JP2737795B2 - 高級α―オレフィン系共重合体、その製造方法およびその加硫物 - Google Patents

高級α―オレフィン系共重合体、その製造方法およびその加硫物

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、新規な高級α−オレフィン系共重合体の製
造方法に関し、さらに詳しくは、耐動的疲労性(耐屈曲
疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性
などの特性に優れ、各種ゴム製品、樹脂改質材などの用
途に利用できる高級α−オレフィン系共重合体の製造方
法に関する。
発明の技術的背景 エチレン−プロピレン・ジエン系共重合体の加硫物
は、その耐熱性、耐オゾン性が良好なことから、自動車
工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木健材用
品、ゴム引布等のゴム製品、ポリプロピレン、ポリスチ
レン等へのプラスチックブレンド用材料として広く用い
られている。しかしながら、このエチレン−プロピレン
・ジエン系共重合体は、耐動的疲労性に劣るため、特定
の用途、たとえば防振ゴム、ゴムロール、ベルト、タイ
ヤ、振動部のカバー材などには不適当であった。
一方、米国特許第3933769号は、1−ブテンおよび炭
素数5乃至12のα−オレフィンから選択される少なくと
も一つのモノマーと、5−メチル−1,4−ヘキサジエン
および4−メチル−1,4−ヘキサジエンの混合物(但し
5−メチル−1,4−ヘキサジエンが少なくとも15%以上
である)とを配位触媒により共重合し、イオウ加硫可能
でゲルの含量の少ない共重合体を開示している。また米
国特許第4340705号は遷移金属化合物と有機アルミニウ
ム化合物にヘキサアルキルフォスフォリックトリアミド
または有機リン酸エステルを加えた触媒系を用いて炭素
数4乃至12のモノオレフィンと非共役系の炭素数8乃至
約36のα、ω−ポリエンとを共重合して、高分子量で、
イオウ加硫可能な、ゲル含量の少ない共重合体を開示し
ている。
本発明者らは、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性など
の特性に優れるとともに、耐屈曲性などの動的特性に優
れた加硫物を得ることのできる重合体を得るべく鋭意研
究し、特定のオレフィン重合用触媒の存在下に、特定の
高級α−オレフィンと特定の非役ジエンとを共重合させ
たところ、上記特性に優れ、かつゲル発生のない新規な
高級α−オレフィン系共重合体が得られることを見出
し、本発明を完成するに至った。
発明の目的 かくして本発明は加硫可能でゲルの発生が実質的にな
い新規高級α−オレフィン・非共役ジエン共重合体の製
造方法を提供する。
発明の概要 本発明に係る高級α−オレフィン系共重合体の製造方
法は、 [A]還元性を有しない液状のマグネシウム化合物と、
液状チタン化合物とを、電子供与体の存在下で反応させ
て固体状のチタン複合体を析出させることにより得られ
たマグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を
必須成分として含有する固体チタン触媒成分 [B]有機アルミニウム化合物触媒成分、 および [C]電子供与体触媒成分 から形成されるオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素
数6〜12の高級α−オレフィンと、下記一般式[I]で
表わされる非共役ジエンとを共重合させて、非共役ジエ
ン含量が0.01〜30モル%の範囲内にあり、135℃のデカ
リン溶媒中で測定した極限粘度[η]が1.0〜10.0dl/g
の範囲内にある高級α−オレフィン系共重合体を得るこ
とを特徴としている。
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2およびR3
水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。た
だし、R2およびR3が共に水素原子であることはない。) 発明の具体的説明 以下、本発明に係る高級α−オレフィン系共重合体、
の製造方法について具体的に説明する。
本発明により得られる高級α−オレフィン系共重合体
は、高級α−オレフィンと非共役ジエンとから構成され
ている。
本発明で用いられる高級α−オレフィンは、炭素数が
6〜12のα−オレフィンであり、具体的には、ヘキセン
−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセ
ン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1などが挙げられ
る。
本発明においては、上記のような高級α−オレフィン
を単独で用いても良く、また2種以上の混合物として用
いても良い。
本発明で用いられる非共役ジエンは、下記の一般式
[I]で表わされる非共役ジエンである。
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2およびR3
水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。た
だし、R2およびR3が共に水素原子であることはない。) 上記のような非共役ジエンとしては、具体的には、6
−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オク
タジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロ
ピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジ
エン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6
−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エ
チル−1,6−ノナジエン、6−メチル−1,6−デカジエ
ン、7−メチル−1,6−デカジエン、6−メチル−1,6−
ウンデカジエンなどが挙げられる。
本発明においては、上記のような非共役ジエンとを単
独で用いても良く、また2種以上の混合物として用いて
も良い。
上記非共役ジエンのうち、特に7−メチル−1,6−オ
クタジエンが好ましくは用いられる。
さらに、上記のような非共役ジエンの他に、他の共重
合可能なモノマー、たとえばエチレン、プロピレン、ブ
テン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1など
を、本発明の目的を損なわない範囲で、用いてもよい。
本発明の高級α−オレフィン系共重合体を構成する非
共役ジエンの含量は、0.01〜30モル%、好ましくは0.1
〜20モル%の範囲内にある。高級α−オレフィン系共重
合体の組成は、13C−NMR法で測定する。この特性値
は、本発明の高級α−オレフィン系共重合体を硫黄ある
いは過酸化物を用いて加硫する場合の目安となる値であ
る。
本発明の高級α−オレフィン系共重合体の135℃デカ
リン溶媒中で測定した極限粘度[η]は、1.0〜10.0dl/
g、好ましくは1.5〜8dl/gの範囲内にある。この特性値
は、本発明の高級α−オレフィン系共重合体の分子量を
示す尺度である。
上記のような高級α−オレフィン系共重合体は以下の
方法で製造することができる。
高級α−オレフィン系共重合体は、オレフィン重合用
触媒の存在下に、高級α−オレフィンと非共役ジエンと
を共重合させることにより得られる。
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒は、固体チ
タン触媒成分[A]と、有機アルミニウム化合物触媒成
分[B]と、電子供与体触媒成分[C]とから形成され
ている。
第1図に本発明に係るオレフォン重合用触媒成分の調
製方法のフローチャートの例を示す。
本発明で用いられる固体チテン触媒成分[A]は、マ
グネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須
成分として含有する高活性の触媒成分である。
このような固体チタン触媒成分[A]は、下記のよう
なマグネシウム化合物、チタン化合物および電子供与体
を接触させることにより調製される。
本発明において、固体チタン触媒成分(A)の調製に
用いられるチタン化合物としては、たとえばTi(OR)gX
4-g(Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、0≦g≦
4)で示される4価のチタン化合物を挙げることができ
る。より具体的には、TiCl4、TiBr4、TiI4などのテトラ
ハロゲン化チタン; Ti(OCH3)Cl3、 Ti(OC2H5)Cl3、 Ti(On-C4H9)Cl3、 Ti(OC2H5)Br3、 Ti(OisoC4H9)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタ
ン; Ti(OCH3)2Cl2、 Ti(OC2H5)2Cl2、 Ti(On-C4H9)2Cl2、 Ti(OC2H5)2Br2などのジハロゲン化ジアルコキシチタ
ン; Ti(OCH3)3Cl、 Ti(OC2H5)3Cl Ti(On-C4H9)3Cl Ti(OC2H5)3Brなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタ
ン; Ti(OCH3)4、 Ti(OC2H5)4、 Ti(On-C4H9)4 Ti(Oiso-C4H9)4 Ti(O−2エチルヘキシル)4などのテトラアルコキシ
チタンなどを挙げることができる。
これらの中ではハロゲン含有チタン化合物、とくにテ
トラハロゲン化チタンが好ましく、さらに好ましくは四
塩化チタンが用いられる。これらチタン化合物は単独で
用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよ
い。さらに、これらのチタン化合物は、炭化水素化合物
あるいはハロゲン化炭化水素化合物などに希釈されてい
てもよい。
本発明において、固体チタン触媒成分[A]の調製に
用いられるマグネシウム化合物としては、還元性を有す
るマグネシウム化合物および還元性を有しないマグネシ
ウム化合物を挙げることができる。
ここで、還元性を有するマグネシウム化合物として
は、たとえば、マグネシウム・炭素結合あるいはマグネ
シウム・水素結合を有するマグネシウム化合物を挙げる
ことができる。このような還元性を有するマグネシウム
化合物の具体的な例としては、ジメチルマグネシウム、
ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブ
チルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシル
マグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグ
ネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグ
ネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグ
ネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチル
マグネシウム、オクチルブチルマグネシウム、ブチルマ
グネシウムハライドなどを挙げることができる。これら
マグネシウム化合物は、単独で用いることもできるし、
後述する有機アルミニウム化合物と錯化合物を形成して
いてもよい。また、これらのマグネシウム化合物は、液
体であっても固体であってもよい。
還元性を有しないマグネシウム化合物の具体的な例と
しては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マ
グネシウム、弗化マグネシウムなどのハロゲン化マグネ
シウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグ
ネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ
塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムなどの
アルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグ
ネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムなどのア
ルコキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウ
ム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウ
ム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキ
シマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム;フェノ
キシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムな
どのアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウムのカ
ルボン酸塩などを挙げることができる。
これら還元性を有しないマグネシウム化合物は、上述
した還元性を有するマグネシウム化合物から誘導した化
合物あるいは触媒成分の調製時に誘導した化合物であっ
てもよい。還元性を有しないマグネシウム化合物を、還
元性を有するマグネシウム化合物から誘導するには、た
とえば、還元性を有するマグネシウム化合物を、ポリシ
ロキサン化合物、ハロゲン含有シラン化合物、ハロゲン
含有アルミニウム化合物、エステル、アルコールなどの
化合物と接触させればよい。
なお、本発明において、マグネシウム化合物は上記の
還元性を有するマグネシウム化合物および還元性を有し
ないマグネシウム化合物の外に、上記のマグネシウム化
合物と他の金属との錯化合物、複化合物あるいは他の金
属化合物との混合物であってもよい。さらに、上記の化
合物を2種以上組み合わせた混合物であってもよい。
本発明においては、これらの中でも、還元性を有しな
いマグネシウム化合物が好ましく、特に好ましくはハロ
ゲン含有マグネシウム化合物であり、さらに、これらの
中でも塩化マグネシウム、アルコキシ塩化マグネシウ
ム、アリロキシ塩化マグネシウムが好ましく用いられ
る。
本発明において、固体チタン触媒成分[A]の調製に
用いられる電子供与体としては、有機カルボン酸エステ
ル好ましくは多価カルボン酸エステルが挙げられ、具体
的には、下記式で表わされる骨格を有する化合物が挙げ
られる。
上記した式中、R1は置換または非置換の炭化水素基を
表わし、R2、R5、R6は水素原子、置換もしくは非置換の
炭化水素基を表わし、R3、R4は水素原子、置換もしくは
非置換の炭化水素基を表わす。なお、R3、R4は少なくと
も一方が置換または非置換の炭化水素基であることが好
ましい。またR3とR4とは互いに連結されて環状構造を形
成していてもよい。置換の炭化水素基としては、N、
O、Sなどの異原子を含む置換の炭化水素基が挙げら
れ、たとえば −C−O−C−、−COOR、−COOH、−OH、−SO3H、−C
−N−C−、−NH2などの構造を有する置換の炭化水素
基が挙げられる。
これらの中では、R1、R2の少なくとも一方が、炭素数
が2以上のアルキル基であるジカルボン酸から誘導され
るジエステルが好ましい。
多価カルボン酸エステルの具体例としては、コハク酸
ジエチル、コハク酸ジブチル、メチルコハク酸ジエチ
ル、α−メチルグルタル酸ジイソブチル、マロン酸ジブ
チルメチル、マロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチ
ル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジ
エチル、フェニルマロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸
ジエチル、アリルマロン酸ジエチル、ジイソブチルマロ
ン酸ジエチル、ジノルマルブチルマロン酸ジエチル、マ
レイン酸ジメチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン
酸ジイソオクチル、マレイン酸ジイソブチル、ブチルマ
レイン酸ジイソブチル、ブチルマレイン酸ジエチル、β
−メチルグルタル酸ジイソプロピル、エチルコハク酸ジ
アルリル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン
酸ジエチル、イタコン酸ジイソブチル、シトラコン酸ジ
イソオクチル、シトラコン酸ジメチルなどの脂肪族ポリ
カルカルボン酸エステル、1,2−シクロヘキサンカルボ
ン酸ジエチル、1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジイソ
ブチル、テトラヒドロフタル酸ジエチル、ナジック酸ジ
エチルのような脂肪族ポリカルボン酸エステル、フタル
酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチ
ル、フタル酸モノイソブチル、フタル酸ジエチル、フタ
ル酸エチルイソブチル、フタル酸モノノルマルブチル、
フタル酸エチルノルマルブチル、フタル酸ジn−プロピ
ル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジn−ブチル、
フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジn−ヘプチル、フタ
ル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジデシル、フタ
ル酸ベンジルブチル、フタル酸ジフェニル、ナフタリン
ジカルボン酸ジエチル、ナフタリンジカルボン酸ジブチ
ル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸ジブチ
ルなどの芳香族ポリカルボン酸エステル、3,4−フラン
ジカルボン酸などの異節環ポリカルボン酸から誘導され
るエステルなどを挙げることができる。
多価カルボン酸エステルの他の例としては、アジピン
酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイ
ソプロピル、セバシン酸ジn−ブチル、セバシン酸n−
オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの、
長鎖ジカルボン酸から誘導されるエステルを挙げること
ができる。
これらの多価カルボン酸エステルの中では、前述した
一般式で表わされる骨格を有する化合物が好ましく、さ
らに好ましくはフタル酸、マレイン酸、置換マロン酸な
どと、炭素数2以上のアルコールとから誘導されるエス
テルが好ましく、フタル酸と炭素数2以上のアルコール
との反応により得られるジエステルがとくに好ましい。
これらの多価カルボン酸エステルとしては、必ずしも
出発原料として上記のような多価カルボン酸エステルを
使用する必要はなく、固体チタン触媒成分[A]の調製
過程でこれらの多価カルボン酸エステルを誘導すること
ができる化合物を用い、固体チタン触媒成分[A]の調
製段階で多価カルボン酸エステルを生成させてもよい。
本発明において、固体チタン系触媒[A]を調製する
際に使用することができる多価カルボン酸以外の電子供
与体としては、後述するような、アルコール類、アミン
類、アミド類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ホ
スフィン類、スチピン類、アルシン類、ホスオルアミド
類、エステル類、チオエーテル類、チオエステル類、酸
無水物類、酸ハライド類、アルデヒド類、アルコレート
類、アルコキシ(アリ−ロキシ)シラン類などの有機ケ
イ素化合物、有機酸類および周期律表の第I族〜第IV族
に属する金属のアミド類および塩類などを挙げることが
できる。
本発明において、固体チタン触媒成分[A]は、上記
したようなマグネシウム化合物(もしくは金属マグネシ
ウム)、電子供与体およびチタン化合物を接触させるこ
とにより製造することができる。固体チタン触媒成分
[A]を製造するには、マグネシウム化合物、チタン化
合物、電子供与体から高活性チタン触媒成分を調製する
公知の方法を採用することができる。なお、上記の成分
は、たとえばケイ素、リン、アルミニウムなどの他の反
応試剤の存在下に接触させてもよい。
これらの固体チタン触媒成分[A]の製造方法を数例
挙げて以下に簡単に述べる。
(1)マグネシウム化合物、あるいはマグネシウム化合
物および電子供与体からなる錯化合物とチタン化合物と
を液相にて反応させる方法。この反応は、粉砕助剤など
の存在下に行なってもよい。また、上記のように反応さ
せる際に、固体状の化合物については、粉砕してもよ
い。さらにまた、上記のように反応させる際に、各成分
を電子供与体および/または有機アルミニウム化合物や
ハロゲン含有ケイ素化合物のような反応助剤で予備処理
してもよい。なお、この方法においては、上記電子供与
体を少なくとも一回は用いる。
(2)還元性を有しない液状のマグネシウム化合物と、
液状チタン化合物とを、電子供与体の存在下で反応させ
て固体状のチタン複合体を析出させる方法。
(3)(2)で得られた反応生成物に、チタン化合物を
さらに反応させる方法。
(4)(1)あるいは(2)で得られる反応生成物に、
電子供与体およびチタン化合物をさらに反応させる方
法。
(5)マグネシウム化合物あるいはマグネシウム化合物
と電子供与体とからなる錯化合物をチタン化合物の存在
下に粉砕して得られた固体状物を、ハロゲン、ハロゲン
化合物および芳香族炭化水素のいずれかで処理する方
法。なお、この方法においては、マグネシウム化合物あ
るいはマグネシウム化合物と電子供与体とからなる錯化
合物を、粉砕助剤などの存在下に粉砕してもよい。ま
た、マグネシウム化合物あるいはマグネシウム化合物と
電子供与体とからなる錯化合物を、チタン化合物の存在
下に粉砕した後に、反応助剤で予備処理し、次いで、ハ
ロゲンなどで処理してもよい。なお、反応助剤として
は、有機アルミニウム化合物あるいはハロゲン含有ケイ
素化合物などが挙げられる。なお、この方法において
は、少なくとも一回は電子供与体を用いる。
(6)前記(1)〜(4)で得られる化合物を、ハロゲ
ンまたはハロゲン化合物または芳香族炭化水素で処理す
る方法。
(7)金属酸化物、ジヒドロカルビルマグネシウムおよ
びハロゲン含有アルコールとの接触反応物を、電子供与
体およびチタン化合物と接触させる方法。
(8)有機酸のマグネシウム塩、アルコキシマグネシウ
ム、アリーロキシマグネシウムなどのマグネシウム化合
物を、電子供与体、チタン化合物および/またはハロゲ
ン含有炭化水素と反応させる方法。
上記(1)〜(8)に挙げた固体チタン触媒成分
[A]の調製法の中では、触媒調製時において液状のハ
ロゲン化チタンを用いる方法あるいはチタン化合物を用
いた後、あるいはチタン化合物を用いる際にハロゲン化
炭化水素を用いる方法が好ましい。
固体チタン触媒成分[A]を調製する際に用いられる
上述したような各成分の使用量は、調製方法によって異
なり一概に規定できないが、たとえばマグネシウム化合
物1モル当り、電子供与体は約0.01〜5モル、好ましく
は0.05〜2モルの量で、チタン化合物は約0.01〜500モ
ル好ましくは0.05〜300モルの量で用いられる。
このようにして得られた固体チタン触媒成分[A]
は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体
を必須成分として含有している。
この固体チタン触媒成分[A]において、ハロゲン/
チタン(原子比)は約4〜200、好ましくは約5〜100で
あり、前記電子供与体/チタン(モル比)は約0.1〜1
0、好ましくは約0.2〜約6であり、マグネシウム/チタ
ン(原子比)は約1〜100、好ましくは約2〜50である
ことが望ましい。
この固体チタン触媒成分[A]は市販のハロゲン化マ
グネシウムと比較すると、結晶サイズの小さいハロゲン
化マグネシウムを含み、通常その比表面積が約50m2/g以
上、好ましくは約60〜1000m2/g、より好ましくは約100
〜800m2/gである。そして、この固体チタン触媒成分
[A]は、上記の成分が一体となって触媒成分を形成し
ているので、ヘキサン洗浄によって実質的にその組成が
変わることがない。
このような固体チタン触媒成分[A]は、単独で使用
することもできるが、また、たとえばケイ素化合物、ア
ルミニウム化合物、ポリオレフィンなどの無機化合物ま
たは有機化合物で希釈して使用することもできる。な
お、希釈剤を用いる場合には、上述した比表面積より小
さくても、高い触媒活性を示す。
このような高活性チタン触媒成分の調製法等について
は、たとえば、特開昭50−108385号公報、同50−126590
号公報、同51−20297号公報、同51−28189号公報、同51
−64586号公報、同51−92885号公報、同51−136625号公
報、同52−87489号公報、同52−100596号公報、同52−1
47688号公報、同52−104593号公報、同53−2580号公
報、同53−40093号公報、同53−40094号公報、同53−43
094号公報、同55−135102号公報、同55−135103号公
報、同55−152710号公報、同56−811号公報、同56−119
08号公報、同56−18606号公報、同58−83006号公報、同
58−138705号公報、同58−138706号公報、同58−138707
号公報、同58−138708号公報、同58−138709号公報、同
58−138710号公報、同58−138715号公報、同60−23404
号公報、同61−21109号公報、同61−37802号公報、同61
−37803号公報、などに開示されている。
有機アルミニウム化合物触媒成分[B]としては、少
なくとも分子内に1個のAl−炭素結合を有する化合物が
利用できる。このような化合物としては、たとえば、 (i)一般式R1 mAl(OR2)nHpXq (式中、R1およびR2は炭素原子を通常1〜15個、好ま
しくは1〜4個含む炭化水素基であり、これらは互いに
同一でも異なってもよい。Xはハロゲン原子を表わし、
0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0
≦q<3の数であって、しかもm+n+p+q=3であ
る)で表わされる有機アルミニウム化合物、 (ii)一般式M1AlR1 4 (式中、M1はLi、Na、Kであり、R1は前記と同じ)で
表わされる第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化
物などを挙げることができる。
前記の(i)に属する有機アルミニウム化合物として
は、次のような化合物を例示できる。
一般式R1 mAl(OR2)3-m (式中、R1およびR2は前記と同じ。mは好ましくは1.
5≦m≦3の数である)、 一般式R1 mAlX3-m (式中、R1は前記と同じ。Xはハロゲン、mは好まし
くは0<m<3である)、 一般式R1 mAlH3-m (式中、R1は前記と同じ。mは好ましくは2≦m<3
である)、 一般式R1 mAl(OR2)nXq (式中、R1およびR2は前記と同じ。Xはハロゲン、0
<m≦3、0≦n<3、0≦q<3で、m+n+q=3
である)で表わされる化合物などを挙げることができ
る。
(i)に属するアルミニウム化合物としては、より具
体的には、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミ
ニウムなどのトリアルキルアルミニウム;トリイソプレ
ニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム; ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニ
ウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキ
シド; エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミ
ニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセ
スキアルコキシド、 R1 2.5Al(OR2)0.5などで表わされる平均組成を有する部
分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム; ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウ
ムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミドなどのジア
ルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセス
キクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチ
ルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニ
ウムセスキハライド; エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウ
ムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアル
キルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化
されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒ
ドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキ
ルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリ
ド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアル
ミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化された
アルキルアルミニウム; エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミ
ニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシ
ブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化
されたアルキルアルミニウムを挙げることができる。
また(i)に類似する化合物としては、酸素原子や窒
素原子を介して2以上のアルミニウムが結合した有機ア
ルミニウム化合物を挙げることができる。このような化
合物としては、例えば、 メチルアルミノオキサンなどを挙げることができる。
前記(ii)に属する化合物としては、 LiAl(C2H5)4、 LiAl(C7H15)4などを挙げることができる。
これらの中ではとくにトリアルキルアルミニウムある
いは上記した2種以上のアルミニウム化合物が結合した
アルキルアルミニウムを用いることが好ましい。
電子供与体触媒成分[C]としては、アルコール類、
フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機
酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無
水物、アルコキシシランなどの含酸素電子供与体、アン
モニア、アミン、ニトリル、イソシアネートなどの含窒
素電子供与体、あるいは上記のような多価カルボン酸エ
ステルなどを用いることができる。より具体的には、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、
ヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデ
シルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコ
ール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、
イソプロピルアルコール、クミルアルコール、イソプロ
ピルベンジルアルコールなどの炭素数1〜18のアルコー
ル類;フェノール、クレゾール、キシレノール、エチル
フェノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、
クミルフェノール、ナフトールなどの低級アルキル基を
有してもよい炭素数6〜20のフェノール類;アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセト
フェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノンなどの炭素数
3〜15のケトン類;アセトアルデヒド、プロピオンアル
デヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トル
アルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭素数2〜15のア
ルデヒド類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘ
キシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エチ
ル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチル、メタクリ
ル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボ
ン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香
酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息
香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベン
ジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル
酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、マ
レイン酸n−ブチル、メチルマロン酸ジイソブチル、シ
クロヘキセンカルボン酸ジn−ヘキシル、ナジック酸ジ
エチル、テトラヒドロフタル酸ジイソプロピル、フタル
酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジn−ブ
チル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、γ−ブチロラク
トン、δ−バレロラクトン、クマリン、フタリド、炭酸
エチレンなどの炭素数2〜30の有機酸エステル;アセチ
ルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリ
ド、アニス酸クロリドなどの炭素数2〜15の酸ハライド
類;メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエ
ーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒド
ロフラン、アニソール、ジフェニルエーテルなどの炭素
数2〜20のエーテル類;酢酸アミド、安息香酸アミド、
トルイル酸アミドなどの酸アミド類;メチルアミド、エ
チルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミン、ピペ
リジン、トリベンジルアミン、アニリン、ピリジン、ピ
コリン、テトラメチレンジアミンなどのアミン類;アセ
トニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリルなどのニト
リル類;無水酢酸、無水フタル酸、無水安息香酸などの
酸無水物などが用いられる。
また電子供与体触媒成分[C]として、下記のような
一般式[I]で示される有機ケイ素化合物を用いること
もできる。
RnSi(OR′)4-n …[I] [式中、RおよびR′は炭化水素基であり、0<n<4
である] 上記のような一般式[I]で示される有機ケイ素化合
物としては、具体的には、トリメチルメトキシシラン、
トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメト
キシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−
ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエ
トキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニル
メチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリル
ジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、
ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニル
ジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラ
ン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘ
キシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリ
エトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルト
リエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−
クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトルエトキ
シシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチ
ルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチ
ルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラ
ン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシ
ルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシ
シラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノ
ルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケ
イ酸ブチル、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリ
アリロキシ(allyloxy)シラン、ビニルトリス(β−メ
トキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラ
ン、ジメチルテトラエトキシジシロキサンなどが用いら
れる。
このうちエチルトリエトキシシラン、n−プロピルト
リエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシ
シラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビスp−ト
リルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシ
ラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキ
シルメチルジメトキシシラン、2−ノルボルナントリエ
トキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラ
ン、ジフェニルジエトキシシランが好ましい。
さらに電子供与体触媒成分[C]として、下記のよう
な一般式[II]で示される有機ケイ素化合物を用いるこ
ともできる。
SiR1R2 m(OR3)3-m …[II] [式中、R1はシクロペンチル基もしくはアルキル基を有
するシクロペンチル基もしくはアルキル基を有するシク
ロペンチル基であり、R2はアルキル基、シクロペンチル
基およびアルキル基を有するシクロペンチル基からなる
群より選ばれる基であり、R3は炭化水素基であり、mは
0≦m≦2である。] 上記式[II]において、R1はシクロペンチル基もしく
はアルキル基を有するシクロペンチル基であり、R1とし
ては、シクロペンチル基以外に、2−メチルシクロペン
チル基、3−メチルシクロペンチル基、2−エチルシク
ロペンチル基、2,3−ジメチルシクロペンチル基などの
アルキル基を有するシクロペンチル基を挙げることがで
きる。
また、式[II]において、R2はアルキル基、シクロペ
ンチル基もしくはアルキル基を有するシクロペンチル基
のいずれかの基であり、R2としては、たとえばメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、ヘキシル基などのアルキル基、またはR1として例示
したシクロペンチル基およびアルキル基を有するシクロ
ペンチル基を同様に挙げることができる。
また、式[II]において、R3は炭化水素基であり、R3
としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、ア
リール基、アラルキル基などの炭化水素基を挙げること
ができる。
これらのうちではR1がシクロペンチル基であり、R2
アルキル基またはシクロペンチル基であり、R3がアルキ
ル基、特にメチル基またはエチル基である有機ケイ素化
合物を用いることが好ましい。
このような有機ケイ素化合物として、具体的には、シ
クロペンチルトリメトキシシラン、2−メチルシクロペ
ンチルトリメトキシシラン、2,3−ジメチルシクロペン
チルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシ
シランなどのトリアルコキシシラン類; ジシクロペンチルジメトキシシラン、ビス(2−メチ
ルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3−ジ
メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジシクロペ
ンチルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類; トリシクロペンチルメトキシシラン、トリシクロペン
チルエトキシシラン、ジシクロペンチルメチルメトキシ
シラン、ジシクロペンチルエチルメトキシシラン、ジシ
クロペンチルメチルエトキシシラン、シクロペンチルジ
メチルメトキシシラン、シクロペンチルジエチルメトキ
シシラン、シクロペンチルジメチルエトキシシランなど
のモノアルコキシシラン類などを挙げることができる。
これら電子供与体のうち有機カルボン酸エステル類ある
いは有機ケイ素化合物類が好ましく、特に有機ケイ素化
合物が好ましい。
本発明で用いられるオレフィン重合用触媒は、上記の
ような固体チタン触媒成分[A]と、有機アルミニウム
化合物触媒成分[B]と、電子供与体[C]とから形成
されており、本発明では、このオレフィン重合用触媒を
用いて高級α−オレフィンと非共役ジエンとを重合させ
るが、このオレフォン重合用触媒を用いてα−オレフィ
ンあるいは高級α−オレフィンを予備重合させた後、こ
の触媒を用いて高級α−オレフィンと非共役ジエンを重
合(本重合)させることもできる。予備重合の際オレフ
ィン重合用触媒1g当り、0.1〜500g、好ましくは0.3〜30
0g、特に好ましくは1〜100gの量でα−オレフィンある
いは高級α−オレフィンを予備重合させる。
予備重合では、本重合における系内の触媒濃度よりも
かなり高濃度の触媒を用いることができる。
予備重合における固体チタン触媒成分[A]の濃度
は、後述する不活性炭化水素媒体1当り、チタン原子
換算で、通常約0.01〜200ミリモル、好ましくは約0.1〜
100ミリモル、特に好ましくは1〜50ミリモルの範囲と
することが望ましい。
有機アルミニウム触媒成分[B]の量は、固体チタン
触媒成分[A]1g当り0.1〜500g好ましくは0.3〜300gの
重合体が生成するような量であればよく、固体チタン触
媒成分[A]中のチタン原子1モル当り、通常約0.1〜1
00モル、好ましくは約0.5〜50モル、特に好ましくは1
〜20モルの量であることが望ましい。
電子供与体触媒成分[C]は、固体チタン触媒成分
[A]中のチタン原子1モル当り、0.1〜50モル、好ま
しくは0.5〜30モル、特に好ましくは1〜10モルの量で
用いられることが好ましい。
予備重合は、不活性炭化水素媒体にオレフィンあるい
は高級α−オレフィンおよび上記の触媒成分を加え、温
和な条件下に行なうことが好ましい。
この際用いられる不活性炭化水素媒体としては、具体
的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族
炭化水素; シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペン
タンなどの脂環族炭化水素; ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素; エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化
炭化水素、あるいはこれらの混合物などを挙げることが
できる。これらの不活性炭化水素媒体のうちでは、特に
脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。なお、オレフ
ィンあるいは高級α−オレフィン自体を溶媒に予備重合
を行なうこともできるし、実質的に溶媒のない状態で予
備重合することもできる。
予備重合で使用される高級α−オレフィンは、後述す
る本重合で使用される高級α−オレフィンと同一であっ
ても、異なってもよい。
予備重合の際の反応温度は、通常約−20〜+100℃、
好ましくは約−20〜+80℃、さらに好ましくは0〜+40
℃の範囲であることが望ましい。
なお、予備重合においては、水素のような分子量調節
剤を用いることもできる。このような分子量調節剤は、
135℃のデカリン溶媒中で測定した予備重合により得ら
れる重合体の極限粘度[η]が、約0.2dl/g以上、好ま
しくは約0.5〜10dl/gになるような量で用いることが望
ましい。
予備重合は、上記のように、固体チタン触媒成分
[A]1g当り約0.1〜500g、好ましくは約0.3〜300g、特
に好ましくは1〜100gの重合体が生成するように行なう
ことが望ましい。予備重合量をあまり多くすると、オレ
フィン重合体の生産効率が低下することがある。
予備重合は回分式あるいは連続式で行なうことができ
る。
上記のようにしてオレフィン重合用触媒に予備重合を
行なって、得られた固体チタン触媒成分[A]と、有機
アルミニウム触媒成分[B]と、電子供与体触媒成分
[C]とから形成されるオレフィン重合用触媒の存在下
に、高級α−オレフィンと非共役ジエンとの共重合(本
重合)を行なう。
高級α−オレフィンと非共役ジエンとの共重合(本重
合)の際には、上記オレフィン重合用触媒に加えて、有
機アルミニウム化合物触媒成分として、オレフィン重合
用触媒を製造する際に用いられた有機アルミニウム化合
物触媒成分[B]と同様なものを用いることができる。
また高級α−オレフィンと非共役ジエンとの共重合(本
重合)の際には、電子供与体触媒成分として、オレフィ
ン重合用触媒を製造する際に用いられた電子供与体触媒
成分[C]と同様なものを用いることができる。なお、
高級α−オレフィンと非共役ジエンとの共重合(本重
合)の際に用いられる有機アルミニウム化合物および電
子供与体は、必ずしも上記のオレフィン重合用触媒を調
製する際に用いられた有機アルミニウム化合物および電
子供与体と同一である必要はない。
高級α−オレフィンと非共役ジエンとの共重合(本重
合)は、通常、気相あるいは液相で行なわれる。
高級α−オレフィンと非共役ジエンとの共重合(本重
合)において、固体チタン触媒成分[A]は、重合容積
1当りチタン原子に換算して、通常は約0.001〜約1.0
ミリモル、好ましくは約0.005〜0.5ミリモルの量で用い
られる。また、有機アルミニウム化合物触媒成分[B]
は、固体チタン触媒成分[A]中のチタン原子1モルに
対し、有機アルミニウム化合物触媒成分[B]中の金属
原子は、通常約1〜2000モル、好ましくは約5〜500モ
ルとなるような量で用いられる。さらに、電子供与体触
媒成分[C]は、有機アルミニウム化合物触媒成分
[B]中の金属原子1モル当り、通常は約0.001〜10モ
ル、好ましくは約0.01〜2モル、特に好ましくは約0.05
〜1モルとなるような量で用いられる。
本重合時に、水素の使用量を制御することにより、得
られる重合体の分子量を調節することができる。
本発明において、高級α−オレフィンと非共役ジエン
との重合温度は、通常、約10〜200℃、好ましくは約30
〜100℃に、圧力は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましく
は常圧〜50kg/cm2に設定される。高級α−オレフィンと
非共役ジエンとの共重合(本重合)においては、重合
を、回分式、半連続式、連続式の何れの方法においても
行なうことができる。さらに重合を、反応条件を変えて
2段以上に分けて行なうこともできる。
上記の重合によって得られる本発明の高級α−オレフ
ィン系共重合体は耐動的疲労性、耐熱性、耐オゾン性、
低温特性等に優れたポリマーとして利用される。特に樹
脂改質材、各種ゴム製品へ応用した場合、その特性を最
大限に発揮する。
樹脂改質材としては、たとえばポリプロピレン、ポリ
エチレン、ポリスチレンなどの改質材として用いること
ができる。これらの樹脂に本発明の高級α−オレフィン
系共重合体を添加すると、耐衝撃性、耐ストレスクラッ
ク性を飛躍的に向上させることができる。
各種ゴム製品は一般に加硫状態で用いられるが、本発
明の高級α−オレフィン系共重合体も加硫状態で用いれ
ば、さらにその特性を発揮する。本発明の高級α−オレ
フィン系共重合体を各種ゴム製品として用いる場合、加
硫物は通常一般のゴムを加硫するときと同様に、未加硫
の配合ゴムを一度調製し、次いで、この配合ゴムを意図
する形状に成形した後に加硫を行なうことにより製造さ
れる。
加硫方法としては、加硫剤を使用して加熱する方法、
および電子線を照射する方法のどちらを採用してもよ
い。
加硫の際に使用される加硫剤としては、イオウ系化合
物および有機過酸化物を挙げることができる。イオウ系
化合物としては、具体的には、イオウ、塩化イオウ、二
塩化イオウ、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノ
ールジスルフィド、テトラメチルチラウムジスルフィ
ド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどが挙げられ
る。なかでもイオウが好ましく用いられる。イオウ系化
合物は本発明の高級α−オレフィン系共重合体100重量
部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の
量で用いられる。有機過酸化物としては、具体的には、
ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三
ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ第
三ブチルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシ−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、第三ブチルヒドロペル
オキシドなどが挙げられる。なかでもジクミルペルオキ
シド、ジ第三ブチルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオ
キシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましく用
いられる。有機過酸化物は本発明の高級α−オレフィン
系共重合体100gに対して3×10-4〜5×10-2モル、好ま
しくは1×10-3〜3×10-2モルの量で用いられる。
また加硫剤としてイオウ系化合物を使用するときは、
加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤とし
ては、具体的には、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチ
アゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2
−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプ
ロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−
メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフ
ェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジ
エチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベ
ンゾチアジルジスルフィドなどのチアゾール系化合物;
ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオ
ルソトリルグアニジン、オルソトリル・バイ・グアナイ
ド、ジフェニルグアニジン・フタレートなどのグアニジ
ン系化合物;アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチ
ルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラ
ミン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドア
ミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合物;2−メルカ
プトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物;チオカ
ルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリ
ア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア
などのチオユリア系化合物;テトラメチルチウラムモノ
スルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テト
ラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラム
ジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィ
ドなどのチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン
酸亜鉛、ジエチルチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチ
ルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカル
バミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜
鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチル
ジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン
酸テルルなどのジチオ酸塩系化合物;ジブチルキサント
ゲン酸亜鉛などのザンテート系化合物;亜鉛華などの化
合物を挙げることができる。これらの加硫促進剤は高級
α−オレフィン系共重合体100重量部に対して0.1〜20重
量部、好ましくは0.2〜10重量部の量で用いられる。
加硫剤として有機過酸化物を使用するときは、加硫助
剤を併用することが好ましい。加硫助剤としては、具体
的には、硫黄、p−キノンジオキシムなどのキノンジオ
キシム系化合物;ポリエチレングリコールジメタクリレ
ートなどのメタクリレート系化合物;ジアリルフタレー
ト、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物;そ
の他マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げ
られる。このような加硫助剤は、使用する有機過酸化物
1モルに対して1/2〜2モル、好ましくは約等モルの量
で用いられる。
加硫方法として加硫剤を使用せず、電子線を使用する
場合は、後述する成形された未加硫の配合ゴムに0.1〜1
0MeV(メガエレクトロンボルト)、好ましくは0.3〜2.0
MeVのエネルギーを有する電子を吸収線量が0.5〜35Mrad
(メガラッド)、好ましくは0.5〜10Mradになるように
照射すればよい。このとき加硫剤としての有機過酸化物
と併用して加硫助剤を使用してもよく、その量は本発明
の高級α−オレフィン系共重合体100gに対して1×10-4
〜1×10-1モル、好ましくは1×10-3〜3×10-2モル配
合する。
未加硫の配合ゴムは次の方法で調製される。すなわち
バンバリーミキサーのようなミキサー類により高級α−
オレフィン系共重合体、充填剤、軟化剤を80〜170℃の
温度で3〜10分間混練した後、オーブンロールのような
ロール類を使用して、加硫剤、必要に応じて加硫促進剤
または加硫助剤を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5
〜30分間混練した後、分出し、リボン状またはシート状
の配合ゴムを調製する。
このように調製された配合ゴムは押出成形機、カレン
ダーロール、またはプレスにより意図する形状に成形さ
れ、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入し、15
0〜270℃の温度で1〜30分間加熱するか、あるいは前記
した方法により電子線を照射することにより加硫物が得
られる。この加硫の段階は金型を用いてもよいし、また
金型を用いずに加硫を実施してもよい。金型を用いない
場合は成形、加硫の工程は通常連続的に実施される。加
硫槽および加熱方法としては熱空気、ガラスビーズ流動
床、UHF(極超音波電磁波)、スチームなどの加熱槽を
用いることができる。
もちろん、電子線照射により加硫を行なう場合は、加
硫剤の配合されない配合ゴムを用いる。
以上のようにして製造されたゴム加硫物は、そのもの
自体で防振ゴム、タイヤ振動部のカバー材などの自動工
業部品、ゴムロール、ベルトなどの工業用ゴム製品、電
気絶縁材、土木健材用品、ゴム引布などの用途に用いる
ことができる。また発泡剤を前記未加硫の配合ゴムに配
合して加熱発泡させれば、発泡材を得ることができ、こ
の発泡材を断熱材、クッション材、シーリング材などの
用途に用いることができる。またポリオレフィン、ポリ
アミド、ポリエステル、ポリカーボネートなどの樹脂に
配合してこれらの樹脂の耐衝撃性を向上させることもで
きる。
発明の効果 本発明により得られる高級α−オレフィン系共重合体
からは、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性、
制振性に優れるとともに、耐動的疲労性に優れた加硫物
を得ることができる。
また本発明に係る製造方法によれば、上記のような効
果を有する高級α−オレフィン系共重合体を効率よく、
高収率で製造することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、
これら実施例に限定されるものではない。
実施例1 (固体チタン触媒成分[A]の調製) 無水塩化マグネシウム95.2g、デカン442mlおよび2−
エチルヘキシルアルコール390.6gを130℃で2時間加熱
反応を行なって均一溶液とした後、この溶液中に無水フ
タル酸21.3gを添加し、さらに、130℃にて1時間攪拌混
合を行ない、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解させ
た。このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した
後、この均一溶液75mlを−20℃に保持した四塩化チタン
200ml中に1時間にわたって全量滴下装入した。装入終
了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温
し、110℃に達したところでジイソブチルフタレート5.2
2gを添加し、これより2時間同温度にて攪拌下保持し
た。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、
この固体部を275mlの四塩化チタンにて再懸濁させた
後、再び110℃で2時間、加熱反応を行なった。反応終
了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃デカンお
よびヘキサンにて、洗液中に遊離のチタン化合物が検出
されなくなるまで充分洗浄した。以上の操作によって調
製した固体チタン触媒成分[A]はデカンスラリーとし
て保存したが、この内の一部を触媒組成を調べる目的で
乾燥する。このようにして得られた固体チタン触媒成分
[A]の組成はチタン2.2重量%、塩素58.1重量%、マ
グネシウム19.2重量%およびジイソブチルフタレート1
0.7重量%であった。
(重合) 攪拌翼を備えた500mlの重合器にデカンを142ml、オク
テン−1を100ml、7−メチル−1,6−オクタジエンを8m
l装入した。この溶液の温度を50℃に昇温し、水素、窒
素をそれぞれ1時間あたり1、50lの速度で溶液中に
連続的に導入した。50℃に昇温後、0.625ミリモルのト
リイソブチルアルミニウム、0.21ミリモルのトリメチル
エトキシシランおよびチタン原子に換算して0.0125ミリ
モルの固体チタン触媒成分[A]を装入し重合を開始し
た。50℃で30分間重合を行なった後、少量のイソブチル
アルコールを添加して重合を停止した後、重合溶液を大
量のメタノール中に投入し、共重合体を析出させた。次
いで、析出した共重合体を回収した後、120℃で一昼夜
減圧下に乾燥して12.4gのオクテン−1・7−メチル−
1,6−オクタジエン共重合体が得られた。得られた共重
合体のデカリン中で135℃で測定した極限粘度[η]は
6.4dl/gであり、7−メチル−1,6−オクタジエン含量は
6.6モル%であった。
実施例2〜6 実施例1において、表1に示すように、高級α−オレ
フィンおよび重合条件を変えて、実施例1と同様にし
て、共重合を行なって表1に示す共重合体を得た。
比較例1 触媒として三塩化チタン(東邦チタニウム(株)製、
TAC−131)およびジエチルアルミニウムクロリドをそれ
ぞれ1.25ミリモル、2.5ミリモルを用いた以外は、実施
例1と同様にして、共重合を行なって表1に示す共重合
体を得た。チタンあたりの活性は低く、実施例1の0.7
%に過ぎなかった。
実施例7 攪拌翼を備えた4lのガラス製重合器を用いて、連続的
に、オクテン−1と7−メチル1,6−オクタジエンとの
共重合反応を行なった。
すなわち、重合器上部からオクテン−1および7−メ
チル−1,6−オクタジエンのデカン溶液を、重合器内で
のオクテン−1濃度が155g/l、7−メチル−1,6−オク
タジエンの重合器内での濃度が14g/lとなるように毎時
1、触媒として固体チタン触媒成分[A]のデカンス
ラリー溶液を重合器内でのチタン濃度が0.05ミリモル/l
となるように毎時0.4l、トリイソブチルアルミニウムの
デカン溶液を重合器内でのアルミニウム濃度が2.5ミリ
モル/lとなるように毎時1、トリメチルエトキシシラ
ンのデカン溶液を重合器内でのシラン濃度が0.83ミリモ
ル/lとなるように毎時1.6lの速度でそれぞれ重合器中
に、連続的に供給した。一方、重合器下部から重合器中
の重合液が常に2lとなるように連続的に抜き出した。ま
た重合器上部から、水素を毎時1、窒素を毎時50lの
速度で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付け
たジャケットに温水を循環させることにより、50℃で行
なった。
次いで、重合器下部から抜き出した重合溶液に、メタ
ノールを少量添加して共重合反応を停止させ、この重合
溶液を大量のメタノール中に投入して共重合体を析出さ
せた。共重合体をメタノールで充分洗浄した後、140℃
で一昼夜減圧乾燥してオクタン−1・7−メチル−1,6
−オクタジエン共重合体が毎時225gの速度で得られた。
得られた共重合体中の7−メチル−1,6−オクタジエ
ン含量は、7.2モル%であり、135℃デカリン中で測定し
た極限粘度[η]は5.2であった。
実施例8 実施例1で製造されたオクテン−1・7−メチル−1,
6−オクタジエン共重合体を表2に従い、8インチオー
プンロールにより混練し、未加硫の配合ゴムを得た。
この配合ゴムを160℃に加熱されたプレスにより20分
間加熱し、加硫シートを作製し、下記の試験を行なっ
た。試験項目は以下のとおりである。
[試験項目] 引張試験、硬さ試験、老化試験、屈曲試験、制振性、
耐候性、耐オゾン試験、低温特性。
[試験方法] 引張試験、硬さ試験、老化試験、屈曲試験はJIS K630
1に従って測定した。すなわち、引張試験では引張強さ
(TB)、伸び(EB)、硬さ試験ではHSJIS A硬度を測定
し、老化試験は120℃で70時間空気加熱老化試験を行な
った。老化試験後引張試験を行ない、老化前の物性に対
する保持率、すなわち引張強さ保持率AR(TB)、伸び保
持率AR(EB)を求めた。屈曲試験はデマッチャー試験機
で亀裂成長に対する抵抗性を調べた。すなわち、亀裂が
15mmになるまでの屈曲回数を測定した。
制振性の指標として損失正接(tanδ)をレオメトリ
ック社のダイナミックスペクトロメーターを用い、25
℃、100rad/secで測定した。
次に、サンシャインウェザーメータを使って耐候性を
調べた。サンシャインウェザーメータの条件は、ブラッ
クパネル温度63℃とし、カーボンアークを点灯し、120
分サイクルで18分間、水をスプレーした。このサイクル
を200時間行なった後、引張試験を行なって試験前に対
する強度、伸びの保持率を求めた。
耐オゾン試験は、JIS K6301に従い行なった。試験条
件は、オゾン濃度50pphm、試験雰囲気温度40℃、伸長率
を30%とし、200時間後に表面の劣化状態(キレツ発生
の有無)を観察した。低温特性は、JIS K6301に従い、
衝撃脆化試験を行ない、脆化温度を求めた。
結果を表3に示す。
実施例9 実施例8において、共重合体としては実施例2で製造
されたものを用いた以外は、実施例8と全く同様にし
て、加硫シートを得、上記試験を行なった。
結果を表3に示す。
実施例10 実施例8において、共重合体として実施例4で製造さ
れたものを用いた以外は、実施例8と全く同様にして、
加硫シートを得、上記試験を行なった。
結果を表3に示す。
実施例11 実施例8において、共重合体として実施例5で製造さ
れたものを用いた以外は、実施例8と全く同様にして、
加硫シートを得、上記試験を行なった。
結果を表3に示す。
比較例2 実施例8において、本発明に係る共重合体を用いず
に、市販のエチレン・プロピレン・ジエン系共重合体
(三井EPT3070、三井石油化学工業(株)製)を用いた
以外は、実施例8と全く同様にして、加硫シートを得、
上記試験を行なった。
結果を表3に示す。
実施例12 ポリプロピレン(三井石油化学工業(株)製)ハイポ
ールJ700)を80重量部、実施例1で製造した高級α−オ
レフィン系共重合体を20重量部、2,6−ジタシャリ−ブ
チル−4−メチルフェノール0.1重量部を190℃で3分間
B型バンバリーミキサー((株)神戸製鋼所製)で混練
した後、オープンロールでシート出しした。これを角ペ
レタイザー((株)朋来鉄鋼社製)でペレット化し、射
出成形に供し、サイズ150mm×120mm×2mmのシートを成
形した。射出成形条件は以下の通りである。
射出一次圧 1000kg/cm3、サイクル5秒 保持二次圧 800kg/cm3、サイクル5秒 射出速度 40mm/sec 樹脂温度 230℃ このシートからJIS K6758に規定する方法で降伏点応
力(YS)、破断点伸び(EL)を測定し、さらにASTM D25
6に従い23℃の雰囲気下でアイゾット衝撃強度を測定し
た。
結果を表4に示す。
比較例3 実施例12において、高級α−オレフィン系共重合体を
使用せず、ポリプロピレンをそのまま射出成形に供した
以外は、実施例12と同様に行なった。
結果を表4に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る高級α−オレフィン系共重合体
を製造する際に用いられるオレフィン重合用触媒の調製
工程を示すフローチャート図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 圭司 千葉県市原市千種海岸3番地 三井石油 化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−123114(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[A]還元性を有しない液状のマグネシウ
    ム化合物と、液状チタン化合物とを、電子供与体の存在
    下で反応させて固体状のチタン複合体を析出させること
    により得られたマグネシウム、チタン、ハロゲンおよび
    電子供与体を必須成分として含有する固体チタン触媒成
    分、 [B]有機アルミニウム化合物触媒成分、 および [C]電子供与体触媒成分 から形成されるオレフィン重合用触媒の存在下に、 炭素数6〜12の高級α−オレフィンと、下記一般式
    [I]で表わされる非共役ジエン: (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2およびR3
    水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表わす。た
    だし、R2およびR3が共に水素原子であることはない。) とを共重合させて、 (a)非共役ジエン含量が0.01〜30モル%の範囲内にあ
    り、 (b)135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度
    [η]が1.0〜10.0dl/gの範囲内にある高級α−オレフ
    ィン系共重合体を得ることを特徴とする高級α−オレフ
    ィン系共重合体の製造方法。
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