JP2742354B2 - 鉄道車両用滑走防止装置のブレーキ力制御方法 - Google Patents
鉄道車両用滑走防止装置のブレーキ力制御方法Info
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Description
置におけるブレーキ力の制御方法に関するものである。
ブレーキをかけたときにレールと車輪間の粘着力が低
く、車輪がレール上を回転せずに滑るような状況(これ
を車輪の固着という)が発生すると同時に車両の操縦安
定性が損なわれるので、ブレーキ力を低下させることに
よってブレーキ力を一時的に緩め、これらを防止するた
めの装置である。従来の滑走防止装置の構成図を図3に
示す。図3において、1は回転センサ、2は演算装置、
3は供給停止電磁弁、4は吐出電磁弁を示す。また、5
はブレーキ指令器、6はブレーキ制御装置、7は圧縮空
気源、8はブレーキシリンダ、9は車輪、10は制輪子
を示す。5のブレーキ指令器は、ブレーキハンドルを操
作することによって発生するブレーキ指令量を電気量に
変換する装置である。ブレーキ制御装置6は、圧縮空気
源7の圧縮空気(または油圧)をブレーキ指令器5の出
力の電気量に比例した空気圧(または作動油)に変換
し、ブレーキシリンダ圧力としてブレーキシリンダ8に
作用させる。演算装置2は、回転センサ1からの速度パ
ルス信号を入力し、速度、減速度等を演算し、ブレーキ
作動中に速度、減速度等の値があらかじめ設定された数
値を超過したときに滑走とみなして供給停止電磁弁3、
吐出電磁弁4を動作させ、ブレーキシリンダ圧力を一時
的に低下させて、車輪の回転を回復させる。図4は、従
来の滑走防止装置の作用を示す。車輪がすべり始めた点
(A点)を検知すると、供給停止電磁弁3が動作してブ
レーキ制御装置6からの管路を閉じ、同時に吐出電磁弁
4が動作してブレーキシリンダ8内の圧縮空気を大気中
に吐出し、ブレーキを緩める、すなわち、ブレーキシリ
ンダ圧力を所定の圧力p2 からp1 に低下させる。車輪
の回転が再粘着に向かう点(B点)を検知すると吐出電
磁弁4を閉じて、そのときのブレーキシリンダ圧力p1
を維持する。再粘着をした点(C点)を検知すると、供
給停止電磁弁3を開いて、再び、元のブレーキシリンダ
圧力p2 に復帰させる。
う滑走防止装置において、各作用点を検知するためには
検知時間(サンプリング時間)が必要である。そのた
め、図5に示すように、滑走開始点(A点)は実際には
A′点で検知され、同様にB点はB′点で、C点はC′
で検知される。したがって、A′点からB′点までの間
は、ブレーキシリンダ圧力は降下を続け、ブレーキシリ
ンダ圧力はほぼ0になる。さらに、再粘着した点はC′
として検知されるので、C−C′間においては車輪が滑
走せず、かつ、ブレーキ力が無い状態が発生する。すな
わち、図5の斜線で示す部分のブレーキ力の損失が発生
し、ブレーキ距離が増大するという問題点があった。ま
た、当該車輪が再粘着したときにブレーキを再び作用さ
せるためには、ブレーキシリンダにブレーキ初期と同様
に大量の圧縮空気を導き入れることが必要であり、滑走
制御が繰返されると圧縮空気源が枯渇し、ブレーキが作
用しない事態が生ずる可能性があった。
解決し、ブレーキ力の損失を最小限にとどめてブレーキ
距離の増加を防止するために、鉄道車両の滑走防止装置
のブレーキ力制御方法であって車輪が滑ったことを検知
したときにブレーキ力を一定時間t1 だけ低下させ、そ
の後の一定時間t2 中は車輪の回転速度を監視し、車輪
の回転速度が車両の速度近傍に復帰しない場合には再び
ブレーキ力を一定時間t1 だけ低下させ、その後の一定
時間t2 は車輪の回転速度を監視し、車輪の回転速度が
車両の速度近傍に復帰しない場合には再びブレーキ力を
一定時間t1 低下させ、その後の一定時間t2 は車輪の
回転速度を監視し、車輪の回転速度が車両の速度近傍に
復帰するまでブレーキ力を一定時間t1 低下させること
と一定時間t2 ブレーキ力を保持することを繰り返すこ
と、または、車輪が滑ったことを検知したときのブレー
キ力の低下量を一定量とすることを特徴とする。ブレー
キ作用中に車輪が滑走し、滑走防止装置が動作したとき
のブレーキ距離の増加を防止するという目的を、ブレー
キ力を一定時間または一定量低下させることで実現し
た。
る。本発明は、鉄道車両の滑走防止装置において、滑走
を検知した場合(A′点)にブレーキシリンダ圧力p1
を一定時間t1 または一定量Δp1 低下させ、その後の
一定時間t2 はブレーキシリンダ圧力を一定値p2 (p
2 =p1 −Δp1 )に保って滑走がさらに継続するか、
再粘着に向かうかの状況を監視する。滑走がさらに進行
する場合には上記の動作を繰返し、ブレーキシリンダ圧
力を階段状に低下させる。車輪が再粘着に向かう点
(B′点)を検知した場合にはその時点のブレーキシリ
ンダ圧力を保持し、再粘着点(C′点)を検知した場合
には、ブレーキシリンダ圧力を所定の値p1 に復帰させ
る。
間低下させる場合の滑走防止装置の作用を示す。装置の
構成は図3に示す従来の装置と同様である。図1におい
て、滑走を検知(A′点)すると、ブレーキシリンダ圧
力p1 を一定時間(t1 時間)降下させブレーキシリン
ダ圧力をp2 (p2 =p1 −Δp1 )とし、その後、そ
のブレーキシリンダ圧力p2 を一定時間(t2 時間)保
持する。なお、一定時間t1 またはt2 は、滑走防止装
置の動作を考慮してあらかじめ定めた値である。この一
連の動作中に車輪の回転が再粘着に向かう点(B′点)
を検知した場合には、直ちにその時点のブレーキシリン
ダ圧力を保持し、一連の動作中にB′点が存在しない場
合には、再びブレーキシリンダ圧力p2 を一定時間(t
1 時間)低下させ、ブレーキシリンダ圧力をp3 (p3
=p2 −Δp1 =p1 −2Δp1 )とする。こうして、
B′点を検知するまで上記の動作を継続させる。B′点
を検知すると、その時点のブレーキシリンダ圧力を保持
する。C′点を検知すると、その時点のブレーキシリン
ダ圧力を所定の値p1 に復帰させる。ブレーキ力の損失
は図1の斜線の部分に相当し、従来の滑走防止装置の場
合のブレーキ力の損失(図5の斜線部分)に比較して、
ブレーキ力の損失は大幅に減少する。なお、時間t1 、
t2 は滑走の程度に対応して任意に変化させることがで
きる。
量低下させる場合の滑走防止装置の作用を示す。装置の
構成は図3に示す従来の装置と同様である。図2におい
て、滑走を検知(A′点)すると、ブレーキシリンダ圧
力p1 を一定量(Δp)低下させ、ブレーキシリンダ圧
力をp2 (p2 =p1 −Δp)とする。ブレーキシリン
ダ圧力が低下した後は、そのブレーキシリンダ圧力p2
を所定の時間(t時間)保持する。なお、一定量Δpま
たは一定時間tは、滑走防止装置の動作を考慮してあら
かじめ定めた値である。この一連の過程において、車輪
の回転が再粘着に向かう点(B′点)を検知した場合に
は、その時点のブレーキシリンダ圧力を保持し、B′が
存在しない場合には、再びブレーキシリンダ圧力p2 を
一定量(Δp)低下させ、ブレーキシリンダ圧力をp3
(p3 =p2 −Δp=p1 −2Δp)とする。こうし
て、B′点を検知するまで上記の動作を継続する。B′
点を検知すると、その時点のブレーキシリンダ圧力を保
持する。C′点を検知すると、ブレーキシリンダ圧力を
再び所定の値p1 に復帰させる。したがって、ブレーキ
力の損失は図2の斜線の部分に相当し、従来の滑走防止
装置の場合のブレーキ力の損失(図5の斜線部分)に比
較して、ブレーキ力の損失は大幅に減少する。なお、ブ
レーキ力を一定量低下させる場合の量またはブレーキシ
リンダ圧力を一定量低下させる場合の量、及び時間tは
滑走の程度に対応して任意に変化させることができる。
再粘着するために必要な量だけ、ブレーキシリンダ圧力
またはブレーキ力を低下させる方法である。これまでの
研究によれば、車輪の滑走はブレーキ力が路面またはレ
ールと車輪間の粘着力をわずかに超過したために発生し
ており、ブレーキシリンダ圧力をわずかに低下させただ
けで車輪の回転は再粘着に向かっている。したがって、
従来の滑走制御方法は、ブレーキ力の損失がきわめて大
きかったということができる。本発明によって、雨天等
においてレールと車輪間の粘着力が低下し、滑走防止装
置が頻繁に動作するような状況において、ブレーキ力の
低下を抑制し、ブレーキ距離の増加を抑えることができ
る。これは、鉄道においては駅の所定の位置に停車しな
ければならない場合や信号機が停止指示を表示してお
り、その信号機の手前に停車しなければならない場合に
大きな効果を発揮する。さらに、緊急の際には可能な限
り短い距離で停車しなければならないが、そのような場
合に短い距離で停車することが可能になれば、従来の速
度以上で車両を運転することが可能になり、目的地まで
の到着時間を短縮することができる。また、本発明によ
れば空気ブレーキにおいて圧縮空気の消費量を大幅に削
減することが可能であり、従来の滑走防止装置おいて繰
返して装置が動作したために、圧縮空気が不足し、ブレ
ーキが十分に作用しないという不測の事態を回避するこ
とができる。
に係わる滑走防止装置の作用を示した説明図である。
係わる滑走防止装置の作用を示した説明図である。
明図である。
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 鉄道車両の滑走防止装置のブレーキ力を
制御する方法であって、車輪が滑ったことを検知したと
きにブレーキ力を一定時間t1 低下させ、その後の一定
時間t2 は車輪の回転速度を監視し、車輪の回転速度が
最低速度点(BまたはB′点)になったことを検知しな
い場合には、再びブレーキ力を一定時間t1 低下させ、
その後の一定時間t2 は車輪の回転速度を監視し、車輪
の回転速度が最低速度点(BまたはB′点)になったこ
とを検知するまでブレーキ力を一定時間t1 低下させる
ことと一定時間t2 ブレーキ力を保持する一連の動作を
繰り返すことを特徴とする鉄道車両用滑走防止装置のブ
レーキ力制御方法。 - 【請求項2】 鉄道車両の滑走防止装置のブレーキ力を
制御する方法であって、車輪が滑ったことを検知したと
きにブレーキ力を一定量Δp低下させ、その後の一定時
間は車輪の回転速度を監視し、車輪の回転速度が最低速
度点(BまたはB′点)になったことを検知しない場合
には再びブレーキ力を一定量Δp低下させ、その後の一
定時間は車輪の回転速度を監視し、車輪の回転速度が最
低速度点(BまたはB′点)になったことを検知するま
でブレーキ力を一定量Δp低下させることと一定時間ブ
レーキ力を保持する一連の動作を繰り返すを特徴とする
鉄道車両用滑走防止装置のブレーキ力制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4146814A JP2742354B2 (ja) | 1992-05-14 | 1992-05-14 | 鉄道車両用滑走防止装置のブレーキ力制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4146814A JP2742354B2 (ja) | 1992-05-14 | 1992-05-14 | 鉄道車両用滑走防止装置のブレーキ力制御方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05319243A JPH05319243A (ja) | 1993-12-03 |
JP2742354B2 true JP2742354B2 (ja) | 1998-04-22 |
Family
ID=15416136
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4146814A Expired - Lifetime JP2742354B2 (ja) | 1992-05-14 | 1992-05-14 | 鉄道車両用滑走防止装置のブレーキ力制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2742354B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018069875A (ja) * | 2016-10-27 | 2018-05-10 | 株式会社タダノ | 軌陸車の鉄輪の空転滑走検出システム |
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WO2009153883A1 (ja) | 2008-06-20 | 2009-12-23 | 三菱電機株式会社 | 列車滑走制御装置および列車滑走制御方法 |
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JP2660851B2 (ja) * | 1988-09-08 | 1997-10-08 | 株式会社曙ブレーキ中央技術研究所 | 車両のアンチロック制御方法 |
JPH02141354A (ja) * | 1988-11-19 | 1990-05-30 | Hitachi Ltd | 電気車のブレーキ制御装置 |
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-
1992
- 1992-05-14 JP JP4146814A patent/JP2742354B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2018069875A (ja) * | 2016-10-27 | 2018-05-10 | 株式会社タダノ | 軌陸車の鉄輪の空転滑走検出システム |
Also Published As
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JPH05319243A (ja) | 1993-12-03 |
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