JP2738752B2 - 外壁パネルのシール構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、建物における外壁パネルのシール構造に関
する。

（従来の技術） 建物の外壁構造として、柱や梁等の鉄骨構造体に、複
数枚の外壁パネルを左右方向及び上下方向に隣接配置し
て構成したものがある。このような場合、左右方向に隣
接する外壁パネルの間には目地部が形成される。また、
上階の外壁パネルと、その下階側に配設されている壁下
部材（下階の外壁パネルや水切り板，窓枠部材等）との
間には間隙部が形成される。

そのため、これらの目地部及び間隙部を防水処理する
ための構造として、例えば特開昭63−44046号公報に記
載されているように、上階の外壁パネルの側縁部及び下
縁部に防水シートを取着した構造が提案されている。こ
の構造は、外壁パネルの下端部裏面に接着されている防
水シートの下縁部を壁下部材の上端部表面に接着させる
ことで上階の外壁パネルと壁下部材との間に形成される
間隙部を閉塞している。また、隣接する上階の外壁パネ
ルの目地部を臨んで設けられている一対の防水シート
は、防水シートの側縁部を互いに継ぎ合せることで目地
部を閉塞している。そして、防水シートの側縁部の継ぎ
合せ部分は前記目地部に押し込んで処理されている。

ところで、防水シートは、外壁の幅方向全長に亘って
設けられる。そして、この防水シートは、できるだけ連
続させることが防水性能の面から望ましいことは明らか
である。

ところが、外壁のコーナー部において防水シートを連
続させて設けるのは困難であり、上述のように継ぎ合せ
るのはやむをえない。更に、外壁のコーナー部に外壁パ
ネルの目地部が表れない場合も生じてくる。そのような
場合には、上述のような手段によって防水シートの側縁
部を継ぎ合せるのも不可能となる。

そこで、一般には、鋼板等の金属板で外壁のコーナー
部に対応した形状のコーナー部防水シートを形成し、こ
のコーナー部防水シートを外壁のコーナー部に接着し、
防水シートの側縁部をこのコーナー部防水シートに重ね
ることで処理している。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、このような従来構造にあっては、鋼板
等の金属板で形成されたコーナー部防水シートが用いら
れていたために、コーナー部防水シートを接着させる外
壁パネルに突起や段差が設けられている場合には、コー
ナー部防水シートを外壁パネルに密着させるのが困難で
あり、十分な防水性能が得られ難い。

また、外壁のコーナー部にコーナー部防水シートを取
り付けた場合、このコーナー部防水シートの出っ張り
が、屋根を葺く場合等に邪魔になる。そして、このコー
ナー部防水シートにものがぶつかるとコーナー部防水シ
ートは塑性変形するので、外壁パネルに対して十分な密
着性が得られなくなり確実に防水処理できなくなるとい
う問題もあった。

そこで本発明は、上記従来の問題に着目し、防水シー
トの側縁部が存在する外壁のコーナー部における防水処
理を確実にでき、しかも施工性が良好な外壁パネルのシ
ール構造を提供することを目的としている。

（課題を解決するための手段） 本発明は、上述のような課題を解決することを目的と
してなされたもので、この目的達成のために、本発明の
外壁パネルのシール構造は、外壁パネルの下端部裏面に
沿って一般部防水シートの上縁部が接着されていると共
に、前記外壁パネルの下側に配設されている壁下部材の
上端部表面に沿って一般部防水シートの下縁部が接着さ
れ、建物のコーナー部に設けられているコーナー部防水
シートに前記一般部防水シートの側縁部が重ねられてい
る外壁パネルのシール構造であって、前記コーナー部防
水シートが、弾性変形可能な軟質材料で外壁のコーナー
部にほぼ一致した形状に形成されているとともに、その
上部が外壁パネル下端部裏面に配設されているものであ
る。

（作 用） 本発明では、コーナー部防水シートが弾性変形可能な
軟質材料から成っているので、若干の凹凸や段差に対し
ては弾性変形によって容易に対応させることができ、外
壁パネルに対して高い密着性を確保できる。また、一般
部防水シートに対しても高い密着性が得られる。

更に、屋根を葺く場合等においては、コーナー部防水
シートの出っ張りが邪魔にならないように、コーナー部
防水シートをコンパクトに折り畳んでおくことができ
る。また、もしコーナー部防水シートにものがぶつかっ
たとしても、コーナー部防水シートは、弾性変形により
直に形状復帰するので、それにより外壁パネルに対する
密着性が損なわれるといったことはない。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面により詳述する。

まず、第１図〜第９図に基づいて、実施例の構成を説
明する。

第３図は、二階建のユニット式住宅を示した斜視図
で、このユニット式住宅は、下階部分が５つの住宅ユニ
ット10で構成され、上階部分が２つの住宅ユニット10で
構成されている。また、下階部分を構成する５つの住宅
ユニット10のうち、妻方向に配設されている３つの住宅
ユニット10の上には折版屋根20aが葺設され、更に上階
部分を構成する２つの住宅ユニット10の上にも折版屋根
20bが葺設されている。また、30aは一般部水切り板、30
bはコーナー部水切り板で、これらは、上階を構成する
住宅ユニット10と下階の折版屋根20aとの隙間を覆うよ
うにして設けられている。

前記各住宅ユニット10は、第７図に示すように、四隅
に立設された柱11と、該柱11の上端部に固定された一対
の桁側天井梁12a及び一対の妻側天井梁12bと、前記柱11
の下端部に固定された一対の桁側床梁13a,13a及び一対
の妻側床梁13b,13bと、一対の桁側床梁13a,13aの間に架
設された床小梁14とで箱形の鉄骨構造体が骨組みされて
いる。また、外壁パネル15が固定される鉄骨構造体の外
側面には間柱16が設けられている。

また、外壁パネル15は、桁外壁15aと妻外壁15bとコー
ナー外壁15cが組み合されており、それぞれ硬質木片セ
メント板や石膏ボードで構成される面材151の裏面に、
金属製のパネルフレーム152を取着して構成されている
（第４図〜第６図参照）。

即ち、第３図に示すように、ユニット式住宅の外壁
は、各住宅ユニット10の外壁パネル15が左右方向及び上
下方向に隣接配置されることで構成されるので、左右に
隣接する住宅ユニット10,10の外壁パネル15,15間には目
地部S₁が形成され（第４図参照）、また、上階住宅ユニ
ット10の外壁パネル15と下階住宅ユニット10の外壁パネ
ル15との間には間隙部S₂が形成される（第５図参照）。
また、上階住宅ユニット10の外壁パネル15の下側に一般
部水切り板30a及びコーナー部水切り板30bが配設される
場合には、前記外壁パネル15とこれらの水切り板30a,30
bとの間にも間隙部S₃が形成されることになる（第６図
参照）。

そこで、左右に隣接する外壁パネル15,15の間に形成
される目地部S₁には、第４図に示すように、塩化ビニル
シート、ポリエチレンシート、ゴムシート等の弾性変形
可能な軟質材料から形成された一対の一般部防水シート
40a,40aが用いられている。即ち、目地部S₁を臨んで対
向する両側の外壁パネル15,15の側端部裏面にそれぞれ
一般部防水シート40aを接着し、これら一対の一般部防
水シート40aの側縁部同士を互いに接着させることで両
外壁パネル5,5間の目地部S₁を塞いでいる。尚、一般部
防水シート40aの側縁部は、目地部S₁の外でファスナー
や両面テープによって互いに接着し、接着後、目地部S₁
に押し込むものである。更に目地部S₁には外からガスケ
ット51が挿入されることになる。

また、上階の外壁パネル15と下階の外壁パネル15との
間に形成される間隙部S₂にも、第５図に示すように一般
部防水シート40bが用いられている。即ち、この一般部
防水シート40bの上縁部41を上階住宅ユニット10の外壁
パネル15の下端部裏面に接着すると共に、前記一般部防
水シート40bの下端部42を下階住宅ユニット10の外壁パ
ネル15の上端部表面に接着することによって両外壁パネ
ル15,15間の間隙部S₂を塞いでいる。更に、上階の外壁
パネル15の下端部から下階の外壁パネル15の上端部にか
けての領域には、前記一般部防水シート40bの外側を覆
うようにして取付具52を介して化粧カバー53が取り付け
られることになる。

また、上階の外壁パネル15と一般部水切り板30a及び
コーナー部水切り板30bとの間に形成される間隙部S₃に
も、第６図に示すように、一般部防水シート40cが設け
られている。即ち、この一般部防水シート40cの上縁部4
3を上階住宅ユニット10の外壁パネル15の下端部裏面に
接着すると共に、前記一般部防水シート40cの下縁部44
を一般部水切り板30a及びコーナー部水切り板30bの上端
部表面に接着することによって外壁パネル５と水切り板
30a,30b間の間隙部S₃を塞いでいる。更に、上階の外壁
パネル15の下端部から水切り板30a,30bにかけての領域
には、前記一般部防水シート40cの外側を覆うようにし
て化粧カバー54が取り付けられることになる。

尚、前記一般部水切り板30aは、外壁パネル15に固定
されている支持片55に支持されていると共に、係合部材
56を介して妻側床梁13bに固定されており、コーナー部
水切り板30bは、前記一般部水切り板30aの端部にブライ
ンドリベットにより固定されている。

次に、前記一般部防水シート40a,40b,40cの側縁部の
構造について説明する。

まず、外壁パネル15と水切り板30a,30bとの間隙部S₃
に設けられる一般部防水シート40cの一方の側縁部は、
左右に隣接する外壁パネル15,15の間隙部S₁に設けられ
る一般部防水シート40aと一体形成されている（第７図
参照）。

また、前記一般部防水シート40cの他方の側縁部は、
第１図に示すようなコーナー部防水シート60aの上に重
ね合されている。

前記コーナー部防水シート60aは、前記一般部防水シ
ート40cの側縁部と前記一般部防水シート40bの側縁部を
接続し、一般部防水シート40bと一般部防水シート40cと
の接続部から上下に隣接する外壁パネル15,15の間隙部S
₂に雨水が侵入するのを防止するためのもので、柱11と
外壁パネル15との間に挾着されている。即ち、第８図に
示すように、このコーナー部防水シート60aの上部61
は、コーナー外壁15cの裏面に沿うようＬ字形に形成さ
れ、下部62は、一般部防水シート40cの側縁部から流れ
出た雨水を下階の外壁パネル15の外側に横向きに排水す
るよう溝形に形成されている。

次に、垂直方向に隣接する外壁パネル15の間隙部S₂に
設けられている一般部防水シート40bは、一方の側縁部
が前記コーナー部防水シート60aの下に重ね合され、他
方の側縁部が第２図に示すようなコーナー部防水シート
60bの下に重ね合されている。

前記コーナー部防水シート60bは、前記一般部防水シ
ート40b,40b同士を接続し、一般部防水シート40bの接続
部から上下に隣接する外壁パネル15,15の間隙部S₂に雨
水が侵入するのを防止するためのもので、柱11と外壁パ
ネル15の間に挾着されている。即ち、第９図に示すよう
に、このコーナー部防水シート60bの上部63は、コーナ
ー外壁15cの裏面に沿うようＬ字形に折曲され、下部64
は、上階の外壁パネル15から流れ落ちた雨水をそのまま
下階の外壁パネル15の表面に下向きに排水するようフラ
ンジ形に形成されている。

尚、前記コーナー部防水シート60a,60bは、塩化ビニ
ルシート，ポリエチレンシート、ゴムシート等の弾性変
形可能な軟質材料から形成されている。

また、前記一般部防水シート40a,40b,40cは、住宅ユ
ニット10が組み立て完了した状態で外壁パネル15に接着
されていればよく、鉄骨構造体に取り付ける以前に外壁
パネル15の裏面に接着させておいてもよいし、最初に一
般部防水シート40a,40b,40cの裏面を鉄骨構造体に接着
しておい、外壁パネル15を鉄骨構造体に取り付けるのと
同時に一般部防水シート40a,40b,40cの表面が外壁パネ
ル15に接着されるようにしてもよい。

次に、本実施例の作用について説明する。

本実施例では、コーナー部防水シート60a,60bが弾性
変形可能な軟質材料から成っているので、外壁パネル15
に形成されている若干の凹凸や段差に対して、前記コー
ナー部防水シート60a,60bを弾性変形によって容易に対
応させることができ、防水シート60a,60bと外壁パネル1
5間に高い密着性を確保することができるる。また、一
般部防水シート40a,40b,40cも弾性変形可能な軟質材料
から成っているので、一般部防水シート40b,40cとコー
ナー部防水シート60a、60b間にも高い密着性を確保する
ことができる。即ち、上階の外壁パネル15とその下側に
配設されている壁下部材（下階の外壁パネル15及び水切
り板30a,30b）との間隙部S₂,S₃を確実に防水処理でき
る。

更に本実施例にあっては、上述したように一般部防水
シート40a,40b,40cが弾性変形可能な軟質材料から形成
されているので、例えば、上階の住宅ユニット10を下階
の住宅ユニット10の上に積層する場合、あるいは折版屋
根20aを葺く場合等において、前記一般部防水シート40a
の側縁部及び一般部防水シート40b,40cの下縁部42,44
を、施工の邪魔にならないように外壁パネル15の表側に
持ち上げ、粘着テープ等によって外壁パネル15の表面に
仮止めしておくことができる。更に、コーナー部防水シ
ート60a,60bも柔軟性を有する弾性変形可能な材料から
形成されているので、下部62,64が出っ張って邪魔にな
る場合には、下部62,64を下り畳んで外壁パネル15の表
面に沿わせて仮止めしておくことができる。また、もし
コーナー部防水シート60a,60bにものがぶつかったとし
ても、コーナー部防水シート60a,60bは、弾性変形によ
り直に形状復帰するので、それにより建物の鉄骨構造体
や外壁パネル15に対する密着性が損なわれるといったこ
とはない。即ち、住宅ユニット10を積層する場合や、接
版屋根20aを葺く場合等の施工時に、一般部防水シート4
0a,40b,40cに加えてコーナー部防水シート60a,60bも邪
魔にならないようにすることができ、それによって施工
性が良好になる。

尚、第７図において57は鋼板により形成された補強用
プレートで、コーナー部防水シート60aに補強が必要な
場合に用いられるもので、仮想線で示すように、下階の
住宅ユニット10の柱11とコーナー部防水シート60aの下
端部との間に挿入される。尚、補強用プレート57を設置
する際には、下階の住宅ユニット10の柱11の上面に充填
材を施しておき、補強用プレート57と柱11の間をコーキ
ングするのが望ましい。

以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、
具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発
明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発
明に含まれる。

例えば、実施例では、ユニット式住宅の場合に適用し
たが、ツーバイフォー式住宅等他の組立工法による住宅
に適用してもよい。

また、実施例では、上下に隣接する外壁パネル間の間
隙部と、外壁パネルと水切り板間の間隙部におけるシー
ル構造について具体的に説明したが、外壁パネルと窓枠
部材間の間隙部等、適用箇所も実施例に限られない。

（発明の効果） 以上説明してきたように、本発明の外壁パネルのシー
ル構造にあっては、コーナー部防水シートが、弾性変形
可能な軟質材料で外壁のコーナー部にほぼ一致した形状
に形成されているので、このコーナー部防水シートと外
壁パネルとの密着性を十分に確保できると共に、コーナ
ー部防水シートと一般部防水シートの側縁部との密着性
を十分に確保でき、外壁のコーナー部における防水処理
を確実に行うことができる。また、外壁のコーナー部に
取り付けた状態でコーナー部防水シートを折り畳んでお
くことができるので、屋根を葺く場合等の施工時におい
てもコーナー部防水シートが邪魔にならないようにで
き、それによって施工性も良好になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本実施例の外壁パネルのシール構造の一部を示
す斜視図（第３図の要部Ｉの拡大図）、第２図は本実施
例の外壁パネルのシール構造の他の一部を示す斜視図
（第３図の要部IIの拡大図）、第３図はユニット式住宅
を示す斜視図、第４図は第３図のIV−IV断面図、第５図
は第３図のＶ−Ｖ断面図、第６図は第３図のVI−VI断面
図、第７図は住宅ユニットを示す斜視図、第８図は第７
図の要部VIIIを示す斜視図、第９図は第７図の要部IXを
示す斜視図である。 10……住宅ユニット 15……外壁パネル（壁下部材） 30a,30b……水切り板（壁下部材） 40a,40b,40c……一般部防水シート 60a,60b……コーナー部防水シート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−40037（ＪＰ，Ａ) 実願 昭52−49780号（実開 昭53− 144217号）の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム （ＪＰ，Ｕ) 実願 昭62−150720号（実開 平１− 57233号）の願書に添付した明細書及び 図面の内容を撮影したマイクロフィルム （ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外壁パネルの下端部裏面に沿って一般部防
   水シートの上縁部が接着されていると共に、前記外壁パ
   ネルの下側に配設されている壁下部材の上端部表面に沿
   って一般部防水シートの下縁部が接着され、建物のコー
   ナー部に設けられているコーナー部防水シートに前記一
   般部防水シートの側縁部が重ねられている外壁パネルの
   シール構造であって、前記コーナー部防水シートが、弾
   性変形可能な軟質材料で外壁のコーナー部にほぼ一致し
   た形状に形成されているとともに、その上部が外壁パネ
   ル下端部裏面に配設されていることを特徴とする外壁パ
   ネルのシール構造。