JP2734670B2 - 1,3―ジクロロ―1,1,2,2,3―ペンタフルオロプロパンの製造方法 - Google Patents

1,3―ジクロロ―1,1,2,2,3―ペンタフルオロプロパンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロ
プロパン(R225cb)の製造方法に関するものである。含
水素クロロフルオロプロパン類は従来から用いられてき
たフロン類と同様に発泡剤、冷媒、洗浄剤等の用途が期
待される。
[従来の技術及び問題点] 1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン
(R225cb)の製造方法としては、従来塩化アルミニウム
の存在下にテトラフルオロエチレンにジクロロフルオロ
メタンを付加させて合成する方法が知られている。しか
し、この方法は目的生成物と同時に目的生成物と沸点が
近く蒸留等通常の方法では分離困難な反応副生物を生成
するため純度の高い製品を得るには多段の精製工程が必
要であるという欠点を有している。
[問題点を解決するための手段] 本発明者は1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオ
ロプロパンの効率的製造法について鋭意検討を行なった
結果、テトラフルオロエチレンに四塩化炭素(R10)を
付加せしめて1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプ
ロパン(R214cb)を生成せしめた後、これをフッ素化し
て1,1,3−トリクロロペンタフルオロプロパン(R215c
b)を生成せしめ、次いでこれを還元することにより、
高収率で1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプ
ロパン(R225cb)が得られることを見いだし本発明を提
供するに至ったものである。
以下本発明の詳細について実施例とともに説明する。
すなわちルイス酸触媒の存在下、不活性な溶媒中もし
くは無溶媒でテトラフルオロエチレンに四塩化炭素(R1
0)を付加反応させると、下式に示すように1,1,1,3−テ
トラクロロテトラフルオロプロパン(R214cb) CF2=CF2+CCl4 ルイス酸触媒 →CClF2CF2CCl3 が高収率で得られる。本反応に用いるルイス酸触媒とし
ては、B,Al,Ga,In,Fe,Ni,Co,Sb,Nb,Sn,Ti,Zr,WおよびTa
からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含むハ
ロゲン化物、例えばBF3,AlCl3,GaCl3,InCl3,FeCl3,NiCl
2,CoCl2,SbF5,NbCl5,SnCl2,TiCl4,ZrCl4,WCl6,TaCl5
が使用可能である。また反応はパーフルオロオクタンや
パーフルオロブチルテトラヒドロフランなどの不活性な
溶媒が好適であるが、精製を容易にするために通常は無
溶媒で行なうのが特に好ましい。
触媒量は原料に対して通常0.01〜50重量%、好ましく
は0.1〜10重量%用いる。反応温度は通常−40〜200℃、
好ましくは20〜100℃の温度範囲で行なわれ、反応圧は
0〜20kg/cm2Gが適当であり、特には0〜10kg/cm2Gが好
ましい。
本反応によって得られた1,1,1,3−テトラクロロテト
ラフルオロプロパン(R214cb)のフッ素化は触媒の存在
下気相あるいは液相でフッ化水素を用いることにより行
なうことができる。気相系で用いる触媒としてはAl,Cr,
Mg,Ca,Ba,Sr,Fe,Ni,CoおよびMnからなる群から選ばれる
少なくとも1種の元素を含むハロゲン化物または酸化物
が使用可能である。触媒の調製法としては、上記の元素
から選ばれる少なくとも1種の元素を含むハロゲン化物
または酸化物を均質に分散できる方法であればいずれの
方法でも採用可能である。例えば、共沈法、混練法が挙
げられる。特に好ましくは、上記の金属元素の塩の水溶
液から水和物を共沈させる方法、あるいは水酸化物のケ
ーキを、ボールミル、ホモジナイザーなどで混練、摩砕
する方法である。水酸化物は、硝酸塩、硫酸塩などの無
機塩類の水溶液からアンモニア水、尿素などを用いて沈
澱させたもの、有機塩類の加水分解により調製したもの
などいずれも採用できる。
水和物の状態にある触媒は、120〜150℃で乾燥した後
通常300〜600℃、好ましくは350〜450℃で焼成するのが
好ましい。
本発明においては触媒の活性化を施すのが望ましく、
通常、100〜450℃で、好ましくは200〜350℃でフッ素化
処理を施すことにより目的を達成できる。また、フッ素
化反応系内で活性化しても良いし、フッ素化炭化水素と
の加熱処理によっても行ない得る。反応は気相中常圧も
しくは加圧下で、150℃〜550℃、特に好ましくは、250
℃〜450℃の温度範囲で行なうことが適当である。フッ
化水素と出発原料の割合は大幅に変動させ得る。しかし
ながら、通常、化学量論量のフッ化水素を使用して塩素
原子を置換する。出発物質の全モル数に対して、化学量
論量よりかなり多い量、例えば4倍モルまたはそれ以上
のフッ化水素を使用し得る。
接触時間は、通常0.1〜300秒、特に好ましくは5〜30
秒である。
液相系で用いる触媒としてはSb,Nb,Ta,Sn等のハロゲ
ン化物、例えば、SbF5,SbCl5,SbCl2F3,NbCl5,NbF5,Ta
F5,TaCl5,SnCl4等よりなるフッ素化触媒が使用可能であ
る。
フッ素化反応は液相中常圧もしくは加圧下で、0〜20
0℃、特に好ましくは常温〜150℃の温度範囲で行なうこ
とが適当である。本発明において反応は通常無溶媒で行
うが、溶媒を用いてもよく、この場合に用いられる溶媒
は、原料であるプロパン類を溶かし込み、さらに溶媒自
身が原料よりフッ素化されにくいものであれば特に限定
されない。また反応圧は通常0〜10kg/cm2Gで行うのが
適当でる。反応圧は溶媒を用いる場合は溶媒の種類等に
よっても異なる。
フッ化水素は反応前にあらかじめ仕込んでおいてもか
まわないが、反応時液相へ吹き込む方が好適である。
本反応によって得られた1,1,3−トリクロロペンタフ
ルオロプロパン(R215ca)の還元は光照射下に行う方
法、亜鉛を用いて行う方法、触媒の存在下水素を用いて
行う方法など種々の還元方法を用いて行うことができ
る。
還元を光照射下に行なう場合においてプロトン源とし
て用いる化合物としては、水素原子が結合した有機化合
物であれば特に限定されないが、例えばメタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール、sec−ブチルアル
コールなどのアルコール類、ヘキサン、ヘプタンなどの
アルカン類、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物が
好ましく、なかでもイソプロピルアルコールなどの二級
アルコールが特に好ましい。またこれ等の混合溶媒も使
用可能である。
本発明で用いる光源としては400nm以下の波長の光を
発生するものであれば特に限定されないが、例えば、高
圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯等が好ましい。
反応は通常−80〜100℃、好ましくは0〜40℃の温度
範囲で行われる。また圧力も特に限定されないが通常0
〜10kg/cm2G、好ましくは0〜20kg/cm2Gの圧力範囲で行
うのが良い。
亜鉛を用いて還元する際に用いる溶媒としては、特に
限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロピ
ルアルコールなどのアルコール類、酢酸や蟻酸などの有
機酸、テトラヒドロフランなどのエーテル類や水さらに
はこれらの混合物を用いることが好ましく、なかでもメ
タノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの
アルコール類を使用するのが好適である。亜鉛としては
粉末、顆粒、削り片等いずれの形状のものでも使用でき
るが、亜鉛粉末を用いるのが最も好ましい。また使用前
に特別な活性化処理などを施す必要はない。使用する亜
鉛の量は特に限定されるものではないが通常出発原料に
対して等モル以上用いるのが好ましい。反応は通常、常
温〜150℃、好ましくは50〜80℃の温度範囲で行われ
る。また圧力も特に限定されないが通常0〜10kg/cm
2G、好ましくは0〜3kg/cm2Gの圧力範囲で行うのが良
い。
還元を触媒の存在下水素を用いて行う場合、液相、気
相いずれの系も取り得る。還元触媒としては白金、パラ
ジウム、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒、ニッ
ケルなどの非金属触媒いずれも使用可能であるが、なか
でも貴金属触媒を使用するのが特に好ましい。還元触媒
の担体としては、例えば、アルミナ、活性炭等が好適で
ある。担持方法は、従来の貴金属触媒の調製法が適用可
能である。なお、使用に当たってはあらかじめ触媒の還
元処理を施しておくことが安定した特性を得る上で好ま
しい。かかる金属の化合物は少なくとも一部還元する。
水素と原料の割合は大幅に変動させ得る。通常、化学
量論量の水素を使用してハロゲン原子を除去するが、原
料をほぼ完全に反応させるために出発物質の全モル数に
対して化学量論量よりかなり多い量、例えば4倍モルま
たはそれ以上の水素を使用してもよい。
反応温度は、気相反応においては100〜350℃が適当で
あり特には100〜200℃が好ましい。接触時間は通常0.1
〜300秒、特には2〜60秒が好ましい。液相で反応を行
なう場合において用いる溶媒としてはエタノール、イソ
プロピルアルコール等のアルコール類、酢酸、ピリジン
等が挙げられるが、無溶媒で行なうことも可能である。
液相反応での反応温度は常温〜150℃が好ましく、また
反応圧力は常圧〜10kg/cm2Gが好ましい。
以上の如く、本発明はテトラフルオロエチレンに四塩
化炭素を付加せしめて1,1,1,3−テトラクロロテトラフ
ルオロプロパン(R214cb)を生成せしめた後、これをフ
ッ素化して1,1,3−トリクロロペンタフルオロプロパン
(R225ca)を生成せしめ、次いでこれを還元することに
より、高収率で1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフル
オロプロパン(R225cb)を製造する方法を提供するもの
である。
[実施例] 以下、本発明の実施例を示す。
調製例1 1200gのCr(NO3・9H2Oと100gのMg(NO3・6H2
Oを2.5リットルの水に溶解し、これと28%の水酸化アン
モニウムの水溶液2000gを撹拌しながら、加熱した4リ
ットルの水に添加して水酸化物の沈殿を得た。これを濾
別し、純水による洗浄、および乾燥を行なった後、450
℃で5時間焼成して酸化物の粉末を得た。これを打錠成
型機を用いて直径5mm、高さ5mmの円筒状に成型した。こ
うして得た触媒を反応前にフッ化水素/窒素の混合ガス
気流中、200〜400℃でフッ素化して活性化した。
調製例2 1100gの特級試薬Al(NO3・9H2O、125gのCr(N
O3・9H2Oと40gのMg(NO3・6H2Oを2.5リットル
の水に溶解し、これと28%の水酸化アンモニウムの水溶
液2000gを撹拌しながら、加熱した4リットルの水に添
加して水酸化物の沈殿を得た。これを濾別し、純水によ
る洗浄、および乾燥を行なった後、450℃で5時間焼成
して酸化物の粉末を得た。これを打錠成型機を用いて直
径5mm、高さ5mmの円筒状に成型した。こうして得た触媒
を反応前にフッ化水素/窒素の混合ガス気流中、200〜4
00℃でフッ素化して活性化した。
実施例1 10のハステロイC製オートクレーブに無水塩化アル
ミニウム,0.5kg(3.7mol)を加えて減圧脱気した後、R1
0(CCl4)9kg(58.5mol)を加えた。オートクレーブを6
5℃に加温した後、反応温度を65〜80℃に保ちながらテ
トラフルオロエチレンを加え続けた。テトラフルオロエ
チレンを3kg(30mol)加えた後さらに1時間撹拌を続け
反応液を濾別し、反応粗液を蒸留精製することにより、
R214cb(1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパ
ン)が6.5kg得られた(収率86%)。次に内径2.54cm、
長さ100cmのインコネル600製U字型反応管をフッ素化反
応器とし、調製例1で示したように調製したフッ素化触
媒を200ml充填した。反応器を280℃に加熱しガス化させ
たR214cdを240ml/分、フッ化水素を360ml/分で供給し、
反応を進めた。反応粗ガスをアルカリ水層に通して粗液
6.0kgを回収しこれを蒸留精製することによりR215ca
(1,1,3−トリクロロペンタフルオロプロパン)を5.1kg
(収率83%)得た。次いで内径2.54cm、長さ100cmのイ
ンコネル600製U字型反応管に活性炭担持の白金触媒
(担持率0.5%)100mlを充填して還元反応器とし、反応
器を170℃に保持した。これにガス化させたR215caを96m
l/分、水素ガスを144ml/分で供給し、反応を進めた。酸
分を除去した後−78℃に冷却したトラップに反応粗液4.
1kgを回収しガスクロ及び19F−NMRを用いて分析した。
結果を第1表に示す。
反応粗液を蒸留精製することにより、R225cb(3,3−
ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン)が3.0
kg得られた(収率69%) 実施例2 10のハステロイC製オートクレーブに無水塩化アル
ミニウム,0.5kg(3.7mol)を加えて減圧脱気した後、R1
0(CCl4)9kg(58.5mol)を加えた。オートクレーブを6
5℃に加温した後、反応温度を65〜80℃に保ちながらテ
トラフルオロエチレンを加え続けた。テトラフルオロエ
チレンを3kg(30mol)加えた後さらに1時間撹拌を続け
反応液を濾別し、反応粗液を蒸留精製することにより、
R214cb(1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパ
ン)が6.5kg得られた(収率85%)。次に内径2.5cm、長
さ100cmのインコネル600製U字型反応管をフッ素化反応
器とし、調製例2で示したように調製したフッ素化触媒
を200ml充填した。反応器を320℃に加熱しガス化させた
R214cbを240ml/分、フッ化水素を360ml/分で供給し、反
応を進めた。反応粗ガスをアルカリ水層に通して粗液5.
2kgを回収しこれを蒸留精製することによりR215ca(1,
1,3−トリクロロペンタフルオロプロパン)を4.9kg(収
率80%)得た。次いで内径2.54cm、長さ100cmのインコ
ネル600製U字型反応管に活性炭担持の白金触媒(担持
率0.5%)100mlを充填して還元反応器とし、反応器を17
0℃に保持した。これにガス化させたR215caを96ml/分、
水素ガスを144ml/分で供給し、反応を進めた。酸分を除
去した後−78℃に冷却したトラップに反応粗液3.9kgを
回収しガスクロ及び19F−NMRを用いて分析した。結果を
第2表に示す。
反応粗液を蒸留精製することにより、R225cb(3,3−
ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン)が2.9
kg得られた(収率69%) 実施例3 10のハステロイC製オートクレーブに無水塩化アル
ミニウム,0.5kg(3.7mol)を加えて減圧脱気した後、R1
0(CCl4)9kg(58.5mol)を加えた。オートクレーブを6
5℃に加温した後、反応温度を65〜80℃に保ちながらテ
トラフルオロエチレンを加え続けた。テトラフルオロエ
チレンを3kg(30mol)加えた後さらに1時間撹拌を続け
反応液を濾別し、反応粗液を蒸留精製することにより、
R214cb(1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパ
ン)が6.5kg得られた(収率85%)。次に内径2.54cm、
長さ100cmのインコネル600製U字型反応管をフッ素化反
応器とし、調製例1で示したように調製したフッ素化触
媒を200ml充填した。反応器を280℃に加熱しガス化させ
たR214cbを240ml/分、フッ化水素を360ml/分で供給し、
反応を進めた。反応粗ガスをアルカリ水層に通して粗液
6.0kgを回収しこれを蒸留精製することによりR215ca
(1,1,3−トリクロロペンタフルオロプロパン)を5.1kg
(収率83%)得た。次いで、光化学反応装置(英光社製
EHB−W1F−500型)にイソプロパノール800ml,R215ca400
gを仕込み反応溶液を10℃に冷却しながら高圧水銀灯を1
0時間照射した。水洗後、有機層を回収しガスクロ及び
19F−NMRを用いて分析した。結果を第3表に示す。
反応粗液を蒸留精製することにより、R225cb(3,3−
ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン)が210
g得られた(収率62%) [発明の効果] 本発明は、実施例に示した如く、従来高純度品の入手
が困難であった1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフル
オロプロパン(R225cb)を高収率で製造し得るという効
果を有する。
フロントページの続き (72)発明者 田沼 敏弘 神奈川県横浜市港南区港南2―24―31

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テトラフルオロエチレンに四塩化炭素を付
    加せしめて1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロ
    パンを生成せしめた後、これをフッ素化して1,1,3−ト
    リクロロペンタフルオロプロパンを生成せしめ、次いで
    これを還元することを特徴とする1,3−ジクロロ−1,1,
    2,2,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法。
JP21755489A 1989-07-21 1989-08-25 1,3―ジクロロ―1,1,2,2,3―ペンタフルオロプロパンの製造方法 Expired - Fee Related JP2734670B2 (ja)

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