JP4529378B2 - 接着剤及び該接着剤を用いてなるプラスチックフィルムラミネート鋼板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤及び前記接着剤を用いてなるプラスチックフィルムラミネート鋼板に関する。本発明の接着剤を用いると、プラスチックフィルムと鋼板との積層体(ラミネート)を得ることができる。
【0002】
【従来の技術】
印刷やエンボス加工を表面に施したプラスチックフィルムを鋼板に接着させたラミネート鋼板は、家電ケースや住宅の内外装建材等に使用され、従来の金属塗装と比べ意匠性や高級感を高めた素材として利用されている。これらラミネート鋼板は、一般に鋼板に接着剤を塗工し、プラスチックフィルムを貼り合せて製造されている。
このプラスチックフィルム用材料としては、例えば、ポリ塩化ビニルが従来から広く普及して使用されてきた。しかしながら、ポリ塩化ビニルは、周知のとおり、塩素を含有するので環境問題の一つになっている。また、そのポリ塩化ビニルラミネート鋼板と同等の性能を有する代替素材として、ポリオレフィンフィルムを使用したラミネート鋼板も知られている。
ポリ塩化ビニルフィルムを鋼板にラミネートする場合に用いる従来の接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂及びアミノ樹脂系の接着剤や、ポリエステルポリオール及びポリイソシアネート樹脂系接着剤が知られており、一液型や二液型のタイプがある。これらを用いてポリ塩化ビニルフィルムを鋼板にラミネートする場合には、必要とされる物性が一般的には達成されている。しかしながら、ポリオレフィンフィルムは、難接着性材料であるため、ポリ塩化ビニルフィルムラミネート用の前記の接着剤をそのまま用いると、接着不良を起こすという問題があった。
【0003】
これらの合成樹脂フィルムと金属素材との接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物とを組み合わせた組成物が知られている。しかしながら、この種の接着剤は、二液型が一般的であるために、作業性が悪く、接着後の熟成も必要であった。また、ブロック化ポリイソシアネートを用いる一液型接着剤も知られているが、硬化性が劣るため長時間の加熱処理が必要であった。これらの欠点を解消することを目的として、リン酸変性エポキシ樹脂を添加した接着剤が特開平11−166166号公報(特許文献1)に記載されている。しかしながら、前記公報に記載の接着剤を用いて、ポリオレフィンフィルムを鋼板にラミネートすると、特にラミネート加工後の耐熱性や耐沸水性試験後における接着力等の確保が困難であった。
【0004】
また、ポリオレフィンラミネート鋼板用の接着剤としては、例えば、特開平9−1733号公報(特許文献2)や、特開平9−309177号公報(特許文献3)、あるいは特開平10−44312号公報(特許文献4)に、無水マレイン酸等で変性したポリオレフィン樹脂を含有する接着剤が記載されている。すなわち、前記の各公報(特許文献2〜4)には、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂などに、酸変性ポリオレフィン樹脂を添加することによって、ポリオレフィンフィルムと鋼板との接着性を改善する技術が記載されている。しかしながら、これらの技術を用いても、ポリオレフィンフィルムを鋼板にラミネート加工した後の耐熱性や耐沸水性試験後における接着力等の確保は困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−166166号公報
【特許文献2】
特開平9−1733号公報
【特許文献3】
特開平9−309177号公報
【特許文献4】
特開平10−44312号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、特に、ポリオレフィンフィルムなどの難接着性樹脂フィルムを鋼板にラミネートした場合でも、ラミネート加工後に優れた耐熱性を示すと共に、耐沸水性試験後においても優れた接着力が確保される接着剤及びその接着剤を利用して製造するプラスチックフィルムラミネート鋼板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリエステルポリオール(A)、ベンゾグアナミン樹脂(B1)もしくはメチロール基を有するメラミン樹脂(B2)、エポキシリン酸エステル樹脂(C)及び酸変性ポリオレフィン樹脂(D)とを含有することを特徴とするラミネート鋼板用接着剤に関し、
また本発明は、ベンゾグアナミン樹脂(B1)が、メチロール基を有することを特徴とする上記発明に記載のラミネート鋼板用接着剤に関する。
【0008】
さらに本発明は、上記発明に記載のラミネート鋼板用接着剤を用いてプラスチックフィルムと鋼板とを積層してなることを特徴とするプラスチックフィルムラミネート鋼板に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられるポリエステルポリオール(A)は、公知の多塩基酸と多価アルコールとの縮合により得られる熱可塑性樹脂であり、分岐飽和型と線形飽和型のいずれも使用可能であるが、分岐飽和型を用いると、過度の粘度上昇が起きる場合があるので、線形飽和型が好ましい。
【0010】
前記のポリエステルポリオール(A)の数平均分子量(Mn)は、使用される溶媒に溶解可能である限り特に限定されないが、好ましくは8000〜30000、より好ましくは10000〜28000、最も好ましくは16000〜23000である。前記のポリエステルポリオール(A)の数平均分子量が8000未満になると、接着強度が弱くなり、例えば、熱水と接触させた場合に剥離しやすくなる。一方、数平均分子量が30000を越えると、溶媒への溶解性が低下し、また、接着剤の粘度が上昇するため、ハイソリッド(樹脂固形分を多くした状態)の実現が困難になる。
【0011】
前記のポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度(Tg)も特に 限定されないが、好ましくは50〜100℃、より好ましくは65〜85℃で ある。ガラス転移温度が50℃未満になると耐熱性が不充分になることがあり 、100℃を越えると塗膜が硬くなりすぎ、加工性に影響を与えることがある 。ガラス転移温度は、出発材料である多塩基酸及び多価アルコールを適当に選 択することによって調節可能である。また、ガラス転移温度の異なる2種類以 上のポリエステルポリオール(A)を用いて適当なガラス転移温度に調整する こともできる。
【0012】
前記ポリエステルポリオール(A)の水酸基価は、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下である。前記水酸基価 が20mgKOH/gを超えると塗膜の架橋がより進み塗膜が硬くなり、加工 性が不十分になることがある。前記水酸基価は、好ましくは2mgKOH/ g以上、より好ましくは4mgKOH/g以上である。2mgKOH/g未 満になると、後述するベンゾグアナミン樹脂(B1)やメラミン樹脂(B2 )との反応が進まず、ベンゾグアナミン樹脂(B1)及びメラミン樹脂( B2)同士の自己縮合反応がより進み、その結果塗膜が硬い方向へ進み加工 性等に支障をきたす可能性がある。
前記ポリエステルポリオール(A)の酸価は、好ましくは7mgKOH/ g以下、より好ましくは4mgKOH/g以下である。前記酸価が7mgK OH/gを超えるとベンゾグアナミン樹脂(B)の自己縮合反応が酸により、 硬化がより進み塗膜が硬くなり、ラミネートが不十分になることがある。
【0013】
前記のポリエステルポリオール(A)の調製に用いることのできる多塩基酸としては、例えば、芳香族多塩基酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニル−p,p'−ジカルボン酸、又はジフェニル−m,m'−ジカルボン酸;あるいは脂肪族多塩基酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又はドデカンジオンを挙げることができる。
また、前記のポリエステルポリオール(A)の調製に用いることのできる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、又はオクタメチレングリコールを挙げることができる。前記の多塩基酸と多価アルコールとを、例えば、200〜250℃で重縮合させることによって、前記のポリエステルポリオール(p1)を調製することができる。
【0014】
前記のポリエステルポリオール(A)としては、市販品を用いることもでき、具体的には、バイロンGK640(Mn=18000,Tg=79℃,水酸基価=5,酸価<4,線形タイプ)、バイロンGK880(Mn=18000,Tg=84℃,水酸基価=5,酸価<4,線形タイプ)、バイロン300(Mn=23000,Tg=7℃,水酸基価=5,酸価<2,線形タイプ)、バイロン500(Mn=23000,Tg=4℃,水酸基価=5,酸価<2,線形タイプ)、バイロン560(Mn=19000,Tg=7℃,水酸基価=8,酸価<2,分岐タイプ)、又はバイロン630(Mn=20000,Tg=75℃,水酸基価=5,酸価=1,線形タイプ)〔以上、東洋紡績(株)製〕;あるいはUE−3600(Mn=20000,Tg=75℃,水酸基価=4,酸価=1)又はUE−3690(Mn=14000,Tg=91℃,水酸基価=8,酸価=1)〔以上、ユニチカ(株)製〕等を挙げることができる。特に、好ましい市販品は、バイロンGK640又はバイロンGK880であり、メチルエチルケトン(MEK)に溶解可能なポリエステルポリオールであって、バイロンGK640又はバイロンGK880と同等の特性値を有するものも好適に使用することができる。
【0015】
本発明において用いられるベンゾグアナミン樹脂(B1)、メチロール基を有するメラミン樹脂(B2)について説明する。
ベンゾグアナミン樹脂(B1)及びメラミン樹脂は、いずれもアミノ樹脂の一種である。一般にメラミン樹脂は、前記ベンゾグアナミン樹脂(B1)より硬い塗膜を形成する傾向にある。しかし、メラミン樹脂の中でもメチロール基を有するメラミン樹脂(B2)は、比較的ベンゾグアナミン樹脂(B1)に近い性能を示す。耐水性、耐熱性、沸水浸漬後のスクラッチエリクセン試験や沸水浸漬後の剥離強度等を考慮するとベンゾグアナミン樹脂(B1)が好ましい。
【0016】
前記ベンゾグアナミン樹脂(B1)の反応性や接着剤としての各種物性は、官能基によっても変化する。N−メチロール基の一部をメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールで変性してなるメチロール基型、N−メチロール基の全部をメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールで変性してなる完全アルキル型、イミノ基を有するもの等がある。これらの使用に限定はないが、本発明ではベンゾグアナミン樹脂(B1)のうちN−メチロール基の一部をメタノール変性してなるメトキシメチロールベンゾグアナミンが好ましい。具体的な市販品としては、マイコート102(三井サイテック(株)、メラン5704HI・メラン5704H−I(日立化成工業(株))等がある。
【0017】
本発明の接着剤は、エポキシリン酸エステル樹脂(C)を含有する。このエポキシリン酸エステル樹脂(C)を含有することにより、鋼板との接着性、耐湿性、及び耐沸水性を付与することができる。前記のエポキシリン酸エステル樹脂(C)は、エポキシ樹脂のエポキシ基がリン酸と反応して、エポキシ基が開環し、リン酸エステル結合で、エポキシ樹脂部分とリン酸部分とが結合したものである。
【0018】
好ましいエポキシリン酸エステル樹脂(C)は、下記一般式(1)、(2)で表される化合物である。
【0019】
【化1】
Figure 0004529378
【0020】
【化2】
Figure 0004529378
【0021】
特に好ましいエポキシリン酸エステル樹脂(C)、分子末端にリン酸基と一級水酸基を有する化合物であり、特に好ましいエポキシリン酸エステル樹脂(C)は、一般式(3)で表される化合物である。
【0022】
【化3】
Figure 0004529378
【0023】
エポキシリン酸エステル樹脂(C)としては、市販品を用いることもでき、具体的には、DER621−EB50〔ダウ・ケミカル日本(株)社製;固形分50%〕が好ましい。更に、前記のDER621−EB50と同等の特性値を有するものも好適に使用することができる。
【0024】
本発明の接着剤は、更に、酸変性ポリオレフィン樹脂(D)を含有する。酸変性ポリオレフィン樹脂(D)を使用することにより、特にポリオレフィンとの接着性を向上させることができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、例えば、ポリオレフィン樹脂に、エチレン性不飽和基を含む酸無水物をグラフト重合させることによって調製することができる。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。また、エチレン性不飽和基を含む酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フマル酸、マレイン酸、フマル酸、又はイタコン酸等を挙げることができ、無水マレイン酸を好適に使用することができる。
更に、酸変性ポリオレフィン樹脂としては、オレフィンとエチレン性不飽和基含有カルボン酸との共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、又はエチレン−メタクリル酸共重合体)の単量体又は混合体を用いることもできる。
【0025】
本発明の接着剤は、ポリエステルポリオール(A)100重量部に対して、ベンゾグアナミン樹脂(B1)もしくはメチロール基を有するメラミン樹脂(B2)を固形分で5〜50重量部含有することが好ましく、例えば沸水浸漬後の剥離強度の点から25〜35重量部含有することが好ましい。
ベンゾグアナミン樹脂(B1)もしくはメチロール基を有するメラミン樹脂(B2)が5重量部未満であると接着剤塗膜として硬化不充分となり、常態及び沸水浸漬後の接着性が低下する。一方、ベンゾグアナミン樹脂(B1)もしくはメチロール基を有するメラミン樹脂(B2)が50重量部を超えると、接着剤塗膜が硬くなりすぎ加工性が低下する。
【0026】
本発明の接着剤は、接着剤固形分100重量%、即ち(A)〜(D)の合計100重量%中にエポキシリン酸エステル樹脂(C)を0.5〜3.5重量%含有することが好ましく、1.0〜2.0重量%含有することがより好ましい。エポキシリン酸エステル樹脂(C)が、3.5重量%を越えると、ポリエステルポリオール(A)及びベンゾグアナミン樹脂(B1)等との相溶性が悪くなることがあり、鋼板等の接着性が不良になることがある。一方、エポキシリン酸エステル樹脂(C)が、0.5%未満になると、鋼板との接着性や耐湿性が不良となることがある。
【0027】
本発明の接着剤は、接着剤固形分100重量%中、即ち(A)〜(D)の合計100重量%に酸変性ポリオレフィン樹脂(D)を10〜40重量%含有することが好ましく、20〜30%重量%含有することがより好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂(D)が40重量%を越えると、鋼板との接着性不良や粘度上昇による塗工性不良になることがあり、10重量%を下回るとプラスチックフィルムとの接着不良になることがある。また、酸変性ポリオレフィン樹脂(D)の含有量が20〜30%の範囲内にあると好適な接着剤粘度が得られ、優れた塗工性が得られる。
【0028】
本発明の接着剤は、ポリエステルポリオール(A)、ベンゾグアナミン樹脂(B1)もしくはメチロール基を有するメラミン樹脂(B2)、エポキシリン酸エステル樹脂(C)及び酸変性ポリオレフィン樹脂(D)を単に混合することによって調製することができる。前記の混合は有機溶剤、例えば脂肪族ケトン(メチルエチルケトン)又は脂環式ケトン(シクロヘキサノン)の中で行うことができ脂肪族エステル(酢酸エチル、酢酸ブチル)を併用することができる。
前記の混合は特に順序も限定されないが、ポリエステルポリオール(A)が常温、例えば25℃で固形であった場合、まず溶剤に溶解し、その後ベンゾグアナミン樹脂(B1)等、エポキシリン酸エステル樹脂(C)、酸変性ポリオレフィン樹脂(D)を混合していく方がスムーズに混合できる。
【0029】
本発明の接着剤を用いて、鋼板にプラスチックフィルムをラミネートすることができる。プラスチックフィルムは、特に限定されないが、本発明の接着剤を用いると、難接着性材料であるポリオレフィンフィルムを鋼板にラミネートすることができる。ポリオレフィンフィルムとしては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンを挙げることができる。ラミネートすることのできるポリオレフィンフィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば、500μm前後の厚さのものも使用することができる。
【0030】
鋼板は、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼基材、又は亜鉛めっき鋼基材等の一般的な鋼板基材を使用することができる。前記の亜鉛めっき鋼基材の表面上の亜鉛めっきは、例えば、鋼板を母材として、これに純亜鉛めっき、又は亜鉛合金めっきのいずれかの処理を施したものでよく、更にこれに他のめっきを複層状に施したものでもよい。
【0031】
これらの鋼板基材には、必要な場合、下地処理を施すことができる。ステンレス鋼板では、下地処理を特に必要としないが、クロメート処理により、ポリオレフィンフィルムとの密着性を更に向上させることができる。亜鉛めっき鋼板では、リン酸塩処理又はクロメート処理のいずれか一方、あるいは両方の処理を施す必要がある場合もある。これらのクロメート処理及び/又はリン酸処理により、ポリオレフィンフィルムラミネート鋼板において、ポリオレフィンフィルムの密着性を向上させることができる。リン酸塩処理及びクロメート処理については、特に制限なく、従来の一般的な方法によることができる。
【0032】
本発明のポリオレフィンフィルムラミネート鋼板を製造する場合は、前 記の鋼板の表面上に、本発明の接着剤を塗布する。この際、塗布した接着剤の 皮膜を180℃以上、好ましくは200〜230℃の温度条件下で焼付けて、 乾燥状態の接着層を形成させる。この焼付け乾燥後の接着剤の面上に、ポリオ レフィンフィルムを熱ラミネートすることにより製造することができる。この 熱ラミネートの際の条件は、ポリオレフィンフィルムや接着剤の種類より異な るが、例えば、圧力1.0〜5.0kg/cm2、ラミネート温度180〜2 20℃、及びライン速度5〜20m/分で実施することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例によって、本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下 実施例、比較例、及び物性評価において、
「部」、及び「%」は、特に断らないかぎり、重量により、水酸基価及び酸価の単位は、それぞれ「mgKOH/g」である。
【0034】
[実施例1]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン224部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、ベンゾグアナミン樹脂(B1)(マイコート102;メチロール基型ベンゾグアナミン樹脂 固形分70%;三井サイテック社製) 48部仕 込み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを56部仕込み、リン酸エポキ シエステル樹脂(C)(DER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社製; 固形分50%)4.3部、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂分散体(D )(東洋インキ製造社製;固形分9.5%)380部順次仕込み、よく攪拌し て分散させた。40℃以下冷却し、シクロヘキサノンで固形分20%に調製し て本発明による接着剤を得た。
【0035】
[実施例2]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン206部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、ベンゾグアナミン樹脂(B1)(マイコート102;メチロール基型ベンゾグアナミン樹脂 固形分70%;三井サイテック社製) 33部仕 込み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを51部仕込み、リン酸エポキ シエステル樹脂(C)(DER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社製; 固形分50%)4.0部、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂分散体(D )(東洋インキ製造社製;固形分9.5%)350部順次仕込み、よく攪拌し て分散させた。40℃以下冷却し、シクロヘキサノンで固形分20%に調製し て本発明による接着剤を得た。
【0036】
[実施例3]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン199部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、ベンゾグアナミン樹脂(B1)(マイコート102;メチロール基型ベンゾグアナミン樹脂 固形分70%;三井サイテック社製) 20部仕 込み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを48部仕込み、リン酸エポキ シエステル樹脂(C)(DER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社製; 固形分50%)3.7部、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂分散体(D )(東洋インキ製造社製;固形分9.5%)324部順次仕込み、よく攪拌し て分散させた。40℃以下冷却し、シクロヘキサノンで固形分20%に調製し て本発明による接着剤を得た。
【0037】
[実施例4]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン196部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、ベンゾグアナミン樹脂(B1)(マイコート102;メチロール基型ベンゾグアナミン樹脂 固形分70%;三井サイテック社製) 6.3部 仕込み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを37部仕込み、リン酸エポ キシエステル樹脂(C)(DER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社製 ;固形分50%)3.4部、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂分散体( D)(東洋インキ製造社製;固形分9.5%)296部順次仕込み、よく攪拌 して分散させた。40℃以下冷却し、シクロヘキサノンで固形分20%に調製 して本発明による接着剤を得た。
【0038】
[実施例5]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン220部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、ベンゾグアナミン樹脂(サイメル1123;完全アルキル基型ベンゾグアナミン樹脂 固形分100%;三井サイテック社製)14部仕込み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを54部仕込み、リン酸エポキシエステル樹脂(C)(DER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社製;固形分50%)3.7部、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂分散体(D)(東洋インキ製造社製;固形分9.5%)324部順次仕込み、よく攪拌して分散させた。40℃以下冷却し、シクロヘキサノンで固形分20%に調製して比較用接着剤を得た。
【0039】
[実施例6]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン216部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、ベンゾグアナミン樹脂(デラミンT120−60;イミノ基型ベンゾグアナミン樹脂 固形分60%;) 23部仕込み攪拌溶解させる。その 後シクロヘキサノンを19部仕込み、リン酸エポキシエステル樹脂(C)(D ER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社製;固形分50%)3.6部、 無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂分散体(D)(東洋インキ製造社製; 固形分9.5%)322部順次仕込み、よく攪拌して分散させた。40℃以下 冷却し、シクロヘキサノンで固形分20%に調製して比較用接着剤を得た。
【0040】
[実施例7]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン200部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、メラミン樹脂(サイメル370;メチロール基型メラミン樹脂 固形分88%;三井サイテック社製)16部仕込み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを52部仕込み、リン酸エポキシエステル樹脂(C)(DER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社製;固形分50%)3.7部、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂分散体(D)(東洋インキ製造社製;固形分9.5%)324部順次仕込み、よく攪拌して分散させた。40℃以下冷却し、シクロヘキサノンで固形分20%に調製して比較用接着剤を得た。
【0041】
[比較例1]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン201部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、メラミン樹脂(サイメル303;完全アルキル基型メラミン樹脂固形分100%;三井サイテック社製)14部仕込み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを52部仕込み、リン酸エポキシエステル樹脂(C)(DER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社製;固形分50%)3.7部、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂分散体(D)(東洋インキ製造社製;固形分9.5%)324部順次仕込み、よく攪拌して分散させた。40℃以下冷却し、シクロヘキサノンで固形分20%に調製して比較用接着剤を得た。
【0042】
[比較例2]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン245部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、メラミン樹脂(サイメル325;イミノ基型メラミン樹脂 固形分80%;三井サイテック社製)19部仕込み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを44部仕込み、リン酸エポキシエステル樹脂(C)(DER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社製;固形分50%)3.9部、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂分散体(D)(東洋インキ製造社製;固形分9.5%)349部順次仕込み、よく攪拌して分散させた。40℃以下冷却し、シクロヘキサノンで固形分20%に調製して比較用接着剤を得た。
【0043】
[比較例3]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン227部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、メラミン樹脂(B)(サイメル325;イミノ基型メラミン樹脂固形分80%;三井サイテック社製)43部仕込み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを48部仕込み、リン酸エポキシエステル樹脂(C)(DER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社製;固形分50%)4.3部、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂分散体(D)(東洋インキ製造社製;固形分9.5%)379部順次仕込み、よく攪拌して分散させた。40℃以下冷却し、シクロヘキサノンで固形分20%に調製して比較用接着剤を得た。
【0044】
[比較例4]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン95部を仕込み、40℃まで加熱し、ベンゾグアナミン樹脂(B)(マイコート102;メチロール基型ベンゾグアナミン樹脂 固形分70%;三井サイテック社製) 100 部仕込み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを29部仕込み、リン酸エ ポキシエステル樹脂(C)(DER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社 製;固形分50%)2.3部、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂分散体 (D)(東洋インキ製造社製;固形分9.5%)199部順次仕込み、よく攪 拌して分散させた。40℃以下冷却し、シクロヘキサノンで固形分20%に調 製して本発明による接着剤を得た。
【0045】
[比較例5]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン224部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、ベンゾグアナミン樹脂(B)(マイコート102;メチロール基型ベンゾグアナミン樹脂 固形分70%;三井サイテック社製) 48部仕込 み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを56部仕込み、無水マレイン酸 変性ポリオレフィン樹脂分散体(D)(東洋インキ製造社製;固形分9.5% )380部順次仕込み、よく攪拌して分散させた。40℃以下冷却し、シクロ ヘキサノンで固形分20%に調製して本発明による接着剤を得た。
【0046】
[比較例6]
反応釜内を窒素ガスで満たした後、メチルエチルケトン180部を仕込み、続いてポリエステルポリオール(A)(バイロンGK640;線形飽和共重合ポリエステル樹脂;Tg=79℃;数平均分子量(Mn)=18000;水酸基価=5;酸価<4;東洋紡績社製)固形分100部を仕込み、50〜60℃程度加熱攪拌し、ポリエステルポリオール(A)が完全に溶解したら、40℃まで冷却し、ベンゾグアナミン樹脂(B)(マイコート102;メチロール基型ベンゾグアナミン樹脂 固形分70%;三井サイテック社製) 48部仕込 み攪拌溶解させる。その後シクロヘキサノンを45部仕込み、リン酸エポキシ エステル樹脂(C)(DER621−EB50;ダウ・ケミカル日本社製;固 形分50%)3.5部、を溶解し、シクロヘキサノンで固形分20%に調製し て本発明による接着剤を得た。
【0047】
【物性評価】
(1)試験板の製造
本発明の接着剤及び比較用接着剤の各種物性を評価するための試験板を以下の方法で製造した。すなわち、亜鉛メッキ鋼鈑(厚さ=0.5mm)に、乾燥塗膜が4μmになるようにバーコーターで接着剤を塗布した。その際、亜鉛メッキ鋼鈑の一方の末端部10mmの部分には、接着剤を塗布しない帯状部分を用意した(後述の図1の接着剤非塗布帯状部分12a参照)。前記の接着剤非塗布帯状部分を進行方向の後方にして、オーブン(200℃のコンベアー付赤外線オーブン)に入れて100秒間加熱し、その加熱工程の終了直後に、ポリプロピレンフィルム(厚さ=150μm)をラミネーターにより5kg/cm2の圧力でラミネートし、その直後に、水槽に入れて急冷させ、ラミネート鋼板を得た。前記のラミネート操作の際には、前記の接着剤非塗布帯状部分の上にもポリプロピレンフィルムを延長させ、更に、前記鋼鈑が存在しない部分にもポリプロピレンフィルムを延長させた(後述の図1の11b参照)。なお、ラミネート鋼板を安定化させるために1昼夜放置し、得られた試験板を用いて評価試験を実施した。
【0048】
(2)常態剥離強度
前項(1)で得られた試験板から、最初に、図1(模式的側面図)に示すような小片10を切り出した。この小片10は、幅30mm及び長さ160mmのポリプロピレンフィルム11と、幅30mm及び長さ60mmの鋼板12とからなり、鋼板12の端部12aは、接着剤非塗布帯状部分であるので、ラミネート部分11aは、ポリプロピレンフィルムの一方の端部で、幅30mm及び長さ50mmの部分であり、ポリプロピレンフィルム11の残りの部分11bは、鋼板12とは接着していないものであった。なお、図1は、ラミネートの態様を示す目的のため、厚さを誇張してある。
【0049】
続いて、その小片10から図2(平面図)に示す試験片20を作成した。すなわち、図1に示す小片10のポリプロピレンフィルム11の両側端から5mmの幅で長さ方向にカッターにより2本の切り込み線を入れ、非ラミネート部分では、両側端を取り除いた。その結果、図2に示すように、ポリプロピレンフィルム21の非ラミネート部分21aは、幅20mmの帯状となった。また、ポリプロピレンフィルム21の内、鋼板と接着しているラミネート部分21bでは、カッターの刃先が鋼鈑表面に到達する程度までポリプロピレンフィルムを切断して、2本の切り込み線23a,23bを形成した。切り込み線23a,23bの間隔は20mmとなった。なお、鋼板22は、接着剤非塗布帯状部分22aと接着剤塗布部分22bとを含むものであった。
【0050】
図2に示す試験片20を引張り試験機に取り付けた。すなわち、鋼板22の接着剤非塗布帯状部分22aの端部Xを下部チャックに挟み、ポリプロピレンフィルム21の非ラミネート部分21aの端部Yを上部チャックに挟み、非ラミネート部分21aの端部Yを180°方向転換して、50mm/分で上部チャックを移動させ、試験板からフィルムを剥がし、その際の強度を測定した。
【0051】
(3)沸騰水浸漬後剥離強度
図2に示す試験片20と同じ試験片を製造し、沸騰水に2時間浸漬させてから取り出し、半日間放置した後に、前項(2)の「常態剥離強度」と同じ方法で測定した。
【0052】
(4)耐湿試験後の剥離強度
図2に示す試験片20と同じ試験片を製造し、40℃及び湿度98%の恒温恒湿機に2週間放置してから取り出し、半日間放置した後に、前項(2)の「常態剥離強度」と同じ方法で測定した。
【0053】
(5)常態スクラッチ−エリクセン試験
前項(1)で製造した試験板から、60mm×60mmの寸法にカットしたラミネート試験片を製造し、図3(模式的斜視図)に示すように、ラミネート試験片の鋼板32の上にラミネートされているポリプロピレンフィルム31にカッターで、4本の切り込み線33a,33b,33c,33dを入れてスクラッチ試験片30を製造した。スクラッチ試験片30において、1対の平行な2本の切り込み線33a,33bと、もう1対の平行な2本の切り込み線33c,33dとを直行させ、それらの間隔をそれぞれ5mmとし、中央部に5mm×5mmの中央頭部34を形成させた。また、各切り込み線33a,33b,33c,33dは、カッターの刃先が鋼鈑表面に到達する程度までポリプロピレンフィルム31を切断した。なお、図3は、ラミネートの態様や切り込み線の形成状態を模式的に示す目的であるため、鋼板及びフィルムの厚さや切り込み線の間隔などを誇張してある。
続いて、このスクラッチ試験片30をエリクセン試験機に取付け、スクラッチ試験片30の鋼板32の中央部表面に、エリクセン試験機の押出し用半球体の頂上部を当て、鋼板32側からポリプロピレンフィルム31の方向に向かって、押出し用半球体を7mm押出し、スクラッチ試験片30の中央頭部34を中心に半球状に盛り上げた。盛り上げられた中央頭部34におけるポリプロピレンフィルムの剥がれ状態を目視で判断した。
【0054】
(6)スクラッチ−エリクセン後の耐熱試験
前項(5)で製造したエリクセン試験後の試験片を、150℃の熱風オーブンに1時間放置した後、フィルムの剥がれ状態を目視で判断した。
【0055】
(7)沸騰水浸漬後のスクラッチ−エリクセン試験
前項(5)で製造したラミネート試験片を、沸騰水に2時間浸漬させてから、半日放置した後に、前項(5)の「エリクセン試験」と同様の操作によって4本の切り込み線33a,33b,33c,33dをカッターで形成し、エリクセン試験機で7mm押出し、中央頭部におけるポリプロピレンフィルムの剥がれ状態を目視で判断した。
【0056】
(8)スクラッチ−エリクセン後の塩水噴霧試験
図3に示すスクラッチ試験片30を、エリクセン試験機で6mm押出した後、35℃及び塩水濃度5%の塩水噴霧試験機に入れ、48時間後に取り出し、その試験片の中央頭部におけるポリプロピレンフィルムの剥がれ状態を目視で判断した。
【0057】
(9)延伸ノッチ試験
前項(1)で得られた試験板を、図4(平面図)に示すように、ラミネート方向(図4の矢印Aの方向)が幅方向となるように、幅30mm及び長さ120mmにカットし、延伸ノッチ試験片40を製造した。その延伸ノッチ試験片40のラミネートフィルム41上に中心線cを描き、その中心線cから両端側に25mm離れた位置に、それぞれ平行線a,bを描いた。また、ラミネートフィルム41を担持している亜鉛メッキ鋼板の表面において、前記中心線cに相当する部分にも中心線を描いた。
次に、アムスラー試験機でこの延伸ノッチ試験片40を両端(図4の矢印B及び矢印Cの方向)から引っ張り、中央帯状部(平行線a,b間)の幅(50mm)が幅60mmとなるように20%延伸させた。続いて、前記中心線cに沿って、カッターの刃先が鋼鈑表面に到達する程度までポリプロピレンフィルムを切断して切り込み線を形成した。
続いて、図5(模式的側面図)に示すように、折り曲げ試験機に、引っ張り処理後の延伸ノッチ試験片40'のラミネートフィルム41側の面が表側になり、亜鉛メッキ鋼板42が裏側にくるように取り付け、亜鉛メッキ鋼板42の中央部に支柱棒55(直径=2mm)を置き、前記中心線cの切り込み線が折り曲げの際の頂点となるように、図5の矢印Dの方向にノッチ曲げを行い、亜鉛メッキ鋼板42の側の表面が相互に完全に密着するまで曲げた。その延伸ノッチ試験片40'において、ラミネートフィルム41上に前記中心線cにそって作成した切り込み線の剥がれ状態を目視で判断した。
【0058】
(10)耐熱延伸ノッチ試験
前項(9)の延伸ノッチ試験片を、150℃の熱風オーブンに1時間放置した後、その試験片におけるフィルムの剥がれ状態を目視で判断した。
【0059】
(11)判断基準
剥離強度は、単位(N/20mm)で表し、エリクセン試験及び延伸ノッチ試験の評価は、以下の5段階で行った。
◎:優、
-:やや優、
○:良、
△:可、
×:不可。
結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
Figure 0004529378
【0061】
【発明の効果】
本発明の接着剤を用いると、ポリオレフィンフィルムなどの難接着性樹脂フィルムを鋼板にラミネートした場合でも、ラミネート加工後に優れた耐熱性を示すと共に、耐沸水性試験後においても優れた接着力が確保される。特に、酸変性ポリオレフィン樹脂を単独で使用する場合と比較すると、加工後の耐熱性が著しく向上すると共に、耐沸水性試験後における接着力を極めて良好に確保することができる。
また、本発明の接着剤は、二液型ではなく一液型であるので、作業性の面で有利であり、しかも、一液型であるにもかかわらず、経時安定性が良好である。
更に、本発明の接着剤を用いると、特に難接着性樹脂フィルム、例えば、ポリオレフィンフィルムを鋼板にラミネートする場合に、コロナ放電処理やプライマー処理などの前処理が不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本明細書の実施例の剥離試験用の試験片を製造するための小片の模式的側面図である。
【図2】本明細書の実施例の剥離試験用の試験片の平面図である。
【図3】本明細書の実施例の物性評価に用いるスクラッチ試験片の模式的斜視図である。
【図4】本明細書の実施例の物性評価に用いる延伸ノッチ試験片の平面図である。
【図5】図5の延伸ノッチ試験片を折り曲げ試験機に取り付けて折り曲げる状態を示す模式的側面図である。
【符号の説明】
10・・・試験板小片;
11,21,31,41・・・ポリプロピレンフィルム;
12,22,32,42・・・鋼板;
20・・・試験片;11b,21a・・・非ラミネート部分;
11a,21b・・・ラミネート部分;
23a,23b,33a,33b,33c,33d・・・切り込み線;
12a,22a・・・接着剤非塗布帯状部分;22b・・・接着剤塗布部分;
30・・・スクラッチ試験片;34・・・中央頭部;
40・・・延伸ノッチ試験片;55・・・支柱棒。

Claims (3)

  1. ポリエステルポリオール(A)、ベンゾグアナミン樹脂(B1)もしくはメチロール基を有するメラミン樹脂(B2)、エポキシリン酸エステル樹脂(C)及び酸変性ポリオレフィン樹脂(D)とを含有することを特徴とするラミネート鋼板用接着剤。
  2. ベンゾグアナミン樹脂(B1)が、メチロール基を有することを特徴とする請求項1記載のラミネート鋼板用接着剤。
  3. 請求項1又は2記載のラミネート鋼板用接着剤を用いてプラスチックフィルムと鋼板とを積層してなることを特徴とするプラスチックフィルムラミネート鋼板。
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