JP2757642B2 - ドライエッチング方法 - Google Patents

ドライエッチング方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化合物半導体の電子ビ
ームを用いたドライエッチング方法、さらに詳しくはナ
ノメータレベルの精密なドライエッチング方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】III−V族化合物半導体へのドライエ
ッチング技術は、半導体プロセス上重要である。特に最
近では、電子ビームを用いたドライエッチング技術が注
目されている。このような電子ビームを用いたドライエ
ッチングには、GaAs半導体上のInAs膜を集束電
子ビームを用いてパターン形成し、これをエッチングマ
スクとしてドライエッチングする方法が第52回応用物
理学会学術講演会講演予稿集に掲載の三矢らによる文献
“塩素ガスエッチングにおけるInAs/GaAs選択
性を用いたパターン形成”に提案されている。
【0003】図3は、この従来例の工程図である。図3
(a)に示すように、GaAs半導体31上の50nm
厚のInAs膜32に20keVの集束電子ビーム33
を照射する。次に同図(b)に示すように、基板温度を
190℃として塩素ガス34中で2分間InAs層32
を塩素ガスエッチングすると、InAs層32の電子ビ
ーム未照射部が除去される。次に同図(c)に示すよう
に、基板温度を130℃まで下げ、塩素ガス圧3.5×
10-4Torrの塩素ガス34中で60分間ガスエッチ
ングすることにより深さ2.7μmのGaAsパターン
が形成された。
【0004】このような電子ビームを用いたドライエッ
チングは、イオンに比べて1万倍以上も軽い電子を照射
するため、従来のイオン照射を用いたドライエッチング
のようなイオン衝撃による損傷がなく、非常に低損傷で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、In
Asのパターン形成に塩素ガスエッチングを用いている
ため、サイドエッチングが大きく、微細加工には適さな
い。またGaAs上の50nm厚のInAsは臨界膜厚
を越えているため、欠陥のない単結晶化が不可能であ
る。従って、ドライエッチング後に再成長等の真空連続
プロセスを行うためには、残ったInAsマスクを除去
する必要がある。しかし、GaAs上のInAsの選択
的な除去は困難であり、このドライエッチングは、真空
連続プロセスには適さない。
【0006】本発明の目的は、Inを含む化合物半導体
マスクの電子ビームアシストエッチングによるパターン
形成を利用して超微細加工が可能であり、さらに真空連
続プロセスに適したドライエッチング方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によるドライエッチング方法においては、G
aAs半導体表面またはAlGaAs半導体表面上に
n組成比を0.48としInを含む化合物半導体膜をG
aAsと格子整合条件または格子不整合条件の場合には
臨界膜厚程度以下で積層する工程と、前記Inを含む化
合物半導体膜にハロゲン原子を含む反応性ガス中で電子
ビームを部分的に照射し、その照射部分の前記Inを含
む化合物半導体膜を部分的にエッチングすることにより
パターンを形成する工程と、前記パターン化されたIn
を含む化合物半導体膜をマスクとして前記GaAs半導
体またはAlGaAs半導体のドライエッチング工程と
を有するものである。
【0008】また、GaAs半導体またはAlGaAs
半導体のドライエッチングは、ハロゲン原子を含む反応
性ガスによるガスエッチングである。
【0009】また、GaAs半導体またはAlGaAs
半導体のドライエッチングは、ハロゲン原子を含む反応
性ガス中で電子ビームを照射して行う電子ビームアシス
トエッチングである。
【0010】
【作用】本発明では、GaAsと格子整合した場合、ま
たは格子不整合条件の場合には、臨界膜厚程度以下のI
nを含む化合物半導体膜をエッチングマスクとして用い
ることによりドライエッチング終了後の再成長等の工程
で本エッチングマスクを除去する必要がなく、本エッチ
ングマスク上にGaAsまたはAlGaAs等を積層し
ても欠陥のない単結晶膜を得ることができる。従って本
発明のドライエッチング方法は、真空連続プロセスに適
している。
【0011】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に
説明する。図1は、本発明の第1の実施例を示す工程図
である。図1(a)に示すように、GaAs基板11上
に結晶成長した1μm厚のGaAs成長層12表面に、
ガスソースMBE法を用いてInGaP成長層13を2
0nm厚結晶成長した。このInGaP成長層13のI
n組成比を0.48とすることにより、GaAsと格子
整合させた。次に同図(b)に示すように基板温度16
0℃に加熱し、5×10-5Torrの塩素ガス15中で
加速電圧3kVの集束電子ビーム14を表面のInGa
P成長層13に部分的に照射し、電子ビームアシストエ
ッチングを5分間行った。
【0012】この結果、電子ビーム14を照射した部分
のInGaP成長層13だけがエッチングされ、パター
ンを形成できた。一方、集束電子ビーム14が照射され
なかったInGaP成長層13には塩素ガス15による
ガスエッチングは起きなかった。次に同図(c)に示す
ように基板温度100℃に下げ、5×10-5Torrの
塩素ガス15中で30分間ガスエッチングを行なった。
【0013】この結果、電子ビームアシストエッチング
により形成したInGaP成長層13の開口部16を通
してだけGaAs成長層12がガスエッチングされた。
【0014】図2は、本発明の第2の実施例を示す工程
図である。図2(a)に示すように、GaAs基板21
上に結晶成長した1μm厚のGaAs成長層22表面
に、ガスソースMBE法を用いてInGaP成長層23
を20nm厚結晶成長した。このInGaP成長層23
のIn組成比を0.48とすることにより、GaAsと
格子整合させた。次に同図(b)に示すように基板温度
160℃に加熱し、5×10-5Torrの塩素ガス25
中で加速電圧3kVの集束電子ビーム24を表面のIn
GaP成長層23に部分的に照射し、電子ビームアシス
トエッチングを5分間行った。
【0015】この結果、集束電子ビーム24を照射した
部分のInGaP成長層23だけがエッチングされ、パ
ターンを形成できた。一方、電子ビーム24が照射され
なかったInGaP成長層23には、塩素ガス25によ
るガスエッチングは起きなかった。
【0016】次に同図(c)に示すように基板温度50
℃に下げ、5×10-5Torrの塩素ガス25中で加速
電圧500Vのシャワー状電子ビーム27をInGaP
成長層23表面全面に照射して30分間電子ビームアシ
ストエッチングを行なった。
【0017】この結果、InGaP成長層23の開口部
26を通してだけGaAs成長層22が電子ビームアシ
ストエッチングされた。一方、InGaP成長層23が
残っている部分は基板温度50℃の電子ビームアシスト
エッチングではエッチングされなかった。また本実施例
ではGaAsと格子整合するInを含む化合物半導体膜
にInGaP成長層を用いたが、InGaYAl1-YPの
In組成比0.48の化合物半導体膜も本発明のエッチ
ングマスクとして用いることができる。
【0018】また、InGaAs等のGaAsと格子不
整合のInを含む化合物半導体の場合でも、臨界膜厚程
度以下で転位の少ない良好な半導体結晶膜が得られ、本
発明のエッチングマスクとして用いることができる。例
えばInGaAsのIn組成比0.2では臨界膜厚は
3.5nm厚である。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明のドライエッチング
方法によれば、Inを含む化合物半導体マスクのパター
ン形成に電子ビームアシストエッチングを利用すること
により、微細なパターンを有するエッチングマスクを作
成することができる。またInを含む化合物半導体マス
クは、GaAsと格子整合しているかまたは臨界膜厚以
下のため、Inを含む化合物半導体マスクは、その下層
のGaAsまたはAlGaAsと結晶が連続しており、
GaAs半導体またはAlGaAs半導体のエッチング
はInを含む化合物半導体マスクの開口幅以上に広がる
ことがない。
【0020】つまり、本発明によればサイドエッチング
を抑制することができる。従って微細パターン形成が可
能なInを含む化合物半導体マスクを用いてGaAsま
たはAlGaAsの微細なドライエッチングが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施例のド
ライエッチング方法の工程図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明の第2の実施例のド
ライエッチング方法の工程図である。
【図3】(a)〜(c)は、従来例のドライエッチング
方法の工程図である。
【符号の説明】
11,21 GaAs基板 12,22 GaAs成長層 13,23 InGaP成長層 14,24,33 集束電子ビーム 15,25,34 塩素(Cl2)ガス 16,26 開口部 27 シャワー状電子ビーム
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/302 H01L 21/3065

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GaAs半導体表面またはAlGaAs
    半導体表面上にIn組成比を0.48としInを含む化
    合物半導体膜をGaAsと格子整合条件または格子不整
    合条件の場合には臨界膜厚程度以下で積層する工程と、 前記Inを含む化合物半導体膜にハロゲン原子を含む反
    応性ガス中で電子ビームを部分的に照射し、その照射部
    分の前記Inを含む化合物半導体膜を部分的にエッチン
    グすることによりパターンを形成する工程と、 前記パターン化されたInを含む化合物半導体膜をマス
    クとして前記GaAs半導体またはAlGaAs半導体
    のドライエッチング工程とを有することを特徴とするド
    ライエッチング方法。
  2. 【請求項2】 GaAs半導体またはAlGaAs半導
    体のドライエッチングは、ハロゲン原子を含む反応性ガ
    スによるガスエッチングである請求項1に記載のドライ
    エッチング方法。
  3. 【請求項3】 GaAs半導体またはAlGaAs半導
    体のドライエッチングは、ハロゲン原子を含む反応性ガ
    ス中で電子ビームを照射して行う電子ビームアシストエ
    ッチングである請求項1に記載のドライエッチング方
    法。
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