JP2731467B2 - 油圧式動力伝達継手 - Google Patents

油圧式動力伝達継手

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JP2731467B2
JP2731467B2 JP26805491A JP26805491A JP2731467B2 JP 2731467 B2 JP2731467 B2 JP 2731467B2 JP 26805491 A JP26805491 A JP 26805491A JP 26805491 A JP26805491 A JP 26805491A JP 2731467 B2 JP2731467 B2 JP 2731467B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の駆動力配分に使
用する油圧式動力伝達継手に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、特願平1−175047号
において、下記のような油圧式動力伝達継手を提案して
いる。すなわち、この油圧式動力伝達継手は、相対回転
可能な入出力軸間に設けられ、前記両軸の回転速度差に
応じた量の流体を流動させる流量発生手段と、前記流体
の流動抵抗を発生する手段を備え、前記流動抵抗により
前記入出力軸間の伝達トルクが制御される油圧式動力伝
達継手であって、前記入出力軸と一体となる一方の部材
に軸方向に往復動する流量発生手段としての複数のプラ
ンジャー式ポンプを備えるとともに、他の部材の内側面
に前記プランジャーの往復運動を規制するカム面を形成
した前記油圧式動力伝達継手において、前記プランジャ
ー先端部の形状を、カムとの摺動方向に対しては円弧も
しくは楕円形状とし、それと直角方向に対しては直線形
状とするとともに、前記カム面の形状を前記プランジャ
ーがカムの回転に伴って所定のストローク運動をした時
にプランジャーによって創成される形状としたものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の油圧式動力伝達継手にあっては、トルク容量
(最大許容トルク)はほぼカムとプランジャーの面圧で
決まるが、カムとプランジャーが線接触するため、面圧
が高く、トルク容量をアップすることができないという
問題点があった。
【0004】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであって、カムとプランジャーの接触面を常に
面接触させ、面圧を下げることで、トルク容量をアップ
することができる油圧式動力伝達継手を提供することを
目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、相対回転可能な入出力軸間に設けられ、
前記一方の軸に連結され、内側面に2つ以上の山を有す
るカム面を形成したカムを固定したハウジングと;前記
他方の軸に連結されるとともに、前記カムハウジング内
に回転自在に収納され、複数のプランジャー室を軸方向
に形成したロータと;前記複数のプランジャー室のそれ
ぞれに、リターンスプリングの押圧を受けて往復移動自
在に収納されるとともに、前記両軸の相対回転時に前記
カム面によって駆動される複数のプランジャーと;前記
ロータに形成され、前記プランジャー室と通じる吸入吐
出孔と;前記ロータの端面に回転自在に摺接するととも
に、前記カムハウジングとの間で所定の関係に位置決め
され、前記吸入吐出孔との位置関係によって吸入弁およ
び吐出弁の作用をする複数の吸入ポート、吐出ポートを
形成した弁体と、前記プランジャーの駆動による吐出油
の流動により流動抵抗を発生する手段を備え、;前記両
軸の回転速度差に応じたトルクを伝達する油圧式動力伝
達継手において、前記カムと前記プランジャーの接触面
が吐出行程において常に面接触するように面接触部を前
記カムおよび前記プランジャーに形成したものである。
【0006】
【作用】本発明においては、カムおよびプランジャーに
傾斜面またはねじ状の面を有する面接触部をそれぞれ形
成し、カムとプランジャーの接触面が吐出行程において
常に面接触するようにしたため、カムとプランジャーの
面圧を下げることができる。
【0007】したがって、トルク容量を大幅にアップす
ることができる、同トルク容量であれば、継手を小型化
することができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1〜図3は本発明の一実施例を示す図である。
まず、構成を説明すると、図2および図3において、1
は内側面に2つ以上の山を有するカム面2を形成したカ
ムであり、カム1は出力軸3に連結され、出力軸3と一
体で回転する。また、カム1はカムハウジング4に固定
され、カムハウジング4はカム1と一体で回転する。
【0009】5はカムハウジング4内に回転自在に収納
されたロータであり、ロータ5は入力軸6に結合され、
入力軸6と一体で回転する。ロータ5には、軸方向に複
数個のプランジャー室7が形成され、プランジャー室7
内は複数個のプランジャー8がリターンスプリング9を
介して摺動自在に収納されている。また、ロータ5には
複数の吸入吐出孔10が各プランジャー室7に通じるよ
うに形成されている。
【0010】11は表面に吸入ポート12、吸入路13
および吐出ポート14が形成されたロータリバルブ(弁
体)であり、このロータリバルブ11の裏面には吐出ポ
ート14のそれぞれに連通する連通溝15が形成されて
いる。また、前記裏面には密着して蓋部材16が設けら
れている。そして、連通溝15と1つの吸入ポート12
との間にはオリフィス(流動抵抗発生手段)17が形成
されている。
【0011】また、ロータリバルブ11はカムハウジン
グ4の内周に形成した切欠き18に係合する位置決め用
の突起19を有する。ロータリバルブ11は、吸入吐出
孔10の開閉タイミングを決定するタイミング部材を構
成し、切欠き18と突起19がカム1とロータリバルブ
11の位相関係を規制する位置決め機構を構成してい
る。
【0012】プランジャー8が吸入行程にある場合は、
ロータリバルブ11の吸入ポート12とロータ5の吸入
吐出孔10が通じる位置関係となり、オリフィス17、
吸入ポート12、吸入路13、ロータ5の吸入吐出孔1
0を通じて、プランジャー室7にオイルを吸入すること
ができる。また、プランジャー8が吐出行程にある場合
は、吸入行程と逆の関係となり、ロータ5の吸入吐出孔
10はロータリバルブ11の吐出ポート14を介して連
通溝15に通じる。
【0013】20はカムハウジング4と一体で回転する
スラストブロックであり、ベアリング21を介して入力
軸6を支持している。スラストブロック20とロータリ
バルブ11との間にはニードルベアリング22が介装さ
れ、このニードルベアリング22側のフリクショントル
クはロータ5とロータリバルブ11の間のフリクション
トルクより小さくなるように設定されている。したがっ
て、差動回転の方向が変わると、ロータリバルブ11は
ロータ5とともにつれ回りし、ロータリバルブ11の位
置決め用の突起19がカムハウジング4の切欠き18に
当たるまで回転した後、カムハウジング4と一体で回転
する。これにより、正転時または逆転時にも所定のタイ
ミングで吸入吐出孔10を強制的に開閉する。
【0014】23はカムハウジング4と一体で回転する
アキュムレータピストンであり、アキュムレータピスト
ン23は内圧に応じて移動する。アキュムレータピスト
ン23とリテーナ24との間には、リターンスプリング
25が介装されている。なお、26はオイルシール、2
7はストッパリング、28はボルト、29は注油孔、3
0はニードルベアリングである。
【0015】ここで、図1に示すように、前記カム1と
前記プランジャー8の接触面を吐出行程において常に面
接触となるように形成している。これにより、カム1と
プランジャー8の面圧が高くならないようにしている。
すなわち、カム1およびプランジャー8に面接触部3
1,32をそれぞれ形成している。
【0016】面接触部31,32は、傾斜面に限らず、
面接触するような面(ねじ状の面)を有する。また、プ
ランジャー8の吐出行程の終わりでは、カム1とプラン
ジャー8の接触面積が小さくなるので、前記吸入ポート
12を進角するように形成する(図3、参照)。
【0017】すなわち、プランジャー8がカム山山頂に
のぼる前に吸入ポート12を開く。これにより、カム1
とプランジャー8の接触面積が小さくなり面圧が高くな
ることを防いでいる。なお、図1中33は高圧オイルを
示す。次に、作用を説明する。
【0018】カム1とロータ5との間に回転差が生じな
いときは、プランジャー8は作動せず、トルクは伝達さ
れない。なお、このとき、プランジャー8はリターンス
プリング9によりカム面2に押しつけられている。次
に、カム1とロータ5との間に回転差が生じると、吐出
行程にあるプランジャー8はカム1のカム面2により軸
方向に押し込まれる。
【0019】この時、吸入吐出孔10は吐出ポート14
と通じているため、プランジャー8はプランジャー室7
のオイルを吸入吐出孔10からロータリバルブ11の吐
出ポート14に押し出す。吐出ポート14に押し出され
たオイルは、連通溝15、オリフィス17を通って吸入
ポート12に供給される。この時、オリフィス17の抵
抗により連通溝15、吐出ポート14およびプランジャ
ー室7の油圧が上昇し、プランジャー8に反力が発生す
る。このプランジャー反力に逆ってカム1を回転させる
ことによりトルクが発生し、カム1とロータ5との間で
トルクが伝達される。なお、各吐出ポート14は連通溝
15で連通されているため、吐出行程にあるすべてのプ
ランジャー室7の油圧は等しくなる。
【0020】さらに、カム1が回転すると、吸入行程と
なり、吸入吐出孔10は吸入ポート12と通じるため、
吸入路13のオイルは、吸入ポート12、吸入吐出孔1
0を介してプランジャー室7に吸入され、プランジャー
8はカム1のカム面2に沿って戻る。ここで、カム1お
よびプランジャー8に傾斜面またはねじ状の面を有する
面接触部31,32をそれぞれ形成し、吐出行程におい
てカム1とプランジャー8の接触面が常に面接触となる
ようにしたため、カム1とプランジャーの面圧を下げる
ことができる。
【0021】また、吸入ポート12を進角するようにし
たため、吐出行程の終りでもカム1とプランジャー8の
面圧が高くならない。したがって、トルク容量を大幅に
アップすることができる、同トルク容量であれば、継手
を小型化することができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、カムおよびプランジャーに面接触部を形成して、面
圧を下げ、また、吸入ポートを進角して吐出行程の終り
でも面圧が高くならないようにしたため、トルク容量を
大幅にアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す図
【図2】継手の断面図
【図3】図2のA−A矢視図
【符号の説明】
1:カム 2:カム面 3:出力軸 4:カムハウジング 5:ロータ 6:入力軸 7:プランジャー室 8:プランジャー 9:リターンスプリング 10:吸入吐出孔 11:ロータリバルブ 12:吸入ポート 13:吸入路 14:吐出ポート 15:連通溝 16:蓋部材 17:オリフィス 18:切欠き 19:突起 20:スラストブロック 21:ベアリング 22:ニードルベアリング 23:アキュムレータピストン 24:リテーナ 25:リターンスプリング 26:オイルシール 27:ストッパリング 28:ボルト 29:注油孔 30:ニードルベアリング 31,32:面接触部 33:高圧オイル

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相対回転可能な入出力軸間に設けられ、前
    記一方の軸に連結され、内側面に2つ以上の山を有する
    カム面を形成したカムを固定したハウジングと;前記他
    方の軸に連結されるとともに、前記カムハウジング内に
    回転自在に収納され、複数のプランジャー室を軸方向に
    形成したロータと;前記複数のプランジャー室のそれぞ
    れに、リターンスプリングの押圧を受けて往復移動自在
    に収納されるとともに、前記両軸の相対回転時に前記カ
    ム面によって駆動される複数のプランジャーと;前記ロ
    ータに形成され、前記プランジャー室と通じる吸入吐出
    孔と;前記ロータの端面に回転自在に摺接するととも
    に、前記カムハウジングとの間で所定の関係に位置決め
    され、前記吸入吐出孔との位置関係によって吸入弁およ
    び吐出弁の作用をする複数の吸入ポート、吐出ポートを
    形成した弁体と、前記プランジャーの駆動による吐出油
    の流動により流動抵抗を発生する手段を備え、;前記両
    軸の回転速度差に応じたトルクを伝達する油圧式動力伝
    達継手において、 前記カムと前記プランジャーの接触面が吐出行程におい
    て常に面接触するように面接触部を前記カムおよび前記
    プランジャーに形成したことを特徴とする油圧式動力伝
    達継手。
  2. 【請求項2】前記吸入ポートを進角するように前記弁体
    に形成したことを特徴とする前記請求項1の油圧式動力
    伝達継手。
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