JP2725415B2 - 活性エネルギー線硬化型水分散性艶出し塗料 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型水分散性艶出し塗料

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JP2725415B2 JP1309935A JP30993589A JP2725415B2 JP 2725415 B2 JP2725415 B2 JP 2725415B2 JP 1309935 A JP1309935 A JP 1309935A JP 30993589 A JP30993589 A JP 30993589A JP 2725415 B2 JP2725415 B2 JP 2725415B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)発明の目的 〔産業上の利用分野〕 本発明は印刷紙等の光沢加工に使用される艶出し塗料
に関するものであり、更に詳しくは活性エネルギー線で
硬化可能であり、有機溶剤を含まないため、無公害で安
全性に優れた水分散性艶出し塗料に関するものである。
〔従来の技術〕
印刷紙等に高級感を与えるため、従来より各種の光沢
加工が行なわれている。広く行なわれている方式とし
て、有機溶剤に塩化ビニル−酢酸ビニル系等のポリマー
を溶解したラッカーを印刷紙上に塗布した後、有機溶剤
を蒸発させ乾燥成膜させる方式があるが、この方式は多
量の有機溶剤を使用するため、作業環境の悪化や大気汚
染を引き起こすだけでなく、引火による火災の危険性が
ある。さらに、加工により得られる塗膜も光沢感が充分
でないという欠点がある。
この塩化ビニル−酢酸ビニル系ラッカを用いる方式に
比較して、光沢感をより強く与える方法としては、金属
鏡面を利用したプレスコート方式やラミネート加工方式
があるが、これらの方法においても有機溶剤を使用する
ことが避けられないため、作業環境の悪化、大気汚染お
よび火災の危険性等の問題がある。
一方、このような作業環境の悪化、大気汚染および火
災の危険性を改善するため、有機溶剤を使用しない紫外
線(以下UVと略す)硬化型塗料を用いて、艶出し加工を
行なう方式が開発されている。この方式では、良好な光
沢感を得ることが出来るが、印刷面への密着性が劣ると
ともに、塗工適性を確保する目的で、塗料として低粘度
のモノマーを使用するため、紙へのしみ込みが起こりや
すい。またこのモノマーの皮膚に対する好ましくない刺
激も避けられない。密着性やしみ込みを改善するため
に、分子量の大きなアクリル系オリゴマーが使用される
場合もあるが、オリゴマーは粘性が高く、無溶剤で使用
することは困難であり、一般に有機溶剤が使用されるた
め、作業環境、大気汚染、火災の危険性の問題はなお解
決されていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、従来の艶だし加工用塗料が有する上記の作
業環境の悪化、大気汚染および火災の危険性等の問題を
解消し、かつ紙へのしみ込みのない、かつ油性インク印
刷面への密着性に優れた活性エネルギー線硬化型水分散
性艶だし塗料物を提供するものである。
(ロ)発明の構成 〔課題を解決するための手段〕 本発明者らは、上述の問題を解決するために鋭意検討
を行った結果、分子中に2個以上のアクリロイル基を有
する重合性アクリレート(A)およびこれと相溶性を有
する熱可塑性樹脂(B)を主成分とする組成物を、水中
に分散させることによって得られるエマルションがきわ
めて有効であることを見出し、本発明を完成するに到っ
た。
即ち、本発明は分子中に2個以上のアクリロイル基を
有する重合性アクリレート(A)にこれと相溶性を有す
る熱可塑性樹脂(B)を溶解させた溶液を分散体とする
水中油滴型エマルションからなる活性エネルギー線硬化
型紙用艶出し塗料である。
以下、本発明に使用する各成分、乳化方法および硬化
方法について詳細に説明する。
<重合性アクリレート> 本発明における(A)成分は、1分子中に2個以上の
アクリロイル基を持つ重合性アクリレートである。この
(A)成分に充分なエネルギー線硬化性を与えるために
は、アクリロイル基1個当りの分子量が1000以下である
ものが好ましく、また低沸点化合物に特有な臭気を抑制
するには、常圧における沸点が200℃以上のものが好ま
しい。
本発明で使用可能な重合性アクリレートの具体例とし
ては、例えば下記(a)〜(e)のアクリレートがあ
る。
(a)ポリオールポリアクリレート これは、通常ポリアルキレングリコール、2価以上の
多価アルコールまたは2価以上の多価アルコールにアル
キレンオキサイドを付加した多価アルコールのポリアク
リレートとして得られるものであり、これらの例として
は、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールアクリレート、トリメチロールプロパン
トリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート
およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が
ある。
上記に例示したものの他、印刷面に塗布される艶出し
塗料において、油性インキへの密着性が極めて良好な塗
膜を形成する重合性アクリレートとして、ジプロピレン
グリコールジアクリレートおよびトリプロピレングリコ
ールジアクリレートなどのポリプロピレングリコールジ
アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオ
キサイド付加物のトリアクリレート、グリセリンのプロ
ピレンオキサイド付加物のトリアクリレート、ペンタエ
リスリトールのプロピレンオキサイド付加物のテトラア
クリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド
付加物のジアクリレートなど2価以上の多価アルコール
にプロピレンオキサイドを付加した多価アルコールのポ
リアクリレート等があり、例えば油性インキで印刷され
た紙表面に艶出し塗料を塗布する場合には、これらを使
用することは大変好ましいことである。
(b)ポリエステルアクリレート これは、通常多価アルコールと多価カルボン酸および
/またはその無水物〔以下、カルボン酸(無水物)と
は、多価カルボン酸および/またはその無水物を意味す
る〕とアクリル酸とをエステル化することによって得る
ことができるものであり、その例としてはマレイン酸
(無水物)とエチレングリコールとのポリエステルジオ
ールのジアクリレート、フタル酸(無水物)とジエチレ
ングリコールとのポリエステルジオールのジアクリレー
ト、アジピン酸とトリエチレングリコールとのポリエス
テルジオールジアクリレートおよびテトラヒドロフタル
酸(無水物)とトリメチロールプロパンとのポリエステ
ルポリオールのポリアクリレート等がある。
(c)エポキシアクリレート これは、通常分子中に2個以上のエポキシ基を有する
エポキシ樹脂やフェノール、クレゾール、ブチルフェノ
ール、オクチルフェノールおよびノニルフェノール等か
ら得られる各種フェノールノボラック樹脂とエピクロル
ヒドリンとの反応から得られるエポキシ樹脂に、アクリ
ル酸またはカルボキシル基含有アクリレートと多塩基酸
の混合物を反応させることによって得られるものであ
り、その例としては、ビスフェノールAジグリシジルエ
ーテルのジアクリレート、ネオペンチルグリコールジグ
リシジルエーテルのジアクリレートおよび1,6−ヘキサ
ンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等が
ある。
(d)ウレタンアクリレート これは、通常多価アルコール、多価イソシアネートお
よび水酸基含有アクリレートを反応させることによって
得られるものであり、その例としてはアジピン酸、セバ
シン酸、マレイン酸およびテレフタル酸等の有機多塩基
酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4
−ブチレングリコールおよび1,6−ヘキサンジオール等
の多価アルコール類とのポリエステルジオールとトリレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,
4′−ジフェニルメタンイソシアネート、水素添加トリ
レンジイソシアネートおよび1,6−ヘキサンメチレンジ
イソシアネート等のジイソシアネートと2−ヒドロキシ
エチルアクリレートとの付加生成物やポリプロピレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエー
テルジオールとトリレンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンイソシア
ネート、水素添加トリレンジイソシアネートおよび1,6
−ヘキサンメチレンジイソシアネート等のジイソシアネ
ートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの付加生成
物等がある。
(e)その他の重合性アクリレート 上記(a)〜(d)に属さないものとして、ポリアク
リロイルオキシリン酸エステルおよびポリシロキサンポ
リアクリレート等がある。
前記の重合性アクリレートは、単独で用いてもまた2
種以上混合して用いてもよい。単独では粘性が高くて取
り扱い難い重合性アクリレートを用いる場合は、上記の
重合性アクリレートの中から低粘度の重合性アクリレー
トを適宜選択して希釈剤として併用するか、あるいは更
に必要によりその他のアクリル系のモノマー類を添加す
ることも可能である。
また、ポリエチレングリコール等の親水性の大きい重
合性アクリレートを使用する場合は、親油性を有するポ
リプロピレングリコール等の重合性アクリレートあるい
はモノマーを混合して用いるのがよい。
<熱可塑性樹脂> 本発明の(B)の成分は、上記(A)成分と相溶性を
有する熱可塑性樹脂であり、例えば下記の樹脂がある。
(i)塩素化ポリオレフィン樹脂 (ii)塩化ゴム (iii)ロジン系樹脂 (iv)石油樹脂 (v)アルキッド樹脂 (vi)クマロン・インデン樹脂 (vii)ポリテルペン樹脂 (viii)変成テルペン樹脂 (ix)キシレン樹脂 以下に上記の各樹脂について説明する。
(i)塩素化ポリオレフィン樹脂 これは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体およびエチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体等のポリオレフィン系樹脂を塩素
化して得られる熱可塑性樹脂である。
(B)成分は(A)成分と相溶性を有することが必要
であるが、一般に塩素化ポリオレフィン樹脂はその塩素
含有量が低下すると、(A)成分に対する相溶性が低下
するので、塩素含有量は10%以上であることが好まし
い。
また、塩素化ポリオレフィン樹脂は一般に高分子量の
もの程(A)成分に対する相溶性が低下するため、その
分子量は10万以下であることが好ましく、2万以下であ
ることがより好ましい。
本発明における塩素化ポリオレフィン樹脂の市販品の
例としては、アデカプレンCE−303、CE−305、CP−101
(以上いずれも旭電化工業株式会社製)等がある。
(ii)塩化ゴム これは、天然ゴムを塩素化して得られるものであり、
市販品の例としてアデカ塩化ゴムCR−5(旭電化工業株
式会社製)等がある。
塩化ゴムの分子量は、上記(i)と同様の理由で、10
万以下であることが好ましく、2万以下であることがよ
り好ましい。
(iii)ロジン系樹脂 ロジン系樹脂としては、ウッドロジン、ガムロジンお
よびトール油ロジン等のロジンおよび重合ロジン、水添
ロジン、水添ロジンエステル、ロジン変性フェノール樹
脂、ロジンのα、β−不飽和カルボン酸付加物およびロ
ジンのα、β−不飽和カルボン酸付加物と多価アルコー
ルのエステル等のロジン誘導体がある。
これらの市販品の例としては、ハリフェノールP−14
5G、ハリマックR−80およびハリエスターDS−110(以
上いずれも播磨化成工業株式会社製)等がある。
(iv)石油樹脂 石油樹脂は、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂お
よび水添石油樹脂等であり、市販品の例としてはネオポ
リマーE−100、ネオポリマーS(以上いずれも日本合
成樹脂株式会社製)およびFTR−6100(三井石油化学工
業株式会社製)等がある。
(v)アルキッド樹脂 本発明に使用されるアルキッド樹脂は、無水フタル
酸、イソフタル酸等の2塩基酸、グリセリン、ペンタエ
リスリトール等の多価アルコールおよびアマニ油、脱水
ヒマシ油、大豆油等の脂肪酸からなる脂肪酸変性ポリエ
ステル樹脂であって、市販品の例としてALY−1、ALC−
1(以上いずれも播磨化成工業株式会社製)等がある。
その他の熱可塑性樹脂として、(vi)クマロン・イン
デン樹脂、(vii)ポリテルペン系樹脂、(viii)変性
テルペン樹脂および(ix)キシレン樹脂等があり、これ
らも市販されているものを使用することができる。
前記熱可塑性樹脂は単独で用いても2種以上混合して
用いてもよい。
重合性アクリレートに対する熱可塑性樹脂の好ましい
配合量は、重合性アクリレート100重量部(以下単に部
と表す)当たり、10〜150部、より好ましくは20〜120部
である。熱可塑性樹脂の配合量が10部より少ないと、油
性インク印刷面への密着性が悪くなり、150部を越えて
使用すると、熱可塑性樹脂を溶解させた重合性アクリレ
ートの粘度を増加するため、安定なエマルションが得ら
れなくなることがある。
<界面活性剤> 本発明のエマルション型塗料を得るために使用される
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテ
ル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレ
ンアシルエステル等の非イオン性界面活性剤;脂肪酸
塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼン
スルホン酸塩およびアルキルナフタレン酸塩等の陰イオ
ン界面活性剤等があり、これらを単独でまたは2種以上
混合して用いることが出来る。上記の界面活性剤の中で
も特に、HLB10以上の非イオン性界面活性剤と、高分子
界面活性剤、水溶性ポリマーあるいは水分散性重合体の
少なくとも1種とを混合して使用すると、安定性のより
優れたエマルションを得ることができる。
なお上記の成分に加え、所望により可塑剤、レベリン
グ剤、増粘剤、消泡剤を配合し、あるいは本発明以外の
重合性アクリレートまたはメタクリレートのエマルショ
ンや水分散性重合体等を添加して、本発明の塗料を調製
することも可能である。
<溶解方法> 加熱下または室温下で撹拌混合しながら、重合性アク
リレートに熱可塑性樹脂を溶解する。このとき、必要に
応じて熱可塑性樹脂を適当な溶剤に溶解しても良いが、
重合性アクリレートへの溶解を終えた後は、加熱等によ
り溶剤を除去することが好ましい。
<乳化方法> 本発明の塗料は、例えば以下のようにして得ることが
できる。
即ち、上記のようにして熱可塑性樹脂を溶解した重合
性アクリレートを、界面活性剤の存在下で、加熱または
室温下において撹拌しながら、水を徐々に添加すること
により水中油滴型エマルションを得る。
特に、以下に述べる工程に従って乳化させる方法は、
本発明の塗料を安定性の優れた水中油滴型エマルション
とすることができるので好ましい。
熱可塑性樹脂を溶解した重合性アクリレートに水分散
性重合体、高分子界面活性剤および水溶性ポリマーのう
ち少なくとも1種を加え撹拌機で混合する。この時上記
混合物に水を存在させることが好ましい。したがって高
分子界面活性剤あるいは水溶性ポリマーが水に溶解され
ていない場合には、水を加えて撹拌することが好まし
い。高分子界面活性剤の好ましい配合割合は、熱可塑性
樹脂を溶解した重合性アクリレート100部当たり20〜0.1
部、より好ましくは10〜0.1部であり、水分散性重合体
および水溶性ポリマーの好ましい配合割合は、熱可塑性
樹脂を溶解した重合性アクリレート100部当たり40〜0.1
部、より好ましくは25〜0.1部であり、水の好ましい配
合割合は、熱可塑性樹脂を溶解した重合性アクリレート
100部当たり60〜1部、より好ましくは30〜5部であ
る。
続いて上記工程で得た混合物に非イオン性界面活性剤
を添加し撹拌を行う。非イオン性界面活性剤の好ましい
添加割合は、熱可塑性樹脂を溶解した重合性アクリレー
ト100部当たり20〜1部、より好ましくは10〜1部であ
る。
上記工程を経て得られた混合物に、これを撹拌しなが
ら水を添加する。この工程において、工程およびを
経て調製された油中水滴型エマルションを、水中油滴型
エマルションに相転移させると共に、エマルションの固
形分比率を所望の値(例えば60〜30wt%)に調整する。
なお硬化手段が、紫外線照射である場合には、予め重合
性アクリレートに熱可塑性樹脂と後述する光開始剤を溶
解しておく他は、前記の乳化方法と同様の操作を行えば
よい。また光開始剤が水溶性である場合には、前記の方
法で予めエマルションを製造した後に、上記のようにし
て得た重合性アクリレートのエマルションに添加、溶解
することも可能である。
<硬化方法> 本発明の塗料は、紫外線(UV)、加速電子線(EB)お
よびγ線のような電離性放射線等の活性エネルギー線を
塗布面に照射することによって容易に硬化させることが
でき、艶出しを行う対象物に塗料を塗布した後における
水分の乾燥条件および照射条件は、常法に従えばよい。
本発明の塗料を紫外線の照射により硬化させる場合
は、光開始剤を塗料に含有させることが好ましい。
光開始剤の例としては、ベンジル、ベンゾインエチル
エーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノ
ン、3,3′−ジメチルメトキシベンゾフェノン、2,4−ジ
エチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサ
ントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニ
ル〕−2−モルホリノプロパノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−
(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−
メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール
およびメチルベンゾイルフォーメート等があり、これら
を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
なお、ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メト
キシベンゾフェノン、2,4−ジエチルチオキサントンお
よび2,4−ジイソプロピルチオキサントン等の光開始剤
を用いる場合には、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル
およびp−ジメチル安息香酸イソアミル等の光重合促進
剤を併用することも有効である。
光開始剤および場合により併用される光重合促進剤の
好ましい配合量は、前記の重合性アクリレートと熱可塑
性樹脂の合成量100部当たり1〜15部であり、より好ま
しくは2〜10部である。光開始剤および場合により併用
される光重合促進剤の添加量が1部より少ない場合は、
紫外線硬化性が低下し、15部より多い場合は硬化した塗
膜が変色しやすくなる恐れがある。なお、光重合促進剤
の光開始剤に対する配合割合は、紫外線硬化型組成物に
おいて通常使用されている割合とすればよい。
〔参考例、実施例および比較例〕
以下参考例、実施例および比較例により本発明を更に
具体的に説明する。
実施例1 〔UV硬化型水分散性艶出し塗料(1)の製造〕 ベンジルジメチルケタール8部および塩素化ポリエチ
レン(旭電化工業株式会社製商品名:アデカプレンCE−
303)40部をトリプロピレングリコールジアクリレート
(東亞合成化学工業株式会社製商品名:アロニックスM
−220)60部に充分溶解した。この混合物108部に水分散
性重合体(東亞合成化学工業(株)製商品名:アロンHD
−9、固形分70%)を30部添加して70℃で撹拌した。続
いて非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル(花王アトラス株式会社製商品
名:エマルゲン935)10部を加え充分撹拌した後、イオ
ン交換水130部を徐々に滴下しながら70℃にて撹拌し、U
V硬化型水分散性艶出し塗料(1)を得た。得られたエ
マルションは、固形分50%、粘度40cps/25℃(株式会社
東京計器製E型粘度計)、平均粒子径は1μm以下で、
分離・沈降が6カ月以上無い安定なエマルションであっ
た。
実施例2. 〔UV硬化型水分散性艶出し塗料(2)の製造〕 ベンジルジメチルケタール8部、塩素化ポリエチレン
(旭電化工業株式会社製商品名:アデカプレンCE−30
5)30部をトリメチロールプロパンのプロピレンオキサ
イド3モル付加物のトリアクリレート(東亞合成化学工
業株式会社製商品名:アロニックスM−310)70部に充
分溶解した。この混合物108部に水分散性重合体(東亞
合成化学工業株式会社製商品名:アロンHD−9、固形分
70%)を30部添加して70℃で撹拌した。続いて非イオン
性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル(花王アトラス株式会社製商品名:エマルゲン
935)10部を加え充分撹拌した後、イオン交換水130部を
徐々に滴下しながら70℃にて撹拌し、UV硬化型水分散性
艶出し塗料(2)を得た。得られたエマルションは、固
形分50%、粘度40cps/25℃(株式会社東京計器製E型粘
度計)、平均粒子径は1μm以下で、分離・沈降が6カ
月以上無い安定なエマルションであった。
実施例3. 〔UV硬化型水分散性艶出し塗料(3)の製造〕 ベンジルジメチルケタール8部および石油樹脂(日本
合成樹脂株式会社製商品名:ネオポリマーE−100)40
部をトリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合
成化学工業株式会社製商品名:アロニックスM−220)5
0部とポリエステルアクリレート(東亞合成化学工業株
式会社製商品名:アロニックスM−7100)10部からなる
混合液に充分溶解した。この混合物108部に水分散性重
合体(東亞合成化学工業株式会社製商品名:アロンHD−
9、固形分70%)を30部添加して70℃で撹拌した。続い
て非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル(花王アトラス株式会社製商品名:
エマルゲン935)10部を加え充分撹拌した後、イオン交
換水130部を徐々に滴下しながら70℃にて撹拌し、UV硬
化型水分散性艶出し塗料(3)を得た。得られたエマル
ションは、固形分50%、粘度40cps/25℃(株式会社東京
計器製E型粘度計)、平均粒子径は1μm以下で、分離
・沈降が6カ月以上無い安定なエマルションであった。
実施例4. 〔EB硬化型水分散性艶出し塗料(4)の製造〕 塩素化ポリエチレン(旭電化工業株式会社製商品名:
アデカプレンCE−303)40部をトリプロピレングリコー
ルジアクリレート(東亞合成化学工業株式会社製商品
名:アロニックスM−220)60部に充分溶解した。この
混合物100部に水分散性重合体(東亞合成化学工業株式
会社製商品名:アロンHD−9、固形分70%)を30部添加
して70℃で撹拌した。続いて非イオン性界面活性剤とし
てポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(花王ア
トラス株式会社製商品名:エマルゲン935)10部を加え
充分撹拌した後、イオン交換水122部を徐々に滴下しな
がら70℃にて撹拌し、EB硬化型水分散性艶出し塗料
(4)を得た。得られたエマルションは、固形分50%、
粘度40cps/25℃(株式会社東京計器製E型粘度計)、平
均粒子径は1μm以下で、分離・沈降の6カ月以上無い
安定なエマルションであった。
上記のようにして得た活性エネルギー線硬化型水分散
性艶出し塗料のそれぞれを、油性インクで印刷された紙
面上に塗布し、熱風乾燥器により100℃にて20秒間乾燥
することにより塗膜を形成し各種の特性を評価した。そ
れらの結果を下記表1に示した。各特性の測定方法と結
果の判定基準は以下の通りである。
(1)紫外線硬化性 UV硬化型水分散性艶出し塗料を塗布後、水分を100℃
で20秒乾燥させた。続いて80W/cmの高圧水銀灯(最大照
度:200mw/cm2)下10cmをコンベアー速度10m/minで通過
させ、塗膜の粘着性がなくなるまでの通過回数で評価し
た。
(2)電子線硬化性 EB硬化型水分散性艶出し塗料を塗布後、水分を100℃
で20秒乾燥させた。続いて、電子線照射装置(ESI社製
エレクトロカーテン)を用い塗膜の粘着性がなくなる最
低の吸収線量(Mrad)で評価した。照射は、加速電圧17
0kv、酸素濃度100〜200ppmの条件で行った。
(3)油性インク密着性 油性インクが印刷された紙上に形成した塗膜にカッタ
ーナイフによりクロスカットを入れ、セロテープ(ニチ
バン株式会社製)をその表面に圧着させてから剥離した
時の塗膜の残存状態で評価した。
◎:塗膜の剥がれ無し。○:カット部分に塗膜の剥がれ
あり。×:塗膜剥がれが多い。
(4)折曲げ性 油性インクが印刷された紙上に形成した塗膜を180度
折曲げて、塗膜の割れを目視で検査した。
(5)しみこみ 印刷がなされていない紙面に塗料を塗布し熱風乾燥器
により100℃にて20秒間乾燥後、紫外線硬化を行い紙面
への塗料のしみ込みの程度を目視で評価した。
◎:しみ込み無し。×:しみ込みによる紙面の変色有
り。
(6)光沢 油性インクで印刷された紙上に塗膜を形成し、JIS K5
400に従い測定した。
比較例1. 熱可塑性樹脂を含まず無溶剤型の市販の艶だし加工用
紫外線硬化型塗料を、油性インクで印刷された紙面に塗
布し、乾燥を行わないことを除いては上記と同様の操作
を行い、紫外線硬化性、密着性、折曲げ性、しみ込みお
よび光沢を評価した。これらの結果を下記表1に示し
た。
比較例2. 熱可塑性樹脂を含まず、有機溶剤で希釈された市販の
艶だし加工用紫外線硬化型塗料を使用し、上記と同様の
操作を行い、紫外線硬化性、密着性、折曲げ性、しみ込
みおよび光沢を評価した。これらの結果を下記表1に示
した。
比較例3 石油樹脂(ネオポリマーE−100)40部をメチルエチ
ルケトン60部に溶解させ、この混合物に水分散性重合体
(アロンHD−9)を30部添加して室温で撹拌した。続い
て非イオン性界面活性剤(エマルゲン935)10部を加え
充分撹拌した後、イオン交換水130部を徐々に添加し
た。得られたエマルションをA液とする。
これとは別に、ベンジルジメチルケタール8部をトリ
プロピレングリコール(アロニックスM−220)50部と
ポリエステルアクリレート(アロニックスM−7100)10
部からなる混合物に溶解し、この混合物に水分散性重合
体(アロンHD−9)を30部添加して室温で撹拌した。続
いて非イオン性界面活性剤(エマルゲン935)10部を加
え充分撹拌した後、イオン交換水130部を徐々に添加し
た。得られたエマルションをB液とする。
A液とB液を同量づつ混合させた後、80℃でメチルエ
チルケトンを蒸発させたが、均一なエマルジョンは得ら
れなかった。
(ハ)発明の効果 本発明の活性エネルギー線硬化型水分散性艶出し塗料
は、有機溶剤を含まないため、作業環境の悪化、大気汚
染、火災の危険性などの問題がなく極めて安全性に優れ
ている。また、紙へのしみ込みがなくかつ優れた密着性
を有しているため、従来の艶だし加工用紫外線硬化型塗
料に比較してその有用性は極めて大きいものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 19/20 C09D 123/28 // C09D 123/28 157/02 157/02 D21H 1/34 E (56)参考文献 特開 昭52−138538(JP,A) 特開 昭62−190268(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子中に2個以上のアクリロイル基を有す
    る重合性アクリレート(A)にこれと相溶性を有する熱
    可塑性樹脂(B)を溶解させた溶液を分散体とする水中
    油滴エマルションからなる活性エネルギー線硬化型紙用
    艶出し塗料。
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