用でき、また複数を併用することもできる。
【0034】また、前記硬化剤(C)のうちアミノ樹脂
は、分子構造や反応性基の数、種類が非常に豊富であ
り、これらを適宜選択することによって接着剤組成物の
硬化性や、接着剤層の種々の物性を容易に制御し得ると
いう点で好ましいものであるばかりでなく、その強固な
架橋構造により、高い凝集力を有する接着剤層を得るこ
とができる点からも好ましく、中でもメラミン樹脂は、
その高い反応性から短時間の硬化・焼き付けによって、
高い接着強度と耐水性とが得られる点からも好ましい。
【0035】本発明においては前記硬化剤(C)に対し
て、硬化反応を促進する目的で硬化剤の種類に適した硬
化触媒を適宜配合し使用することができる。硬化剤と硬
化触媒の組み合わせ例としてはアミノ樹脂にはスルホン
酸等の強酸触媒、フェノール樹脂には燐酸等の弱酸触
媒、ブロックイソシアネートにはスズ化合物などの金属
系触媒などが挙げられる。
【0036】ポリエステル樹脂(A)の含有量は、
(A)+(B)+(C)の合計量100重量部に中に2
0〜80重量部であることが好ましく、40〜70重量
部部であることがより好ましい。ポリエステル樹脂
(A)の含有量が20重量部よりも少ない場合には、プ
ラスチックフィルム表面に対する密着力の不足や接着剤
層の柔軟性の不足により、ラミネート後の高加工時に接
着不良が生じる場合がある。一方、80重量部よりも多
い場合には、熱水処理時の耐水性が不足し接着剤層に濁
りを生じたり、プラスチックフィルム表面の光沢が不足
したりといった外観不良が生じる場合がある。
【0037】変成エポキシ樹脂(B)の含有量は、
(A)+(B)+(C)の合計量100重量部中に5〜
50重量部であることが好ましく、10〜30部である
ことがより好ましい。変成エポキシ樹脂(B)の含有量
が5重量部よりも少ない場合には、金属表面への親和力
不足による接着力の低下や、熱水処理時における耐水性
の不足による接着層の濁り等が生じる場合がある。一
方、50重量部よりも多い場合には、接着剤層の柔軟性
が不足することによって、ラミネート後の高加工時に接
着不良が生じる場合がある。
【0038】硬化剤(C)の含有量は、(A)+(B)
+(C)の合計量100重量部中に2〜50重量部であ
ることが好ましく、5〜20部とすることがより望まし
い。硬化剤(C)が5重量部よりも少ない場合には、硬
化速度の低下や接着剤層における架橋密度の不足による
接着力の低下が生じる場合がある。一方、20重量部よ
り多い場合には架橋密度が高すぎることにより、接着剤
層の柔軟性が損なわれ、高加工時における接着不良が生
じる場合がある。
【0039】本発明の接着剤組成物は、ポリエステル樹
脂(A)、変成エポキシ樹脂(B)、硬化剤(C)の3
成分を必須とし、フィルムまたは金属板の表面に塗布し
て使用する際に、より平滑で均一な接着剤層を形成する
目的で、有機溶剤などを添加して適宜粘度を調整するこ
とができる。有機溶剤を含有する接着剤組成物の固形分
は、塗布方法によっても異なるが、概ね5〜80重量%
であることが好ましく、15〜50重量%の範囲である
ことがより好ましい。前記範囲よりも固形分が低い場合
には、乾燥時により多くの有機溶剤ガスを揮発すること
となり、排ガス処理等の観点から好ましくない。一方、
前記範囲よりも固形分が高い場合には塗工時に接着剤組
成物の流動性が低下し、平滑で均一な接着剤層の形成が
困難となる場合がある。
【0040】本発明で用いることのできる有機溶剤とし
ては、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン等のケ
トン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢
酸エチル等のエステル系溶剤、エタノール、プロパノー
ル等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これらは各樹
脂成分に対する溶解性や塗布の条件等に合わせて適宜選
択すればよく、単独あるいは2つ以上を混合して使用す
ることができる。
【0041】本発明の接着剤組成物には、その用途や使
用条件に合わせて、可塑剤、有機顔料、酸化チタン、カ
ーボンブラック、シリカ等の無機顔料、ブロッキング防
止、応力調整剤等を適宜単独で、あるいは組み合わせて
配合することができる。また、被着体の種類によって接
着表面に対する親和力を向上させる目的で上記(A)
(B)(C)以外の樹脂を配合することができる。例え
ばグラビアインキで裏刷り印刷されたプラスチックフィ
ルムを使用する場合、プラスチックフィルムと金属板と
は印刷インキ層を介して接着されるので、このときには
グラビアインキの樹脂成分であるウレタン樹脂を混合す
ることが有効である。
【0042】本発明のラミネート用プラスチックフィル
ム又は金属板は、上述の本発明の接着剤組成物をプラス
チックフィルム又は金属板のそれぞれ少なくとも片方の
面に塗布し、必要に応じ乾燥することによってプラスチ
ックフィルム又は金属板のそれぞれ少なくとも片方の面
に加熱等することによって接着性を発現し得る層を形成
したものである。
【0043】本発明の接着剤組成物を塗布するプラスチ
ックフィルムとしては、ポリオレフィンフィルム、ポリ
プロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等が挙げら
れ、飲料等を収容する缶を形成する用途には機械強度や
衛生性の観点から、二軸配向ポリエチレンテレフタレー
トフィルムが特に好適である。また金属板との接着力を
更に向上させるべく、前記フィルムに対しコロナ放電処
理等の表面処理を施すこともできる。
【0044】本発明の接着剤組成物を塗布する金属板と
しては、シート状あるいはコイル状のスズメッキ鋼鈑、
ニッケルメッキ鋼鈑、クロム処理鋼鈑、極薄スズメッキ
鋼鈑等が挙げられる。
【0045】フィルムあるいは金属板へ接着剤組成物を
塗布する方法としては、一般的な方法が挙げられる。例
えばロールコーター、グラビアコーター、ナイフエッジ
コーター、ダイコーター、スプレーコーター等を用いて
塗布すればよい。フィルム又は金属板の種類や、ラミネ
ート用プラスチックフィルム又は金属板を用いて形成す
るプラスチックフィルム被覆金属板の使用用途によって
も異なるが、フィルムあるいは金属板上に形成する層の
厚みは、乾燥状態で0.5〜15μmであることが望ま
しい。加熱等によって接着性を発現し得る層を形成した
ラミネート用プラスチックフィルム又は金属板は、必要
に応じて巻き取りあるいは積み重ねた状態で一時保管す
ることができる。
【0046】本発明のプラスチックフィルム被覆金属板
は、上述のようにして得られたラミネート用プラスチッ
クフィルムを金属板と、又は上述のようにして得られた
ラミネート用金属板をプラスチックフィルムと、あるい
はラミネート用プラスチックフィルムとラミネート用金
属板を貼り合わせたものである。例えば、ラミネート用
プラスチックフィルム上に形成された加熱等によって接
着性を発現し得る層を金属板と接触するように重ね合わ
せつつ、予め加熱された金属ロールとゴムロール間を通
過させながら加熱圧着することによってプラスチックフ
ィルムと金属板とを貼り合わせる(以下、熱ラミネート
という)ことができる。また、熱ラミネートされたプラ
スチックフィルム被覆金属板(以下、ラミネート板とい
う)は熱ラミネート時に与えられる熱によって十分な性
能を発揮するが、更に加熱処理をすることにより、その
接着力と耐熱水性をより向上させることができる。加熱
処理には、製缶工程における溶接時の熱、あるいは缶体
の保護と外観の美的価値の向上等を目的として塗布され
る各種塗料の焼き付け時の熱などが利用できる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の接着剤について、実施例及び
比較例に基づいて更に詳細な説明をする。 〔実施例1〕 ポリエステル樹脂(A−1)の合成 ネオペンチルグリコール374.4g(6モル)、エチ
レングリコール223.2g(6モル)、イソフタル酸
498.0g(5モル)、ジメチルテレフタレート46
5.6g(4モル)、セバシン酸242.4g(2モ
ル)、酢酸亜鉛2水和物0.9gを分留装置を備えた容
量3リットルのフラスコに仕込み、窒素雰囲気下で撹拌
しながら加熱した。縮合およびエステル交換反応に伴い
生成する、水およびメタノールを分留し、適宜樹脂酸価
を測定しながら反応の進行度合いを管理し、最終的に2
50℃まで昇温させ、重量平均分子量30000、樹脂
酸価1.0のポリエステル樹脂(A−1)を得た。
【0048】変成エポキシ樹脂(B−1)の合成 エポキシ樹脂:EP−1(商品名:エピコート100
1、油化シェル(株)製、数平均分子量900、エポキ
シ当量450)540g(6モル)、ジメチルテレフタ
レート19.4g(1モル)、酢酸亜鉛2水和物0.5
5gを分留装置を備えた1リットルフラスコに仕込み、
窒素雰囲気下で撹拌しながらエステル交換反応に伴い生
成するメタノールを分留し、160℃まで昇温し、適宜
サンプリングをした樹脂の分子量を高速液体クロマトグ
ラフィーにより測定することで管理し、数平均分子量1
080、エポキシ当量460の変成エポキシ樹脂(B−
1)を得た。
【0049】接着剤組成物(D−1)の調整 ポリエステル樹脂(A−1):65重量部、変成エポキ
シ樹脂(B−1):15重量部、硬化剤としてアルキル
エーテル化メラミン、商品名:サイメル303、三井サ
イテック(株)製(以下、硬化剤(C−1)という):
20重量部を混合、硬化触媒としてパラトルエンスルホ
ン酸、商品名:キャタリスト4040、三井サイテック
(株)製(以下触媒(CAT−1という)を(A−1)
(B−1)(C−1)の合計量100重量部に対して
0.5重量部添加し、メチルエチルケトンおよびトルオ
ールの比率が1:1である希釈溶剤を添加し、固形分を
20%に調整し、接着剤組成物(D−1)を得た。
【0050】ラミネート板の作成 乾燥後の膜厚が2μmとなるように接着剤組成物(D−
1)をバーコーターで厚さ12μmのPETフィルム
(商品名:テトロン、帝人(株)製)表面に塗布し、1
20℃の雰囲気中で30秒間乾燥させた。次いでこのフ
ィルムをロール温度200℃、ロール圧力5Kg/cm2
ラミネート速度1m/分の条件でクロム処理鋼鈑に圧着
した後、200℃の雰囲気中で1分間加熱処理をし、ラ
ミネート板を得た。
【0051】〔実施例2〕硬化剤(C−1)の代わり
に、硬化剤(C−2)(メチロール化メラミン、商品
名:サイメル370、三井サイテック(株)製)を用い
た以外は実施例1に準じて接着剤組成物(D−2)およ
びラミネート板を得た。
【0052】〔実施例3〕硬化剤(C−1)の代わり
に、硬化剤(C−3)(イミノ基型メラミン、商品名:
サイメル325、三井サイテック(株)製)を用いた以
外は実施例1に準じて接着剤組成物(D−3)およびラ
ミネート板を得た。
【0053】〔実施例4〕硬化剤(C−1)の代わり
に、硬化剤(C−4)(アルキルエーテル型ベンゾグア
ナミン、商品名:サイメル1123、三井サイテック
(株)製)を用いた以外は実施例1に準じて接着剤組成
物(D−4)およびラミネート板を得た。
【0054】〔実施例5〕原料のエポキシ樹脂および芳
香族多塩基酸エステルをそれぞれエピコート1007
(エポキシ樹脂、油化シェル(株)製、数平均分子量2
900、エポキシ当量1750、以下エポキシ樹脂EP
−2という)を6モル、ジメチルテレフタレートを6モ
ルとした以外は実施例1に準じて合成を行い、数平均分
子量3500、エポキシ当量1800の変成エポキシ樹
脂(B−2)を得、変成エポキシ樹脂(B−1)の代わ
りに変成エポキシ樹脂(B−2)を使用した以外は実施
例1に準じて接着剤組成物(D−5)およびラミネート
板を得た。
【0055】〔実施例6〕原料の比率をネオペンチルグ
リコール(6モル)、エチレングリコール(5モル)、
トリメチロールプロパン(0.5モル)、コハク酸
(3.5モル)、セバシン酸(7モル)とした以外は実
施例1に準じて合成を行い、重量平均分子量2500
0、酸価1.0のポリエステル樹脂(A−2)を得、ポ
リエステル樹脂(A−1)の代わりにポリエステル樹脂
(A−2)を用いた以外は実施例1に準じて接着剤組成
物(D−6)およびラミネート板を得た。
【0056】〔実施例7〕 ポリエステル樹脂の合成 原料の比率をネオペンチルグリコール(6モル)、エチ
レングリコール(6モル)、イソフタル酸(4.5モ
ル)、セバシン酸(1.5モル)、ジメチルテレフタレ
ート(4モル)、無水ピロメリット酸(0.5モル)と
した以外は実施例1に準じて合成を行い、重量平均分子
量35000、酸価5.0のポリエステル樹脂(A−
3)を得、ポリエステル樹脂(A−1)の代わりにポリ
エステル樹脂(A−3)を用いた以外は実施例1に準じ
て接着剤組成物(D−7)およびラミネート板を得た。
【0057】〔実施例8〕 接着剤組成物(D−8)の配合 接着剤の配合においてポリエステル樹脂(A−1):6
5重量部、変成エポキシ樹脂(B−1):15重量部、
硬化剤(CC−1)(ブロックイソシアネート、商品
名:コロネート2507、日本ポリウレタン(株)
製):20重量部を混合し、合計を100重量部とした
後、触媒として(CAT−2)(スズ化合物活性触媒、
商品名:スタンBL、三共有機合成(株)製)を(A−
1)(B−1)(CC−1)の合計100重量部に対し
0.2重量部添加し、以下実施例1と同様にして接着剤
組成物接着剤組成物(D−8)およびラミネート板を得
た。
【0058】〔比較例1〕ジメチルテレフタレート(1
モル)の代わりに、セバシン酸20.2g(1モル)を
用いた以外は実施例1と同様にして数平均分子量270
0、エポキシ当量1350の変成エポキシ樹脂(B−
3)を得、変成エポキシ樹脂(B−1)の代わりに変成
エポキシ樹脂(B−3)を用いた以外は実施例1に準じ
て接着剤組成物(D−9)およびラミネート板を得た。
【0059】〔比較例2〕変成エポキシ樹脂(B−
1):15重量部の代わりに、エポキシ樹脂EP−2
(商品名:エピコート1007、油化シェル(株)
製):15重量部を用いた以外は実施例1に準じて接着
剤組成物(D−10)およびラミネート板を得た。
【0060】〔比較例3〕ポリエステル樹脂(A−
1):80重量部、硬化剤(C−1):20重量部を混
合し、合計を100重量部とした以外は、実施例1に準
じて接着剤組成物(D−11)およびラミネート板を得
た。
【0061】〔比較例4〕 接着剤組成物の配合 変性エポキシ樹脂(B−2):80重量部、硬化剤(C
−1):20重量部を混合し、合計を100重量部とし
た以外は、実施例1に準じて接着剤組成物(D−12)
およびラミネート板を得た。
【0062】実施例1〜実施例8、比較例1〜4につい
て、接着剤組成物の樹脂成分配合比率を表1に、性能評
価の結果を表2に示す。評価の項目、方法および基準は
以下の各項に示すとおりである。また、実施例1〜8、
比較例1〜4の接着剤組成物は全て実施例1に準じた方
法で得られたラミネート板の状態で評価を行った。尚、
以下の各評価項目においては評点4点以上を合格とす
る。
【0063】レトルト処理前の評価 :クロスカットエ
リクセン加工 ラミネート板の表面に、カッターナイフでクロスカット
を施し、エリクセン試験機(JISB7729)で高さ
8mmの円錐状に加工し、加工時における接着力を評価
した。 評価の基準:評点は以下の5段階とした。 5点:剥離は見られない。 4点:剥離は見られない。ごく僅かに気泡が見られる。 3点:僅かに剥離が見られる。 2点:加工面積の50%程度に剥離が見られる。 1点:全面が剥離している
【0064】レトルト処理前の評価 :深絞り性試験 深絞り加工機を用いて直径30mm、絞り高さ10m
m、絞り比1.6のキャップ状に加工を行い、深絞り時
における接着力について評価を行った。評価基準は前記
と同じ5段階とした。
【0065】レトルト処理前の評価 :ラミネート板の
外観評価 ラミネート物の外観について、フィルム表面の皺、接着
層の透明度の目視評価を行った。評価の基準:評点は以
下の五段階とした。 5点:表面の皺、気泡は全く無く、接着層は完全に透明
である。 4点:表面の皺、気泡はないが、接着層にごく僅かな曇
りがある。 3点:表面に僅かな気泡が見られ、接着面に濁りが見ら
れる。 2点:表面に皺が生じ、接着面が白濁している。 1点:全面に大きな皺が生じ、接着面が白濁している。
【0066】レトルト処理後の評価 :深絞り性試験 接着性の評価で用いたのと同様の深絞り加工品を加圧レ
トルト装置により130℃で30分間高圧蒸気にてレト
ルト処理を行い、レトルト後の接着力を評価した。評価
基準は前記と同じ5段階とした。
【0067】レトルト処理後の評価 :ラミネート板の
外観評価 レトルト処理後の接着層の透明を観察し、耐熱水性の評
価を行った。 評価基準:評点は以下の5段階とした。 5点:外観の変化は見られない 4点:ごく僅かに変化が見られる 3点:接着層に僅かな白濁が見られる。 2点:接着層に白濁が見られる。 1点:接着層に白濁が見られたり、フィルム表面の光沢
が失われる。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】表2に示すように、実施例1〜8で得た接
着剤組成物を用いて得たラミネートフィルム被覆金属板
は、加工性・接着性に優れ、さらにレトルト処理後もそ
の接着力が低下することなく、外観も良好である。
【0071】一方、比較例1で得られた接着剤組成物の
場合は、ポリエステル樹脂(A−1)と変成エポキシ樹
脂(B−3)との相溶性が不十分であり、さらに残留す
るカルボキシル基により接着剤層の耐水性が低下してい
るためか、ラミネートフィルム被覆金属板のエリクセン
加工時の接着力が不十分であり、レトルト処理後の接着
力も不十分である。比較例2で得られた接着剤組成物の
場合は、ラミネートフィルム被覆金属板の接着剤層の濁
り、および接着力が不足する。これはポリエステル樹脂
とエポキシ樹脂の相溶性の不足に起因すると考えらる。
また、比較例3で得られた接着剤組成物の場合は、耐水
性と金属板表面への密着性が不足しているためか、ラミ
ネートフィルム被覆金属板のレトルト処理後にフィルム
の剥離や接着剤層と金属板の層間に濁り等が見られる。
更に比較例4で得られた接着剤組成物の場合は、ラミネ
ートフィルム被覆金属板の接着剤層の柔軟性が不足して
いるためか、深絞り加工時の接着力が著しく劣る。即
ち、比較例1〜4で得られた接着剤組成物を用いて得た
ラミネートフィルム被覆金属板は、製缶用途、特にレト
ルト殺菌工程を必須とする食缶、飲料缶には適用するこ
とは不適当である。
【0072】
【発明の効果】本発明により、飲料缶等用の金属板とプ
ラスチックフィルムとを短時間で十分にラミネート可能
で、ラミネート後の種々の加工や熱水処理等を経ても優
れた接着力が維持でき、接着剤層の白濁等が生じないプ
ラスチックフィルム被覆金属板を提供し得る接着剤組成
物、即ちポリエステル樹脂特有の柔軟性およびエポキシ
樹脂特有の金属表面への良好な接着性とを兼ね備えた接
着剤組成物を、これらの樹脂を互いに反応させること無
く、簡便に混合するのみで安定して提供することができ
るようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石原 爾 東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内 (72)発明者 中野 和人 東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル樹脂(A)、芳香族多塩基
    酸エステル(b1)と二級の水酸基を有するエポキシ樹
    脂(b2)中の該二級の水酸基の一部とをエステル交換
    反応せしめてなる変成エポキシ樹脂(B)、及び硬化剤
    (C)を含有することを特徴とする接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 変成エポキシ樹脂(B)が、エポキシ樹
    脂(b2)中の二級の水酸基と芳香族多塩基酸エステル
    (b1)中のエステル基の当量比を1/0.05〜1/
    0.5となるようにしてエステル交換反応せしめてなる
    ことを特徴とする請求項1記載の接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 ポリエステル樹脂(A)が、多価アルコ
    ール(a1)と少なくとも芳香族多塩基酸類(a2)を
    必須成分として反応せしめてなることを特徴とする請求
    項1または2記載の接着剤組成物。
  4. 【請求項4】 ポリエステル樹脂(A)が、分子中に少
    なくとも一つ以上の分岐した構造を有することを特徴と
    する請求項1ないし3いずれか記載の接着剤組成物。
  5. 【請求項5】 硬化剤(C)が、アミノ樹脂であること
    を特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の接着剤組
    成物。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5記載いずれか記載の接
    着剤組成物をプラスチックフィルムに塗布してなること
    を特徴とするラミネート用フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5いずれか記載の接着剤
    組成物を金属板に塗布してなることを特徴とするラミネ
    ート用金属板。
  8. 【請求項8】 請求項6記載のラミネート用フィルムに
    金属板を貼り合わせてなることを特徴とするプラスチッ
    クフィルム被覆金属板。
  9. 【請求項9】 請求項7記載のラミネート用金属板にプ
    ラスチックフィルムを貼り合わせてなることを特徴とす
    るプラスチックフィルム被覆金属板。
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