JP3255688B2 - 防振ゴム成形体およびその製造方法 - Google Patents

防振ゴム成形体およびその製造方法

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JP3255688B2 JP5001092A JP5001092A JP3255688B2 JP 3255688 B2 JP3255688 B2 JP 3255688B2 JP 5001092 A JP5001092 A JP 5001092A JP 5001092 A JP5001092 A JP 5001092A JP 3255688 B2 JP3255688 B2 JP 3255688B2
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崎 雅 昭 川
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、防振ゴム成形体およびそ
の製造方法に関し、さらに詳しくは、耐熱老化性に優れ
るとともに、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)に優れた、
寿命の長い防振ゴム成形体およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】防振ゴム成形体は、振動の伝達を
遮断あるいは軽減するために使用され、機械、家電、土
木建材、自動車、車両などに広く使用されている。従
来、これらの防振ゴム成形体には、天然ゴム、SBRが
主として用いられてきた。しかしながら、近年防振ゴム
成形体の使用環境は益々厳しくなっており、またメンテ
ナンスフリ−の要請と相俟って長寿命化が要求されるよ
うになってきている。
【0003】そこで、耐熱老化性に優れたエチレン- プ
ロピレン- ジエン系ゴム(EPDM)の防振ゴム成形体
への利用が検討されている。しかしながら、このEPD
Mを、使用した防振ゴム成形体は、振動の特に激しい、
いわゆる動的な条件下では疲労して破断し易いという問
題があった。したがって、従来より、耐熱老化性に優れ
るとともに、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)に優れた、
寿命の長い防振ゴム成形体の出現が望まれていた。
【0004】本発明者らは、耐熱老化性に優れるととも
に、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)に優れた、寿命の長
い防振ゴム成形体およびその製造方法について鋭意研究
し、特定のオレフィン重合用触媒の存在下に、特定の高
級α- オレフィン、特定の非共役ジエン、および特定の
α,ω- ジエンを共重合させたところ、上記特性に優れ
た高級α- オレフィン系共重合体ゴムが得られることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、耐熱老化性に
優れるとともに、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)に優れ
た、寿命の長い防振ゴム成形体およびその製造方法を提
供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】本発明に係る防振ゴム成形体は、炭素原
子数6〜20の高級α- オレフィン、下記一般式[I]
で表わされるα,ω- ジエン、および下記一般式[I
I]で表わされる非共役ジエンから構成され、かつ、高
級α- オレフィンとα,ω- ジエンとのモル比[高級α
- オレフィン/α,ω- ジエン]が95/5〜50/5
0であり、非共役ジエン(前記α,ω- ジエンを除く)
含量が0.01〜30モル%であり、135℃のデカリ
ン溶媒中で測定した極限粘度[η]が1.0〜10.0
dl/gの範囲内にある高級α- オレフィン系共重合体
ゴムの加硫物からなることを特徴としている。
【0007】
【化5】
【0008】式[I]中、nは1〜3の整数であり、R
1 およびR2 は、それぞれ独立に、水素原子または炭素
原子数1〜8のアルキル基を表わす。
【0009】
【化6】
【0010】式[II]中、nは1〜5の整数であり、
3 は炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、R4
よびR5 は、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキ
ル基を表わし、R4 およびR5 がともに水素原子である
ことはない。また、本発明に係る防振ゴム成形体の製造
方法は、上記の高級α- オレフィン系共重合体ゴムを成
形して加硫を行なうことを特徴としている。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る防振ゴム成形
体およびその製造方法について具体的に説明する。本発
明に係る防振ゴム成形体は、特定の高級α- オレフィン
系共重合体ゴムの加硫物から構成されている。
【0012】[高級α- オレフィン系共重合体ゴム]本
発明で用いられる高級α- オレフィン系共重合体ゴム
は、炭素原子数6〜20の高級α- オレフィンと、上記
一般式[I]で表わされるα,ω- ジエンと、上記一般
式[II]で表わされる非共役ジエンとの共重合体であ
る。高級α- オレフィン 本発明で用いられる高級α- オレフィンは、炭素原子数
6〜20の直鎖状の高級α- オレフィンであり、具体的
には、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノ
ネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−
1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン
−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、ノナデセ
ン−1、エイコセン−1、9−メチル−デセン−1、1
1−メチル−ドデセン−1、12−エチル−テトラデセ
ン−1などが挙げられる。
【0013】本発明においては、上記のような高級α-
オレフィンを単独で用いてもよく、また2種以上の混合
物として用いてもよい。上記高級α- オレフィンのう
ち、特にヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1が好
ましく用いられる。α,ω- ジエン 本発明で用いられるα,ω- ジエンは、下記の一般式
[I]で表わされる。
【0014】
【化7】
【0015】上記の一般式[I]において、nは1〜3
の整数であり、R1 およびR2 は、それぞれ独立に、水
素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表わす。
上記のようなα,ω- ジエンとしては、具体的には、
1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6
−ヘプタジエン、3−メチル−1,4−ペンタジエン、
3−メチル−1,5−ヘキサジエン、3−メチル−1,
6−ヘプタジエン、4−メチル−1,6−ヘプタジエ
ン、3,3−ジメチル−1,−ヘキサジエン、3,4
−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、4,4−ジメチル
−1,6−ヘプタジエン、4−エチル−1,6−ヘプタ
ジエンなどが挙げられる。
【0016】上記高級α- オレフィン系共重合体ゴム
において、上記のR1 およびR2 が水素原子である場合
には、上記のα,ω- ジエンに由来する繰り返し単位
は、通常、下記の式[III]および/または式[I
V]で表わされる形態で存在していると考えられる。
【0017】
【化8】
【0018】
【化9】
【0019】上記高級α- オレフィン系共重合体ゴム
において、上記の各繰り返し単位がランダムに配列した
実質上の線状構造を形成している。これらの各繰り返し
単位の構造は13C−NMRによって確認できる。ここ
で、実質上の線状構造とは、分枝鎖状構造を形成しても
良いが、網状架橋構造を含まないことを意味する。本発
明で用いられる高級α- オレフィン系共重合体ゴム が
実質上の線状構造を形成していることは、この共重合体
が135℃のデカリン中に完全に溶解し、ゲル状の架橋
重合体を含有しないことによって確認できる。
【0020】非共役ジエン 本発明で用いられる非共役ジエンは、下記の一般式[I
I]で表わされる。
【0021】
【化10】
【0022】上記の一般式[II]中、nは1〜5の整
数であり、R3 は炭素原子数1〜4のアルキル基を表わ
し、R4 およびR5 は、水素原子または炭素原子数1〜
8のアルキル基を表わし、R4 およびR5 がともに水素
原子であることはない。上記のような非共役ジエンとし
ては、具体的には、4−メチル−1,4−ヘキサジエ
ン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチル−
1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジ
エン、5−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル
−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタ
ジエン、5−エチル−1,5−ヘプタジエン、4−メチ
ル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オク
タジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、5−エ
チル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,5−オ
クタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5−
エチル−1,5−オクタジエン、6−エチル−1,5−
オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7
−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6
−オクタジエン、4−メチル−1,4−ノナジエン、5
−メチル−1,4−ノナジエン、4−エチル−1,4−
ノナジエン、5−エチル−1,4−ノナジエン、5−メ
チル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,5−ノナ
ジエン、5−エチル−1,5−ノナジエン、6−エチル
−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,6−ノナジエ
ン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−
1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエ
ン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−
1,7−ノナジエン、7−エチル−1,7−ノナジエ
ン、5−メチル−1,4−デカジエン、5−エチル−
1,4−デカジエン、5−メチル−1,5−デカジエ
ン、6−メチル−1,5−デカジエン、5−エチル−
1,5−デカジエン、6−エチル−1,5−デカジエ
ン、6−メチル−1,6−デカジエン、7−メチル−
1,6−デカジエン、6−エチル−1,6−デカジエ
ン、7−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−
1,7−デカジエン、8−メチル−1,7−デカジエ
ン、7−エチル−1,7−デカジエン、8−エチル−
1,7−デカジエン、8−メチル−1,8−デカジエ
ン、9−メチル−1,8−デカジエン、8−エチル−
1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−ウンデカジ
エンなどが挙げられる。
【0023】本発明においては、上記のような非共役ジ
エンを単独で用いてもよく、また2種以上の混合物とし
て用いてもよい。さらに、上記のような非共役ジエンの
他に、他の共重合可能なモノマー、たとえばエチレン、
プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1など
を、本発明の目的を損なわない範囲で用いてもよい。
【0024】本発明の高級α- オレフィン系共重合体ゴ
ムを構成する高級α- オレフィンから導かれる構成単位
とα,ω- ジエンから導かれる構成単位とのモル比(高
級α- オレフィン/α,ω- ジエン)は、50/50〜
95/5、好ましくは60/40〜90/10、さらに
好ましくは65/35〜90/10の範囲にある。高級
α−オレフィン系共重合体ゴムの組成は、13C−NMR
法で測定することができる。
【0025】本発明では、高級α- オレフィンにα,ω
- ジエンを共重合させることにより高級α- オレフィン
系共重合体ゴムの加工性を改良することができる。本発
明の高級α- オレフィン系共重合体ゴムを構成する非共
役ジエン(前記α,ω- ジエンを除く)の含有量は、
0.01〜30モル%、好ましくは0.1〜20モル
%、特に好ましくは0.1〜10モル%の範囲内にあ
り、ヨウ素価は、1〜50、好ましくは2〜30の範囲
内にある。この特性値は、本発明の高級α- オレフィン
系共重合体ゴムを硫黄あるいは過酸化物を用いて加硫す
る場合の目安となる値である。
【0026】本発明の高級α- オレフィン系共重合体ゴ
ムの135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]
は、1.0〜10.0dl/g、好ましくは1.5〜7
dl/gの範囲にある。この特性値は、本発明の高級α
- オレフィン系共重合体ゴムの分子量を示す尺度であ
り、他の特性値と結合することにより、耐候性、耐オゾ
ン性、耐熱老化性、低温特性、耐動的疲労性などの性質
に優れた共重合体ゴムを得るのに際して役立っている。
【0027】上記のような高級α- オレフィン系共重合
体ゴムは、以下の方法で製造することができる。本発明
で用いられる高級α- オレフィン系共重合体ゴムは、オ
レフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数6〜20の
高級α- オレフィンと、上記一般式[I]で表わされる
α,ω- ジエンと、上記一般式[II]で表わされる非
共役ジエンとを共重合させることにより得られる。
【0028】本発明で用いられるオレフィン重合用触媒
は、固体チタン触媒成分(a)と、有機アルミニウム化
合物触媒成分(b)と、電子供与体触媒成分(c)とか
ら形成されている。図1に本発明で用いられる高級α-
オレフィン系共重合体ゴム を製造する際に用いられる
オレフィン重合用触媒成分の調製方法のフローチャート
の例を示す。
【0029】本発明で用いられる固体チタン触媒成分
(a)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子
供与体を必須成分として含有する高活性の触媒成分であ
る。このような固体チタン触媒成分(a)は、下記のよ
うなマグネシウム化合物、チタン化合物、および電子供
与体を接触させることにより調製される。本発明におい
て、固体チタン触媒成分(a)の調製に用いられるチタ
ン化合物としては、たとえばTi(OR)g4-g (R
は炭化水素基、Xはハロゲン原子、0≦g≦4)で示さ
れる4価のチタン化合物を挙げることができる。
【0030】より具体的には、TiCl4、 TiB
4、 TiI4 などのテトラハロゲン化チタン;Ti
(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3、 Ti(O
n−C49)Cl3、Ti(OC25)Br3、Ti(O
−iso-C49)Br3などのトリハロゲン化アルコキシ
チタン;Ti(OCH32Cl2、Ti(OC252
2、Ti(On−C492Cl2、Ti(OC252
Br2などのジハロゲン化ジアルコキシチタン;Ti
(OCH33Cl、Ti(OC253Cl、 Ti(O
n−C493Cl、Ti(OC253Br などのモノ
ハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH34
Ti(OC254、Ti(On−C494、Ti(O
−iso-C494、Ti(O-2-エチルヘキシル)4
どのテトラアルコキシチタンなどを挙げることができ
る。
【0031】これらの中で、ハロゲン含有チタン化合
物、特にテトラハロゲン化チタンが好ましい。中でも、
四塩化チタンが特に好ましく用いられる。これらチタン
化合物は単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わ
せて用いてもよい。さらに、これらのチタン化合物は、
炭化水素化合物あるいはハロゲン化炭化水素化合物など
に希釈されてもよい。
【0032】また、本発明では、3価のチタン化合物、
4価のチタン化合物が用いられるが、特に4価のチタン
化合物が好ましい。本発明において、固体チタン触媒成
分(a)の調製に用いられるマグネシウム化合物として
は、還元性を有するマグネシウム化合物および還元性を
有しないマグネシウム化合物を挙げることができる。
【0033】ここで、還元性を有するマグネシウム化合
物としては、たとえば、マグネシウム・炭素結合あるい
はマグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物
を挙げることができる。このような還元性を有するマグ
ネシウム化合物の具体的な例としては、ジメチルマグネ
シウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウ
ム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジ
ヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル
塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル
塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル
塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチ
ルブチルマグネシウム、オクチルブチルマグネシウム、
ブチルマグネシウムハライドなどを挙げることができ
る。これらのマグネシウム化合物は、単独で用いること
もできるし、後述する有機アルミニウム化合物と錯化合
物を形成していてもよい。また、これらのマグネシウム
化合物は、液体であっても固体であってもよい。
【0034】還元性を有しないマグネシウム化合物の具
体的な例としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウ
ム、沃化マグネシウム、弗化マグネシウムなどのハロゲ
ン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキ
シ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウ
ム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネ
シウムなどのアルコキシマグネシウムハライド;フェノ
キシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシ
ウムなどのアルコキシマグネシウムハライド;エトキシ
マグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシ
マグネシウム、n-オクトキシマグネシウム、2ーエチルヘ
キソキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム;
フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシ
ウムなどのアリロキシマギネシウム;ラウリン酸マグネ
シウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウム
のカルボン酸塩などを挙げることができる。
【0035】これら還元性を有しないマグネシウム化合
物は、上述した還元性を有するマグネシウム化合物から
誘導した化合物あるいは触媒成分の調製時に誘導した化
合物であってもよい。還元性を有しないマグネシウム化
合物を、還元性を有するマグネシウム化合物から誘導す
るには、たとえば、還元性を有するマグネシウム化合物
を、ポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シラン化合
物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、エステル、アル
コールなどの化合物と接触させればよい。
【0036】なお、本発明において、マグネシウム化合
物は上記の還元性を有するマグネシウム化合物および還
元性を有しないマグネシウム化合物の他に、上記のマグ
ネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物ある
いは他の金属化合物との混合物であってもよい。さら
に、上記の化合物を2種以上組み合わせた混合物であっ
てもよい。
【0037】本発明においては、これらの中でも、還元
性を有しないマグネシウム化合物が好ましく、特に好ま
しくはハロゲン含有マグネシウム化合物であり、さら
に、これらの中でも塩化マグネシウム、アルコキシ塩化
マグネシウム、アリロキシ塩化マグネシウムが好ましく
用いられる。本発明において、固体チタン触媒成分
(a)の調製に用いられる電子供与体としては、後記す
る有機カルボン酸エステル、多価カルボン酸エステルが
挙げられ、具体的には、下記式で表わされる骨格を有す
る化合物が挙げられる。
【0038】
【化11】
【0039】
【化12】
【0040】
【化13】
【0041】
【化14】
【0042】上記した式中、R1 は置換または非置換の
炭化水素基を表わし、R2 、R5 、R6 は水素原子、置
換もしくは非置換の炭化水素基を表わし、R3 、R4
水素原子、置換もしくは非置換の炭化水素基を表わす。
なお、R3 、R4 は少なくとも一方が置換または非置換
の炭化水素基であることが好ましい。またR3 とR4
は互いに連結されて環状構造を形成していてもよい。置
換の炭化水素基としては、N、O、Sなどの異原子を含
む置換の炭化水素基が挙げられ、たとえば−C−O−C
−、−COOR、−COOH、−OH、−SO3H、−
C−N−C−、−NH2 などの構造を有する置換の炭化
水素基が挙げられる。
【0043】これらの中では、R1 、R2 の少なくとも
一方が、炭素原子数が2以上のアルキル基であるジカル
ボン酸から誘導されるジエステルが好ましい。上記多価
カルボン酸エステルの具体例としては、コハク酸ジエチ
ル、コハク酸ジブチル、メチルコハク酸ジエチル、αー
メチルグルタル酸ジイソブチル、マロン酸ジブチルメチ
ル、マロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソ
プロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、
フェニルマロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチ
ル、アリルマロン酸ジエチル、ジイソブチルマロン酸ジ
エチル、ジノルマルブチルマロン酸ジエチル、マレイン
酸ジメチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジイ
ソオクチル、マレイン酸ジイソブチル、ブチルマレイン
酸ジイソブチル、ブチルマレイン酸ジエチル、βー メチ
ルグルタル酸ジイソプロピル、エチルコハク酸ジアリ
ル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジエ
チル、イタコン酸ジイソブチル、シトラコン酸ジイソオ
クタチル、シトラコン酸ジメチルなどの脂肪酸ポリカル
ボン酸エステル;1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジ
エチル、1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジイソブチ
ル、テトラヒドロフタル酸ジエチル、ナジック酸ジエチ
ルのような脂肪族ポリカルボン酸エステル;フタル酸モ
ノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、
フタル酸モノイソブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸
エチルイソブチル、フタル酸モノノルマルブチル、フタ
ル酸エチルノルマルブチル、フタル酸ジ-n-プロピル、
フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジ-n-ブチル、フタ
ル酸ジイソブチル、フタル酸ジ-n-ヘプチル、フタル酸
ジ-2-エチルヘキシル、フタル酸ジデシル、フタル酸ベ
ンジルブチル、フタル酸ジフェニル、ナフタリンジカル
ボン酸ジエチル、ナフタリンジカルボン酸ジブチル、ト
リメリット酸トリエチル、トリメリット酸ジブチルなど
の芳香族ポリカルボン酸エステル;3,4- フランジカ
ルボン酸などの異節環ポリカルボン酸から誘導されるエ
ステルなどを挙げることができる。
【0044】多価カルボン酸エステルの他の例として
は、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セ
バシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-n-ブチル、セ
バシン酸-n-オクチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシ
ルなどの長鎖ジカルボン酸から誘導されるエステルを挙
げることができる。これら多価カルボン酸エステルの中
では、前述した一般式で表わされる骨格を有する化合物
が好ましく、さらに好ましくはフタル酸、マレイン酸、
置換マロン酸などと、炭素原子数2以上のアルコールと
から誘導されるエステルが好ましく、フタル酸と炭素原
子数2以上のアルコールとの反応により得られるジエス
テルが特に好ましい。
【0045】これらの多価カルボン酸エステルとして
は、必ずしも出発原料として上記のような多価カルボン
酸エステルを使用する必要はなく、固体チタン触媒成分
(a)の調製過程でこれらの多価カルボン酸エステルを
誘導することができる化合物を用い、固体チタン触媒成
分(a)の調製段階で多価カルボン酸エステルを生成さ
せてもよい。
【0046】本発明において、固体チタン触媒成分
(a)を調製する際に使用することができる多価カルボ
ン酸以外の電子供与体としては、後述するような、アル
コール類、アミン類、アミド類、エーテル類、ケトン
類、ニトリル類、ホスフィン類、スチピン類、アルシン
類、ホスホルアミド類、エステル類、チオエーテル類、
チオエステル類、酸無水物、酸ハライド類、アルデヒド
類、アルコレート類、アルコキシ(アリーロキシ)シラ
ン類などの有機ケイ素化合物、有機酸類および周期律表
の第I族〜第IV族に属する金属のアミド類および塩類
などを挙げることができる。
【0047】本発明において、固体チタン触媒成分
(a)は、上記したようなマグネシウム化合物(もしく
は金属マグネシウム)、電子供与体およびチタン化合物
を接触させることにより製造することができる。固体チ
タン触媒成分(a)を製造するには、マグネシウム化合
物、チタン化合物、電子供与体から高活性チタン触媒成
分を調製する公知の方法を採用することができる。な
お、上記の成分は、たとえばケイ素、リン、アルミニウ
ムなどの他の反応試剤の存在下に接触させてもよい。
【0048】これらの固体チタン触媒成分(a)の製造
方法を数例挙げて以下に簡単に述べる。 (1)マグネシウム化合物、あるいはマグネシウム化合
物および電子供与体からなる錯化合物とチタン化合物と
を液相によって反応させる方法。この反応は、粉砕助剤
などの存在下に行ってもよい。また、上記のように反応
させる際に、固体状の化合物については、粉砕してもよ
い。さらにまた、上記のように反応させる際に、各成分
を電子供与体および/または有機アルミニウム化合物や
ハロゲン含有ケイ素化合物のような反応助剤で予備処理
してもよい。なお、この方法においては、上記電子供与
体を少なくとも一回は用いる。 (2)還元性を有しない液状のマグネシウム化合物と、
液状チタン化合物とを、電子供与体の存在下で反応させ
て固体状のチタン複合剤を析出させる方法。 (3)(2)で得られた反応生成物に、チタン化合物を
さらに反応させる方法。 (4)(1)あるいは(2)で得られる反応生成物に、
電子供与体およびチタン化合物をさらに反応させる方
法。 (5)マグネシウム化合物あるいはマグネシウム化合物
と電子供与体とからなる錯化合物をチタン化合物の存在
下に粉砕して得られた固体状物を、ハロゲン、ハロゲン
化合物および芳香族炭化水素のいずれかで処理する方
法。なお、この方法においては、マグネシウム化合物あ
るいはマグネシウム化合物と電子供与体とからなる錯化
合物を、粉砕助剤などの存在下に粉砕してもよい。ま
た、マグネシウム化合物あるいはマグネシウム化合物と
電子供与体とからなる錯化合物を、チタン化合物の存在
下に粉砕した後に、反応助剤で予備処理し、次いで、ハ
ロゲンなどで処理してもよい。なお、反応助剤として
は、有機アルミニウム化合物あるいはハロゲン含有ケイ
素化合物などが挙げられる。なお、この方法において
は、少なくとも一回は電子供与体を用いる。 (6)前記(1)〜(4)で得られる化合物を、ハロゲ
ンまたはハロゲン化合物または芳香族炭化水素で処理す
る方法。 (7)金属酸化合物、ジヒドロカルビルマグネシウムお
よびハロゲン含有アルコールとの接触反応物を、電子供
与体およびチタン化合物と接触させる方法。 (8)有機酸のマグネシウム塩、アルコキシマグネシウ
ム、アリーロキシマグネシウムなどのマグネシウム化合
物を、電子供与体、チタン化合物および/またはハロゲ
ン含有炭化水素と反応させる方法。
【0049】上記(1)〜(8)に挙げた固体チタン触
媒成分(a)の調製法の中では、触媒調製時において液
状のハロゲン化チタンを用いる方法あるいはチタン化合
物を用いた後、あるいはチタン化合物を用いる際にハロ
ゲン化炭化水素を用いる方法が好ましい。固体チタン触
媒成分(a)を調製する際に用いられる上述したような
各成分の使用量は、調製方法によって異なり一概に規定
できないが、たとえばマグネシウム化合物1モル当り、
電子供与体は約0.01〜5モル、好ましくは0.05
〜2モルの量で、チタン化合物は約0.01〜500モ
ル、好ましくは0.05〜300モルの量で用いられ
る。
【0050】このようにして得られた固体チタン触媒成
分(a)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電
子供与体を必須成分として含有している。この固体チタ
ン触媒成分(a)において、ハロゲン/チタン(原子
比)は約4〜200、好ましくは約5〜100であり、
前記電子供与体/チタン(モル比)は約0.1〜10、
好ましくは約0.2〜約6であり、マグネシウム/チタ
ン(原子比)は約1〜100、好ましくは約2〜50で
あることが望ましい。
【0051】この固体チタン触媒成分(a)は市販のハ
ロゲン化マグネシウムと比較すると、結晶サイズの小さ
いハロゲン化マグネシウムを含み、通常その比表面積が
約50m2 /g以上、好ましくは約60〜1,000m
2 /g、より好ましくは約100〜800m2 /gであ
る。そして、この固体チタン触媒成分(a)は、上記の
成分が一体となって触媒成分を形成しているので、ヘキ
サン洗浄によって実質的にその組成が変わることがな
い。
【0052】このような固体チタン触媒成分(a)は、
単独で使用することもできるが、また、たとえばケイ素
化合物、アルミニウム化合物、ポリオレフィンなどの無
機化合物または有機化合物で希釈して使用することもで
きる。なお、希釈剤を用いる場合には、上述した比表面
積より小さくても、高い触媒活性を示す。このような高
活性チタン触媒成分の調製法等については、たとえば、
特開昭50- 108385号公報、同50- 126590号公報、同51ー2
0297号公報、同51-28189号公報、同51-64586号公報、同
51-92885号公報、同51- 136625号公報、同52-87489号公
報、同52- 100596号公報、同52- 147688号公報、同52-
104593号公報、同53- 2580号公報、同53-40093号公報、
同53-40094号公報、同53-43094号公報、同55- 135102号
公報、同55- 135103号公報、同55- 152710号公報、同56
-811号公報、同56-11908号公報、同56-18606号公報、同
58-83006号公報、同58- 138705号公報、同58- 138706号
公報、同58- 138707号公報、同58- 138708号公報、同58
- 138709号公報、同58- 138710号公報、同58- 138715号
公報、同60-23404号公報、同61-21109号公報、同61-378
02号公報、同61-37803号公報、などに開示されている。
【0053】本発明で用いられる有機アルミニウム化合
物触媒成分(b)としては、少なくとも分子内に1個の
Al−炭素結合を有する化合物が利用できる。このよう
な化合物としては、たとえば、 (i)一般式(R1m Al(O(R2))npq (式中、R1 およびR2 は炭素原子を通常1〜15個、
好ましくは1〜4個含む炭化水素基であり、これらは互
いに同一でも異なってもよい。Xはハロゲン原子を表わ
し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<
3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかも、m+
n+p+q=3である)で表わされる有機アルミニウム
化合物、 (ii)一般式(M1)Al(R14 (式中、M1 はLi、Na、Kであり、R1 は前記
(i)におけるR1 と同じ)で表わされる第I属金属と
アルミニウムとの錯アルキル化物などを挙げることがで
きる。
【0054】前記の(i)に属する有機アルミニウム化
合物としては、次のような化合物を例示できる。 一般式(R1n Al(O(R2))3-m (式中、R1 およびR2 は前記(i)におけるR1 、R
2 と同じ。mは好ましくは1.5≦m≦3を満たす数で
ある)、 一般式(R1m AlX3-m (式中、R1 は前記(i)におけるR1 と同じ。Xはハ
ロゲン、mは好ましくは0<m<3を満たす数であ
る)、 一般式(R1m AlH3-m (式中、R1 は前記(i)におけるR1 と同じ。mは好
ましくは2≦m<3を満たす数である)、 一般式(R1m Al(OR2nq (式中、R1 およびR2 は前記(i)におけるR1 、R
2 と同じ。Xはハロゲン、mは0<m≦3、nは0≦n
<3、qは0≦q<3を満たす数であって、m+n+q
=3である)で表わされる化合物などを挙げることがで
きる。
【0055】上記(i)に属するアルミニウム化合物と
しては、より具体的には、トリエチルアルミニウム、ト
リブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウ
ム;トリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニ
ルアルミニウム;ジエチルアルミニウムエトキシド、ジ
ブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミ
ニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキ
シド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアル
キルアルミニウムセスキアルコキシド;(R12.5
l(O(R2))0.5 などで表わされる平均組成を有す
る部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウム
クロリド、ジエチルアルミニウムブロミドなどのジアル
キルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキ
クロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチル
アルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウ
ムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プ
ロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジ
ブロミド等のアルキルアルミニウムジハライドのような
部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエ
チルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒド
リドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルア
ルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリ
ド等のアルキルアルミニウムジヒドリドのような部分的
に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニ
ウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシク
ロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドのような
部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキル
アルミニウムを挙げることができる。
【0056】また上記(i)に属するアルミニウム化合
物に類似する化合物としては、酸素原子や窒素原子を介
して2以上のアルミニウムが結合した有機アルミニウム
化合物を挙げることができる。このような化合物として
は、たとえば、(C252AlOAl(C252
(C492AlOAl(C492、(C252Al
N(C25)Al(C252、メチルアミノオキサン
などを挙げることができる。
【0057】前記(ii)に属する化合物としては、L
iAl(C254、LiAl(C7154 などを挙げ
ることができる。これらの中では、特にトリアルキルア
ルミニウムあるいは上記した2種以上のアルミニウム化
合物が結合したアルキルアルミニウムを用いることが好
ましい。電子供与体触媒成分(c)としては、アルコー
ル類、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン
酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミ
ド、酸無水物、アルコキシシラン等の含酸素電子供与
体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等
の含窒素電子供与体、あるいは上記のような多価カルボ
ン酸エステルなどを用いることができる。
【0058】より具体的には、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、オク
タノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オ
レイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチ
ルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、イソプロピルベンジルアルコール等の炭素原子数
1〜18のアルコール類;フェノール、クレゾール、キ
シレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、
ノニルフェノール、クミルフェノール、ナフトール等
の、低級アルキル基を有してもよい炭素原子数6〜20
のフェノール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノ
ン、ベンゾキノン等の炭素原子数3〜15のケトン類;
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルア
ルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフト
アルデヒド等の炭素原子数2〜15のアルデヒド類;ギ
酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸
プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピ
オン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エチル、クロル酢酸
メチル、ジクロル酢酸エチル、メタクリル酸メチル、ク
ロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安
息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安
息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキ
シル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル
酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチ
ル安息香酸エチル、アニス酸メチル、マレイン酸-n-ブ
チル、メチルマロン酸ジイソブチル、シクロヘキセンカ
ルボン酸ジ-n-ヘキシル、ナジック酸ジエチル、テトラ
ヒドロフタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジエチル、フ
タル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ-
nーブチル、フタル酸ジ2- エチルヘキシル、γ- ブチ
ロラクトン、δ- バレロラクトン、クマリン、フタリ
ド、炭酸エチレン等の炭素原子数2〜30の有機酸エス
テル;アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイ
ル酸クロリド、アニス酸クロリド等の炭素原子数2〜1
5の酸ハライド類;メチルエーテル、エチルエーテル、
イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェニルエー
テル等の炭素原子数2〜20のエーテル類;酢酸アミ
ド、安息香酸アミド、トルイル酸アミド等の酸アミド
類;メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、ト
リブチルアミン、ピペリジン、トリベンジルアミン、ア
ニリン、ピリジン、ピコリン、テトラメチレンジアミン
等のアミン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル、トル
ニトリル等のニトリル類;無水酢酸、無水フタル酸、無
水安息香酸等の酸無水物などが用いられる。
【0059】また、電子供与体(c)として、下記のよ
うな一般式[II]で示される有機ケイ素化合物を用い
ることもできる。 Rn Si(OR’)4-n ・・・[1] (式中、RおよびR’は炭化水素基であり、nは0<n
<4を満たす数である。)上記のような一般式[1]で
示される有機ケイ素化合物としては、具体的には、トリ
メチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジ
メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、
ジイソプロピルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメ
トキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-ア
ミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシ
ラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジ
エトキシシラン、ビス-ο- トリルジメトキシシラン、
ビス-m- トリルジメトキシシラン、ビス-p-トリルジ
メトキシシラン、ビス-p-トリルジエトキシシラン、ビ
スエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロヘキシル
ジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシ
ラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチル
トリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n
- プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシ
ラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキ
シシラン、γー クロルプロピルトリメトキシシラン、メ
チルトルエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラ
ン、nー ブチルトリエトキシシラン、iso- ブチルト
リエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γー
アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキ
シシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルト
リブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラ
ン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2- ノルボル
ナントリメトキシシラン、2ー ノルボルナントリエトキ
シシラン、2ー ノルボルナンメチルジメトキシシラン、
ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフェノキシシ
ラン、メチルトリアリロキシ(allyloxy)シラン、ビニ
ルトリス(βー メトキシエトキシシラン)、ビニルトリ
アセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサ
ンなどが用いられる。
【0060】このうちエチルトリエトキシシラン、n-
プロピルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメ
トキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビス
-p-トリルジメトキシシラン、p- トリルメチルジメト
キシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シク
ロヘキシルメチルジメトキシシラン、2- ノルボルナン
トリエトキシシラン、2- ノルボルナンメチルジメトキ
シシラン、ジフェニルジエトキシシランが好ましい。
【0061】さらに、電子供与体触媒成分(c)とし
て、下記のような一般式[2]で示される有機ケイ素化
合物を用いることもできる。 SiR12 m(OR33-m ・・・[2] (式中、R1 はシクロペンチル基もしくはアルキル基を
有するシクロペンチル基であり、R2 はアルキル基、シ
クロペンチル基およびアルキル基を有するシクロペンチ
ル基からなる群より選ばれる基であり、R3 は炭化水素
基であり、mは0≦m≦2を満たす数である。)上記式
[2]において、R1 はシクロペンチル基もしくはアル
キル基を有するシクロペンチル基であり、R1 として
は、シクロペンチル基以外に、2ー メチルシクロペンチ
ル基、3ー メチルシクロペンチル基、2ー エチルシクロ
ペンチル基、2,3- ジメチルシクロペンチル基などの
アルキル基を有するシクロペンチル基を挙げることがで
きる。
【0062】また、上記式[2]において、R2 はアル
キル基、シクロペンチル基もしくはアルキル基を有する
シクロペンチル基のいずれかの基であり、R2 として
は、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基などのアリル基、また
はR1 として例示したシクロペンチル基およびアルキル
基を有するシクロペンチル基を同様に挙げることができ
る。
【0063】また、上記式[2]において、R3 は炭化
水素基であり、R3 としては、たとえばアルキル基、シ
クロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化
水素基を挙げることができる。これらのうちでは、R1
がシクロペンチル基であり、R2 がアルキル基またはシ
クロペンチル基であり、R3 がアルキル基、特にメチル
基またはエチル基である有機ケイ素化合物を用いること
が好ましい。
【0064】このような有機ケイ素化合物として、具体
的には、シクロペンチルトリメトキシシラン、2ー メチ
ルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,3- ジメチ
ルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチル
トリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジシ
クロペンチルジメトキシシラン、ビス(2ー メチルシク
ロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3- ジメチ
ルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジシクロペンチ
ルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;トリシ
クロペンチルメトキシシラン、トリシクロペンチルエト
キシシラン、ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、
ジシクロペンチルエチルメトキシシラン、ジシクロペン
チルメチルエトキシシラン、シクロペンチルジメチルメ
トキシシラン、シクロペンチルジエチルメトキシシラ
ン、シクロペンチルジメチルエトキシシラン等のモノア
ロコキシシラン類などを挙げることができる。これら電
子供与体のうち、有機カルボン酸エステル類あるいは有
機ケイ素化合物類が好ましく、特に有機ケイ素化合物が
好ましい。
【0065】本発明で用いられるオレフィン重合用触媒
は、上記のような固体チタン触媒成分(a)と、有機ア
ルミニウム化合物触媒成分(b)と、電子供与体触媒成
分(c)とから形成されており、本発明では、このオレ
フィン重合用触媒を用いて高級α- オレフィンと、α,
ω- ジエンと、非共役ジエンとを重合させるが、このオ
レフィン重合用触媒を用いてα- オレフィンあるいは高
級α- オレフィンを予備重合させた後、この触媒を用い
て高級α- オレフィンと、α,ω- ジエンと、非共役ジ
エンを重合(本重合)させることもできる。予備重合の
際、オレフィン重合用触媒1g当り、0.1〜500
g、好ましくは0.3〜300g、特に好ましくは1〜
100gの量でα- オレフィンあるいは高級α- オレフ
ィンを予備重合させる。
【0066】予備重合では、本重合における系内の触媒
濃度よりもかなり高濃度の触媒を用いることができる。
予備重合における固体チタン触媒成分(a)の濃度は、
後述する不活性炭化水素媒体1リットル当り、チタン原
子換算で、通常約0.01〜200ミリモル、好ましく
は約0.1〜100ミリモル、特に好ましくは1〜50
ミリモルの範囲とすることが望ましい。
【0067】有機アルミニウム触媒成分(b)の量は、
固体チタン触媒成分(a)1g当り0.1〜500g、
好ましくは0.3〜300gの重合体が生成するような
量であればよく、固体チタン触媒成分(a)中のチタン
原子1モル当り、通常約0.1〜100モル、好ましく
は約0.5〜50モル、特に好ましくは1〜20モルの
量であることが望ましい。
【0068】電子供与体触媒成分(c)は、固体チタン
触媒成分(a)中のチタン原子1モル当り、0.1〜5
0モル、好ましくは0.5〜30モル、特に好ましくは
1〜10モルの量で用いられることが好ましい。予備重
合は、不活性炭化水素媒体にオレフィンあるいは高級α
- オレフィンおよび上記の触媒成分を加え、温和な条件
下に行うことが好ましい。
【0069】この際用いられる不活性水素媒体として
は、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の
脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリ
ド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素;あるいは
これらの混合物などを挙げることができる。これらの不
活性炭化水素媒体のうちでは、特に脂肪族炭化水素を用
いることが好ましい。なお、オレフィンあるいは高級α
- オレフィン自体を溶媒中で予備重合を行なうこともで
きるし、実質的に溶媒のない状態で予備重合することも
できる。
【0070】予備重合で使用される高級α- オレフィン
は、後述する本重合で使用される高級α- オレフィンと
同一であっても、異なってもよい。予備重合の際の反応
温度は、通常約−20〜+100℃、好ましくは約−2
0〜+80℃、さらに好ましくは0〜+40℃の範囲で
あることが望ましい。なお、予備重合においては、水素
のような分子量調節剤を用いることもできる。このよう
な分子量調節剤は、135℃のデカリン溶媒中で測定し
た、予備重合により得られる重合体の極限粘度[η]
が、約0.2dl/g以上、好ましくは約0.5〜10
dl/gになるような量で用いることが望ましい。
【0071】予備重合は、上記のように、固体チタン触
媒成分(a)1g当り約0.1〜500g、好ましくは
約0.3〜300g、特に好ましくは1〜100gの重
合体が生成するように行なうことが望ましい。予備重合
量をあまり多くすると、オレフィン重合体の生産効率が
低下することがある。予備重合は回分式あるいは連続式
で行なうことができる。
【0072】固体チタン触媒成分(a)あるいは上記の
ようにしてオレフィン重合用触媒に予備重合を行なって
得られた固体チタン触媒成分(a)と、有機アルミニウ
ム触媒成分(b)と、電子供与体触媒成分(c)とから
形成されるオレフィン重合用触媒の存在下に、高級α-
オレフィンと、α,ω- ジエンと、非共役ジエンとの共
重合(本重合)を行なう。
【0073】高級α- オレフィンと、α,ω- ジエン
と、非共役ジエンとの共重合(本重合)の際には、上記
オレフィン重合用触媒に加えて、有機アルミニウム化合
物触媒成分として、オレフィン重合用触媒を製造する際
に用いられた有機アルミニウム化合物触媒成分(b)と
同様の成分を用いることができる。また高級α- オレフ
ィンと、α,ω- ジエンと、非共役ジエンとの共重合
(本重合)の際には、電子供与体触媒成分として、オレ
フィン重合用触媒を製造する際に用いられた電子供与体
触媒成分(c)と同様の成分を用いることができる。な
お、高級α- オレフィンと、α,ω- ジエンと、非共役
ジエンとの共重合体(本重合)の際に用いられる有機ア
ルミニウム化合物および電子供与体は、必ずしも上記の
オレフィン重合用触媒を調製する際に用いられた有機ア
ルミニウム化合物および電子供与体と同一である必要は
ない。
【0074】高級α- オレフィンと、α,ω- ジエン
と、非共役ジエンとの共重合(本重合)は、通常液相で
行われる。本重合の反応媒体としては、上述の不活性炭
化水素媒体を用いることもできるし、反応温度において
液状のオレフィンを用いることもできる。高級α- オレ
フィンと、α,ω- ジエンと、非共役ジエンとの共重合
(本重合)において、固体チタン触媒成分(a)は、重
合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は約
0.001〜約1.0ミリモル、好ましくは約0.00
5〜0.5ミリモルの量で用いられる。また、有機アル
ミニウム触媒成分(b)は、固体チタン触媒成分(a)
中のチタン原子1モルに対し、有機アルミニウム化合物
触媒成分(b)中の金属原子は、通常約1〜2,000
モル、好ましくは約5〜500モルとなるような量で用
いられる。さらに、電子供与体触媒成分(c)は、有機
アルミニウム化合物触媒成分(b)中の金属原子1モル
当り、通常は約0.001〜10モル、好ましくは0.
01〜2モル、特に好ましくは0.05〜1モルとなる
ような量で用いられる。
【0075】本重合時に、水素を用いれば、得られる重
合体の分子量を調節することができる。本発明におい
て、高級α- オレフィンと、α,ω- ジエンと、非共役
ジエンとの重合温度は、通常、約20〜200℃、好ま
しく約40〜100℃に、圧力は、通常、常圧〜100
kg/cm2 好ましくは常圧〜50kg/cm2 に設定
される。高級α- オレフィンと、α,ω- ジエンと、非
共役ジエンとの共重合(本重合)においては、重合を、
回分式、半連続式、連続式の何れの方法においても行な
うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段
以上に分けて行なうこともできる。
【0076】本発明に係る防振ゴム成形体は、上記のよ
うな高級α- オレフィン系共重合体ゴムの加硫物から構
成されるが、加硫反応に際して使用される助剤、たとえ
ば金属活性化剤、オキシメチレン構造を持つ化合物、ス
コ−チ防止剤を含有していてもよい。また、本発明に係
る防振ゴム成形体に、ゴム用補強剤、充填剤、軟化剤、
老化防止剤、加工助剤などの添加剤を含有させると、防
振ゴム成形体としての性能をさらに向上する。したがっ
て、本発明においては、上記のような添加剤を用いるこ
とが好ましい。
【0077】[防振ゴム成形体の製造方法]本発明に係
る防振ゴム成形体は、たとえば以下のような方法で製造
することが好ましい。すなわち、本発明に係る防振ゴム
成形体は、上記のような高級α- オレフィン系共重合体
ゴムに加硫剤を加えて加硫を行なうことにより得ること
ができる。
【0078】加硫は、高級α- オレフィン系共重合体ゴ
ムに加硫剤を加えて行なうが、加硫剤の添加は、成形す
る前に行なうのがよい。また、高級α- オレフィン系共
重合体ゴムの加硫方法としては、硫黄加硫、有機過酸化
物加硫が有効である。硫黄加硫の際に使用されるイオウ
系化合物としては、具体的には、イオウ、塩化イオウ、
二塩化イオウ、モルホリンジスルフィド、アルキルフェ
ノ−ルジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィ
ド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどが挙げられ
る。なかでもイオウが好ましく用いられる。
【0079】イオウ系化合物は、本発明の高級α- オレ
フィン系共重合体ゴム100重量部に対して0.1〜1
0重量部、好ましくは0.5〜5重量部の量で用いられ
る。また、加硫剤としてイオウ化合物を使用するとき
は、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤
としては、具体的には、N-シクロヘキシル-2- ベンゾチ
アゾ−ルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2- ベ
ンゾチアゾ−ルスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル
-2- ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミド、2-メルカプト
ベンゾチアゾ−ル、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカ
プトベンゾチアゾ−ル、2-(2,6-ジエチル-4- モルホリ
ノチオ)ベンゾチアゾ−ル、ジベンゾチアジルジスルフ
ィド等のチアゾ−ル系化合物;ジフェニルグアニジン、
トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジ
ン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニ
ジンフタレ−ト等のグアニジン化合物;アセトアルデヒ
ド- アニリン反応物、ブチルアルデヒド- アニリン縮合
物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアン
モニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド- アンモ
ニア系化合物;2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾ
リン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオユリ
ア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオ
ルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;テトラ
メチルチウラムモノスルフィド;テトラメチルチウラム
ジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テ
トラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウ
ラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物;ジメチル
ジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸
亜鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフ
ェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオ
カルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリ
ウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジ
チオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;ジブ
チルキサントゲン酸亜鉛等のザンテ−ト系化合物;亜鉛
華等の化合物を挙げることができる。
【0080】これらの加硫促進剤は、高級α- オレフィ
ン系共重合体ゴム100重量部に対して0.1〜20重
量部、好ましくは0.2〜10重量部の量で用いられ
る。有機過酸化物加硫の際に用いられる有機過酸化物と
しては、通常ゴムの過酸化物加硫に使用されるものであ
ればよい。たとえば、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-
ブチルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5
- トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルヒドロパーオキ
サイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパ
ーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(t-ブチルパーオ
キシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイ
ルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- モノ(t-
ブチルパーオキシ)- ヘキサン、α,α'- ビス(t-ブチ
ルパーオキシ-m- イソプロピル)ベンゼンなどが挙げら
れる。なかでも、ジクミルパーオキサイド、ジ-t- ブチ
ルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキシ-3,3,5- ト
リメチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。これら
の有機過酸化物は、1種または2種以上で使用され、高
級α- オレフィン系共重合体ゴム100gに対して0.
0003〜0.05モル、好ましくは0.001〜0.
03モルの範囲で使用されるが、要求される物性値に応
じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0081】加硫剤として有機過酸化物を使用するとき
は、加硫助剤を併用することが好ましい。加硫助剤とし
ては、具体的には、硫黄;p-キノンジオキシム等のキノ
ンジオキシム系化合物;ポリエチレングリコ−ルジメタ
クリレ−ト等のメタクリレ−ト系化合物;ジアリルフタ
レ−ト、トリアリルシアヌレ−ト等のアリル系化合物;
その他マレイミド系化合物;ジビニルベンゼンなどが挙
げられる。このような加硫助剤は、使用する有機過酸化
物1モルに対して0.5〜2モル、好ましくは約等モル
の量で用いられる。
【0082】また、本発明に係る防振ゴム成形体の製造
に当たっては、さらに金属活性化剤、オキシメチレン構
造を持つ化合物、スコ−チ防止剤などの加硫助剤を併用
するのが好ましい。金属活性化剤としては、具体的に
は、酸化マグネシウム、亜鉛華、炭酸亜鉛、高級脂肪酸
亜鉛、鉛丹、リサ−ジ、酸化カルシウムなどが挙げられ
る。これらの金属活性化剤は、高級α- オレフィン系共
重合体ゴム100重量部に対して3〜15重量部、好ま
しくは5〜10重量部の量で用いられる。
【0083】また、多様なゴム加工工程に対処するため
には、オキシメチレン構造を持つ化合物およびスコ−チ
防止剤を添加することが望ましい。本発明で用いられる
オキシメチレン構造を持つ化合物としては、具体的に
は、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリ
エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ポリプロ
ピレングリコ−ルなどが挙げられる。これらのオキシメ
チレン構造を持つ化合物は、高級α- オレフィン系共重
合体ゴム100重量部に対して0.1〜10重量部、好
ましくは1〜5重量部の量で用いられる。
【0084】スコ−チ防止剤としては、公知のスコ−チ
防止剤を用いることができ、具体的には、無水マレイン
酸、サリチル酸などを挙げることができる。これらのス
コ−チ防止剤は、高級α- オレフィン系共重合体ゴム1
00重量部に対して0.2〜5重量部、好ましくは0.
3〜3重量部の量で用いられる。本発明に係る防振ゴム
成形体は、ゴム用補強剤、充填剤、軟化剤、老化防止
剤、加工助剤などの添加剤を含有させると、防振ゴム成
形体としての性能がさらに向上する。これらの添加剤
は、高級α- オレフィン系共重合体ゴムに加硫前または
加硫後適宜混合すればよい。
【0085】これらの添加剤として、たとえば、SR
F、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、F
T、MT等のカ−ボンブラック、微粉ケイ酸等のゴム補
強剤、および軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウ
ム、タルク、クレ−、シリカ等のような充填剤を配合し
てもよい。これらのゴム補強剤および充填剤の種類およ
び配合量は、その用途により適宜選択できるが、配合量
は、通常高級α- オレフィン系共重合体ゴムの総量10
0重量部に対して最大300重量部、好ましくは、最大
200重量部である。
【0086】上記軟化剤としては、通常ゴムに使用され
る軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセス
オイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油ア
スファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コ−ルタ−
ル、コ−ルタ−ルピッチなどのコ−ルタ−ル系軟化剤;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系
軟化剤;ト−ル油;サブ;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラ
ノリンなどのロウ類;リシノ−ル酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリ
ン酸亜鉛などの脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂、アタ
クチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂などの
合成高分子物質を挙げることができる。中でも石油系軟
化剤が好ましく用いられ、特にプロセスオイルが好まし
く用いられる。これらの軟化剤の配合量は、加硫物の用
途により適宜選択できるが、その配合量は、通常、高級
α- オレフィン系共重合体ゴム100重量部に対して最
大150重量部、好ましくは最大100重量部である。
【0087】また、老化防止剤としては、通常ゴムに用
いられる老化防止剤を、高級α- オレフィン系共重合体
ゴム100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましく
は0.5〜3重量部の量で使用すればよい。また、加工
助剤としては、通常ゴムに使用される加工助剤を高級α
- オレフィン系共重合体ゴム100重量部に対して10
重量部以下、好ましくは1〜5重量部の量で使用すれば
よい。
【0088】また、本発明においては、防振ゴム成形体
用組成物中に、本発明の目的を損なわない範囲で、天然
ゴム、SBR、IR、BR等のジエン系ゴム、EPDM
等の他種のゴムを配合することもできる。本発明に係る
防振ゴム成形体は、たとえば、次のような方法でゴム配
合物を調製して成形することによって得られる。すなわ
ちバンバリ−ミキサ−のようなミキサ−類により高級α
- オレフィン系共重合体ゴム、補強剤、充填剤、軟化剤
などの必要な添加剤を80〜170℃の温度で3〜10
分間混練した後、オ−プンロ−ルのようなロ−ル類を使
用して、加硫剤、必要に応じて加硫促進剤または加硫助
剤を追加混合し、ロ−ル温度40〜80℃で5〜30分
間混練した後、分出し、リボン状またはシ−ト状の配合
ゴムを調製する。
【0089】このように調製された配合ゴムを、プレス
成形機、トランスファ−成形機、射出成形機などを用い
て成形と加硫を行ない、防振ゴム成形体を成形する。こ
のようにして得られた防振ゴム成形体は、一般に鉄と複
合して使用されることが多い。鉄と本発明に係る防振ゴ
ム成形体とを接着する必要がある場合、市販の接着剤を
用いても十分な接着力を得ることができる。このような
接着剤としては、ロ−ド・ファ−・イ−スト社のケムロ
ック 250,253、などが好適に用いられる。
【0090】以上のようにして製造された防振ゴム成形
体は、耐熱老化性に優れるとともに、耐動的疲労性(耐
屈曲疲労性)にも優れた性能を示す。
【0091】
【発明の効果】本発明に係る防振ゴム成形体は、特定の
高級α- オレフィンと特定のα,ω-ジエンと特定の非
共役ジエンとからなる共重合体ゴムの加硫物から構成さ
れているので、耐熱老化性に優れるとともに、耐動的疲
労性に優れ、寿命が長いという効果がある。
【0092】また、本発明に係る防振ゴム成形体の製造
方法によれば、上記のような効果を有する防振ゴム成形
体を得ることができる。以下、本発明を実施例により説
明するが、本発明は、これら実施例に限定されるもので
はない。
【0093】
【実施例1】 [固体チタン触媒成分(a)の調製]無水塩化マグネシ
ウム95.2g、デカン442mlおよび2- エチルヘ
キシルアルコ−ル390.6gを130℃で2時間加熱
反応を行なって均一溶液とした後、この溶液中に無水フ
タル酸21.3gを添加し、さらに130℃にて1時間
攪拌混合を行ない、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解
させた。このようにして得られた均一溶液を室温に冷却
した後、75mlを−20℃に保持した四塩化チタン2
00ml中に1時間にわたって全量滴下装入した。装入
終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇
温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレ−
ト5.22gを添加し、これより2時間同温度にて攪拌
下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過して固体部を
採取し、この固体部を275mlの四塩化チタンにて再
懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行な
った。反応終了後、再び熱濾過して固体部を採取し、1
10℃デカンおよびヘキサンにて、洗液中に遊離のチタ
ン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。以上の
操作によって調製したチタン触媒成分(a)はデカンス
ラリ−として保存したが、この内の一部を触媒組成を調
べる目的で乾燥した。このようにして得られた固体チタ
ン触媒成分(a)の組成はチタン2.5重量%、塩素6
5重量%、マグネシウム19重量%およびジイソブチル
フタレ−ト13.5重量%であった。 [重 合]攪拌翼を備えた4リットルのガラス製重合
器を用いて、連続的に、オクテン-1と1,5- ヘキサ
ジエンと7- メチル-1,6-オクタジエンとの共重合反
応を行なった。
【0094】すなわち、重合器上部からオクテン- 1、
1,5- ヘキサジエンおよび7- メチル-1,6-オクタ
ジエンのヘキサン溶液を重合器内でのオクテン- 1濃度
が200g/リットル、1,5- ヘキサジエン濃度が3
9g/リットル、7- メチル-1,6-オクタジエン濃度
が10g/リットルとなるように、毎時2.1リット
ル、触媒として固体チタン触媒成分(a)のヘキサンス
ラリ-溶液を重合器内でのチタン濃度が0.045ミリ
モル/リットルとなるように、毎時0.4リットル、ト
リイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液を重合器内で
のアルミニウム濃度が8ミリモル/リットルとなるよう
に、毎時1リットル、トリメチルメトキシシランのヘキ
サン溶液を重合器内でのシラン濃度が2.6ミリモル/
リットルとなるように毎時0.5リットルの速度でそれ
ぞれ重合器中に、連続的に供給した。一方、重合器下部
から重合器中の重合溶液が常に2リットルとなるように
連続的に抜きだした。また、重合器上部から、水素を毎
時1リットル、窒素を毎時50リットルで供給した。共
重合反応は、重合器外部に取り付けたジャケットに温水
を循環させることによって50℃で行なった。
【0095】次いで、重合器下部から抜きだした重合溶
液に、メタノ−ルを少量添加して共重合反応を停止さ
せ、この重合溶液を大量のメタノール中に投入して共重
合体を析出させた。共重合体をメタノールで十分洗浄し
た後、140℃で一昼夜減圧乾燥してオクテン- 1・
1,5- ヘキサジエン・7- メチル-1,6-オクタジエ
ン共重合体が毎時90gの速度で得られた。
【0096】得られた共重合体を構成するオクテン- 1
と1,5- ヘキサジエンとのモル比(オクテン- 1/
1,5- ヘキサジエン)は68/32であり、ヨウ素価
は7.7であった。135℃デカリン中で測定した極限
粘度[η]は4.8dl/gであった。上記の重合条件
を第1表に示す。
【0097】
【表1】
【0098】[加硫ゴムの製造]高級α- オレフィン系
共重合体ゴムとして上記方法にて製造されたオクテン-
1・1,5- ヘキサジエン・7- メチル- 1,6- オク
タジエン共重合体(1−a)を第2表に従い配合し、未
加硫の配合ゴムを得た。配合に際して、上記の共重合体
(1−a)、亜鉛華、ステアリン酸、およびFEFカ−
ボンを4.3リットル容量のバンバリ−ミキサ−
[(株)神戸製鋼所製]で6分間混練した後、室温下で
1日放置した。
【0099】このようにして得られた混練物に、加硫促
進剤と硫黄とを加えてオ−プンロ−ル(前ロ−ル/後ロ
−ル:50/60℃、16/18rpm)で混練し配合
ゴムを得た。
【0100】
【表2】
【0101】上記のようにして得られた配合ゴムを16
0℃に加熱されたプレスにより20分間加熱し加硫シ−
トを作製し、下記の試験を行なった。試験項目は以下の
通りである。 (試験項目)屈曲試験、接着試験 (試験方法)屈曲試験は、JIS K 6301に従っ
て、デマッチャ−試験機で亀裂成長に対する抵抗性を調
べた。すなわち、亀裂が15mmになるまでの屈曲回数
を測定し、耐動的疲労性の指標とした。また、120℃
で70時間空気加熱老化した試験片についても同様に屈
曲試験を行なった。
【0102】接着試験は、ASTM D 429のA法に
従って、金属との接着性試験を行なった。なお接着剤と
してケムロック 253[ロ−ド・ファ−・イ−スト
(株)製]を用いた。結果を第3表に示す。
【0103】
【実施例2】実施例1において、共重合体(1−a)の
代わりに、上記第1表に示すように、高級α- オレフィ
ンおよび重合条件を変えて実施例1と同様にして共重合
を行なって得たヘキセン- 1・1,5- ヘキサジエン・
7- メチル- 1,6- オクタジエン共重合体(1−b)
を用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0104】結果を第3表に示す。
【0105】
【実施例3】実施例1において、共重合体(1−a)の
代わりに、上記第1表に示すように、高級α- オレフィ
ンおよび重合条件を変えて実施例1と同様にして共重合
を行なって得たデセン- 1・1,6- ヘプタジエン・7
- メチル- 1,6- オクタジエン共重合体(1−c)を
用いた以外は、実施例1と同様に行なった。
【0106】結果を第3表に示す。
【0107】
【比較例1】天然ゴム(RSS No.3)を14イン
チオ−プンロ−ルで素練りし、ム−ニ−粘度[ML1+4
(100℃)]を60とした。この素練りした天然ゴム
を第4表に従って配合し、オ−プンロ−ルで混練して未
加硫の配合ゴムを得た。次いで、この配合ゴムを140
℃に加熱されたプレスにより60分間加熱して加硫シ−
トを作製し、実施例1と同様に行なった。
【0108】結果を第3表に示す。
【0109】
【比較例2】実施例1において、共重合体(1−a)の
代わりに、エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン
/プロピレン)が75/25であり、ヨウ素価が10で
あり、ム−ニ−粘度[ML1+4 (100℃)]が70で
あるエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボ
ルネン共重合体を用い、第5表に示す配合に変更した以
外は、実施例1と同様に行なった。
【0110】結果を第3表に示す。
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における高級α- オレフィン共
重合体ゴムの製造の際に用いられるオレフィン重合用触
媒の調製工程を示すフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川 崎 雅 昭 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 高 田 敏 正 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 210/14 C08F 236/20 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素原子数6〜20の高級α- オレフィ
    ン、下記一般式[I]で表わされるα,ω- ジエン、お
    よび下記一般式[II]で表わされる非共役ジエンから
    構成され、かつ、 高級α- オレフィンとα,ω- ジエンとのモル比[高級
    α- オレフィン/α,ω- ジエン]が95/5〜50/
    50であり、 非共役ジエン(前記α,ω- ジエンを除く)含量が0.
    01〜30モル%であり、 135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が
    1.0〜10.0dl/gの範囲内にある高級α- オレ
    フィン系共重合体ゴムの加硫物からなることを特徴とす
    る防振ゴム成形体; 【化1】 [式中、nは1〜3の整数であり、R1 およびR2 は、
    それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜8のア
    ルキル基を表わす]、 【化2】 [式中、nは1〜5の整数であり、R3 は炭素原子数1
    〜4のアルキル基を表わし、R4 およびR5 は、水素原
    子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表わし、R4
    およびR5 がともに水素原子であることはない]。
  2. 【請求項2】炭素原子数6〜20の高級α- オレフィ
    ン、下記一般式[I]で表わされるα,ω- ジエン、お
    よび下記一般式[II]で表わされる非共役ジエンから
    構成され、かつ、 高級α- オレフィンとα,ω- ジエンとのモル比[高級
    α- オレフィン/α,ω- ジエン]が95/5〜50/
    50であり、 非共役ジエン(前記α,ω- ジエンを除く)含量が0.
    01〜30モル%であり、 135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が
    1.0〜10.0dl/gの範囲内にある高級α- オレ
    フィン系共重合体ゴムを成形して加硫を行なうことを特
    徴とする防振ゴム成形体の製造方法; 【化3】 [式中、nは1〜3の整数であり、R1 およびR2 は、
    それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜8のア
    ルキル基を表わす]、 【化4】 [式中、nは1〜5の整数であり、R3 は炭素原子数1
    〜4のアルキル基を表わし、R4 およびR5 は、水素原
    子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表わし、R4
    およびR5 がともに水素原子であることはない]。
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