JP2734452B2 - 寝装資材およびその製造方法 - Google Patents

寝装資材およびその製造方法

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JP2734452B2
JP2734452B2 JP9000185A JP18597A JP2734452B2 JP 2734452 B2 JP2734452 B2 JP 2734452B2 JP 9000185 A JP9000185 A JP 9000185A JP 18597 A JP18597 A JP 18597A JP 2734452 B2 JP2734452 B2 JP 2734452B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、寝装資材とその製
造方法に関する。
【0002】さらに詳しくは、緯糸および経糸の特殊な
糸使いにて高密度に織られた平織物からなり、その構造
的特徴から、綿抜け防止、塵やダニの侵入防止等の、い
わゆるアメニティ効果(快適さ効果)を持つことのでき
る、布団側地や布団カバー等に最適な寝装資材とその製
造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、高密度織物用の素材として、綿の
高級番手糸が実用に供せられていたが、かかる高級番手
糸は、一般に高価であることや、製品については地厚感
がある等の欠点を有するものであった。
【0004】そこで、高密度織物用の素材として、合成
繊維の長繊維糸(フィラメント糸)の製糸技術の開発が
行なわれてきており、極細のフィラメント糸を用いるこ
と等が検討され出してきているが、風合がペーパーライ
クであることや、光沢等の表面品位に欠けるという問題
があり、実用化はされていないのが現状である。
【0005】すなわち、例えば、風合、光沢等の問題を
少しでも改善せんとして、特開昭57−117647号
公報、特開昭58−76569号公報等では、横断面形
状で特定形状をもつフィブリル化型複合フィラメント糸
を用いて特別な薬剤処理を施すことにより、フィブリル
化させる方法等が提案されているが、特別な薬剤処理を
行う必要があるなどの点からコスト面や設備面等で実際
的でなかった。
【0006】一方で、近年、布団側地などに高密度に織
られた織物生地等を使うことにより、綿抜け防止、塵・
ダニの侵入防止効果等を奏する寝装資材についての検討
がなされてきており、近年の健康・快適さ指向に伴い、
綿抜け防止、塵やダニの侵入防止等の、いわゆるアメニ
ティ効果(快適さ効果)を持つことのできる寝装資材の
実現が要望されるようになってきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
したような点に鑑み、フィブリル化型複合フィラメント
糸を少なくとも用いて高密度織物を構成し、該高密度織
物の構造に基づいて、綿抜け防止、塵やダニの侵入防止
等の、いわゆるアメニティ効果(快適さ効果)を良好に
保有することのできる布団側地や布団カバーに最適な寝
装資材を提供すること、具体的には、そのような寝装資
材と該寝装資材の製造方法を提供することを目的とする
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
本発明の寝装資材は、ポリエステル成分とポリアミド成
分が0.05〜0.95:0.95〜0.05の接合比
率でかつ少なくとも繊維断面中心から2方向に放射状に
延びた形状の一方の成分と他方の成分とが接合されてな
るフィブリル化型複合繊維フィラメント糸がそれぞれの
成分に分割されて単繊維デニールが0.5デニール以下
のフィラメントを含む緯糸を構成しており、経糸には、
該フィブリル化型複合繊維フィラメント糸がフィブリル
化された後の単繊維デニールよりも大きい単繊維デニー
ルを持つマルチフィラメント糸が用いられて平組織で製
織されている高密度織物からなることを特徴とする寝装
資材である。
【0009】また、本発明の寝装資材の寝装資材の製造
方法は、ポリエステル成分とポリアミド成分が0.05
〜0.95:0.95〜0.05の接合比率でかつ少な
くとも2方向に放射状に延びた形状の一方の成分と他方
の成分とが接合されてなるフィブリル化型複合繊維フィ
ラメント糸を緯糸に用い、かつ、経糸には該フィブリル
化型複合繊維がフィブリル化された後の単繊維デニール
よりも大きい単繊維デニールを持つマルチフィラメント
糸を用いて、平織物を織成した後、前記フィブリル化型
複合繊維フィラメント緯糸のフィブリル化を行うことを
特徴とする寝装資材の製造方法である。
【0010】上述した本発明の寝装資材、または寝装資
材の製造方法において、その具体的に好ましい態様とし
ては、フィブリル化型複合繊維フィラメント糸として嵩
高加工フィラメント糸を用いることである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、さらに詳しく本発明につい
て説明する。
【0012】本発明の寝装資材は、緯糸として、ポリエ
ステル成分とポリアミド成分が0.05〜0.95:
0.95〜0.05の接合比率でかつ少なくとも繊維断
面中心から2方向に放射状に延びた形状の一方の成分と
他方の成分とが接合されてなるフィブリル化型複合繊維
フィラメント糸がそれぞれの成分に分割されて単繊維デ
ニールが0.5デニール以下のフィラメントを含む糸が
用いられ、一方、経糸には、該フィブリル化型複合繊維
フィラメント緯糸がフィブリル化された後の単繊維デニ
ールよりも大きい単繊維デニールを持つフィラメントを
構成繊維とした合成繊維マルチフィラメント糸が用いら
れ、かかる糸使いで平組織で製織をされている高密度織
物からなるものである。
【0013】本発明においては、該高密度の織地構造に
より、綿抜けを良好に防止し得て、また、害虫の忌避剤
等を特別に用いなくてもダニ等の害虫の侵入をシャット
アウトでき、上述した目的が達成できることとなる。
【0014】特に、高密度な織物を得るために、例え
ば、緯糸として用いられるフィブリル化型複合繊維中の
ポリエステル成分とポリアミド成分は、沸騰水中での急
激熱処理により、収縮差が10%以上生じる高収縮成分
と低収縮成分とをそれぞれ構成している糸を用いること
が望ましい。そして、特に好ましくは、高収縮成分はポ
リエステルからなり、低収縮成分はポリアミドからなる
ことである。
【0015】また、低収縮成分のフィブリル化(複合繊
維中の各成分への分割)後の単繊維デニ―ルは0.5d
以下であることが好ましく、いずれにしろ、フィブリル
化型複合繊維フィラメント糸がそれぞれの成分に分割さ
れて後は、単繊維デニールが0.5デニール以下のフィ
ラメントを含む緯糸であることが高密度織物を実現する
上で重要である。また、後述する如く、経糸には、前述
の緯糸フィラメント糸がフィブリル化された後の単繊維
デニールよりも大きい単繊維デニールを持つマルチフィ
ラメント糸が用いられることが重要である。
【0016】フィブリル化型複合フイラメント糸は、通
常の合成繊維と同様、延伸加工や延伸撚糸加工を施され
て糸として製造されるものであるが、該糸は、さらに嵩
高加工が施されていることが得られる織物風合いをより
良好にするため好ましい。
【0017】例えば、該嵩高加工としては、ループやコ
イルを有する仮撚加工糸を得ることができる仮撚捲縮加
工や、ループヤーン等を得ることができる流体処理加工
による嵩高加工が好ましい。
【0018】上述したようなフィブリル化型複合繊維を
得るための好ましい製造方法は、例えば、紡糸速度25
00m/分以上で高速紡糸したTg 温度(ガラス転移温
度)が異なるポリマーにより構成された高配向フィブリ
ル化型複合フィラメント未延伸糸または不完全延伸糸
を、Tg 温度の高い側のポリマーのTg 温度以下、Tg
温度の低い側のポリマーのTg 温度以上の温度で延伸を
行なうこと等である。
【0019】上述の製造方法において、延伸中に仮撚加
工を行なったり、また、延伸仮ヨリ加工後、空気処理に
よってループヤーンとすることもできる。特に、上述し
たフィブリル化型複合繊維について詳しく説明すると、
沸騰水中での急激熱処理とは、沸騰水中に繊維を瞬時に
入れて処理することを意味し、沸騰水に浸漬する前に湯
気などに当てながら徐々に昇温して処理する場合とは相
違する概念である。なお、沸騰水に代えて乾熱の処理を
施してもかまわないが、処理効果は若干小さくなる方向
である。急激熱処理による高収縮成分と低収縮成分の収
縮差が、例えば10%以下等の場合では、フィブリル化
が生じにくいので、収縮差は大きいほど好ましいと言
え、特に嵩高加工がフィブリル化糸に施されていること
によって、フィブリル化後の嵩高化になお一層の効果が
生じる。なお、収縮差の程度を調べる方法としては、両
成分を分解し、残留伸度または繊度増加率の測定によっ
て知ることができる。このような繊維において、複合繊
維を構成する高収縮成分と低収縮成分の組合せとして
は、ポリエステルとポリアミド、ポリブチレンテレフタ
レートとポリアミド、イソフタール酸共重合等の高収縮
型ポリエステルとポリアミド等の組合せが好ましく用い
られる。
【0020】ポリエステル成分とポリアミド成分との接
合比率は、0.05〜0.95の範囲内とすることが必
要であり、両者成分の性質の差によって容易にフィブリ
ル化をなし得る横断面形状のものとすることが重要であ
り、具体的には、少なくとも2方向に放射状に延びた形
状の一方の成分と他方の成分とからなり、該セグメント
間を接合するセグメントから構成されるものを用いるこ
とが肝要である。
【0021】このモデル構造例を第1図に示す。第1図
(イ)〜(ニ)は、本発明に用いられるフィブリル化型
複合繊維の構造態様の4例を示したモデル横断面図であ
り、第2図(イ)〜(ニ)は、第1図における本発明に
用いられるフィブリル化型複合繊維のフィブリル化後の
構造態様の4例を示したモデル横断面図であり、Aは高
収縮成分たるポリエステル成分、Bは低収縮成分たるポ
リアミド成分である。
【0022】成分Aと成分Bの配置が逆転してもかまわ
ないが、収縮差効果が小さくなる場合がある。フィブリ
ル化後の低収縮成分等の少なくとも一成分の単繊維デニ
ールは、0.5d以下であることが好ましく、0.1d
以下であることがさらに好ましい。このような極細フィ
ラメント糸とすることによって、ピーチスキンタッチの
ソフトなスパンライク風合の複合嵩高糸を得ることがで
きる。
【0023】嵩高加工を施す場合、該加工としては、前
述のような仮撚捲縮加工あるいは流体乱流処理加工が施
されていることである。よりストレッチ性を出そうとす
るのならば、後者が適している。なお、より若干の「ふ
くらみ」感を出そうとするのならば、インターレースの
交絡処理加工を施すことも良いものである。
【0024】上述した如き、フィブリル化型複合繊維の
製造方法の例について説明すると、まず、紡糸速度25
00m/分以上で高速紡糸した高配向フィブリル型複合
フィラメント未延伸糸または不完全延伸糸を使用する。
紡糸速度は複合成分の組合せによって異なるが、例えば
ポリエステルとポリアミドの場合では、2500m/分
以下になると、ポリアミド成分の膨潤による巻取り不良
が起こりやすく、また、8000m/分以上の超高速紡
糸では、ポリエステル成分の収縮不足が起こりやすくな
るので、製糸条件に留意を要する。なお、未延伸糸また
は不完全延伸糸とは、それぞれ合繊業界で、通常、U
Y、POYと呼ばれている原糸である。
【0025】延伸温度は、たとえばガラス転移点Tg 温
度が室温以下のポリアミドとTg 温度が70〜90℃の
ポリエステルを組合せた場合は、70℃前後とすること
が最適であり、90℃以上になると、高収縮成分のポリ
エステルの収縮率が低下するので好ましくない。一方、
室温に近くなると、ポリアミドのセット効果が低くなる
ので室温の変化を受けやすくなり、一定レベル以上の収
縮差を得るためには好ましくない。上述の延伸温度は、
仮撚加工を延伸と同時に行なう場合の仮撚熱セット温度
を兼ねることができる。延伸倍率は、ポリエステルを高
収縮化させるためには、高いほど好ましく、これも紡糸
速度によって異なるが、例えば3500m/分の紡速糸
では1.8〜2.0倍の延伸倍率が適している。延伸倍
率が低くなるほどフィブリル化の効果は小さい。かかる
延伸倍率は、仮撚加工を同時に行なう場合にも適用され
得、そして上述の延伸倍率は、通常の延伸中仮撚加工で
実施される倍率に相当のものである。なお、仮撚加工に
おける仮撚数は、通常の延伸仮撚加工で実施される仮撚
数、例えば75デニールであれば3300〜3600T
/mが適している。仮撚加工以外の嵩高加工方法とし
て、空気処理を行なうことによって実施することができ
る。例えば、空気処理前に紡糸速度2500m/分以上
で高速紡糸した高配向フィブリル化型複合フィラメント
未延伸糸または不完全延伸糸を、Tg 温度の高い側ポリ
マーのTg 温度以下、Tg 温度の低い側ポリマーのTg
温度以上のセット温度でいったん延伸加工を行ない、そ
の後、流体乱流処理あるいはインターレースの交絡処理
を施し、環やたるみを有するいわゆる“タスラン”糸あ
るいは交絡糸と呼ばれる嵩高加工を行なうことができ
る。流体乱流処理を行う場合は、いわゆる“タスラン”
型のノズルであって、乱流圧力は通常使用される3〜8
kg/cm2 の条件で処理することが好適である。かか
る複合繊維は、上述の如く、フィラメント糸の状態で嵩
高加工を施し、嵩高糸となし、これを織物に使用すれ
ば、織物表面に突出している無数のコイルやループによ
ってソフトな風合を有するスパンライクな高密度織物と
することができ、また、風合は嵩高性に富み、ドレープ
性、張り・腰感、やわらかさがあって、織物表面がスパ
ンタッチで、しかもフィブリル化型複合繊維はフィブリ
ル化後、一般に単繊維デニールが0.5デニール以下と
なるので、綿ライクな感触を与えるものとなる。また、
外観は、従来のフィラメントライクのように、「てか
り」や「ロウ」状の品格に欠けるような光沢は少なく、
マイルドで深みのある自然な光沢となり、高級品のイメ
ージを十分に与え得るものとなる。
【0026】また、織物の密度に関して、従来は高密度
織物とするために、経、緯の密度を多くすることが当然
のことであるが、さらに、上述の収縮差を有するフィブ
リル化型複合繊維フィラメント糸を用いるとフィブリル
化後の収縮、織物縮みと嵩高発現によって、製織密度を
必ずしもそれほどに高くとらなくても、より高い密度の
織物を得ることができるので、特別な製織条件をとる必
要も必ずしもなく、織設計、製織作業が容易という利点
を有するものである。
【0027】本発明では、上述の如き緯糸の持つ収縮能
力をより良好に発揮させること、また、織物縮みによる
緯糸屈曲(織糸の曲がり程度)をより大きくさせてより
高密度化させるために、平織り組織によって織地が構成
されていることが肝要である。
【0028】すなわち、本発明の寝装資材に用いられる
織物は、上述の如き緯糸と経糸の組合せで平織物とされ
るが、該織物が緯糸方向に縮んだときには、緯糸中の収
縮率の小さい成分は、例えばフィブリル化後において単
繊維デニールが0.5デニール以下などと極めて細く、
かつ、経糸には、該緯糸フィラメント糸がフィブリル化
された後の単繊維デニールよりも大きい単繊維デニール
を持つマルチフィラメント糸が用いられていることによ
って、織物縮みによる緯糸屈曲がより大きくなる(該緯
糸中の低収縮成分が、経糸構成フィラメントよりもより
細いことから緯糸側がより曲がりやすく、経糸よりも緯
糸フィラメントの織糸曲がりがより大きい状態を呈して
織物縮みが生ずることになる)。これにより、より一層
の高密度化が達成されて、該織地構造により、布団側地
等の寝装資材として、綿抜けが良好に防止され得る、あ
るいはまた、布団カバー等の寝装資材として、塵・ほこ
りなどの侵入、害虫等の忌避剤などを特別に用いなくて
もダニ等の害虫の侵入を良好にシャットアウトできるも
のである。
【0029】経糸の構成フィラメントの単繊維デニール
は、数デニール程度であることが、上述の緯糸曲がり効
果を良好に実現させる上で好ましい。また、緯糸の総デ
ニールは、経糸の総デニールと同等かもしくは2〜3倍
程度等のオーダーで経糸よりも太い方が上述効果を助長
する意味で好ましい。
【0030】また、本発明の寝装資材は、嵩高加工を施
された緯糸を用いれば、スパンライクな良好な風合いの
ものになる。
【0031】以下、実施例に基づいて、本発明の寝装資
材とその製造方法の具体的構成、効果について説明す
る。
【0032】実施例1 ナイロン70%(急激昇温処理による収縮は8%)、ポ
リエステル30%(急激昇温処理による収縮は60%)
のフィブリル化型複合フィラメント糸100デニール、
48フィラメント(放射状6分割)のPOY(3500
m/min の紡速によって得られたもの)を用いて下記条
件で仮撚加工し、フィブリル化型複合繊維を製造した。
【0033】 加工速度 400m/分 延伸倍率 1.9倍 仮撚数 3400T/m セット温度 70℃ ちなみに、得られた嵩高糸の伸縮復元率は24.3%、
98℃の沸騰水中での急激熱処理による収縮率は51%
を示すものであり、糸状態でフィブリル化させたところ
ポリアミド繊維は三角断面に近い形状のものであった。
【0034】上述の仮撚加工上がりの嵩高糸をそのまま
緯糸に使用し、経糸にポリアミドの70デニール、34
フィラメント糸を用いて平織物とし、さらに該平織物を
急激熱処理に供したところ、緯糸方向に32%の収縮を
示し、平織物の表面にはフィブリル化したポリアミド繊
維の捲縮が多数存在する良好なかつ若干のストレッチ性
能を有したスパンライクな風合のものであった。
【0035】この平織物中においては、緯糸の低収縮成
分(ナイロンフィラメントの緯糸)がより屈曲度合いが
大きくなって(経糸よりも大きい)、該織物中に存在す
る高密度織物であった。この織物を用いて布団側地と布
団カバーを構成したところ、良好な風合い、塵・ほこり
や害虫類の侵入防止効果を奏するものであった。
【0036】実施例2 実施例1と同一のPOYを用いて下記条件で流体乱流処
理をし、嵩高複合フィラメント糸を製造した。
【0037】 加工速度 300m/分 延伸倍率 1.8倍 セット温度 70℃ オーバーフィード率 +10% ノズル ヘバーライン社製(T−311
型) 流体乱流圧力 8kg/cm2 実施例1と同様に製織と沸騰水中でのフィブリル化処理
を行なった。
【0038】なお、この織物において、織物の収縮率は
ヨコ方向30.4%であった。織物断面は、織物内層に
は収縮したポリエステルフィラメント繊維を主として、
その外側には三角断面のポリアミドフィラメント繊維を
主として、これら両成分がフィブリル化して存在してな
るものであった。かかる織物中において、緯糸の低収縮
成分(ナイロンフィラメントの緯糸)がより屈曲度合い
が大きくなって(経糸よりも大きい)、該織物中に存在
する高密度織物であった。
【0039】しかして、ポリアミドフィラメント繊維の
緯糸が経糸成分よりもより大きく屈曲していて、織物の
最外表面には該ポリアミドフィラメント繊維の緯糸成分
からなる環やたるみが多数存在する良好なスパンライク
風合いを示すものであった。さらに、この織物を布団カ
バーとして用いたところ、良好な塵・ほこり、ダニ等の
害虫類の侵入防止効果を奏するものであった。
【0040】比較例1 丸断面フィラメントよりなり、実施例1とほぼ同様のナ
イロン70%(急激昇温処理による収縮は8%)、ポリ
エステル30%(急激昇温処理による収縮は60%)の
糸よりなる複合マルチフィラメント糸(総デニール10
0デニール、ポリアミドフィラメント0.3デニール、
ポリエステルフィラメント0.6デニール)を用いて、
実施例1とほぼ同等の条件で仮撚加工し、複合マルチフ
ィラメント糸を製造した。
【0041】該仮撚加工上がりの嵩高糸をそのまま緯糸
に使用し、経糸にポリアミドの70デニール、34フィ
ラメント糸を用いて平織物とした。さらに、該平織物を
急激熱処理に供したところ、緯糸方向にほぼ実施例1と
同等の収縮を示した。
【0042】この平織物は、ポリアミド繊維の捲縮が多
数存在する良好なかつ若干のストレッチ性能を有したス
パンライクな風合のものであったが、繊維断面が丸形で
あるため、布団側地、布団カバーとして用いたところ、
塵・ほこり、ダニ等の害虫類の侵入防止効果は、実施例
1に記載のものより劣るものであった。
【0043】
【発明の効果】本発明に係る寝装資材は、緯糸、経糸の
特殊な糸使いにて織られた高密度平織物からなるもので
あり、その構造的特徴から、綿抜け防止、塵やダニの侵
入防止等の、いわゆるアメニティ効果(快適さ効果)を
持つことのできる、布団側地や布団カバー等に最適なも
のである。
【0044】また、低収縮成分としてポリアミドを使用
すれば、該ポリアミド繊維が鞘となって、該ポリアミド
フィラメント繊維の緯糸が、経糸成分よりもより屈曲率
大の状態で織物中に存在しているためソフトでしっとり
としたタッチとなり、発色性や摩擦に対しても優れたも
のとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図(イ)〜(ニ)は、本発明の寝装資材に
用いられるフィブリル化型複合繊維の構造態様4例を示
したモデル横断面図である。
【図2】第2図(イ)〜(ニ)は、第1図における本発
明の寝装資材に用いられるフィブリル化型複合繊維のフ
ィブリル化後の構造態様4例を示したモデル横断面図で
ある。
【符号の説明】
A:高収縮成分 B:低収縮成分

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル成分とポリアミド成分が0.
    05〜0.95:0.95〜0.05の接合比率でかつ
    少なくとも繊維断面中心から2方向に放射状に延びた形
    状の一方の成分と他方の成分とが接合されてなるフィブ
    リル化型複合繊維フィラメント糸がそれぞれの成分に分
    割されて単繊維デニールが0.5デニール以下のフィラ
    メントを含む緯糸を構成しており、経糸には、該フィブ
    リル化型複合繊維フィラメント糸がフィブリル化された
    後の単繊維デニールよりも大きい単繊維デニールを持つ
    マルチフィラメント糸が用いられて平組織で製織されて
    いる高密度織物からなることを特徴とする寝装資材。
  2. 【請求項2】フィブリル化型複合繊維フィラメント糸
    が、嵩高加工フィラメント糸であることを特徴とする請
    求項1記載の寝装資材。
  3. 【請求項3】ポリエステル成分とポリアミド成分が0.
    05〜0.95:0.95〜0.05の接合比率でかつ
    少なくとも2方向に放射状に延びた形状の一方の成分と
    他方の成分とが接合されてなるフィブリル化型複合繊維
    フィラメント糸を緯糸に用い、かつ、経糸には該フィブ
    リル化型複合繊維がフィブリル化された後の単繊維デニ
    ールよりも大きい単繊維デニールを持つマルチフィラメ
    ント糸を用いて、平織物を織成した後、前記フィブリル
    化型複合繊維フィラメント緯糸のフィブリル化を行うこ
    とを特徴とする寝装資材の製造方法。
  4. 【請求項4】フィブリル化型複合繊維フィラメント糸と
    して、嵩高加工フィラメント糸を用いることを特徴とす
    る請求項3記載の寝装資材の製造方法。
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