JP2730671B2 - ポリ−β−ヒドロキシ酪酸を生産するシアノバクテリア - Google Patents

ポリ−β−ヒドロキシ酪酸を生産するシアノバクテリア

Info

Publication number
JP2730671B2
JP2730671B2 JP7318634A JP31863495A JP2730671B2 JP 2730671 B2 JP2730671 B2 JP 2730671B2 JP 7318634 A JP7318634 A JP 7318634A JP 31863495 A JP31863495 A JP 31863495A JP 2730671 B2 JP2730671 B2 JP 2730671B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydroxybutyric acid
poly
carbon dioxide
strain
phb
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP7318634A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09131175A (ja
Inventor
正人 三宅
泰男 浅田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP7318634A priority Critical patent/JP2730671B2/ja
Publication of JPH09131175A publication Critical patent/JPH09131175A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2730671B2 publication Critical patent/JP2730671B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ−β−ヒドロ
キシ酪酸生産能を有するシアノバクテリア シネココッ
カス・エスピー(Synechococcus sp. )、シアノバクテ
リアを用いたポリ−β−ヒドロキシ酪酸の生産方法及び
炭酸ガスのリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ−β−ヒドロキシ酪酸は、微生物が
生産するバイオポリマーの一種であり、微生物により分
解可能な熱可塑性樹脂として、医薬類、農薬類、医療材
料、工業材料等の多方面での利用が期待される物質であ
る。炭酸ガスからポリ−β−ヒドロキシ酪酸を製造する
方法については、水素細菌の炭酸固定能を利用する方
法、及び遺伝子組換え植物又は遺伝子組換えシアノバク
テリアを利用する方法が知られている。
【0003】しかし、前者の場合、同時に高価な水素を
必要とするため経済的に有用ではなく、さらにその安全
対策にコストや手間がかかるという欠点があった。ま
た、後者では、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の生産性が低
いという問題点があった。一方、炭酸ガスリサイクルの
技術は未だ確立されてはいないが、接触水素化法(荒川
裕則、ケミカルエンジニアリング、1990年)により、メ
タノール、エタノール等のアルコール類からエタン、ベ
ンゼン等の炭化水素を含む化学品の合成が試みられてい
る。その他、人工光合成、電気化学、有機合成、直接分
解等による有機物へのリサイクルが試みられている。い
ずれの場合にも、収率を上げるために炭酸ガスの濃縮精
製過程を必要とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリ−β−
ヒドロキシ酪酸生産能を有するシアノバクテリア シネ
ココッカス・エスピー、シアノバクテリアを用いたポリ
−β−ヒドロキシ酪酸の生産方法及び炭酸ガスのリサイ
クル方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
基づいて鋭意研究を行った結果、自然界から細胞乾重量
の30%以上のポリ−β−ヒドロキシ酪酸を炭酸ガスから
光を用いて合成し、蓄積するシアノバクテリア シネコ
コッカス・エスピー(Synechococcus sp. )MA株を見
い出し、本発明を完成させた。
【0006】すなわち、本発明は、ポリ−β−ヒドロキ
シ酪酸生産能を有するシアノバクテリア シネココッカ
ス・エスピーMA株である。さらに、本発明は、シネコ
コッカス属に属し、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸生産能を
有するシアノバクテリアを培養し、得られる培養物から
ポリ−β−ヒドロキシ酪酸を採取することを特徴とする
ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の生産方法である。
【0007】さらに、本発明は、シネココッカス属に属
し、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸生産能を有するシアノバ
クテリアを培養し、得られる培養物からポリ−β−ヒド
ロキシ酪酸を採取することを特徴とする炭酸ガスのリサ
イクル方法である。以下、本発明を詳細に説明する。本
発明は、自然界から分離され、ポリ−β−ヒドロキシ酪
酸(以下「PHB」という)生産能を有するシアノバク
テリア、シアノバクテリアを用いたPHBの生産方法及
び炭酸ガスのリサイクル方法である。
【0008】まず、本発明のシアノバクテリア シネコ
コッカス・エスピーMA株(以下「本株」という)の藻
類学的特徴について説明する。 (1) 本株の選抜手段 日本各地の温泉から採集してきたシアノバクテリア塊を
BG11培地中、光照射下、50℃で培養した。増殖できた
シアノバクテリアは平板塗抹法により単菌分離した。次
に、純粋培養された各細胞を窒素源を欠いたBG11培地
に移植し、上記条件で2週間培養した。PHBを特異的
に染色する色素であるNile blue A で遠心集菌された各
細胞を染色し、PHBの有無を判別した。Nile blue A
によって特によく染色されたシアノバクテリアの中から
本株を選抜した。
【0009】(2) 本株の藻類学的性質 A.形態的性質 細胞は、やや円筒形で直径2〜4μm である。 疑似糸状性、単細胞性シアノバクテリアである(図
1) B.含有色素 クロロフィルa、フィコシアニンを有する。
【0010】C.生理学的性質 光合成能:あり(酸素発生型) 窒素固定能:なし ビタミン要求性:不明 生育pH域:5付近〜10付近の範囲である。至適p
Hは7〜10である。 生育温度域:40〜60℃の範囲であり好熱性である。 生育塩濃度域:淡水性 D.生殖様式 無性生殖、2分裂(条件によっては不均等分裂が見られ
る。分裂面は分裂方向に対し垂直)。
【0011】(3) 本株の属及び種の決定 本株は、クロロフィルa、フィコシアニンを有し、酸素
発生型の光合成を行う原核生物であることからシアノバ
クテリア類に属する。細胞の形態が疑似糸状性の単細胞
であること、及び窒素固定能をもたないことから、本株
をシネココッカス・エスピー(Synechococcus sp. )M
A株と命名した。なお、本株は工業技術院生命工学工業
技術研究所に、FERM P-15099として寄託されている。
【0012】(4) 本株の生産するPHBの性質 本株の生産するPHBは、クロロホルムに溶解し、ヘキ
サンやアセトンなどに不溶性である。プロトン−NMR
解析(図2参照)、ガスクロマトグラフィーの結果、本
株の生産するPHBはホモポリマーであることがわかっ
た。次に、本株を用いたPHBの生産方法について説明
する。
【0013】上記PHBは、本株を培養し、得られる培
養物からPHBを採取することにより得ることができ
る。ここで、「培養物」とは、培養懸濁液、培養藻類若
しくはその破砕物又は培養上清液のいずれをも意味する
ものである。本発明に用いる培養液は、シアノバクテリ
ア類の培養に通常使用されているものでよく、各種栄養
塩、ビタミン、微量金属塩等を含む培地が用いられる。
例えば、本株を、硝酸ナトリウムのような窒素源を含む
無機培地、例えばBG11培地(実施例1の表1参照)中
で培養する。培養温度は45〜55℃が好ましい。
【0014】また、培養には、光及び炭酸ガスが必要で
ある。光を与える場合は、1キロルックス以上、好まし
くは本株の光合成が光飽和領域(具体的には5〜10キロ
ルックス)にあるような光照射条件にする。この場合、
連続光照射、明暗サイクルをつけた光条件によることは
ない。炭酸ガスを与える場合は、空気中の炭酸ガス濃度
以上の炭酸ガス濃度、例えば0.03%以上の濃度、好まし
くは2〜5%の濃度条件で行う。ここで、本発明におい
て使用する炭酸ガスには、産業活動又は日常生活から発
生する炭酸ガスも含まれる。例えば、化学プラント、発
電所、廃物処理などの産業活動から発生する炭酸ガス、
又は衣、食、住等の日常生活から発生する炭酸ガスを分
離回収し、必要に応じて空気と混合して炭酸ガス源とす
る。あるいは、シアノバクテリアの生育に影響のない範
囲で発生ガスを直接本発明の炭酸ガス源とする。炭酸ガ
スの分離回収技術としては、例えば物理、化学吸収法、
吸着法、膜分離法、蒸留法等が挙げられるが、シアノバ
クテリアは自身で炭酸ガスを細胞内に濃縮する性質があ
るため、必ずしも炭酸ガスを分離回収して炭酸ガス源と
する必要はない。空気を直接利用することも可能であ
る。
【0015】また、培養時間は、3〜5日である。上記
培養によって増殖した細胞を、窒素源を含まない無機培
地、例えば前記BG11培地から窒素源を除いた培地に移
植後、前記温度、培養時間、光及び炭酸ガス濃度の条件
でさらに培養する。その結果、細胞内顆粒としてPHB
が蓄積される。なお、PHBの蓄積量は培養時間に依存
して増加する。PHBは、培養によって得られた培養菌
体をクロロホルムで抽出後、ヘキサン中に展開すること
により分離精製することができる。そして、得られたP
HBについては、ガスクロマトグラフィー等により純度
分析を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明をさら
に具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限
定されない。 〔実施例1〕表1に示す組成のBG11培地1リットルに
本株の種菌100 mlを加え、5キロルックスの光照射下、
2%の炭酸ガスを吹き込みながら50℃で4日間培養し
た。
【0017】 表1 BG11培地組成(1L あたり) ────────────────────────────────── 硝酸ナトリウム 1.5 g 燐酸水素二カリウム 0.03g 硫酸マグネシウム 0.075g 塩化カルシウム 0.036g クエン酸 0.006g クエン酸鉄アンモニウム 0.006g エチレンジアミン四酢酸ナトリウム 0.001g 炭酸ナトリウム 0.02g ビタミンB12 0.000001g A5溶液 1 ml ほう酸 2.86g 硫酸マンガン 2.50g 硫酸銅 0.222g モリブデン酸ナトリウム 0.021g 濃硫酸 1 滴 蒸留水 1 L ──────────────────────────────────
【0018】培養後得られた細胞を、窒素源を含まない
1L のBG11培地(硝酸ナトリウムを含まないもの;p
H8)に移植し、5キロルックス、50℃の条件でさらに
8日間、2%炭酸ガスを通気しながら培養した。その結
果、乾燥重量2gの菌体が得られ、その中に最大0.6gの
PHBが細胞内顆粒として蓄積された。
【0019】得られた培養物からPHBの精製を行っ
た。すなわち、60℃で乾燥した培養物2gを100 mlのク
ロロホルムに入れ、90℃で一昼夜抽出を行った。抽出液
をエバポレーターで10mlまで濃縮後、ヘキサン1リット
ル中に展開した。このときPHBが白沈として得られ
た。この白沈をブフナーロートで回収し、乾燥させた。
【0020】〔比較例1〕本株の代わりにPHB生産能
を有する遺伝子組換えシアノバクテリアpAER1-1(遺伝
子組換えシアノバクテリアpAER1-1 は、工業技術院生命
工学工業技術研究所に、FERM P-14469として寄託されて
いる) を1L のBG11培地に植菌し、実施例1と同じ条件
で培養した。次に、得られた増殖した細胞を1L の窒素
源を含まないBG11培地に移植し、さらに14日間培養し
た。
【0021】実施例1と同様に精製を行った結果、乾燥
重量1gの菌体が得られ、0.09gのPHBが菌体内に蓄
積された。実施例1の結果は、比較例1の結果よりも本
株の単位時間当たりの生産性が60倍も高いことを示すも
のである。
【0022】
【発明の効果】本発明により、PHB生産能を有するシ
アノバクテリア シネココッカス・エスピーMA株が提
供され、また、効率的にPHBが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シネココッカス・エスピーの電子顕微鏡写真で
ある(生物の形態)。
【図2】NMRの結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 7/62 C12R 1:01)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ−β−ヒドロキシ酪酸生産能を有す
    るシアノバクテリアシネココッカス・エスピーMA株。
  2. 【請求項2】 シネココッカス属に属し、ポリ−β−ヒ
    ドロキシ酪酸生産能を有するシアノバクテリアを培養
    し、得られる培養物からポリ−β−ヒドロキシ酪酸を採
    取することを特徴とするポリ−β−ヒドロキシ酪酸の生
    産方法。
  3. 【請求項3】 シネココッカス属に属し、ポリ−β−ヒ
    ドロキシ酪酸生産能を有するシアノバクテリアを培養
    し、得られる培養物からポリ−β−ヒドロキシ酪酸を採
    取することを特徴とする炭酸ガスのリサイクル方法。
JP7318634A 1995-11-13 1995-11-13 ポリ−β−ヒドロキシ酪酸を生産するシアノバクテリア Expired - Lifetime JP2730671B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7318634A JP2730671B2 (ja) 1995-11-13 1995-11-13 ポリ−β−ヒドロキシ酪酸を生産するシアノバクテリア

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7318634A JP2730671B2 (ja) 1995-11-13 1995-11-13 ポリ−β−ヒドロキシ酪酸を生産するシアノバクテリア

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09131175A JPH09131175A (ja) 1997-05-20
JP2730671B2 true JP2730671B2 (ja) 1998-03-25

Family

ID=18101332

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7318634A Expired - Lifetime JP2730671B2 (ja) 1995-11-13 1995-11-13 ポリ−β−ヒドロキシ酪酸を生産するシアノバクテリア

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2730671B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2262432B1 (es) * 2005-05-11 2007-11-16 Consejo Superior Investig. Cientificas Procedimiento para fijar dioxido de carbono mediante la utilizacion deun cultivo de cianobacterias.
AT520996A1 (de) * 2018-03-13 2019-09-15 Lackner Ventures & Consulting Gmbh Verfahren zum Mutieren von Cyanobakterien

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09131175A (ja) 1997-05-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2730671B2 (ja) ポリ−β−ヒドロキシ酪酸を生産するシアノバクテリア
JP3081901B2 (ja) γ−ポリグルタミン酸の製造法
CN100540650C (zh) 用酶工程技术生物合成谷胱甘肽的方法
US4363875A (en) Process for producing L-tryptophan, and a pure culture of a microorganism strain used in said process
JP3224992B2 (ja) 水素生産光合成微生物及びこれを用いた水素の生産方法
JP4303526B2 (ja) (−)−2−デオキシ−シロ−イノソースの製造方法
KR100442741B1 (ko) 유기성 폐기물의 생물학적 반응에 의한 수소 생산방법
JPH0714355B2 (ja) L−カルニチンの調製方法
JP2651703B2 (ja) 微生物処理による光学活性なジハロゲノプロパノールの製法
JPS6155955B2 (ja)
JP4262528B2 (ja) (−)−ビボ−クエルシトールの製造方法
JPH0473999B2 (ja)
JP2620045B2 (ja) 高クロロフィル含有性クロレラ属変異株
JPS58158190A (ja) D(−)−β−ヒドロキシ酪酸の製造法
DE3719332C2 (de) Verfahren zur Herstellung von L-Isoleucin
JP3492750B2 (ja) 5−アミノレブリン酸生産微生物及びその製造方法
JPS6230759B2 (ja)
CN115651943A (zh) 一种小分子氨基酸衍生物依克多因的发酵制备方法及其应用
JPS58158198A (ja) 蛋白質の製造法
JPS5985296A (ja) ジグリコ−ル酸およびβ−ヒドロキシエトキシ酢酸の製法
JPH07170989A (ja) 微生物を用いるポリ−β−ヒドロキシ酪酸の製造方法
Mirza et al. Seasonal fluctuations in nitrogen-fixing ability (C2H2 reduction) and hydrogen uptake by root nodules of Coriaria nepalensis andDatisca cannabina.
JPS61183280A (ja) 抗生物質調整の中間体デイフイコール
Rao et al. Hydrogen Production by Phototrophic Sulphur Bacteria from Waste Waters
JPS6257314B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term