JP3092821B2 - 化合物半導体表面構造およびその製造方法 - Google Patents

化合物半導体表面構造およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、GaAsおよびGaと
Asを含んだ混晶半導体を用いたデバイスの表面改質技
術に関して、半導体の表面上に金属、あるいは、絶縁体
の膜を形成する前の表面構造およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】本発明の分野に属する従来の技術として
は、GaAs表面を表面改質原子であるSまたはP等
で、厚さにして約一原子層以上を被覆する構造が知られ
ている。この構造と断面のバンド図を図6に示す。
(A)は半導体表面の断面図、(B)はバンド図であ
る。この様な構造を実現するには、S被覆では南日らの
報告した(JJAP, vol. 27,p. L2367(1988)等)多硫化
アンモニウム溶液処理へのGaAsウェハの浸漬などの
湿式処理が知られている。また、H2 Sガスを用いた乾
式法も知られている。また、P被覆では、PH3 ガスの
プラズマ中にGaAsを曝す方法が知られている(Sugi
no, et al., Defect Control in Semiconductors, p. 8
49, ElsevierScience Publishers B. V., North-Hollan
d, 1990 )。
【0003】これらのうち、S被覆については、概ねG
aAsの表面改質に有効であることが実験的に示されて
いる。ここで述べる表面改質とは、表面での再結合速度
を小さくできること、即ち、pn接合のリーク電流を低
減できる等の効果を持つこと、あるいは、表面(または
界面)準位密度を低減し表面でのフェルミ準位のピンニ
ングを緩和すること等の電気的特性の改質を指す。例え
ば、S被覆によって、フォトルミネッセンス強度(以下
PL強度)の5〜8倍の増加や界面準位密度の1.2×
1011cm-2eV-1までの低減などが報告されている
(Fan 他JJAP, vol, 28, p. L2255 (1989))。GaA
s表面のP被覆については、ショットキー接合の障壁高
さの仕事関数依存性が未処理に較べて強くなり(上記 S
ugino, et al. )、表面でのフェルミ準位のピンニング
を緩和することが確認されている。しかし、S被覆ほど
の効果が得られていない。
【0004】一方、デバイス応用では、従来はSで被覆
したGaAs、またはSで被覆した化合物半導体の被覆
表面の上にシリコン酸化膜などの絶縁膜を堆積すること
によってチップ表面の保護を行い、具体的には、HBT
ではpn接合部の保護に用い、電流増加率の向上が(例
えば;鹿田他、1990年応物秋季大会、26a−SQ−2
0.)、また、レーザの反射端面の保護に用い、レーザ
の高出力特性の向上が報告されている(例えば;佐々木
他、1990年応物春季大会、28a−SA−20.)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、上記の
様に、電気的特性の改質効果がある程度実現できている
ものの、最も優れているS被覆でも、PL強度の増加率
は上記の様に低く、また、界面準位密度もSiO2 /S
i界面で得られている値に較べると1〜数桁も大きく、
十分な改質効果が得られているとは言いがたい。更に、
従来技術のこの欠8についての、もう一つの工学的判断
としては、S被覆が表面でのフェルミ準位のピンニング
が生じている(Spindt, et al.,APL, vol. 55, p. 1653
(1989))。即ち、まだ従来と同程度であるとの判断も
ある。これらのことから、従来技術では表面の改質効果
が不十分であることが分かる。
【0006】本発明は、このような問題点を改善するた
めに提案されたものであって、その目的は、表面でのフ
ェルミ準位のピンニングを起きにくくし、改質効果の絶
対量を増加させることのできる、新たな構造と製法を提
供することにある。この結果、デバイスの性能向上をも
たらし、また、表面に関する製造過程での歩留まりに対
して余裕をもたせることができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明はGaAs結晶表面またはGaとAsを含ん
だIII−V族化合物混晶半導体結晶表面にIn,G
a,Al,Bより選ばれた1つ以上の原子と、As,P
より選ばれた1つ以上の原子を組成とする前記結晶とは
異なる組成のエピタキシャル成長した極薄の化合物半導
体の歪層が設けられており、前記歪層の価電子帯上端
が、前記結晶の価電子帯上端よりも低い電子エネルギー
位置にあり、前記歪層の前記結晶表面と対向する表面
が、Pの酸化物またはPまたはSで形成されていること
を特徴とする化合物半導体表面構造を発明の要旨とする
ものである。さらに、本発明はGaAs結晶表面また
は、GaとAsを含んだIII−V族化合物混晶半導体
結晶表面にIn,Ga,Al,Bより選ばれた原子を構
成元素とするガスと、As,Pより選ばれた原子を構成
元素とするガスを供給して、前記結晶表面上に前記結晶
とは異なる組成の極薄の化合物半導体の歪層を形成し、
ついで前記歪層を高温中でPまたはSを含むガス中に曝
すことを特徴とする化合物半導体表面構造の製造方法を
発明の要旨とするものである。さらに、本発明はGaA
s結晶表面またはGaとAsを含んだIII−V族化合
物混晶半導体結晶表面にIn,Ga,Al,Bより選ば
れた1つ以上の原子と、As,Pより選ばれた1つ以上
の原子を組成とする前記結晶とは異なる組成のエピタキ
シャル成長した極薄の化合物半導体の歪層と、前記歪層
の表面上にPの酸化物またはPまたはS層と、前記層上
にアモルファス構造の絶縁膜とが設けられており、前記
歪層の価電子帯上端が、前記結晶の価電子帯上端よりも
低い電子エネルギー位置にあることを特徴とする化合物
半導体表面構造を発明の要旨とするものである。さら
に、本発明はGaAs結晶表面または、GaとAsを含
んだIII−V族化合物混晶半導体結晶表面にIn,G
a,Al,Bより選ばれた原子を構成元素とするガス
と、As,Pより選ばれた原子を構成元素とするガスを
供給して、前記結晶表面上に前記結晶とは異なる組成の
極薄の化合物半導体の歪層を形成し、ついで前記歪層を
高温中でPまたはSを含むガス中に曝して表面をPまた
はS原子で被覆し、ついで表面に酸化シリコン分子を供
給してアモルファス絶縁膜を形成することを特徴とする
化合物半導体表面構造の製造方法を発明の要旨とするも
のである。
【0008】換言すれば、本発明では、GaAsやGa
As系混晶半導体(Alz Gax Iny Asr s :こ
こでy+z<1,x+y+z=1,s<1,r+s=
1)結晶(以下では、基板と呼ぶ)の表面に、In,G
a,Al,Bより選ばれた1つ以上の原子と、As,P
より選ばれた1つ以上の原子よりなる異なる組成の、例
えば、ヘテロエピタキシャル成長した、極めて薄いII
I−V族化合物半導体混晶
【化1】 の歪層を設け、この歪層の価電子帯上端のエネルギー位
置が、前記基板結晶の価電子帯上端のエネルギー位置よ
りも、電子エネルギーで表現して低く成っており、か
つ、この歪層の前記基板結晶表面と対向する表面がPま
たはSまたはPの酸化物にすることを特徴としている。
この表面のSまたはP層の厚さは1原子層あれば十分で
ある。
【0009】この本発明の構造の概念図を図1に示す。
(A)は表面構造の断面を示し、ここで、歪層の厚さ
は、原子層が5層分(約0.5nm)以上、3nm以下
である。なお、(B)はバンド図を示すもので、歪層の
価電子帯の上端を基板結晶より離れるに従ってエネルギ
ーが低くなるように描いているが、これは必要条件では
ない。また、歪層の価電子帯がなめらかにつながる必要
はなく、(C)に示すように階段状に急峻に変化する構
造であってもよい。また、歪層の伝導帯下端が反対に高
くなるように描いているが、これは必要条件ではない。
実際には歪のために出来ないが、例えば、InP/Ga
Asの厚いInPヘテロ接合をバンドラインアップの概
念に従って作った場合を想定すると、GaAsの伝導帯
下端よりも表面のInPの伝導帯の下端のエネルギーが
低くなるが、本発明のような薄い歪層では伝導帯のエネ
ルギーが歪ゆえに概ね一定の値になり、表面に量子井戸
が作る電子の準位を形成しないと考えられる。
【0010】さらに、この表面に絶縁膜を形成した場合
の概念図を図2に示す。(A)は表面構造の断面図を示
し、(B)はバンド図を示す。また、これを実現する手
法として、基板上に極めて薄い化合物半導体層を形成
し、この後、PまたはSの分圧を加えて400〜650
℃程度の高温中に曝すことを特徴とする。
【0011】ここで、歪層の厚さには、外部電圧を印加
した場合でも、歪層の表面での価電子帯の最大値Ev
(歪層)が、これと基板の価電子帯の最大値Ev(基
板)との差△Ev=Ev(基板)−Ev(歪層)の、お
よそ1/2よりも低い必要がある。いま基板をGaAs
とし、歪層表面のEvが低い条件(GaP)を仮定する
と△Evは約0.6V、一方、デバイス応用の面から半
導体中でなだれ降状が起こらない許容限界として1MV
/cmの電界を仮定すると、この極薄の歪層の厚さは最
大でも3nmであることを必要とする。また、実際のデ
バイスを想定すると余裕度をもたせる必要があって、2
MV/cm程度が要求され、この場合は、1.5nm以
下の厚さでなければならない。なお、以下ではこの極薄
の歪層を薄層または極薄層と記す。
【0012】
【作用】本発明によれば、従来法で得られた以上のPL
強度を得ることができ、従来法で実現できたよりも更に
低い表面再結合速度あるいは更に低い表面準位密度を実
現できる。これは、GaAsデバイスを例にとると、デ
バイスに重要な表面近傍のGaAs結晶の酸化を抑制し
た、言い換えると、LSI等の製造において、再現性の
良いウェハ表面処理法とその構造を提供すると共に、デ
バイスに適用すると表面再結合速度の小さい、あるい
は、表面準位密度・界面準位密度の小さいGaAs表面
を提供し、GaAsを用いたMESFETなどの高性能
化をもたらす。
【0013】本発明が改善をもたらす理由は、従来では
GaAsの表面酸化によってできる表面準位が図6
(B)に示すようにGaAsのバンドギャップの中程か
ら価電子帯寄りに現れるが、本発明の構造では図1
(B)に示すように表面準位がGaAsの価電子帯の最
大値(上端)以下になるためであると説明できる。即
ち、基板側から見ると、表面準位は基板の価電子帯中に
埋もれてしまうためにデバイスに対する悪影響が起こら
なくなる。
【0014】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。な
お、実施例は一つの例示であって、本発明の精神を逸脱
しない範囲で、種々の変更あるいは改良を行い得ること
は言うまでもない。
【0015】実施例1: GaAsを基板とした実施例について述べる。図3に本
発明で用いる表面処理装置の概略図を示す。図3におい
て1は試料交換室、2は試料交換用バルブ、3,3a,
3bは気密バルブ、4は処理室、5,5a,5b,5c
は処理室圧力制御装置、6はサセプタ、7は試料温度制
御装置、8は試料、9は試料交換装置、10はガス制御
バルブ、11は流量制御装置、12はTMI用恒温層、
13は原料ボンベを示す。
【0016】次に製造工程について述べる。 電子濃
度が1016〜1018cm-3の鏡面仕上げのSiをドープ
したGaAsウェハを準備し、鏡面仕上げ用の化学エッ
チング溶液を用いて、このウェハ表層の約数μmを除去
する。さらに続いて、表面の酸化膜を酸性溶液を用いて
可能な限り除去する。これによって、本発明の構造を実
現するために試料表面の準備が完了する。 試料を表
面処理装置の試料交換室1内のサセプタ上に置き、1×
10-5Torr. 以下まで真空排気したのちに、処理室4内
に移す。その後、以下の処理中は、処理室内に純化した
水素(以下、水素と記す。)を数リットル/分の流量で
流し、かつ、処理室の圧力を約10〜100Torr. に保
つ。 5〜100cc/分の流量で原料ボンベ13か
らAsH3 ガスを処理室4に流しながら、5〜15分の
間、試料を650〜700℃に保持する。この工程は試
料表面の自然酸化膜を除去するために行い、AsH3
スは、表面からのAs抜けを防ぐために供給する。
試料温度を550〜700℃に設定し、AsH3 ガスを
切る。この後、5〜100cc/分の流量でPH3 ガス
を供給し、同時に、室温付近に保ったTMI(トリメチ
ルインジウム)から得られる、TMIガスを含んだキャ
リア(水素)ガスを5〜200cc/分の流量で供給す
る。このTMI供給時間は、この工程でできる半導体層
の厚さが1.5nmになる時間である。この時間は、例
えば、650℃,PH3 ガス30cc/分,TMIを含
んだ水素100cc/分の条件では、およそ10秒であ
る。この供給後、TMIを含んだ水素ガスを止める。
【0017】この工程によって、GaAs表面上にIn
Pを主組成とするGaとAsを含んだ変遷層InGaA
sPがGaAs結晶の上にエピタキシャル成長する。な
お、この表面の格子間隔は、基板表面と平行向きでは基
板とおよそ等しいが、垂直向きでは異なる、よく知られ
ている歪の入った層となっている。なお、この歪層の厚
さは従来から知られている転位が発生するしきい値厚さ
よりも十分に薄いが、なおかつ、転位が入れば結晶中に
不要な欠陥準位が現れるので、本発明の効果が現れるの
に必要な良質の結晶を実現できなくなる可能性はある
が、本発明が意図し、また、もたらすところの基本的な
効果とそのメカニズムとは独立の現象である。 TM
Iを含んだ水素ガスは止めたが、PH3 ガスはその後も
1〜10分間流す。この間、試料温度は450〜650
℃である。この工程によって、上記歪層の中に、Ga,
As及びIn,Pが相互に拡散し、安定な変遷層、すな
わち、歪のエネルギーの極小状態を形成する。また、同
時に、この極薄の変遷層の表層をPで被覆する。 水
素ガスのみを流し続け、温度を室温まで下げた後、水素
ガスを止めて、試料交換室を経由して、試料を取り出
す。
【0018】以上のようにして作った、試料の表面にア
ルゴンレーザ光を照射しPL強度を測定した結果を図4
に示す。図4では横軸に波長、縦軸はPL強度をとって
ある。試料の電子濃度が2×1017cm-3の例である。
PL強度は未処理に比較して、ピーク値で約15倍に増
加している。この増加率は、従来のS被覆での最高値、
約8倍、平均値約6倍(特願平2−252993)を明
らかに上回っている。また、表面にPを被覆した場合の
増加率、約3倍に比較しても明らかに大きい(D. J. Ol
ego. et al., APL, vol. 45, p. 1127(1984))。一
方、ピークを示す波長の位置はいずれの試料でもGaA
sのバンドギャップに対応する波長である。この事実
は、表面に量子井戸などによる準位が出来ておらず、G
aAsの性質を保持していることを示唆する。この試料
表面のAEXおよびXPS分析から、表面近傍にはPと
Inリッチの層があることを、また、大気中を通したこ
とによって、表面にPの酸化物が存在する構造になった
ことを確認した。
【0019】以上から、上記の実施例では図1(A)に
示す構造ができていることを示している。そして、PL
強度の増加は表面再結合の低減を意味しており、GaA
sから見たバンドギャップ内の表面準位が非常に減少し
ていることを意味する。表面のPは不対電子を形成する
と考えられるので、表面準位が消失する可能性がないた
め、上記の現象は、従来支配的であった表面準位のエネ
ルギ位置がGaAsの価電子帯の上端Ev(基板)以下
になっていることを示す。以上はInについて説明した
が、Ga,Al,Bを用いることもできる。
【0020】実施例2: 〜は実施例1の通りに行う。 PH3 ガスを停止
し、温度を400〜600℃に設定し、希釈H2 Sを
0.1〜1リットル/分の流量で、400℃ならば約3
0分、600℃ならば約5分間供給する。この時、希釈
2 SガスはH2 Sを水素で1000ppmに希釈した
ものである。この使用ガスの希釈濃度は特に制限がな
く、流量と濃度の積が本条件相当または以上であればよ
い。この工程で、試料の表面がSで被覆された本発明の
構造が実現する。 水素ガスのみを流し続け、温度を
室温まで下げた後、水素ガスを止めて、試料交換室を経
由して、試料を取り出す。以上の製法で作った試料の表
面を大気中に曝しても、実施例1の場合とは異なり、表
面近傍のP等の酸化が抑制され、また、PL強度は未処
理に比較して、ピーク値で20倍近くまで増加した。な
お、ピークを示す波長はGaAsと同じである。従っ
て、この実施例2の方が実施例1よりも優れた効果を示
している。実施例2の試料の構造は、分析結果から図1
に示したS層を有する構造になっていることが分かっ
た。
【0021】実施例3: 実施例1によって作った試料1と実施例2によって
作った試料2を準備する。 試料1及び試料2を真空
装置中に設置し、1×10-6Torr. 以下にまで排気す
る。その後、同装置中の抵抗発熱体ボートに予め蓄えて
あるSiO粒を、ボートに電流を流すことによってSi
O分子として蒸発させ、これを両試料の表面に堆積し、
アモルファス絶縁膜を形成する。堆積速度は数〜十数μ
m/秒であり、堆積した厚さは、150nmである。
次に、両試料を別の真空装置中に設置し、上記と同様
の真空度のもとでメタルマスクを用いてで形成したS
iO表面に200nmの厚さのAl電極を形成する。次
に、同様に、この電極に対向する裏面のGaAs上に8
0nm厚さのAuGe,15nmのNi,150nmの
厚さのAuを連続して形成する。 裏面に堆積したA
uの表面からYAGレーザ光を照射して、裏面をGaA
sのオーミック電極にする。
【0022】以上の手順で作った、それぞれの試料を試
料1−3,試料2−3と呼ぶ。それぞれの試料に対応す
る構造は図2に示した絶縁膜表面にAlの金属電極を設
け、かつ、基板の裏面にオーミック電極を設けた構造と
なっている。試料1−3と試料2−3について、通常行
われている1MHzでの容量電圧特性を測定し、ターマ
ン法で界面準位密度を決定すると、いずれも、最小値で
約0.6×1011cm-2ev-1を得た。この値は、本発
明の処理をGaAs表面に行わずに作った試料の界面準
位密度に較べて約3桁の改善が図られ、また、従来のS
被覆について報告されている値より半減しており、優れ
た特性となっている。従って、本発明の有効性が明らか
である。
【0023】実施例4: 実施例1のを行う。 実施例1のにおいて、
試料とサセプタの間にInPのウェハを挿入する。その
他は同様である。この時の試料の配置関係の図5に示
す。図5において、14はサセプタ、15はInPウェ
ハ、16はGaAsウェハを示す。 5〜100cc
/分の流量でPH3 ガスを処理室に流しながら、約5分
間、試料を650℃に保持する。この工程は試料表面の
自然酸化膜を除去するために行う。 PH3 ガスを供
給し続け、試料温度を450〜600℃に設定し、5〜
20分間曝す。この工程では、InPウェハからInが
ガスとなって供給されるため、GaAs表面上にInP
を主組成とするGaとAsを含んだ極めて薄いInGa
AsPの変遷層が、実施例1と同様に、GaAs結晶上
に歪入りのエピタキシャル層として形成される。 上
記の時間に達したら、試料温度を380℃まで下げ、こ
の後にPH3 ガスを止める。 水素ガスのみを流し続
け、温度を室温まで下げた後、水素ガスを止めて、試料
交換室を経由して、試料を取り出す。以上のようにして
作った、試料のPL強度は、実施例1と同様に未処理の
約15倍を示した。また、AES等の分析結果も同様で
あった。なお、補足ではあるが、InPを挿入しないで
行った従来技術に属する製法でのGaAs表面へのP被
覆ではPL強度の増加は約5倍以内であった。
【0024】実施例の拡張: 実施例1のでは、TMIとPH3 を同時に供給するこ
とによって極薄層を形成した。この工程をALE法(原
子層成長法)による原子層ずつの成長に置き換えること
は可能である。即ち、原子層成長を示す温度条件におい
て、TMIとPH3 をそれぞれ約3秒づつ、交互に、各
6回流すことで、約1.5nmの厚さの極薄層を形成で
きる。この後、PH3 を流したまま、試料温度を450
℃〜650℃に設定する。この後は、実施例1のに続
く。
【0025】ところで、本発明はGaAsの表面にGa
またはAs以外の原子よりなるエピタキシャルの上記歪
薄層を形成し、その表面をPまたはSで覆うことによっ
て、歪層の価電子帯上端をGaAsの価電子帯上端以下
になるようにつくり、歪層の表面をPまたはSまたはP
の酸化物にすることで、PやSやPの酸化物が作る表面
準位が基板であるGaAsの価電子帯上端より低いエネ
ルギ側に現れるような構造にすることによって構成され
ている。このような本発明の構造が上記の良好な表面特
性をもたらすと言える。また、本発明の構造は、本発明
の製造方法によって容易かつ制御性よく製作でき、本発
明の特に、PまたはSを含む熱平衡に近いガス中に曝す
工程が重要な役割を果たしている。従って、以上の実施
例では基板にGaAsを用いた例を述べたが、本発明の
効果は、上に説明した理由でもたらされる現象であるの
で、基板をGaAsに限る必要はない。従って、GaA
sに類似のGaとAsを含んだ基板であれば、本発明構
造を実現でき、上記と類似の効果を実現できる。具体的
な基板には、GaAs,AlGaAs,InGaAs,
InGaAsP,InGaAlAs,InAlAsがあ
り、また、これらをエピタキシャル層とするウェハがあ
る。
【0026】また、基板上にバンドギャップの大きい薄
層を堆積するには、基板の構成元素よりも原子半径の小
さい元素で結晶を作れば良いので、原理的にはBをも採
用できることは自明である。また、AlGaAsの価電
子帯の上端はGaAsの価電子帯の上端よりも低いエネ
ルギーになり、かつ、AlGaAsのバンドギャップは
GaAsのバンドギャップよりも広いので、薄層の組成
にAlを採用することができる。実施例3では、試料1
と試料2の表面にSiOを抵抗加熱蒸着法で堆積した。
この工程は、よく知られているECRプラズマCVD法
によるSiO2 膜の堆積に置き換えることができる。こ
の方法では、SiH4 とO2 を電子サイクロトロン共鳴
によってラジカルにし、酸化シリコンを表面に堆積す
る。
【0027】
【発明の効果】本発明を化合物半導体で作ったFETの
表面保護膜として適用すると、表面に起因する雑音の低
下、表面空乏層によるシリーズ抵抗の低減とこれに伴う
利得の向上を実現できる。また、HBTなどのpn接合
部の表面保護膜として適用すると、表面に起因するリー
ク電流の低減とこれに伴う電流増幅率の向上を実現でき
る。さらに、絶縁膜と該薄層の界面への不本意な不純物
の混入の抑制、等の制御を向上することによって、Ga
As上での少数キャリアの蓄積制御が可能な金属/絶縁
体/半導体(MIS)素子の実現が可能である等の効果
を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明半導体部分の構造の概念図を示す。
(A)は断面構造、(B)は断面のバンド図、(C)は
(B)図の一部拡大図である。
【図2】絶縁膜を含む本発明の構造の概念図を示す。
(A)は断面構造、(B)は断面のバンド図である。
【図3】本発明で用いる表面処理装置の概略図を示す。
【図4】本発明の実施例1による試料のPL強度を示
す。
【図5】本発明の実施例4における試料の配置関係を示
す。
【図6】従来技術によるGaAs表面の構造概念図を示
す。(A)は断面構造、(B)は断面のバンド図であ
る。
【符号の説明】
1 試料交換室 2 試料交換用バルブ 3,3a,3b 気密バルブ 4 処理室 5,5a,5b,5c 処理室圧力制御装置 6 サセプタ 7 試料温度制御装置 8 試料 9 試料交換装置 10 ガス制御バルブ 11 流量制御装置 12 TMI用恒温層 13 原料ボンベ 14 サセプタ 15 InPウェハ 16 GaAsウェハ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−130721(JP,A) 特開 平4−118920(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GaAs結晶表面またはGaとAsを含
    んだIII−V族化合物混晶半導体結晶表面にIn,G
    a,Al,Bより選ばれた1つ以上の原子と、As,P
    より選ばれた1つ以上の原子を組成とする前記結晶とは
    異なる組成のエピタキシャル成長した極薄の化合物半導
    体の歪層が設けられており、前記歪層の価電子帯上端
    が、前記結晶の価電子帯上端よりも低い電子エネルギー
    位置にあり、前記歪層の前記結晶表面と対向する表面
    が、Pの酸化物またはPまたはSで形成されていること
    を特徴とする化合物半導体表面構造。
  2. 【請求項2】 GaAs結晶表面または、GaとAsを
    含んだIII−V族化合物混晶半導体結晶表面にIn,
    Ga,Al,Bより選ばれた原子を構成元素とするガス
    と、As,Pより選ばれた原子を構成元素とするガスを
    供給して、前記結晶表面上に前記結晶とは異なる組成の
    極薄の化合物半導体の歪層を形成し、ついで前記歪層を
    高温中でPまたはSを含むガス中に曝すことを特徴とす
    る化合物半導体表面構造の製造方法。
  3. 【請求項3】 GaAs結晶表面またはGaとAsを含
    んだIII−V族化合物混晶半導体結晶表面にIn,G
    a,Al,Bより選ばれた1つ以上の原子と、As,P
    より選ばれた1つ以上の原子を組成とする前記結晶とは
    異なる組成のエピタキシャル成長した極薄の化合物半導
    体の歪層と、前記歪層の表面上にPの酸化物またはPま
    たはS層と、前記層上にアモルファス構造の絶縁膜とが
    設けられており、前記歪層の価電子帯上端が、前記結晶
    の価電子帯上端よりも低い電子エネルギー位置にあるこ
    とを特徴とする化合物半導体表面構造。
  4. 【請求項4】 GaAs結晶表面または、GaとAsを
    含んだIII−V族化合物混晶半導体結晶表面にIn,
    Ga,Al,Bより選ばれた原子を構成元素とするガス
    と、As,Pより選ばれた原子を構成元素とするガスを
    供給して、前記結晶表面上に前記結晶とは異なる組成の
    極薄の化合物半導体の歪層を形成し、ついで前記歪層を
    高温中でPまたはSを含むガス中に曝して表面をPまた
    はS原子で被覆し、ついで表面に酸化シリコン分子を供
    給してアモルファス絶縁膜を形成することを特徴とする
    化合物半導体表面構造の製造方法。
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