JPH1086308A - 積層体及びそれを用いた容器 - Google Patents

積層体及びそれを用いた容器

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JPH1086308A
JPH1086308A JP19445597A JP19445597A JPH1086308A JP H1086308 A JPH1086308 A JP H1086308A JP 19445597 A JP19445597 A JP 19445597A JP 19445597 A JP19445597 A JP 19445597A JP H1086308 A JPH1086308 A JP H1086308A
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憲一郎 中牧
Tomomasa Maida
知正 毎田
Koji Suzuki
浩司 鈴木
Kichiji Maruhashi
吉次 丸橋
Yoshiki Takei
芳樹 武居
Kazuhiro Sato
一弘 佐藤
Sachiko Machii
幸子 町井
Tetsuo Miyazawa
哲夫 宮沢
Katsuhiro Imazu
勝宏 今津
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属等の基体にポリエステルを主体とする樹
脂層を設けるに当たって、上記の問題点を解消し、被覆
の均一性、被覆の完全さ及び密着性に優れ且つ成形性や
生産性にも優れたラミネート及びこのラミネートから成
るシームレス缶を提供するにある。 【解決手段】 基体上にポリエステルを主体とする樹脂
を積層したラミネートにおいて、前記樹脂層が、溶融押
出し時の温度において、下記式(1) R = η12.2/η1216 ‥(1) 式中、η12.2はポリエステルの押出温度における剪断速
度12.2sec-1での溶融粘度であり、η1216はポリ
エステルの押出温度における剪断速度1216sec-1
での溶融粘度である、で定義される溶融粘度比(R)が
2.0以上の範囲にあり且つη1216が500ポイズ以上
の範囲にあるものであり且つ前記樹脂層が溶融押出しさ
れた後、急冷されることを特徴とするラミネート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属等の基体とポリエ
ステル層とから成るラミネート及びこのラミネートから
形成されたシームレス缶に関する。より詳細には、生産
性が高く、被覆の均一性及び密着性に優れ、耐衝撃性
(耐デント性)に優れ、特に高温での熱履歴を受けた後
での耐デント性(耐熱デント性)に優れたラミネート並
びにシームレス缶に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、側面無継目缶(サイド・シームレ
ス缶)としては、アルミニウム板、ブリキ板或いはティ
ン・フリー・スチール板等の金属素材を、絞りダイスと
ポンチとの間で少なくとも1段の絞り加工に付して、側
面継目のない胴部と該胴部に、継目なしに一体に接続さ
れた底部とから成るカップに形成し、次いで所望により
前記胴部に、しごきポンチとダイスとの間でしごき加工
を加えて、容器胴部を薄肉化したものが知られている。
また、しごき加工の代わりに、再絞りダイスの曲率コー
ナ部で曲げ伸ばして側壁部を薄肉化することも既に知ら
れている(特公昭56−501442号公報)。
【0003】また、側面無継目缶の有機被覆法として
は、一般に広く使用されている成形後の缶に有機塗料を
施す方法の他に、成形前の金属素材に予め樹脂フィルム
をラミネートする方法が知られており、特公昭59−3
4580号公報には、金属素材にテレフタル酸とテトラ
メチレングリコールとから誘導されたポリエステルフィ
ルムをラミネートしたものを用いることが記載されてい
る。また、曲げ伸ばしによる再絞り缶の製造に際して、
ビニルオルガノゾル、エポキシ、フェノリクス、ポリエ
ステル、アクリル等の被覆金属板を用いることも知られ
ている。
【0004】ポリエステル被覆金属板の製造について
も、多くの提案があり、例えば、特公昭59−3458
0号公報には、金属素材にテレフタル酸とテトラメチレ
ングリコールとから誘導されたポリエステルフィルムを
ラミネートしたものを製缶に用いることが記載されてい
る。
【0005】また、特開平5−4229号公報には、表
面に二軸配向が残存しているポリエチレンテレフタレー
トより成る塗膜が記載され、更に特開平6−17255
6号公報には、固有粘度[η]が0.75以上のポリエ
ステルフィルムを金属ラミネートに用いることが提案さ
れている。
【0006】更に、特開平3−101930号公報に
は、金属板と、エチレンテレフタレート単位を主体とす
るポリエステルフィルム層と、必要により金属板とポリ
エステルフィルムとの間に介在する接着プライマー層と
の積層体から成り、該ポリエステルフィルム層は、式 Rx =IA /IB 式中、IA はポリエステルフィルム表面に平行な、面間
隔約0.34nm(CuKαX線回折角が24゜から2
8゜)の回折面によるX線回折強度、IB はポリエステ
ルフィルム表面に平行な、面間隔約0.39nm(Cu
KαX線回折角が21.5゜から24゜)の回折面によ
るX線回折強度、で定義されるX線回折強度が0.1乃
至15の範囲内にあり且つ結晶の面内配向の異方性指数
が30以下であるフィルム層から成ることを特徴とする
絞り缶用被覆金属板が記載されており、また、上記被覆
金属板を絞り再絞り成形し、且つ再絞り成形に際して缶
胴側壁部を曲げ伸ばしにより薄肉化して成る薄肉化絞り
缶が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術に認めら
れる提案は、成形前の金属素材に樹脂フィルムを施せば
よく、通常の塗装処理のように、塗膜の焼き付け炉や塗
料排ガスの処理施設が不要で、大気汚染がなく、また成
形後の缶体に塗装処理を行わなくてもよいという利点を
与えるものであるが、フィルムへの製膜性や金属基体上
への押し出しコート性能の点で、未だ改善されるべき余
地がある。また、このラミネートを製缶等の用途に用い
た場合、缶への成形性や、缶の諸特性、特に耐衝撃性
(耐デント性)、熱履歴後の耐衝撃性、耐腐食性及び巻
締性乃至密封性等の点で改善されるべき余地がある。
【0008】即ち、一般の金属−樹脂積層体において
は、金属基体上に樹脂を押し出しコートすることが広く
行われているが、ポリエステルの場合にもこの押し出し
コート法が適用できれば、製膜及び延伸に伴う作業やそ
のためのコストを低減できることが期待できる。
【0009】しかしながら、金属−ポリエステル積層
体、特にシームレス容器形成用の積層体においては、製
造工程上種々の熱処理を受けるが、この熱処理に際して
未延伸、即ち未配向のポリエステルが熱結晶化(白化−
ラメラの生成)する傾向があり、被覆が脆くなり、加工
性が損なわれるという問題を生じる。積層体のポリエス
テルを分子配向状態に維持しておけば、熱処理の際の粗
大結晶(球晶)生成が防止されるので、これが、積層用
に分子配向されたポリエステルフィルムを用いる理由で
ある。
【0010】また、熱可塑性樹脂を基材上に押出しラミ
ネートして積層体を製造する方法としては押出し機とT
ダイを用いるいわゆるTダイ法が知られているが、ポリ
エステル樹脂をTダイ法でラミネートしようとすると、
押出し機およびダイ内部での不安定流動や、Tダイを出
てからの張力不足に起因する耳ぶれや蛇行現象を生起す
るいわゆるドローレゾナンス現象を起こし、均一な膜厚
が得られにくく、また、耳ぶれした両端部をトリミング
する必要があることから歩留まりが悪いなどの問題点が
あった。これらの現象は、樹脂の引き取り速度を上げて
いったときに特に起こりやすく、ポリエステル樹脂の高
速ラミネーションを非常に困難にしている。また、ポリ
エステル樹脂は熱劣化による減粘を起こしやすいため、
甚だしい場合にはTダイから滴下するような場合もあ
る。同様の問題は、ラミネートの形成に未延伸のキャス
トフィルムを使用する場合にも、また二軸延伸フィルム
を使用する場合にも、フィルム成形段階で同様に生じ
る。
【0011】また、ラミネートを実際の缶詰製品に適用
した場合に要求される実用的な耐衝撃性として、耐デン
ト性と呼ばれるものがある。これは、缶詰製品を落下し
て、或いは缶詰製品同士が相互に衝突して、缶詰製品に
打痕と呼ばれる凹みが生じた場合にもなお、被覆の密着
性やカバレージが完全に保たれることが要求されるとい
う特性である。即ち、デント試験で被覆が剥離し或いは
被覆にピンホールやクラックが入る場合には、この部分
から金属溶出や孔食による漏洩等を生じて、内容物の保
存性を失うという問題を生じるのである。
【0012】次に、缶詰用缶の場合、被覆への熱処理の
影響を避けることができない。即ち、缶の外面に内容物
等を表示する印刷を施すのが普通であり、印刷インクを
焼き付けるための加熱の影響が、ポリエステルフィルム
に生じる。また、実際の製缶においては、樹脂被覆の歪
み除去安定化等を目的として、缶の加熱が行われる場合
もあり、この加熱によるポリエステルへの影響も無視で
きない。ポリエステルは、加熱により結晶化と同時に熱
劣化、即ち分子量が低下する傾向があり、これにより耐
デント性が低下し、金属基体との密着性低下或いは被覆
性低下やネックイン加工、巻締加工等の際の加工性が低
下する。
【0013】従って、本発明の目的は、金属等の基体に
ポリエステルを主体とする樹脂層を設けるに当たって、
上記の問題点を解消し、被覆の均一性、被覆の完全さ及
び密着性に優れ且つ成形性や生産性にも優れたラミネー
ト及びこのラミネートから成るシームレス缶を提供する
にある。
【0014】本発明の他の目的は、耐衝撃性、特に耐デ
ント性が顕著に改善され、特に高度の絞り加工或いはし
ごき加工や製缶時或いは製缶後の熱処理にもかかわら
ず、結晶化による脆化や樹脂の熱劣化が抑制され、優れ
た耐デント性が維持されるた金属−ポリエステル積層
体、並びにこの積層体から形成されたシームレス容器を
提供するにある。
【0015】本発明の更に他の目的は、高温での熱履歴
を受けた後での耐デント性が顕著に改善されたポリエス
テル−金属積層体並びにこの積層体から形成されたシー
ムレス容器を提供するにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基体上
にポリエステルを主体とする樹脂を積層したラミネート
において、前記樹脂層が、溶融押出し時の温度におい
て、下記式(1) R = η12.2/η1216 ‥(1) 式中、η12.2はポリエステルの押出温度における剪断速
度12.2sec-1での溶融粘度であり、η1216はポリ
エステルの押出温度における剪断速度1216sec-1
での溶融粘度である、で定義される溶融粘度比(R)が
2.0以上の範囲にあり且つη1216が500ポイズ以上
の範囲にあるものであり且つ前記樹脂層が溶融押出しさ
れた後、急冷されることを特徴とするラミネートが提供
される。本発明の上記ラミネートにおいて、 1.前記樹脂層が、溶融押出し時の温度において、0.
2乃至1.5グラムの溶融張力を有するものであるこ
と、 2.前記樹脂層が、溶融押出し時の温度において、1.
3乃至2.0のダイスウェルを有するものであること、 3.前記樹脂層が、下記式(2) d=Mw/Mn …(2) 式中、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子
量である、で定義される多分散度(d)が2.5以上であ
るものであること、が好ましい。
【0017】本発明によればまた、金属基体とポリエス
テルを主体とする樹脂層とから成るラミネートにおい
て、前記樹脂層が、(I)ポリエチレンテレフタレート・
セグメントと、(II)ブチレングリコールと芳香族二塩
基酸とから誘導されたポリエステルセグメントと、(I
II)ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導
されたポリエステルセグメントとを、合計量を100重
量部として、I:II:III=30〜80:8〜63:2
〜42の重量比で含有するポリエステル乃至ポリエステ
ル組成物から成り且つ該ポリエステル乃至ポリエステル
組成物100重量部当たり0.01乃至1.5重量部の
分子量400以上の非イオウ系酸化防止剤を少なくとも
一種類含有することを特徴とするラミネートが提供され
る。
【0018】本発明によれば更に、金属基体とポリエス
テルを主体とする複層樹脂層とから成るラミネートにお
いて、前記複層樹脂層の表面樹脂層のガラス転移点が7
0℃以上のポリエステル組成物から成り且つ前記複層樹
脂層の下地樹脂層が、(I)ポリエチレンテレフタレート
・セグメントと、(II)ブチレングリコールと芳香族二
塩基酸とから誘導されたポリエステルセグメントと、
(III)ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘
導されたポリエステルセグメントとを、合計量を100
重量部として、I:II:III =30〜80:8〜63:
2〜42の重量比で含有するポリエステル乃至ポリエス
テル組成物から成り且つ該ポリエステル乃至ポリエステ
ル組成物100重量部当たり0.01乃至1.5重量部
の分子量400以上の非イオウ系酸化防止剤を少なくと
も一種類含有することを特徴とするラミネートが提供さ
れる。
【0019】前記ポリエステル組成物がポリエチレンテ
レフタレート・セグメント(I)を主体とするポリエステ
ルと、ポリエステル・セグメント(II)及びポリエステ
ル・セグメント(III)を含む共重合ポリエステルとの
ブレンド物であることが好ましく、この場合、前記ブレ
ンド物中のポリエチレンテレフタレート・セグメント
(I)を主体とするポリエステルが、下記式(3) E=100・[1-exp{(Hu/R)・(1/Tm0−1/Tm)}]…(3) ここで、 Hu :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0:エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融点(K)。 で定義されるエステル交換率(E)が0.5乃至20%の
範囲にあるものが特に好ましい。また、ブレンド物の
[η]が0.55以上であることが特に好ましい。
【0020】本発明によれば、前記ラミネートを加工し
て得られ、少なくとも内面がポリエステル組成物で被覆
された容器が提供される。
【0021】
【発明の実施形態】
[作用]本発明では、ポリエステルをダイスを通して溶
融押出し、これを直接、或いは一旦フィルムに成形した
後、金属等の基体にラミネートするが、このポリエステ
ルとして、前記式(1)の溶融粘度比(R)が2.0以
上であり、且つ剪断速度1216sec-1での溶融粘度
η1216が500ポイズ以上のポリエステルを選択するこ
とにより、ドローレゾナンス現象を抑制し、均一な膜厚
で且つ被覆欠陥がなくしかも基体との密着性に優れたラ
ミネートを、高い歩留まりをもって、しかも100m/
min以上という高速度で安定して製造することができ
る。
【0022】本発明において、剪断速度1216sec
-1での溶融粘度(η1216)を問題としているのは、押出
機やダイス内部では、高剪断速度でポリエステルの溶融
押出が行われており、この高剪断速度の一基準値として
上記剪断速度を採用している。また、前記式(1)の溶
融粘度比(R)は、高剪断速度1216sec-1での溶
融粘度と低剪断速度12.2sec-1での溶融粘度との
比であって、剪断速度の範囲として100倍の範囲をと
ったものであるが、この比はポリエステル溶融流動体の
非ニュートニアン性を示すものである。即ち、ニュート
ニアン性流体の場合、溶融粘度比(R)は1.0である
が、ニュートニアン流体からのずれが大きくなるに従っ
て、この溶融粘度比(R)は1に比べて大きな値をとる
ようになる。
【0023】一般に、ドローレゾナンス現象を抑制する
ためには、安定した流動性を持ち、溶融張力の大きい樹
脂を用いることが有効であるが、ポリエステルでは溶融
張力の増大は粘度の著しい上昇を伴うことから、通常の
押出し機では押出し自体が不能となる場合が多く、高速
押出しは不可能であった。押出し温度を上げて押出し可
能にした場合、樹脂の減粘・張力減少などから、前述の
ドローレゾナンス現象やダイからの溶融樹脂の滴下を引
き起こし、高速ラミネーションを行うことはできない。
【0024】これに対して、本発明においては、前述し
た溶融粘度特性に関連して、剪断速度の大きい押出し機
内部においては、ポリエステル溶融物が低粘度に維持さ
れて低負荷で押出しが可能となると共に、ダイスから解
放された後は剪断が掛からず粘度上昇し溶融張力も増大
するため、樹脂のタレやドローレゾナンス現象が抑制さ
れる。また流路内やダイス内部では、ポリエステル溶融
物は非ニュートン流動特性を持つため、不安定流動を生
じにくく、この点でもドローレゾナンス現象の発生が抑
制されるものである。
【0025】従来、金属−ポリエステル積層体の製造に
使用されているポリエステルの溶融粘度比(R)は1或
いはその前後の値をとるものであり、このようなポリエ
ステルを押出コートで基体上にラミネートすると、後述
する比較例に示すとおり、耳ぶれを発生する。耳ぶれは
高速になるほど激しくなるため、高速押出しを行うこと
はできない。
【0026】これに対して、本発明によれば、溶融粘度
比(R)及びη1216を上記範囲に設定することにより、
後述する実施例に示すとおり、耳ぶれや滴下の発生を完
全に抑制しながら、100m/min以上の高速でのラ
ミネートが可能となるのである。添付図面の図1は、種
々のポリエステルについて、溶融粘度比(R)を縦軸及
びη1216を横軸として、ドローレゾナンスとの関係をプ
ロットしたグラフであり、ドローレゾナンスを防止する
上で、本発明で規定した溶融粘度特性を有することが重
要であることが了解される。
【0027】本発明に用いるポリエステルにおいて、剪
断速度1216sec-1における溶融粘度(η1216)は
500ポイズ以上であることが必要であり、これ以下で
はダイスからの溶融樹脂の滴下を生じて製膜できない。
またその上限は押出し機の性能に依存するが、一般に押
出し機の過度の負荷を軽減させ、メルトフラクチャーの
発生を防止するためには、上記η1216は4000ポイズ
以下であることが望ましい。一方、溶融粘度比(R)は
2.0以上であることが必要である。
【0028】前記樹脂層はまた、溶融押出し時の温度に
おいて、0.2乃至1.5グラムの溶融張力を有するも
のであることが好ましく、溶融張力が上記範囲よりも低
い場合には、ドローレゾナンス(耳ぶれ)が発生する傾
向があり、一方溶融張力が上記範囲よりも高い場合に
は、高速下で膜切れを発生する傾向がある。前記樹脂層
は更に、溶融押出し時の温度において、1.3乃至2.
0のダイスウェルを有するものであることが好ましく、
溶融張力にも関係するが、ダイスウェルが上記範囲より
も小さい場合には、ドローレゾナンス(耳ぶれ)が発生
する傾向があり、一方ダイスウェルが上記範囲よりも大
きい場合には、高速下で膜切れを発生する傾向がある。
【0029】前記樹脂層はまた、下記式(2) d=Mw/Mn …(2) 式中、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子
量である、で定義される多分散度(d)が2.5以上であ
るものであることが好ましく、多分散度(d)が上記の
範囲内にあれば、安定した押出性が確保される。
【0030】本発明によれば、製膜時或いはラミネート
時のドローレゾナンス現象が解消されるため、利用でき
る膜幅が広く、膜の歩留まりがよく、また製膜時或いは
ラミネート時の生産性に優れるという利点がある。ま
た、押出時のネックインが小さいため、膜のトリミング
幅が小さくて済み、利用できる膜幅が広く、歩留まりが
よくなると共に、膜の平面性も優れたものとなる。この
ため、本発明によると、被覆の均一性及び被覆の完全さ
に優れたポリエステル被覆層が形成される。本発明によ
るラミネートのポリエステル被覆層は、金属等の基体と
の密着性に優れ且つ容器等への成形性にも優れている。
【0031】本発明では、上記の通り、特定の溶融粘度
特性のポリエステル乃至ポリエステル組成物を溶融押出
することが重要であるが、それと同時に押出物を急冷す
ることが重要である。即ち、押出後に樹脂を急冷するこ
とにより、粗大結晶の生成を抑制し、ラミネートの容器
への成形やフィルムの二軸延伸加工に際して、優れた成
形性が保持される。
【0032】本発明の押出加工によるラミネートのポリ
エステル被覆層の密度と非晶密度の差は、0.05以下
という特徴がある。ここで上記密度の関係式は、下記式 ρ−ρa ≦ 0.05 式中、ρはポリエステル被覆層の密度勾配管法で測定さ
れる密度であり、ρa は上記ポリエステル被覆層を融点
より30℃高い温度で3分間保持し、次いで液体窒素中
で急冷して作成した非晶試料の密度である。で表され
る。
【0033】本発明のラミネートでは、ポリエステル被
覆層の密度が、上記の範囲に抑制されているため、その
構造は非晶に近く、金属等の基体に対する密着性が向上
し、且つ絞りや絞り−しごきに対する加工性が向上して
いるものと認められる。
【0034】本発明のラミネートを絞り成形或いは絞り
−しごき成形、接着或いは溶接による缶胴成形加工に付
すると、優れた加工性、耐衝撃性(耐デント性)、耐腐
食性及び耐熱性を有する容器が得られる。即ち、絞り成
形或いは絞り−しごき成形加工によるシームレス容器の
側壁部(胴部)のポリエステル層は、容器軸方向に一軸
配向され、優れた配向結晶性を有することにより、耐衝
撃性に優れており、また腐食成分に対するバリアー性に
優れている。
【0035】本発明では、金属基体に積層されるポリエ
ステルとして、(I)ポリエチレンテレフタレート・セ
グメントと(II)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸
とから誘導されたポリエステル・セグメントと(III )
ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導された
ポリエステル・セグメントとを、合計量を100重量部
として、I:II:III =30〜80:8〜63:2〜4
2の重量比で含有するポリエステル乃至ポリエステル組
成物を用いることが好ましく、積層体に優れた加工性、
耐衝撃性(耐デント性)、耐腐食性及び耐熱性を付与す
ることができる。これらの特性は、金属基体−ポリエス
テル積層体を絞り−再絞り加工或いは絞り−しごき加工
等に付して、シームレス缶を製造するときに極めて重要
な特性である。
【0036】本発明に使用するポリエステルにおいて、
上記エチレンテレフタレート・セグメント(I)は、形
成される被覆に機械的強度や剛性及び耐熱性を付与する
成分であり、一方ポリエステル・セグメント(II)及び
(III )は形成されるポリエステル被覆のガラス転移温
度を低下させると同時に結晶化速度を速くし、微細結晶
を生成するとともに、ポリエステル被覆層の加工性を向
上させ、さらに缶の用途に適用した際の耐デント性を向
上させる成分であり、これらを組み合わせて用いること
により、耐熱性を低下させることなく、耐衝撃性の向上
が得られる。
【0037】即ち、ポリエステル・セグメント(II)及
びポリエステル・セグメント(III)を同時に組み込む
ことによって、デント試験後の金属露出を著しく抑制で
きる。
【0038】本発明のポリエステル乃至ポリエステル組
成物は、前述した重量比の組成を有することも重要であ
り、ポリエステル・セグメント(I)の量が80重量部
よりも多いときには、ポリエステル組成物の耐衝撃性が
本発明の範囲内にある場合に比して低下する傾向があ
り、一方ポリエステル(I)の量が30重量部よりも少
ないときには、ポリエステル組成物の耐熱性が本発明の
上記範囲内にある場合に比して低下する傾向があり、更
にフィルムが工具に粘着したりする成形上の問題があ
り、いずれも好ましくない。
【0039】また、ブチレングリコールと芳香族二塩基
酸とから誘導されたポリエステル・セグメント(II)の
量が63重量部よりも多いときや、ブチレングリコール
と脂肪族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグ
メント(III )の量が42重量部よりも多いときには、
耐衝撃性が本発明の場合に比して低下する傾向があり、
特にシームレス缶にしたとき、衝撃を受けた際の金属露
出(ERV)が大きくなる。また、ポリエステル・セグ
メント(II)の量が8重量部よりも少ないときや、ポリ
エステル・セグメント(III )の量が2重量部よりも少
ないときには、耐衝撃性能がやはり本発明の場合に比し
て低下する傾向があり、特にシームレス缶にしたとき、
衝撃を受けた際の金属露出(ERV)が大きくなり、耐
衝撃性に関してポリエステル・セグメント(II)及び
(III )の量には最適範囲がある。
【0040】本発明においては、ポリエステル組成物が
(I)エチレンテレフタレート・セグメントを主体とす
るポリエステルと、ポリエステル・セグメント(II)及
びポリエステル・セグメント(III )を含む共重合ポリ
エステルとのブレンド物であることが、耐熱性の点で、
特に好ましい。たとえば同じ成分比であっても、これら
三者が共重合ポリエステル中に存在する場合には、その
融点が低下する傾向があるが、上記のブレンドの形で用
いることにより、被覆の耐熱性が向上する。
【0041】本発明では、上記ブレンド物中の成分
(I)、即ちエチレンテレフタレート系結晶性ポリエス
テルの前記式(3)に示すエステル交換率が0.5〜2
0%の範囲にあることが好ましい。
【0042】エステル交換率を求める前記式(3)は、
一般に知られているフローリーの式を基にしたものであ
り、ブレンド物中のエステル交換反応の程度と、エチレ
ンテレフタレート主体の結晶性ポリエステル(I)の融
点降下との間に一定の関係があることに基づいて、求め
られるものである。即ち、ポリエステル(I)の融点降
下が全く生じていない場合、式(3)左辺の1/Tm0
−1/Tmの値は0となり、エステル交換率Eはゼロ%
となる。融点降下の程度が大きくなると、1/Tm0−
1/Tmの値は負でその絶対値が大きくなり、エステル
交換率Eは大きな値となる。
【0043】本発明の好適な態様では、上記エステル交
換率が0.5乃至20%の範囲にあることが、衝撃後の
耐食性に関して重要である。即ち、エステル交換率が
0.5%を下回る場合には、両成分のブレンドが不十分
で、満足すべき物性のフィルムを得ることができない。
一方、エステル交換率が20%を上回ると、樹脂の製膜
性、ラミネートの加工性、被覆の耐熱性、成形容器の諸
物性に悪影響を及ぼす。即ち、ポリエステルの溶融押出
時に、エステル交換率が高すぎると、製膜時ののネック
インが大きくなり、Tダイ幅に対して樹脂の膜幅が小さ
くなる傾向がある。また、ネックインの増大に伴い、全
体の膜幅だけでなく、製品として利用できる平坦厚みの
幅も減少する傾向がある。また、金属とラミネートされ
た状態においても、エステル交換率が高すぎると、ラミ
ネートの加工性に悪い影響を与える。更に、容器の状態
でも、耐デント性、即ち、衝撃後の耐食性が著しく低下
する。この理由は、次の通りと考えられる。ブレンド物
は海−島構造の二相構造を有しており、本願ではポリエ
チレンテレフタレート主体のポリエステル(I)成分と
ブチレングリコールと芳香族酸あるいは脂肪族酸から誘
導されたポリエステル(II)成分および(III) 成分に
相当する。(I)成分は耐熱性に寄与し、(II)成分お
よび(III) 成分は被膜のガラス転移温度を低下させ、
結晶化速度を速くすることにより熱処理後の耐衝撃性を
向上する。エステル交換率が20%を越えると(I)成
分の耐熱性が損なわれると同時に、(II)成分および
(III) 成分のガラス転移温度の低下効果および結晶化
速度を速くする効果が損なわれるために耐衝撃性が低下
すると考えられる。これに対して、エステル交換率が上
記範囲内にあるブレンド物の被覆層では、熱結晶化が抑
制され、衝撃時のフィルム割れが防止され、優れた耐食
性が維持されるものである。
【0044】本発明では、上記のポリエステル乃至ポリ
エステル組成物100重量部当たり分子量400以上の
非イオウ系酸化防止剤を0.01乃至1.5重量部の範
囲で含有させることが好ましく、これにより、高温での
熱処理を受けた後での耐デント性を著しく向上させるこ
とができる。
【0045】即ち、金属−ポリエステル積層体を絞り成
形して成るシームレス缶では、ポリエステル被覆層に歪
みが残留しており、缶の耐久性や耐熱水性の点では、こ
の歪みを高温での熱処理により除去することが望まし
い。本発明で用いる特定のポリエステル乃至ポリエステ
ル組成物は、それ自体耐デント性に優れたものではある
が、例えば240℃で3分間の熱処理を受けると、デン
ト試験後の電流値(金属露出の尺度)が十数mAという
大きな値に達するのであり、この原因は、ポリエステル
に著しい熱分解が生じるためである。
【0046】樹脂の熱分解防止のために、酸化防止剤を
配合することは一般的であるが、例えば酸化防止剤とし
て最も一般的な2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル(BHT)を配合したのでは、熱処理時における熱分
解防止も達成されず、デント試験後の電流値も依然とし
て高いレベルである。これはBHTの分子量が小さく、
比較的高温となるポリエステルの溶融押出し条件では、
その多くが揮発してしまい、熱処理時には十分な酸化防
止効果が得られないことに起因する。
【0047】これに対して、分子量400以上の非イオ
ウ系酸化防止剤を選択し、これを前記ポリエステル乃至
ポリエステル組成物に配合すると、熱処理時における分
解が完全に防止されると共に、デント試験後の金属露出
を著しく低下させることができる。尚、使用する酸化防
止剤を非イオウ系と限定しているのは、イオウ系の酸化
防止剤では、添加したポリエステル組成物に着色や異臭
が生じるためである。
【0048】本発明では、上記酸化防止剤を0.01乃
至1.5重量部の限定された量で用いることも重要であ
り、上記範囲を下回ると所定の効果が得られなく、一方
上記範囲を上回ると、ポリエステルのゲル化を生じて被
覆の平滑性が失われてシームレス缶への成形が困難とな
る傾向がある。
【0049】本発明の積層体及びシームレス容器におい
て、上記ポリエステル・セグメント(I)(II)及び
(III )を含有する酸化防止剤配合ポリエステル乃至ポ
リエステル組成物は、少なくとも、耐食性が問題となる
缶内面側に設けるべきであり、これは単層で設けても、
或いは多層で設けてもよい。後者の場合、酸化防止剤配
合ポリエステル層を下地樹脂層として設け、この下地樹
脂層の上に表面樹脂層として、ガラス転移温度70℃以
上のエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエス
テルを設けるのが、加工性、耐食性、耐衝撃性、フレー
バー保持性等の総合的見地から望ましい。このポリエス
テルの例としてエチレンテレフタレート/イソフタレー
ト単位またはエチレンテレフタレート/ナフタレート単
位のポリエステルが挙げられる。
【0050】本発明において、ポリエステルを主体とす
る層は、押出コートにより金属基体上に設けられていて
も、或いは二軸延伸フィルムの形で金属基体上に熱接着
されていてもよい。前者の場合、ポリエステルを製膜
し、二軸延伸することなしに直接ラミネートすることが
でき、この場合にも十分にシームレス缶に加工でき、こ
の缶においても前述した諸特性が得られるという利点が
ある。このため、前者の態様によれば、諸工程を省略し
て、生産性を高め、設備費を節減して、高性能のシーム
レス缶を安価に提供できるという利点をもたらす。ま
た、後者の場合、フィルムの製膜工程やラミネート工程
での熱分解の程度が少なく、缶底部において、ポリエス
テルの二軸分子配向による耐衝撃性や耐腐食性の向上効
果を享受できるという利点がある。
【0051】[ポリエステル]本発明に用いるポリエス
テル層は、前記式(1)で定義される溶融粘度比(R)
が2.0以上の範囲にあり且つη1216が500ポイズ以
上、特に500乃至4000ポイズの範囲にあるポリエ
ステル乃至ポリエステル組成物である。本明細書におい
て、ポリエステルとは、ホモポリエステルのみならず、
共重合ポリエステルをも含む意味で使用するものであ
る。また、このポリエステル樹脂層は、溶融押出し時の
温度において、0.2乃至1.5グラムの溶融張力及び
1.3乃至2.0のダイスウェルを有し、前記式(2)
で定義される多分散度(d)が2.5以上であることが好
ましい。
【0052】上記ポリエステル乃至ポリエステル組成物
は、被覆層の物性と溶融押出特性の点から、0.55以
上の固有粘度[η]を有するのが望ましく、また、耐熱
性や加工性と溶融押出特性の点から、160乃至270
℃、特に200乃至250℃の範囲に少なくとも1つの
融解ピークを有することが好ましい。
【0053】ポリエステルが誘導される酸成分として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタール酸、
P−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン−2,6
−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカ
ルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の二塩
基性芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、
シクロヘキサンジ酢酸等の脂環族ジカルボン酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン
酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ヘミメリット
酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,
1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタン
トリカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテト
ラカルボン酸、ビフェニル−3,4,3’,4’−テト
ラカルボン酸等の多塩基酸等が挙げられる。勿論、これ
らは、単独でも或いは2種以上の組み合わせでも使用さ
れる。
【0054】ポリエステルが誘導されるアルコール成分
としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタ
ノール等のジオール類や、ペンタエリスリトール、グリ
セロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキ
サントリオール、ソルビトール、1,1,4,4−テト
ラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の多価ア
ルコール等が挙げられる。勿論、これらは、単独でも或
いは2種以上の組み合わせでも使用される。
【0055】上記溶融粘度特性を有するポリエステルの
適当な例として、ポリエステル主鎖中に3官能以上の多
官能成分を導入して、分岐鎖或いは架橋鎖を形成したも
のであり、その具体例としては、(a)テレフタール酸
等の芳香族ジカルボン酸を主体とする二塩基酸、(b)
エチレングリコール及び/またはブチレングリコールを
主体とするジオール及び(c)三官能以上の多塩基酸及
び多価アルコールから成る群より選択された少なくとも
1種の分岐乃至架橋成分から誘導されたポリエステル乃
至ポリエステル組成物が挙げられる。三官能以上の多塩
基酸及び多価アルコールとしては、前に例示したものが
使用される。
【0056】三官能以上の多塩基酸及び多価アルコール
ビスフエノールの多官能成分は、ポリエステル乃至ポリ
エステル全体当たり0.05乃至3.0モル%、好まし
くは0.1乃至3.0モル%含有されていることが好ま
しく、上記含有量よりも低いと、前述した溶融粘度特性
を得ることが困難となる傾向があり、上記含有量よりも
多いとポリエステルのゲル発生など溶融押出特性が低下
したり、被覆層の機械的性質が低下する傾向がある。
【0057】本発明で好適に使用されるポリエステル乃
至ポリエステル組成物は、(I)ポリエチレンテレフタ
レート・セグメントと(II)ブチレングリコールと芳香
族二塩基酸とから誘導されたポリエステル・セグメント
と(III )ブチレングリコールと脂肪族二塩基酸とから
誘導されたポリエステル・セグメントとを、合計量を1
00重量部として、I:II:III =30〜80:8〜6
3:2〜42の重量比で含有する。
【0058】本明細書において、セグメントとは、通常
使用されている意味、即ち、鎖状高分子の特性を統計的
に表現する際に使用される高分子鎖中の最小単位であ
る。前述した各ポリエステル・セグメントは、それぞれ
固有の特性を示すものであることは、既に指摘したとこ
ろであるが、これらの各ポリエステル・セグメントは、
統計的に上記の組成比でポリエステル乃至ポリエステル
組成物に含まれていればよく、その存在状態は特に問わ
ない。例えば、ポリエステル相互のブレンド物でもよ
く、また共重合ポリエステルでもよい。
【0059】しかしながら、本発明においては、(I)
エチレンテレフタレート・セグメントを主体とするポリ
エステル(A)と、ポリエステル・セグメント(II)及
びポリエステル・セグメント(III )を含む共重合ポリ
エステル(B)とのブレンド物であることが好ましいの
で、以下この例について詳細に説明するが、本発明はこ
の場合に限定されない。
【0060】本発明で一方の成分として用いるエチレン
テレフタレート系結晶性ポリエステル(A)は、エステ
ル反復単位の大部分、80モル%以上をエチレンテレフ
タレート単位が占める結晶性ポリエステルが好適であ
る。ホモポリエチレンテレフタレートが耐熱性の点で好
適であるが、エチレンテレフタレート単位以外のエステ
ル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用し得る。
【0061】テレフタル酸以外の酸成分としては、イソ
フタル酸、オルソフタル酸、P−β−オキシエトキシ安
息香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジフェノキ
シエタン−4,4′−ジカルボン酸、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリメリット酸、ピロ
メリット酸、ヘミメリット酸、1,1,2,2,−エタ
ンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン
酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,
3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸及びビフェニ
ル−3,4,3′,4′−テトラカルボン酸から成る群
より選ばれた多塩基酸の少なくとも1種が好適である。
共重合成分としてイソフタル酸もしくはナフタレン2,
6−ジカルボン酸を含むポリエステルは耐内容物性、内
容物の香味保持性等に優れている。
【0062】ジオール成分は、エチレングリコールを主
体とすることが好適であり、高速製膜性の点で特にペン
タエリスリトールを含むことが好ましい。更に、本発明
の本質を損なわない範囲で、それ以外のジオール成分、
例えば、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコ
ール、ジペンタエリスリトール、シクロヘキサンジメタ
ノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物
等の1種又は2種以上が含まれていてもよい。
【0063】用いるエチレンテレフタレート系結晶性ポ
リエステル(A)は、フィルム形成範囲の分子量を有す
るべきであり、溶媒として、フェノール/テトラクロロ
エタン混合溶媒を用いて測定した固有粘度〔η〕は0.
5乃至1.5の範囲にあるのがよい。また、このポリエ
ステル(A)の融点(Tm)は、200乃至280℃の
範囲に、またガラス転移点(Tg)は、20乃至90℃
の範囲にあるのがよい。
【0064】本発明で他方の成分として用いる共重合ポ
リエステル(B)は、(II)ブチレングリコールと芳香
族二塩基酸とから誘導されたエステル単位と(III )ブ
チレングリコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたエ
ステル単位とを前記量比で含む共重合ポリエステルであ
る。
【0065】エステル単位(II)を構成する芳香族二塩
基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフ
タル酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン
2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′
−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等
が挙げられるが、テレフタル酸が好適である。
【0066】エステル単位(III )を構成する脂肪族二
塩基酸成分としては、コハク酸、アゼライン酸、アジピ
ン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸、テトラデカン二酸、ダイマー酸等をあげることが
できるが、Tgを低下する効果が大きいことから長鎖の
脂肪族二塩基酸が好ましく、工業的生産の見地から特に
アジピン酸が好ましい。エステル単位(II)あるいはエ
ステル単位(III )を構成する酸成分は、二塩基酸のみ
からなることが好適であるが、本発明の本質を損なわな
い範囲で二塩基酸以上の多塩基酸を含有していてもよ
い。
【0067】ジオール成分は、ブチレングリコールのみ
からなることが好適であるが、本発明の本質を損なわな
い範囲内で、ブチレングリコール以外のジオール成分と
しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAの
エチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上を含有
していてもよい。
【0068】この共重合ポリエステル(B)は、芳香族
エステル単位(II)と 脂肪族エステル単位(III )と
を前記量比で含むことも重要であり、脂肪族エステル単
位の含有量が上記範囲よりも少ないときには、耐衝撃性
(耐デント性)の改善が不十分であり、一方上記範囲を
上回ると、やはり耐衝撃性が低下し、更に被覆の耐熱
性、加工性、腐食成分に対するバリアー性等が低下する
ようになる。
【0069】この共重合ポリエステル(B)も、フィル
ム形成範囲の分子量を有するべきであり、溶媒として、
フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定
した固有粘度〔η〕は0.5乃至2.0の範囲にあるの
がよい。 また、共重合ポリエステル(B)の融点(T
m)は、120乃至230℃の範囲に、またガラス転移
点(Tg)は、−30乃至30℃の範囲にあるのがよ
い。
【0070】本発明では、エチレンテレフタレート系ポ
リエステル(A)と上記の特定の共重合ポリエステル
(B)とを前述した量比となるようにブレンドして使用
する。混合は乾式混合で行っても、或いはメルトブレン
ドによって行ってもよい。
【0071】本発明で用いるポリエステル組成物は、エ
チレンテレフタレート系ポリエステル(A)と共重合ポ
リエステル(B)のブレンドであることに関連して、示
差熱分析に付すると、エチレンテレフタレート系ポリエ
ステル(A)に特有の融点(Tm1 )と、共重合ポリエ
ステル(B)に特有の融点(Tm2 )とを示す。勿論、
各ピークの高さは両成分の配合比に依存する。この事実
は、均一の組成物であっても、エチレンテレフタレート
系ポリエステル(A)と共重合ポリエステル(B)とが
主として互いに独立の相として存在していることを示し
ている。
【0072】しかしながら、このポリエステル組成物
は、後述するブレンドの条件によりエステル交換反応が
進行し、エチレンテレフタレート系ポリエステル(A)
は融点降下を生じる。ブレンド物中のエチレンテレフタ
レート系ポリエステルの融点(Tm)とブレンド前のエ
チレンテレフタレート系ポリエステルの融点(Tm0 )
により前記式(3)で定義されるエステル交換率が、
0.5乃至20%の範囲にあるのが好ましい。
【0073】エチレンテレフタレートを主体とする結晶
性ポリエステル樹脂(A)と、特定の共重合ポリエステ
ル樹脂(B)とのブレンド物において、前述した範囲の
エステル交換率に制御する方法としては、押し出し機の
前工程にて、あらかじめ樹脂チップをブレンドし、樹脂
温度、反応時間、湿度等を制御しながら混練してエステ
ル交換率を制御する方法や、直接原料チップを押し出し
機中に入れて押し出し機中の樹脂温度、滞留時間を制御
する方法などがあり、いずれの方法を用いてもよいが、
混練時の温度、時間はエステル交換反応において非常に
重要なパラメーターである。ポリエステル樹脂の混練時
の温度としては240℃〜280℃が一般的であるが、
温度が高いとエステル交換反応は進みやすいが、逆に熱
分解が始まり、結果的に分子量が低下する。また、混練
時間は長いほどエステル交換率は上昇する。
【0074】混合乃至混練操作は、ブレンダーやヘンシ
ェルミキサー等を用いて乾式混合を行った後、各種ニー
ダー或いは一軸乃至二軸の押出型溶融混練装置や射出機
用混練装置を用いて、溶融混練を行うことができる。
【0075】(酸化防止剤)本発明に用いる酸化防止剤
は、分子量400以上の酸化防止剤であり、これに限定
されるものではないが、高分子フェノール系酸化防止
剤、例えば、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−
ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート)メタン(分子量1177.7)、1,1,3−
トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチル
フェニル)ブタン(分子量544.8)、1,3,5−
トリメチルー2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(分子量77
5.2)、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ
−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グ
リコールエステル(分子量794.4)、1,3,5−
トリス(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ
ベンジル)−s−トリアジン 2,4,6−(1H,3
H,5H)トリオン(分子量783.0)、トリエチレ
ングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](分子
量586.8)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3
−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート(分子量638.9)等を用いるこ
とができる。中でも特に、テトラキス[メチレン−3
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート)メタンが好適である。
【0076】分子量400以上の酸化防止剤の他の例と
して、トコフェロール系酸化防止剤、例えばα−型、β
−型、γ−型、δ−型等のトコフェロールを挙げること
ができる。α−トコフェロールが特に好適である。
【0077】これらの酸化防止剤は、前記ポリエステル
乃至ポリエステル組成物100重量部当たり0.01乃
至1.5重量部の量で用いる。
【0078】勿論、このポリエステル組成物には、それ
自体公知の樹脂用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアン
チブロッキング剤、二酸化チタン(チタン白)等の顔
料、各種帯電防止剤、滑剤等を公知の処方に従って配合
することができる。
【0079】[金属等の基体]本発明では、ポリエステ
ル層をラミネートすべき基体としては、金属板や金属
箔、紙、他のプラスチックフィルム乃至シート等が挙げ
られる。これらの内でも金属板が好ましく、金属板とし
ては各種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板が使
用される。
【0080】表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍
後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメ
ッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の
一種または二種以上行ったものを用いることができる。
好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板で
あり、特に10乃至200mg/m2 の金属クロム層と
1乃至50mg/m2 (金属クロム換算)のクロム酸化
物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐
腐食性との組合せに優れている。表面処理鋼板の他の例
は、0.5乃至11.2g/m2 の錫メッキ量を有する
硬質ブリキ板である。このブリキ板は、金属クロム換算
で、クロム量が1乃至30mg/m2 となるようなクロ
ム酸処理或いはクロム酸−リン酸処理が行われているこ
とが望ましい。
【0081】更に他の例としては、アルミニウムメッ
キ、アルミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板
が用いられる。
【0082】軽金属板としては、所謂アルミニウム板の
他に、アルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加
工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.
2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Z
n:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.15乃
至0.25重量%、残部がAlの組成を有するものであ
る。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量
が20乃至300mg/m2 となるようなクロム酸処理
或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ま
しい。
【0083】金属板の素板厚、即ち缶底部の厚み(tB
)は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによって
も相違するが、一般に0.100乃至0.500mmの
厚みを有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の場合
には、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属板
の場合には0.15乃至0.40mmの厚みを有するの
がよい。
【0084】金属箔としては、表面処理鋼箔や軽金属箔
の内、厚みが0.005乃至0.120mmの範囲にあ
るものが使用される。この金属箔は所謂カップ容器を製
造するのに有用である。
【0085】[ラミネート及びその製造方法]本発明の
積層体の断面構造の一例を示す図2において、この積層
体1は金属基体2と少なくとも内面側に位置するポリエ
ステル組成物層3とから成っている。金属基体2には外
面被膜4が形成されているが、この外面被膜4はポリエ
ステル組成物層3と同様のものであってもよいし、また
通常の缶用塗料や樹脂(ポリエステル)フィルム被覆で
あってもよい。
【0086】積層体の断面構造の他の例を示す図3にお
いて、ポリエステル組成物層3と金属基体2との間に接
着用プライマーの層5を設けている以外は、図2の場合
と同様である。
【0087】積層体の断面構造の他の例を示す図4にお
いて、ポリエステル組成物層3を下地樹脂層とし、この
ポリエステル組成物層3の上にエチレンテレフタレート
系ポリエステルの表面樹脂層6を設けている以外は図2
の場合と同様である。
【0088】本発明に用いるポリエステル−金属ラミネ
ートは、前記ポリエステル組成物を溶融状態で金属基体
上に押出しコートして、熱接着させることにより製造す
ることができる。また、別法として、予め製膜されたポ
リエステルフィルムを金属基体に熱接着させることによ
っても製造することができる。
【0089】本発明において、押出コートやフィルムの
熱接着に使用するポリエステル層は、単層であっても、
また多層の積層構造のものであってもよい。多層の場
合、下地樹脂層が前述したブレンド物から成り、表面樹
脂層が前述した80モル%以上のエチレンテレフタレー
ト単位からなる共重合ポリエステルから成るのがよい。
表面樹脂層は、70℃以上のガラス転移点(Tg)を有
することが好ましい。
【0090】本発明に使用するポリエステル層の厚み
は、全体として、2乃至100μm、特に5乃至50μ
mの範囲にあるのが金属の保護効果及び加工性の点でよ
い。多層の場合、ブレンド物層と、エチレンテレフタレ
ート系ポリエステル層とは、96:4乃至4:96の厚
み比を有するのがよい。
【0091】ポリエステル−金属ラミネートの押出コー
ト法による製造方法を説明するための図5において、金
属板11を必要により加熱装置12により予備加熱し、
一対のラミネートロール13、13間のニップ位置13
aに供給する。一方、ポリエステル組成物は、金属板の
両側に配置された押出機のダイヘッド14、14を通し
て薄膜15、15の形に押し出し、ラミネートロール1
3と金属板11との間に供給され、ラミネートロール1
3により金属板11に圧着される。ラミネートロール1
3は、一定の温度に保持されており、金属板11にポリ
エステル組成物から成る薄膜15を圧着して両者を熱接
着させると共に両側から冷却して積層体16を得る。一
般に、形成される積層体16を更に冷却用水槽18等に
導いて、熱結晶化を防止するため、急冷を行う。
【0092】この押出コート法では、樹脂組成の選択と
ロールや冷却槽による急冷とにより、ポリエステル乃至
ポリエステル組成物の層は、結晶化度が、低いレベル、
非晶密度との差が0.05以下に抑制されているため、
ついで行う絞り加工等に対する十分な加工性が保証され
る。勿論、急冷操作は上記例に限定されるものではな
く、形成されるラミネートに冷却水を噴霧して、ラミネ
ートを急冷することもできる。
【0093】金属基体に対するポリエステル組成物の熱
接着は、溶融ポリエステル層が有する熱量と、金属板が
有する熱量とにより行われる。金属板の加熱温度
(T1 )は、一般に90℃乃至290℃、特に100℃
乃至280℃の温度が適当であり、一方ラミネートロー
ルの温度は10℃乃至150℃の範囲が適当である。
【0094】本発明において、積層体の製造に予め製膜
されたポリエステルフィルムを使用することもできる。
このフィルムは、上記ポリエステル組成物をT−ダイ法
でフィルムに成形し、過冷却された未配向のキャストフ
ィルムとする。この未配向のフィルムを熱接着に用いる
こともできるし、また、このキャストフィルムを公知の
方法により、逐次或いは同時二軸延伸し、延伸後のフィ
ルムを熱固定したものをラミネートの製造に用いること
もできる。
【0095】ポリエステル系フィルムは一般に二軸延伸
されているのが好ましい。二軸配向の程度は、X線回折
法、偏光蛍光法、複屈折法、密度勾配管法密度等でも確
認することができる。フィルムの二軸延伸の程度は、
0.04乃至0.18の複屈折を有するものが適当であ
る。フィルムの延伸は一般に80乃至130℃の温度
で、面積延伸倍率が2.5乃至16.0、特に4.0乃
至14.0となる範囲から、ポリエステルの種類や他の
条件との関連で、複屈折が前記範囲となる延伸倍率を選
ぶ。また、フィルムの熱固定は、130乃至240℃、
特に150乃至230℃の範囲から、やはり前記条件が
満足されるような熱固定温度を選ぶ。
【0096】一般に必要でないが、接着用プライマーを
用いる場合には、フィルムへの接着用プライマーとの密
着性を高めるために、二軸延伸ポリエステルフィルムの
表面をコロナ放電処理しておくことが一般に望ましい。
コロナ放電処理の程度は、そのぬれ張力が44dyne
/cm以上となるようなものであることが望ましい。
【0097】この他、フィルムへのプラズマ処理、火炎
処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン
樹脂系、変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーテ
ィング処理を行っておくことも可能である。
【0098】ポリエステルフィルムを使用するラミネー
ト方法を説明するための図6において、金属板11を加
熱ロール12により用いるポリエステルの融点(Tm)
以上の温度(T1 )に加熱し、ラミネートロール13、
13間に供給する。一方、ポリエステルフィルム15
は、供給ロール17から巻きほぐされ、ラミネートロー
ル13、13間に金属板11をサンドイッチする位置関
係で供給される。ラミネートロール13、13は、加熱
ロール12よりも若干低い温度(T2 )に保たれてお
り、金属板11の両面にポリエステルフィルムを熱接着
させる。ラミネートロール13、13の下方には、形成
されるラミネート16を急冷するための冷却水18を収
容した水槽が設けられており、この水槽中にラミネート
を導くガイドローラ19が配置されている。ラミネート
ロール13、13と冷却水18との間には一定の間隔の
ギャップGを形成し、このギャップGに保温機構19a
を設けて、一定の温度範囲(T3 )に保持し、ポリエス
テルの溶融相から固相への遷移状態において、配向の戻
りによるフィルム厚み方向途中における二軸配向のピー
クが形成されるようにするのがよい。
【0099】金属板の加熱温度(T1 )は、一般にTm
+0℃乃至Tm+100℃、特にTm+0℃乃至Tm+
50℃の温度が適当であり、一方ラミネートロール13
の温度T2 は、70℃乃至180℃、特に80℃乃至1
50℃の範囲が適当である。上記の温度設定により、金
属板上のポリエステルには、上記温度差に対応する温度
勾配が形成され、この温度勾配は次第に消失するが、ポ
リエステルの表面側から金属板側への厚み方向途中の部
分が、溶融相から固相への遷移状態において配向の戻り
現象を生じる温度領域を十分な時間をかけて通過するよ
うにする。このために、ラミネートロール通過後のラミ
ネートを、保温域で保温するのが有効である。
【0100】ポリエステルフィルムと金属素材の間に所
望により設ける接着プライマーは、金属素材とポリエス
テル組成物層との両方に優れた接着性を示すものであ
る。密着性と耐腐食性とに優れたプライマー塗料の代表
的なものは、種々のフェノール類とホルムアルデヒドか
ら誘導されるレゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、
ビスフェノール型エポキシ樹脂とから成るフェノールエ
ポキシ系塗料であり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹
脂とを50:50乃至5:95重量比、特に40:60
乃至10:90の重量比で含有する塗料である。接着プ
ライマー層は、一般に0.01乃至10μmの厚みに設
けるのがよい。接着プライマー層は予め金属素材上に設
けてもよい。
【0101】本発明におけるラミネートの製造は、上記
の方法に限定されない。即ち、予め形成された延伸乃至
未延伸のフィルムと金属基体等との間に、前述したポリ
エステル乃至ポリエステル組成物を溶融押出する、所謂
サンドイッチラミネーションによっても、ラミネートを
製造することができる。この手段は、非常に融点の異な
る複数の樹脂や基材密着性に劣る樹脂を積層できる利点
を有する。勿論、エチレンテレフタレート系高結晶性ポ
リエステルフィルムと、金属基体を前述したポリエステ
ルブレンド物の溶融物を介して積層するのにも有利に使
用できる。
【0102】[シームレス缶及びその製造]本発明のシ
ームレス缶の一例を示す図7において、このシームレス
缶21は前述したポリエステル−金属ラミネート1の絞
り−再絞り加工による曲げ伸ばし或いは更にしごき加工
により形成され、底部20と側壁部22とから成ってい
る。側壁部22の上端には所望によりネック部23を介
してフランジ部24が形成されている。この缶21で
は、底部20に比して側壁部22は曲げ伸ばし或いは更
にしごき加工により積層体元厚の20乃至95%、特に
30乃至85%の厚みとなるように薄肉化されている。
【0103】本発明のシームレス缶は、上記のポリエス
テル−金属ラミネートをポンチとダイスとの間で、有底
カップに絞り−深絞り成形し、深絞り段階で曲げ伸ばし
或いは更にしごきによりカップ側壁部の薄肉化を行なう
ことにより製造される。即ち、薄肉化のための変形を、
缶軸方向(高さ方向)の荷重による変形(曲げ伸ばし)
と缶厚み方向の荷重による変形(しごき)との組み合わ
せでしかもこの順序に行う。曲げ伸ばしはエチレンテレ
フタレート単位のc軸方向への分子配向を与え、一方し
ごきはエチレンテレフタレート単位のベンゼン面のフィ
ルム面に平行な分子配向を与える。
【0104】本発明のシームレス缶は、上記のポリエス
テル−金属ラミネートを有底カップに絞り成形或いは更
に深絞り成形することにより得られ、好ましくは、この
深絞り段階で曲げ伸ばし或いは曲げ伸ばしとしごきを行
うことによりカップ側壁部の薄肉化を行なう。
【0105】例えば、深絞り曲げ伸ばし成形(絞り−曲
げ伸ばし再絞り成形)によれば、被覆金属板から成形さ
れた前絞りカップを、このカップ内に挿入された環状の
保持部材とその下に位置する再絞りダイスとで保持す
る。これらの保持部材及び再絞りダイスと同軸に、且つ
保持部材内を出入し得るように再絞りポンチを配置す
る。再絞りポンチと再絞りダイスとを互いに噛みあうよ
うに相対的に移動させる。
【0106】これにより、前絞りカップの側壁部は、環
状保持部材の外周面から、その曲率コーナ部を経て、径
内方に垂直に曲げられて環状保持部材の環状底面と再絞
りダイスの上面とで規定される部分を通り、再絞りダイ
スの作用コーナ部により軸方向にほぼ垂直に曲げられ、
前絞りカップよりも小径の深絞りカップに成形すること
ができる。
【0107】この際、再絞りダイスの作用コーナー部の
曲率半径(Rd )を、金属板素板厚(tB )の1乃至
2.9倍、特に1.5乃至2.9倍の寸法とすることに
より、側壁部の曲げ引張りによる薄肉化を有効に行うこ
とができる。のみならず、側壁部の下部と上部とにおけ
る厚みの変動が解消され、全体にわたって均一な薄肉化
が可能となる。一般に、缶胴の側壁部を素板厚(tB )
基準で80%以下の厚み、45%迄、特に40%迄の厚
みに薄肉化することができる。
【0108】深絞り缶の場合、下記数式(5) 式中、Dは剪断したラミネート材の径であり、dはポン
チ径である、で定義される絞り比RD は一段では1.1
乃至3.0の範囲、トータルでは1.5乃至5.0の範
囲にあるのがよい。
【0109】また再絞り或いは曲げ伸ばしでは、再絞り
ダイの曲げ伸ばし加工部の後方にしごき加工部を配置し
て、側壁部に対してしごき加工を行うこともできる。
【0110】曲げ伸ばし或いは更にしごきにより、下記
数式(6) 式中、tB は素板厚であり、tW は側壁部の厚みである
で定義されるリダクション率RI が20乃至95%、特
に30乃至85%の厚みになるように薄肉化することが
好ましい。
【0111】絞り成形等に際して、被覆金属板或は更に
カップに、各種滑剤、例えば流動パラフィン、合成パラ
フィン、食用油、水添食用油、パーム油、各種天然ワッ
クス、ポリエチレンワックスを塗布して成形を行うのが
よい。滑剤の塗布量は、その種類によっても相違する
が、一般に0.1乃至10mg/dm2 、特に0.2
乃至5mg/dm2 の範囲内にあるのがよく、滑剤の塗
布は、これを溶融状態で表面にスプレー塗布することに
より行われる。
【0112】カップへの絞り成形性を向上させるため、
ポリエステル被覆絞りカップの温度を被覆樹脂のガラス
転移点(Tg)以上、特に熱結晶化温度以下の範囲に予
め設定加熱して、樹脂被覆層の塑性流動を容易にした状
態で成形することが有利である。
【0113】成形後の内面側有機被覆金属製カップは、
カップ開口部の耳の部分を切断する、所謂トリミングを
行った後、印刷工程に付する。このトリミング処理に先
立って、成形後のカップを被覆樹脂のガラス転移点(T
g)以上で融点よりも低い温度に加熱して、被覆樹脂の
歪みを緩和しておくことができる。この操作は、熱可塑
性樹脂の場合特に被覆と金属との密着性を高めるために
有効である。
【0114】ラミネートの絞り−しごき成形は、好適に
は次の手段で行われる。即ち、図8に示す通り、被覆金
属板から成形された前絞りカップ30は、このカップ内
に挿入された環状の保持部材31とその下に位置する再
絞り−しごきダイス32とで保持される。これらの保持
部材31及び再絞り−しごきダイス32と同軸に、且つ
保持部材31内を出入し得るように再絞り−しごきポン
チ33が設けられる。再絞り−しごきポンチ33と再絞
り−しごきダイス32とを互いに噛みあうように相対的
に移動させる。
【0115】再絞り−しごきダイス32は、上部に平面
部34を有し、平面部の周縁に曲率半径の小さい作用コ
ーナー部35を備え、作用コーナー部に連なる周囲に下
方に向けて径の減少するテーパー状のアプローチ部36
を有し、このアプローチ部に続いて曲率部37を介して
円筒状のしごき用のランド部(しごき部)38を備えて
いる。ランド部38の下方には、逆テーパ状の逃げ39
が設けられている。前絞りカップ30の側壁部は、環状
保持部材31の外周面40から、その曲率コーナ部41
を経て、径内方に垂直に曲げられて環状保持部材31の
環状底面42と再絞りダイス32の平面部34とで規定
される部分を通り、再絞りダイス32の作用コーナ部3
5により軸方向にほぼ垂直に曲げられ、前絞りカップ3
0よりも小径の深絞りカップに成形される。この際、作
用コーナー部35において、コーナー部35と接する側
の反対側の部分は、曲げ変形により伸ばされ、一方、作
用コーナー部35と接する側の部分は、作用コーナー部
を離れた後、戻し変形で伸ばされ、これにより側壁部の
曲げ伸ばしによる薄肉化が行われる。
【0116】曲げ伸ばしにより薄肉化された側壁部は、
その外面が径の次第に減少する小テーパー角のアプロー
チ部36と接触し、その内面がフリーの状態で、しごき
部38に案内される。側壁部がアプローチ部を通過する
行程は続いて行うしごき行程の前段階であり、曲げ伸ば
し後のラミネートを安定化させ、且つ側壁部の径を若干
縮小させて、しごき加工に備える。即ち、曲げ伸ばし直
後のラミネートは、曲げ伸ばしによる振動の影響があ
り、フィルム内部には歪みも残留していて、未だ不安定
な状態にあり、これを直ちにしごき加工に付した場合に
は、円滑なしごき加工を行うことができないが、側壁部
の外面側をアプローチ部36と接触させてその径を縮小
させると共に、内面側をフリーの状態にすることによ
り、振動の影響を防止し、フィルム内部の不均質な歪み
も緩和させて、かつ曲げ伸ばしにより発生した熱も奪
い、円滑なしごき加工を可能にするものである。
【0117】アプローチ部36を通過した側壁部は、し
ごき用のランド部(しごき部)38と再絞り−しごきポ
ンチ33との間隙に導入され、この間隙(C1)で規制
される厚みに圧延される。最終側壁部の厚みC1は積層
体元厚(t)の20乃至95%、特に30乃至85%の
厚みとなるように定める。尚、しごき部導入側の曲率部
37は、しごき開始点を有効に固定しながら、しごき部
38への積層体の導入を円滑に行うものであり、ランド
部38の下方の逆テーパ状の逃げ39は、加工力の過度
の増大を防ぐものである。
【0118】再絞り−しごきダイス32の曲率コーナー
部35の曲率半径Rdは、曲げ伸ばしを有効に行う上で
は、ラミネートの肉厚(t)の2.9倍以下であるべき
であるが、この曲率半径があまり小さくなるとラミネー
トの破断が生じることから、ラミネートの肉厚(t)の
1倍以上であるべきである。
【0119】テーパー状のアプローチ部36のアプロー
チ角度(テーパー角度の1/2)αは1乃至5゜を有す
るべきである。このアプローチ部角度が上記範囲よりも
小さいと、ポリエステルフィルム層の配向緩和やしごき
前の安定化が不十分なものとなり、アプローチ部角度が
上記範囲よりも大きいと、曲げ伸ばしが不均一な(戻し
変形が不十分な)ものとなり、何れの場合もフィルムの
割れや剥離を生じることなしに、円滑なしごき加工が困
難となる。
【0120】しごき用のランド部38と再絞り−しごき
ポンチ33とクリアランスは前述した範囲にあるが、ラ
ンド長Lは、一般に0.5乃至30mmの長さを有して
いるのがよい。この長さが上記範囲よりも大きいと加工
力が過度に大きくなる傾向があり、一方上記範囲よりも
小さいとしごき加工後の戻りが大きく、好ましくない場
合がある。
【0121】本発明のシームレス缶において、フランジ
部のポリエステル層は、過酷な巻締加工を受けることか
ら、缶側壁部のポリエステル層に比して、マイルドな加
工を受けていることが好ましい。これにより、巻締部の
密封性及び耐腐食性を向上させることができる。この目
的のため、しごき後の缶側壁部の上端に、缶側壁部の厚
みよりも厚いフランジ形成部が形成されるようにする。
即ち、缶側壁部の厚みをt1 及びフランジ部の厚みをt
2 とすると、t2 /t1 の比は、1.0乃至2.0、特
に1.0乃至1.7の範囲に定めるのがよい。
【0122】再絞り−しごき成形後のシームレス缶を示
す図9、図10及び図11において、シームレス缶50
は、素板厚とほぼ同じ厚みを有する底部51と、再絞り
−しごき加工により薄肉化された側壁部52とから成る
が、側壁部52の上部には、これよりも厚肉のフランジ
形成部53が形成されている。フランジ形成部53に
は、種々の構造があり、図10に示した例では、側壁部
52の外面とフランジ形成部53の外面とが同一径の円
筒面上にあり、フランジ形成部53の内面は側壁部52
の内面よりも小さい径を有している。このタイプのフラ
ンジ形成部53は、再絞り−しごきポンチ32におい
て、側壁部が伸ばされてフランジ形成部53が位置する
部分を他の部分に比して小径にしておくことにより形成
される。フランジ形成部53の図9に示した例では、側
壁部52の内面とフランジ形成部53の内面とが同一径
の円筒面上にあり、フランジ形成部53の外面は側壁部
52の外面よりも大きい径を有している。このタイプの
フランジ形成部53は、再絞り−しごきダイのランド部
と共に、このランド部に続く部分にランド部よりも小径
のしごき部分を設けることで、フランジ形成部53と側
壁部52とが形成される。フランジ形成部53の図11
に示した例では、フランジ形成部53の外面は側壁部5
2の外面よりも大きい径を有すると共に、フランジ形成
部53の内面は側壁部52の内面よりも小さい径を有し
ている。このタイプのフランジ形成部53は、再絞り−
しごきポンチ32において、側壁部が伸ばされてフラン
ジ形成部53が位置する部分を他の部分に比して小径に
しておくと共に、再絞り−しごきダイのランド部と、更
に、このランド部に続く部分にランド部よりも小径のし
ごき部分を設けることで、フランジ形成部53と側壁部
52とが形成される。
【0123】本発明によるシームレス缶は、前述した印
刷工程等を含めて、少なくとも一段の熱処理に付するこ
とができる。この熱処理には、種々の目的があり、加工
により生じるフィルムの残留歪を除去すること、加工の
際用いた滑剤を表面から揮散させること、表面に印刷し
た印刷インキを乾燥硬化させること等が主たる目的であ
る。この熱処理には、赤外線加熱器、熱風循環炉、誘導
加熱装置等それ自体公知の加熱装置を用いることができ
る。また、この熱処理は一段で行ってもよく、2段或い
はそれ以上の多段で行うこともできる。熱処理の温度
は、180乃至240℃の範囲が適当である。熱処理の
時間は、一般的にいって、1秒乃至5分間のオーダーで
ある。熱処理後の容器は急冷してもよく、また放冷して
もよい。即ち、フィルムや積層板の場合には急冷操作が
容易であるが、容器の場合には、三次元状でしかも金属
による熱容量も大きいため、工業的な意味での急冷操作
は面倒なものであるが、本発明では急冷操作なしでも、
結晶成長が抑制され、優れた組合せ特性が得られるので
ある。勿論、所望によっては、冷風吹付、冷却水散布等
の急冷手段を採用することは任意である。
【0124】本発明による積層体の内、押出コート法に
よるものやキャストフィルムを用いたものでは、ポリエ
ステル組成物層は本質的に未配向なものであるが、前述
した絞り加工或いは再絞り加工の際、側壁部のポリエス
テル層が缶軸方向に一軸配向され、この分子配向によ
り、薄肉化された側壁部のポリエステル組成物層の機械
的強度や腐食成分に対するバリアー性の点で多くの利点
が奏される。勿論、シームレス缶の缶底部のポリエステ
ル層は実質上未配向の状態で残留するが、前述した理由
により、缶底部のポリエステル層も耐デント性に優れた
状態に維持されることはいうまでもない。このタイプの
シームレス缶の側壁部におけるポリエステル層は、複屈
折法で測定した下記式(7)、 Δn=n1 −n2 ‥‥(7) n1 はフィルムの最大配向方向の屈折率であり、n2
フィルムの厚み方向の屈折率である、による複屈折(Δ
n)が0.02乃至0.3の範囲にあることが好適であ
る。
【0125】一方、本発明による積層体の内、二軸延伸
フィルムを用いたものでは、ポリエステル組成物層は本
質的に二軸配向されたものであるが、前述した絞り加工
或いは再絞り加工の際、側壁部のポリエステル層が缶軸
方向に一軸配向され複雑な分子配向状態となる。何れに
しろ、これらの分子配向により、薄肉化された側壁部の
ポリエステル組成物層の機械的強度や腐食成分に対する
バリアー性の点で多くの利点が奏される。また、シーム
レス缶の缶底部のポリエステル層は実質上二軸配向が残
存しているため、耐腐食性や耐デント性に優れた状態に
維持することができる。
【0126】二軸延伸フィルムを用いたラミネートのポ
リエステル組成物層は、下記式(4) Δn13 =nm −nt …(4) nm はフィルムの最大配向方向の屈折率であり、nt
フィルムの厚み方向の屈折率である、で定義される複屈
折(Δn)に関して、フィルムの表面側での値をΔn1
表層から金属板に至るフィルムの中間位置での値をΔn
2 、金属板に接する側での値をΔn3 とすると、Δn1
またはΔn2 の少なくとも一つが0.02以上であり且
つΔn3 がΔn1 またはΔn2 以下であるという特徴を
有している。この配向の分布構造では、高配向層が表層
乃至中間層に存在するため、腐食成分の透過防止、芳香
成分の吸着防止、耐衝撃性の向上に役立ち、一方低配向
層が金属板に接する側に存在することにより密着性向上
に役立っている。表4に、積層体および熱処理後の積層
体(缶底を想定)の種々の複屈折に対するデントERV
試験結果を示す。この実験例では、ラミネート時の板温
度を変えることにより積層体の複屈折を調整した。な
お、フィルムの[η]は0.64、エステル交換率は
5.0%であった。積層体の複屈折Δn1 およびΔn2
が0.02以上で良好な耐デント性を示す傾向にある。
ここで、ERV(エナメルレーター値)とは、デント後
のフィルムの割れを6.3Vにより流れる電流値で評価
したものである。また、積層体のΔn1 およびΔn2
0.02以上であっても高温の熱処理条件では、ERV
は若干増加する傾向にある。このように、二軸延伸フィ
ルムを用いた積層体およびシームレス缶底の複屈折Δn
1 およびΔn2 が0.02以上となるのが望ましい。
【0127】得られた缶は、所望により、一段或いは多
段のネックイン加工に付し、フランジ加工を行って、巻
締用の缶とする。また、ネックイン加工に先立って、ビ
ード加工や、特公平7−5128号公報に記載された周
状多面体壁加工を施すことができる。本発明の缶に周状
多面体壁加工を施すと、側壁が外圧によって変形しにく
い耐圧強度に優れた構造となり、更に缶体の手による把
持が容易となり、また缶の意匠性が独特のものとなると
いう利点がある。
【0128】本発明の周状多面体壁缶の一例を示す図1
2において、(A)はこの容器の側面図、(B)は部分
側面断面図及び(C)は水平断面図である。この容器6
0は、前述したラミネートの絞りしごき加工で形成され
た上部開口の側壁部66及び閉塞底部67と上端に巻締
めにより設けられた蓋体68とから成っている。この胴
部60には、周状に多面体壁が形成されており、この多
面体壁は、構成単位面61と、構成単位面同士が接する
境界稜線62及び境界稜線同士が交わる交叉部63を有
し、該境界稜線62及び交叉部63は構成単位面に比べ
て相対的に容器外側に凸、構成単位面61の対向する交
叉部間の部分65は相対的に容器内側に凹となってい
る。またこの多面体壁では、構成単位面61の隣合った
容器軸方向配列が位相差をなした配列とされている。
【0129】この具体例において、構成単位面1は、四
辺形(菱形)abcd(図13参照)から成っており、
構成単位面1の周方向に隣合った容器軸方向配列が丁度
1/2の位相差をなして配列されている。
【0130】図13は構成単位面の説明図であって、
(A)は構成単位面の平面図であり、(B)、(C)及
び(D)は、窪みの曲率半径Rとの関係で構成単位面の
中央部の垂直断面を示す図である。図13の(A)は図
12の容器胴部に使用される多面体壁面の四辺形単位面
61の一例を取り出して示したものであり、菱形abc
dが構成単位面61となっている。菱形における各辺a
b、bc、cd、daは容器側面に形成される境界稜線
62に相当する辺であり、外向きに凸となる頂点a、
b、c、dが交叉部63に該当する。側壁が円筒の場
合、上方頂点aと下方頂点cとは同一径の円周面上に位
置しており、左方頂点bと右方頂点dとは同一径の円周
面上に位置している。配列が1/2の位相差をなしてい
る場合、全ての頂点は同一径の円周面上に位置してお
り、図12の(C)に示す通り、これら頂点に対応する
容器胴部内半径は、最大半径rである。一方、各稜線a
b、bc、cd、daは端で径外方に最も突出している
が、中間に行くに従って容器中心軸からの距離、即ち径
が減少するようになっている。周方向の対角線bdの中
点の径sをとると、この径sはrよりも小さく、図12
の(C)の場合、最小内半径を与える。容器胴上の単位
面を軸方向に投影したとき、頂点acは重なるが、軸方
向の対角線acは、周方向の対角線bdとは重ならずに
対角線bdよりも径外方向に位置しており、四辺形ab
cdは滑らかに湾曲した面となっている。
【0131】図13の(A)において、構成単位面とし
ての菱形寸法は、周方向対角線bdの長さをwとし、軸
方向対角線acの高さをLとすると、w及びLはそれぞ
れ構成単位面の周方向最大巾及び軸方向の最大長さとな
る。軸方向対角線の長さac(高さL)に比して、実際
の構成単位面上のac断面での長さは長く、このac断
面は容器内側に滑らかに窪んだ曲線となっている。構成
単位面のac断面の長さは、窪みの曲率半径R=5t
(図13の(B))、R=0.3r(図13の
(C))、R=r(図13の(D))が大きくなるに従
って、短くなる。各構成単位面において、周方向対角線
bdの長さ(w)と実際の構成単位面上のbd断面での
長さとが異なる場合がある。例えば、図12の(C)で
は、周方向対角線bdと実際の構成単位面上のbd断面
とが一致していて、それらの長さが等しいが、この断面
における辺の中点は周方向対角線bdの位置よりも径外
方向に位置していたり、径内方向に位置している場合が
ある。図12及び図13に示す例では、ac断面が滑ら
かに湾曲しており、bd断面は実質上ストレートである
が、他の具体例を示す図12においては、ac断面もb
d断面も共に内方に滑らかに窪むように湾曲している。
【0132】本発明のラミネートは、重ね合わせ接合部
をもった接着缶の製造にも適応できる。接着缶の製造
は、それ自体公知の方法で行うことができる。例えば、
缶胴の素材となる長方形のラミネート板の両端縁に、予
めテープ状の熱可塑性有機接着剤を融着した後、そのラ
ミネート板を円筒形に曲げ、有機接着剤が融着された端
縁を加熱すると共に、その接着剤が互いに接着するごと
く重ね合わせ、次いで重ね合わせ部分を圧着冷却して接
着を完成させる。
【0133】この際、缶胴継ぎ目の内側となるラミネー
トの切断端面の金属が露出するのを防止するため、テー
プ状接着剤を、その幅方向の一部を折り返し部分として
残して接着し、この折り返し部分を端縁の切断端面を包
囲するごとくほぼ180度折り曲げ、切断端面を被覆保
護するようにするのがよい。
【0134】熱可塑性有機接着剤としては、コポリアミ
ド系接着剤や、コポリエステル系接着剤等が使用され、
これらはテープの形で用いられる。
【0135】本発明のラミネートは更に、溶接缶の製造
にも適応できる。溶接缶の製造には、それ自体公知のラ
ップ接合或いは突き合わせ接合による電気抵抗溶接を用
いることができる。例えば、缶胴の素材となる長方形の
ラミネート板の両端縁を、予めポリエステルフィルムが
施されていない状態としておくか、或いはポリエステル
フィルム層が研磨により除去された状態とし、そのラミ
ネート板を円筒形に曲げ、金属が露出した端縁を重ね合
わせ、次いで重ね合わせ部分を圧着して通電することに
より、溶接による継ぎ目を形成する。
【0136】この溶接による継ぎ目では、金属が露出し
ているので、金属露出面と密着する樹脂被覆層を設け
る。樹脂被覆層としては、コポリエステル樹脂、コポリ
アミド樹脂等が適している。
【0137】
【実施例】本発明を次の例で説明する。本発明の特性値
は以下の測定法による。
【0138】(1)溶融粘度比、溶融粘度、溶融張力、
ダイスウェル 東洋精機製作所製キャピログラフ1B型を使用した。キ
ャピラリは流入角無しで直径1mm、長さ10mmのも
のを使用し、キャピラリ出口雰囲気温度は保温チャンバ
ーを使用して一定に保つようにして測定した。溶融粘度
比は、バレル内に樹脂投入後5分経過したときのピスト
ン速度1mm/分(剪断速度12.16/秒)における
粘度と100mm/分(剪断速度1216/秒)におけ
る粘度の比をとった。溶融粘度及びダイスウェルは、剪
断速度1216/秒における値を、バレル内に樹脂投入
後5分経過した時点で測定した。溶融張力は、ピストン
速度5mm/分・巻き取り速度30m/分で測定し、キ
ャピラリ出口からロードセルプーリーまでの距離は40
0mmとした。 (2)最大安定製膜速度 Tダイ押出し機を使用して樹脂を冷却ドラムとニップロ
ール間で引き取り、製膜速度30、50、70、10
0、120、150m/分でキャストフィルムを作成
し、安定した製膜が可能な速度の最大値を最大安定製膜
速度とした。安定したとは、耳ぶれの幅を得られた樹脂
皮膜の巾に対する割合が1%未満、且つ押出し時のダイ
からの溶融樹脂の滴下(垂れ落ち)が目視観察で認めら
れない状態をいう。 (3)多分散度 GPCによる相対法により多分散度を求めた。本体には
東ソー製高速GPC装置HLC−8120GPC型、カ
ラムには東ソー性TSKgel SuperHM−Hを
2本連結して使用した。ヘキサフルオロイソプロパノー
ル(HFIP)0.3mlに試料5mgを溶解し、これ
にクロロホルム4mlを加えて良く攪拌し試料溶液とし
た。キャリア溶媒をクロロホルムとし、測定温度40
℃、流量0.6ml/minの条件で示差屈折計検出器
を使用して溶出曲線を求め、同じ溶媒に溶解した分子量
既知のポリスチレンによる検量線からMw,Mnを求め
前記式(2)に従って多分散度dを算出した。なお、ブ
レンド樹脂の場合には各成分毎にピーク分解はおこなわ
ず、全体を一成分と見なして計算をおこなった。
【0139】(4) 製缶加工試験 (実施例8−13、実施例16−17、比較例8−1
4、比較例17−19)被覆アルミ板にペトロレイタム
を塗布し、直径152mmの円板を打ち抜き、常法に従
い浅絞りカップを成形した。この絞り工程における絞り
比は1.65であった。次いでこの絞りカップの第一
次、第二次薄肉化再絞り成形を行った。 第一次再絞り比 1.18 第二次再絞り比 1.18 このようにして得られた深絞りカップの諸特性は以下の
通りであった。 カップ径 66mm カップ高さ 127mm 側壁厚み変化率 −55%(素板厚に対して) この絞りカップを常法に従いドーミング成形を行い、樹
脂の歪み除去の目的で240℃にて熱処理を行った。そ
の後、開口端縁部のトリミング加工、曲面印刷、フラン
ジング加工を行って350gツーピース缶を作成し、製
缶加工工程中、および缶の樹脂被覆面の異常の有無を目
視にて評価した。
【0140】(実施例14−15、比較例15−16)
被覆金属板にワックス系潤滑剤を塗布し、白色面が缶外
面となるように直径158mmの円盤を打ち抜き、浅絞
りカップを得た。次いでこの浅絞りカップを再絞り・し
ごき加工を行い、深絞り−しごきカップを得た。この深
しぼりカップの諸特性は以下の通りであった。 カップ径 : 52mm カップ高さ : 140mm 素板厚に対する缶壁部の厚み 73% 素板厚に対するフランジ部の厚み 85% この深しぼり−しごきカップを、常法に従いドーム成形
を行い、220℃にて熱処理を行った後、カップを放冷
後、開口端縁部のトリミング加工、曲面印刷および焼き
付け乾燥、ネック加工、フランジ加工、更に周状多面体
壁加工を行って250g用のシームレス缶を得た。周状
多面体壁は、図12及び図13に示す。最小構成単位面
を、容器高の中心を含み、円周方向に9個連続させ、且
つ容器軸方向に1/2位相差で60mm幅で設け、L/
Wを0.96、深さ比d1/d0を0.95、構成単位面
の窪み曲率Rを5tとなるように設けた。
【0141】(5)デントERV試験 缶底部を切り出し、室温、湿潤下で、厚み3mm、硬度
50°のシリコンゴムに内面側を接触させて、外面側に
直径5/8インチの鋼球を置き、1kgのおもりを40
mm高さから落下させて衝撃張り出し加工を行う。衝撃
加工部の樹脂被膜の割れの程度を電圧6.30Vでの電
流値で測定し、6個の平均を取った。水充填後の缶を3
7℃雰囲気下で1週間貯蔵経時を行った後、上記試験に
供したものを以下の基準で評価した。 評価 平均電流値 ≦ 0.050mA ◎ 0.050mA < 平均電流値 ≦ 0.100mA ○ 0.100mA < 平均電流値 × (6)巻締め加工試験 5℃の温度条件下で水の充填・蓋の巻締めをおこなった
後、直ちに蓋を取り除いてネックフランジ部分のフィル
ム割れの有無を目視にて評価した。
【0142】(7) 貯蔵試験 (実施例8−13、実施例16−17、比較例8−1
4、比較例17−19)アクエリアス(登録商標)を充
填した缶を5℃にて、ボトムラジアス部に直径10mmの
鋼製の棒を置き、500gのおもりを60mmの高さか
ら落下させて衝撃を与えた。その後、室温にて貯蔵試験
を行い、1年後の缶の内面及び漏洩状態を調べた。更に
2層構成品については缶の状態に異常がないものについ
ては味の異常の有無を試飲(被験者20名)して調べた。 (実施例14−15、比較例15−16)スポーツドリ
ンクを90℃で熱間充填後、十分に冷却した後に、充填
缶を5℃にて50cm高さより落下させ、コンクリート
床上に置かれたステンレス製のくさび(角度15°)に
缶底が衝突するようにした後、37℃で1年間貯蔵し、
缶衝撃部および缶内面の稜線部の腐食状態を観察した。
【0143】(8)融点(Tm)、ガラス転移温度(T
g)、エステル交換率 示差熱走査型熱量計DSC7(パーキンエルマー社製)
を用いた。積層フィルムにおいては、各組成で単層フィ
ルムを試作し、同様の条件で加工したときの値を測定し
た。試料約5mgを窒素気流下にて樹脂の融点より30
℃高い温度で3分間溶融保持し、500℃/分の速度で
0℃まで急速冷却する。ついで、10℃/分の昇温速度
で測定した。結晶融解に基づく吸熱ピークの最大高さの
温度をTmとし、ガラス転移に基づく比熱変化点をもっ
てTgとした。ブレンド物中のポリエステルセグメント
(I)の融点(Tm)及びポリエステルセグメント(I)の
みからなる単層フィルムの融点(Tm0 )を用いて、前
記式(3)に従いエステル交換率(E)を定義した。 (9)固有粘度[η] 前記単離フィルムをフェノール、テトラクロロエタンの
重量比1:1混合溶媒に120℃で10分間撹拌して溶
かし、30℃にて毛細管法で測定し、下記式により求め
た。樹脂層が複層構成の場合は、分離せずに全体の粘度
を測定した。
【数1】 製缶加工試験における歪み除去を目的とした熱処理の前
後で缶底部の固有粘度を測定し、その変化から熱処理に
よる樹脂の分解程度の目安とした。 (10)密度 密度勾配管法により測定した。水−硝酸カルシウム系或
いはn-ヘプタン−四塩化炭素系の密度勾配管を使用し
た。単離フィルムについて、密度勾配管法で密度(ρ)
を求めた。また、樹脂をTmより30℃高い温度で3分
間溶融保持した後、液体窒素中に入れて急冷した試料の
密度を非晶密度(ρa)と定義した。 (11)複屈折 ラミネート板及び缶底部において、中央部を中心にそれ
ぞれ5mm角に切り出し、単離した。試料の所定位置を
エポキシ樹脂に包埋し、ラミネートフィルム及び缶底部
フィルムにおいては、厚み方向に平行となるように、3
μm厚みに切り出し、偏光顕微鏡によりレターデーショ
ンを測定し、複屈折を算出した。 (12)ラミネートおよび缶体からのフィルム単離 上記試験を行うにあたって積層体および缶体からのフィ
ルム単離が必要な場合は以下のようにおこなった。ラミ
ネートにおいては板幅方向の中央部を、缶体においては
缶底部中央部分をそれぞれ5mm角に切り出し、金属基
材がアルミ板の場合には7%塩酸水溶液で、金属基材が
スチール板の場合には18%塩酸溶液で基材を溶解し樹
脂を単離した。十分に水洗後、室温にて真空乾燥を行い
試料を得た。
【0144】実施例1 表1に示される組成の樹脂をエクストリュージョン製膜
設備を備えたφ65mm押出し機に供給した後、表1に
示される樹脂温度で厚さ20μmとなるように溶融押出
しを行いこれを冷却ドラムとニップロール間で引き取
り、キャストフィルム製膜をおこなった。最大安定ラミ
速度試験に供し、不安定化要因を評価した。評価結果及
び樹脂の特性を表1に示した。ネックインも小さく15
0m/分まで安定して製膜が可能であった。
【0145】実施例2 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した他は、実施例1と同様にした。表1に評価結果を示
した。ネックインも小さく150m/分まで安定して製
膜が可能であった。
【0146】実施例3 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した。成分(A)と(B)のブレンドである。他は実施
例1と同様にした。表1に評価結果を示した。ネックイ
ンも小さく150m/分まで安定して製膜が可能であっ
た。
【0147】実施例4 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した。実施例3の[η]が低い場合である。他は、実施例
1と同様にした。表1に評価結果を示した。120m/
分までは安定して製膜が可能であったが、150m/分
ではやや耳ぶれが観察された。
【0148】実施例5 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した。実施例3の樹脂を下層に、表層にPET/IA1
2を配した2層フィルムである。他は実施例1と同様に
した。表1に評価結果を示した。実施例3よりもネック
インはやや大きくなったが150m/分まで安定して製
膜が可能であった。
【0149】実施例6 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した。架橋成分を含まない例である。他は、実施例1と
同様にした。表1に評価結果を示した。100m/分ま
では安定して製膜が可能であったが、120m/分以上
では耳ぶれが観察された。
【0150】実施例7 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した。実施例6の表層をNDC共重合樹脂にした例であ
る。他は、実施例1と同様にした。表1に評価結果を示
した。100m/分までは安定して製膜が可能であった
が、120m/分以上では耳ぶれが観察された。
【0151】比較例1 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した。通常のPETの例である。他は、実施例1と同様
にした。表1に評価結果を示した。30m/分でも耳ぶ
れがはじまっており、これ以上のラミ速度では激しい蛇
行が生じた。本樹脂は、260℃では十分溶融しないた
め押出し加工が不可能であり、280℃では270℃よ
り更に激しい耳ぶれが観察された。
【0152】比較例2 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した。通常のPET/IAの例である。他は、実施例1
と同様にした。表1に評価結果を示した。50m/分で
耳ぶれがはじまり、これ以上のラミ速度では激しい蛇行
が生じた。
【0153】比較例3 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した他は、実施例1と同様にした。表1に評価結果を示
した。本樹脂は比較例2の分子量を上げたものに相当す
る。溶融粘度比は上昇したが、十分ではなく、70m/
分以上では大きな耳ぶれを生じた。本樹脂を270℃で
押出し加工しようとすると、モーター負荷が非常に大き
くなり押出し不能になる。本例は[η]を上げることで
押出し性改善を図っても樹脂組成により限界があること
の例である。
【0154】比較例4 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した。実施例2の加工条件を変更した例である。他は、
実施例1と同様にした。表1に評価結果を示した。溶融
粘度が高くスクリュートルクが過大であった。また、溶
融張力が高すぎるため70m/分で膜切れが生じた。
【0155】比較例5 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した。実施例3の加工条件を変更した例である。他は、
実施例1と同様にした。表1に評価結果を示した。溶融
粘度比、溶融張力が低くわずかな滞留で大きな耳ぶれを
生じる。30m/分ですでに耳揺れが観察された。
【0156】比較例6 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した。実施例3の加工条件を変更した例である。他は、
実施例1と同様にした。表1に評価結果を示した。比較
例5より更に加工温度を上げたため溶融粘度が著しく低
下し、Tダイからの滴下を生じた。製膜は不可能であ
る。
【0157】比較例7 表1に示した構成のポリエステル樹脂と加工条件を使用
した。実施例3エステル交換率をペレット段階で変更し
た例である。他は、実施例1と同様にした。表1に評価
結果を示した。実施例5に比べてネックインが大きく、
膜の両端の耳部が大きくなり、得られたフィルムは平坦
部が狭いため使用可能な部分が狭く、歩留まりが不良で
あった。
【0158】実施例8 250℃に加熱した板厚0.260mmのアルミ合金板
(A3004H39材)上に、表2に示される組成の樹
脂を、表2に示す酸化防止剤とドライブレンドしてエク
ストリュージョン・ラミネーション設備を備えた65m
mφ押出し機に供給し、厚さ20μmとなるように溶融
押出しを行いアルミ板片面側にラミネートした。次いで
同じ樹脂成分を、エクストリュージョン・ラミネーショ
ン設備を備えた65mmφ押出し機に供給した後、板温
度を樹脂の融点より30℃低い温度に加熱し、厚さ20
μmとなるように溶融押出しを行い、もう一方の面にラ
ミネートした。得られた被覆アルミ板を製缶加工試験に
供し評価を行った。また被覆アルミ板の状態で樹脂のエ
ステル交換率の測定をおこなった。使用した樹脂は実施
例3で述べた樹脂と同一である(樹脂の溶融粘度特性も
実施例3の樹脂と同じである)。この缶をデントERV
試験、巻締め加工試験、貯蔵試験に供し評価を行った。
表2にこの缶の特性及び評価結果を示した。酸化防止剤
の添加による問題は発生せず、熱処理前後で缶底部の樹
脂の[η]変化はなかった。製缶加工やデントERV試
験の結果も良好で、貯蔵試験後の缶の状態及び内容物に
特に異常はなかった。
【0159】実施例9 表2に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使
用した他は、実施例8と同様にした(樹脂の溶融粘度特
性も実施例3の樹脂と同じである)。実施例8の酸化防
止剤添加量を増加した例である。表2にこの缶の特性及
び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発
生せず、熱処理前後で樹脂の[η]変化はなかった。製
缶加工やデントERV試験の結果も良好で、貯蔵試験後
の缶の状態及び内容物に特に異常はなかった。
【0160】実施例10 2台の押出し機と2層ダイを用いて共押出しすることに
より、樹脂層を2層構成とした。表層と下層の総厚み比
は1:1とした。各層は表2に示す構成で、表層側には
酸化防止剤を添加せず下層にのみ添加した。この他は実
施例8と同様にした。この樹脂は実施例5で述べた樹脂
と同一である(樹脂の溶融粘度特性も実施例5の樹脂と
同じである)。表2にこの缶の特性及び評価結果を示し
た。酸化防止剤の添加による問題は発生せず、熱処理に
より[η]低下が見られたがその低下幅は小さく、製缶
加工やデントERV試験の結果も良好で、貯蔵試験後の
缶の状態及び内容物に特に異常はなかった。
【0161】実施例11 表2に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使
用した他は、実施例8と同様にした(樹脂の溶融粘度特
性も実施例3の樹脂と同じである)。実施例8の酸化防
止剤種を変更した例である。表2にこの缶の特性及び評
価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生せ
ず、熱処理前後で樹脂の[η]変化はなかった。製缶加
工やデントERV試験の結果も良好で、貯蔵試験後の缶
の状態及び内容物に特に異常はなかった。
【0162】実施例12 2台の押出し機と2層ダイを用いて共押出しすることに
より、樹脂層を2層構成とした。表層と下層の総厚み比
は1:1とした。各層は表2に示す構成で、表層側には
酸化防止剤を添加せず下層にのみ添加した。この他は実
施例8と同様にした。実施例10の酸化防止剤種を変更
した例である(樹脂の溶融粘度特性も実施例5の樹脂と
同じである)。表2にこの缶の特性及び評価結果を示し
た。酸化防止剤の添加による問題は発生せず、熱処理に
より[η]低下が見られたがその低下幅は小さく、製缶
加工やデントERV試験の結果も良好で、貯蔵試験後の
缶の状態及び内容物に特に異常はなかった。
【0163】実施例13 2台の押出し機と2層ダイを用いて共押出しすることに
より、樹脂層を2層構成とした。表層と下層の厚み比は
1:1とした。各層は表2に示した構成のポリエステル
樹脂と酸化防止剤を使用し、Tダイ法により全体で厚さ
20μmの未延伸フィルムを得た。アルミ板を樹脂の融
点より30℃高い温度に加熱し、このフィルムを熱ラミ
ネートして被覆アルミ板を得た。樹脂の溶融粘度特性
は、実施例5の樹脂と同じである。以降、缶成形につい
ては実施例8と同様にした。実施例8の押出しコートに
よる直接的樹脂被覆方法を、未延伸フィルム化した後に
被覆する方法に変えた例である。表2にこの缶の特性及
び評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発
生せず、熱処理前後で樹脂の[η]変化も非常に小さか
った。耐衝撃性にも優れ、貯蔵テスト後の缶の状態及び
内容物に特に異常はなかった。
【0164】実施例14 表層はエチレングリコール100mol%、テレフタル
酸88mol%、イソフタル酸12mol%からなるポ
リエステル樹脂であり、下層にエチレングリコール10
0mol%、テレフタル酸94mol%、イソフタル酸
6mol%からなるポリエステル樹脂(I)とブチレン
グリコール100mol%、テレフタル酸100mol
%からなるポリエステル樹脂(II)とブチレングリコー
ル100mol%,アジピン酸100mol%からなる
ポリエステル樹脂(III) が重量比で(I):(II):
(III) =(70):(24):(6)であり、かつ酸
化防止剤(商品名:Irganox1010)が下層組成に対し
0.1重量%配合されたポリエステル樹脂(成分(A)
と成分(B)のブレンド)について、2層ダイを用いて
樹脂温度260℃にて約230μm厚み(厚み構成比
表層1:下層4)のキャストフィルムを作成した(樹脂
の溶融粘度特性は、実施例6の樹脂と同じである)。キ
ャストフィルムは冷却ドラムを用いて直ちに急冷した
後、フィルムを予熱しながら常法により二軸延伸フィル
ムを作成した。その際の延伸倍率は縦3.0倍、横3.
1倍とし、熱固定温度は180℃とした。得られたフィ
ルム厚みは25μm(表層5μm、下層20μm)であ
った。その後、TFS鋼板(板厚0.195mm,金属
クロム量110mg/m2 、クロム水和酸化物量15m
g/m2 )の片面に、上記二軸延伸フィルムを、他の面
にイソフタル酸12mol%,テレフタル酸88mol
%,エチレングリコール100mol%からなるポリエ
ステル樹脂に顔料として酸化チタンを20重量%含有し
た白色共重合体ポリエステル樹脂を二軸延伸した膜厚1
3μmのフィルムを、板温240℃、ラミネートロール
温度150℃、通板速度40m/min.で両面同時に
ラミネートし、直ちに水冷することによりラミネート金
属板を得た。この被覆金属板にワックス系潤滑剤を塗布
し、白色面が缶外面となるように直径158mmの円盤
を打ち抜き、浅絞りカップを得た。次いでこの浅絞りカ
ップを再絞り・しごき加工を行い、深絞り−しごきカッ
プを得た。この深しぼりカップの諸特性は以下の通りで
あった。 カップ径 : 52mm カップ高さ : 140mm 素板厚に対する缶壁部の厚み 73% 素板厚に対するフランジ部の厚み 85% この深しぼり−しごきカップを、常法に従いドーム成形
を行い、220℃にて熱処理を行った後、カップを放冷
後、開口端縁部のトリミング加工、曲面印刷および焼き
付け乾燥、ネック加工、フランジ加工、更に周状多面体
壁加工を行って250g用のシームレス缶を得た。周状
多面体壁は、図12及び図13に示す。最小構成単位面
を、容器高の中心を含み、円周方向に9個連続させ、且
つ容器軸方向に1/2位相差で60mm幅で設け、L/
Wを0.96、深さ比d1/d0を0.95、構成単位面
の窪み曲率Rを5tとなるように設けた。次いで、スポ
ーツドリンクを90℃で熱間充填後、十分に冷却した後
に、充填缶を5℃にて50cm高さより落下させ、コン
クリート床上に置かれたステンレス製のくさび(角度1
5°)に缶底が衝突するようにした後、37℃で1年間
貯蔵し、缶衝撃部および缶内面の稜線部の腐食状態を観
察した。フィルムを分析したところエステル交換率5.
1%であった。また積層体および缶底の複屈折は以下の
とおりであった。 積層体 Δn1:0.030、Δn2:0.030、Δn3:<0.005 缶底 Δn1:0.040、Δn2:0.035、Δn3:<0.005 表2にフィルムの特性値および評価結果を示す。デント
ERV試験、巻締加工試験ともに良好であり、保存試験
後の腐食も発生せず良好な結果であった。
【0165】実施例15 表層はエチレングリコール100mol%、テレフタル
酸88mol%、ナフタレン2、6−ジカルボン酸12
mol%からなるポリエステル樹脂であり、下層にエチ
レングリコール100mol%、テレフタル酸94mo
l%、イソフタル酸6mol%からなるポリエステル樹
脂(I)とブチレングリコール100mol%、テレフ
タル酸100mol%からなるポリエステル樹脂(II)
とブチレングリコール100mol%,アジピン酸10
0mol%からなるポリエステル樹脂(III) が重量比
で(I):(II):(III) =(70):(24):
(6)であり、かつ酸化防止剤(商品名:irganox101
0)が下層組成に対し0.1重量%配合されたポリエス
テル樹脂(成分(A)と成分(B)のブレンド)につい
て、2層ダイを用いて樹脂温度270℃にて約230μ
m厚み(厚み構成比 表層1:下層4)のキャストフィ
ルムを作成した(樹脂の溶融粘度特性は、実施例7の樹
脂と同じである)以外は、実施例14と同様に二軸延
伸、ラミネート、製缶および腐食試験を実施した。フィ
ルムを分析したところエステル交換率3.2%であっ
た。また、積層体および缶底の複屈折は以下のとおりで
あった。 積層体 Δn1:0.030、Δn2:0.035、Δn3:<0.005 缶底 Δn1:0.040、Δn2:0.040、Δn3:<0.005 表2にフィルムの特性値および評価結果を示す。デント
ERV試験、巻締加工試験ともに良好であり、保存試験
後の腐食も発生せず良好な結果であった。
【0166】比較例8 表2に示した構成のポリエステル樹脂を使用し、酸化防
止剤は添加しなかった他は実施例8と同様にした。PE
T/IAの耐衝撃性を示す例である。表2にこの缶の特
性及び評価結果を示した。熱処理による樹脂の[η]低
下は大きくないが、樹脂の性質として耐衝撃性に劣る。
製缶加工時に1割程度の缶に缶胴上部の白化が観察され
た。また貯蔵試験後の缶にはデント部分の腐食が著し
く、一部の缶では漏洩が見られた。
【0167】比較例9 表2に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使
用した他は、実施例8と同様にした。比較例8に酸化防
止剤を添加した例である。表2にこの缶の特性及び評価
結果を示した。比較例8と同様に熱処理による樹脂の
[η]低下は大きくないが、樹脂の性質として耐衝撃性
に劣り、酸化防止剤の添加によって改善されるものでは
ないことを示している。製缶加工時に1割程度の缶に缶
胴上部の白化が観察された。また貯蔵試験後の缶にはデ
ント部分の腐食が著しく、一部の缶では漏洩が見られ
た。
【0168】比較例10 表2に示した構成のポリエステル樹脂を使用し、酸化防
止剤は添加しなかった他は実施例8と同様にした。実施
例8に酸化防止剤を添加しない例である。表2にこの缶
の特性及び評価結果を示した。製缶加工に問題はなかっ
たが、熱処理による樹脂の[η]低下は大きく耐衝撃性
に劣る。貯蔵試験後の缶にはデント部分の腐食が著し
く、一部の缶では漏洩が見られた。
【0169】比較例11 表2に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使
用した他は、実施例8と同様にした。実施例8の酸化防
止剤を変更した例である。表2にこの缶の特性及び評価
結果を示した。酸化防止剤の添加により押出し時に異臭
が発生し、樹脂の変色も著しい。容器材料として使用で
きないと判断されるため製缶加工試験、デントERV試
験、貯蔵試験は行わなかった。
【0170】比較例12 表2に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使
用した他は、実施例8と同様にした。実施例8の酸化防
止剤を変更した例である。表2にこの缶の特性及び評価
結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生しな
いが、酸化防止剤の効果が薄く熱処理により樹脂の
[η]は大きく低下し、耐衝撃性に劣る。分子量の小さ
な酸化防止剤であるため、押出し製膜中に揮発しやすい
ためである。貯蔵試験後の缶にはデント部分の腐食が著
しく、一部の缶では漏洩が見られた。
【0171】比較例13 表2に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使
用した他は、実施例8と同様にした。実施例8の酸化防
止剤添加量を増大した例である。表2にこの缶の特性及
び評価結果を示した。酸化防止剤の添加により押出し時
にゲル・ツブが多発しアルミ積層体の表面が荒れた。熱
処理による[η]低下は無く、耐衝撃性にも優れるが、
製缶加工試験に供したところ表面の荒れにより破胴が多
発し缶成形が困難であった。必要な缶数が得られないた
め貯蔵試験はおこなわなかった。
【0172】比較例14 表2に示した構成のポリエステル樹脂と酸化防止剤を使
用した他は、実施例8と同様にした。実施例10の表層
樹脂を変更した例である。この缶をデントERV試験、
貯蔵試験に供し評価を行った。表2にこの缶の特性及び
評価結果を示した。酸化防止剤の添加による問題は発生
せず、熱処理前後で樹脂の[η]変化はなかった。製缶
加工やデントERV試験の結果も良好であった。しか
し、貯蔵試験後の内容液の味は大きく変化しており飲用
には適さなかった。
【0173】比較例15 実施例14と同樹脂および同構成について、エステル交
換反応が十分になされるように押し出し機中の滞留時間
を延長して押し出した以外は実施例14と同様に二軸延
伸、ラミネート、製缶および腐食試験を実施した。フィ
ルムを分析したところエステル交換率23.2%であっ
た。また、積層体および缶底の複屈折は以下のとおりで
あった。 積層体 Δn1:0.045、Δn2:<0.005、Δn3:<0.005 缶底 Δn1:0.060、Δn2:<0.005、Δn3:<0.005 表2にフィルムの特性値および評価結果を示す。成形時
の内面側フィルムに部分的な割れを生じ、熱処理後の缶
内面フィルムの表面がしわ状となった。デントERV試
験についても不良であり、実用性がないと判断した。
【0174】比較例16 実施例14の下層ポリエステル樹脂の重量比が(I):
(II):(III) =(20):(64):(16)であ
ること以外は実施例14と同様に二軸延伸、ラミネー
ト、製缶および評価を実施した。フィルムを分析したと
ころエステル交換率4.8%であった。また、積層体お
よび缶底の複屈折は以下のとおりであった。 積層体 Δn1:0.030、Δn2:0.030、Δn3:<0.005 缶底 Δn1:0.040、Δn2:0.030、Δn3:<0.005 表2にフィルムの特性値および評価結果を示す。巻締加
工試験は問題なかったが、デントERV試験は不良であ
った。また、保存試験後の缶内面の周状多面体稜線部が
部分的に腐食しており、衝撃部のフィルム割れが認めら
れ、且つ腐食が進行しており、実用適性がないと判断し
た。
【0175】実施例16 実施例1で述べた樹脂を使用して積層板を実施例8と同
様にして作成した後、直ちに冷却した(樹脂の溶融粘度
特性は、実施例1の樹脂と同じである)。この積層板か
ら作成した缶体に水を詰めて蓋を巻き締め加工した。表
3に積層体の密度と150m/分での押出し加工時の状
態、及び缶胴部成形時と形性と巻き締め加工時の成形性
を示した。安定した高速押出しコートが可能であり、缶
胴成形、巻き締め加工ともに問題はなく、パック後の缶
の状態にも特に異常はなかった。
【0176】実施例17 実施例3で述べた樹脂を使用して積層板を実施例10と
同様にして作成した後、直ちに冷却した(樹脂の溶融粘
度特性は、実施例3の樹脂と同じである)。この積層体
から作成した缶体に水を詰めて蓋を巻き締め加工した。
表3に積層体の密度と150m/分での押出し加工時の
状態、及び缶胴部成形時と形性と巻き締め加工時の成形
性を示した。安定した高速押出しコートが可能であり、
缶胴成形、巻き締め加工ともに問題はなく、パック後の
缶の状態にも特に異常はなかった。
【0177】比較例17 実施例1で述べた樹脂を使用して積層板を実施例8と同
様にして作成した後、自然冷却した。この積層板から作
成した缶体に水を詰めて蓋を巻き締め加工した。実施例
16の積層板樹脂層の結晶化状態を変更した例である。
表3に積層体の密度と150m/分での押出し加工時の
状態、及び缶胴部成形時と形性と巻き締め加工時の成形
性を示した。安定した高速押出しコートが可能であった
が、浅絞りカップ成形時に約半数に剥離及び亀裂が見ら
れ、第一次再絞りで全数に被膜の剥離が生じた。巻締め
加工は不可能であった。
【0178】比較例18 表3に示した樹脂を使用して積層板を実施例10と同様
にして作成した後、自然冷却した。この他は、実施例1
7と同様にした。実施例17の多官能成分を除いた例で
ある。表3に積層体の密度と150m/分での押出し加
工時の状態、及び缶胴部成形時と形性と巻き締め加工時
の成形性を示した。高速押出しコートの際にわずかな耳
揺れが観察され、得られた積層材の膜厚ムラが大きい。
胴成形の際にしわや偏肉が生じやすく2割程が破胴し
た。ネックしわ・座屈も発生し、巻締め時には金属基材
のフランジ割れが散見された。
【0179】比較例19 実施例3で述べた樹脂を使用して積層板を実施例10と
同様にして作成した後、自然冷却した。この他は、実施
例17と同様にした。実施例17の積層板樹脂層の結晶
化状態を変更した例である。表3に積層体の密度と15
0m/分での押出し加工時の状態、及び缶胴部成形時と
形性と巻き締め加工時の成形性を示した。安定した高速
押出しコートが可能であった。胴成形にも支障はなかっ
たが、巻き締め加工時にフランジ部分の樹脂剥離が生じ
た。
【0180】試験結果等を下記表1〜4に示す。なお、
表1〜4において、多官能成分濃度は、mol%で表し
た。
【表1】
【0181】
【表2】
【0182】
【表3】
【0183】
【表4】
【0184】
【発明の効果】本発明によれば、金属等の基体にポリエ
ステルの押出コート層或いは熱接着フィルム層を設ける
に当たって、特定の溶融粘度特性を有するポリエステル
を用いることにより、被覆の均一性、被覆の完全さ及び
密着性に優れ且つ成形性に優れたラミネートを、安価に
且つ歩留まりよくしかも高速で製造することが可能とな
った。また、ポリエステルとして、特定組成のものを用
いることにより、耐衝撃性、特に耐デント性が顕著に改
善され、特に高度の絞り加工或いはしごき加工や製缶時
或いは製缶後の熱処理にもかかわらず、結晶化による脆
化が抑制され、優れた耐デント性が維持されるた金属−
ポリエステル積層体、並びにこの積層体から形成された
シームレス容器を提供することが可能となった。更に、
上記ポリエステルに特定の酸化防止剤を組み合わせるこ
とにより、高温での熱履歴を受けた後での耐デント性が
顕著に改善されたポリエステル−金属積層体並びにこの
積層体から形成されたシームレス容器を提供することが
可能となった。勿論、本発明のラミネート材は、上記の
優れた特性を有することから、通常の絞りカップの製
造、缶蓋、王冠、キャップ等の製造にも有用であり、ま
たこの複合フィルムは、一般の包装材としても有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々のポリエステルについて、溶融粘度比
(R)を縦軸及びη1216を横軸として、ドローレゾナン
スとの関係をプロットしたグラフである。
【図2】本発明のラミネートの断面構造の一例を示す断
面図である。
【図3】本発明のラミネートの断面構造の他の例を示す
断面図である。
【図4】本発明のラミネートの断面構造の更に他の例を
示す断面図である。
【図5】押出コートによるラミネートの製造を説明する
ための装置の配置図である。
【図6】フィルムの熱接着によるラミネートの製造を説
明するための装置の配置図である。
【図7】本発明のシームレス缶の構造を示す側面断面図
である。
【図8】ラミネートの絞り−しごき成形を説明するため
の図である。
【図9】本発明のシームレス缶のフランジ部の一例を示
す断面図である。
【図10】本発明のシームレス缶のフランジ部の他の例
を示す断面図である。
【図11】本発明のシームレス缶のフランジ部の別の例
を示す断面図である。
【図12】四辺形を構成単位面とする多面体壁を設けた
容器の一例を示し、(A)は平面図、(B)は縦断面図
及び(C)は水平断面図である。
【図13】図11の容器の側面に形成され多面体壁の構
成単位面の一例を示し、(A)は平面図、(B)、
(C)及び(D)は窪んだ部分の曲率半径を変化させて
示す構成単位面の垂直断面図である。
【符号の説明】
1 積層体 2 金属基体 3 ポリエステル組成物層 4 外面被膜 5 接着用プライマーの層 6 表面樹脂層 11 金属板 12 加熱装置 13 ラミネートロール 14 ダイヘッド 15 ポリエステル組成物の薄膜 16 積層体 18 冷却用水槽 19 ガイドローラ 20 底部 21 シームレス缶 22 側壁部 23 ネック部 24 フランジ部 30 前絞りカップ 31 保持部材 32 再絞り−しごきダイス 33 再絞り−しごきポンチ 34 平面部 35 作用コーナー部 36 アプローチ部 37 曲率部 38 ランド部 39 逃げ 40 外周面 41 曲率コーナ部 42 環状底面 50 シームレス缶 51 底部 52 側壁部 53 フランジ形成部 60 容器 61 構成単位面 62 境界稜線 63 交叉部 65 交叉部間の部分 66 側壁部 67 閉塞底部 68 蓋体
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 67:00 B29L 9:00 (72)発明者 武居 芳樹 神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台65−26 (72)発明者 佐藤 一弘 神奈川県横浜市神奈川区松見町4−1101− 7 コートハウス菊名318 (72)発明者 町井 幸子 神奈川県横浜市泉区緑園4−3−1 サン ステージ緑園都市東の街7−707 (72)発明者 宮沢 哲夫 神奈川県綾瀬市小園1328−60 (72)発明者 今津 勝宏 神奈川県横浜市泉区和泉町6205−1 グリ ーンハイムいずみ野27−101

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上にポリエステルを主体とする樹脂
    を積層したラミネートにおいて、前記樹脂層が、溶融押
    出し時の温度において、下記式(1) R = η12.2/η1216 ‥(1) 式中、η12.2はポリエステルの押出温度における剪断速
    度12.2sec-1での溶融粘度であり、η1216はポリ
    エステルの押出温度における剪断速度1216sec-1
    での溶融粘度である、で定義される溶融粘度比(R)が
    2.0以上の範囲にあり且つη1216が500ポイズ以上
    の範囲にあるものであり且つ前記樹脂層が溶融押出しさ
    れた後、急冷されることを特徴とするラミネート。
  2. 【請求項2】 前記樹脂層が、溶融押出し時の温度にお
    いて、0.2乃至1.5グラムの溶融張力を有するもの
    である請求項1記載のラミネート。
  3. 【請求項3】 前記樹脂層が、溶融押出し時の温度にお
    いて、1.3乃至2.0のダイスウェルを有するもので
    ある請求項1乃至2の何れかに記載のラミネート。
  4. 【請求項4】 前記樹脂層が、下記式(2) d=Mw/Mn …(2) 式中、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子
    量である。で定義される多分散度(d)が2.5以上であ
    るものである請求項1乃至3の何れかに記載のラミネー
    ト。
  5. 【請求項5】 金属基体とポリエステルを主体とする樹
    脂層とから成るラミネートにおいて、前記樹脂層が、
    (I)ポリエチレンテレフタレート・セグメントと、(I
    I)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導さ
    れたポリエステルセグメントと、(III)ブチレングリ
    コールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたポリエステル
    セグメントとを、合計量を100重量部として、I:I
    I:III =30〜80:8〜63:2〜42の重量比で
    含有するポリエステル乃至ポリエステル組成物から成り
    且つ該ポリエステル乃至ポリエステル組成物100重量
    部当たり0.01乃至1.5重量部の分子量400以上
    の非イオウ系酸化防止剤を少なくとも一種類含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載のラミネート。
  6. 【請求項6】 金属基体とポリエステルを主体とする複
    層樹脂層とから成るラミネートにおいて、前記複層樹脂
    層の表面樹脂層のガラス転移点が70℃以上のポリエス
    テル組成物から成り且つ前記複層樹脂層の下地樹脂層
    が、(I)ポリエチレンテレフタレート・セグメントと、
    (II)ブチレングリコールと芳香族二塩基酸とから誘導
    されたポリエステルセグメントと、(III)ブチレング
    リコールと脂肪族二塩基酸とから誘導されたポリエステ
    ルセグメントとを、合計量を100重量部として、I:
    II:III =30〜80:8〜63:2〜42の重量比で
    含有するポリエステル乃至ポリエステル組成物から成り
    且つ該ポリエステル乃至ポリエステル組成物100重量
    部当たり0.01乃至1.5重量部の分子量400以上
    の非イオウ系酸化防止剤を少なくとも一種類含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載のラミネート。
  7. 【請求項7】 前記ポリエステル組成物がポリエチレン
    テレフタレート・セグメント(I)を主体とするポリエス
    テルと、ポリエステル・セグメント(II)及びポリエス
    テル・セグメント(III)を含む共重合ポリエステルと
    のブレンド物である請求項5または6記載のラミネー
    ト。
  8. 【請求項8】 前記ブレンド物中のポリエチレンテレフ
    タレート・セグメント(I)を主体とするポリエステル
    が、下記式(3) E=100・[1-exp{(Hu/R)・(1/Tm0−1/Tm)}]…(3) ここで、 Hu :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
    性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0:エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
    性ポリエステルの融点(K)。 で定義されるエステル交換率(E)が0.5乃至20%の
    範囲にあるものである請求項7に記載のラミネート。
  9. 【請求項9】 前記ブレンド物の固有粘度[η]が0.
    55以上である請求項7または8に記載のラミネート。
  10. 【請求項10】 ポリエステル組成物から成る樹脂層が
    金属基体上に直接押出しラミネートされている請求項1
    乃至9何れかに記載の製缶用ラミネート。
  11. 【請求項11】 ポリエステル組成物から成る樹脂層が
    未延伸のフィルムであり、金属基体上に熱接着されてい
    る請求項1乃至9何れかに記載の製缶用ラミネート。
  12. 【請求項12】 前記樹脂層におけるポリエステル組成
    物が、三官能以上の多塩基酸及び多価アルコールから成
    る群より選択された少なくとも一種の分岐乃至架橋成分
    を含有することを特徴とする請求項10または11に記
    載の製缶用ラミネート。
  13. 【請求項13】 ポリエステル組成物の密度と非晶密度
    の差が0.05以下であることを特徴とする請求項10
    乃至12の何れかに記載の製缶用ラミネート。
  14. 【請求項14】 請求項10乃至13の何れかに記載の
    製缶用ラミネートを加工して得られる少なくとも内面が
    ポリエステル組成物で被覆された容器。
  15. 【請求項15】 ポリエステル組成物から成る樹脂層が
    二軸延伸されたフィルムであり、金属基体上に熱接着さ
    れている請求項1乃至9何れかに記載の製缶用ラミネー
    ト。
  16. 【請求項16】 前記ラミネートのポリエステル組成物
    層が、下記式(4) Δn13 =nm −nt …(4) nm はフィルムの最大配向方向の屈折率であり、nt
    フィルムの厚み方向の屈折率である、で定義される複屈
    折(Δn)に関して、フィルムの表面側での値をΔn1
    表層から金属板に至るフィルムの中間位置での値をΔn
    2 、金属板に接する側での値をΔn3 とすると、Δn1
    またはΔn2 の少なくとも一つが0.02以上であり且
    つΔn3 がΔn1 またはΔn2 以下であることを特徴と
    する請求項15記載の製缶用ラミネート。
  17. 【請求項17】 請求項15又は16に記載の製缶用ラ
    ミネートを加工して得られる少なくとも内面がポリエス
    テル組成物で被覆された容器。
  18. 【請求項18】 容器底部のポリエステル組成物層が、
    下記式(4) Δn13 =nm −nt …(4) nm はフィルムの最大配向方向の屈折率であり、nt
    フィルムの厚み方向の屈折率である、で定義される複屈
    折(Δn)に関して、フィルムの表面側での値をΔn1
    表層から金属板に至るフィルムの中間位置での値をΔn
    2 、金属板に接する側での値をΔn3 とすると、Δn1
    またはΔn2 の少なくとも一つが0.02以上であり且
    つΔn3 がΔn1 またはΔn2 以下であるものであるこ
    とを特徴とする請求項17記載の容器。
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